JP2007053947A - エステル化プロポリス、その製造方法、抗癌剤及び食品製剤 - Google Patents

エステル化プロポリス、その製造方法、抗癌剤及び食品製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 消化吸収性に優れるとともにプロポリスの好ましい生理作用を高めることが容易なエステル化プロポリス及びその製造方法、並びに、該エステル化プロポリスを含有する抗癌剤及び食品製剤を提供する。
【解決手段】 エステル化プロポリスは、プロポリスにアルコールの存在下で酵素を作用させ、該プロポリス中の有機酸をエステル化させることにより製造される。酵素としては、クロロゲン酸エステラーゼ、タンナーゼ、フェルラ酸エステラーゼ等の加水分解酵素が使用可能である。プロポリスは、好ましくはプロポリス抽出物であり、より好ましくはプロポリスのアルコール抽出物であり、特に好ましくはプロポリスのエタノール抽出物である。抗癌剤及び食品製剤はエステル化プロポリスを含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い消化吸収性を有するエステル化プロポリス及びその製造方法、並びに、該エステル化プロポリスを含有する抗癌剤及び食品製剤に関する。
プロポリスは、種々の植物の新芽や樹脂状物質を原料としてミツバチにより生産される膠状の物質である。プロポリスは、古くから民間伝承薬としても使用されており、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用を始め、抗癌作用、免疫増強賦活作用、肝保護作用、抗アルツハイマー作用等の多くの生理作用を有することが知られている。このような生理作用を引き起こす物質としては、桂皮酸のような有機酸類が挙げられる。また、プロポリスには、アレルギー性を有する成分が含まれていることも知られている。近年、プロポリスに種々の酵素を作用させることにより、該プロポリスの好ましい生理作用を高めて、好ましくない生理作用を低下させる努力がなされるようになってきている。
例えば特許文献1には、プロポリスに加水分解酵素又は酸化還元酵素を作用させることにより、免疫促進作用の増強が可能となることが開示されている。また、特許文献2には、プロポリスに加水分解酵素又は酸化還元酵素を作用させ、実質的に発現されない程度にアレルギー性を消失させることが可能となることが開示されている。いずれの文献においても、使用される加水分解酵素は、エステル結合に作用し、その結合を切断して分解させるものであり、カルボキシルエステラーゼ等のエステラーゼを始めとして、トリアシルグリセロールリパーゼやタンナーゼ等が例示されている。
特開2001−8644号公報 特開平7−8185号公報
本発明者らは、様々な条件下で種々の酵素を作用させることにより、プロポリスの好ましい生理作用を増強させるべく鋭意研究を行った。その結果、アルコールの存在下で加水分解酵素の逆反応を進行させることにより、プロポリス中の有機酸をエステル化させることに成功した。さらに、本発明者らは、エステル化された有機酸がエステル化されていない有機酸よりも高い消化吸収性を有していることを証明し、その知見に基づいてプロポリスの好ましい生理作用を迅速に発揮させ得る方法を開発した。その結果、有機酸を迅速に生体内に吸収させることにより、抗癌作用を中心とするプロポリスの好ましい生理作用が飛躍的に増強されたことを確認した。そして、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明の目的とするところは、消化吸収性に優れるとともにプロポリスの好ましい生理作用を高めることが容易なエステル化プロポリス及びその製造方法を提供することにある。本発明の別の目的とするところは、消化吸収性に優れるとともに高い抗癌作用を有する抗癌剤を提供することにある。本発明の他の目的とするところは、消化吸収性に優れるとともにプロポリスの好ましい生理作用が高められた食品製剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のエステル化プロポリスの製造方法は、プロポリスにアルコールの存在下で酵素を作用させ、該プロポリス中の有機酸をエステル化させることを要旨とする。
請求項2に記載のエステル化プロポリスの製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記酵素はクロロゲン酸エステラーゼであることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のエステル化プロポリスの製造方法により製造されるエステル化プロポリスであって、前記有機酸に関して、前記プロポリスよりも消化器官からの高い吸収性を有することを要旨とする。
請求項4に記載の抗癌剤は、請求項3に記載のエステル化プロポリスよりなることを要旨とする。
請求項5に記載の食品製剤は、請求項3に記載のエステル化プロポリスを含有することを要旨とする。
