JP2007055140A - 光学素子製造装置、光学素子製造方法およびそれを用いて製造した光学素子 - Google Patents

光学素子製造装置、光学素子製造方法およびそれを用いて製造した光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学素子の光学機能面上に、所定形状を有する樹脂層を成型加工によって形成することにより所定形状を有する樹脂層を追加形成する光学素子の製造において、樹脂層材料の供給量のバラツキによる不良品の発生を防止することできる光学素子製造装置、光学素子製造方法およびそれを用いた光学素子を提供することである。
【解決手段】 別の光学機能を付加する第1の型と、前記光学素子を押圧する第2の型と、前記第1の型、前記第2の型および前記光学素子に対して相対的にスライドし、内面に前記樹脂層の材料の逃げ部となる溝を設けた枠体とを有することを特徴とし、樹脂層材料の供給量のバラツキに起因する不良品の発生の防止が可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学素子表面に樹脂層を一体成型し、高機能を付加した光学素子を製造する光学素子製造装置、光学素子製造方法およびそれを用いて製造した光学素子に関するものである。
成型加工の方法としては、硝子部材の表面に、樹脂から成る薄い層を成型加工することにより、硝子部材では加工しにくい非球面形状を有するレンズを形成するレプリカ法が知られている。
このレプリカ法によるレンズの成型方法を、図9を用いて説明する。図9に示すように、所望の非球面形状の成型面52aを有する型部材52の上に、この非球面形状に近い曲率を有する球面形状に加工された硝子部材50を載置し、硝子部材50の表面50aと、型部材52の成型面52aとの間の規定される空間部54に、液体状の樹脂を充填および硬化させて樹脂層を形成することにより、所望の非球面形状を有するレンズ55を形成するという方法である。
ここで、上記レプリカ法による光学素子の製造における樹脂層の離型方法に関して種々の方法が知られている。例えば、特許文献1によれば、図10に示すように、金型11の光学面の有効径の外側に金型11の材質よりも樹脂に対する濡れ性が悪い物質による膜を設け、金型11の光学面の有効径の外側が中心軸と15度以上55度以下の角度をなし、かつ中心軸から離れるにつれて基材13の成型面の光学有効径内の最外周部の点を通り中心軸に垂直な面との距離が大きくなる形状を有する金型11を用いることで、樹脂層12形成後の離型性を良くする方法が提案されている。
特開平7−68569号公報
しかし、上述した従来技術には以下に述べるような問題があった。
上記従来例のレプリカ法を用いた場合には、樹脂層材料の供給量にバラツキが生じ、樹脂層の外径が光学有効径に満たない不良品や、所定の層厚さよりも厚い不良品が製造されるという問題があった。
また、余分な樹脂層材料を充填した場合に、離型後の樹脂層の光学有効径外の部分に、光学有効径を形成するのに不要な突起が形成されてしまうこととなる。不要な突起が形成されると、レンズバレル組付け時に、該突起に接触してしまい高精度の位置合わせができないという問題があった。
上記のような不良品の発生を抑制するために、樹脂層材料の供給量を正確に測って供給する方法が考えられるが、樹脂層材料は粘性流体のため供給量のバラツキが大きく正確に供給することが困難である。
また、上記特許文献1に示した樹脂層12の離型性を向上させる方法においても、光学面の有効径外に不要な突起が形成されるという問題があった。さらには、金型11の形状が複雑となり製造が困難であるという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂層材料の供給量のバラツキによる不良品の発生を防止することができる光学素子製造装置、光学素子製造方法およびそれを用いた光学素子を提供することである。
