JP2007064674A - クロマトグラフィー用チップ及びクロマトグラフィー用チップを用いた分離方法 - Google Patents

クロマトグラフィー用チップ及びクロマトグラフィー用チップを用いた分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 目的物質の損失を抑制しながら、所定量以下の試料についてクロマトグラフィーにより分離を行なう。
【解決手段】 基板2に流路3を形成してなるクロマトグラフィー用チップ1の流路3に、流路断面積を相対的に大きく形成され吸着剤を充填するためのプール部6と、プール部6に試料液を導入する導入流路部4,5と、プール部6から試料液を送出する送出流路部7,8と、プール部6内の送出流路部7,8よりも上流側に形成され吸着剤がプール部6から流出することを防止する流出防止部9とを設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、クロマトグラフィー用チップ及びそれを用いた分離方法に関する。
従来、有機化学反応などにおいては、試験管やビーカー等の大容量の容器に所定の試料を収容し、この容器内で特定の条件下に試料を混合し、有機化学反応を行なわせていた。しかし、近年では、試薬の少量化などを目的として、マイクロリアクタ等の微小な反応流路を用いて化学反応を行なわせる技術が提案されている。
上記の微小な流路を用いて化学反応を行なう場合、その反応により生成する化合物の量は従来よりも小さくなる。したがって、所定量(例えば、500μL)以下の微量の試料中から目的物質を分離・精製する場合には、流路を流通させる試料の量に応じた精製方法を用意することが望まれていた。
さらに、微小な反応流路を用いた化学反応によれば、反応装置の小型化という利点が得られる。したがって、この装置の小型化という利点を活かすためにも、従来よりも小さい規模での分離・精製方法が望まれていた。
このように小さい規模での分離・精製方法の一つとして、特許文献1には、マイクロチップ中に設けた微小流路内においてクロマトグラフィーにより化合物の分離・精製を行なう技術が提案されている。
特開2002−311008号公報
しかしながら、マイクロチップやチューブなどに形成された微小流路にイオン交換樹脂などの吸着剤粒子を均一に充填することは、従来、非常に困難であった。特に、微小流路の長さが長くなるにつれて吸着剤の均一充填は困難になる傾向があり、これに伴い、分離性能が低下しがちであった。したがって、従来の微小流路を用いたクロマトグラフィー用チップでは、分離精製の際に、目的物質の損失が多くなっていた。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、目的物質の損失を抑制しながら、所定量以下の試料液についてクロマトグラフィーにより分離を行なうことができるクロマトグラフィー用チップを提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、吸着剤を充填する流路を形成されたクロマトグラフィー用チップにおいて、流路に、流路断面積を相対的に大きく形成された吸着剤を充填するためのプール部を形成し、そのプール部内の、プール部から試料液を送出するための送出流路部よりも上流側に、吸着剤がプール部から流出することを防止する流出防止部を設けることにより、また、吸着剤を充填するプール部の温度を精密に制御できるようにより、目的物質の損失を抑制しながら、所定量以下の試料液についてクロマトグラフィーにより分離を行なうことを可能にできることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、基板と、該基板に設けられた流路とを備え、該流路に試料液を流通させて上記試料液中の目的物質をクロマトグラフィーによって分離するために用いるクロマトグラフィー用チップであって、該流路が、流路断面積を相対的に大きく形成された、吸着剤を充填するためのプール部と、該プール部に上記試料液を導入する導入流路部と、該プール部から上記試料液を送出する送出流路部と、該プール部内の該送出流路部よりも上流側に形成され、該吸着剤が該プール部から流出することを防止する流出防止部とを備えることを特徴とする、クロマトグラフィー用チップに存する(請求項1)。これにより、目的物質の損失を抑制しながら、所定量以下の試料液についてクロマトグラフィーにより分離を行なうことができるようになる。
このとき、該プール部内には、該吸着剤を有するようにしておくことが好ましい(請求項2)。
また、該流出防止部は、該基板との間で該吸着剤の粒径よりも小さい隙間を形成するよう該プール部内面が凸に形成されたダム部を備えるように構成することが好ましい(請求項3)。これにより、吸着剤の流出を確実に防止することが可能となる。
さらに、該導入流路部は、該吸着剤の粒径よりも大きい径を有して形成することが好ましい(請求項4)。これにより、導入流路部を介してプール部に吸着剤を充填することが可能となり、容易に吸着剤の充填を行なうことができるようになる。
また、該プール部の幅は0.1mm以上30mm以下であり、深さは100μm以上500μm以下であることが好ましい(請求項5)。
さらに、本発明の別の要旨は、上記のクロマトグラフィー用チップの流路に試料液を流通させる吸着工程と、上記流路に、溶出液を流通させる溶出工程とを有することを特徴とする、クロマトグラフィー用チップを用いた分離方法に存する(請求項6)。これにより、目的物質の損失を抑制しながら、所定量以下の試料液についてクロマトグラフィーにより分離を行なうことができるようになる。
本発明のクロマトグラフィー用チップ及びクロマトグラフィー用チップを用いた分離方法によれば、目的物質の損失を抑制しながら、所定量以下の試料液についてクロマトグラフィーにより分離を行なうことができるようになる。
以下、本発明の一実施形態を示して本発明について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
[I.構成]
図1〜図3は本発明の一実施形態について示すもので、図1はクロマトグラフィー用チップの模式的な上面図であり、図2はクロマトグラフィー用チップの模式的な斜視図であり、図3は流出防止部近傍の模式的な拡大図である。なお、図2において流路及び流出防止部の厚みを描画していないが、これらは厚みが非常に小さいために描画しなかったものであり、実際には厚み(或いは深さ)を有する3次元的な構造を有している。
図1、図2に示すように、本実施形態のクロマトグラフィー用チップ(以下適宜、「クロマト用チップ」という)1は、基板2に流路3が形成されたものである。また、流路3は、導入流路部4,5と、プール部6と、送出流路部7,8とを備えている。
[1.基板]
基板2は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の素材で形成することができる。例えば、ガラス等の無機材料や、合成樹脂等の有機材料で形成することができる。
また、基板2の形状も本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は、平板形状に形成される。
さらに、基板2の寸法についても制限は無く、目的に応じて任意に設定することができる。ただし、基板2内の流路3を流れる試料液や溶出液などの温度を精密に制御する観点、及び、流路3内で生じうる混合熱、溶解熱、吸着熱等の発熱を除熱する観点からは、基板2は上記温度制御及び除熱を適切に行なえる程度に薄い寸法で形成されることが好ましい。具体例を挙げると、基板2を平板形状に形成する場合には、その寸法は、縦70mm×横30mm×厚み1.4mmの寸法に形成することができる。
本実施形態においては、基板2として、上記寸法で平板形状に形成された透明なガラス製の基板を用いているものとする。
また、基板2に流路3を形成する手法に制限は無く、公知の任意の方法により形成することができる。例えば一体に形成した基板2内に流路3を形成することも可能であるが、本実施形態では、流路3を凹部として形成した下板2aに、流路3に蓋をするための上板2bを接着することにより基板2内に流路3を形成しているものとする。即ち、基板2は下板2aと上板2bとにより形成され、下板2aと上板2bとの接着面に沿って流路3が形成されているのである。なお、流路3を形成する際の具体的な流路形成方法も任意であるが、例えば、フォトレジスト、ウェットエッチング、ドライエッチング、射出成形、レーザー加工、ビーム加工などを任意に用いて形成することができる。
[2.流路]
流路3は、基板2の内部に形成されたもので、上記の通り、導入流路部4,5と、プール部6と、送出流路部7,8とを備えている。
[2−1.導入流路部]
導入流路部4,5は、クロマトグラフィーを用いて分離を行なう対象である試料液、目的物質の溶出に用いる溶出液、流路3内の洗浄に用いる洗浄液、吸着液の再生に用いる再生液などが流路3に入るための導入用の流路部であり、この導入流路部4,5を介して、プール部6に上記の試料液などが導入されるようになっている。
導入流路部4,5の具体的な構成に制限は無いが、通常は、導入流路部4,5はそれぞれ上流端部に導入口4a,5aを有していて、この導入口4a,5aを介して外部から対応する試料液を導入されるようになっている。
また、導入流路部4,5は少なくとも1本だけ形成されていれば良いが、流路3に導入する液体の種類、組成、目的などに応じて、2本以上形成するようにしても良い。本実施形態においては、導入流路部4,5は2本形成されているものとする。
さらに、本実施形態では、導入流路部4,5は、ブール部6よりも上流において合流しているものとする。これは、クロマトグラフィーによる分離の場となるプール部6よりも上流において、プール部6に流入する液体の種類や組成などを選択するためである。
また、導入流路部4,5のうちの少なくとも1本を、上記の試料液、溶出液、洗浄液、再生液などの液体を導入する他、プール部6に吸着剤を導入するための吸着剤導入路として用いることができるように形成しても良い。この場合、導入流路部4,5は、吸着剤の粒子が流通することができるような寸法に形成することが望ましい。具体的には、吸着剤の粒径(好ましくは最大粒径)よりも幅及び高さを大きく形成することが望ましい。
