JP2007056010A - 毛髪用損傷修復剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】一旦損傷してしまった毛髪のミクロフィブリルだけでなく、毛髪全体の毛髪構造を抜本的に修復させることができる毛髪の損傷修復剤を提供すること。
【解決手段】式(I):
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜4の整数を示す)で表されるメルカプト化合物、式(II):
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表されるチオラクトン化合物、式(III):
で表される2−イミノチオランおよび式(IV):
〔式中、R3は−R4−S−S−R5基(R4は炭素数1〜4のアルキレン基、R5は2−ピリジル基を示す)を示す〕で表される硫黄原子含有スクシンイミジル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の硫黄原子含有化合物を含有してなる毛髪用損傷修復剤。
【選択図】なし
【解決手段】式(I):
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜4の整数を示す)で表されるメルカプト化合物、式(II):
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表されるチオラクトン化合物、式(III):
で表される2−イミノチオランおよび式(IV):
〔式中、R3は−R4−S−S−R5基(R4は炭素数1〜4のアルキレン基、R5は2−ピリジル基を示す)を示す〕で表される硫黄原子含有スクシンイミジル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の硫黄原子含有化合物を含有してなる毛髪用損傷修復剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、毛髪用損傷修復剤に関する。さらに詳しくは、損傷した毛髪を修復するのに有用な毛髪用損傷修復剤、並びに該毛髪用損傷修復剤が用いられたヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤、ヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤に関する。
毛髪は、ブリーチ剤、染毛剤、パーマネントウェーブ剤などの施術により損傷を受けることが知られている。このような損傷を受けた毛髪の表面は、F層の脂肪酸が失われ、親水性官能基がむき出しの状態となっているため、毛髪の摩擦係数が大きくなり、手触りが悪化すると考えられている。
こうした毛髪の損傷を抑制するために、シリコーンやカチオン性界面活性剤などがリンス、トリートメント、コンディショナーなどの毛髪処理剤などに配合されている(例えば、特許文献1、非特許文献1など参照)。これらの化合物を毛髪処理剤などの毛髪化粧料に配合した場合には、確かに毛髪表面の摩擦係数が低減し、ブラッシングなどによる損傷を抑制するという効果が高められる。
しかし、これらの毛髪化粧料を用いた場合には、毛髪の表面(キューティクル)に所望の効果を付与するだけであり、毛髪の内部(コルテックス)を修復することができない(例えば、非特許文献1参照)。
そこで、毛髪の損傷修復剤として、ジグルコシル没食子酸(DGA)などを用いることが提案されている(例えば、非特許文献1の40頁など参照)。この毛髪の損傷修復剤を用いた場合には、擬似F層が再生し、ミクロフィブリルが再結晶化することにより、損傷を受けた毛髪の組織が修復するものと考えられている。
特開2000−247841号公報
西田勇一ら「フレグランスジャーナル」、フレグランスジャーナル社、2002年8月、p.33−40
しかし、近年、一旦損傷してしまった毛髪のミクロフィブリルだけでなく、毛髪全体の毛髪構造を抜本的に修復させることができる毛髪の損傷修復剤の開発が望まれている。
本発明者らは、ブリーチ剤、染毛剤、パーマネントウェーブ剤などの施術により損傷を受けた毛髪の構造を、ラマン分光を用いて科学的に究明した。その結果、損傷を受けた毛髪は、そのキューティクル領域からコルテックス領域までの全体にわたって損傷を受けていることが明らかになった。
そこで、本発明者らは、毛髪の表面のみならず、その内部から抜本的に修復させることができる毛髪の損傷修復剤を開発するべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕式(I):
〔1〕式(I):
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜4の整数を示す)
で表されるメルカプト化合物、式(II):
で表されるメルカプト化合物、式(II):
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表されるチオラクトン化合物、式(III):
で表されるチオラクトン化合物、式(III):
で表される2−イミノチオランおよび式(IV):
〔式中、R3は−R4−S−S−R5基(R4は炭素数1〜4のアルキレン基、R5は2−ピリジル基を示す)を示す〕
