JP2007061711A - 真空処理装置および真空処理装置の圧力調整方法 - Google Patents

真空処理装置および真空処理装置の圧力調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数の真空容器の圧力調整をシンプルな構成で実現可能となる真空処理装置および該真空処理装置の圧力調整方法を提供する。
【解決手段】 真空処理装置は、複数の真空容器1と、該真空容器1に圧力調整用のガスを供給するガス供給経路と、ガス供給経路を介して真空容器1に圧力調整用のガスを供給する圧力調整ガス供給装置12と、ガス供給経路から分岐して設けられたガス排出経路と、ガス排出経路を介してガスを排出可能な真空排気ポンプ10と、圧力調整ガス供給装置12からのガスを真空容器1とガス排出経路とのいずれか一方に導くようにガスの流路を切替可能な切替バルブ5,6とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体、フラットパネルディスプレイ等の製造工程で基板を複数まとめて所定の圧力のもとに保持する必要がある真空処理装置および該真空処理装置の圧力調整方法に関する。
従来から、薄膜形成やエッチング等の、各種電子デバイスの製造に使用される真空処理方法および真空処理装置は知られている。この真空処理方法および真空処理装置の一例が特開2003−49278号公報に記載されている。
特開2003−49278号公報には、複数の反応容器のうち、少なくとも1個の反応容器において真空処理に異常が発生した際に、異常が発生した反応容器の真空処理を停止すると同時に、真空処理の制御設定値を、通常の設定値から変更して残りの真空処理を継続する真空処理方法および真空処理装置が記載されている。
特開2003−49278号公報
上記特許文献1には、反応容器の総数をn、異常が発生した反応容器の数をiとしたときにガス流量を(n−i)/nに変化させる方法が開示されている。
しかし、ガス流量を変化させるには制御系を介してガス流量を制御する必要があり、たとえばガス流量を序々に変化させる必要も生じ得る。また、ガス流量を制御するための複雑な構成も必要となり、用いる部品点数も反応容器分だけ必要であるので、装置コストの抑制、フットプリントの縮小には不利であるという問題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、複数の真空容器の圧力調整をシンプルな構成で実現可能となる真空処理装置および該真空処理装置の圧力調整方法を提供することにある。
本発明に係る真空処理装置は、複数の真空容器と、該真空容器に圧力調整用のガスを供給するガス供給経路と、ガス供給経路を介して真空容器にガスを供給するガス供給手段と、ガス供給経路から分岐して設けられたガス排出経路と、ガス排出経路を介してガスを排出可能なガス排出手段と、ガス供給手段からのガスを真空容器とガス排出経路とのいずれか一方に導くようにガスの流路を切替可能な切替手段とを備える。
上記切替手段としては、たとえばガス供給経路に設置され真空容器へのガスの供給を制御する第1バルブと、ガス排出経路に設置されガス供給経路からガス排出経路へのガスの排出を制御する第2バルブとを採用することができる。また、複数の流路を有し、必要に応じて流路を切替えることが可能なものであれば、上記の第1および第2バルブ以外の構成を採用可能である。上記第1バルブは、ガス供給経路とガス排出経路との分岐部よりも下流側に設置することが好ましい。
また、本発明に係る真空処理装置は、各々の真空容器に対してガス排出経路に設けられ真空容器からガス排出経路へのガスの排出を制御する第3バルブをさらに備えるものであってもよい。また、真空容器からガスを排出可能な他のガス排出経路と、各々の真空容器に対して他のガス排出経路に設置され真空容器から他のガス排出経路へのガスの排出を制御する第4バルブとをさらに備え、ガス排出手段は、ガス排出経路を介してガスを排出する第1排気ポンプと、他のガス排気経路を介してガスを排出する第2排気ポンプとを含むものであってもよい。この場合、第2排気ポンプの排気能力を、第1排気ポンプの排気能力よりも高くすることが好ましい。