さらに、導入流路部4,5から吸着剤を導入するようにする場合には、吸着剤の導入に用いる導入流路部4,5は、導入流路部4,5を吸着剤が途中で留まることなく流通することができるよう、導入口4a,5aからプール部6にかけて滑らかに形成することが好ましい。具体的には、導入流路部4,5の流路形状を、直線状、曲線状、或いは、直線と曲線とが滑らかに連続した形状などに形成することが好ましい。
また、プール部6内に吸着剤をより均一に充填する観点からは、導入流路部4,5の向きは、プール部6に直前において、プール部6の流れ方向と平行になっていることが望ましい。仮に、導入流路部4,5の向きがプール部6の直前においてプール部6の流れ方向と交差する向きとなっている場合には、導入流路部4,5からブール部6に流入する吸着剤がプール部6の横方向の片方に主として流入し、これによりプール部6内の吸着剤の分布が偏る虞があるためである。なお、本明細書では、流路3内において「前」とは、上流側のことを指すものとする。
本実施形態では、導入流路部4,5は同じ長さに形成された2本の流路部によって構成されていて、さらに、導入流路部4,5は、それぞれ円弧状の流路形状となるように形成されているものとする。また、導入流路部4,5は、その下流にはプール部6が接続されていて、導入流路部4と導入流路部5とはプール部6の直前で合流しているものとする。
さらに、本実施形態では、導入口4a,5aは、それぞれ導入流路部4,5の上流端と基板2の外部とを連通する孔として上板2bに形成されているものとする。
また、導入流路部4,5の寸法に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、上記の通り、導入流路部4,5を介してプール部6に吸着剤を導入する場合には、吸着剤の粒子が導入流路部4,5を流通することができるよう、吸着剤の粒径よりも大きい径を有するよう、その寸法を設定することが望ましい。
具体的な寸法は、吸着剤の寸法に応じて適切に設定すれば良いが、例えば、導入流路部4,5の幅は、通常50μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、また、通常2000μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは800μm以下とすることが望ましい。上記範囲の下限を下回ると吸着剤の充填が困難になる虞があり、上限を上回ると吸着剤が抜け出しやすくなる虞がある。
さらに、導入流路部4,5の深さは、通常50μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上、また、通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下とすることが望ましい。上記範囲の下限を下回ると吸着剤の充填が困難となる虞があり、上限を上回ると吸着剤が抜け出しやすくなる虞がある。
[2−2.プール部]
プール部6は、導入流路部4,5の下流に形成された、吸着剤を充填するための流路部であり、このプール部6において、クロマトグラフィーを用いた分離が行なわれるようになっている。
また、プール部6は、その流路断面積、具体的には、流れ方向に垂直な面でプール部6を切った断面積(以下適宜、「プール部断面積」という)を、流路3内の他の流路部よりも相対的に大きく形成されている。本実施形態では、プール部6は、流路3の中で最も大きい断面積を有している。これは、従来よりも短い流路長さで従来と同等以上程度の容積を確保し、これにより、吸着剤の均一な充填を可能としつつ従来と同等以上程度の量の吸着剤を充填できるようにするためである。即ち、6mm程度の径を有するチューブや流路に吸着剤を充填した従来の微小流路においては、流路長が長くなるにつれて流路内に吸着剤を均一に充填することが困難になる傾向があり、また、流路長を短くすると流路に充填できる吸着剤の量が不足して分離精製時に目的物質の損失が生じる虞があったが、本実施形態の構成により、上記の課題を解決し、目的物質の損失を抑制しながら、所定量以下の微小な試料についても、クロマトグラフィーにより高純度且つ高回収率で分離精製を行なうことができるようになるのである。
プール部6の具体的な寸法は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意に設定することができるが、例えば、その幅は、通常0.1mm以上、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上とすることが望ましい。これにより、プール部6の流路断面積を相対的に大きくし、分離精製時に目的物質の損失を抑制することが可能となる。また、上限は特に制限は無いが、通常30mm以下とすることが望ましい。この上限を上回ると基板にたわみを生ずる可能性がある。
さらに、プール部6の深さは、通常100μm以上、好ましくは200μm以上とすることが望ましい。これによっても、プール部6の流路断面積を相対的に大きくし、分離精製時に目的物質の損失を抑制することが可能となる。また、上限は特に制限は無いが、通常500μm以下、好ましくは300μm以下とすることが望ましい。
さらに、プール部6の長さ(流れ方向の距離)は、通常60mm以下とすることが望ましい。これにより、プール部6内に吸着剤を均一に平面上に充填することが可能となる。また、下限は特に制限は無いが、通常2mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上が望ましい。この下限を上回ると吸着量が少なくなりすぎる虞がある。
さらに、プール部6は、その流れ方向の距離(本実施形態では、プール部6の長さ)に対する、その流れ方向に垂直な面で当該プール部6を切った断面形状のうち長い方の辺の距離(本実施形態では、プール部6の幅)の比が、通常1以上、好ましくは2以上であることが望ましい。この範囲の下限を下回ると壁側でも流速が遅くなる虞がある。なお、上限は特に限定されない。
また、プール部6の流路形状は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、プール部6の上流側部分においては、プール部6と導入流路部4,5との接続地点から下流へ向けて、プール部6の流路形状が滑らかに形成されることが望ましい。例えば、プール部6と導入流路部4,5との接続地点から下流に行くにしたがってプール部6が滑らかに幅広になるように形成すれば、プール部6に流入した試料液や溶出液などの液体、及び、吸着剤などの粒子がプール部6の各部位に均一に流れ込むことができるようになり、分離精製の効率向上や、吸着剤の充填を均一にすることができるようになるなどの利点を得ることができるようになる。
一方、プール部6の下流側部分においても、プール部6と送出流路部7,8との接続地点へ向けて、プール部6の流路形状が滑らかに形成されることが望ましい。例えば、プール部6と送出流路部7,8との接続地点へ滑らかに傾斜するような流路形状にプール部6を形成すれば、プール部6の試料液や溶出液などの液体を効率よくプール部6から送出することができるようになる。また、流路3に液体を流通させた場合に、プール部6内に存在する気体が気泡としてプール部6に残留することを防止することも可能となる。
また、本実施形態のクロマト用チップ1においては、プール部6内の送出流路部7,8よりも上流側に、吸着剤がプール部6から流出することを防止する流出防止部9を設けるようにする。プール部6の下流には流路3から試料液や溶出液などの液体を外部に送出するための送出流路部7,8が形成されているため、なんら対処を講じていなければ、吸着剤はプール部6の外部、具体的には、送出流路部7,8及び流路3の外部に流出する虞がある。流出防止部9は、これを防止するべく設けられるものである。
流出防止部9の具体的な構成に制限は無く、吸着剤がプール部6から流出することを防止できれば任意の構成とすることができるが、通常は、基板2との間で吸着剤の粒径よりも小さい隙間(図3の隙間11を参照)を形成するようプール部6の内面が凸に形成されたダム部9として構成することが望ましい。上記の隙間の具体的な大きさは吸着剤の寸法に応じて設定すればよいが、通常5μm以下、好ましくは3μm以下である。なお、本実施形態においては流出防止部9とダム部9とは同様のものを示すため、特に断らない限り、両者は同様の符号で示すものとする。
本実施形態においても、図1及び図2に示すように、プール部6の下流端部には流出防止部としてダム部9が形成されている。このように流出防止部をプール部6の下流端部に設けることで、プール部6内により多くの吸着剤を充填できるようになっている。
また、本実施形態のダム部9は、プール部6の横方向一方の内側面6bから他方の内側面6cにかけて延在する直方体形状の壁部として形成されたものである。
さらに、ダム部9は、図3に示すように、プール部6の底面6aが凸に形成されたものである。また、ダム部9は、その高さがプール部6の深さよりも特定長さだけ小さくなるように形成されている。この特定長さが上記の隙間の大きさとなり、プール部6に吸着剤10を充填した際に、その充填された吸着剤10の粒径よりも小さい長さとなるようになっている。これにより、ダム部9の上端部9aと基板2の内面(具体的には、プール部6の天井面)6dとの間で吸着剤10の粒径よりも小さい隙間11を形成するようになっている。したがって、プール部6内に充填された吸着材10は、その粒子が隙間11を通り抜けることができなくなるため、プール部6から流出しないようになっている。
なお、図3では、説明のため、プール部6に吸着剤10を充填した様子を示してある。
[2−3.送出流路部]
送出流路部7,8は、プール部6の下流に設けられた流路部であり、プール部6から上記の試料液、溶出液、洗浄液、再生液などの液体を流路3の外部に送出するためのものである。
