JP2007063782A - 片押し自在掘削装置及び片押し自在掘削工法 - Google Patents

片押し自在掘削装置及び片押し自在掘削工法 Download PDF

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Abstract

【課題】 片押し自在掘削装置及び片押し自在掘削工法について、自在掘削の優位性たる曲線掘削を十分に発揮できるようにする。また自在掘削の掘削効率が高く且つ難所に遭遇しても効果的な打撃掘削を十分に発揮できるようにする。
【解決手段】 複数本の延長ロッドを連結したロッド部をアウタツール6の後端部に連結する。アウタツール6の内部には、アウタツール6とロッド部に対して挿抜可能なインナツール7が収容される。したがって、インナツール7が発進側まで到達せずロッド部が単管構造で軽装であることから、曲がりやすく片押し自在掘削による曲線掘削を十分に発揮できる。また、ロッド部が単管構造で軽量であることから、掘削効率が向上し、難所を突破する打撃力が十分に発揮される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、発進側からの片押しにより地盤を非開削で掘削する片押し自在掘削装置及び片押し自在掘削工法に関する。特にこの技術は水平井戸管、汚染地盤回復用の薬液注入管、上下水道管、ガス管、データ通信用のケーブル収容管などの各種の管を地盤に敷設するのに適用することができる。
発進側から掘削ツールを片押し推進させて地盤を自在掘削する技術、そしてその掘削孔に各種の管を敷設する技術としては、本出願人の提案による片押し自在掘削技術が知られている(特許文献1)。
この片押し自在掘削技術は、内管の先端にインナビットを取付けたインナツールと、外管の先端にアウタビットを取付けたアウタツールとを備えており、アウタツールにインナツールを内挿した二重管構造の掘削ツールにより実現される。
アウタツールは、外管に対してアウタビットがフリー回転可能であり、インナツールに直接加える回転力がアウタビットに伝達されることで、アウタビットがインナツールと連動して回転する。また、アウタビットは外管に対してその軸方向で進退自在であり、インナツールに直接加える打撃力がアウタビットに伝達されることで、アウタビットがインナツールと連動して打撃する。つまり、発進側での回転力や打撃力そして給進力は、直接的にはインナツールに加わり、アウタビットにはインナツールを介して間接的に加わる。
したがって地盤掘削時には、インナツールだけに片押し推進力を加えてアウタツールを連行し、インナツールに加える連続回転及び連続回転の停止とアウタビットの連動によって自在掘削しつつ、掘削難度の高い礫層や建設廃材等を含むガラに遭遇した時には、インナツールに加える打撃とこれに連動するアウタビットの打撃により掘進し続けることができる、という優れた掘削性能を実現するものである。
特開2004−232304号公報
ところが従来の掘削ツールは、全長に亘って二重管構造であることから曲がり難く、自在掘削の優位性たる曲線推進を十分に発揮させるのが難しい。また、全長に亘って二重管構造であることから自重が重く、且つ推進時には地盤の土圧を受けることから推進抵抗が相当大きくなる。このためインナツールに加える片押し推進力だけで工期短縮に適う十分な掘削効率を実現し、且つ掘削難度の高い礫層やガラを突破する打撃力を効果的に発揮するには、給進力と打撃力の高い大型の掘削推進装置の使用が余儀なくされる。
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は、自在掘削の優位性たる曲線掘削を十分に発揮できる片押し自在掘削技術を実現すること、掘削推進装置の大型化に依存しなくとも、自在掘削の掘削効率が高く且つ難所に遭遇しても効果的な打撃掘削を十分に発揮できる片押し自在掘削技術を実現することにある。
上記目的を達成すべく本発明は以下のように構成される。
本発明の片押し自在掘削装置は、複数本の延長ロッドを連結した筒状のロッド部と、ロッド部の先端に連結され、先端にアウタビットを取付けた筒状のアウタツールと、アウタツール及びロッド部に対し挿抜可能として実質的にアウタツール内に収容され、先端にインナビットを取付けたインナツールと、を備えており、ロッド部の軸回りに沿う連続回転若しくは連続回転停止と、ロッド部の軸方向に沿う打撃若しくは打撃停止と、の少なくとも何れかの組み合わせを伴う片押し推進力を、ロッド部のみを通じてアウタツールに伝達し、地盤を自在掘削する。
