JP2007055847A - 球状カルシア系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐消化性に優れた球状カルシア系クリンカー及びそれを耐火物原料として用いて得られる耐火物を提供すること。
【解決手段】 CaO源原料を用いて得られた球状の造粒物の表面に、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料、SiO2 源原料、Al23 源原料及びFe23源原料のうちの少なくとも何れか一種を含む第一の被覆層が形成された被覆造粒物を用いて、該被覆造粒物を焼成することにより、目的とするクリンカーを得た。
【選択図】 な し

Description

本発明は、球状カルシア系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物に係り、特に、製鉄業における溶鋼用容器、精錬炉用容器、或いはセメントや石灰等を焼成するキルン等における内張り用耐火物、又はキャスタブルや吹付け材等の不定形耐火物、補修材等に好適に用いられ得る塩基性耐火物用の原料、及びそれを用いて得られる耐火物に関するものである。
カルシア(CaO)は、その融点が約2600℃と非常に高く、また、酸素解離圧や蒸気圧が低く、更には、真空中においても安定して存在するなど、耐火物原料に要求される特性を種々、備えている。また、鉱物資源に乏しい日本国内にあっても、カルシアの原料となる石灰石は例外であり、北海道から沖縄に至るまで、日本全国に数多くの鉱床が存在しており、純度が高く、品質の優れたものを大量に産出している。
このように、カルシアは、耐火物の原料として要求される特性を備え、且つ、日本国内にて豊富に産出するにもかかわらず、現在のところ、耐火物原料としてほとんど使用されていない。これは、カルシアの欠点である水との反応性の高さ、所謂、水和性の高さにその原因がある。
すなわち、カルシアは、大気中の水分と容易に反応して水酸化カルシウムへと変化(消化)するが、この化学反応は体積膨張を伴うものであるため、焼成して得られたカルシアクリンカーを大気中に放置しておくと、次第に粉化が進み、最終的には崩壊に至る。従って、例えば、カルシアクリンカーを耐火物原料として用いてなる煉瓦やキャスタブル耐火物を、鉄の精錬やセメントを製造する際の容器における内張り用耐火物として用いると、かかる煉瓦やキャスタブル耐火物中のカルシアが、大気中の水分と反応して、煉瓦等が次第に自己崩壊していくため、そのようなカルシアを含む塩基性耐火物よりなる容器は、容器としての役目を十分に果たすことが出来なかったのである。
このため、従来より、耐消化性を備えたカルシア系クリンカーの研究、開発が盛んに行なわれているのであり、例えば、特許文献1(特開昭59−35060号公報)においては、焼成状態でCaO、又はCaOとMgOとを主成分とし、Fe23、TiO2 、SiO2 及びAl23を所定の割合にて含有してなる耐消化性カルシア質クリンカが、提案されている。また、特許文献2(特開昭62−182154号公報)においては、CaO、Al23、ZrO2 及び不可避の不純物からなるカルシア焼結体であって、その嵩密度が3.20g/cc以上であり、且つ、カルシア結晶の平均粒径が60μm以上のものが提案されており、更に、特許文献3(特開昭60−90858号公報)においては、遊離石灰を含有するクリンカーを炭酸カルシウム保護層で被覆した耐消化性耐火物骨材が、提案されている。
しかしながら、それら特許文献にて提案されているカルシア質クリンカ等は、何れも、ある程度の耐消化性の向上は認められるものの、耐火物原料として使用できるほどのレベルを有するものではなかったのであり、現在、より優れた耐消化性を有するカルシア系クリンカーの開発が、求められている。
また、本発明者等は、先に、特許文献4(特開2003−95729号公報)及び特許文献5(特開2003−128457号公報)において、耐消化性の向上が有利に図られ得たカルシア系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物を提案しているが、近年、耐火物に対して、様々な特性を有することが求められていることに伴い、その原料となるカルシア系クリンカーにあっても、本発明者等が先に提案したものとは異なる新規な組成を有するものが、望まれているのが現状である。
特開昭59−35060号公報 特開昭62−182154号公報 特開昭60−90858号公報 特開2003−95729号公報 特開2003−128457号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、耐消化性に優れた、カルシアを主成分とする塩基性耐火物材料、即ち球状カルシア系クリンカー、及びそれを用いて得られる耐火物を提供することにある。
