JP2007063379A - 有機ナノ粒子水性分散体、その製造方法及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均粒子径80nm以下の超微細粒有機ナノ粒子が、一次分散する水性エマルジョン分散体の乾燥物粉体が、油性系分散媒体への再分散時に、一次分散性を表す再分散分布指数(RDN)値=CV(2)/CV(1)[式中、CV(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性溶媒中での緩い振揺後における粒度分布のCV値を示し、CV(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の粒度分布のCV値を示す。]=1〜2.0の範囲にある再分散性に優れる有機ナノ粒子マテリアルである。
Description
また、このような分散相置換法では、従来からの周知の事実として、その分散粒子径が更に微細粒になると、例えば、分散粒子の粒子径が数十nm以下のような超微細サイズにあっては、「水相/油相」を移相する分散粒子は、その界面で凝集化傾向にあって、その凝集を防止させることも極めて困難であるとも言われている。
(1)その適材なる有機樹脂の超微細粒子が、300nm以下で、特に100nm以下であって、更には50〜80nm以下で、しかも、強架橋された有機ナノ粒子であって、
(2)その有機ナノ粒子が、著しく簡便でシンプルな製造方法で、しかも、工業的に容易に調製することができて、
(3)しかも、その製造方法で調製される有機ナノ粒子が、一次分散状態で含有している有機ナノ粒子の水性分散体として調製され、
(4)その水性分散体の乾燥物が、従来の如く格別の強制的な分散化処理及び/又は格別の分散剤を介在させる等の施しをすることなく、油性系分散媒体に容易且つ高度に一次再分散させ、
(5)更にはその再分散系が、各種の用途に実使用する有機質分散媒体系にあっても、例えば、強制撹拌等による格別の分散化処理を要することなく、容易に一次再分散性を発揮させる有機ナノ粒子の水性分散体を提供させることである。
この乾燥物の前駆体である本発明による有機ナノ粒子水性分散体中には、超微細粒な有機ナノ粒子が、体積基準で表して5〜40%分散濃度で含有している。
その乾燥物が、油性系分散媒体への再分散時に発揮する分散化特性であって、一次再分散性を、下記関係式(1)に定義する再分散分布指数(RDN)で表して、(RDN)値=1〜2.0の範囲にある分散化特性を発揮させるものである。
(RDN)=CV(2)/CV(1) ・・・(1)
式中、CV(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散溶媒中での緩い振揺後における粒度分布のCV値を表し、CV(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の粒度分布のCV値を表す。
また、併せて、下記関係式(2)に定義する再分散平均粒子径指数(RAv)で表して、(RAv)=1〜1.5の範囲にある。
(RAv)=Av(2)/Av(1) ・・・(2)
式中、Av(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散媒体中での緩い振揺後における平均粒子径値を表し、Av(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の平均粒子径値を表す。
これらの(RDN)及び(RAv)数値から明らかなように、油性系分散媒体へ極めて優れた一次再分散性を発揮する有機ナノ粒子水性分散体であると言える。
(RDN)=CV(2)/CV(1) ・・・(1)
式中、CV(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散媒体中での緩い振揺後の粒度分布のCV値を示し、CV(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の粒度分布のCV値を示す。
(RAv)=Av(2)/Av(1) ・・・(2)
式中、Av(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散媒体中での緩い振揺後における平均粒子径値を表し、Av(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の平均粒子径値を表す。
