JP2007064725A - 樹脂製クロマト管およびその製造方法 - Google Patents

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嘉則 井上
Hitoyoshi Inoue
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Abstract

【課題】機械的強度と化学的安定性及び内径寸法精度に優れた液体クロマトグラフィー用樹脂製クロマト管及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】樹脂製パイプ1及び該樹脂製パイプの外周面に密着する樹脂製外套管2を有することを特徴とする、液体クロマトグラフィー用クロマト管。前記樹脂製パイプは、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンあるいはポリプロピレン製であることが好ましく、前記樹脂製外套管は、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレートあるいは液晶ポリマー製であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、機械的強度、化学的安定性及び寸法精度に優れた液体クロマトグラフィー用クロマト管およびその製造方法に関する。
液体クロマトグラフィーは、多種の成分を含む試料を温和な条件で一斉に分離・分析できるため、生化学・医学・薬学等の分野で広く用いられている。
液体クロマトグラフィーは、クロマト管と呼ばれるパイプに充填剤を充填し、適切な溶離液を通液して試料成分を搬送し、充填剤と試料中の成分との相互作用により分離を行うものである。前記クロマト管としては従来一般に、ステンレス製あるいはガラス製のクロマト管が用いられていた。
しかし、ステンレス製のクロマト管を用いてタンパク質や酵素等の生理活性成分の分析を行う場合、ステンレスに生理活性成分が吸着して回収率が著しく低下することがある。また、物質回収率が高い場合でも、金属との相互作用により活性回収率が低下してしまうという問題が生じ得る。
イオン交換クロマトグラフィーにおいては、高塩濃度の溶離液により錆が生じ、カラム性能を著しく低下させてしまう、錆に試料成分が吸着してしまう等の問題が生じる。さらに無機イオンの分析においては強酸性あるいは強アルカリ性の溶離液を用いるためステンレス表面が変化し、目的イオンが吸着してしまう、ステンレス成分の一部が溶解して溶出してくるといった問題も生じ得る。
一方、ガラス製クロマト管を用いた場合は、生理活性物質の吸着や活性回収率はステンレス製クロマト管に比べて改善されるものの、ガラス表面に存在するシラノール基への吸着という問題が残る。また、ガラス製のクロマト管は使用可能pH範囲が狭く、強アルカリ性では使用できないという問題がある。さらには、機械的強度が不十分で、高圧充填ができない、外部からの衝撃で容易に破損してしまう等の問題がある。
このため、近年、種々のエンジニアリングプラスチックが開発され、耐薬品性、耐腐蝕性、耐吸着性等の点で金属製・ガラス製パイプよりも優れた樹脂製パイプの利用が可能となっている。また、機械的強度の面においても、クロマト管の肉厚を3〜6mmとすることで、十分に使用圧に耐えることが可能である。
しかし、このような肉厚の樹脂製パイプを内径寸法精度よく製造することは非常に困難である。樹脂製クロマト管を製造する方法としては、現在一般に押出成形法及び射出成形法が用いられている。このうち射出成形法では、樹脂硬化時に収縮が起こり、パイプの内径となるピン状の金型を抜くことが難しいため、長尺パイプの成形は困難である。特に、肉厚パイプの場合は、樹脂の収縮が均一でないため高平滑性のパイプを得ることは難しい。そのため、肉厚2mm未満の製品であればともかく、肉厚2.5mm以上の製品を内径寸法精度高く製造することは困難である。肉厚が2mm未満のクロマトカラムは耐圧性がなく、実際のHPLC用カラムとしては用途が限定されてしまい、汎用性がない。
同様に、押出成形法においても、肉厚2mm未満のパイプであれば寸法製度よく製造することはできるものの、肉厚が2.5mm以上の管を寸法精度良く製造するには適していない。押出成形法を用いて肉厚管を製造した場合、一般にその内径寸法精度は±10%以上になるとされている。