さらには、不要な突起が形成されるのを防止することができ、離型時の樹脂層はがれを防止することができる光学素子製造装置、光学素子製造方法およびそれを用いて製造した光学素子を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の光学素子製造装置は、光学機能を有する光学素子の光学機能面上に、成型加工により所定形状を有する樹脂層を追加形成する光学素子製造装置において、前記所定形状を一面に備えた第1の型と、前記光学素子を保持する第2の型と、前記第1の型、前記第2の型および前記光学素子に対して相対的にスライドし、内面に成型時の樹脂層材料の逃げ部となる溝を設けた枠体とを有することを特徴とする。
上記構成の光学素子製造装置によれば、樹脂層の外径が光学有効径に満たない不良品や、所定の層厚さよりも厚い不良品の発生を防止することができる。また、不要な突起等のない所望の形状の光学素子を形成することができる。
また、本発明の光学素子製造装置は、前記枠体の溝が外部と通じていることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造装置によれば、前記枠体の溝から不要な樹脂層材料を抜き取ることができる。
また、本発明の光学素子製造装置は、前記枠体の溝が外部と通じ、前記樹脂層材料の供給部を兼用していることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造装置によれば、容易に樹脂層材料を供給することができる。
また、本発明の光学素子製造装置は、前記第1の型の所定形状は非球面形であることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造装置によれば、複雑な形状の光学素子を精度よく製造することができる。
また、本発明の光学素子製造装置は、前記第1の型の外周部に、凸部が形成されていることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造装置によれば、取り付けに有用な段付平面部を備えた光学素子を形成することができる。
また、本発明の光学素子製造装置は、前記第1の型が、前記所定形状を一面に備えた第1成型部と、前記第1成型部の外側に嵌合される筒状の第2成型部とからなることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造装置によれば、第1成型部および第2成型部により樹脂層を押圧することができる。
また、本発明の光学素子製造方法は、光学機能を有する光学素子の光学機能面上に、成型加工によって所定形状を有する樹脂層を追加形成する光学素子製造方法において、前記樹脂層を形成する材料を供給する工程と、樹脂層材料の不要分を所定の面外に逃がす工程と、前記樹脂層材料の不要分を切り取る工程と、前記不要分を切り取った後、前記樹脂層材料を硬化させる工程とを有することを特徴とする。
上記構成の光学素子製造方法によれば、樹脂層材料の供給量のバラツキによる不良品の発生を防止することができる。
また、本発明の光学素子製造方法は、内面に成型時の樹脂層材料の逃げ部となる溝を設けた枠体に、所定形状を一面に備えた第1の型と、光学素子と、前記光学素子を保持する第2の型とを嵌合し、前記第1の型と前記光学素子間に空間を形成する工程と、前記空間に樹脂層材料を供給する工程と、前記枠体内で前記第1の型と前記光学素子との間が所定厚みとなるよう、前記第1の型と前記第2の型および前記光学素子を相対的にスライドさせるとともに、不要な前記樹脂層材料を前記枠体の溝に流出させる工程と、所定厚みの前記樹脂層材料部分を前記枠体の溝から離間させる工程と、前記所定厚みの樹脂層材料を硬化させる工程とを有することを特徴とする。
上記構成の光学素子製造方法によれば、前記第2の型、前記光学素子、前記樹脂層および前記第1の型が位置決めされた際にはみ出す不要な樹脂層材料が、枠体に設けられた溝に流れ込み、前期樹脂層材料の不要分を除去することができるため、前記樹脂層材料の供給量を高精度にコントロールしなくても樹脂層材料を所望の厚みに形成することができ、樹脂層材料の供給量のバラツキによる不良品の発生を防止することができる。
また、本発明の光学素子製造方法は、前記空間に樹脂層材料を供給する工程において、前記枠体の溝と前記第1の型の一端が近接する位置になるように、前記枠体と前記第1の型とを位置決めすることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造方法によれば、不要分の樹脂層材料を枠体の溝に容易に流し込むことができる。