本発明に係る真空処理装置の圧力調整方法は、複数の真空容器と、該真空容器に圧力調整用のガスを供給するガス供給経路と、ガスを排出可能なガス排出経路とを備えた真空処理装置の圧力調整方法であって、圧力調整を行なう真空容器に対してはガス供給経路を介して圧力調整用のガスを供給しながら圧力調整を行なう一方で、圧力調整を停止する真空容器に対してはガス供給経路を流れるガスの流路を切替えてガス排出経路に導き当該ガスを排出するようにする。
本発明によれば、ガス供給手段から供給されるガスの流路を切替えて直接ガス排出経路に導くことができるので、ガス供給手段から供給されるガスの流量自体を変化させることなく所望の真空容器の圧力調整を行なえる。それにより、ガス供給手段から供給されるガスの流量自体を変化させるための複雑な構成が必要なくなり、複数の真空容器の圧力調整をシンプルな構成で行なえる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1、図4および図5を用いて本発明の実施の形態1について説明する。
本実施の形態1の真空処理装置は、複数の真空容器(真空処理室)1と、該真空容器1に圧力調整用のガスを供給するガス供給経路と、ガス供給経路を介して真空容器1にガスを供給するガス供給手段と、ガス供給経路から分岐して設けられたガス排出経路と、ガス排出経路を介してガスを排出可能なガス排出手段と、ガス供給手段からのガスを真空容器1とガス排出経路とのいずれか一方に導くようにガスの流路を切替可能な切替手段とを備える。
図1に示すように、本実施の形態1の真空処理装置はn個の真空容器1を有している。該真空容器1内では各種電子デバイスを製造する際に用いられる真空処理を行なうことが可能である。該真空処理としては、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、光CVD法、プラズマCVD法等を挙げることができる。真空容器1は、上下方向に積層してもよいが、横方向に並べて配置してもよい。
また、真空容器1には、被処理体を入れ替える際に開閉される扉が必要である。被処理体の入れ替えに伴い真空容器1に入る大気の影響を極力排除したい場合は、ロードロック室を設けて、粗引きを行なったのちに、真空内搬送手段で、ロードロック室と真空容器1との間で被処理体を移動させることも可能である。
図1の例では、2系統のガス供給経路を設置している。具体的には、圧力調整用のガスの供給経路と、パージガスの供給経路とを設置している。圧力調整用のガスの供給経路には、ガス供給手段としての圧力調整ガス供給装置12が接続される。なお、圧力調整用のガスとしては、真空度を調整する目的であればN、Arなどの不活性ガスを採用すればよい。他方、パージガスの供給経路には、ガス供給手段としてのパージガス供給装置13が接続される。パージガスとしては、空気、窒素等が考えられる。
いずれのガス供給経路も各種配管等により主として構成され、所定位置に各種バルブ等の要素を設置している。そして、各ガス供給装置からのガスは、ガス供給経路を介して各真空容器に分配されることとなる。
圧力調整用のガスの供給経路には、図1の例では、圧力調整ガス供給装置12からのガスを当該供給経路に供給するガス供給バルブ2と、供給ガスの総流量を制御可能なマスフローコントトーラ3と、ニードルバルブ(A1…An)4と、切替バルブ(B1…Bn:第1バルブ:エアオペレーションバルブ)6とを設置している。
ニードルバルブ4はガス流量を制御可能なバルブであり、各々の真空容器1に対して設けられている。このニードルバルブ4のような流量調整ユニットを介して各真空容器1にガスを供給することにより、各真空容器1の圧力調整が可能となる。たとえばすべての真空容器1を同じ圧力に設定することも、各々の真空容器1ごとに異なる圧力に設定することも可能である。なお、より高精度に流量を制御したい場合は、ニードルバルブ4の代わりに各真空容器1ごとにマスフロ−コントトーラを設けてもよい。
切替バルブ6は、ニードルバルブ4を通過したガスを各真空容器1へ供給するか否かを制御するバルブである。該切替バルブ6は、図1の例ではニードルバルブ4よりも下流側であって、ガス供給経路とガス排出経路との分岐部よりも下流側に設置される。この切替バルブ6を開閉することでガスの流路を切替えることができることから、切替バルブ6は圧力調整用のガスの流路を切替える切替手段として機能することとなる。