次いで、撹拌下の70〜80℃の温度範囲で乳化重合させて、体積基準で表す平均粒子径が300nm以下であって、しかも、充分に架橋された超微細有機ナノ粒子が、体積基準で表して5〜40%分散濃度範囲に亘って、一次分散状態で含有する前記前駆体としての水性エマルジョン型の有機ナノ粒子水性分散体が調製される。
(イ)その「ナノマテリアル」としての有機質素材が有する特性を薄膜系に反映させる有機ポリマー造膜材として用いてなる機能性薄膜。
(ロ)その「ナノマテリアル」としての有機質素材が有する特性をフィルム系に反映させる有機ポリマー成型材として用いてなる機能性フィルム。
(ハ)その油性系分散媒体に高度に一次再分散性を発揮させる有機ナノ粒子をナノフィラーとして用いてなる油性インキ及び油性塗料。
(A)体積基準で表す平均粒子径が、300nm以下にあって、特に100nm以下で、更には80〜50nm以下にあって、しかも、強架橋された超微細粒の有機ナノ粒子が、水性エマルジョン型の有機粒子分散体中に一次分散状態に含有されている。
(B)その水性エマルジョン型有機ナノ粒子分散体は、「所定量の水相」/「所定量の親油性重合性モノマー」/「所定量のHLB値=1〜5の範囲にある特定のノニオン系親油性乳化剤」を介在する反応系において、通常の乳化重合法で調製される。
(C)また、既に説明する如く、特定する親油性乳化剤を介在させる有機ナノ粒子水性分散体は、
その分散体を乾燥・脱水させてなる乾燥物凝集体が、油性系分散媒体への再分散時に発揮させる一次分散性を、下記関係式(1)に定義する再分散分布指数(RDN)で表すことができる。その(RDN)値=1〜1.5の範囲にある如く、油性系分散媒体に、著しく優れた一次再分散性を発揮させる乾燥物有機ナノ粒子凝集体である。
(RDN)=CV(2)/CV(1) ・・・(1)
式中、CV(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性溶媒中での緩い振揺後における粒度分布のCV値を表し、CV(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の粒度分布のCV値を表す。
(D)そこで、このような特徴を有する有機質素材は、微細化、薄膜化、高機能化なる技術課題を達成させるための適材として、また、ナノテクの材料分野(「ナノマテリアル」)の一翼を担う超微細粒の有機ナノ粒子素材として、例えば、極薄膜材、極薄手フィルム材、内添型又は被覆型のプラスチック改質材及び充填型の有機ナノフィラー等の技術分野に好適に用いられる。
(E)また、既に説明する如く、各種の用途に実使用する有機質分散媒体系において、例えば、従来の如く格別の強制的な分散化処理及び/又は格別の分散剤介在等を施さずに、容易に一次再分散性を発揮させる水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体である。
また、本発明による再分散性に優れる「ナノマテリアル」としての超微細粒の有機ナノ粒子素材を、例えば、極薄膜材、極薄手フィルム材、内添型又は被覆型のプラスチック改質材及び充填型の有機ナノフィラー等としての有機ナノ粒子の形成、再分散性を阻害させたりしない限りにおいて、必要に応じて、それ自体公知のその他の添加剤(配合剤)を配合させて、これらの添加剤によって反映されるその他の機能を発揮させることができる。本発明においては、例えば、熱安定剤、分散剤、防腐剤、撥水剤、粘度調節剤、タレ止め防止剤、表面張力調整剤、PH調整剤、消泡剤、キレート化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、抗菌・防カビ剤、芳香剤、蛍光剤、各種の薬効成分等の添加剤及び機能材を適宜添加させることができる。
そこで、以上のような特徴を発揮させる水性エマルジョン型の有機ナノ粒子水性分散体を工業的に著しく簡便で、反応系も著しくシンプルである製造方法について、更に説明する。
(RDN)=CV(2)/CV(1) ・・・(1)
式中、CV(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散媒体中での緩い振揺後における粒度分布のCV値を表し、CV(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の粒度分布のCV値を表す。
この乾燥物凝集体の前駆体である本発明による水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中には、体積基準で表す平均粒子径が、300nm以下にあって、特に100nm以下にあって、更には80〜50nm以下にあつ超微細粒の有機ナノ粒子を、体積基準で表して5〜40%分散濃度に亘って、一次分散状態で含有させることができる。