本発明の片押し自在掘削装置では、インナツールが実質的にアウタツール内に収容されており、片押し自在掘削を実現する掘削ツールそれ自体が二重管構造ではなく軽装である。このため片押し推進と、自在掘削(方向制御)と、打撃可能であることとを前提としながらも、曲がり難さや重量負荷による推進抵抗の増大に基づく従来の掘削ツールの諸問題を解決できる。
つまり本発明ならば、ロッド部が長手方向に沿って単管構造で軽装である。このため、曲がり易く、自在掘削の優位性たる曲線掘削を十分に発揮することができ、また推進抵抗の低下により掘削推進装置の大型化に依存せずとも掘削効率が向上し、且つ掘削難度の高い礫層やガラを突破する打撃力を十分に発揮することができる。
そして、本発明であれば、インナツールがアウタツール及びロッド部に対して挿抜可能であるため、例えばインナツールをアウタツール及びロッド部から引抜き、ロッド部及びアウタツールに地盤に敷設する管を挿入し、ロッド部及びアウタツールを回収することで地盤に管を敷設することができる。
前記片押し自在掘削装置は、インナツールにアウタツールに対して係脱可能なラッチを設けた発明として構成される。
本発明によれば、ラッチによってインナツールがアウタツールに対して係脱可能であるため、収容時にはラッチの係合によりインナツールが固定され、抜去時にはラッチの係合解除によりインナツールの固定が解除されてアウタツールから引抜くことができる。この場合、ラッチは、インナツールの軸方向に対して開閉可能な係合翼片と、アウタツールからのインナツールの引抜きと連動してインナツールの軸方向に沿ってスライドし、インナツールの軸方向外向きに開いてアウタツールと係合する係合翼片を閉じるラッチケースと、を備えるものとして構成される。これならインナツールを引抜くだけで、ラッチケースのスライドによりラッチの係合を自動で容易に解除できる。
前記片押し自在掘削装置は、ロッド部及びアウタツールに内挿可能とされ、インナツールと連結可能な回収用線状体を更に備える発明として構成される。
本発明によれば、ロッド部から回収用線状体を送り込み、インナツールをアウタツール及びロッド部から容易に回収できる。この場合、回収用線状体は、ワイヤラインとその先端に取付けたオーバーショットとして構成したり、ロッドとその先端に取付けたオーバーショットとして構成したり、中空又は中実のロッドとして構成することができる。また、連結の形態は係合、螺合などで実現できる。
前記片押し自在掘削装置は、インナツールにその軸方向に対して折れる関節部を設ける発明として構成される。
本発明によれば、関節部がロッド部の曲線状の撓みに応じて屈曲し円滑にインナツールを回収できる。この場合、設ける関節部は1つ以上である。
前記片押し自在掘削装置は、ロッド部に前記片押し推進力を加える掘削推進装置を更に備える発明として構成される。これにより前述の片押し推進力を発揮できる。
また、上記目的を達成する本発明の片押し自在掘削工法は、先端にインナビットをもつインナツールを、先端にアウタビットをもつアウタツールの内部に収容し、アウタツールの後端部に連結した延長ロッドを介してアウタツールをインナツールとともに地盤に貫入し、延長ロッドの軸回りに沿う連続回転若しくは連続回転停止と、ロッド部の軸方向に沿う打撃若しくは打撃停止と、の組み合わせを伴う片押し推進力を、延長ロッドのみを介してアウタツール及びインナツールに作用させて地盤を自在掘削する。
本発明の片押し自在掘削工法によれば、片押し推進と、自在掘削(方向制御)と、打撃可能であることとを前提としつつ、曲がり難さや重量負荷による推進抵抗の増大に基づく従来の片押し自在掘削工法の諸問題を解決できる。
つまり本発明ならば、ロッド部が長手方向に沿って単管構造で軽装である。このため曲がり易く、自在掘削の優位性たる曲線掘削を十分に発揮することができ、また推進抵抗の低下により掘削推進装置の大型化に依存せずとも掘削効率が向上し、且つ掘削難度の高い礫層やガラを突破する打撃力を十分に発揮することができる。