パージガスの供給経路には、図1の例では、パージガスバルブ(F1…Fn)9を設置している。このパージガスバルブ9は、パージガス供給装置13からのパージガスを各真空容器1へ供給するか否かを制御し、各真空容器1に対しそれぞれ設置される。
ガス排出経路も各種配管等により主として構成され、所定位置に各種バルブ等の要素を設置する。図1の例では、圧力を調整するための排気系と、真空容器1を大気圧状態から排気する際に用いる排気系との2系統のガス排出経路を設置している。具体的には、圧力調整用のガスをガス供給経路から直接排出可能な第1ガス排出経路と、大気圧状態の真空容器1内のガスを排出可能な第2ガス排出経路とを設置している。
第1ガス排出経路は、ガス供給経路から分岐しており、切替バルブ(C1…Cn:第2バルブ:エアオペレーションバルブ)5が設置される。この切替バルブ5も各真空容器1に対しそれぞれ設置され、該切替バルブ5を開閉制御することでガス供給経路から第1ガス排出経路へのガスの排出を制御することができ、ガス供給経路からのガスを必要に応じて第1ガス排出経路に直接流すことができる。
なお、図1の例では、ガス供給経路内のガスの流路を切替えてガス排出経路へガスを送るために2つのバルブを使用する例を示したが、ガスの流路を切替可能なものであれば上記の2つのバルブ以外の任意の要素を採用可能である。たとえばガス供給経路とガス排出経路との分岐部に三方弁や四方弁などの流路を切替え可能な1つのバルブを設置することも考えられる。
第1ガス排出経路には、ゲートバルブ(第3バルブ:D1…Dn)7が設置される。このゲートバルブ7は、各々の真空容器1に対して設けられ、真空容器1から第1ガス排出経路へのガスの排出を制御する。第1ガス排出経路には、ガス排出手段としての真空排気ポンプ(第1排気ポンプ)10が接続される。
第2ガス排出経路には、ゲートバルブ(第4バルブ:E1…En)8が設置される。このゲートバルブ8も、各々の真空容器1に対して設けられ、真空容器1から第2ガス排出経路へのガスの排出を制御する。第2ガス排出経路には、ガス排出手段としての真空排気ポンプ(第2排気ポンプ)11が接続される。
真空排気ポンプ10,11としては、排気性能を満足するものであれば、ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ、ドライポンプ、ターボ分子ポンプなどのポンプを使用可能であるが、真空排気ポンプ10,11を異なる種類のポンプで構成可能である。たとえば、真空排気ポンプ11の排気能力を、真空排気ポンプ10の排気能力よりも高くすることが考えられる。また、真空排気ポンプ11として、真空容器1を大気圧状態から排気する際に使用可能な低真空用のドライポンプを採用し、真空排気ポンプ10として、真空容器1の圧力調整用ポンプとして使用可能な高真空用のターボ分子ポンプを採用することも考えられる。
たとえば1Pa以下の領域の低圧領域を2000Lクラス以上の排気性能を持つターボ分子ポンプなどを用いて圧力を調整する必要がある場合においては、配管のコンダクタンスを軽減するために、より大きな空間をもつ集合管にターボ分子ポンプを直に取付け、集合管と各真空容器1との連結も大きな配管サイズで実施することが望まれる。
なお、本実施の形態における各種バルブの操作手法としては、エアオペレーション以外の任意の手法を採用可能である。また、クリーン度を重視する場合は、切替バルブ6と真空容器1との間に各種フィルタを取付けてもよい。
本実施の形態1では、圧力調整用のガスとして単一のガスを供給する場合の例を示したが、複数のガスを供給可能な複数のガスラインを設置し、複数のガスラインからのガスを混合した混合ガスを真空容器1に供給することも考えられる。
真空容器1の圧力を測定する方法としては、キャパシタンスマノメータ−、ピラニーゲージなど、使用用途の圧力領域、要求精度により選択すればよい。また、各真空容器1と圧力調整に使う排気系との間に圧力制御弁(Auto Pressure Control)バルブなどのコンダクタンス制御手段を設置し、より精度高く真空容器1の圧力を制御することも考えられる。
