以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。画像形成装置としてレーザビームプリンタ(以下、プリンタともいう)10を例にとって、その概要を説明する。言うまでもなく、本実施形態の画像形成装置はレーザープリンタに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ又はこれらの機能を複数併せ持った複合機等にも適用可能である。図1は本発明に係る画像形成装置の実施の形態を説明する図であり、プリンタ10を構成する主要構成要素を示している。図2は制御ユニットの構成概要を説明する図である。図中、10はレーザビームプリンタ、11は中間転写ベルトクリーニングブレード、12は中間転写ベルトクリーニングローラ、15Y、15M、15C、15Kは現像部、20Y、20M、20C、20Kは感光体、30Y、30M、30C、30Kは帯電ユニット、40Y、40M、40C、40Kは露光ユニット光路、50Y、50M、50C、50Kは現像ユニット、60Y、60M、60C、60Kは一次転写ユニット、70は中間転写ベルト、73Y、73M、73C、73Kは除電ユニット、75Y、75M、75C、75Kは感光体クリーニングユニット、76Y、76M、76C、76Kは感光体クリーニングブレード、80は二次転写ユニット、100は制御ユニット、101はメインコントローラ、102はユニットコントローラを示す。なお、図1には、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kは、プリンタ10の下部に配置されており、中間転写ベルト70は、プリンタ10の上部に配置されている。
本実施の形態に係るプリンタ10は、図1に示すように、4つの現像部15Y、15M、15C、15K、中間転写ベルト70、二次転写ユニット80を有し、さらに、不図示の定着ユニット、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット、及びこれらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット100を有している。
現像部15Y、15M、15C、15Kは、それぞれ、イエロー(Y)現像剤、マゼンタ(M)現像剤、シアン(C)現像剤、ブラック(K)現像剤で潜像を現像する機能を有している。イエロー(Y)現像剤、マゼンタ(M)現像剤、シアン(C)現像剤、ブラック(K)の各現像剤は、液体キャリアに各色のトナーを分散させたものが用いられる。現像部15Y、15M、15C、15Kの構成は同様であるので、以下、現像部15Yについて説明する。
現像部15Yは、図1に示すように、像担持体の一例としての感光体20Yの回転方向に沿って、帯電ユニット30Y、露光ユニット40Y、現像装置の一例としての現像ユニット50Y、一次転写ユニット60Y、除電ユニット73Y、感光体クリーニングユニット75Yを有している。
感光体20Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。帯電ユニット30Yは、感光体20Yを帯電するための装置である。不図示の露光ユニットからは、光路40Yでレーザを照射することによって帯電された感光体20Y上に潜像を形成する。露光ユニット30Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20Y上に照射する。現像ユニット50Yは、図1に示す先に説明した構成を有し、感光体20Y上に形成された潜像を、イエロー(Y)現像剤を用いて現像するための装置である。
一次転写ユニット60Yは、感光体20Yに形成されたイエロー現像剤像を中間転写ベルト70に転写するための装置である。一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kにより、4色の現像剤が順次重ねて転写された場合には、中間転写ベルト70にフルカラー現像剤像が形成される。感光体クリーニングユニット75Yは、感光体20Yの表面に当接されたゴム製の感光体クリーニングブレード76Yを有し、一次転写ユニット60Yによって中間転写ベルト70上に現像剤像が転写された後に、感光体20Y上に残存する現像剤を感光体クリーニングブレード76Yにより掻き落として除去するための装置である。除電ユニット73Yは、一次転写ユニット60Yによって中間転写ベルト70上に現像剤像が転写された後に、感光体20Y上の残留電荷を除去する装置である。
