JP2007058132A - トナー用ポリエステル - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電の立ち上がり性に優れたトナー用ポリエステルを提供すること。
【解決手段】炭素数1〜18のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物の存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステルであって、該ポリエステル中のジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の総含有量が重量基準で50ppm以下であるトナー用ポリエステル。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用ポリエステルに関する。
電子写真分野では、高速化・高画質化の要求を満足するトナーの開発が望まれている。このため、耐久性が高く定着性に優れた結着樹脂としてポリエステルが広く使用されているが、高速化・高画質化に必要な帯電立ち上がり性は十分でない。
そこで、従来、荷電制御剤としてサリチル酸誘導体を使用することでトナーの帯電性を制御する方法(特許文献1参照)、誘電正接の調整により、樹脂の帯電量を制御する方法(特許文献2参照)、特定の外添剤を使用する方法(特許文献3参照)等が提案されているが、その効果は十分とはいえない。
一方、ポリエステルの性能を制御する要因として、重合過程で用いられるジブチルスズオキサイド中のトリブチルスズ化合物の含有量に着目し、定着性能や顔料分散性、感光体汚れが改善されたとするトナーバインダーが報告されているが(特許文献4参照)、モノブチルスズ化合物の使用やトナーバインダーやトナーへの影響については検討されていない。
特開2005−37794号公報 特開平10−268548号公報 特開2001−66821号公報 国際公開第2003/073171号パンフレット
本発明の課題は、帯電の立ち上がり性に優れたトナー用ポリエステルを提供することにある。
本発明は、炭素数1〜18のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物の存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステルであって、該ポリエステル中のジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の総含有量が重量基準で50ppm以下であるトナー用ポリエステルに関する。
本発明のトナー用ポリエステルは、帯電の立ち上がり性において優れた効果を奏する。
本発明は、モノアルキルスズ化合物の存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステル中のジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の総含有量が所定の範囲内にある点に大きな特徴を有する。モノアルキルスズ化合物は、ポリエステル製造用触媒としての活性が高く好適に用いられる一方で、得られるポリエステルは帯電の立ち上がり性に欠ける傾向がある。そこで、本発明者らが検討したところ、モノアルキルスズ化合物を製造する際に副生したジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物がポリエステル製造後もポリエステル中に残存し、ポリエステルの帯電の立ち上がり性を低下させる原因となっており、これらの含有量が所定の範囲内に制御されている場合に、ポリエステルの帯電の立ち上がり性が向上することが判明した。
本発明のポリエステル中のジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の総含有量は、帯電の立ち上がり性の観点から、重量基準で、50ppm以下であり、好ましくは40ppm以下、より好ましく30ppm以下である。ジアルキルキスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の含有量は、含有するジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の含有量を予め低減したモノアルキルスズ化合物を使用する方法、縮重合反応時の条件を調整し、ジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物を分解させることにより低減する方法等が挙げられる。
本発明では、触媒活性及び帯電の立ち上がり性の観点から、炭素数が1〜18、好ましくは2〜12が好ましく、より好ましくは4のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物を使用する。
炭素数1〜18のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物としては、メチルスズ(IV)ヒドロキシオキサイド、エチルスズ(IV)ヒドロキシオキサイド、プロピルスズ(IV)ヒドロキシオキサイド、ブチルスズ(IV)ヒドロキシオキサイド、オクチルスズ(IV)ヒドロキシオキサイド、ラウリルスズ(IV)ヒドロキシオキサイド、ステアリルスズ(IV)ヒドロキシオキサイド、トリクロロブチルスズ等が挙げられるが、帯電特性の観点からブチルスズ(IV)ヒドロキシオキシドが好ましい。
ジアルキルスズ化合物としては、ジクロロブチルスズ、ジブチルスズオキシド等が挙げられる。
トリアルキルスズ化合物としては、酢酸トリブチルスズ、臭化トリブチルスズ、クロロトリブチルスズ、水素化トリブチルスズ、酸化ビス(トリブチルスズ)、ビス(トリブチルスズ(IV))、硫酸ビス(トリブチルスズ)等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物としては、例えば、MBTO(エーピーアイコーポレーション(株)製、ブチルスズ(IV)ヒドロキシオキサイド)等の市販品中のジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の含有量を必要に応じて適宜調整して用いることができる。