で表される硫黄原子含有スクシンイミジル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の硫黄原子含有化合物を含有してなる毛髪用損傷修復剤、
〔2〕前記毛髪用損傷修復剤を含有してなる毛髪処理剤、ならびに
〔3〕前記毛髪用損傷修復剤を含有してなるヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤およびヘアコンディショニング剤
に関する。
で表される硫黄原子含有スクシンイミジル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の硫黄原子含有化合物を含有してなる毛髪用損傷修復剤、
〔2〕前記毛髪用損傷修復剤を含有してなる毛髪処理剤、ならびに
〔3〕前記毛髪用損傷修復剤を含有してなるヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤およびヘアコンディショニング剤
に関する。
本発明の毛髪用損傷修復剤は、損傷した毛髪をその表面のみならず、その内部から修復させることができるという効果が奏される。また、該毛髪用損傷修復剤を含有してヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤、ヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤として毛髪に適用することにより、損傷した毛髪の風合いや弾力性を改善することができるという効果が奏される。
本発明の毛髪用損傷修復剤は、式(I)で表されるメルカプト化合物、式(II)で表されるチオラクトン化合物、式(III)で表される2−イミノチオランおよび式(IV)で表される硫黄原子含有スクシンイミジル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の硫黄原子含有化合物を含有するものである。これらの硫黄原子含有化合物は、それぞれ単独でまたは混合して用いることができる。
本発明の毛髪用損傷修復剤は、このように特定の硫黄原子含有化合物を含有しているので、損傷した毛髪をその表面のみならず、その内部から修復させることができるという優れた効果が奏される。本発明において、このように優れた効果が奏される理由は定かではないが、おそらく損傷した毛髪に本発明の毛髪用損傷修復剤を適用したときに、染毛剤やパーマネント剤などの施術によって破断した毛髪内の毛髪を構成しているタンパク質が、毛髪用損傷修復剤と反応することによって再結合することに基づくものと考えられる。
式(I)で表されるメルカプト化合物は、塩酸塩などの塩として用いることもできる。R1としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、tert−ブチル基などが挙げられる。R1のなかでは、メチル基が好ましい。nは、1〜4の整数であるが、2または3であることが好ましい。
式(I)で表されるメルカプト化合物の好適な例としては、R1がメチル基でnが2であるメチル3−メルカプトプロピルイミデート、R1がメチル基でnが3であるメチル4−メルカプトブチルイミデートなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。これらのなかでは、メチル3−メルカプトプロピルイミデートがより好ましい。
式(II)で表されるチオラクトン化合物において、R2としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、tert−ブチル基などが挙げられる。R2のなかでは、メチル基が好ましい。
式(II)で表されるチオラクトン化合物の好適な例としては、N−アセチルホモシステインチオラクトンなどが挙げられる。
式(III)で表される2−イミノチオランは、塩酸塩などの塩として用いることもできる。
式(IV)で表される硫黄原子含有スクシンイミジル化合物において、R3は、−R4−S−S−R5基(R4は炭素数1〜4のアルキレン基、R5は2−ピリジル基を示す)を示す。−R4−S−S−R5基において、R4としては、メチレン基またはプロピレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
式(IV)で表される硫黄原子含有スクシンイミジル化合物の好適な例としては、スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネートなどが挙げられる。
本発明の毛髪用損傷修復剤は、前記硫黄原子含有化合物のみで構成されていてもよく、本発明の目的が阻害されない範囲内で、他の成分が配合されていてもよい。本発明の毛髪用損傷修復剤には、必要により、有機溶媒などで希釈されていてもよく、前記硫黄原子含有化合物の含有量は、1〜100重量%の範囲で好ましく含有することができる。
本発明の毛髪用損傷修復剤は、例えば、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤、ヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤などに好適に使用することができる。
本発明のヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤は、本発明の毛髪用損傷修復剤および必要により、各種添加剤などを混合することによって容易に調製することができる。