また、本発明の光学素子製造方法は、前記枠体内の樹脂層材料が供給された部分を低圧にすることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造方法によれば、樹脂層中への気泡の混入を防止することができる。
また、本発明の光学素子製造方法は、所定厚みの前記樹脂層材料部分を前記枠体の溝から離間させる工程の後に、前記枠体の溝内を低圧にし、前記溝を通して前記枠体外に不要な樹脂層材料を抜き取る工程を有することを特徴とする。
上記構成の光学素子製造方法によれば、枠体の溝から不要な樹脂層材料を抜き取ることで、次の光学素成型時に枠体がそのままで再度使用可能となる。
また、本発明の光学素子製造方法は、前記樹脂層材料を硬化させる工程の後、第1の型の第2成型部で前記樹脂層を押さえたまま、第1の型の第1成型部をスライドさせて離型させる工程と、前記第1成型部をスライドさせて前記樹脂層を押圧する工程と、前記第2成型部をスライドさせて離型させる工程とを有することを特徴とする。
上記構成の光学素子製造方法によれば、第1の型の第1成型部をスライドさせて離型させる工程において、第1の型の第2成型部で樹脂層を固定することができ、第1の型の第2成型部をスライドさせて離型させる工程において、第1の型の第1成型部で樹脂層を固定することができるため、第1の型の離型が容易となる。
また、本発明の光学素子製造方法は、前記第1の型の第1成型部および前記第1の型の第2成型部を位置決めする工程において、前記第2成型部の一端が、前記第1成型部の一端より前記枠体の溝に近い場所に位置するように、前記第1成型部および前記第2成型部を位置決めすることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造方法によれば、前記樹脂層に段付平面部を形成することができる。
また、本発明の光学素子製造方法は、前記樹脂層材料は、活性エネルギー線硬化型の樹脂であることを特徴とする。
上記構成の光学素子製造方法によれば、前記樹脂層材料を高温まで過熱せずに短時間で硬化させることができる。
また、本発明の光学素子は、前述の光学素子製造装置および光学素子製造方法のいずれかを用いて非球面形光学素子を製造したことを特徴とする。
上記構成の光学素子によれば、不良品の発生を防止した良好な光学素子を提供することができる。
以上より明らかなように、本発明の光学素子製造装置および光学素子製造方法によれば、樹脂層材料の供給量を高精度にコントロールしなくても、正確に樹脂層を所望の厚みに形成することができ、樹脂層材料の供給量のバラツキに起因する不良品の発生を防止することができ、光学素子の製造歩留まりを向上させることができる。
また、光学素子に不要な突起が形成されることはないため、光学素子製造後に不要な突起を除去する必要がない。
さらに、本発明の光学素子製造装置もしくは光学素子製造方法を用いて製造した光学素子によれば、付加した非球面層に不要な突起が形成されないため、樹脂層がはがれることがない。
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
まず、図1を用いて、本発明の第1の実施形態の光学素子製造装置の説明を行う。
図1は、本発明の第1の実施形態における光学素子製造装置の主要断面図である。第1の型2の一面には、光学素子4の光学機能面4a上に所定形状を有する樹脂層を追加形成するための付加光学機能面2aが形成されている。ここで、第1の型2の付加光学機能面2aは非球面形であっても構わない。
また、第1の型2の外側には、筒状構造の枠体1が装着されている。さらに、それぞれの外周面が枠体1の内周面と嵌合する外径を有する第2の型5および光学素子4が枠体1内に嵌入されている。
ここで、第1の型2は、第2の型5、光学素子4および枠体1に対して相対的にスライドすることができる。