そして、本発明は、かくの如き課題を解決するために、CaO源原料を用いて得られた球状の造粒物の表面に、ZrO2源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2源原料、SiO2源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの少なくとも何れか一種を含む第一の被覆層が形成された被覆造粒物を用いて、該被覆造粒物を焼成して得られた焼成物からなることを特徴とする球状カルシア系クリンカーを、その要旨とするものである。
なお、本発明に従う球状カルシア系クリンカーの好ましい態様の一つにおいては、前記第一の被覆層の表面に、ZrO2 源原料、TiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの何れか一種であって、該第一の被覆層に含有されるものとは異なるものを含む第二の被覆層が形成せしめられている。
また、本発明の球状カルシア系クリンカーにおける別の好ましい態様の一つにおいては、前記第二の被覆層の表面に、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料、SiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの何れか一種であって、該第二の被覆層に含有されるものとは異なるものを含む第三の被覆層が更に形成せしめられている。
そして、本発明は、そのようなカルシア系クリンカーを、耐火物材料として用いてなる耐火物をも、その要旨とするのである。
このように、本発明に従う、球状カルシア系クリンカーにあっては、CaO源原料を用いて得られた球状の造粒物の表面に、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料、SiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの少なくとも何れか一種を含む第一の被覆層が形成された被覆造粒物を用いて、これを焼成して得られた焼成物からなるものであり、その表面は、第一の被覆層の焼成物にて被覆されているところから、かかる第一の被覆層の焼成物が存在することにより、CaOと大気中等の水分との接触が効果的に回避せしめられ得、以て、対消化性に優れたクリンカーとなるのである。
そのような効果は、第一の被覆層の表面に、ZrO2 源原料、TiO2 源原料、Al23 源原料及びFe23源原料のうちの何れか一種であって、第一の被覆層に含有されるものとは異なるものを含む第二の被覆層が形成せしめられた被覆造粒物を用いることにより、また、かかる第二の被覆層の表面に、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料、SiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの何れか一種であって、第二の被覆層に含有されるものとは異なるものを含む第三の被覆層が更に形成せしめられた被覆造粒物を用いることにより、より有利に享受することが可能である。
従って、そのようなクリンカーを用いて得られる耐火物にあっても、原料たるクリンカーの特性をそのまま引き継ぎ、優れた耐消化性を発揮することとなるのであり、各種用途における耐火物として、例えば、製鉄業における溶鋼用容器、精錬炉用容器、或いはセメントや石灰等を焼成するキルン等における内張り用耐火物、又はキャスタブルや吹付け材等の不定形耐火物、補修材等として、有利に用いられ得るのである。
ところで、かかる本発明に従うクリンカーを製造するに際しては、先ず、焼成によってCaOを与え得るCaO源原料を用いて、球状の造粒物が製造されることとなる。
ここで、かかるCaO源原料としては、従来より公知の各種のものを用いることが出来る。具体的には、消石灰、石灰石、生石灰のみならず、鶏卵の卵殻やホタテ貝の貝殻等を粉砕したもの等を使用することが可能であり、そのようなCaO源原料に水を加えてスラリー状と為し、その後、脱水して、押出成形するか、或いは、CaO源原料にバインダを加えて混練し、その後、ブリケットマシンで成形したり、パン型造粒機や回転式ミキサー等の市販されている造粒機によって造粒する等の手法に従って、球状の造粒物を得ることが出来る。
なお、かかる球状の造粒物の製造に際して用いられるバインダとしては、公知の各種のものを挙げることが出来、例えば、リグニン類、デンプン類、ポリビニルアルコールやメチルセルロース類、各種フェノール樹脂、糖蜜等が、適宜の割合において用いられる。
次いで、上述の如くして得られた球状の造粒物の表面に、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料、SiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの少なくとも何れか一種が用いられて、第一の被覆層が形成される。