毛髪処理剤における本発明の毛髪用損傷修復剤の含有量は、毛髪の修復効果を高める観点から、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、また経済性の観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下であることが望ましい。
本発明のヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤には、本発明の毛髪用損傷修復剤以外に、毛髪用損傷修復剤の毛髪への浸透性を高めるために、界面活性剤が配合されていてもよい。
界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンゾルコニウムなどの陽イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられる。
本発明の毛髪処理剤における界面活性剤の含有量は、本発明の毛髪用損傷修復剤の用途、界面活性剤の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、効果性および使用性の観点から、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%であることが望ましい。
また、本発明のヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤には、毛髪用損傷修復剤の毛髪への浸透性を高めるために、有機溶媒が配合されていてもよい。
有機溶媒としては、例えば、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの低級アルキレンカーボネート、ベンジルアルコール、2−ベンジルオキシエタノールなどの芳香族アルコールなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは混合して用いることができる。
本発明の毛髪処理剤における有機溶媒の含有量は、本発明の毛髪用損傷修復剤の用途、有機溶媒の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、使用性を高めるなどの観点から、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは5〜10重量%であることが望ましい。
本発明のヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤には、必要により、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、低級アルコール、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸類、シリコーン類、エステル類、高級アルコール類、紫外線吸収剤、増粘剤、香料、色素、防腐剤、キレート剤、抗菌剤、酸化防止剤、保湿剤、清涼剤、ビタミン剤、植物抽出物などを適宜、その用途、目的などに応じて添加することができる。
なお、本発明においては、ヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤の全量が100重量%となるように、残部に水が用いられる。かかる水の種類には特に限定がなく、一般に、精製水などを用いることができる。
本発明の毛髪処理剤のpHは、通常、好ましくは3〜11、より好ましくは5〜10である。毛髪処理剤のpHは、一般に使用されているpH調整剤で容易に調整することができる。
本発明のヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤は、例えば、水溶液、クリーム、ゲル、ディスパージョン、エマルジョン、エアゾールなどの形態で使用することができる。また、必要に応じて毛髪用損傷修復剤をあらかじめ粉末状ないし粒子状に調製しておき、使用時に水などの成分と混合することにより、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤、ヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤としてもよい。
本発明のヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤、ヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤を用いて損傷を受けた毛髪を処理する方法としては、例えば、損傷を受けた毛髪を室温〜50℃程度の温度の毛髪処理剤に5分間〜1時間程度浸漬などの手段により、毛髪に毛髪処理剤を付着させる方法などが挙げられる。毛髪にコンディショニング剤などの毛髪処理剤を付着させた後には、水洗いをすることが好ましい。水洗後には、損傷を受けた毛髪を構成しているタンパク質の分子間結合の修復を促進させるために、例えば、40〜70℃程度の温度で10〜60分間毛髪を加温ないし加熱することが好ましい。
かくして、本発明の毛髪用損傷修復剤によれば、損傷を受けた毛髪の表面のみならず、その内部から修復させることができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、各配合量は、特記しない限り重量%を表す。