前記片押し自在掘削工法は、地盤の自在掘削後に、延長ロッドの発進側開口端から回収用線状体を内挿するとともにインナツールの後端部に連結し、回収用線状体を引き戻してインナツールを回収する発明として構成される。
インナツールの回収により、アウタツール内に延長ロッドと連通する空洞が形成されるので、例えばアウタツール自体をデータ通信用のケーブル収容管等、各種の管として利用することができ、また後述のようにアウタツールをガイドとして管を敷設できる。
前記片押し自在掘削工法は、インナツールの回収後に、延長ロッドの発進側開口端から管を内挿し、その後延長ロッドを引き戻して延長ロッドとアウタツールとを回収することで、地盤に管を敷設する発明として構成される。
これによれば水平井戸管、汚染地盤回復用の薬液注入管、上下水道管、ガス管、データ通信用のケーブル収容管などの各種の管を地盤に敷設できる。
本発明の片押し自在掘削装置及び片押し自在掘削工法によれば、自在掘削の優位性たる曲線掘削を十分に発揮することができる。また、掘削推進装置の大型化に依存しなくとも、自在掘削の掘削効率が高く、且つ掘削難度の高い礫層やガラに遭遇しても効果的な打撃掘削を十分に発揮することができる。
以下、本発明による片押し自在掘削装置及び片押し自在掘削工法の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
片押し自在掘削装置〔図1〜図6〕
片押し自在掘削装置は、図1に概要を示す掘削ツール1と、図2のロッド部2を備えている。後述の回収用ロッド3及びオーバーショット4(図5)と掘削推進装置5(図6)も片押し自在掘削装置を構成するものとして備えている。
掘削ツール1: 掘削ツール1は、何れも鋼製のアウタツール6(図1,2)とインナツール7(図1,3)とで構成される。
アウタツール6: アウタツール6は、先端側から順にアウタビット8、カップリング9、ゾンデケース10、レジューサ11を前後間で連結して備えている。
アウタビット8は略円筒状に形成されており、その先端側には超鋼チップ12が植設され、軸方向に対して傾斜する土圧受け面13が形成されている。アウタビット8の内面には、インナツール7が掘削方向で突き当たり抜止めする前側係合受け部14が形成されている。また15は、インナビット7が係合してアウタビット8の内部でインナビット7を回り止めする係合溝である。
カップリング9は略円筒状に形成されており、その内面にはインナツール7が引き戻し方向で突き当たり抜止めする後側係合受け部16が形成されている。
ゾンデケース10は、地盤を推進する掘削ツール1の位置情報を地上に送出するゾンデ17を収容する略円筒状のものであり、そのためゾンデ17の発信信号を通しやすくするための硬質樹脂等でなる透過部18が設けられている。またゾンデケース10には長手方向に沿って肉厚を貫通する掘削流体の通路19が形成されている。
レジューサ11は略円筒状に形成されており、その後端にはロッド部2が連結される。
インナツール7: インナツール7は、先端側から順にインナビット20、ラッチ部21、関節部22、ゾンデ格納部23を前後間で連結して備える。インナツール7は前述のアウタツール6とロッド部2に対して挿抜可能となっている。
インナビット20は、前述のアウタビット8とともに地盤を掘削する。したがってその先端側には超鋼チップ12が植設され、また土圧受け面24が形成されている。土圧受け面24は、アウタビット8の土圧受け面13と傾斜角が同一で、面一の面を形成する。インナビット20の後端部外周面には、複数の係合突起25が周方向で離間して形成されている。係合突起25は、アウタビット8の前側係合受け部14に対して掘削方向で突き当たり、インナビット20を抜止めする。隣接する係合突起25間に形成される溝は掘削流体の通路となり、インナビット20の内部に形成された通路26へと通じている。通路26の末端には噴射口27が開口している。掘削流体はここから斜め前方へジェット噴射される。