炭素数1〜18のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物中に不純物として存在するジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の含有量は、2重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましい。モノアルキルスズ化合物中のジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物は、例えば、モノアルキルスズ化合物は溶解せず、ジアルキルスズ化合物及び/又はトリアルキルスズ化合物は溶解する溶剤に、ジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の含有量を低減しようとするモノアルキルスズ化合物を混合し、濾別する方法により低減することができる。例えば、ブチルスズ(IV)ヒドロキシオキサイドは溶解せず、ジブチルスズ化合物及びトリブチルスズ化合物は溶解する溶剤としては、例えば、アセトニトリル等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物の存在量は、帯電の立ち上がり性及び触媒活性の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.5重量部がより好ましく、0.15〜0.4重量部がさらに好ましい。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の、式(I):
Figure 2007058132
(式中、ROはアルキレンオキサイドであり、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数であり、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられ、これらの中では、帯電性と耐久性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、少なくともモノアルキルスズ化合物の存在下、180〜250℃の温度で行うことができる。例えば、縮重合反応を、230〜250℃程度の高温下で長時間行うことにより、ポリエステル中に残存するジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物を低減することができる。
本発明のトナー用ポリエステルの軟化点は、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、80〜160℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。また、ガラス転移点は、低温定着性と保存性の観点から、50〜80℃が好ましく、55〜70℃がより好ましい。
本発明の結着樹脂を、着色剤、離型剤、荷電制御剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤とともに原料として用い、トナーが得られる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系等の各種染料を1種又は2種以上を併せて使用することができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
トナーは、混練粉砕法、乳化凝集法、スプレイドライ法、重合法等の公知の方法により製造することができる。混練粉砕法により粉砕トナーを製造する一般的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級する方法等が挙げられる。さらに、製造過程における粗粉砕物や、得られたトナーの表面に、必要に応じて疎水性シリカ等の流動性向上剤等を添加してもよい。本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、4〜8μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所製、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
スズ触媒の精製
水/アセトニトリルが1/1(容量比)の混合溶媒100mlに2Mの塩酸10mlを添加した後、クロロホルムに溶解させたモノアルキルスズ化合物「MBTO」(エーピーアイコーポレーション(株)製、ブチルスズ(IV)ヒドロキシオキシド(MBTO)の含有量:97.4重量%、ジブチルスズ化合物(DBT)の含有量:2.5重量%、トリブチルスズ化合物(TBT)の含有量:0.1重量%)を溶液に加え、振とうしたのち、分液ロートを用いて水相とアセトニトリル相に分離した溶液からアセトニトリル相のみを除去した。この操作を、DBT及びTBTの含有量が所望の範囲となるまで繰り返し、MBTO-A〜MBTO-Eを得た。MBTO、DBT及びTBTの含有量を表1に示す。
なお、本実施例において、MBTO、DBT及びTBTの含有量は、以下の方法により測定した。
〔MBTO、DBT及びTBTの含有量の測定〕
試料を抽出溶液(KOHのメタノール溶液)で処理する。さらに抽出液をテトラエチルホウ酸ナトリウムで処理し、得られたアルキル化合物をGC/MS/SIMで定量する。また、触媒の主成分であるブチルスズ(IV)ヒドロキシオキサイドについては、GCで定量する。詳細を以下に示す。
(1) 試料溶液の調製
試料として、触媒0.1g又は樹脂1.0gを使用し、図1に示すフローチャートに従って前処理し、GC/MS/SIM測定用の試料溶液を調製する。触媒の試料溶液は最終的に100mlとし、樹脂の試料溶液は最終的に10mlとする。
(2) 標準溶液の調製
市販のトリクロロブチルスズ、ジクロロジブチルスズ、クロロトリブチルスズの混合溶液から3つの標準溶液(定量用に1ppm、0.1ppm、定量下限用に10ppb)を調製する。
(3) 測定装置
GC-MS:GC mate II(日本電子社製)
GC:GC-2010型(島津製作所製)
(4) GC測定条件
カラム:CP-SIL-5CB(0.25mmID×60m)
温度:100℃〜250℃(5℃/min)
注入口温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウム(1ml/min)
注入量:1μl
(5) MS測定条件
検出:選択的イオンモニタリング(SIM)
加速電圧:4kv
イオン源温度:180℃
測定質量数:m/z=179(モノブチル)
m/z=263(ジブチル、トリブチル)
Figure 2007058132
実施例1〜3及び比較例1〜4
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びスズ触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で5時間縮重合反応させた。さらに、8.3kPaで1時間反応させた後、210℃にまで冷却を行い、無水トリメリット酸を添加し、常圧で1時間反応させた後、8.0kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、結着樹脂を得た。