〔損傷毛モデルの作製〕
市販の人毛黒髪毛束(約18cm)に毛髪ブリーチ剤〔(株)マンダム製、商品名:ギャツビーEXハイブリーチ〕を人毛黒髪毛束に対して2倍重量の量で塗布した後、室温下で30分間放置し、その後、水洗することによりブリーチ処理を行い、次いでヘアドライヤーで毛束を乾燥させる操作を1サイクルとして、5サイクル行うことにより、損傷毛(黒髪)を作製した。また、市販の人毛白髪毛束(約18cm)に対しても同様の処理をし、損傷毛(白髪)を作製した。
市販の人毛黒髪毛束(約18cm)に毛髪ブリーチ剤〔(株)マンダム製、商品名:ギャツビーEXハイブリーチ〕を人毛黒髪毛束に対して2倍重量の量で塗布した後、室温下で30分間放置し、その後、水洗することによりブリーチ処理を行い、次いでヘアドライヤーで毛束を乾燥させる操作を1サイクルとして、5サイクル行うことにより、損傷毛(黒髪)を作製した。また、市販の人毛白髪毛束(約18cm)に対しても同様の処理をし、損傷毛(白髪)を作製した。
実施例1、2および比較例1
表1に示す成分を表1に示す濃度となるように、0.5Mリン酸緩衝液(pH8)で希釈し、毛髪用損傷修復剤を調製した。得られた毛髪用損傷修復剤を前記で作製した損傷毛(黒髪)に50℃で60分間(浴比250倍)浸漬し、流水で洗浄し、室温で24時間放置後、以下の評価試験A〜Cに供した。
表1に示す成分を表1に示す濃度となるように、0.5Mリン酸緩衝液(pH8)で希釈し、毛髪用損傷修復剤を調製した。得られた毛髪用損傷修復剤を前記で作製した損傷毛(黒髪)に50℃で60分間(浴比250倍)浸漬し、流水で洗浄し、室温で24時間放置後、以下の評価試験A〜Cに供した。
(1)評価試験A〔風合い(平滑性)の評価〕
官能パネリスト10名により実施した。損傷修復処理前の損傷毛(黒髪)と、損傷修復処理後の毛髪とを対比し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
官能パネリスト10名により実施した。損傷修復処理前の損傷毛(黒髪)と、損傷修復処理後の毛髪とを対比し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
(評価基準)
A:10名中、8〜10名が風合い(平滑性)の改善を認めた場合
B:10名中、5〜7名が風合い(平滑性)の改善を認めた場合
C:10名中、4名以下が風合い(平滑性)の改善を認めた場合
A:10名中、8〜10名が風合い(平滑性)の改善を認めた場合
B:10名中、5〜7名が風合い(平滑性)の改善を認めた場合
C:10名中、4名以下が風合い(平滑性)の改善を認めた場合
(2)評価試験B〔弾力性の評価〕
専門パネラー10人により実施した。損傷修復処理前の損傷毛(黒髪)と、損傷修復処理後の毛髪とを対比し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
専門パネラー10人により実施した。損傷修復処理前の損傷毛(黒髪)と、損傷修復処理後の毛髪とを対比し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
(評価基準)
A:10名中、8〜10名が弾力性の改善を認めた場合
B:10名中、5〜7名が弾力性の改善を認めた場合
C:10名中、4名以下が弾力性の改善を認めた場合
A:10名中、8〜10名が弾力性の改善を認めた場合
B:10名中、5〜7名が弾力性の改善を認めた場合
C:10名中、4名以下が弾力性の改善を認めた場合
(3)評価試験C〔弾力度の評価〕
毛束の一端を固定し、毛束を水平にした時の毛束の曲がり具合から、式:
〔弾力度〕=1−(垂直方向の距離/毛束の長さ)
に基づいて、弾力度を算出した。その結果を表1に示す。
なお、弾力度の値が高いほど、弾力性が向上していることを示す。
毛束の一端を固定し、毛束を水平にした時の毛束の曲がり具合から、式:
〔弾力度〕=1−(垂直方向の距離/毛束の長さ)
に基づいて、弾力度を算出した。その結果を表1に示す。
なお、弾力度の値が高いほど、弾力性が向上していることを示す。
表1に示された結果から、実施例1,2で得られた毛髪用損傷修復剤は、比較例1で得られた毛髪用損傷修復剤と対比して、風合い(平滑性)、弾力性および弾力度のいずれにも優れ、損傷毛の修復がなされていることがわかる。
実施例3〜5および比較例2
表2に示す成分を表2に示す濃度となるように、0.5Mリン酸緩衝液(pH8)で希釈し、毛髪用損傷修復剤を調製した。得られた毛髪用損傷修復剤を前記で作製した損傷毛(黒髪)に25℃で30分間(浴比250倍)浸漬し、流水で洗浄し、室温で24時間放置後、実施例1と同様に風合いおよび弾力性の各評価を実施した。その結果を表2に示す。
表2に示す成分を表2に示す濃度となるように、0.5Mリン酸緩衝液(pH8)で希釈し、毛髪用損傷修復剤を調製した。得られた毛髪用損傷修復剤を前記で作製した損傷毛(黒髪)に25℃で30分間(浴比250倍)浸漬し、流水で洗浄し、室温で24時間放置後、実施例1と同様に風合いおよび弾力性の各評価を実施した。その結果を表2に示す。
表2に示された結果から、各実施例で得られた毛髪用損傷修復剤は、毛髪の風合い(平滑性)および弾力性が向上し、損傷毛の修復がなされていることがわかる。