すなわち、
(1−a);100〜1000質量部の水相系に、上記有機ポリマー質に相当する10〜100質量部の親油性の重合性モノマーと、その重合性モノマー100質量部当たり、0.1〜30質量部で、好ましくは0.5〜20質量部の範囲で、HLB数値が1〜5の範囲にある本発明において特定するノニオン系親油性乳化剤とを適宜添加させる。
(2−b);更には、本発明においては、その重合性モノマー100質量部当たり、0.5〜50質量部で、好ましくは10〜30質量部の範囲で、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールトリメタクリレート、ジビニルベンゼン等の架橋剤成分を適宜添加させる。
(3−c);次いで、撹拌下の70〜80℃の温度範囲で乳化重合させて、体積基準で表す平均粒子径が300nm以下で、特に100nm以下にあって、更には80〜50nm以下で、しかも、充分に架橋された超微細有機ナノ粒子が、体積基準で表して5〜40%分散濃度範囲に亘って、好ましくは、粒子の重合安定性、分散安定性等の観点から、10〜30%分散濃度に亘って、一次分散状態に含有する前駆体としての水性エマルジョン型の有機ナノ粒子水性分散体が調製される。
そこで、本発明において、上記する乳化重合に用いる乳化剤は、本発明において特定する乳化剤として、HLB値=1〜5の範囲で、好ましくは、粒子表面吸着、及び内部に含有されやすく、かつ粒子作製時の重合安定性を保持できる等の観点から、HLB値=2〜4の範囲にある親油性のノニオン系界面活性剤を挙げることができ、例えば、エステル型乳化剤として、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポロピレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール等を挙げることができる。また、エーテル型乳化剤として、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、イソステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル等を挙げることができる。中でも、本発明においては、粒子作製時の粒子形成、保護ロイド形成、分散安定性の観点から、エーテル型乳化剤であるモノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポロピレングリコールを適宜好適に用いることができる。
本発明による水性エマルジョン型の有機ナノ粒子水性分散体を前駆体とするその有機ナノ粒子水性分散体の乾燥物凝集体は、既に上記する各種の油性系分散媒体系に、既に説明する如く格別の強制的な分散化処理及び/又は格別の分散剤介在等を施すことなく、容易に一次再分散性を発揮させる。本発明においては、この一次再分散性特性を活かすことで、有機ナノマテリアルとしての有機造膜材、有機成型材及び超微細粒の有機ナノフィラーとして、以下のような用途に、適宜好適に用いることができる。
(イ)油性系分散媒体に有機ナノ粒子が、高度に一次分散する有機質素材を、薄膜系に反映させる有機造膜材として用いてなる機能性薄膜又は機能性超薄膜を提供できる。
(ロ)油性系分散媒体に有機ナノ粒子が、高度に一次分散する有機質素材を、フィルム系に反映させる有機成型材として用いてなる機能性薄手フィルムを提供できる。
(ハ)塗膜になる主成分の樹脂粒子であるアクリル樹脂、アルキット樹脂、ウレタン樹脂等に、その油性系分散媒体に高度に一次分散性を発揮させる有機ナノ粒子をナノフィラーとして用いてなる油性インキや、油性塗料を提供できる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例にいささかも限定されるものではない。
<有機ナノ粒子水性分散体の調製>
<PMMA架橋ナノ粒子;試料−(a)、試料−(b)>
温度計と窒素導入管とを装着した、容量1リットルの四つ口フラスコに、・イオン交換水400質量部、・ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩7質量部を添加して、85℃に昇温後、・ペルオキソニ硫酸アンモニウム(APS)0.5質量部を添加した。
次いで、76〜78℃に保ちながら、・メタクリル酸メチル(MMA)75質量部、・エチレングリコールジメタクリレート25質量部、・HLB=2のモノステアリン酸エチレングリコール5質量部、・ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩1質量部、・イオン交換水40質量部とからなる水性エマルション溶液を滴下して重合を行った。