すなわち、かかる第一の被覆層が形成せしめられてなる被覆造粒物を焼成すると、その表面が、第一の被覆層の焼成物からなる層にて有利に被覆せしめられた焼成物(クリンカー)が得られるのであり、この第一の被覆層の焼成物からなる層の存在によって、球状造粒物の焼成物に含まれるCaO成分と、大気中の水分等との接触が効果的に回避せしめられ得ることとなり、以て、焼成物(クリンカー)の耐消化性が有利に向上せしめられるのである。
ここで、第一の被覆層を形成せしめる際に用いられるZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料及びSiO2 源原料としては、各々、焼成によってZrO2 等を与え得る従来より公知の各種のものであれば、何れも用いることが可能である。例えば、ZrO2 源原料としては、市販の安定化ジルコニアや未安定化ジルコニア等を、また、MgO源原料としては、天然マグネシア、海水マグネシアを始め、公知の各種手法に従って製造されるマグネシア・クリンカーや水酸化マグネシウム、電融マグネシア等を、更に、MnO源原料としては、一般に市販されている酸化マンガン等を、更にまた、NiO源原料としては、一般に市販されている酸化ニッケル等を、加えて、TiO2 源原料としては、アナターゼ型、或いはルチル型のチタニア等を、また、SiO2 源原料としては、珪石、溶融シリカ等を、使用することが出来る。更に、Al23 源原料としては、仮焼アルミナ、焼結アルミナ、電融アルミナ、人工又は天然のスピネル等を、また、Fe23源原料としては、弁柄等を使用することが出来る。
上述したようなZrO2 源原料等を用いて、第一の被覆層を形成せしめる手法としては、例えば、粉末状とされたZrO2 源原料等の所定量と、予めCaO源原料を用いて造粒された球状造粒物とをミキサー内に投入し、所定時間、撹拌せしめる手法等が有利に採用され得る。なお、そのような手法に従って第一の被覆層を形成せしめる場合には、CaO源原料を用いてなる球状造粒物として、一般的なクリンカーより多目のバインダを用いて造粒されたものを用いることが好ましい。
なお、そのような手法に従って形成せしめられる第一の被覆層は、目的とするクリンカーの特性等に応じて、その厚さが適宜に決定されることとなるが、有利には、球状造粒物の直径に対して10〜30%の厚みとなるように形成される。これは、被覆層が、(直径の)10%よりも薄いと、かかる被覆層による耐消化性の向上が有利に図れ得ない恐れがあるからであり、その一方、(直径の)30%よりも厚いと、CaOの利点を有利に享受し得ない恐れがあるからである。
以上のようにして第一の被覆層が形成せしめられた球状造粒物を焼成することにより、耐消化性に優れた焼成物(クリンカー)が得られることとなるが、本発明においては、有利には、第一の被覆層の表面に、ZrO2 源原料、TiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの何れか一種であって、第一の被覆層に含有されるものとは異なるものを含む第二の被覆層が形成せしめられる。
このような第二の被覆層を設けることにより、それより得られた被覆造粒物を焼成した際に、その表面は、焼成された第一及び第二の被覆層にて被覆されているところから、CaOと大気中等の水分との接触が、より有利に、効果的に回避せしめられ得、以て、得られるクリンカーの耐消化性が、更に有利に向上せしめられ得るのである。特に、第二の被覆層を、より耐消化性の向上に寄与し得るAl23源原料又はFe23源原料にて形成せしめると、得られる焼成物(クリンカー)が、より優れた耐消化性を発揮し得る。
なお、そのような第二の被覆層を構成するための各成分の原料としては、従来より公知の各種のものであれば、何れも用いることが可能であり、第一の被覆層と同様の原料が用いられ得る。
また、それら各種原料の粉末状のものと、予め第一の被覆層が形成せしめられた球状造粒物とを用いて、上述したような第一の被覆層を形成せしめる手法と同様の手法に従って、第二の被覆層が有利に形成せしめられる。
さらに、第二の被覆層は、球状造粒物の直径に対して5〜25%の厚みとなるように、且つ、第一の被覆層と第二の被覆層との合計の厚みが、球状造粒物の直径に対して15〜40%程度の厚みとなるように、形成せしめられることが好ましいのであり、このような範囲内において、目的とするクリンカーの特性に応じて、第二の被覆層(及び第一の被覆層)の厚みが決定される。
加えて、本発明においては、上述してきた第二の被覆層の表面に、更に、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料、SiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの何れか一種であって、第二の被覆層に含有されるものとは異なるものを含む第三の被覆層を形成せしめることが、効果的である。