内径寸法精度が±10%以上にもなると内容積も大きく変動する。例えば、内径寸法精度を±10%とすると、内径4.6mmのパイプでは、内容積は±約18%も変化する。一方、内径4.6 mmのステンレスパイプの内径寸法精度は±1%以下であり、樹脂製パイプに比べはるかに小さい。液体クロマトグラフィーにおける定性は、カラムで分離された成分の溶出時間を指標に行うため、カラム相互間の内容積のばらつきが大きい場合には分析精度にも大きな影響が出てくる。
このような樹脂製クロマト管に対し、外層を機械的強度の高い物質で形成し、内層のみを耐薬品性のある樹脂で形成したクロマト管も考案されている。
例えば特許文献1ないし3において、樹脂を利用した高耐圧のクロマト管が開示されている。
特許文献1は、金属製パイプの内側に接着性の熱可塑性プラスチック層を介して耐蝕性の熱可塑性プラスチックパイプの内層を設けてなる液体クロマトグラフィー用カラムを開示している。
しかし、特許文献1のカラムは、外層の金属製パイプと内層のプラスチックパイプが接着層を介して接着されているため、外層と内層が根本的に一体化しておらず、密着性に問題が残る。また、接着層及び内層のパイプを熱可塑性プラスチックで構成し、高熱・高圧をかけることによって外層の金属製パイプと接着させる必要があるため、製法が煩雑であり、製造コストが高くなるという問題がある。さらに、内層のプラスチックパイプの溶融点以上で操作する必要があるため、樹脂厚さの管理が難しく、内径精度の管理が難しいという問題がある。
特許文献2の考案は、外側に耐圧保護管を施した合成樹脂製クロマトグラフカラムに関するものであり、具体的には明細書中に、金属製外套管内部に、耐蝕性合成樹脂製パイプを挿入し、テーパ構造で内部パイプを固定したクロマトグラフカラムが開示されている。
しかし、特許文献2で開示されたカラムは、機械加工で外套管を固定しているだけであるため、外套管との密着性が悪く、外套管と樹脂製パイプの間に隙間が存在し得る。そのため、充填剤の充填条件によって内部樹脂パイプの膨らみ度合いが異なり、クロマト管の内容積が変化してしまうといった問題が生じ得る。また、外套管の製作、内部パイプのテーパ加工等が煩雑であり、作業工数が多いといった問題がある。
特許文献3では、樹脂製パイプと、冷管引き抜きされて前記樹脂製パイプに被覆されたステンレスパイプとを具備した液体クロマトグラフ用クロマト管が開示されている。
しかし、冷管引き抜き加工は、密着度の管理が難しく、隙間の発生、再現性の点で問題があり、さらに工数がかかるという問題もある。また特許文献3のクロマト管は、製造の際に内部樹脂パイプの内径が1〜3%も収縮するとされており、ステンレス管並みの内径寸法精度を持つクロマト管を製造することはできない。さらに樹脂製パイプとステンレスパイプが根本的に一体化しておらず、且つ樹脂とステンレスの熱収縮率が大きく異なるため、内部樹脂パイプのみが熱膨張、熱収縮を繰返し、その結果ステンレスパイプとの間に隙間が生じて、最悪の場合、内部樹脂パイプが抜けてしまうといった問題がある。
実開平50−66695号公報 実公昭52−35033号公報 特開平2−12057号公報
上述したように、内層を樹脂で、外層を機械的強度の高い物質で形成したクロマト管は従来から考案されていたものの、内径寸法精度の点あるいは内層と外層との密着性、及び製造工程の点でなお問題を有していた。
本発明は、このような問題を解決するものであって、化学的安定性に優れたクロマト管であって、機械的強度が高く、さらに内層と外層との密着性が良好であり、内径寸法精度の高いクロマト管を提供すること、さらには前記クロマト管を簡易な工程で内径寸法精度良く製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂製パイプ及び該樹脂製パイプの外周面に密着する樹脂製外套管を有する液体クロマトグラフィー用クロマト管を開発し、前記課題を解決した。
本発明のクロマト管は、樹脂製パイプ(内層)と、前記樹脂製パイプの外周面に密着した樹脂製外套管(外層)との2層構造を有する。上記構成とすることにより、内層の樹脂製パイプの肉厚が薄く機械的強度が不十分であっても、外層の外套管によって、使用圧に耐用可能なクロマト管とすることができる。厚みの薄い樹脂管は、肉厚の樹脂管と異なり、内径寸法精度良く製造することができるため、肉薄の樹脂製パイプを用いて、内径寸法精度の高いクロマト管を製造することが可能である。そして本発明のクロマト管は、内層と外層が共に樹脂で形成されているため、両層の密着性が高く、さらに、両層の熱収縮率の差が小さいため、長期間使用しても内層と外層の剥離が生じにくい。また、高価な樹脂材料は内部の樹脂製パイプ部分だけで済み、外套管樹脂には汎用の樹脂を使用できるため、大幅なコストダウンが可能である。