実施例4
表2に示すフマル酸以外の原料モノマー及びスズ触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで5時間縮重合反応させた。さらに、8.0kPaで1時間反応させた後、180℃まで冷却を行い、フマル酸及びハイドロキノンを添加し、210℃まで4時間かけて段階的に昇温し、所望の軟化点に達するまで反応させて結着樹脂を得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
実施例5
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー、ハイドロキノン及びスズ触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、180℃から210℃まで4時間かけて縮重合反応させた後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。無水トリメリット酸を添加し、常圧で1時間反応させた後、さらに8.0kPaにて所望の軟化点に達するまで縮重合反応を行い、結着樹脂を得た。
実施例6
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びスズ触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃で8時間縮重合反応させた。さらに、8.3kPaで1時間反応させた後、210℃にまで冷却を行い、無水トリメリット酸を添加し、常圧で1時間反応させた後、8.0kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、結着樹脂を得た。
Figure 2007058132
トナー製造例
表3に示す結着樹脂100重量部、カーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製)をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8.0μmの粉体を得た。
試験例1〔帯電の立ち上がり性〕
トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、体積平均粒子径90μm)19.4gとを50ml容のポリ瓶に入れ、ボールミルを用いて400r/minで混合し、帯電量をq/mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。混合時間5秒後における帯電量と混合時間600秒間における最大帯電量の比率(混合時間5秒後における帯電量/混合時間600秒間における最大帯電量)を計算し、以下の評価基準に従って帯電の立ち上がり性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
◎:0.6以上
○:0.4以上、0.6未満
×:0.4未満
試験例2〔流動性〕
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製、TYPE PT-E)を用いて緩み見掛け比重を測定し、以下の評価基準に従って流動性を評価した。目開き710μmの篩の上に、適当量のトナーを投入し、下に見かけ比重測定用カップ(カップ容積100ml)をおき、レオスタットの電圧を徐々に上げていく。電圧はカップが山盛りになるまでの時間が約20〜30秒になるように調節する。カップが山盛りになったら電圧を0に戻し、ブレードを用いてカップの表面をすりきり、カップ内のトナーを秤量し、下記式により緩み見掛け比重を算出した。結果を表3に示す。
緩み見掛け比重=トナーの重量/100
〔評価基準〕
◎:0.42以上
○:0.37以上〜0.42未満
△:0.35以上〜0.37未満
×:0.35未満
Figure 2007058132
以上の結果より、比較例で得られたポリエステルを使用して得られたトナーH〜Kと対比して、実施例で得られたポリエステルを使用して得られたトナーA〜Gは、帯電の立ち上がり性に優れ、流動性も良好であることが分かる。特に、試験例1においては、高速印刷機を想定し、ボールミルの回転数を400r/minと高めに設定し、しかも初期帯電量として攪拌開始からわずか5秒後の帯電量と攪拌時間600秒間の最大帯電量との対比を行ったが、トナーA〜Gの帯電量は両攪拌時間において遜色なく、極めて優れた帯電の立ち上がり性を示すことが分かる。
本発明のトナー用ポリエステルは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナーの結着樹脂等として好適に用いられるものである。
図1は、ブチルスズ(IV)ヒドロキシオキシド(MBTO)、ジブチルスズ化合物(DBT)、トリブチルスズ化合物(TBT)の含有量の測定において、GC/MS/SIM測定に用いる試料溶液の調製方法を示すフローチャートである。

Claims (4)

  1. 炭素数1〜18のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物の存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるトナー用ポリエステルであって、該ポリエステル中のジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の総含有量が重量基準で50ppm以下であるトナー用ポリエステル。
  2. 炭素数1〜18のアルキル基を有するモノアルキルスズ化合物中に不純物として存在するジアルキルスズ化合物及びトリアルキルスズ化合物の含有量が2重量%以下である請求項1記載のトナー用ポリエステル。
  3. モノアルキルスズ化合物の存在量が、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部である請求項1又は2記載のトナー用ポリエステル。
  4. アルコール成分が、式(I):
    Figure 2007058132
    (式中、ROはアルキレンオキサイドであり、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数であり、xとyの和は1〜16である)
    で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有してなる請求項1〜3いずれか記載のトナー用ポリエステル。
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