送出流路部7,8は少なくとも1本形成するようにすればよいが、2本以上形成するようにすると、流路3内の圧力損失を低下させることが可能となり、クロマト用チップ1の破損や、送出流路部7,8よりも上流においてチューブやコネクタ(図示省略)から液体が漏れることなどを防止することができるため、好ましい。
本実施形態においては、送出流路部7,8はプール部6の下流に2本形成されているものとする。また、この送出流路部7,8の下流端部には、それぞれ送出流路部7,8と基板2の外部とを連通する孔として、上板2bに送出口7a,8aが形成されて、この送出口7a,8aを介して流路3から外部へと液体が送出されるようになっているものとする。
[II.分離方法]
上記のクロマト用チップ1を用いれば、クロマトグラフィーにより、試料液中の目的物質を分離し、精製することができる。この場合、流路3に試料液を流通させて吸着剤に目的物質を吸着させ(吸着工程)、流路3に目的物質を溶出させる溶出液を流通させて吸着剤に吸着している目的物質を溶出させ、その溶出液の分画をとるようにすればよい。
以下、上記のクロマト用チップ1を用いた分離方法の一実施形態として、α−メチルグルコシドのトシル体とジトシル体とを含む試料液から目的物質としてα−メチルグルコシドのトシル体を分離・精製する場合を例に挙げて、分離方法について説明する。
[1.吸着剤]
分離を行なう場合、クロマト用チップ1には、吸着剤(固定相)を充填しておく。
吸着剤の種類に制限はなく、目的物質の種類や試料液の組成などに応じて任意に設定することができるが、通常は、例えばポリマーやシリカ等からなる修飾剤基体に対し、官能基により修飾を行なったものを用いる。この修飾は、吸着剤をプール部6に充填する前にあらかじめ行なっておいてもよいが、プール部6に吸着剤を充填した後、流路3に修飾用の液を流通させ、充填後に修飾を行なうようにしてもよい。
吸着剤基体や修飾に用いる官能基の種類に制限はなく任意であるが、例えば、本実施形態のようなα−メチルグルコシドのトシル体をジトシル体と分離・精製する場合には、吸着剤としてオルガノ社製合成吸着剤「XAD8」等を用いることができる。なお、本実施形態においても、吸着剤としてオルガノ社製合成吸着剤「XAD8」を用いているものとする。
さらに、吸着剤の粒径にも制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない範囲において任意に設定することができるが、平均粒径が、通常3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは50μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは90μm以下、より好ましくは80μm以下である。この範囲の下限を下回ると吸着剤が送出口より流出する虞があり、上限を上回ると吸着剤の充填が困難となる虞がある。なお、吸着剤の粒径は、上記のように、ダム部9と基板2との間で形成される隙間11より大きくなるようになっている。
また、吸着剤の充填方法も上記のように任意である。本実施形態においては、プール部6の下流端部でダム部9と基板2の上面6dとの間に形成された隙間11を通過できない程度の粒径の吸着剤を、導入流路部4,5からプール部6内に導入して、吸着剤の充填を行なったものとする。
[2.試料液]
本実施形態のクロマト用チップ1を用いて分離・精製を行なう試料液に制限はなく、任意の液体を用いることができる。したがって、適切な吸着剤や溶出液などを選択して用いることにより、多様な試料液に対して分離・精製を行なうことが可能となり、その試料液に目的物質が含まれていた場合には、当該目的物質を高い純度及び回収率で得ることができるのである。
本実施形態では、50%メタノール水溶液中に、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体と、不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体とが共存した試料液を用いるものとして説明を行なう。なお、本明細書においては、単に「%」と言う場合、「重量%」のことを示すものとする。
[3.溶出液]
溶出液は、目的物質や吸着剤などの種類に応じて任意のものを用いることができる。通常、吸着剤に吸着した目的物質を脱着させるものを用いる。
本実施形態では、メタノール水溶液を溶出液として用い、そのメタノール濃度に応じて溶出する目的物質(即ち、α−メチルグルコシドのトシル体)を得るようになっているものとする。上記の吸着剤を用いた場合、α−メチルグルコシドは、そのトシル体は比較的メタノール濃度が低いメタノール水溶液により吸着剤から溶出され、一方、そのジトシル体は比較的メタノール濃度が高いメタノール水溶液により吸着剤から溶出される傾向がある。これを利用し、メタノール濃度を変化させて溶出液としてメタノール水溶液をクロマト用チップ1の流路3に流通させることにより、α−メチルグルコシドのトシル体とジトシル体とを分離することができるのである。
[4.分離装置]
上記のクロマト用チップ1を用いて分離・精製を行なう場合に用いる分離装置に制限はなく、目的物質の分離が可能である限り任意の構成の装置を用いることができる。ここでは、図4に示す分離装置を用いたものとして説明を行なう。なお、図4は本実施形態の分離装置の要部構成を模式的に示す概要図である。
この分離装置は、クロマト用チップ1と、試料液供給部30と、溶出液供給部40と、分画回収部50と、再分離用還流部60と、制御部70とを備えている。
[4−1.クロマト用チップ]
本実施形態の分離装置は、クロマト用チップ1を備える。この際、クロマト用チップ1は着脱可能に構成することが好ましい。本実施形態においては、クロマト用チップ1は、チップホルダ20に保持されているものとする。
図5は、チップホルダ20について模式的に示す分解斜視図である。この図5に示すように、チップホルダ20は、上記クロマト用チップ1を保持するためのものであり、下部ホルダ21と上部ホルダ22とから構成されていてクロマト用チップ1を下部ホルダ21と上部ホルダ22との間に介装することで、チップホルダ20にクロマト用チップ1を保持できるようになっている。なお、図4においては、チップホルダ20に装着したクロマト用チップ1を1点鎖線で示してある。
さらに、下部ホルダ21及び上部ホルダ22にはそれぞれ制御部70の制御にしたがって温度の調整が可能な温度制御素子(図示省略)が形成されていて、この温度制御素子の温度を制御することで、クロマト用チップ1の流路3内の温度を調整することができるようになっている。
また、上部ホルダ22には、試料液供給部30からの試料液及び溶出液供給部40からの溶出液をそれぞれクロマト用チップ1の導入口4a,5aに案内するための案内流路(図示省略)が形成されている。さらに、上部ホルダ22には、クロマト用チップ1の送出口7a,8aから流出する液体を分画回収部50に案内するための案内流路(図示省略)も形成されている。これらの案内流路はチューブやコネクタ等の配管を介してそれぞれ試料液供給部30、溶出液供給部40及び分画回収部50に接続され、これにより、試料液供給部30及び溶出液供給部40から導入流路部4,5への試料液や溶出液等の液体の供給、並びに、送出流路部7,8から分画回収部50への流路3流通後の上記液体の送出を行なうことができるようになっている。
[4−2.試料液供給部]
試料液供給部30は、クロマト用チップ1に向けて試料液を供給する部分である。本実施形態では、試料液供給部30は、貯水サンプルビン31、貯水サンプルビン31用の送液ポンプ32、サンプルビン33、サンプルビン33用の送液ポンプ34、制御弁35、並びに、これらを接続するコネクタやチューブ等で構成された配管を備えて構成されているものとする。
貯水サンプルビン31には水が貯蔵されていて、この貯水サンプルビン31内の水は、サンプルビン33から送出される試料液と混合されて、試料液のメタノール濃度を50%とするためのものである。
また、送液ポンプ32は、貯水サンプルビン31に貯蔵されている水をクロマト用チップ1に向けて送出するためのものであり、貯水サンプルビン31の下流に接続されている。この送液ポンプ32は、制御部70により稼動を制御されるようになっていて、制御部70の制御にしたがって貯水サンプルビン31から送出される水の送出量を調整できるようになっている。なお、図4において、制御部70からの制御を破線の矢印で示す。
サンプルビン33には分離する対象となる試料液が貯蔵されている。上記のとおり、本実施形態においてはクロマト用チップ1に対して試料液のメタノール濃度を50%とすることになるが、貯水サンプルビン31内の水を用いて濃度調整を行なうことができるため、サンプルビン33内にある時点では試料液は必ずしもメタノール濃度が50%でなくてもよい。ただし、本実施形態の場合には、分離装置の構成上、サンプルビン33に貯蔵する試料液のメタノール濃度は50%以上とすることになる。
また、送液ポンプ34は、サンプルビン33に貯蔵されている試料液をクロマト用チップ1に向けて送出するためのものであり、サンプルビン33下流に接続されている。この送液ポンプ34も、制御部70により稼動を制御されるようになっていて、制御部70の制御にしたがってサンプルビン33から送出される試料液の送出量を調整できるようになっている。
さらに、制御弁35は、送液ポンプ32,34の下流に接続されている。本実施形態の分離装置では、図4に示すように、送液ポンプ32及び送液ポンプ34の下流で配管は合流するようになっていて、この合流部で試料液と水とが混合することにより、試料液供給部30は、試料液のメタノール濃度をクロマト用チップ1に供給するのに適した50%に調整し、その試料液をクロマト用チップ1に供給できるようになっている。ここで、制御弁35は、制御部70によって制御され、メタノール濃度が50%に調整された上記の試料液の流量を制御するようになっている。具体的には、制御部70の制御にしたがってその開度を調整することなどにより、試料液を流すか否か、また、試料液をどれだけの速さで流すのかを制御できるようになっている。