前記クロマト管は、樹脂製外套管の両端の外周面に、カラムエンドフィッティングを取り付けるためのねじ部が一体形成されていることが好ましい。
前記樹脂製パイプ(内層)を構成する樹脂としては、耐薬品性、耐腐食性、耐吸着性に優れた樹脂が好ましく、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン及びポリプロピレンが好適である。
前記樹脂製外套管(外層)を構成する樹脂としては、機械的強度が高い樹脂が好ましく、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート及び液晶ポリマー(全芳香族液晶ポリエステル)が好適である。
前記樹脂製外套管の外側に、外套管の外周面と接触する金属製保護管をさらに設けることにより、より機械的強度に優れたクロマト管とすることも可能である。
本発明のクロマト管は、前記樹脂製パイプと前記樹脂製外套管の肉厚の合計が、2.5mm以上ある管が好ましく、さらに高耐圧が要求される場合には、前記樹脂製パイプと前記樹脂製外套管の肉厚の合計が、3mm以上ある管が好ましい。
前記樹脂製外套管を、インサート成形技術により前記樹脂製パイプの外周面に密着形成することによって上記クロマト管を製造すれば、少ない工数で効率よく本発明のクロマト管を製造することができる。また、当該方法は、樹脂と樹脂とのインサート成形であるため、内層の樹脂製パイプと外層の樹脂製外套管との密着性は非常に高く、樹脂製パイプの外周面と樹脂製外套管とが融着一体化した状態となる。加えて、内層と外層の両方が樹脂で形成されており、収縮率の差が小さいため、温度変化があっても内層が抜けてしまうことはない。
さらに樹脂製パイプとして、市販の汎用樹脂パイプも使用可能であり、低価格で本発明のクロマト管を作製可能である。
本発明によれば、内径寸法精度の非常に高い液体クロマトグラフィー用クロマト管を製造することができるため、個体差が小さい再現性のよいカラムを得ることが可能となる。また、樹脂製外套管により機械的強度を高めることができるため、使用圧に耐用可能である。さらに内層と外層の双方が樹脂製であるため、両層の密着が強固であり、また、収縮率の差が小さいため、両層の剥離が生じにくい。溶離液の接する樹脂製パイプと機械的強度を持たせる外套管とを別の樹脂で形成することができるため、種々の特性を持つクロマト管とすることが可能である。
さらに、本発明の製造方法を用いれば、簡易な工程で、内径寸法精度及び外層と内層の密着性に優れたクロマト管を製造することが可能である。
本発明の樹脂製クロマト管は、例えば次の方法によって、容易且つ再現性良く製造することができる。
まず、所望の内径と内径精度を持つ樹脂製パイプを所望の長さに切断し、内部に内径より若干外径の小さい金属ピンを通し、インサート成形用の金型にセットする。その後、金型に、加熱溶解した外套管用樹脂を適切な圧力で流し込み、一定時間金型を加圧しながら樹脂を硬化させ、樹脂製外套管を形成する。樹脂製外套管が十分に硬化した後、金型から取り出し、樹脂製パイプに挿入した金属製ピンを抜き出すことにより、本発明の樹脂製クロマト管を得ることができる。上記方法によれば、外套管用樹脂と樹脂製パイプの外表面とが溶着し、さらに外套管用樹脂は硬化する時に収縮するため、樹脂製パイプと樹脂製外套管が非常に強く密着する。そのため、得られたクロマト管では、樹脂製パイプの外表面と樹脂製外套管とが融着一体化した状態となっている。
本発明に用いられる樹脂製パイプは、耐溶媒性が良好で、かつ試料成分の吸着が起きない材質であり、内径が均一でかつ平滑なものであれば特に限定されない。また、目的の内径寸法精度を確保できるものであれば、押出成形品であっても射出成形品であってもよい。