本発明によれば、消化吸収性に優れるとともにプロポリスの好ましい生理作用を高めることが容易なエステル化プロポリス及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、消化吸収性に優れるとともに高い抗癌作用を有する抗癌剤及び消化吸収性に優れるとともにプロポリスの好ましい生理作用が高められた食品製剤を提供することができる。
以下、本発明のエステル化プロポリス、その製造方法、抗癌剤及び食品製剤を具体化した一実施形態について説明する。
本実施形態のエステル化プロポリスの製造方法は、プロポリスにアルコールの存在下で酵素を作用させ、該プロポリス中の有機酸をエステル化させる工程(エステル化工程)を備えている。エステル化工程では、酵素の触媒作用により、アルコールとプロポリス中の有機酸との間でエステル化反応が進行する。そして、このエステル化反応により、アルコールの分子とプロポリス中の有機酸とが脱水縮合することによりエステル結合で結合され、有機酸エステルを生成させる。生成された有機酸エステルは、エステル化反応前の有機酸よりも消化吸収性に優れているため、該有機酸に起因する抗癌作用のような好ましい生理作用が迅速かつ効果的に発揮されるようになる。また、有機酸エステル自体が、エステル化反応前の有機酸よりも高い生理作用を発揮し得る可能性もある。
本実施形態の製造方法で用いられるプロポリスとしては、プロポリス原塊を公知の抽出方法によって抽出したプロポリス抽出物が好適に使用される。
プロポリス原塊は、ミツバチが樹木の特定部位、主として新芽や蕾及び樹皮から採取したガム質、樹液、植物色素系の物質及び香油等の集合体に、ミツバチ自身の分泌物や蜂ロウ等を混合して作製した暗緑色や褐色から暗褐色を呈した粘着性のある樹脂状の固形天然物質である。プロポリス抽出物を得るために用いられるプロポリス原塊としては、ブラジルを含む南アメリカ諸国、中国や日本等のアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、オセアニア諸国等のあらゆる産地のものが使用可能である。
プロポリス抽出物としては、プロポリスの水抽出物、アルコール抽出物、含水アルコール抽出物、有機溶媒抽出物、超臨界抽出物、ミセル化抽出物等が挙げられる。これらのプロポリス抽出物のうち、エステル化反応の基質(アルコール)を供与可能であるうえ、高い抗癌作用を有する成分を容易かつ多量に抽出可能であることから、アルコール抽出物又は含水アルコール抽出物を使用することが好ましく、アルコール抽出物を使用することが特に好ましい。
アルコール抽出物及び含水アルコール抽出物を調製する際に用いられる抽出溶媒中のアルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールが好適に使用されるが、エステル化プロポリスを経口投与する場合には、エタノールが特に好適に使用される。なお、プロポリスのアルコール抽出物や含水アルコール抽出物中には、クロロゲン酸、p−クマル酸、カフェ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸、ドルパニン、フラボノイド類、アルテピリンC、バッカリン等が含まれている。また、有機溶媒抽出物を調製するために用いられる有機溶媒としては、アセトンやヘキサン等の公知の有機溶媒が使用可能である。
エステル化工程で用いられるアルコールは、酵素によるエステル化反応の基質として利用される。このようなアルコールとしては、プロポリス抽出物を抽出する際に用いられた抽出溶媒中のアルコールをそのまま利用することが最も簡便かつ経済的であるが、前記抽出溶媒中のアルコールとは別にエステル化工程で新たに加えられても構わない。エステル化工程で用いられるアルコールとしては、特に限定されないが、有機酸エステルの生理活性を低下させにくくするために、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールやフェネチルアルコール等の芳香族アルコールが好適に使用され、エステル化プロポリスを経口投与する場合には、エタノールが特に好適に使用される。
エステル化工程で用いられる酵素は、タンナーゼ、クロロゲン酸エステラーゼ、フェルラ酸エステラーゼ等の加水分解酵素を使用することが可能であるが、エステル化工程を迅速かつ効果的に進行させるために、クロロゲン酸エステラーゼを使用することが特に好ましい。これらの酵素は、厳密な基質特異性を有していない場合が多いため、p−クマル酸やカフェ酸を始めとするプロポリス中の様々な有機酸に対して、所定の条件で同時にエステル化反応を触媒することが可能である。前記所定の条件としては、加水分解反応の逆反応を進行させる条件であり、例えばエステル化反応に関与する基質濃度を高めるような条件が挙げられる。