中間転写ベルト70は、複数の支持ローラに張架されたエンドレスのベルトであり、感光体20Y、20M、20C、20Kと当接しながら回転駆動される。二次転写ユニット80は、中間転写ベルト70上に形成された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。不図示の定着ユニットは、媒体上に転写された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙等の媒体に融着させて永久像とするための装置である。
制御ユニット100は、図2に示すようにメインコントローラ101と、ユニットコントローラ102とで構成されている。メインコントローラ101は、インターフェイス(I/F)を介してホストコンピュータと接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ113を備えている。ユニットコントローラ102は、装置本体の前記各ユニット(帯電ユニット30Y、30M、30C、30K、露光ユニット40Y、40M、40C、40K、現像ユニット50Y、50M、50C、50K、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60K、除電ユニット73Y、73M、73C、73K、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75K、二次転写ユニット80、定着ユニット、表示ユニット)と電気的に接続される。そして、メインコントローラ101には、ホストコンピュータから画像信号及び制御信号が入力され、この画像信号及び制御信号に基づく指令に応じて、ユニットコントローラ102は、各ユニット等が備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、各ユニット等を制御し画像を形成する。
次に、このように構成されたプリンタ10の動作について、他の構成要素にも言及しつつ説明する。まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス(I/F)を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づくユニットコントローラ102の制御により感光体20Y、20M、20C、20K、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kに備えられた後述する現像ローラ、及び、中間転写ベルト70等が回転する。感光体20Y、20M、20C、20Kは、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30Y、30M、30C、30Kにより順次帯電される。
感光体20Y、20M、20C、20Kの帯電された領域は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40Y、40M、40C、40Kによって、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された潜像は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って現像位置に至り、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kによって現像される。これにより、感光体20Y、20M、20C、20K上に現像剤像が形成される。
感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された現像剤像は、感光体20Y、20M、20C、20Kの回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kによって、中間転写ベルト70に転写される。この際、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kには、現像剤の帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。この結果、各々の感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された4色の現像剤像は、中間転写ベルト70に重なり合って転写され、中間転写ベルト70上にはフルカラー現像剤像が形成される。中間転写ベルト70内周にはローラが設けられており、中間転写ベルト70は、不図示のモータ等の駆動力がこのローラを介して伝達されることによって駆動される。