近年、生産性の向上やディスプレイサイズの大型化に伴い処理基板サイズが大きくなる傾向にあり、装置フットプリントの拡大に伴う、工場建設、維持費用の増大が課題となっているが、本実施の形態1の真空処理装置を採用することで、各真空容器1の圧力制御をシンプルな装置構成で実現することができ、装置フットプリントの低減およびコストダウンを実現することができる。また、本実施の形態1の真空処理装置のようにシンプルな構成であれば圧力制御弁などの占有領域が大きいパーツを省略することもできるので、限られた設置スペースの中でより多くの真空処理室を積み上げることが可能となり、工場のラインの処理能力への貢献も可能となる。
次に、本実施の形態1の真空処理装置の圧力調整方法について図4と図5を用いて説明する。なお、以下には、n番目の真空容器1を、シリコン基板等の試料を出し入れするときのように大気開放状態とする場合の圧力調整方法の一例について説明する。
図4に示すように、ニードルバルブ(An)4と切替バルブ(Cn)5とを開き、切替バルブ(Bn)6とゲートバルブ(Dn,En)7,8とパージガスバルブ(Fn)9とを閉じた状態で、n番目の真空容器1を大気開放状態とする。このとき、残りの真空容器1については、切替バルブ(B1〜Bn−1)6とゲートバルブ(D1〜Dn−1)7とを開き、切替バルブ(C1〜Cn−1)5とゲートバルブ(E1〜En−1)8とを閉じることで圧力調整を行なうことができる。また、残りの真空容器1に関連するすべてのバルブを閉じることで、残りの真空容器1を封止状態とすることもできる。
次に、ゲートバルブ(En)8を開き、真空排気ポンプ11を作動させることで、n番目の真空容器1の排気を行なう。この排気の際にも、残りの真空容器1を圧力調整状態や封止状態とすることができる。
その後、切替バルブ(Bn)6とゲートバルブ(Dn)7とを開く一方で、切替バルブ(Cn)5とゲートバルブ(En)8とを閉じることでn番目の真空容器1の圧力調整を行なう。より詳しくは、切替バルブ(Bn)6を開くことでn番目の真空容器1内に圧力調整用のガスを供給する一方で、ゲートバルブ(Dn)7を開いた状態で真空排気ポンプ10を作動させることで、n番目の真空容器1の圧力調整を行なうことができる。このとき、切替バルブ(Cn)5とゲートバルブ(En)8とを閉じているので、真空排気ポンプ11によるn番目の真空容器1の排気は行なわれず、ガス排出経路にもニードルバルブ(An)4を通過した圧力調整用のガスは流れない。このようにn番目の真空容器1の圧力調整を行なっている状態でも、残りの真空容器1を圧力調整状態や封止状態とすることは可能である。
次に、切替バルブ(Bn)6とゲートバルブ(Dn)7とを閉じ、切替バルブ(Cn)5とパージガスバルブ(Fn)9とを開くことでn番目の真空容器1内が大気圧になるまでベント処理を行なう。このとき、切替バルブ(Cn)5を開いているのでガス排出経路に圧力調整用のガスを直接流込んで排出することができ、またパージガスバルブ(Fn)9を開くことでパージガス供給装置13からパージガスをn番目の真空容器1に供給することができる。このようにn番目の真空容器1のベント処理を行なっている状態でも、残りの真空容器1を圧力調整状態や封止状態とすることは可能である。その後、パージガスバルブ(Fn)9を閉じることでn番目の真空容器1を大気開放状態とすることができる。
以上の説明は、n番目の真空容器1を大気開放する場合のバルブ操作であるが、これと並行して、またどのタイミングでも複数の真空容器1の大気開放や排気を行なうことは可能である。ただし、複数の真空容器1を同時に大気から排気する際には、その排気系の排気能力により同時に排気できる真空容器1の数に制限がある場合があること、また排気時間が長くなるなどの影響は考慮して運用する必要がある。
上述のように、切替バルブ5,6を開閉制御することで、真空容器1への圧力調整用ガスの供給と、排気系への圧力調整用ガスの排出とを制御することができるので、ガス供給系より供給される圧力調整用ガスの総流量を変化させることなく、複数の真空容器1中の所望の真空容器1に圧力調整用ガスを供給することができる。その結果、ガス供給系から供給されるガスの流量自体を変化させるための複雑な構成が必要なくなり、複数の真空容器1の圧力調整をシンプルな構成で行なえる。