次いで、30分保持した後、85℃に昇温させて1.5時間保持した。その結果、エマルションの重合率は約100%で、固形分は24%で、動的光散乱法で求めた平均粒径は48nmで、この水性分散体を試料−(a)とした。
同様にしてフラスコ中の・ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩を5質量部にして、平均粒子径80nmの有機ナノ粒子を調製して、この水性分散体を試料−(b)とした。
同様の容量1リットルの四つ口フラスコに、・イオン交換水400質量部、・乳化剤ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩7質量部を添加して85℃に昇温後、・ペルオキソニ硫酸アンモニウム(APS)0.5質量部を添加した。
次いで、76〜78℃に保ちながら、・スチレン75質量部、・ジビニルベンゼン25質量部、・モノステアリン酸エチレングリコール5質量部、・ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩1質量部、・イオン交換水40質量部とからなる水性エマルション溶液を滴下して重合を行った。
次いで、30分保持した後、85℃に昇温させて3時間保持した。その結果、エマルションの重合率は約100%で、固形分は24%で、動的光散乱法で求めた平均粒径は45nmで、この水性分散体を試料−(c)とした。
得られた水性分散体の試料−(a)、−(b)、−(c)のそれぞれをスプレードライ法により粉体化し、それぞれ試料−D(a)、−D(b)、−D(c)とした。得られた乾燥物凝集体の含水分量は2%以下であった。また、このときの乾燥物の平均粒子径をそれぞれ(a)-sp、(b)-sp、(c)―spとした。
得られた試料−D(a)、−D(b)、−D(c)のそれぞれ20gを80gのMEKに添加し、撹拌分散化(ホモジナイザー200rpm×5分)した。固形分量は約20%で、得られた分散体中の平均粒子径をそれぞれ(a)−MEK、(b)−MEK、(c)−MEKとした。
また、油性系分散媒体のMEKに換えて、MMAにそれぞれ同様にして再分散化させたその平均粒子径をそれぞれ(a)−MMA、(b)−MMA、(c)−MMAとした。
<ノニオン系乳化剤無添加の有機ナノ粒子水性分散体の調製>
<PMMA架橋粒子;試料−H(d)>
実施例の試料−(a)において添加した、・モノステアリン酸エチレングリコール5質量部のノニオン系乳化剤を添加させなかった以外は、実施例の試料−(a)と同様にしてPMMA粒子の有機ナノ粒子を調製し、その水性分散体を試料−H(d)とした。その結果、エマルションの重合率は約100%で、固形分は24%で、動的光散乱法で求めた平均粒子径は50nmであった。
<ノニオン系乳化剤添加の未架橋有機ナノ粒子水性分散体の調製>
<PMMA未架橋粒子;試料−H(e)>
実施例の試料−(a)において添加した、・エチレングリコールジメタクリレート25質量部の架橋剤を添加させなかった以外は、実施例の試料−(a)と同様にしてPMMA粒子の有機ナノ粒子を調製し、その水性分散体を試料−H(e)とした。その結果、エマルションの重合率は約100%で、固形分は24%で、動的光散乱法で求めた平均粒径は44nmであった。
<HLB=8であるノニオン系乳化剤添加による架橋有機ナノ粒子水性分散体の調製>
<PMMA架橋粒子;試料−H(f)>
試料−1において、モノステアリン酸エチレングリコール5質量部に換えて、HLB=8のモノオレイン酸ポリエチレングリコール5質量部を用いた以外は、実施例の試料−(a)と同様にしてPMMA粒子の有機ナノ粒子を調製し、その水性分散体を試料−H(f)とした。その結果、エマルションの重合率は約100%で、固形分は23%で、動的光散乱法で求めた平均粒径は60nmであった。
以下実施例で得た水性分散体と同様にして、水性分散体の試料−H(d)、試料−H(e)及び試料−H(f)のそれぞれをスプレードライ法により粉体化し、それぞれ試料−DH(d)、−DH(e)及び−DH(f)とした。得られた乾燥物凝集体の含水分量は2%以下であった。また、このときの平均粒子径をそれぞれH(d)-sp、H(e)-sp及びH(f)-spとした。