中間転写ベルト70上に形成されたフルカラー現像剤像は、中間転写ベルト70の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって記録媒体に転写される。なお、このような記録媒体は、不図示の給紙トレイから、各種ローラを介して二次転写ユニット80へ搬送される(図1中の矢印は、媒体の搬送方向を表している)。また、転写動作を行う際、二次転写ユニット80は中間転写ベルト70に押圧されるとともに二次転写電圧が印加される。
フルカラー現像剤像が二次転写ユニット80によって記録媒体に転写された後、中間転写ベルト70はさらに反時計回りに回転して、中間転写ベルト70表面に残留した液体キャリアとトナーとを、中間転写ベルトクリーニングブレード11によって除去する。中間転写ベルトクリーニングブレード11は、ゴム製のブレードであり、硬度JIS−A70°のウレタンゴムが用いられる。中間転写ベルト70の幅324mmに対して、中間転写ベルトクリーニングブレード11の幅は317mmであり、中間転写ベルトクリーニングブレード11は中間転写ベルト70に対して50gf/cmの線圧で当接させる。なお、必要に応じてこの中間転写ベルトクリーニングブレード11を離間させるような機構を設けておくこともできる。記録媒体に転写されたフルカラー現像剤像は、定着ユニットによって加熱加圧されて媒体に融着される。
一方、感光体20Y、20M、20C、20Kは一次転写位置を経過した後に、除電ユニット73Y、73M、73C、73Kによって除電され、さらに、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75Kに支持された感光体クリーニングブレード76Y、76M、76C、76Kによって、その表面に付着している現像剤が掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされた現像剤は、感光体クリーニングユニット75Y、75M、75C、75Kが備える残存現像剤回収部に回収される。
次に、図3乃至図6を用いて、現像ユニットの構成例について説明する。図3は現像ユニットの主要構成要素を示した断面図である。図4は現像剤供給ローラ550の表面を表した斜視概念図である。図5は現像剤供給ローラ550表面に設けられた溝の形状を示す断面図、図6は加振ユニットの構成概要を説明する図である。なお、図3においては、図1同様、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ローラ510は、現像剤汲み上げローラ540よりも上方にある。図中、20は感光体、50は現像ユニット、510は現像ローラ、520は加振ユニット、521は当接部材、522は支持部、524は加振部材、530は現像剤収容部、540は現像剤汲み上げローラ、550は現像剤供給ローラ、560は規制ブレード、562は規制ブレード支持部材、570は現像ローラクリーニングユニット、571は現像ローラクリーニングブレード、Dは現像剤を示す。
現像ユニット50は、現像剤担持体の一例としての現像ローラ510と、現像剤収容部530と、現像剤汲み上げローラ540と、現像ローラ510に現像剤を供給し塗布する現像剤供給部材の一例としての現像剤供給ローラ550と、規制部材の一例としての規制ブレード560と、現像ローラクリーニングユニット570とを有している。
現像剤収容部530は、感光体20に形成された潜像を現像するための現像液Dを収容する。この現像剤収容部530に収容されている現像液Dは、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本実施の形態に係る液体現像剤Dは、シリコーンオイル等の不揮発性かつ絶縁性キャリア液中に、平均粒径0.1〜5μm程度の樹脂、顔料等からなるトナー粒子を高濃度(5〜40wt%程度)に分散させた高粘度(100〜10000mPa・s程度)の現像液Dである。
現像剤汲み上げローラ540は、現像剤収容部530に収容されている現像液Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する。この現像剤汲み上げローラ540は、その下部が現像剤収容部530に収容された現像液Dに浸されており、また、現像剤供給ローラ550から、約1mmの幅を持って離間している。
さらに、現像剤汲み上げローラ540は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、現像剤供給ローラ550の回転中心軸よりも下方にある。また、現像剤汲み上げローラ540は、現像剤供給ローラ550の回転方向(図3において時計方向)と同じ方向(図3において時計方向)に回転する。なお、現像剤汲み上げローラ540は、現像剤収容部530に収容された現像液Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する機能を有するとともに、現像液Dを適正な状態に維持するために現像液Dを撹拌する機能をも有している。