そして、制御弁35は配管を介してクロマト用チップ1の導入口4aに接続され、試料液をクロマト用チップ1内の流路3に導入できるようになっている。
[4−3.溶出液供給部]
溶出液供給部40は、クロマト用チップ1に向けて溶出液を供給する部分である。本実施形態では、溶出液供給部40は、貯水サンプルビン41、貯水サンプルビン41用の送液ポンプ42、メタノールサンプルビン43、メタノールサンプルビン43用の送液ポンプ44、制御弁45、並びに、これらを接続するコネクタやチューブ等で構成された配管を備えて構成されているものとする。
貯水サンプルビン41には水が貯蔵されていて、この貯水サンプルビン41内の水は、メタノールサンプルビン43から送出されるメタノールと混合して、所望の濃度のメタノール水溶液を溶出液として調整するためのものである。
また、送液ポンプ42は、貯水サンプルビン41に貯蔵されている水をクロマト用チップ1に向けて送出するためのものであり、貯水サンプルビン41の下流に接続されている。この送液ポンプ42も、制御部70により稼動を制御されるようになっていて、制御部70の制御にしたがって貯水サンプルビン41から送出される水の送出量を調整できるようになっている。
さらに、メタノールサンプルビン43にはメタノールが貯蔵されている。本実施形態においては、溶出液として、メタノール濃度が50%、60%、70%、80%、90%のメタノール溶液及び濃度100%のメタノールを溶出液として用いることになる。したがって、溶出液供給部40は、メタノールサンプルビン43から送出されるメタノールを貯水サンプルビン41から送出される水と混合することにより所望のメタノール濃度の溶出液を調製し、クロマト用チップ1に向けてその溶出液を供給できるようになっているのである。
また、送液ポンプ44は、メタノールサンプルビン43に貯蔵されているメタノールをクロマト用チップ1に向けて送出するためのものであり、メタノールサンプルビン43の下流に接続されている。この送液ポンプ44も、制御部70により稼動を制御されるようになっていて、制御部70の制御にしたがってメタノールサンプルビン43から送出されるメタノールの送出量を調整できるようになっている。
さらに、制御弁45は、送液ポンプ42,44の下流に接続されている。本実施形態の分離装置では、溶出液供給部40でも試料液供給部30と同様に、送液ポンプ42及び送液ポンプ44の下流で配管は合流するようになっていて、この合流部でメタノールと水とが混合することにより、溶出液供給部40は、溶出液のメタノール濃度をクロマト用チップ1に供給するのに適した所望の濃度に調整し、その溶出液をクロマト用チップ1に供給できるようになっている。ここで、制御弁45は、制御部70によって制御され、メタノール濃度が所望の濃度に調整された上記の溶出液の流量を制御するようになっている。具体的には、制御部70の制御にしたがってその開度を調整することなどにより、溶出液を流すか否か、また、溶出液をどれだけの速さで流すのかを制御できるようになっている。
そして、制御弁45は配管を介してクロマト用チップ1の導入口5aに接続され、溶出液をクロマト用チップ1内の流路3に導入できるようになっている。
[4−4.分画回収部]
分画回収部50は、クロマト用チップ1内の流路3から流出する試料液や溶出液などを回収するものである。本実施形態では、分画回収部50は、第1回収サンプルビン51、第2回収サンプルビン52、第3回収サンプルビン53、切替弁54、送液ポンプ55、並びに、これらを接続するコネクタやチューブ等で構成された配管を備えて構成されているものとする。
第1回収サンプルビン51、第2回収サンプルビン52及び第3回収サンプルビン53は、それぞれ、クロマト用チップ1から送出された液体を回収するためのタンクである。本実施形態では、メタノール濃度50%〜70%の溶出液を第1回収サンプルビン51に回収し、メタノール濃度80%又は90%の溶出液を第2回収サンプルビン52に回収し、メタノール濃度100%の溶出液及び試料液を第3回収サンプルビン53に回収するようになっている。
本実施形態の分離装置では、吸着剤に吸着した目的物質を溶出液によって溶出させる場合、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体は、クロマト用チップ1の流路3を流通した溶出液の分画のうち、メタノール濃度が50%〜90%の溶出液に含有されることになる。一方、不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体は、メタノール濃度が80%〜100%の溶出液に含有されることになる。したがって、メタノール濃度50%〜70%の溶出液には目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体が含有され、メタノール濃度80%又は90%の溶出液にはα−メチルグルコシドのトシル体とジトシル体とがともに含有され、メタノール濃度100%の溶出液にはα−メチルグルコシドのジトシル体が含有されることなる。このため、メタノール濃度50%〜70%の溶出液を回収することにより、α−メチルグルコシドのトシル体を高純度で回収することができるようになる。また、後述するように、再分離用還流部60により、α−メチルグルコシドのトシル体とジトシル体とをともに含有するメタノール濃度80%又は90%の溶出液を再度分離精製するようにすることによって、目的物質の損失量を抑制することが可能となる。なお、第3回収サンプルビン53に回収されたメタノール濃度100%の溶出液は、クロマト用チップ1流通後の試料液とともに廃液として処理されるようになっている。
また、切替弁54は、配管によって、クロマト用チップ1の送出口7a,8a、第1回収サンプルビン51、第2回収サンプルビン52及び第3回収サンプルビン53にそれぞれ接続されていて、クロマト用チップ1の送出口7a,8aから送出された液体を、第1回収サンプルビン51、第2回収サンプルビン52及び第3回収サンプルビン53のうちのいずれかに送出することができるよう、配管同士の接続を切り替えることができるようになっている。
さらに、切替弁54の切り替えは制御部70の制御によって行なうことができるようになっている。
送液ポンプ55は、第2回収サンプルビン52に貯蔵されている溶出液を再分離用還流部60へ向けて送出するためのものであり、第2回収サンプルビン52の下流に接続されている。この送液ポンプ55も、制御部70により稼動を制御されるようになっていて、制御部70の制御にしたがって第2回収サンプルビン52から送出される溶出液の送出量を調整できるようになっている。なお、送液ポンプ55によって送出された溶出液は、再分離用還流部60へと送られるようになっている。
[4−5.再分離用還流部]
再分離用還流部60は、分画回収部50が回収した溶出液のうち、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体と不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体とを共に含有する分画(即ち、第2回収サンプルビン52で回収した溶出液)を、試料液として、再度、クロマト用チップ1を用いて分離精製するためのものである。本実施形態においては、再分離用還流部60は、貯蔵サンプルビン61、送液ポンプ62、制御弁63並びに、これらを接続するコネクタやチューブ等で構成された配管を備えている。
貯蔵サンプルビン61は、送液ポンプ55を介して第2回収サンプルビン52から送られてきたメタノール濃度80%又は90%の溶出液を貯蔵するためのものである。また、貯蔵サンプルビン61内には、貯蔵サンプルビン61内の溶出液のメタノール濃度を検出するためのセンサ(例えば、H2Oセンサ)64が設置されていて、このセンサ64での検出結果は、制御部70に送られるようになっている。
また、送液ポンプ62は、貯蔵サンプルビン61に貯蔵されている溶出液を試料液供給部30に向けて送出するためのものであり、貯蔵サンプルビン61の下流に接続されている。この送液ポンプ62も、制御部70により稼動を制御されるようになっていて、制御部70の制御にしたがって貯蔵サンプルビン61から送出される溶出液の送出量を調整できるようになっている。
さらに、制御弁63は、送液ポンプ62の下流に接続されている。また、制御弁63は制御部70によって制御され、制御部70の制御にしたがって、その開度を調整することなどにより、溶出液を流すか否か、また、溶出液をどれだけの速さで流すのかを制御できるようになっている。
[4−6.制御部]
制御部70は、上述したように、チップホルダ20に設けられた温度制御素子(図示省略)、送液ポンプ32,34,42,44,55,62、制御弁35,45,63及び切替弁54をそれぞれ制御するようになっている。したがって、制御部70は、チップホルダ20に設けられた温度制御素子を制御して流路3内の温度を調整する温度制御手段、試料液供給部30からクロマト用チップ1の流路3に供給される試料液の流量や組成を制御する試料液制御手段、溶出液供給部40からクロマト用チップ1の流路3に供給される溶出液の流量や組成を制御する溶出液制御手段、分画回収部50がクロマト用チップ1から送出された液体を回収する際の操作を制御する分画回収制御手段、溶出液のうちの少なくとも一部を再度分離精製する操作を制御する再分離制御手段などとして機能するものである。
また、本実施形態において、制御部70は、ハードウェア的にはCPU(Central Processing Unit)や、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ、更にはAD変換部等のインターフェース部などから構成されていて、これらが上記の各手段としての機能を発揮するようになっている。
[5.分離精製要領]
以下、上記のような分離装置を用いて試料液の分離を行なう場合の要領について説明する。なお、最初の状態では、送液ポンプ32,34,42,44,55,62は停止しており、また、制御弁35,45,63は閉状態となっているものとする。また、切替弁54は、クロマト用チップ1の送出口7a,8aと第3回収サンプルビン53とが連通するように切り替わっているものとする。さらに、貯水サンプルビン31,41及びメタノールサンプルビン43には、それぞれ十分な量の水及びメタノールが貯蔵されているものとする。