得られた試料−DH(d)、−DH(e)及び−DH(f)のそれぞれ20gを80gのMEKに添加し、撹拌分散化(ホモジナイザー200rpm×5分)した。固形分量は約20%で、得られた分散体の平均粒子径をそれぞれH(d)−MEK、H(e)−MEK及びH(f)−MEKとした。粒子の乾燥方法重合後に得られた粒子エマルションは、スプレードライ法により粉体化した。この際の含水分量は2%以下であった。また、このときの平均粒子径をそれぞれH(d)−sp、H(e)−sp及びH(f)−spとした。
<アルコール類への再分散性>
実施例で得られた試料−D(a)、−D(b)及び−D(c)の乾燥物粉体のそれぞれ20gを80gのイソプロビルアルコール(IPA)に添加し、撹拌(ホモジナイザー5000rpm×10分)した。固形分量は約20%であった。得られた分散体の平均粒子径をそれぞれH(a)−IPA、H(b)−IPA及びH(c)−IPAとした。
<フラッシング法(蒸留置換法)によるMEK分散体の調製>
平均粒子径48nmのPMMA架橋ナノ粒子水性分散体である実施例の試料−(a)の100gを90〜95℃の温度雰囲気下に水分を蒸発させながら、蒸発分エチルアルコールを加え、さらにアルコール置換した。
次いで、アルコール置換した分散体を80℃以上の雰囲気下でアルコール分を蒸発させながら、蒸発分だけメチルエチルケトン(MEK)を加えて、固形分20%のMEK分散体を調製し、試料−H(a)F−10とした。
<フラッシング法(塩せき法)によるMEK分散体の調製>
平均粒子径48nmのPMMA架橋ナノ粒子水性分散体の試料−(a)の100g中に重炭酸ナトリウム10%の水溶液を添加し、さらにMEK100gを添加した。この分散溶液を撹拌・静置後、油相/水相の二相に分かれた水相分をデカンテーションにて取り除き、固形分18%のMEK分散体を回収し、試料−H(a)F−20とした。
このような一次再分散性特性を活かすことで、本発明による超微細粒の有機ナノ粒子を「ナノマテリアル」として有機ポリマー造膜材、有機ポリマー成型材及び有機ナノフィラーとして、以下のような用途に提供することができる。
(イ)油性系分散媒体に有機ナノ粒子が、高度に一次分散する有機質素材を、薄膜系に反映させる有機ポリマー造膜材として用いてなる機能性薄膜を提供できる。
(ロ)油性系分散媒体に有機ナノ粒子が、高度に一次分散する有機質素材を、フィルム系に反映させる有機ポリマー成型材として用いてなる機能性薄手フィルムを提供できる。
(ハ)塗膜になる主成分の樹脂粒子であるアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂等に、その油性系分散媒体に高度に一次分散性を発揮させる有機ナノ粒子のナノフィラーとして用いてなる油性インキや、油性塗料を提供できる。
Claims (12)
- 体積基準で表す平均粒子径が300nm以下で、且つ強架橋された超微細粒の有機ポリマー粒子が油性系分散媒体への再分散時に高度に一次分散する水性エマルジョン型の有機ナノ粒子水性分散体であって、
前記有機ナノ粒子水性分散体は、水性媒体中に、前記超微細有機ポリマー粒子が、体積基準で表して5〜40%分散濃度にあって、
前記分散体の乾燥物凝集体が、油性系分散媒体への再分散時に発揮する一次分散性を、下記関係式(1)に定義する再分散分布指数(RDN)で表して、(RDN)値=1〜2.0の範囲にあって、且つ、下記関係式(2)に定義する再分散平均粒子径指数(RAv)で表して、(RAv)=1〜1.5の範囲にあることを特徴とする有機ナノ粒子水性分散体。
[式中、CV(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散媒体中での緩い振揺後における粒度分布のCV値を表し、CV(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の粒度分布のCV値を表す。]
[式中、Av(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散媒体中での緩い振揺後における平均粒子径値を表し、Av(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の平均粒子径値を表す。] - 前記油性系分散媒体が、HEMA、MMA、EMA、BMA、MEK、HIBK、(メタ)アクリル系及びケトン系溶媒の群から選ばれる何れかの有機溶剤の単独又は少なくとも2種以上の混合溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の有機ナノ粒子水性分散体。
- 前記有機ポリマー粒子の有機ポリマー質が、(メタ)アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、アクリル−ジエン系、スチレン−ジエン系、アクリル−イミド系、スチレン−イミド系の群から選ばれる少なくとも何れか1種であることを特徴とする請求項1に記載の有機ナノ粒子水性分散体。
