JP2007057032A - 無段変速装置 - Google Patents

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雄一 伊藤
Tomoya Sakaguchi
智也 坂口
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NTN Corp
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Abstract

【課題】 無段変速装置の潤滑性能を向上させる。
【解決手段】 無段変速装置は、ケーシング10に回転自在に支持された第一の軸12と、ケーシング10に回転自在に支持された第二の軸36と、第一の軸12に支持された溝幅が可変のVプーリ16と、両側面にてVプーリ16と接触し外周を支えられたリング30と、第二の軸36回りにリング30を移動させるための機構(40等)とから構成され、前記第一の軸12内に潤滑油を供給するための給油通路48が設けてある。
【選択図】 図1

Description

この発明は自動車や各種産業機械において利用される無段変速装置に関する。
無段変速装置(CVT:Continuously Variable Transmission)は昔から多くの考案がなされている。特許文献1にはトラクションドライブ式無断変速装置の一例が記載されている。
特開2004−263857号公報
特許文献1に記載された装置では、軸を支持する軸受、および、軸とVプーリのスライドスプライン部には特に潤滑のための手段は設けてない。したがって、潤滑はもっぱら歯付きリングとVプーリの回転による油の跳ね上げによるものと推測される。このため、軸受やスライドスプライン部分に潤滑不良が起きる可能性が考えられる。
この発明の主要な目的は、特許文献1に記載されたタイプの無段変速装置の潤滑性能を向上させることにある。
この発明は、Vプーリを支持する軸の内部に潤滑給油穴を設けることによって課題を解決したものである。
請求項1の発明は、ケーシングに回転自在に支持された第一の軸と、ケーシングに回転自在に支持された第二の軸と、第一の軸に支持された溝幅が可変のVプーリと、両側面にてVプーリと接触し外周を支えられたリングと、第二の軸回りにリングを移動させるための機構とから構成され、前記第一の軸内に潤滑油を供給するための給油通路を設けたことを特徴とする無段変速装置である。
請求項2の発明は、請求項1の無段変速装置において、前記給油通路から分岐してVプーリのV溝内に潤滑油を導く分岐通路を設けたことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の無段変速装置において、Vプーリと第一の軸との間にボールスプラインを介在させ、前記給油通路から分岐して前記ボールスプラインに潤滑油を導く分岐通路を設けたことを特徴とするものである。
この発明によれば、Vプーリを支持する軸を中空構造とし、潤滑油を軸の内部と通して供給するようにしたことにより、ボールスプライン部や歯付きリングとVプーリの接触点に確実に潤滑油を供給することができ、潤滑効率が高まる。
また、上述のような潤滑効率のアップに加えて、歯付きリングとVプーリの接触点の部分では接触により発熱し、この発熱によりVプーリと嵌め合わされた軸が温度上昇するところ、内部から強制的に潤滑油を送り込むことでこの軸の冷却を行うことができる。
以下、図面に従ってこの発明の実施の形態を説明する。ここで、図1はこの発明の実施の形態を示す軸の断面図であって、図2に無段変速装置全体の断面を示す。図3はこの発明の無断変速装置の構想図である。
図2および図3から理解できるように、この無段変速装置は、軸方向に可動な一対のプーリ部材16a,16bでリング30を軸方向両側から挟んだ構造である。この実施の形態ではリング30は外周に歯車のような歯をもっているため、以下では歯付きリングと呼ぶこととする。
図2において、符号10はケーシングを概括的に指している。すなわち、ここではケーシングは単一の部材ではなく、全体として装置の外殻を構成する複数の部材を包括的にケーシングと呼んでいる。図示するように、ケーシング10内に、互いに平行な二本の軸12,36がそれぞれ軸受を介して回転自在に支持されている。そして、これらの軸12,36は、一方の軸(12または36)を入力軸とすると、他方の軸(36または12)が出力軸となる関係にある。