実施例6および比較例3
表3に示す成分を表3に示す濃度となるように、0.5Mリン酸緩衝液(pH8)で希釈し、毛髪用損傷修復剤を調製した。得られた毛髪用損傷修復剤を前記で作製した損傷毛(白髪)に50℃で60分間(浴比250倍)浸漬し、流水で洗浄し、毛髪の修復度合いを以下の評価試験Dにより評価した。また、評価後の毛髪について、実施例1と同様にして、損傷毛(白髪)と比較し、評価試験A〔風合い(平滑性)の評価〕および評価試験B〔弾力性の評価〕を行った。その結果を表3に示す。
表3に示す成分を表3に示す濃度となるように、0.5Mリン酸緩衝液(pH8)で希釈し、毛髪用損傷修復剤を調製した。得られた毛髪用損傷修復剤を前記で作製した損傷毛(白髪)に50℃で60分間(浴比250倍)浸漬し、流水で洗浄し、毛髪の修復度合いを以下の評価試験Dにより評価した。また、評価後の毛髪について、実施例1と同様にして、損傷毛(白髪)と比較し、評価試験A〔風合い(平滑性)の評価〕および評価試験B〔弾力性の評価〕を行った。その結果を表3に示す。
(4)評価試験D〔毛髪修復度の評価〕
損傷毛(白髪)の毛髪内部からの修復度合いについて、毛髪内のジスルフィド結合量を測定することによって評価した。
損傷毛(白髪)の毛髪内部からの修復度合いについて、毛髪内のジスルフィド結合量を測定することによって評価した。
より具体的には、毛髪用損傷修復剤で処理した毛髪を6.0%臭素酸ナトリウム水溶液に室温で10分間浸漬し(浴比250倍)、流水で洗浄し、乾燥させた。
次に、毛髪試料を凍結させ、ミクロトーム(ライカ社製、品番:CM1800型)を用いて毛髪断面試料を作製し、顕微ラマン装置(Jobin Yvon社製、商品名:Ramanor T−6400型)を用いて毛髪内部(毛髪表面からの深さ:3〜30μm)方向に対するラマンスペクトルを測定した。
各毛髪試料の毛髪内部のジスルフィド結合量を510cm−1に観測されるS−Sバンド(S−S)の面積強度を1001cm−1に観測されるフェニルアラニンピーク(Phe)の面積強度で除することにより算出した。そして、コルテックス領域5点(毛髪表面から3,5,10,20,30μmの距離)のジスルフィド結合量、及びその平均値と標準偏差を算出し、有意差検定を行った。その結果を表3に示す。なお、実施例6および比較例3で得られた処理後の毛髪の表面からの距離と毛髪内部のジスルフィド結合量との関係を図1に示す。
表3および図1に示された結果から、実施例6で得られた毛髪用損傷修復剤を用いた場合には、危険率5%以下で、ジスルフィド結合が損傷した毛髪のコルテックス領域に導入されていることから、損傷を受けたコルテックス細胞同士が結合することにより、その損傷が修復していることがわかる。また、その結果、毛髪の風合い(平滑性)および弾力性が向上することがわかる。
実施例7
表4に示す成分を表4に示す濃度となるように、0.5Mリン酸緩衝液(pH8)で希釈し、毛髪用損傷修復剤を調製した。得られた毛髪用損傷修復剤を20代女性の損傷毛(ヘアカラー処理毛)に塗布し、室温で20分間放置し、水洗した。その後、6.0%臭素酸ナトリウム水溶液を毛髪に塗布し、室温で10分間放置し、流水で洗浄し、ドライヤーで乾燥させた毛髪の修復度合いを以下の評価試験Eにより評価した。結果を図2及び3に示す。また、評価後の毛髪について、実施例1と同様にして、損傷毛(ヘアカラー処理毛)と比較し、評価試験A〔風合い(平滑性)の評価〕および評価試験B〔弾力性の評価〕を行った。その結果を表4に示す。
表4に示す成分を表4に示す濃度となるように、0.5Mリン酸緩衝液(pH8)で希釈し、毛髪用損傷修復剤を調製した。得られた毛髪用損傷修復剤を20代女性の損傷毛(ヘアカラー処理毛)に塗布し、室温で20分間放置し、水洗した。その後、6.0%臭素酸ナトリウム水溶液を毛髪に塗布し、室温で10分間放置し、流水で洗浄し、ドライヤーで乾燥させた毛髪の修復度合いを以下の評価試験Eにより評価した。結果を図2及び3に示す。また、評価後の毛髪について、実施例1と同様にして、損傷毛(ヘアカラー処理毛)と比較し、評価試験A〔風合い(平滑性)の評価〕および評価試験B〔弾力性の評価〕を行った。その結果を表4に示す。
(5)評価試験E〔毛髪修復度の評価〕
20代女性の損傷毛(ヘアカラー処理毛)の毛髪用損傷修復剤の処理前後のSEM写真(図2、図3)を比較することによって評価した。
20代女性の損傷毛(ヘアカラー処理毛)の毛髪用損傷修復剤の処理前後のSEM写真(図2、図3)を比較することによって評価した。
表4および図1,2に示された結果から、実施例7で得られた毛髪用損傷修復剤を用いた場合には、CMC(細胞膜複合体)が抜けてバラバラになっていたコルテックス細胞同士が接合し、修復されていることがわかる。また、このようにして修復された毛髪は、結んで引っ張っても、ブレイクされなかったことから、十分な弾力性および強度を兼ね備えていることが容易に推察することができる。その結果、毛髪の風合い(平滑性)および弾力性が向上することがわかる。
以下、本発明の毛髪処理剤の処方例を示す。
処方例1〔ジェルタイプのコンディショニング剤の調製〕
(成分) (重量%)
毛髪用損傷修復剤(2−イミノチオラン塩酸塩) 4.0
エタノール 5.0
キサンタンガム 1.0
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