また、第2の型5は、第1の型2の付加光学機能面2a上に樹脂層材料供給手段(図示せず)により供給される樹脂層材料の厚みを所望の厚みにするために光学素子4を保持するためのものであり、光学素子4の光学機能面4aから前記第1の型2の付加光学機能面2aまでの距離が、形成する樹脂層3の厚みとなるように離間させた状態で保持されるように製造装置本体(図示せず)に取り付けられている。
また、枠体1は、第2の型5および光学素子4を水平方向(光軸に直交する方向)に位置決めするためのものである。また、第1の型2、第2の型5および光学素子4に対して相対的にスライドすることが可能である。さらに、枠体1の内壁には溝1aが形成されている。前記溝1aは第1の型2の付加光学機能面2a上に樹脂層材料供給手段(図示せず)により供給された樹脂層材料の不要分が流れ込むことが可能であればよく、複数に分かれていてもよいし、枠体1の内壁全周にわたって形成されていてもよい。
また、前記溝1aは、抜取り穴1a´を通して外部と通じているように形成してもよい。さらに、前記溝1aは、抜取り穴1a´を通して外部と通じ、樹脂層材料の供給部を兼用するようにしてもよい。
また、枠体1の内周面に第1の型2および光学素子4のそれぞれの外周面を嵌合させることにより、光学素子4の光軸中心を第1の型2上の付加光学機能面2aの中心と正確に一致させることができる。
また、紫外線照射器6は、光学素子4上に形成される樹脂層を硬化させるための活性化エネルギーを照射するためのものである。
続いて、図2を用いて、本発明の第1の実施形態における光学素子製造装置を用いた光学素子製造方法について説明する。
まず、図2(1)に示すように、枠体1の内周面に第1の型2の外周面を嵌合させる。また、第1の型2の一端に対し、枠体1の溝1aが近接する位置になるように、枠体1および第1の型2を位置決めする。
次に、図2(2)に示すように、樹脂層材料供給手段(図示せず)により必要な体積以上の樹脂層材料を第1の型2の付加光学機能面2a上に供給する。ここで、枠体1の溝1aの抜き取り穴1a´のうちのいくつかを通じて樹脂層材料を供給するようにしてもよい。
また、供給する樹脂層材料は、活性エネルギー線硬化型の樹脂とするのが望ましい。本実施形態においては、紫外線硬化型の樹脂(例えば、ウレタン変性アクリレート及びアクリレートをモノマー成分とする樹脂)として説明を行う。樹脂層材料を活性エネルギー線硬化型の樹脂とすることにより、高温まで加熱せずに短時間で硬化させることができる。
次に、図2(3)に示すように、光学素子4を、その外周面が枠体1の内周面に対するように嵌入させて、樹脂層3上に載置する。光学素子4の外周面は、枠体1の内周面に嵌合しているため、光学素子4は水平方向(光軸に直交する方向)に関し、第1の型2に対して正確に位置決めされることができる。ここで、光学素子4が樹脂層3上に載置された状態では、光学素子4の高さ方向(光軸方向)の位置決めはまだ行われていない。
次に、光学素子4のさらに上方から、筒状構造の第2の型5を、その外周面が枠体1の内周面に対するように、かつ光学素子4の光学機能面4aから前記第1の型2の付加光学機能面2aまでの距離が、形成する樹脂層3の厚みとなるように離間させた状態で支持する。この段階で光学素子4の高さ方向(光軸方向)の位置決めが行われ、樹脂層材料が第1の型2の付加光学機能面2a上の全面に押し広げられる。これにより樹脂層3を所望の厚みに形成することができる。この時、不要分の樹脂層材料は枠体1の溝1aに流れ込む。
ここで、真空ポンプ(図示せず)を枠体1の抜取り穴1a´もしくは載置されている樹脂層材料に通じる任意の場所に接続し、枠体内の樹脂層材料の載置されている部分を低圧にする。これにより、樹脂層材料中の気泡を除去することができ、ボイドを含まない樹脂層を形成することができる。
次に、図2(4)に示すように、枠体1を第2の型5、光学素子4および第1の型2に対して相対的にZ方向にスライドさせることにより、枠体1の溝1aに流れ込んだ不要な樹脂層材料を除去する。
ここで、枠体1の溝1aに流れ込んだ不要分な樹脂層材料を除去した後に、枠体1の外から真空ポンプ等(図示せず)を使用して、枠体1の抜取り穴1a´を通して図中R方向に不要な樹脂層材料を抜き取ることで、次の光学素子成型時に枠体1が再度使用可能となる。