[5−1.準備]
本実施形態の分離装置を用いて試料液中の目的物質を分離生成する場合、プール部6に吸着剤を充填したクロマト用チップ1をチップホルダ20に設置し、また、サンプルビン33に試料液を入れる。その後、制御部70に分離精製開始の指示を与えると、制御部70の制御にしたがって、本分離装置は自動的に以下のようにして分離精製操作を行なう。
即ち、分離精製開始の指示を受けると、制御部70は、チップホルダ20の温度制御素子を制御して、流路3内の温度を目的物質の分離精製に適した温度に調整する。本実施形態では、0℃に調整したものとして説明を行なう。
[5−2.吸着工程]
次に、制御部70は試料液供給部30を制御して、クロマト用チップ1の流路3に試料液を流通させる吸着工程を行なわせる。
詳しくは、制御部70は、送液ポンプ34を稼動させてサンプルビン33から試料液を送出すると共に、送液ポンプ32を稼動させて貯水サンプルビン31から水を送出する。この際、制御部70は、試料液と水とが混合することによってクロマト用チップ1に供給される試料液のメタノール濃度が50%となるよう、送液ポンプ32,34を制御して、試料液及び水の送出速度を調整する。
そして、制御部70は、適切な流速でクロマト用チップ1に試料液を供給できる開度だけ制御弁35を開き、クロマト用チップ1の流路3への試料液の供給を行なう。この際、流通させる試料液の量は任意であるが、本実施形態では、試料液はプール部6に充填された吸着剤の体積量だけ流通させるようになっているものとする。これにより、試料液の損失を防止できるという利点を得ることができる。
試料液供給部30から送出された試料液は、クロマト用チップ1の導入口4a、導入流路部4を介してプール部6に進入する。プール部6内では、試料液中のα−メチルグルコシドのトシル体とジトシル体とが吸着剤に吸着し、その他の成分(主に、移動相である水とメタノール)は送出流路部7,8及び送出口7a,8aを介して分画回収部50に送出される。
分画回収部50では、切替弁54が送出口7a,8aと第3回収サンプルビン53とを連通させるように切り替わっているため、送出口7a,8aから送出された試料液は第3回収サンプルビン53に貯められる。
こうして、吸着工程により、プール部6内の吸着剤に目的物質が吸着する。
なお、吸着工程が完了したら、制御部70は制御弁35を制御して閉状態にさせるとともに、送液ポンプ32,34を停止する。
[5−3.溶出工程]
吸着工程の後、制御部70は、クロマト用チップ1の流路3に溶出液を流通させる溶出工程を行なうよう制御をする。また、本実施形態では、溶出工程として、溶出液のメタノール濃度に応じて、50%分画溶出工程、60%分画溶出工程、70%分画溶出工程、80%分画溶出工程、90%分画溶出工程及び100%分画溶出工程を行なう。以下、それぞれの溶出工程について説明する。
[5−3−1.50%分画溶出工程]
50%分画溶出工程では、制御部70は、送液ポンプ42を稼動させて貯水タンク32から水を送出すると共に、送液ポンプ44を稼動させてメタノールサンプルビン42からメタノールを送出する。この際、制御部70は、試料液と水とが混合することによってクロマト用チップ1に供給される試料液のメタノール濃度が50%となるよう、送液ポンプ42,44を制御して、水及びメタノールの送出速度を調整する。
そして、制御部70は、切替部54を制御して送出口7a,8aと第1回収サンプルビン51とを連通させるように切替部54を切り替えると共に、適切な流速でクロマト用チップ1に溶出液を供給できる開度だけ制御弁45を開き、クロマト用チップ1の流路3への溶出液の供給を行なう。この際、流通させる溶出液の量は任意であるが、本実施形態では、試料液はプール部6に充填された吸着剤の体積量だけ流通させるようになっているものとする。これにより、溶出液の損失を防止できるという利点を得ることができる。
溶出液供給部40から送出されたメタノール濃度50%の溶出液は、クロマト用チップ1の導入口5a、導入流路部5を介してプール部6に進入する。プール部6内では、吸着剤に吸着したα−メチルグルコシドのトシル体(目的物質)が吸着剤から脱着し、溶出液とともに送出流路部7,8及び送出口7a,8aを介して分画回収部50に送出される。
分画回収部50では、切替弁54が送出口7a,8aと第1回収サンプルビン51とを連通させるように切り替わっているため、送出口7a,8aから送出された試料液は第1回収サンプルビン51に貯められる。
メタノール濃度50%の溶出液を流通させた場合には、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体は吸着剤から脱着するが、不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体は吸着剤から脱着しないため、第1回収サンプルビン51に貯められた溶出液は、目的物質を含むが不純物は含まない。
したがって、50%分画溶出工程により、プール部6内の吸着剤に吸着していた目的物質を第1回収サンプルビン51に回収することができる。
[5−3−2.60%分画溶出工程]
60%分画溶出工程では、制御部70は、溶出液のメタノール濃度を60%とする点、及び、切替弁54が50%分画溶出工程で既に送出口7a,8aと第1回収サンプルビン51とを連通させるように切り替わっているため切替弁54を切り替える必要がない点の他は、50%分画溶出工程と同様の制御を行ない、メタノール濃度60%の溶出液を第1回収サンプルビン51に回収する。
メタノール濃度60%の溶出液を流通させた場合にも、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体は吸着剤から脱着するが、不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体は吸着剤から脱着しないため、第1回収サンプルビン51に貯められた溶出液は、目的物質を含むが不純物は含まない。
したがって、60%分画溶出工程により、プール部6内の吸着剤に吸着していた目的物質を第1回収サンプルビン51に回収することができる。
[5−3−3.70%分画溶出工程]
70%分画溶出工程では、制御部70は、溶出液のメタノール濃度を70%とする点、及び、切替弁54が50%分画溶出工程で既に送出口7a,8aと第1回収サンプルビン51とを連通させるように切り替わっているため切替弁54を切り替える必要がない点の他は、50%分画溶出工程と同様の制御を行ない、メタノール濃度70%の溶出液を第1回収サンプルビン51に回収する。
メタノール濃度70%の溶出液を流通させた場合にも、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体は吸着剤から脱着するが、不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体は吸着剤から脱着しないため、第1回収サンプルビン51に貯められた溶出液は、目的物質を含むが不純物は含まない。
したがって、70%分画溶出工程により、プール部6内の吸着剤に吸着していた目的物質を第1回収サンプルビン51に回収することができる。
[5−3−4.80%分画溶出工程]
80%分画溶出工程では、制御部70は、溶出液のメタノール濃度を80%とする点、及び、切替弁54を送出口7a,8aと第2回収サンプルビン52とを連通させるように切り替える点の他は、50%分画溶出工程と同様の制御を行ない、プール部6内の吸着剤に吸着していた目的物質を第2回収サンプルビン52に回収する。
メタノール濃度80%の溶出液を流通させた場合には、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体も、不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体も、ともに吸着剤から脱着するため、第2回収サンプルビン52に貯められた溶出液は、目的物質も不純物も共に含むこととなる。
[5−3−5.90%分画溶出工程]
90%分画溶出工程では、制御部70は、溶出液のメタノール濃度を90%とする点、及び、切替弁54が80%分画溶出工程で既に送出口7a,8aと第2回収サンプルビン52とを連通させるように切り替わっているため切替弁54を切り替える必要がない点の他は、50%分画溶出工程と同様の制御を行ない、プール部6内の吸着剤に吸着していた目的物質を第2回収サンプルビン52に回収する。
メタノール濃度90%の溶出液を流通させた場合にも、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体も、不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体も、ともに吸着剤から脱着するため、第2回収サンプルビン52に貯められた溶出液は、目的物質も不純物も共に含むこととなる。
[5−3−6.100%分画溶出工程]
100%分画溶出工程では、制御部70は、溶出液のメタノール濃度を100%とする点(即ち、送液ポンプ42を停止して水を供給しないようにする点)、及び、切替弁54を送出口7a,8aと第3回収サンプルビン53とを連通させるように切り替える点の他は、50%分画溶出工程と同様の制御を行ない、プール部6内の吸着剤に吸着していた目的物質を第3回収サンプルビン53に回収する。
メタノール濃度100%の溶出液を流通させた場合には、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体は前出までの操作により全量脱着してしまい、不純物であるα−メチルグルコシドのジトシル体のみが吸着剤から脱着するため、第3回収サンプルビン53に貯められた溶出液は、不純物を含むが目的物質は含まない。
したがって、第3回収サンプルビン53に貯められた溶出液は、廃液として廃棄されることになる。