樹脂製パイプの材質としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド等を用いることができる。耐薬品性及び耐吸着性を考慮する場合には、PEEK、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミドが好ましく、PEEKが特に好ましい。内壁面が弾性を有すれば、密に充填剤を充填できるため、カラム効率が高くなるが、その一方、充填剤が内壁面に食い込むため、充填条件 (主に充填圧力) によりクロマト管の内径が変化して、カラム相互間で内容積のばらつきが大きくなる恐れがある。従って、内部樹脂製パイプは、耐薬品性、耐吸着性等と共に、充填条件に応じた硬度のものを選択することが好ましい。
本発明に用いられる樹脂製パイプの形状は、一般的なパイプ状のものでよいが、成形後のパイプのずれ防止のためや、外套管となる樹脂の厚さ調整、金型との位置決め等成形上の都合に合わせて、パイプ外面に溝や凸部を形成した形状のものであってもよい。
本発明の樹脂製外套管は、クロマト管の機械的強度を維持するものであるため、外套管用樹脂は、機械的強度、成形の容易さだけを考慮して、自由に選択することが可能である。十分な機械的強度を持ち、内層の樹脂製パイプと十分密着する樹脂であれば特に限定されない。また、樹脂製外套管は溶離液に接触することがないため、クロマト管材料としては不適なガラス繊維強化樹脂等も使用することが可能である。
クロマト管の機械的強度を考慮すると、外套管用の樹脂としては、PEEK、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマー (全芳香族液晶ポリエステル) が好ましい。機械的強度をさらに増すために、これらの樹脂にガラス繊維等のフィラーを混合したものを用いてもよい。
本発明の樹脂製外套管の外部は平滑な状態でもよいし、エンドフィッティングを取り付けるためのねじ部や、スパナをかけるための構造を形成してもよい。ねじ部やスパナをかける構造を成形時に一体形成することによって、切削による後加工を省略でき、コストダウンが可能である。また、耐圧性をさらに向上させるために、樹脂製外套管の外周面を金属製保護管で覆っても良い。このような金属製保護管は、例えば、樹脂製外套管に対しステンレス等の金属製パイプを外套管として挿入し、インサート成形することによって設けることができる。
本発明において、クロマト管とは、単なる円筒形状の管であってもよく、カラムエンドフィッティング(クロマト管と配管チューブを接続するためのコネクタとしての役割、カラムフィルタにより充填剤が外部に漏れないようにする役割を果たす)を接続するための構造等を外表面に有する管であってもよい。
本発明において、内径寸法精度とは、同一条件で製作した複数のクロマト管相互間における内径のバラツキのことであって、複数のクロマト管の内径測定結果において、最大および最小内径と平均内径との差を、平均内径に対する百分率で表記したものである。
本発明において、樹脂製パイプと樹脂製外套管の肉厚の合計とは、クロマト管の管壁断面における、樹脂層の厚み(樹脂製パイプの肉厚+樹脂製外套管の肉厚)をいう。樹脂製外套管の外部に、ねじ部が樹脂で一体形成されている場合など、場所によって樹脂層の厚みが異なる場合は、平滑な部分の樹脂層の厚み(すなわち、同じ厚みが続く、基幹部分の厚み)を指し、一部の凹凸箇所の厚みを指さない。
また、本発明において、樹脂管の肉厚とは、樹脂管の管壁の厚みを指す。樹脂管に凹凸箇所が設けられている場合は、管の基幹部分の厚みを指す。
本発明のクロマト管において、樹脂層の厚みは、所望する機械的強度により適宜調節可能である。使用耐圧を考慮すると、2.5mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。厚みが大きいほど機械的強度を高くすることができるが、内径20mm以下のクロマト管としての要求事項、および経済性・実用性を考えると15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。
本発明の製造方法において、内径寸法精度は基本的に、使用する樹脂製パイプの内径精度、成形時に挿入するピンの外径精度に依存するが、樹脂製パイプの内径は成形時の圧力と温度により、ピンの外径に近づくため、使用するピンの外径精度を管理することで、元の樹脂製パイプよりもさらに高精度の内径を持つクロマト管を得ることが可能である。その結果、ロット間のばらつきも小さくなり、より内容積の安定したクロマト管を供給することができる。