次に、図2(5)に示すように、紫外線照射器6を使用して樹脂層材料に紫外線を図中のE方向に照射して樹脂層材料を硬化させ、樹脂層3を形成する。ここで、第1の枠2を紫外線に対して透過率の高い物質とすることにより、第1の枠2の方向から紫外線照射器6による樹脂材料の硬化を行うようにすることもできる。
樹脂層3の硬化が終了した後に、図2(6)に示すように、第1の型2を図中のZ方向にスライドさせることで第1の型2を光学素子4から離型させる。
その後、第2の型5を離間することにより、図2(7)に示すような、樹脂層3の光学有効面内に所定形状を有する樹脂層が追加形成された非球面形光学素子が完成する。
上記構成の光学素子製造装置および光学素子製造方法によれば、前記第2の型、前記光学素子、前記樹脂層および前記第1の型の順に位置決めされた際にはみ出す不要分の樹脂層材料が、枠体に設けられた溝に流れ込み、その不要分を除去することができるため、前記樹脂層材料の供給量を高精度にコントロールしなくても、樹脂層材料を所望の厚みに形成することができ、樹脂層材料の供給量のバラツキによる不良品の発生を防止することができる。
さらに、樹脂層3に突起が形成されることを防止することができる。
次に、図3を用いて、本発明の第2の実施形態の光学素子製造装置の説明を行う。
図3は、本発明の第2の実施形態における光学素子製造装置の主要断面図である。第1の型2の一面には光学素子4の光学機能面4a上に所定形状を有する樹脂層を追加形成するための付加光学機能面2aが形成されている。ここで、第1の型2の付加光学機能面2aは非球面形であっても構わない。さらに、第1の型2の外周部には、光学素子4の光学機能面の外側の光学有効面外に段付平面部を形成するための凸部8が形成されている。前記凸部8は、複数に分かれていてもよいし、前記第1の型2の全周にわたって形成されていてもよい。
ここで、枠体1、第2の型5、紫外線照射器6については前記実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態の第2の実施形態における光学素子製造装置を用いて製造した光学素子を図4に示す。光学有効面外には段付平面部7が形成されている。このように形成された光学素子は、光学有効面内の形状と光学有効面外の段付平面部7とが同時に形成されるため、光学素子の光軸と段付平面部7との高精度な直交性が得られ、光学素子をレンズバレルに高精度に取り付けることができる。
次に、図5を用いて、本発明の第3の実施形態の光学素子製造装置の説明を行う。
図5は、本発明の第3の実施形態における光学素子製造装置の主要断面図である。第1の型2の一面には光学素子4の光学機能面4a上に所定形状を有する樹脂層を追加形成するための付加光学機能面2aが形成されている。ここで、第1の型2の付加光学機能面2aは非球面形であっても構わない。
また、第1の型2の外側には、筒状構造の枠体1が装着されている。さらに、それぞれの外周面が枠体1の内周面と嵌合する外径を有する第2の型5および光学素子4が枠体1内に嵌入されている。
ここで、第1の型2は、第2の型5、光学素子4および枠体1に対して相対的にスライドすることができる。
また、第2の型5は、光学素子4の光学機能面4a上に樹脂層材料供給手段(図示せず)により供給される樹脂層材料の厚みを所望の厚みにするために光学素子4を保持するためのものであり、光学素子4の光学機能面4aから前記第1の型2の付加光学機能面2aまでの距離が、形成する樹脂層3の厚みとなるように離間させた状態で保持されるように製造装置本体(図示せず)に取り付けられている。
ここで、枠体1、紫外線照射器6については前記実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態の第3の実施形態における光学素子製造装置を用いて製造した光学素子を図6に示す。本実施形態によれば、形成しようとする面の形状が凹である光学素子4においても所定の形状を有する樹脂層3を追加形成することが可能である。
次に、図7を用いて、本発明の第4の実施形態の光学素子製造装置の説明を行う。