なお、溶出工程が完了したら、制御部70は送液ポンプ42,44を停止し、制御弁45を閉状態にする。
[5−4.その他の工程]
上記のようにして、第1回収サンプルビン51に目的物質を含むが不純物を含まない溶出液を得ることができ、これにより、目的物質と不純物とを分離して目的物質の分離精製を行なうことができる。また、本実施形態によれば、目的物質を高純度で、かつ、高回収率で分離精製することができる。
また、本実施形態では、上記の工程に加え、適宜、その他の工程を行うようにしてもよい。
例えば、再分離工程を行なうようにしてもよい。再分離工程では、目的物質と不純物とを共に含む第2回収サンプルビン52内の溶出液に対して、再度上記の吸着工程及び溶出工程を行なうことで、目的物質の損失量をより抑制しながら目的物質の分離精製を行なうものである。
本実施形態では、再分離工程を行なう場合、制御部70が送液ポンプ55を制御して第2回収サンプルビン52内の溶出液を再分離用還流部60の貯蔵サンプルビン61に送る。貯蔵サンプルビン61に送られた溶出液は、一度、貯蔵サンプルビン61内に貯蔵される。
貯蔵サンプルビン61では、センサ64が貯蔵サンプルビン61に貯められた溶出液中のメタノール濃度を検出しており、その濃度は、制御部70に送られる。
第2回収サンプルビン52内の溶出液を貯蔵サンプルビン61内に送り終わると、制御部70は、送液ポンプ62を稼動させると共に制御弁63を開き、貯蔵サンプルビン61内の溶出液をサンプルビン33に送る。サンプルビン33に送られた溶出液は、上記のように目的物質を含むメタノール水溶液であるため、試料液として用いることができる。したがって、貯蔵サンプルビン61から送られた溶出液を試料液に用いて、再度、上述した吸着工程及び溶出工程を行なうことにより、目的物質の損失量をより抑制しながら目的物質の分離精製を行なうことができる。ただし、最初に用いた試料液とは異なり、貯蔵サンプルビン61から送られた溶出液を試料液に用いた場合にはその試料液のメタノール濃度をあらかじめ設定したり測定したりしておくことは難しい。そこで、制御部70は、センサ64が検出したメタノール濃度を用い、送液ポンプ32,34の制御を行なって、吸着工程においてクロマト用チップ1に供給する試料液のメタノール濃度を50%にするようにする。
また、例えば、吸着工程の前、溶出工程の後などに、適宜、クロマト用チップ1に再生液を流通させて吸着剤を再生する再生工程や、クロマト用チップ1に洗浄液を流通させて吸着剤及びクロマト用チップ1内の流路3を洗浄する洗浄工程を行うようにしてもよい。
[6.その他]
上記の実施形態において、オートインジェクタなどの試料液供給装置を用いてサンプルビン33や貯蔵サンプルビン61への試料液の供給を自動的に行なうようにしてもよい。また、この試料液供給装置の制御は、制御部70が行なうようにしてもよい。
さらに、上記のような分離装置においては、制御部70が、上記の吸着工程、溶出工程、再分離工程、再生工程、洗浄工程などを周期的に行なうように構成することが好ましい。各工程を周期的に行なうようにすることにより、連続的に分離精製ができるという利点を得ることができる。
[III.反応]
ところで、上記の本実施形態のクロマト用チップ1による分離精製の適用対象に制限はなく、公知の目的物質の分離精製に任意に用いることができる。
中でも、目的物質の損失を抑制しながら、所定量以下の試料についてクロマトグラフィーにより分離を行なうことができるという本発明の利点の一つを活用する観点からは、上記クロマト用チップ1は、例えば、試験管やビーカーなどを用いた大規模な合成が困難な反応を行ない、その生成物から目的生成物以外の副生成物を除去したい場合に用いて好適である。
例えば、上記の実施形態で例に挙げたα−メチルグルコシドのトシル体とジトシル体とを分離する場合は、上記の好適な場合に当たる。このようにα−メチルグルコシドのトシル体とジトシル体とを分離する具体的な反応としては、制癌剤であるラニムスチンの合成反応がある。
以下、本実施形態のクロマト用チップ1を用いて好適な反応の一例として、ラニムスチン合成反応について説明する。
このラニムスチン合成反応は、以下の反応式のようにして行なわれる。
Figure 2007064674
即ち、上記の制癌剤ラニムスチンの合成反応では、α−メチルグルコシド{以下適宜、「化合物(0)」という}をp−トルエンスルホニルクロリド(以下適宜、「TsCl」という)と反応させることによりトシル化してα−メチルグルコシドのトシル体{以下適宜、「化合物(1)」という。また、「Ts」はトシル基を表わす}を合成し、この化合物(1)をアンモニアと反応させることでアミノ化してα−メチルグルコシドの1位アミノ体{以下適宜、「化合物(2)」という}を生成させる。一方、o−ニトロフェノール{以下適宜、「化合物(3)」という}に2−エチルクロロイソシアネートを反応させてo−ニトロフェノールのカルバメート体{以下適宜、「化合物(4)」という}を合成し、この化合物(4)に亜硝酸ナトリウムを反応させることでニトロソ化してo−ニトロフェノールのニトロソカルバメート体{以下適宜、「化合物(5)」という}を生成させる。最後に、化合物(2)と化合物(5)とを反応させ、目的化合物(6)、即ち、制癌剤ラニムスチンを合成する。
以下、反応工程毎に説明する。
[1.化合物(0)からの化合物(1)の合成]
化合物(0)から化合物(1)を合成する反応工程においては、通常、原料として、化合物(0)の溶液とTsClの溶液とを用いる。
化合物(0)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、ピリジン、トリエチルアミンなどを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(0)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常100g/L以上、好ましくは200g/L以上、より好ましくは300g/L以上、また、通常1000g/L以下、好ましくは700g/L以下、より好ましくは500g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(0)の溶解が不十分となる虞がある。
一方、TsClを溶解させる溶媒にも制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができる。具体例としては、化合物(0)の溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中におけるTsClの濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常100g/L以上、好ましくは200g/L以上、より好ましくは300g/L以上、また、通常2000g/L以下、好ましくは1500g/L以下、より好ましくは1000g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回るとTsClの溶解が不十分となる虞がある。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上、また、通常20℃以下、好ましくは15℃以下、より好ましくは5℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると溶液が凍結する虞があり、上限を上回るとTsClが分解する虞がある。
また、化合物(0)から化合物(1)を合成する反応において、化合物(1)の収率は、通常30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、また、通常60%以下である。
[2.化合物(1)からの化合物(2)の合成]
化合物(1)から化合物(2)を合成する反応工程においては、通常、原料として、化合物(1)の溶液と気体状のアンモニアとを用いる。
化合物(1)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、メタノールなどを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(1)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常300g/L以上、好ましくは400g/L以上、より好ましくは500g/L以上、また、通常1800g/L以下、好ましくは1500g/L以下、より好ましくは900g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(1)の溶解が不十分となる虞がある。
さらに、この反応工程においては原料としてアンモニアを供給することになるが、アンモニアに他の気体を併用し、他の気体との混合気体を原料とするようにしてもよい。
併用する気体に特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えば窒素(N2)を用いることができる。なお、併用する気体は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、他の気体を併用する場合、原料としての気体全体に占めるアンモニアの濃度も本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常30体積%以上、好ましくは40体積%以上、より好ましくは50体積%以上が望ましい。上記範囲の下限を下回るとアミノ化反応が不十分となる虞がある。また、アンモニアの濃度は濃いほうが好ましく、上限は100体積%である。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、また、通常160℃以下、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回るとアミノ化反応が不十分となる虞があり、上限を上回ると化合物(1)が分解する虞がある。