ラッチ部21は、インナビット20がアウタビット8に対して係脱(係合による固定・係合解除による抜去)するために必要なものである。ラッチ部21にはシャフト28を備えており、その先端部はインナビット20の後端部開口に差込まれて連結される。シャフト28には2つの係合翼片29が回動支軸30により取付けてある。したがって係合翼片29は回動支軸30を開閉軸として、シャフト28の軸心に対して外向きに開き、また軸心に対して内向きに閉じるように開閉動作が可能となっている。開状態にある各係合翼片29は、その肩部29aが前述したカップリング9の後側係合受け部16に対して係合する。これによってインナビット20は掘削時に土圧を受けてもアウタビット8に対して後退しないようになっている。また、開状態にある各係合翼片29はアウタビット8の後端部内周面に形成された係合溝15に対して入り込んで係合する。これによってインナビット20はアウタビット8に対して相対回転しないように回り止めされる。なお、インナビット20の係合突起25に対応する係合部をアウタビット8の内周面に設けてインナビット20を回り止めすることもできる。しかし、回転止めのためには係合に高さが必要であり、係合突起25に対応する係合部をアウタビット8に設けてしまうと、アウタツール6の内径が小さくなり、アウタツール6に内挿可能な管も小さくなってしまう。この不都合があることから本形態では係合翼片29をインナビット20の回り止めにも兼用し、これをアウタビット8の係合溝15に対して係合させるようにしている。
そして、内向きに閉じようとする係合翼片29どうしを外向きに開かせるように弾発的に付勢するのが内蔵するばね31である。ばね31によって開状態となる係合翼片29どうしの間に進入し、開状態を保持するのが尖頭形状の作動ロッド32である。作動ロッド32はシャフト28の後端部28aのガイド内面28bのガイドを受けて、シャフト28(係合翼片29どうしの間)に対して進退可動となっている。具体的には、作動ロッド32の後端部32aには、シャフト28及びこれに固定した係合翼片29を収納するラッチケース33の後端部が固定されている。ここで作動ロッド32をシャフト28に対して押し込むと、図3で示すように作動ロッド32が係合翼片29の間に進入して開状態が保持される。他方、作動ロッド32をシャフト28に対して引き戻すと、図4で示すように作動ロッド32がシャフト28に対して後退して係合翼片29の間から離脱する。これとともに作動ロッド32に固定したラッチケース33も後退する。この後退により、ラッチケース33の開孔縁33aが開状態の係合翼片29を閉じるように内向きに押し込む。こうして係合翼片29の閉状態が固定される。なお、ラッチケース33の内部にはばね34が取付けてあり、ラッチケース33は図1,3で示す係合翼片29が開状態となるように位置するのを常態としている。
関節部22は1つの回動支軸35で屈曲可能なユニバーサルジョイントであり、インナツール7を長手方向で折れるようにしている。
ゾンデ格納部23では、インナゾンデケース36の内部にゾンデ17が収納されている。37はゾンデ17の保護材である。インナゾンデケース36の後端部に取付けたのはスピア38で、その係合頭部38aにはインナツール7の回収に使うオーバーショット4が連結される。連結動作は具体的には図5のようである。
オーバーショット4: すなわち、オーバーショット4の後端部には回収用ロッド3が連結されている。発進側にはロッド部2が延在しており、その開口端から管内へオーバーショット4とワイヤライン3が送り込まれる。すると図5(A)で示すように、オーバーショット4はアウタツール5のレジューサ11に到達する。そのままオーバーショット4を送り込むと、ケース39のガイド傾斜面付きの挿通孔39aをスピア38が通り、その奥にあるラッチ片40に対して突き当たる。その衝撃によって回動支軸41を介してラッチ片40が開き、図5(B)のようにスピア38の係合頭部38aと係合する。あとは発進側から回収用ロッド3を引き戻す。この引き戻しをするだけで、前述の機構によって係合翼片39が閉じ、係合翼片39の係合溝15に対する係合と肩部39aの後側係合受け部16に対する係合とが外れ、インナツール7をアウタツール6から引抜けるようになる。
ロッド部2: ロッド部2は、図2で示すように、掘削長に応じて複数本の延長ロッド42を長手方向で連結して構成される。各延長ロッド42は中空円筒状であり、内部が掘削流体の通路となる。ここを通る掘削流体は、ゾンデケース10の通路19を含む掘削ツール1の内部を通り、インナビット20の通路26を通じ、噴射口27から斜め前方へ噴射される。また、延長ロッド42はその中間部分を薄肉として曲線掘削時に撓み易くしている。