- 体積基準で表す平均粒子径が300nm以下の超微細有機ナノ粒子が一次分散状態にある水性エマルジョン型の有機ナノ粒子水性分散体を、乾燥・脱水させた有機ナノ粒子の乾燥物凝集体が、油性系分散媒体への再分散時に発揮する再分散性を、下記関係式(1)に定義する再分散分布指数(RDN)で表して、(RDN)値=1〜1.5の範囲にあって、且つ、下記関係式(2)に定義する再分散平均粒子径指数(RAv)で表して、(RAv)=1〜1.5の範囲にある有機ナノ粒子水性分散体の製造方法であって、
撹拌下に、100〜1000質量部の水相系に、10〜100質量部の重合性モノマー、その重合性モノマー100質量部当たり、0.1〜30質量部のHLB値=1〜5の範囲にあるノニオン系親油性乳化剤と、0.5〜50質量部の架橋剤とを添加させ、撹拌・加温下に乳化重合させ、体積基準で表す平均粒子径が300nm以下で、強架橋された超微細粒の有機ナノ粒子が、体積基準で表して5〜40%分散濃度で、一次分散状態で含有する水性エマルジョン型の前記有機ナノ粒子水性分散体が調製されることを特徴とする有機ナノ粒子水性分散体の製造方法。
[式中、CV(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散媒体中での緩い振揺後の粒度分布のCV値を表し、CV(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の粒度分布のCV値を表す。]
[式中、Av(2)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体を乾燥させた後、油性系分散媒体中での緩い振揺後における平均粒子径値を表し、Av(1)は、水性エマルジョン型の有機ナノ粒子分散体中における有機ナノ分散粒子の平均粒子径値を表す。] - 前記ノニオン系親油性乳化剤が、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポロピレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコールの群から選ばれる少なくとも何れか1種のエステル型乳化剤であることを特徴とする請求項4に記載する有機ナノ粒子水性分散体の製造方法。
- 前記ノニオン系親油性乳化剤が、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、イソステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテルの群から選ばれる少なくとも何れか1種のエーテル型乳化剤であることを特徴とする請求項4に記載する有機ナノ粒子水性分散体の製造方法。
- 得られる前記有機ナノ粒子の有機ポリマー質が、(メタ)アクリル系、スチレン系、アクリル−スチレン系、アクリル−ジエン系、スチレン−ジエン系、アクリル−イミド系、スチレン−イミド系の群から選ばれる少なくとも何れか1種であることを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載する有機ナノ粒子水性分散体の製造方法。
- 請求項4〜7の何れかに記載する製造方法によって得られる有機ナノ粒子水性分散体を乾燥・脱水させて得られる有機ナノ粒子の乾燥物凝集体が、油性系分散媒体中に高度に一次分散する有機ポリマー造膜材として用いてなることを特徴とする機能性薄膜。
- 請求項4〜7の何れかに記載する製造方法によって得られる有機ナノ粒子水性分散体を乾燥・脱水させて得られる有機ナノ粒子の乾燥物凝集体が、油性系分散媒体中に高度に一次分散する有機ポリマー成型材として用いてなることを特徴とする機能性フィルム。
- 請求項9に記載する機能性フィルムが、偏光性を有することを特徴とする光学フィルム。
- 請求項4〜7の何れかに記載する製造方法によって得られる有機ナノ粒子水性分散体を乾燥・脱水させて得られる有機ナノ粒子の乾燥物凝集体が、油性系分散媒体中に高度に一次分散する有機ナノフィラーとして用いてなることを特徴とする油性塗料。
- 請求項4〜7の何れかに記載する製造方法によって得られる有機ナノ粒子水性分散体を乾燥・脱水させて得られる有機ナノ粒子の乾燥物凝集体が、油性系分散媒体中に高度に一次分散する有機ナノフィラーとして用いてなることを特徴とする油性インキ。
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