インサート成形による製造は、一旦型ができてしまえば、その作業は非常に容易であり、高精度品を、短時間・低価格で製造することができる。そのため、機械加工+ライニングといった手法に比べれば、作業工数を半分以下にすることが可能である。さらに、カラム末端も成形により製作すれば、より製造コストを下げることも可能である。したがって、本法を用いることで、高耐圧性、高耐腐食性、高内径寸法精度のクロマト管を低価格で製造することが可能である。
本発明の製造方法によれば、樹脂層の肉厚(樹脂製パイプの肉厚+樹脂製外套管の肉厚)が3mm以上のクロマト管であっても、内径寸法精度±1.5%以内で安定して製造することが可能である。さらにまた、内径寸法精度±1.2%以内、±1.0%以内で安定して製造することも可能である。
汎用分析に用いられるクロマト管の内径は、一般に3.0〜6.0mmであるが、本発明の方法を用いれば、この範囲は勿論、汎用分析に用いられ可能性のあるクロマト管(内径2.0〜20mm)の全てを内径寸法精度良く製造することが可能である。また、内径0.2〜2mmのクロマト管であっても、高内径寸法精度で製造することが可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
PEEKを用いて、内径3.0mm,両端の外径6.35mm,中央部の外径6.0mm,長さ150mmのPEEK製パイプ(内層となる樹脂製パイプ1)を射出成形により作製した。このパイプの内径をピンゲージで調べたところ、両端開口部の径はそれぞれ2.99mm及び3.00mmであり、パイプを通過したゲージ径は2.98mmであった。このパイプに外径2.96mmの超鋼のピンを挿入し、金型にセットした。外套管用樹脂としてガラス繊維を40%含有するポリフェニレンスルフィド (PPS) を用いて、インサート成形を行った。樹脂が十分硬化した後、成形品を金型から外し、速やかに超鋼のピンを抜き取り、室温で十分冷却した。その結果、図1 a) に示す構造のクロマト管を得た(内径:約3mm、外径:約10mm、肉厚[樹脂製パイプと樹脂製外套管の肉厚の合計]:約3.5mm)。PPSの外套管2にはスパナをあてる六角部分4及びカラムエンドフィッティングを接続するねじ部5を一体形成してある(なお、前記肉厚は、六角部やねじ部が設けられていない箇所の肉厚である)。インサート成形後の樹脂製パイプ内径は、両端開口部径はそれぞれ2.98mm及び2.99mmであり、パイプを通過したゲージ径は2.97であった。
同様な方法で10本のクロマト管を作製したが、両端開口部径はそれぞれ2.980±0.008m (平均±標準偏差) 及び2.986±0.005mm (同) であり、パイプを通過したゲージ径は2.974±0.006mm (同) であった。全測定ポイントでの平均内径は2.980mmであり、平均値からのずれは最大径で0.67%、最小径で0.34%とステンレスパイプと同程度の内径寸法精度(±1%)を持つパイプであった。
本実施例により作成した図1a)のクロマト管のねじ部5(雄ネジが形成されている)と、カラムエンドフィッティングに設けられた雌ネジとを螺合させることにより、クロマト管の両端にカラムフィルタ6及びカラムエンドフィッティング7をつければ、図1 b) に示すような液体クロマトグラフィー用のクロマト管となる。
実施例1で作製した図1a)のクロマト管を用いて温度サイクル試験を行った。温度範囲は、一般的な液体クロマトグラフィーで用いられる温度条件である15〜60℃とし、1時間サイクル(15℃ 15分,昇温15分,60℃ 15分,降温15分)で20回の温度サイクル試験を行った。試験後、内層の樹脂製パイプを引き抜こうとしたが、樹脂製パイプ末端が伸びて千切れるまで引っ張っても樹脂製パイプそのものを抜き出すことはできず、外層の外套管が内層の樹脂製パイプに非常に強固に密着していることが実証された。
内径3.17mm,外径6.35mm,長さ150mmのPEEK製パイプ(内層となる樹脂製パイプ1)を射出成形により作製した。このパイプの内径は3.10〜3.20mm(平均値:3.15mm±1.5%) であった。このパイプに外径3.1mmの超鋼のピンを挿入し、金型にセットした。また、クロマト管の機械的強度をさらに高めるため、金属製保護管3として、外径10mm,内径8mmのステンレスパイプも合わせて金型にセットした。外套管用樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いて、実施例1と同様にインサート成形を行った。その結果、図2a)に示す構造のクロマト管を得た(内径:約3.15mm、外径:約10mm、樹脂層の肉厚[樹脂製パイプと樹脂製外套管の肉厚の合計]:約2.4mm、金属製保護管の肉厚:約1mm)。PBTの外套管2には、実施例1と同様に、六角部分4及びねじ部5を設けてある。