現像剤供給ローラ550は、現像剤収容部530から現像剤汲み上げローラ540により搬送された現像液Dを現像ローラ510へ供給し塗布する塗布ローラである。この現像剤供給ローラ550には、鉄等金属性のローラの表面に例えば図4に示すような凹部の微細な溝550aを均一かつ螺旋状に形成して、ニッケルメッキを施したアニロックスローラが用いられ、その直径は約25mmである。本実施の形態における現像剤供給ローラ550は、当該溝550aとして、図5(A)に示すような台形の断面形状を有する溝を備えている。また、溝550aは、図5(B)に示すような逆三角形の断面形状を有するものであってもよいし、図5(C)に示すような半円形の断面形状を有するものであってもよい。なお、本実施の形態における現像剤供給ローラ550の溝寸法は、例えば図5(A)に示すとおり、溝ピッチ約170μm、山幅約45μm、谷幅約30μm、溝深さ約50μmである。また、アニロックスローラは、ローラの表面にワイヤを巻回することにより上記と同様、表面に凹部の微細な溝550aを均一かつ螺旋状に形成したものであってもよい。
さらに、現像剤供給ローラ550は、当該現像剤供給ローラ550上の現像液Dを現像ローラ510に適切に転写して塗布するために、その表面が、当該現像ローラ510の後述する弾性体の層に圧接している。また、現像剤供給ローラ550は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、現像ローラ510の回転中心軸よりも下方にある。また、現像剤供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向(図3において反時計方向)と逆の方向(図3において時計方向)に回転する。
規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550の表面に当接して、現像剤供給ローラ上の現像液Dの量を規制する。すなわち、当該規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550上の余剰現像液を掻き取って、現像ローラ510に供給する現像剤供給ローラ550上の現像液D、を計量する役割を果たす。この規制ブレード560は、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材562より支持されている。なお、規制ブレード560のゴム硬度は、JIS−Aで約62度であり、規制ブレード560の、現像剤供給ローラ550表面への当接部、の硬度(約62度)は、後述する現像ローラ510の弾性体の層の、現像剤供給ローラ550表面への圧接部、の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、規制ブレード560は、その先端が現像剤供給ローラ550の回転方向の下流側に向くように配置されており、いわゆるトレール規制を行う。トレール角度は約10度である。
このようにアニロックスローラを現像剤供給ローラ550に用いることにより、アニロックスローラの表面に形成された溝550aに現像液Dを担持するとともに、溝550aの容積によって現像液Dを計量して、被塗布物である現像ローラ510への塗布量を一定に調整する。そして、規制ブレード560は、溝550aから溢れた現像液Dの余剰分をアニロックスローラ上から除去するためその表面に当接させて使用される。これにより、溝550aから溢れた現像液Dは規制ブレード560によって摺り切られることで計量され、現像ローラ510への塗布量を安定化させることができる。
現像ローラ510は、感光体20に担持された潜像を現像液Dにより現像するために、現像液Dを担持して感光体20と対向する現像位置に搬送する現像剤担持体である。この現像ローラ510は、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性部の一例としての弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ510は、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で現像剤供給ローラ550及び感光体20のそれぞれに圧接している。
また、現像ローラ510は、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体20の回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ510は、感光体20の回転方向(図3において時計方向)と逆の方向(図3において反時計方向)に回転する。なお、感光体20上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ510と感光体20との間に電界が形成される。