処方例1〔ジェルタイプのコンディショニング剤の調製〕
(成分) (重量%)
毛髪用損傷修復剤(2−イミノチオラン塩酸塩) 4.0
エタノール 5.0
キサンタンガム 1.0
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
処方例2〔液状タイプのコンディショニング剤の調製〕
(成分) (重量%)
毛髪用損傷修復剤(2−イミノチオラン塩酸塩) 4.0
エタノール 5.0
ポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル 0.1
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
(成分) (重量%)
毛髪用損傷修復剤(2−イミノチオラン塩酸塩) 4.0
エタノール 5.0
ポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル 0.1
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
処方例3〔ヘアクリームタイプのコンディショニング剤の調製〕
(成分) (重量%)
毛髪用損傷修復剤(2−イミノチオラン塩酸塩) 4.0
流動パラフィン 15.0
ワセリン 15.0
サラシミツロウ 2.0
キサンタンガム 0.1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
(成分) (重量%)
毛髪用損傷修復剤(2−イミノチオラン塩酸塩) 4.0
流動パラフィン 15.0
ワセリン 15.0
サラシミツロウ 2.0
キサンタンガム 0.1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
防腐剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
本発明の毛髪用損傷修復剤は、損傷した毛髪の表面を修復するのに有用であり、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤、ヘアコンディショニング剤などの毛髪処理剤に好適に使用しうるものである。
Claims (5)
- 式(I):
で表されるメルカプト化合物、式(II):
で表されるチオラクトン化合物、式(III):
で表される硫黄原子含有スクシンイミジル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の硫黄原子含有化合物を含有してなる毛髪用損傷修復剤。 - 請求項1記載の毛髪用損傷修復剤を含有してなる毛髪処理剤。
- 請求項1記載の毛髪用損傷修復剤を含有してなるヘアリンス剤。
- 請求項1記載の毛髪用損傷修復剤を含有してなるヘアトリートメント剤。
- 請求項1記載の毛髪用損傷修復剤を含有してなるヘアコンディショニング剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006204856A JP2007056010A (ja) | 2005-07-28 | 2006-07-27 | 毛髪用損傷修復剤 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005218834 | 2005-07-28 | ||
JP2006204856A JP2007056010A (ja) | 2005-07-28 | 2006-07-27 | 毛髪用損傷修復剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007056010A true JP2007056010A (ja) | 2007-03-08 |
Family
ID=37919795
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006204856A Pending JP2007056010A (ja) | 2005-07-28 | 2006-07-27 | 毛髪用損傷修復剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007056010A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014052322A (ja) * | 2012-09-10 | 2014-03-20 | Osaka Medical College | 毛髪中に含まれる生理活性物質の解析方法 |
CN116831932A (zh) * | 2023-07-24 | 2023-10-03 | 江南大学 | 一种利用姜黄素实现牢固染发同时修护头发力学性能的方法 |
-
2006
- 2006-07-27 JP JP2006204856A patent/JP2007056010A/ja active Pending
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CN116831932A (zh) * | 2023-07-24 | 2023-10-03 | 江南大学 | 一种利用姜黄素实现牢固染发同时修护头发力学性能的方法 |
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