軸12はVプーリ16を構成する一対のプーリ部材16a,16bを支持している。各プーリ部材16a,16bはボス部とディスク部とからなり、ディスク部の斜面同士が向かい合ってV溝を形成している。ディスク部はボス部の端部から半径方向に立ち上がっている。ボス部は軸12に摺動自在に嵌め合わせてあり、ボールスプライン14によって軸12の軸方向に移動可能である。ボス部の外周には軸受18が配置してある。なお、ボールスプライン14の構造は、軸12とプーリ部材16a,16bに形成した溝間にボールを介在させた周知のとおりのものである。
図1に示すように、軸12は中空で、軸方向に貫通した給油通路48を備えている。給油通路48から分岐する第一の分岐通路50と第二の分岐通路52が設けてある。軸12の両端部または一方の端部にたとえばロータリージョイントを用いてポンプからの配管を接続する。
第一の分岐通路50は一対あり、給油通路48から半径方向に延びて軸12の外周面に開口している。第一の分岐通路50の位置は、Vプーリ16のV溝の範囲内、言い換えれば、プーリ部材16a,16bが最も接近した位置にあるときの向かい合った端面の間とするのが好ましい。第一の分岐通路50からの潤滑油は、遠心力の作用でプーリ部材16a,16bの端面を伝って半径方向外側に送られる。したがって、Vプーリ16と歯付きリング30との接触点に確実に潤滑油を供給することができる。
なお、上述のとおり、プーリ部材16a,16bは軸方向移動が可能である。したがって、その移動量によっては、分岐通路50が閉じられたり、逆にプーリ部材が分岐通路から遠ざかってしまったりして、プーリ部材16a,16bの斜面に確実に油を供給することができない場合が考えられる。図4に示す変形例はこれの対策を講じたもので、プーリ部材16a,16bの、軸12と嵌まり合う孔の端部に、軸端に向かって内径が漸増した円すい面が設けてある。この場合、矢印で示すように、分岐通路50からの油が、遠心力の作用で、円すい面を伝ってプーリ部材16a,16bの斜面に供給される。プーリ部材16a,16bの最大移動量を考慮に入れて円すい面の軸方向長さを設定することにより、プーリ部材16a,16bが軸方向に移動しても、確実にプーリ部材16a,16bの斜面に油を供給することができる。
また、このように軸12の内部を通じて強制的に潤滑油を送り込むことによって軸12が冷却される。Vプーリ16と歯付きリング30との接触点では接触により発熱し、この発熱によりVプーリ16と嵌め合わされた軸12が温度上昇するので、焼付き等の不具合を回避するために何らかの冷却手段が必要である。
第二の分岐通路52も一対あって、それぞれボールスプライン14に対応させて配置してある。この第二の分岐通路52は給油通路48から半径方向に延びて軸12の外周面に開口している。第二の分岐通路52からの潤滑油は、遠心力の作用でプーリ部材16a,16bの端面を伝って半径方向外側に送られる。このように、軸12の内部を通じて強制的に潤滑油を送り込むことによって、ボールスプライン部に確実に潤滑油を供給することができる。その結果、次に述べる溝幅調節機構20によるVプーリ16の溝幅調節が円滑となる。
各プーリ部材16a,16bは溝幅調節機構20を備えている。溝幅調節機構20はここではボールねじタイプで、ねじ軸22と、ナット26と、複数のボール28を含んでいる。ねじ軸22は外周にボール28を転動させるためのらせん溝を有し、かつ、外周に歯を切ったフランジ24を有し、軸受18を介してプーリ部材16a,16bのボス部に回転自在に支持されている。ナット26は内周にボール28を転動させるためのらせん溝を有し、ケーシング10に固定されている。
通常のボールねじと同様に、ねじ軸22のらせん溝とナット26のらせん溝との間にボール28が介在し、ボール28がらせん溝に沿って循環走行してねじ軸22とナット26の滑らかな相対回転および軸方向移動を許容する。この場合、ナット26は固定されているため、ねじ軸22が回転すると同時に軸方向に相対移動する。したがって、ねじ軸22のフランジ24を外部の駆動手段(図示省略)によって回転させると、その回転方向によって、ねじ軸22が軸方向に移動し、軸受18を介してプーリ部材16a,16bを相互に接近する向きに移動させ、または、プーリ部材16a,16bが相互に離反する向きに移動するのを許容する。