加振ユニット520は、現像ローラ510が担持して感光体20と対向する現像位置に搬送する現像液Dに対して垂直方向に、その液膜上に形成される周期的厚みムラの周期の数分の1から数十分の1以下に相当する周波数、ほぼ液膜の厚みに相当する振幅で、液膜の有効幅にわたって機械的な微振動を加える加振手段である。そのため、加振ユニット520は、現像ローラ510の表面上の、現像ローラ510と現像剤供給ローラ550とのニップ部の回転方向下流で、感光体20と現像ローラ510との現像ニップの上流側に当接して配置され、図6に示すように支持部522により現像装置等の固定された筐体の一部に当接部材521が支持固定され、加振部材524により当接部材521を加振して振動させる。加振部材524には、例えば高周波電圧を電極間に印加して振動させる圧電振動子(ピエゾ素子)が用いられ、現像ローラ510の表面移動速度に応じて、例えばその表面移動速度が1000mm/sec〜1400mm/secとなる、20枚/分(A4、A3)の印刷の場合には、140kHz以上、さらには50枚/分の高速印刷の場合には、350kHz以上の周波数で振動させることで、少なくとも画像において目視でも無視できる0.1mm以下にムラを低減することができる。
現像ローラクリーニングユニット570は、現像ローラ510の表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード571を有し、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ510上に残存する現像液Dを現像ローラクリーニングブレード571により掻き落として除去するための装置である。
このような構成の現像ユニット50における現像剤の現像位置までの供給、回収は次のように行われる。まず、現像剤汲み上げローラ540が、その中心軸回りに回転することによって、現像剤収容部530に収容されている現像液Dを汲み上げて現像剤供給ローラ550へ搬送する。
アニロックスローラを用いた現像剤供給ローラ550の溝550aで計量されて搬送された現像液Dは、現像剤供給ローラ550の回転によって、規制ブレード560の当接位置に至る。そして、当該当接位置を通過する際に、現像液Dの余剰分が規制ブレード560によって掻き取られ、現像ローラ510に供給される現像液Dの現像剤量が計量される。すなわち、アニロックスローラを用いた現像剤供給ローラ550には、前述したとおり、溝550aが設けられているから、現像剤供給ローラ550に当接する規制ブレード560は、現像剤供給ローラ550上の現像液Dを溝550aに保持された現像液Dを残して掻き取ることとなる。また、現像ローラ510に供給される現像液Dの現像剤量が適正な量になるように溝550aの寸法が決められているので、規制ブレード560が現像剤供給ローラ550上の現像液Dを掻き取った際には、溝550aによって適正な量に計量された現像液Dが溝550aに残存することとなる。
アニロックスローラを用いた現像剤供給ローラ550の溝550aに保持され計量された現像液Dは、現像剤供給ローラ550のさらなる回転によって、現像ローラ510との圧接位置に至る。当該圧接位置に至った現像液Dは、現像剤供給ローラ550と現像ローラ510が圧接することにより生ずる圧力の作用より、現像剤供給ローラ550から現像ローラ510へ転写され、現像ローラ510上には現像液Dの薄膜が形成される。
このようにして現像ローラ510の表面上に形成された現像液Dの薄膜は、現像ローラ510の回転によって、加振ユニット520の当接位置に至ると、当該当接位置を通過する際に、現像液Dの薄膜に対して機械的振動が加えられることにより、塗布された厚みムラのある液膜が均一な厚みになると共に、液膜内にあり現像ローラ510の表面にめり込んだり貼りついたりしているトナーの各粒子が離反する。しかる後に、感光体20に対向する現像位置(すなわち、感光体20との圧接位置)に至り、該現像位置にて所定の大きさの電界下で感光体20上に形成された潜像の現像に供される。現像位置を通過した現像ローラ510上の現像液Dは、現像ローラ510のさらなる回転によって、現像ローラクリーニングブレード571の当接位置に至る。そして、当該当接位置を通過する際に、現像ローラクリーニングブレード571によって、現像ローラ510の表面に付着している現像液Dが掻き落とされ、掻き落とされた現像液Dは、現像ローラクリーニングユニット570が備える残存現像剤回収部に回収される。