ただし、化合物(1)からの化合物(2)の合成においては、原料である化合物(1)が分解発熱物質であるので、通常は、精密な温度制御が要求される。
また、化合物(1)から化合物(2)を合成する反応工程においては、化合物(2)の収率は、通常30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、また、通常80%以下である。
[3.化合物(3)からの化合物(4)の合成]
化合物(3)から化合物(4)を合成する反応工程おいては、通常、原料として、化合物(3)の溶液と2−エチルクロロイソシアネートの溶液とを用いる。
化合物(3)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、トルエン、キシレンなどを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(3)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常50g/L以上、好ましくは100g/L以上、より好ましくは200g/L以上、また、通常600g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは300g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(3)の溶解が不十分となる虞がある。
一方、2−エチルクロロイソシアネートを溶解させる溶媒にも制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができる。具体例としては、化合物(3)の溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における2−エチルクロロイソシアネートの濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常50g/L以上、好ましくは100g/L以上、より好ましくは200g/L以上である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞がある。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上、また、通常20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると溶液が凍結する虞があり、上限を上回ると2−エチルクロロイソシアネートが分解する虞がある。
また、化合物(3)から化合物(4)を合成する反応工程においては、化合物(4)の収率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、また、通常100%以下である。
[4.化合物(4)からの化合物(5)の合成]
化合物(4)から化合物(5)を合成する反応工程においては、通常、原料として、化合物(4)の溶液と亜硝酸ナトリウムの溶液とを用いる。
化合物(4)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、濃硝酸、希硝酸などを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(4)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常20g/L以上、好ましくは40g/L以上、より好ましくは80g/L以上、また、通常200g/L以下、好ましくは150g/L以下、より好ましくは100g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の不純物(例えば、濃硝酸中の不純物)の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(4)の溶解が不十分となる虞がある。
一方、亜硝酸ナトリウムを溶解させる溶媒にも制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができる。具体例としては、化合物(4)の溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における亜硝酸ナトリウムの濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常300g/L以上、好ましくは400g/L以上、より好ましくは500g/L以上、また、通常1400g/L以下、好ましくは1000g/L以下、より好ましくは700g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の不純物(例えば、濃硝酸中の不純物)の影響を受ける虞があり、上限を上回ると亜硝酸ナトリウムの溶解が不十分となる虞がある。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常20℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると反応速度が低下する虞があり、上限を上回ると生成物の分解を招く虞がある。
また、化合物(4)から化合物(5)を合成する反応工程においては、化合物(5)の収率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、また、通常100%以下である。
[5.化合物(2)及び化合物(5)からの化合物(6)の合成]
化合物(2)及び化合物(5)から化合物(6)を合成する反応工程においては、通常、原料として、化合物(2)の溶液と化合物(5)の溶液とを用いる。
化合物(2)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(2)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常100g/L以上、好ましくは200g/L以上、より好ましくは300g/L以上、また、通常800g/L以下、好ましくは600g/L以下、より好ましくは400g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(2)の溶解が不十分となる虞がある。
一方、化合物(5)を溶解させる溶媒にも制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができる。具体例としては、メタノール、エタノール等を用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(5)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常50g/L以上、好ましくは100g/L以上、より好ましくは200g/L以上、また、通常600g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは300g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(5)の溶解が不十分となる虞がある。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上、また、通常20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると溶液が凍結する虞があり、上限を上回ると生成物である化合物(6)が分解する虞がある。
また、化合物(2)及び化合物(5)から化合物(6)を合成する反応工程においては、化合物(6)の収率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、また、通常100%以下である。
[6.適用]
上述したクロマト用チップ1を用いた分離精製方法は、上記のラニムスチン合成の任意の工程において用いることができる。
中でも、上記の化合物(0)から化合物(1)を合成する反応工程においては、化合物(1)であるα−メチルグルコシドのトシル体のほか、α−メチルグルコシドのジトシル体も生成するが、クロマト用チップ1は、化合物(0)から化合物(1)を合成する反応工程で生成した生成物から目的物質である化合物(1)を分離精製する際に用いて好適である。
また、上記の化合物(1)から化合物(2)を合成する反応工程においては、通常、生成物である化合物(2)を原料である化合物(1)から分離精製するが、この際にも、上述したクロマト用チップ1を用いて化合物(2)を分離精製するようにすれば、目的物質の損失を抑制しながら分離を行なうことができるため、好ましい。
[IV.その他]
以上、本発明について一実施形態を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
例えば、クロマト用チップ1の流路3は、上記実施形態のものに限定されず、変形して形成することもできる。具体例としては、上記実施形態のように基板2の接着面に沿った流路形状とせず、基板2の厚み方向にも流路3を設け3次元的な流路形状となるようにしてもよい。
さらに、例えば、クロマト用チップ1には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の導入流路部4,5、プール部6及び送出流路部7,8以外の流路部を設けてもよい。
また、例えば、基板2に2本以上の流路3を設けるようにしてもよい。
さらに、流出防止部はダム部9以外の構成、例えば、格子や網目部により形成してもよく、ダム部9とその他の構成とを組み合わせて形成してもよい。
また、ダム部9は1個を単独でも受けてもよく、2個以上を設けてもよい。また、ダム部9はプール部6の底面6aではなく、天井面6dが凸に形成されたものとして構成してもよい。
さらに、吸着剤は、導入流路部4,5を経由して充填する以外の方法で充填してもよく、例えば、流路3の内部で合成したり、基板2の下板2aと上板2bとを張り合わせる前に充填したりしてもよい。
また、吸着剤はクロマト用チップ1にあらかじめ充填されていてもよく、使用の直前に充填するようにしてもよい。