歯付きリング30の側面の断面形状はVプーリ16のV溝の断面形状と実質的に一致している。より具体的には、歯付きリング30の側面の断面形状は、平面とするほか、副曲率を設けた曲面とすることもできる。歯付きリング30は歯車34とかみ合い、その歯車34は軸36に固定してある。歯付きリング30は、歯車34の歯とかみ合う歯の軸方向両側に平滑な円筒状ガイド面32を有し、そのガイド面32にてガイドローラ42,44と接する。歯付きリング30のガイドには、図示するように歯付きリング30の外周面と接して転動するガイドローラ42,44を採用するほか、歯付きリング30との接触荷重は小さいため、歯付きリング30と滑り接触する滑り軸受(シュー)を採用してもよい。
図2に示すように、この実施の形態では四つのガイドローラ42,44が設けてあり、図1にはそのうちの二つ、つまり、歯車34の両側に配置した一対の円板42a,42bで構成されるガイドローラ42と、同図の上部に現れているガイドローラ44の断面が示してある。ガイドローラ42は軸36に対して回転自在に支持されている。それ以外のすべてのガイドローラ44はそれぞれピン46を介して回転自在にガイドプレート40に支持されている。したがって、ガイドローラ42,44相互の位置関係は固定的である。これらのガイドローラ42,44のうち、図2の左端に現れているガイドローラ44は歯付きリング30の振れ防止の役割をも果たす。ガイドプレート40は軸36と同軸に、カラー38に旋回自在に支持されている。
歯付きリング30は三つ以上のガイドローラ42,44で外周から拘束されているため、中心軸がなくても回転が可能である(心なしローラ)。ガイドローラ42,44はガイドプレート40で連結してあり、ガイドプレート40を旋回させることによって中心O1回りに歯付きリング30の回転中心を移動させることができる。したがって、歯付きリング30の外周に切られた歯は歯車34と常にかみ合った状態にある。歯付きリング30とVプーリ16との間にすきまが生じないようにVプーリ16とガイドプレート40を制御すれば、歯付きリング30が中心O1回りに移動することにより、Vプーリ16との接触点が変化し、一定の歯車34の回転数に対し、Vプーリ16の速度を連続的に変えることができる。このようにして、いわゆるCVTが構成される。
Vプーリ16を支持する軸12を入力側とすると、歯付きリング30を押し込んだ状態が減速状態となる。伝達トルクが同じであれば、歯付きリング30を押し込んだときのVプーリ16による挟みつけ力は大きくすべきで、逆に歯付きリング30とVプーリ16との接触点が大径側にあるときは小さくてもよい。挟み込み力によるVプーリ16の曲げ応力を考えた場合、大径接触時の挟み込み力を軽減できる、Vプーリ16を入力とするこの方法が、出力とするよりもベターである。
図3に矢印で示す方向にVプーリ16から回転力が入力されると、Vプーリ16から歯付きリング30に力Fが作用し、ほぼ同じ大きさの力が歯車34から作用する。歯車34からの反力が歯付きリング30をVプーリ16に押し込む方向に働くため、伝達トルクの増大に伴い自動的に接触力が大きくなる。
この発明の実施の形態を示す断面図 無段変速装置の断面図 無段変速装置の構想図 変形例を示す図1の要部断面図
符号の説明
10 ケーシング
12 軸
14 ボールスプライン
16 Vプーリ
16a,14b プーリ部材
P 接触部
18 軸受
20 溝幅調節機構
22 ねじ軸
24 フランジ
26 ナット
28 ボール
30 歯付きリング
32 ガイド面
34 歯車
36 軸
38 カラー
40 ガイドプレート
42 ガイドローラ
42a,42b 側板
44 ガイドローラ
46 ピン
48 給油通路
50 分岐通路
52 分岐通路

Claims (3)

  1. ケーシングに回転自在に支持された第一の軸と、ケーシングに回転自在に支持された第二の軸と、第一の軸に支持された溝幅が可変のVプーリと、両側面にてVプーリと接触し外周を支えられたリングと、第二の軸回りにリングを移動させるための機構とから構成され、前記第一の軸内に潤滑油を供給するための給油通路を設けた無段変速装置。
  2. 前記給油通路から分岐してVプーリのV溝内に潤滑油を導く分岐通路を設けた請求項1の無段変速装置。
  3. Vプーリと第一の軸との間にボールスプラインを介在させ、前記給油通路から分岐して前記ボールスプラインに潤滑油を導く分岐通路を設けた請求項1または2の無段変速装置。
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