本実施の形態では、上記のように現像剤供給ローラ550から現像ローラ510上に現像液膜を塗布した後の段階で、且つ潜像を形成した感光体20によって現像を行なう現像部に現像ローラ510上の液膜が到達する前の段階で、物理的作用を加える手段、つまり加振ユニット520により、現像ローラ510上に塗布された液膜に、液膜の厚みの乱れが均一になるように機械的に微振動を加える。具体的には、現像ローラ510上の現像液膜に対して前記した段階で、液膜の進行方向に対して略直交方向即ち、現像ローラ510の表面に対して垂直方向(径方向、液膜の厚み方向)、或いは現像ローラ510の軸方向に、現像に供する液膜の有効幅にわたって物理的作用を加える。この物理的作用は、現像に供する液膜の有効幅の全域にわたって、静的には比較的均一な圧力分布を有しながら、動的には圧力変動を生じさせることをさす。
本実施の形態において、前記物理的作用を加える手段、つまり加振ユニット520は、図6に示すように当接部材521、支持部522、加振部材524からなり、加振部材524は、例えば図6(A)に示すように当接部材521が現像ローラ510に当接する位置の近傍に配置し、当接部材521を現像ローラ510の中心方向Xに加振して振動させる。つまり当接部材521は、一端が支持部522により支持固定され、ほぼ現像ローラ510の軸と当接部材521との当接位置を通る線上に加振部材524が配置される。或いは図6(B)に示すように当接部材521を支持固定する支持部522との間に加振部材524を配置し、当接部材521が現像ローラ510に当接する接線方向X1 や、現像ローラ510の軸方向X2 、或いはそれらの方向、現像ローラ510の表面上に形成される液膜のアニロックスパターンの角度に対して45°その他所定の角度を有する方向に当接部材521を加振して振動させる。また、図6(C)に示すように円筒ループ状の当接部材521を用い、支持部522を現像装置等の固定された筐体の一部に支持固定して、そのループ状の当接部材521の支持部522と反対側を現像ローラ510に当接させ、その当接位置の裏側に加振部材524を配置して当接位置で当接部材521を当接部材521が現像ローラ510に当接する接線方向Xに加振して振動させる。これら板状のものに代えて図6(D)に示すようにローラ部材を当接部材521に用いて現像ローラ510上の液膜に当接させその軸側から加振部材524により当接部材521が現像ローラ510に当接する接線方向Xに加振して振動させるようにしてもよい。
図7は画像濃度に応じて加振手段を制御する本発明の実施の形態を説明する図である。液体現像剤の粘度が低い場合、現像ローラ510の表面上に塗布された液体現像剤により形成される液膜にアニロックスパターンの規則的厚みムラがあっても、その厚みムラは、感光体20との現像ニップ部に搬送されるまでに緩和されるが、粘度や濃度が高くなると、その厚みムラがあまり緩和されなくなり、これら粘度や濃度は、温度によりその他画像形成条件により変動する。また、例えば画像形成動作が、連続か、前回から相当時間の経過した後か、電源投入してシステムを立ち上げた後か、待機・節電モードからの移行か、高速モードによる動作か等画像形成条件によっても液膜の厚みムラが十分緩和されない場合がある。しかも、現像ローラ上の濃度ムラは、アニロックスローラ等の現像剤供給ローラによる転写パターンの影響だけでなく、長期間現像装置を使用した場合のローラ表面状態の影響、使用環境による影響等によっても生じる。濃度ムラが生じた場合、感光体上もしくは中間転写体上の濃度は小さくなる。
そこで、パッチ処理と同様に所定条件でテスト画像を形成し、その画像濃度の測定結果から振動条件を変更して濃度ムラが生じないように振動条件を最適化する。その処理は、図7に示すようにまず、画像形成を行うに先立って、現像装置の使用期間、画像形成前の動作履歴、その他の条件判定するために必要な情報を取り込み(ステップS11)、テスト画像の形成が必要か否かの判定を行う(ステップS12)。テスト画像の形成が必要と判定された場合には、予め用意されている所定のテスト画像の形成を行って(ステップS13)、そのテスト画像の濃度の濃度を検出し濃度情報を取得する(ステップS14)。そして、取得した濃度情報に基づき濃度ムラの判定を行い(ステップS15)、濃度ムラの判定に従い、加振手段のオン/オフ、振動強度の調整等、振動の制御を行う(ステップS16)。
振動の制御は、例えば濃度ムラが大きい場合、加振手段をオンにして所定の振動強度で加振し、その結果に基づきさらに同様のテスト画像の形成、濃度の検出を行い、濃度ムラの改善度合いに応じてさらに振動強度を大きくしたり小さくする調整を実行させるようにしてもよい。