掘削推進装置5: 掘削推進装置5は、ロッド部2の軸回りに沿う連続回転若しくは連続回転停止と、ロッド部2の軸方向に沿う打撃若しくは打撃停止と、の少なくとも何れかの組み合わせを伴う片押し推進力をロッド部2に加えて、直接的にアウタツール6へ、間接的にインナツール7へ伝達する。このため掘削推進装置5には、回転機構と打撃機構を備える給進装置を備えている。掘削流体の給水機構もまた備えている。
片押し自在掘削工法〔図6〕
次に、片押し自在掘削工法を説明する。なお、一例を示す本形態の工法では前述の構成による片押し自在掘削装置を使って地盤に管を敷設する例を説明する。
片押し自在掘削: 発進側でアウタツール6にインナツール7を挿入して固定し、アウタツール6に延長ロッド42を連結する。これらを掘削推進装置5を使って地盤に貫入させる。片押し推進による直線掘削は、延長ロッド42を複数本連結したロッド部2を連続回転させてアウタビット8とインナビット20の土圧受け面13,24を特定の回転角に固定させないようにする。そして曲線掘削は、ロッド部2の回転を停止させて土圧受け面13,24を特定の回転角に固定する。すると傾斜する土圧受け面13,24が地盤の土圧を継続的に受けて、推進方向が掘削流体の噴射方向へ変化する。これをそのまま継続することで曲線掘削がなされる。
そして、掘削ツール1のみが二重構造であり、ロッド部2は単管構造で軽装であるため、曲線掘削時に曲がりやすく、自在掘削の優位性たる曲線掘削を十分に発揮できる。これに加え、ロッド部2の重量減による推進抵抗の低下によって、掘削推進装置の大型化に依存しなくても、自在掘削の掘削効率を向上することができる。
以上の直線掘削と曲線掘削の過程で掘削難度の高い礫層や建設廃材を含むガラに突き当たった時には、ロッド部2を通じてアウタビット8とインナビット20に打撃を加える。この時、ロッド部2は単管構造で軽装であるため、その重量減による推進抵抗の低下によって、掘削推進装置5における高出力の打撃機構に依存しなくても、強力な打撃力をアウタビット8とインナビット20に発生させることができる。よって、一旦引き戻して方向修正をしたりせずに、難所を突破し掘進し続けることができる。なお、こうした打撃掘削は掘削難度が低い地盤でも実施できる。
以上のような直線掘削と曲線掘削の組み合わせにより、図6で示すように任意経路の地盤掘削を一工程で実施できる。
インナツール回収: 目的の掘削経路に応じて地盤を掘削した後は、アウタツール6からインナツール7を回収する。回収は、前述のように回収用ロッド3を連結したオーバーショット4をロッド部2に送り込み、オーバーショット4をスピア38に連結し、回収用ロッド3を引き戻して行う。
管敷設: インナツール7を回収したならば、ロッド部2と中空となったアウタツール6の内部に管を送り込んで敷設する。そして掘削推進装置5によりロッド部2とアウタツール6を引き戻して回収する。こうして地盤に水平井戸管、汚染地盤回復用の薬液注入管、上下水道管、ガス管、データ通信用のケーブル収容管などの各種の管が敷設できることとなる。
実施形態の変形例
片押し自在掘削装置及び片押し自在掘削工法については、様々な形態での変形実施が可能である。その一例を挙げる。
前記実施形態については、ロッド部2の外周に先端にリングビットを取付けたケーシング管を備えるものとして構成できる。すなわち、掘削ツール1による掘削後に、先端にリングビットを取付けたケーシング管を、発進側からロッド部2の外周をガイドとしてシングル掘削させて地盤に敷設し、ケーシング管の敷設後にロッド部2と掘削ツール1を引き戻して回収できる。この場合には、ケーシング管それ自体を目的の用途に利用する管としてそのまま地盤に残して使用してもよい。あるいはケーシング管の管内に目的の用途に使用する管を挿入し、挿入後にケーシング管だけを引き戻すようにしてもよい。なお、掘削ツール1による掘削とケーシング管によるシングル掘削とを所定の掘削長で交互に行ってケーシング管を地盤に敷設することもできる。
前記実施形態についてはロッド部2に通水孔を形成し、回収せずにそれ自体を水平井戸管、汚染地盤回復用の薬液注入管などとして使用することができる。