上記方法で10本のクロマト管を作製し内径を測定したところ、3.10〜3.17mm(平均値:3.135mm±1.12%)であり、ステンレスパイプとほぼ同程度の内径寸法精度を持つクロマト管を得ることができた。
また、クロマト管の内径寸法精度は、元の樹脂製パイプの内径寸法精度(平均±1.5%)より高くなり、内容積のより安定したクロマト管を製造することができた。また、ロット間のばらつきも元の樹脂製パイプより小さくなった。従って、本発明の製造方法を用いれば、従来技術によって得ることができる肉薄の樹脂管よりさらに高精度の内径を持ち、且つ耐圧性の高いクロマト管を、効率よく製造できることが分かった。
本実施例により作成したクロマト管は、両端にカラムフィルタ及びカラムエンドフィッティングをつければ、図1b)と同様のクロマト管となる。
内径3.0mm,外径4.0mmの市販ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製パイプ(内層となる樹脂製パイプ1)を入手し、長さ150mmに切断した。切断したパイプから内径2.95〜3.05mm(3.0mm±1.7%)のものを選別し、外径2.93mmの超鋼のピンを挿入し、金型にセットした。また、実施例3と同様に、金属製保護管3として外径10mm,内径8mmのステンレスパイプも合わせて金型にセットした。外套管用樹脂としてPPSを用いて、実施例1と同様にインサート成形を行った。その結果、図2b)に示す構造のクロマト管を得た(内径:約3mm、外径:約10mm、樹脂層の肉厚[樹脂製パイプと樹脂製外套管の肉厚の合計]:約2.5mm、金属製保護管の肉厚:約1mm)。ここでは、PTFEは比較的軟質であるため、カラムフィルタを確実に支えられないため、PTFEの末端まで樹脂製外套管2が来るように設計した。
上記方法で10本のクロマト管を作製し内径を測定したところ、2.94〜3.00mm (平均値:2.97mm±1.01%)であり、ステンレスパイプとほぼ同程度の内径寸法精度を持つクロマト管を得ることができた。
本実施例により作成したクロマト管は、両端にカラムフィルタ及びカラムエンドフィッティングをつければ、図1b)と同様のクロマト管となる。
本発明のクロマト管の一実施例を示す図であって、a)は管のみのクロマト管の断面図、b)はa)にカラムフィルタ及びカラムエンドフィッティングを取り付けたクロマト管の断面図である。 金属製保護管を備えた本発明のクロマト管の実施例を示す図であって、a)、b)はそれぞれ別の実施例の断面図を示す。
符号の説明
1.樹脂製パイプ
2.樹脂製外套管
3.金属製保護管
4.六角部
5.ねじ部
6.カラムフィルタ
7.カラムエンドフィッティング

Claims (7)

  1. 樹脂製パイプ及び該樹脂製パイプの外周面に密着する樹脂製外套管を有することを特徴とする、液体クロマトグラフィー用クロマト管。
  2. 前記樹脂製外套管の両端の外周面に、カラムエンドフィッティングを取り付けるためのねじ部が一体形成されている、請求項1に記載のクロマト管。
  3. 前記樹脂製パイプが、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される樹脂からなる、請求項1または2に記載のクロマト管。
  4. 前記樹脂製外套管が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート及び液晶ポリマーからなる群から選択される樹脂からなる、請求項1〜3いずれか1項に記載のクロマト管。
  5. 前記樹脂製外套管の外側に、外套管の外周面と接触する金属製保護管を有する、請求項1〜4いずれか1項に記載のクロマト管。
  6. 前記樹脂製パイプと前記樹脂製外套管の肉厚の合計が、2.5mm以上である、請求項1〜5いずれか1項に記載のクロマト管。
  7. 前記樹脂製外套管を、インサート成形技術により前記樹脂製パイプの外周面に密着形成することを特徴とする、請求項1〜6いずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー用クロマト管の製造方法。
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