図7は、本発明の第4の実施形態における光学素子製造装置の主要断面図である。第1の型2の一面には光学素子4の光学機能面4a上に所定形状を有する樹脂層を追加形成するための付加光学機能面2aが形成されている。ここで、第1の型2の付加光学機能面2aは非球面形であっても構わない。また、第1の型2は、前記所定形状を一面に備えた第1成型部2bと、第1成型部2bの外側に嵌合される筒状の第2成型部2cとからなる。
また、第2成型部2cの外側には、筒状構造の枠体1が装着されている。さらに、それぞれの外周面が枠体1の内周面と嵌合する外径を有する第2の型5および光学素子4が枠体1内に嵌入されている。
ここで、第1成型部2bにおいて、第2成型部2cの一端が第1成型部2bの一端より枠体1の溝に近い場所に位置するように配置されている。また、第1成型部2bおよび第2成型部2cは、それぞれ第2の型5、光学素子4および枠体1に対して相対的にスライドすることができる。
ここで、枠体1、第2の型5および紫外線照射器6については前記実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
続いて、図8を用いて、本発明の第4の光学素子製造装置を用いた光学素子製造方法について説明する。
まず、図8(1)に示すように、枠体1の内周面に第1の型2の外周面を嵌合させ、第2成型部2cの内周面に第1成型部2bの外周面を嵌合させる。ここで、第2成型部2cの一端が第1成型部2bの一端より枠体1の溝に近い場所に位置するように、枠体2および第1の型2を位置決めすることが望ましい。
次に、図8(2)に示すように、樹脂層材料供給手段(図示せず)により必要な体積以上の樹脂層材料を第1成型部2bの付加光学機能面2a上に供給する。ここで、枠体1の溝1aの抜き取り穴1a´のうちのいくつかを通じて樹脂層材料を供給するようにしてもよい。
また、供給する樹脂層材料は、活性エネルギー線硬化型の樹脂とするのが望ましい。本実施例においては、紫外線硬化型の樹脂(例えば、ウレタン変性アクリレート及びアクリレートをモノマー成分とする樹脂)として説明を行う。樹脂層材料を活性エネルギー線硬化型の樹脂とすることにより、高温まで加熱せずに短時間で硬化させることができる。
次に、図8(3)に示すように、光学素子4を、その外周面が枠体1の内周面に対するように嵌入させて、樹脂層3上に載置する。光学素子4の外周面は、枠体1の内周面に嵌合しているため、光学素子4は水平方向(光軸に直交する方向)に関し、第1の型2に対して正確に位置決めされることができる。ここで、光学素子4が樹脂層3上に載置された状態では、光学素子4の高さ方向(光軸方向)の位置決めはまだ行われていない。
次に、光学素子4のさらに上方から、筒状構造の第2の型5を、その外周面が枠体1の内周面に対するように、かつ光学素子4の光学機能面4aから前記第1成型部2bの付加光学機能面2aまでの距離が、形成する樹脂層3の厚みとなるように離間させた状態で支持する。この段階で光学素子4の高さ方向(光軸方向)の位置決めが行われ、樹脂層材料が第1成型部2bの付加光学機能面2a上の全面に押し広げられる。これにより樹脂層3を所望の厚みに形成することができる。この時、不要分の樹脂層材料は枠体1の溝1aに流れ込む。
ここで、真空ポンプ(図示せず)を枠体1の抜取り穴1a´もしくは載置されている樹脂層材料に通じる任意の場所に接続し、枠体内の樹脂層材料の載置されている部分を低圧にする。これにより、樹脂層材料中の気泡を除去することができ、ボイドを含まない樹脂層を形成することができる。
次に、図8(4)に示すように、枠体1を第2の型5、光学素子4および第1の型2に対して相対的にZ方向にスライドさせることにより、枠体1の溝1aに流れ込んだ不要な樹脂層材料を除去する。
ここで、枠体1の溝1aに流れ込んだ不要分の樹脂層材料を除去した後に、枠体1の外から真空ポンプ等(図示せず)を使用して、枠体の抜取り穴1a´を通して図中R方向に不要な樹脂層材料を抜き取ることで、次の光学素子成型時に枠体1が再度使用可能となる。
次に、図8(5)に示すように、紫外線照射器6を使用して樹脂層材料に紫外線を図中のE方向に照射して樹脂層材料を硬化させ、樹脂層3を形成する。ここで、第1の枠2を紫外線に対して透過率の高い物質とすることにより、第1の枠2の方向から紫外線照射器6による樹脂材料の硬化を行うようにすることもできる。