また、圧力調整用ガスの総供給量を維持しながら所望の真空容器1にガスを分配することができるので、試料の入れ替え等で一部の真空容器1へのガスの供給を停止した場合でも、圧力調整中の残りの真空容器1内の圧力を所望の値に維持することができる。つまり圧力調整を継続中の他の真空容器1の圧力に影響を与えることなく、一部の真空容器1の圧力調整を停止することができる。
さらに、2系統の排気系と各真空容器1との間をゲートバルブ7,8を介して配管連結しているので、真空排気ポンプ10,11を適切に選択して所望の真空容器1の圧力調整を効率的に行なうことができる。
また、本実施の形態1では、マスフローコンローラ3の設定値を一定に保つことで、ガスの総流量が保たれるので切替バルブ5,6に流れるガスの流量を一定に保持することもできる。
厳密には、切替バルブ6を通る配管経路のコンダクタンスと、切替バルブ5を通る配管コンダクタンスとを等しくすることが望ましいが、実質上支障ないように設計することはできる。また排気側に流れるガス総流量も一定に保持できるため、真空排気ポンプ10の負荷状態の変化量も少ない。そのため、各々の真空容器1ごとの実効排気速度もほぼ一定とすることができ、下記の数式(1)で規定される真空容器1内の圧力もほぼ一定に維持することができる。
Qn/Sn=Pn…(1)
Qn: n番目の真空容器に流れ込むガス流量
Sn: n番目の真空容器の実効排気速度
Pn: n番目の真空容器の圧力
図1の構成は単一のガスでの圧力制御であるが、切替バルブ5,6の上流に、別の種類のガス用の配管を設置して、ニードルバルブ4とは別系統用のニードルバルブを並設し、これらのニードルバルブ4を通過したガスを混合させて真空容器1に流し込むことも可能である。
ここで、本実施の形態1で述べている真空容器1の圧力とは、流れ込むガス流量と、実効排気速度で定まる圧力のことである。ガスをプラズマ化させるなどガス分子数が変化する場合や、加熱等により温度が変化する場合には、真空容器1内の圧力が変化し得る。この真空容器1内の圧力変化に対して厳密に追従補正を行なう必要がある場合には、各々の真空容器1と排気経路との間に圧力調整用の制御弁を追加すればよい。しかし、それらの圧力変化を許容できる場合においては、制御弁を追加する必要はない。
図5には、5つの真空容器1を備えた場合の各バルブの動作制御例を示す。図5に示すように、各バルブの開閉制御を行なうことで、1番目〜5番目の真空容器1について順次大気開放、真空引き、圧力調整、ベント等の各処理を行なえる。このとき、圧力調整用のガスの総流量を一定に保持することができるので、圧力調整中の真空容器1には一定量をガスを安定して供給することができ、圧力調整中の真空容器1内の圧力を所望の値に保持することができる。他方、圧力調整を停止する必要がある真空容器1については、圧力調整中の他の真空容器1内の圧力にほとんど影響を及ぼすことなく圧力調整を停止することができる。
(実施の形態2)
次に、図2と図6を用いて本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2では、図2に示すように、排気系を1系統としている。具体的には、図1に示すゲートバルブ8、真空排気ポンプ11および配管等で構成される第2ガス排出経路を省略し、第1ガス排出経路に、真空容器1を大気から排気する際に使う真空排気系と、真空容器1の圧力調整用の真空排気系との双方の機能を付与している。これ以外の構成については実施の形態1の場合と同様である。
本実施の形態2の真空処理装置の場合も、圧力調整用ガスの供給系からのガス供給量を一定値に保持しながら複数の真空容器1の圧力調整を行なえるので、複数の真空容器1の圧力調整をシンプルな構成で行なえる。また、真空排気系を1系統とすることができるので、実施の形態1の場合よりもさらに真空処理装置の構成を簡素化することができる。
次に、本実施の形態2の真空処理装置の圧力調整方法について図6を用いて説明する。本実施の形態2の場合も、n番目の真空容器1を、シリコン基板等の試料を出し入れするときのように大気開放状態とする場合の圧力調整方法の一例について説明する。