前記実施形態ではインナツール7に1つの関節部22を設けたが複数箇所でもよい。
前記実施形態ではインナツール7の最後部となるスピア38がアウタツール6の最後部となるレジューサ11の管内に位置するが、実質的にはアウタツール6(レジューサ11)の管内に位置し、部分的にロッド部2に突出する形態としてもよい。
前記実施形態では回収用ロッド3を用いるが、これに換えてワイヤラインをオーバーショット4に連結してもよい。また、回収用ロッド3とオーバーショット4に換えて、スピア38に直結可能な中空又は中実のロッドを用いてもよい。更に、スピア38については係合頭部38aに換えて螺合部を有するものとし、これと連結可能な螺合部を有するロッド等を使用してもよい。
一実施形態の片押し自在掘削装置による掘削ツールの内部構造断面図。 アウタツール及びロッド部の断面図。 インナツールの断面図。 インナツールの動作説明図。 オーバーショットとインナツールの連結動作説明図。 一実施形態による片押し自在掘削工法の説明図。
符号の説明
1 掘削ツール
2 ロッド部
3 回収用ロッド(回収用線状体)
4 オーバーショット(回収用線状体)
5 掘削推進装置
6 アウタツール
7 インナツール
8 アウタビット
9 カップリング
10 ゾンデケース
11 レジューサ
12 超鋼チップ
13 土圧受け面
14 前側係合受け部
15 係合溝
16 後側係合受け部
17 ゾンデ
18 透過部
19 通路
20 インナビット
21 ラッチ部(ラッチ)
22 関節部
23 ゾンデ格納部
24 土圧受け面
25 係合突起
26 通路
27 噴射口
28 シャフト
28a 後端部
28b ガイド内面
29 係合翼片
29a 肩部
30 回動支軸
31 ばね
32 作動ロッド
32a 後端部
33 ラッチケース
33a 開口縁
34 ばね
35 回動支軸
36 インナゾンデケース
37 緩衝材
38 スピア
38a 係合頭部
39 ケース
39a 挿通孔
40 ラッチ片
41 回動支軸
42 延長ロッド

Claims (8)

  1. 複数本の延長ロッドを連結した筒状のロッド部と、
    ロッド部の先端に連結され、先端にアウタビットを取付けた筒状のアウタツールと、
    アウタツール及びロッド部に対して挿抜可能として実質的にアウタツール内に収容され、先端にインナビットを取付けたインナツールと、を備えており、
    ロッド部の軸回りに沿う連続回転若しくは連続回転停止と、ロッド部の軸方向に沿う打撃若しくは打撃停止と、の少なくとも何れかの組み合わせを伴う片押し推進力を、ロッド部のみを通じてアウタツールに伝達し、地盤を自在掘削する片押し自在掘削装置。
  2. インナツールにアウタツールに対して係脱可能なラッチを設けた請求項1記載の片押し自在掘削装置。
  3. ロッド部及びアウタツールに内挿可能とされ、インナツールと連結可能な回収用線状体を更に備える請求項2記載の片押し自在掘削装置。
  4. インナツールにその軸方向に対して折れる関節部を設けた請求項1〜請求項3何れか1項記載の片押し自在掘削装置。
  5. ロッド部に前記片押し推進力を加える掘削推進装置を更に備える請求項1〜請求項4何れか1項記載の片押し自在掘削装置。
  6. 先端にインナビットをもつインナツールを、先端にアウタビットをもつアウタツールの内部に収容し、アウタツールの後端部に連結した延長ロッドを介してアウタツールをインナツールとともに地盤に貫入し、延長ロッドの軸回りに沿う連続回転若しくは該連続回転の停止と、ロッド部の軸方向に沿う打撃若しくは該打撃の停止と、の組み合わせを伴う片押し推進力を、延長ロッドのみを介してアウタツール及びインナツールに作用させて地盤を自在掘削する片押し自在掘削工法。
  7. 地盤の自在掘削後に、延長ロッドの発進側開口端から回収用線状体を内挿するとともにインナツールの後端部に連結し、回収用線状体を引き戻してインナツールを回収する請求項6記載の片押し自在掘削工法。
  8. インナツールの回収後に、延長ロッドの発進側開口端から管を内挿し、その後延長ロッドを引き戻して延長ロッドとアウタツールとを回収することで、地盤に管を敷設する請求項7記載の片押し自在掘削工法。
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