このような第三の被覆層を設けることにより、それより得られた被覆造粒物を焼成すると、その表面は、焼成された第一、第二及び第三の被覆層にて被覆されているところから、CaOと大気中等の水分との接触が、より有利に、さらに一層効果的に回避せしめられ得、以て、得られるクリンカーの耐消化性が更により一層有利に向上せしめられ得るのである。
なお、そのような第三の被覆層を構成する被覆材として、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2源原料、SiO2 源原料、Al23源原料、及びFe23 源原料は、何れも、前記第一の被覆層及び前記第二の被覆層と同様のものが用いられ得る。
また、そのような各種原料を用いて第三の被覆層を形成せしめる際の手法としては、以上のような第三の被覆層を構成するための各種原料と、上述のようにして得られた第一及び第二の被覆層を有する被覆造粒物とを用いて、第一及び第二の被覆層を形成せしめた手法と同様の手法が採用される。
さらに、第三の被覆層は、球状造粒物の直径に対して1〜20%の厚みとなるように、且つ、第一の被覆層、第二の被覆層及び第三の被覆層との合計の厚みが、球状造粒物の直径に対して16〜45%程度の厚みとなるように、形成せしめられることが好ましいのであり、このような範囲内において、目的とするクリンカーの特性に応じて、第三の被覆層(及び第一、第二の被覆層)の厚みが決定される。
そして、以上のようにして得られた被覆造粒物を、通常の焼成作用に従って、1500〜2000℃程度の温度において焼成することにより、焼成物として、目的とするクリンカーを得ることが出来るのである。なお、球状造粒物に第一の被覆層を形成せしめた後、900〜1000℃程度の温度にて1〜2時間、焼成することにより、CO2 やH2O を飛散させた後、第二(及び第三)の被覆層を形成せしめ、その後、1500〜2000℃程度の温度で焼成すると、球状造粒物や被覆層から発生するCO2 やH2O の飛散時に、内部圧力によって被覆層に気孔が生じたり、被覆層が破壊されることが有利に抑制され、更に安定した特性を発揮し得る球状カルシア系クリンカーを得ることが可能である。
また、本発明に従う耐火物は、上述せる如きクリンカーが耐火物材料として用いられ、有利には、以下の如き手法にて形成されることとなる。
すなわち、先ず、上記した本発明に従うクリンカーに対して、常法に従って、粉砕、整粒操作を施し、それにより、該クリンカーの粉又は粒状物からなる耐火物材料を得た後、その得られた耐火物材料を、従来から公知の手法に従って所定の形状に成形し、更に必要に応じて、加熱、焼結せしめることによって、煉瓦等の成形耐火物を得るのである。
また、別の方法としては、上述の如くして得られる本発明のクリンカーからなる耐火物材料に対して、各種のセメントやバインダ等を配合して、粉末状や練り土状の不定形耐火物を得る方法がある。なお、この不定形耐火物においては、よく知られているように、その後、水を添加して、スタンプ成形法や振動成形法等による成形操作が実施され、以て、所望の形状を有する耐火製品(耐火物)が形成されることとなる。
このように、本発明に係る耐火物は、定形耐火物としても或いは不定形耐火物としても、どちらの形状のものとしても有利に製造され得るのであり、しかも、そのような耐火物は、前述せるように、耐消化性に優れているのである。
以下に、本発明の代表的な実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。
〈第一の被覆層を有する球状カルシア系クリンカーの製造及びその評価〉
CaO源原料としての炭酸カルシウムに、バインダとしてのリグニン類を所定量、添加して、混練し、かかる混練物をブリケットマシンにて直径約1mmの球状の造粒物に成型した。その後、得られた球状造粒物の一部と、粉末状とされたZrO2 源原料、TiO2源原料及びNiO源原料を用いて、球状造粒物と所定量の粉末状原料とをミキサー内で撹拌することにより、下記表1に掲げる厚さの(第一の)被覆層を有する6種類の被覆造粒物を得た。なお、ZrO2 源原料等としては安定化ジルコニアを、TiO2 源原料としてはルチル型チタニアを、NiO源原料としては酸化ニッケルを、各々、用いた。得られた球状造粒物及び6種類の被覆造粒物を乾燥せしめた後、ロータリーキルンを用いて、1900℃にて10分間、焼成することにより、7種類の球状カルシア系クリンカー(クリンカーa〜g)を得た。
そのようにして得られたクリンカーを3.35〜1.00mmに篩分けした粒子を用いて、耐消化性の評価を行った。具体的には、3.3気圧の圧力下、132.9℃の温度で3時間、処理を行なった以外は、学振法7〔ドロマイトクリンカーの消化性試験方法〕(日本学術振興会第124委員会分析分科会)における〔(II)オートクレーブによる方法〕に従って、重量増加率(%)を測定した。なお、かかる重量増加率の数値が小さければ小さいほど、クリンカーの耐消化性が優れていることを意味する。その結果を、下記表1に併せて示す。