図8は加振による液膜の乱れの改善効果を説明する現像液膜表面の写真、図9は加振によるトナー粒子の浮き上がり効果を説明する図である。
現像剤供給ローラ550と現像ローラ510の表面が同方向に移動するように設定した際に観察された現像ローラ510上の現像液膜の写真を、図8(A)、図8(B)、図8(C)に示す。図8(A)は、現像ローラ510上に供給された現像液膜表面の写真の例であり、不規則な波状のうねりが観察される。このうねりは、現像剤供給ローラ550から現像ローラ510へ現像液膜が供給され、現像剤供給ローラ550から現像液膜が離反する際に生ずる剥がれに起因した現像液膜表面の乱れによるものである。現像剤供給ローラ550として計量のための溝加工を表面に施したアニロックスローラを用いて、図8(A)の場合とは異なる条件で現像液膜を現像ローラ510上に供給塗布した場合の、現像ローラ510上の現像液膜表面の写真の例を、図8(B)に示す。表面には周期的なうねりが観察された。このうねりは、アニロックスの溝パターンに対応した比較的規則性のあるうねりである。
これら図8(A)或いは図8(B)に示された、不均一なうねりのある表面性を有する現像液膜が形成されている現像ローラ510を使って現像を行った時、現像部で顕像化された後の現像液膜上にもこの不均一性が濃厚に反映された。現像液膜表面の乱れは、現像ローラ510からそのまま現像後の顕像上にも受け継がれ、感光体20上で観測された。現像液膜の表面に発生する不規則なムラ、或いは規則的なうねり状のムラ、即ち現像液膜の厚みムラが少ないほど、感光体20上の顕像も、更には紙面などへの印刷結果もムラが無いことになる。
現像装置に現像液を供給する前の現像液にあっては、現像液を構成する溶媒に対して、トナー粒子が均一濃度で分散している状態が望ましいが、トナー粒子の均一分散を維持或いは形成するために、必要に応じて攪拌などの処理が行われることがある。これは、現像部に供給される現像液膜が、現像領域全域にわたって、トナー粒子が均一濃度で分散していることが望ましいからである。しかしながら、現像ローラ510上に塗布された、数ミクロン程度の膜厚からなる現像液膜中においては、現像液膜を構成する溶媒とトナー粒子とが、均一な状態が維持されているわけではない。現像液膜が現像剤供給ローラ550から現像ローラ510へ供給される際に加えられる圧力や、摩擦力によって、トナー粒子が現像ローラ510へ押し付けられることにより、図9(A)に示すように一部のトナー粒子T1が部分的に現像ローラ510にめり込んだり、張り付いたりすることがある。また、アニロックスローラのような溝つきの現像剤供給ローラ550を用いる場合、現像ローラ510上に溝パターンがそのまま転写され、このパターンを消すために、現像ローラ510上に均し部材を備えたとしても、高濃度・高粘度の液体現像剤では、この均し部材により現像ローラ510にトナーが強く押しつけられることにより、溝パターンは消えるもののトナーが現像ローラ510上に図9(A)に示すようにフィルミングしたり、現像効率が下がったりする欠点がある。
現像剤供給ローラ550による現像ローラ510への現像液膜の塗布工程以降で、図9(A)に示すように一部のトナー粒子T1が現像ローラ510表面に、めり込んだり張り付いたりする場合は、これらトナー粒子T1の現像ローラ510への付着強度が他のトナー粒子T2よりも強いために、現像時において、所定の現像が得られない原因になり、現像のムラの要因になることがある。更には、現像後の工程で、現像ローラ510上に残留する現像液膜をクリーニングして、新たな現像液膜を塗布する際に、クリーニングの工程で充分クリーニングできずに現像ローラ510表面にトナー粒子T1がめり込み張り付いたまま残って、次のサイクルに悪影響を与える原因となることがある。
本実施形態にあっては、現像ローラ510上の現像液膜に対して、超音波機械振動を加えることにより、塗布された厚みムラがある現像液膜を均一な厚みに修正する一方で、更に、現像ローラ510の軸方向の現像液膜に加えられた超音波機械振動が、現像液膜内にあるトナーの各粒子に、溶媒を介して伝達されることにより、トナー粒子が現像液膜を構成する溶媒中で振動する。この結果、図9(B)に示すように前記した現像ローラ510表面にめり込んだり張り付いたりしているトナー粒子T1′が、現像ローラ510の表面から離反して溶媒中へ浮き上がり、相対的に現像液膜の中央部へ寄せられる。従って、現像ローラ510の表面へのトナー粒子のめり込みや張り付きが解消され、現像時のムラ要因が解消される。また、前記した現像ローラクリーニングブレード571による現像ローラクリーニング工程でのクリーニング不良要因も解消される。