さらに、上記分離装置の各構成要素は任意に組み合わせて実施することができる。さらに、上記の分離装置に別の機器を更に組み合わせて実施することも可能である。
また、上記クロマト用チップ1や分離装置は、所定量以下の微量な液体中の目的物質の分離精製に用いて好適であるが、それ以上の量の液体に対して用いても構わない。
さらに、上述した吸着工程及び溶出工程は、それぞれ独立に1回だけ行うようにしてもよく、2回以上行なうようにしてもよい。
また、上記クロマト用チップ1や分離装置は、適宜、分離精製以外に分析に用いてもよい。
以下、本発明について実施例を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
上記実施形態と同様のクロマト用チップを用意し、そのプール部に、オルガノ社製合成樹脂吸着剤XAD8を350μL充填した。なお、用いたクロマト用チップにおいて、導入流路部の幅は1000μm、深さは100μmとし、プール部の深さは100μm、幅は24μm、長さは52μmとした。また、ダム部と基板との間に形成された隙間の大きさは3μmであり、用いた吸着剤の平均粒径は100μmであった。
上記のクロマト用チップを用いて、図6に示すような分離装置を構成した。なお、図6は、本実施例で用いた分離装置の要部構成を模式的に示す概要図であり、図4と実質的に同様の部分は、図4で用いた符号と同様の符号を付して示す。
この分離装置は、上記実施形態で説明したのと同様の、チップホルダ〔20〕、試料液供給部〔30〕、及び、溶出液供給部〔40〕を備えていて、これらは上記実施形態と同様に、制御部〔70′〕により制御されるようになっている。また、チップホルダ〔20〕には上記クロマト用チップ〔1〕が装着され、その下流には、回収サンプルビン〔50′〕が取り付けられている。ただし、上記実施形態とは異なり、本実施例の分離装置では、各分画を同一の回収サンプルビン〔50′〕で回収されるようになっている。
上記の分離装置を用い、以下の手順で分離精製を行なった。
まず、制御部〔70′〕によりチップホルダ〔20〕の温度制御素子を制御して、クロマト用チップ〔1〕内の流路の温度(吸着温度)を0℃に調整した。
そして、制御部〔70′〕の制御により、溶出液供給部〔30〕から、α−メチルグルコシドのトシル体(目的物質)を20mg/L、及び、α−メルグルコシドのジトシル体を11mg/L含む試料液を350μL供給して、クロマト用チップ〔1〕内の流路に上記試料液を流通させ、α−メチルグルコシドのトシル体及びジトシル体を吸着剤に吸着させた(吸着工程)。
次いで、溶出液供給部〔40〕から、溶出液として50%メタノール水溶液を350μL供給して、クロマト用チップ〔1〕内の流路に溶出液を流通させ、この溶出液を回収サンプルビン〔50′〕に回収し、メタノール濃度50%溶出分画成分を捕集した(50%分画溶出工程)。これにより、回収サンプルビン〔50′〕内には、メタノール濃度50%の溶出液で溶出された分画成分が捕集された。
次いで、溶出液のメタノール濃度を60%とした他は、50%メタノール水溶液を用いた上記溶出工程と同様にして、上記各メタノール濃度の溶出液を回収サンプルビンに回収し、メタノール濃度60%分画成分を捕集した(60%分画溶出工程)。これにより、回収サンプルビン〔50′〕内には、メタノール濃度50%及び60%の溶出液で溶出された分画成分が捕集された。
次いで、溶出液のメタノール濃度を70%とした他は、50%メタノール水溶液を用いた上記溶出工程と同様にして、上記各メタノール濃度の溶出液を回収サンプルビンに回収し、メタノール濃度70%分画成分を捕集した(70%分画溶出工程)。これにより、回収サンプルビン〔50′〕内には、メタノール濃度50%〜70%の溶出液で溶出された分画成分が捕集された。
次いで、溶出液のメタノール濃度を80%とした他は、50%メタノール水溶液を用いた上記溶出工程と同様にして、上記各メタノール濃度の溶出液を回収サンプルビンに回収し、メタノール濃度80%分画成分を捕集した(80%分画溶出工程)。これにより、回収サンプルビン〔50′〕内には、メタノール濃度50%〜80%の溶出液で溶出された分画成分が捕集された。
次いで、溶出液のメタノール濃度を90%とした他は、50%メタノール水溶液を用いた上記溶出工程と同様にして、上記各メタノール濃度の溶出液を回収サンプルビンに回収し、メタノール濃度90%分画成分を捕集した(90%分画溶出工程)。これにより、回収サンプルビン〔50′〕内には、メタノール濃度50%〜90%の溶出液で溶出された分画成分が捕集された。
さらに、溶出液のメタノール濃度を100%とした他は、50%メタノール水溶液を用いた上記溶出工程と同様にして、100%メタノール濃度の溶出液を別の回収サンプルビンに回収する操作を5回行ない、メタノール濃度100%の溶出分画成分を捕集した(100%分画溶出工程)。これにより、回収サンプルビン〔50′〕内には、メタノール濃度50%〜100%の溶出液で溶出された分画成分が捕集された。
なお、上記の一連の操作における試料液及び溶出液の供給速度はSV=1.0/hrであった。ここで、「SV」は「液供給量(L/hr)/吸着材量(L)」で表される値である。
各溶出工程で得られた溶出液について、それぞれ、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ない、各溶出液に含まれるα−メチルグルコシドのトシル体及びジトシル体の回収率と、各溶出液に含まれるα−メチルグルコシドのトシル体の純度とを測定した。結果を、図7及び表1に示す。
Figure 2007064674
図7や表1から分かるように、メタノール濃度が50%〜70%の溶出液により、目的物質であるα−メチルグルコシドのトシル体を、高い純度で分離精製することができる。
また、メタノール濃度が50%〜90%の溶出液により、α−メチルグルコシドのトシル体をすべて回収することが可能であるため、メタノール濃度が80%〜90%の溶出液を用いて再度上記の分離精製を行なうことにより、α−メチルグルコシドのトシル体の回収率をさらに高め、その損失量を抑制することができることがわかる。
本発明は、産業上の任意の分野で用いることができるが、特に、制癌剤であるラニムスチンの製造等の、製薬分野において用いて好適である。
本発明の一実施形態としてのクロマトグラフィー用チップの模式的な上面図である。 本発明の一実施形態としてのクロマトグラフィー用チップの模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態について示すもので、流出防止部近傍の模式的な拡大図である。 本発明の一実施形態にかかる分離装置の要部構成を模式的に示す概要図である。 本発明の一実施形態にかかるチップホルダについて模式的に示す分解斜視図である。 本発明の実施例で用いた分離装置の要部構成を模式的に示す概要図である。 本発明の実施例の結果として、各溶出工程で得られた各溶出液に含まれるα−メチルグルコシドのトシル体及びジトシル体の回収率と、各溶出液に含まれるα−メチルグルコシドのトシル体の純度とを表わすグラフである。
符号の説明
1 クロマトグラフィー用チップ
2 基板
2a 下板
2b 上板
3 流路
4,5 導入流路部
4a,5a 導入口
6 プール部
6a プール部の底面
6b,6c プール部の側面
6d プール部の天井面
7,8 送出流路部
7a,8a 送出口
9 ダム部(流出防止部)
10 吸着剤
11 隙間
20 チップホルダ
21 下部ホルダ
22 上部ホルダ
30 試料液供給部
31,41 貯水サンプルビン
32,34,42,44,55,62 送液ポンプ
33 サンプルビン
35,45,55,63 制御弁
40 溶出液供給部
43 メタノールサンプルビン
50 分画回収部
50′ 回収サンプルビン
51 第1回収サンプルビン
52 第2回収サンプルビン
53 第3回収サンプルビン
54 切替弁
60 再分離用還流部
61 貯蔵サンプルビン
64 センサ
70 制御部

Claims (6)

  1. 基板と、該基板に設けられた流路とを備え、該流路に試料液を流通させて上記試料液中の目的物質をクロマトグラフィーによって分離するために用いるクロマトグラフィー用チップであって、
    該流路が、
    流路断面積を相対的に大きく形成された、吸着剤を充填するためのプール部と、
    該プール部に上記試料液を導入する導入流路部と、
    該プール部から上記試料液を送出する送出流路部と、
    該プール部内の該送出流路部よりも上流側に形成され、該吸着剤が該プール部から流出することを防止する流出防止部とを備える
    ことを特徴とする、クロマトグラフィー用チップ。
  2. 該プール部内に、該吸着剤を有する
    ことを特徴とする、請求項1記載のクロマトグラフィー用チップ。
  3. 該流出防止部が、該基板との間で該吸着剤の粒径よりも小さい隙間を形成するよう該プール部内面が凸に形成されたダム部を備える
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のクロマトグラフィー用チップ。
  4. 該導入流路部が、該吸着剤の粒径よりも大きい径を有して形成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクロマトグラフィー用チップ。
  5. 該プール部は、幅が0.1mm以上30mm以下であり、深さが100μm以上500μm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のクロマトグラフィー用チップ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のクロマトグラフィー用チップの流路に試料液を流通させる吸着工程と、
    上記流路に、溶出液を流通させる溶出工程とを有する
    ことを特徴とする、クロマトグラフィー用チップを用いた分離方法。
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