樹脂層3の硬化が終了した後に、図8(6)に示すように、第2成型部2cで樹脂層3が形成された光学素子4を保持したまま、第1成型部2bを図中のZ方向にスライドさせることで第1成型部2bを光学素子4から離型させる。その後、樹脂層3を押圧する位置まで第1成型部2bを再度Z方向と反対方向にスライドさせた後、図8(7)に示すように、第2成型部2cをZ方向にスライドさせることで、第2成型部2cを光学素子4から離型させる。
ここで、第1成型部2bをスライドさせて離型させる工程において、第2成型部2cで樹脂層を固定することができ、第2成型部2cをスライドさせて離型させる工程において、第1成型部2bで樹脂層3を固定することができる。よって、離型時の樹脂層はがれを防止することができる。
その後、第1成型部2bおよび第1の型2を離間することにより、図8(8)に示すような、樹脂層3の光学有効面内に所定形状を有する樹脂層が追加形成され、光学有効面外に段付平面部7を有する非球面形光学素子が完成する。
ここで、光学有効面内の形状と光学有効面外段付平面部が同時に形成されるため、光学素子の光軸と段付平面部との高精度な直交性が得られる。よって、フランジ等を形成することができない光学素子においてもレンズバレルに精度良く取り付けることができる。
上記実施形態1から実施形態4により形成された光学素子は、樹脂層材料の供給量のバラツキに起因する不良品の発生がなく、複雑な形状の樹脂層においても精度よく所望の厚みに形成することができ、不要な突起が形成されることがない。
さらに、上記実施形態2および実施形態4により形成された光学素子は、光学有効面内の形状と光学有効面外の段付平面部が同時に成型されているため、光学素子の光軸と段付平面部との高精度な直交性が得られ、光学素子をレンズバレルに高精度に取り付けることができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で上記実施例を変更した種々の態様で実施可能である。例えば、樹脂層材料の供給方法は、シート状に形成した樹脂層材料を第1の型と光学素子間の空間に載置することにより供給するようにしてもよい。これにより、容易に樹脂層材料を供給することができる。
以上より、本発明の光学素子製造装置、光学素子製造方法およびそれを用いた光学素子によれば、光学素子の製造歩留まりを向上させることができる。
本発明の光学素子製造装置および光学素子製造方法は、光学素子全般に適用可能である。
本発明の第1の実施形態である光学素子製造装置を示す要部断面図である。 本発明の第1の実施形態である光学素子製造方法を示す工程断面図である。 本発明の第1の実施形態である光学素子製造方法を示す工程断面図である。 本発明の第2の実施形態である光学素子製造装置を示す要部断面図である。 本発明の第2の実施形態により製造した光学素子を示す要部断面図である。 本発明の第3の実施形態である光学素子製造装置を示す要部断面図である。 本発明の第3の実施形態により製造した光学素子を示す要部断面図である。 本発明の第4の実施形態である光学素子製造装置を示す要部断面図である。 本発明の第4の実施形態である光学素子製造方法を示す工程断面図である。 本発明の第4の実施形態である光学素子製造方法を示す工程断面図である。 レプリカ法によるレンズの成型方法を説明する断面図である。 光学素子製造方法の従来例を示す断面図である。
符号の説明
1…枠体
1a…溝
1a´…抜取り穴
2…第1の型
2a…付加光学機能面
2b…第1成型部
2c…第2成型部
3…樹脂層
4…光学素子
4a…光学機能面
5…第2の型
6…紫外線照射器
7…段付平面部

Claims (15)

  1. 光学機能を有する光学素子の光学機能面上に、成型加工により所定形状を有する樹脂層を追加形成する光学素子製造装置において、
    前記所定形状を一面に備えた第1の型と、
    前記光学素子を保持する第2の型と、
    前記第1の型、前記第2の型および前記光学素子に対して相対的にスライドし、内面に成型時の樹脂層材料の逃げ部となる溝を設けた枠体とを有する光学素子製造装置。