次に、液膜に振動を与えた場合と振動を与えない場合における溝パターンの見えなくなる現像剤の膜圧と規制ブレードの線圧の関係を示す。図10は現像剤別の溝パターンの見えなくなる現像剤の膜圧と規制ブレードの当接圧の関係を示す図であり、加振部材により当接部材を加振させる周波数を400kHzとして、加振させた場合を○、比較例として加振させない場合を×で示し溝パターンの見えなくなる膜厚とブレード線圧の関係を求めたものである。
図10(A)は次の現像剤Aを用いたときの膜厚とブレード線圧の関係を示す。現像剤Aは、「樹脂:テレフタル酸とトリメリット酸の酸混合物と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物との重縮合架橋ポリエステル(重量平均分子量23,400、Mw/Mn=9.0、酸価27mgKOH/g)・・・50重量部」、「顔料:Pigment Blue 15:3・・・5重量部」をヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した後、3本ロールで混練し、直径2mmになるまで粗粉砕した。
次に、得られた混合物の20重量部をシリコーンオイル(動粘度100mm2 /s、信越化学工業製KF96−100cs)の77重量部、分散剤ソルスパース31845の2重量部、ステアリン酸アルミニウムの1重量部と混合して、更に分散装置(ヒーズミルドライスヴェルケ社製 AdvantisV15)を使用し、ビーズ直径1.0mm、流量20kg/hの条件で循環して分散した。負荷動力は3.5kWで一定とした。
得られた現像剤中の粒子成分の粒径をレーザ回折・分散式粒度分布測定装置(日機装製 マイクロトラックUPA150 modelNo.9340)によって測定したところ、個数平均粒子径は1.3μmであった。固形分率(全体に対する樹脂−顔料混練物の値)は20%である。
図10(B)は次の現像剤Bを用いたときの膜厚とブレード線圧の関係を示す。現像剤Bは、現像剤Aにおいて使用するオイルをシリコーンオイル(動粘度50mm2 /s、信越化学工業製KF96−50cs)に変えた他は同様に現像剤を作成した。個数平均粒子径は1.5μmであった。固形分率は20%である。
図10(C)は次の現像剤Cを用いたときの膜厚とブレード線圧の関係を示す。現像剤Cは、現像剤Aにおいて混合物を30重量部、オイルを67重量部に変えたほかは同様に現像剤を作成した。個数平均粒子径は1.6μmであった。固形分率は30%である。
本実施の形態で説明したように当接部材を加振部材により加振させ、現像ローラ510上の現像液膜に対して、その表面に機械的に振動を加え、固形分(トナー粒子)を振動させることで、図10のそれぞれの現像剤に対して○で示すように×で示した比較例より低いブレード線圧で均一な厚みの現像液膜を達成できる。ブレード線圧を低くできることは、それだけ装置を小型化できることになる。また、ブレード線圧を固定した場合には、膜厚を薄くしても均一な厚みの現像液膜を達成でき、現像効率を上げることができる。このように振動を与えることは現像剤の見かけ上の粘度を小さくすることになる。
上記のように本実施形態によれば、現像ローラ上へ転写される際の、液膜上に形成される周期的厚みムラの周期の数分の1から数十分の1以下に相当する周波数、液膜の厚み近傍の振幅の機械的振動を加えることにより、液膜に動的粘性を下げる効果を与える。更に機械的振動を加える機構が、同時に液膜を圧迫することにより、平坦化が促進される。さらには、トナー粒子の振動によるめり込みや張り付きの解消、薄膜化、現像効率の向上を図ることができる。
また、当接部材は、高周波機械振動を、液膜との接触面にわたって、伝えられるだけの機械強度を有する程度の可撓性の薄板を使用することで、加振に要する投入エネルギーは、印刷装置に使用される全エネルギーに対比して、微弱な値であり、従ってまた、発生するエネルギーに基づいて発生する温度上昇は、印刷動作中は勿論のこと、現像ローラ非動作時であって機械的に熱分散が起きない状態でも、高粘性液体の粘性を大きく変えるほどの変化をもたらさない。特に、当接部材が、可撓性の薄板で構成することにより、液膜上に加えられる振動量が現像ローラの基体と液膜の粘性値によってほぼ規定され安定する為、印加エネルギーの調整幅に余裕をもつことができる。
圧電振動子(加振部材自体)は、可撓性の薄板上の非固定部分即ち自由振動領域に設置することにより、機械的疲労が発生しずらい為、振動子以外の外部要因による強制機械劣化から開放され長期にわたって、投入エネルギーと発生機械振幅エネルギーに対し同じ振動効果を持続させることができる。
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