図6に示すように、ニードルバルブ(An)4と切替バルブ(Cn)5とを開き、切替バルブ(Bn)6とゲートバルブ(Dn)7とパージガスバルブ(Fn)9とを閉じた状態で、n番目の真空容器1を大気開放状態とする。このとき、残りの真空容器1については、切替バルブ(B1〜Bn−1)6とゲートバルブ(D1〜Dn−1)7とを開き、切替バルブ(C1〜Cn−1)5を閉じることで圧力調整を行なう。
次に、ゲートバルブ(Dn)7を開き、真空排気ポンプ10を作動させることで、n番目の真空容器1の排気を行なう。この排気の際には、残りの真空容器1については、切替バルブ(B1〜Bn−1)6とゲートバルブ(D1〜Dn−1)7とを閉じ、切替バルブ(C1〜Cn−1)5を開くことで各真空容器1を封止状態とする。
その後、ゲートバルブ(Dn)7を開いた状態で切替バルブ(Bn)6を開き、切替バルブ(Cn)5とパージガスバルブ(Fn)9とを閉じることで圧力調整を行なう。この圧力調整の際に、残りの真空容器1についても、切替バルブ(B1〜Bn−1)6とゲートバルブ(D1〜Dn−1)7とを開き、切替バルブ(C1〜Cn−1)5を閉じることで圧力調整を行なう。
次に、切替バルブ(Bn)6とゲートバルブ(Dn)7とを閉じ、切替バルブ(Cn)5とパージガスバルブ(Fn)9とを開くことでn番目の真空容器1内が大気圧になるまでベント処理を行なう。このとき、切替バルブ(Cn)5を開いているのでガス排出経路に圧力調整用のガスを直接流込んで排出することができる。また、パージガスバルブ(Fn)9を開くことでパージガス供給装置13からパージガスをn番目の真空容器1に供給することができる。なお、残りの真空容器1については、圧力調整を継続する。
その後、パージガスバルブ(Fn)9を閉じることでn番目の真空容器1を大気開放状態とすることができる。図6の例では、n番目の真空容器1が大気開放状態のときにも、残りの真空容器1について圧力調整を継続している。
(実施の形態3)
次に、図3と図7を用いて本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3では、図3に示すように、圧力調整用のガス供給系を省略し、排気系を1系統としている。具体的には、図1に示すガス供給バルブ2、マスフローコントトーラ3、ニードルバルブ4、切替バルブ6および配管等を含むガス供給系と、ゲートバルブ8、真空排気ポンプ11および配管等を含む第2ガス排出経路とを省略し、第1ガス排出経路に、真空容器1を大気から排気する際に使用する真空排気系と、真空容器1の圧力調整用の真空排気系との双方の機能を付与している。これ以外の構成については実施の形態1の場合と同様である。
本実施の形態3の真空処理装置の場合、圧力調整用ガスの供給系を省略するとともに真空排気系を1系統としているので、実施の形態2の場合よりもさらに真空処理装置の構成を簡素化することができる。
本実施の形態3の思想は、調整したい圧力が排気系により達成される真空容器1の到達圧力近傍で、特に一定時間封止状態で試料を保管している期間の圧力上昇も許容される真空処理装置に有効である。
次に、本実施の形態3の真空処理装置の圧力調整方法について図7を用いて説明する。本実施の形態3の場合も、n番目の真空容器1を、シリコン基板等の試料を出し入れするときのように大気開放状態とする場合の圧力調整方法の一例について説明する。
図7に示すように、ゲートバルブ(Dn)7とパージガスバルブ(Fn)9とを閉じた状態で、n番目の真空容器1を大気開放状態とする。このとき、残りの真空容器1については、ゲートバルブ(D1〜Dn−1)7を開いて真空排気ポンプ10を作動させることで真空状態を維持する。
次に、ゲートバルブ(Dn)7を開き、真空排気ポンプ10を作動させることで、n番目の真空容器1の排気を行なう。この排気の際には、残りの真空容器1については、ゲートバルブ(D1〜Dn−1)7を閉じることで各真空容器1を封止状態とする。
その後、ゲートバルブ(Dn)7を開いた状態で真空排気ポンプ10を作動させることでn番目の真空容器1の真空状態を維持する。このとき、残りの真空容器1についても、ゲートバルブ(D1〜Dn−1)7を開いた状態とし、各真空容器1の真空状態を維持する。