Figure 2007055847
かかる表1の結果からも明らかなように、本発明の如く、第一の被覆層が形成された被覆造粒物を焼成してなる球状カルシア系クリンカー(クリンカーb〜g)にあっては、それぞれ、被覆層が形成されていない球状造粒物を単に焼成してなる球状カルシア系クリンカー(クリンカーa)と比較して、耐消化性が優れていることが認められたのである。
〈第一及び第二の被覆層を有する球状カルシア系クリンカーの製造及びその評価〉
CaO源原料としての炭酸カルシウムと、ZrO2 源原料としての安定化ジルコニアとを用いて、上記と同様の手法に従って、CaO源原料を用いてなる直径約1mmの球状造粒物に、10%の厚さ(0.1mm)のZrO2 源原料よりなる第一の被覆層を形成せしめた。次いで、かかる第一の被覆層の表面に、粉末状とされたFe23源原料、Al23源原料及びTiO2 源原料を用いて、上記と同様の手法に従って、下記表2に掲げる厚さの第二の被覆層を有する6種類の被覆造粒物を得た。なお、Fe23源原料としては酸化鉄を、また、Al23源原料としては仮焼アルミナを、TiO2 源原料としてはルチル型チタニアを用いた。そのようにして得られた6種類の被覆造粒物を乾燥せしめた後、ロータリーキルンを用いて、1900℃にて10分間、焼成することにより、6種類の球状カルシア系クリンカー(クリンカーh〜m)を得た。
そのようにして得られた6種類のクリンカーについて、クリンカーa〜fと同様の手法に従って耐消化性の評価を行った。その結果を、下記表2に併せて示す。
Figure 2007055847
かかる表2の結果からも明らかなように、本発明の如く、第一の被覆層及び第二の被覆層を形成せしめた被覆造粒物を焼成してなる球状カルシア系クリンカー(クリンカーh〜m)にあっては、より耐消化性が優れていることが認められたのである。
〈第一、第二及び第三の被覆層を有する球状カルシア系クリンカーの製造及びその評価〉
CaO源原料としての炭酸カルシウムを、前述のようにして直径約1mmの球状の造粒物に成型し、その表面に、前述のようにして、先ず、ZrO2 源原料(安定化ジルコニア)を用いて、球状造粒物の直径に対し10%の厚さ(0.1mm)を有する第一の被覆層を形成せしめた後、その表面に、TiO2 源原料(ルチル型チタニア)を用いて、球状造粒物の直径に対し10%の厚さ(0.1mm)を有する第二の被覆層を形成せしめた。更に、第二の被覆層の表面に、MnO源原料或いはFe23源原料を用いて、下記表3に掲げる厚さの第三の被覆層を有する4種類の被覆造粒物を得た。なお、MnO源原料としては酸化マンガンを、また、Fe23源原料としては酸化鉄を、各々、用いた。得られた4種類の被覆造粒物を乾燥せしめた後、ロータリーキルンを用いて、1900℃の温度にて10分間、焼成することにより、焼成物たる4種類の球状カルシア系クリンカー(クリンカーn〜q)を得た。
そのようにして得られたクリンカーについて、クリンカーa〜mと同様にして、耐消化性の評価を行った。その結果を、下記表3に併せて示す。
Figure 2007055847
かかる表3の結果からも明らかなように、本発明の如く、第一の被覆層、第二の被覆層及び第三の被覆層を形成せしめた被覆造粒物を焼成してなる球状カルシア系クリンカー(クリンカーn〜q)にあっては、更に優れた耐消化性を発揮することが、認められたのである。

Claims (4)

  1. CaO源原料を用いて得られた球状の造粒物の表面に、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料、SiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの少なくとも何れか一種を含む第一の被覆層が形成された被覆造粒物を用いて、該被覆造粒物を焼成して得られた焼成物からなることを特徴とする球状カルシア系クリンカー。
  2. 前記第一の被覆層の表面に、ZrO2 源原料、TiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの何れか一種であって、該第一被覆層に含有されるものとは異なるものを含む第二の被覆層が形成されている請求項1に記載の球状カルシア系クリンカー。
  3. 前記第二の被覆層の表面に、ZrO2 源原料、MgO源原料、MnO源原料、NiO源原料、TiO2 源原料、SiO2 源原料、Al23源原料及びFe23源原料のうちの何れか一種であって、該第二被覆層に含有されるものとは異なるものを含む第三の被覆層が形成されている請求項2に記載の球状カルシア系クリンカー。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のクリンカーを、耐火物材料として用いてなることを特徴とする耐火物。
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