  2. 前記枠体の溝が外部と通じていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子製造装置。
  3. 前記枠体の溝が外部と通じ、前記樹脂層材料の供給部を兼用していることを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の光学素子製造装置。
  4. 前記第1の型の所定形状は非球面形であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学素子製造装置。
  5. 前記第1の型の外周部に、凸部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学素子製造装置。
  6. 前記第1の型は、前記所定形状を一面に備えた第1成型部と、前記第1成型部の外側に嵌合される筒状の第2成型部とからなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子製造装置。
  7. 光学機能を有する光学素子の光学機能面上に、成型加工によって所定形状を有する樹脂層を追加形成する光学素子製造方法において、
    前記樹脂層を形成する材料を供給する工程と、
    樹脂層材料の不要分を所定の面外に逃がす工程と、
    前記樹脂層材料の不要分を切り取る工程と、
    前記不要分を切り取った後、前記樹脂層材料を硬化させる工程とを有することを特徴とする光学素子製造方法。
  8. 内面に成型時の樹脂層材料の逃げ部となる溝を設けた枠体に、所定形状を一面に備えた第1の型と、光学素子と、前記光学素子を保持する第2の型とを嵌合し、前記第1の型と前記光学素子間に空間を形成する工程と、
    前記空間に樹脂層材料を供給する工程と、
    前記枠体内で前記第1の型と前記光学素子との間が所定厚みとなるよう、前記第1の型と前記第2の型および前記光学素子を相対的にスライドさせるとともに、不要な前記樹脂層材料を前記枠体の溝に流出させる工程と、
    所定厚みの前記樹脂層材料部分を前記枠体の溝から離間させる工程と、
    前記所定厚みの樹脂層材料を硬化させる工程とを有することを特徴とする光学素子製造方法。
  9. 前記空間に樹脂層材料を供給する工程において、
    前記枠体の溝と前記第1の型の一端が近接する位置になるように、前記枠体と前記第1の型とを位置決めすることを特徴とする請求項8のいずれかに記載の光学素子製造方法。
  10. 前記枠体内の樹脂層材料が供給された部分を低圧にすることを特徴とする請求項8から請求項9のいずれかに記載の光学素子製造方法。
  11. 所定厚みの前記樹脂層材料部分を前記枠体の溝から離間させる工程の後に、
    前記枠体の溝内を低圧にし、前記溝を通して前記枠体外に不要な樹脂層材料を抜き取る工程を有することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の光学素子製造方法。
  12. 前記樹脂層材料を硬化させる工程の後、
    第1の型の第2成型部で前記樹脂層を押さえたまま、第1の型の第1成型部をスライドさせて離型させる工程と、
    前記第1成型部をスライドさせて前記樹脂層を押圧する工程と、
    前記第2成型部をスライドさせて離型させる工程とを有することを特徴とする請求項8から請求項11のいずれかに記載の光学素子製造方法。
  13. 前記第1の型の第1成型部および前記第1の型の第2成型部を位置決めする工程において、
    前記第2成型部の一端が、前記第1成型部の一端より前記枠体の溝に近い場所に位置するように、前記第1成型部および前記第2成型部を位置決めすることを特徴とする請求項8から請求項12のいずれかに記載の光学素子製造方法。
  14. 前記樹脂層材料は、活性エネルギー線硬化型の樹脂であることを特徴とする請求項8から請求項13のいずれかに記載の光学素子製造方法。
  15. 請求項1から請求項14のいずれかに記載の光学素子製造装置もしくは光学素子製造方法を用いて非球面形光学素子を製造したことを特徴とする光学素子。
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