次に、ゲートバルブ(Dn)7を閉じ、パージガスバルブ(Fn)9とを開くことでn番目の真空容器1内が大気圧になるまでベント処理を行なう。このベント処理の際にも、残りの真空容器1については真空状態を維持する。その後、パージガスバルブ(Fn)9を閉じることでn番目の真空容器1を大気開放状態とするが、このようにn番目の真空容器1が大気開放状態のときにも、残りの真空容器1については真空状態を維持する。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
また、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形が含まれる。
本発明は、半導体やフラットパネルディスプレイ等の製造工程で基板を複数まとめて所定の圧力のもとに保持する必要がある真空処理装置および該真空処理装置の圧力調整方法に有効に適用され得る。
本発明の実施の形態1の真空処理装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態2の真空処理装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態3の真空処理装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態1の真空処理装置における各バルブの動作制御例を示す図である。 本発明の実施の形態1の真空処理装置における各バルブの他の動作制御例を示す図である。 本発明の実施の形態2の真空処理装置における各バルブの動作制御例を示す図である。 本発明の実施の形態3の真空処理装置における各バルブの動作制御例を示す図である。
符号の説明
1 真空容器、2 ガス供給バルブ、3 マスフローコントローラ、4 ニードルバルブ、5,6 切替バルブ、7,8 ゲートバルブ、9 パージガスバルブ、10,11 真空排気ポンプ、12 圧力調整ガス供給装置、13 パージガス供給装置。

Claims (6)

  1. 複数の真空容器と、
    前記真空容器に圧力調整用のガスを供給するガス供給経路と、
    前記ガス供給経路を介して前記真空容器に前記ガスを供給するガス供給手段と、
    前記ガス供給経路から分岐して設けられたガス排出経路と、
    前記ガス排出経路を介して前記ガスを排出するガス排出手段と、
    前記ガス供給手段からの前記ガスを、前記真空容器と前記ガス排出経路とのいずれか一方に導くように前記ガスの流路を切替可能な切替手段と、
    を備えた、真空処理装置。
  2. 前記切替手段は、
    前記ガス供給経路に設置され、前記真空容器への前記ガスの供給を制御する第1バルブと、
    前記ガス排出経路に設置され、前記ガス供給経路から前記ガス排出経路への前記ガスの排出を制御する第2バルブとを含む、請求項1に記載の真空処理装置。
  3. 前記第1バルブを、前記ガス供給経路と前記ガス排出経路との分岐部よりも下流側に設置した、請求項2に記載の真空処理装置。
  4. 各々の前記真空容器に対して前記ガス排出経路に設けられ、前記真空容器から前記ガス排出経路へのガスの排出を制御する第3バルブをさらに備えた、請求項2または請求項3に記載の真空処理装置。
  5. 前記真空容器からガスを排出可能な他のガス排出経路と、
    各々の前記真空容器に対して前記他のガス排出経路に設置され、前記真空容器から前記他のガス排出経路へのガスの排出を制御する第4バルブとをさらに備え、
    前記ガス排出手段は、
    前記ガス排出経路を介してガスを排出する第1排気ポンプと、
    前記他のガス排気経路を介してガスを排出する第2排気ポンプとを含み、
    前記第2排気ポンプの排気能力を、前記第1排気ポンプの排気能力よりも高くした、請求項1から請求項4のいずれかに記載の真空処理装置。
  6. 複数の真空容器と、該真空容器に圧力調整用のガスを供給するガス供給経路と、前記ガスを排出可能なガス排出経路とを備えた真空処理装置の圧力調整方法であって、
    圧力調整を行なう前記真空容器に対しては前記ガス供給経路を介して圧力調整用のガスを供給しながら圧力調整を行なう一方で、圧力調整を停止する前記真空容器に対しては前記ガス供給経路を流れるガスの流路を切替えて前記ガス排出経路に導き、当該ガスを排出するようにした、真空処理装置の圧力調整方法。
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