エステル化工程は、具体的には、プロポリス、アルコール及び酵素を含む反応液を静置又は撹拌することにより実施される。この場合、反応液の温度、pH、塩濃度等は、酵素の活性を高く維持することが可能な条件であることが好ましい。また、反応液中のアルコール濃度は、好ましくは10〜85%、より好ましくは15〜60%、さらに好ましくは20〜40%に調整されているとよい。反応液中のアルコール濃度が10%未満の場合、エステル化工程で加水分解反応が進行するおそれが高く、有機酸エステルを生成させることが困難になる。逆に、反応液中のアルコール濃度が85%を超える場合、酵素活性が低下したり、酵素が失活したりするおそれがある。
エステル化工程後の反応液は、そのままの状態でエステル化プロポリスとして利用することが可能であるうえ、凍結乾燥等の公知の乾燥処理を行うことにより、粉末状のエステル化プロポリスとして利用することも可能である。なお、得られたエステル化プロポリスに対して、さらに公知の精製方法を実施することも可能であるうえ、汎用技術により様々な剤形の製剤に加工(製剤化)することも可能である。
本実施形態のエステル化プロポリスは、エステル化工程前のプロポリスよりも、高い消化吸収性及び抗癌作用を発揮することが可能である。エステル化プロポリスによって発揮される抗癌作用は、癌細胞及び癌化しつつある異常細胞のいずれに対しても有効であるため、エステル化プロポリスは、抗癌剤として利用可能であるとともに、癌の発生を予防する癌予防剤として利用することも可能である。
本実施形態のエステル化プロポリスは、健康食品のような飲食品、医薬品、医薬部外品等の用途に利用可能である。エステル化プロポリスをこのような用途に利用する場合の投与経路は、経口及び非経口のいずれでもよい。経口投与の剤型としては、錠剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤、散剤等が挙げられる。非経口投与の剤型としては、点眼剤、注射剤、点鼻剤等が挙げられる。これらの剤型は、汎用技術により製剤化される。
エステル化プロポリスは、特に、食品製剤として利用されることが好ましい。食品製剤の剤形としては、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル剤、錠剤、粉末製剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。このような食品製剤には、食品製造上許容される基材、担体、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤、着色剤、香料等が含有されていてもよい。
前記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態のエステル化プロポリスの製造方法は、プロポリスにアルコールの存在下で酵素を作用させ、該プロポリス中の有機酸をエステル化させる工程を備えている。エステル化工程では、プロポリス中の有機酸がエステル化されることにより、有機酸エステルが生成される。生成された有機酸エステルは、生成前の有機酸よりも消化吸収性に優れているため、該有機酸によって発揮される抗癌作用のような好ましい生理作用が迅速かつ効果的に発揮される。特に、有機酸エステルが迅速に生体内に吸収される場合、生体内の癌細胞及び異常細胞に対して、一過的に高い濃度の有機酸エステルが作用するようになるため、高い抗癌作用が発揮可能となる。
・ 本実施形態のエステル化プロポリスでは、有機酸に関して、エステル化工程前のプロポリスよりも高い消化吸収性を有しているため、プロポリスの好ましい生理作用を迅速かつ効果的に発揮させることができる。また、消化吸収能力が低下傾向にある人に対しても、好ましい生理作用を有効に発揮させることが可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<エステル化プロポリスの調製>
(実施例1)
プロポリス原塊65gに95%エタノールを230mL加え、室温で3時間攪拌後、ろ過した。そのろ液を−20℃で一晩放置後、ろ過して脱ロウした。そのろ液を濃縮乾固することにより、プロポリスのエタノール抽出物6.66gを得た。このエタノール抽出物にエタノール27mL及びキラヤニンS−100(丸善化成株式会社製、キラヤ抽出物25%含有)1.74gを加えることにより、プロポリスの固形分を約0.2g/mL含むエタノール溶液を作製した。このエタノール溶液5mLに蒸留水20mL及びクロロゲン酸エステラーゼ(キッコーマン社製(株)、15ユニット/g)25mgを加えて反応液とした後、該反応液を30℃で一晩振とうすることにより、エステル化工程を実施した。一晩振とう後の反応液を濃縮乾固した後、濃縮物にエタノール30mLを加えて攪拌し、5℃で吸引ろ過した。ろ過後の残渣に再度、エタノール20mLを加えて攪拌し、同様に5℃で吸引ろ過した。吸引ろ過によって得られた全てのろ液を合わせて濃縮乾固した後、エタノール5mLを加えて溶解させ、4℃で一晩静置した。遠心分離後、得られた上清を実施例1のエチルエステル化プロポリスとした。
(比較例1)
反応液にクロロゲン酸エステラーゼを加えずに(即ち、エステル化工程を実施せずに)、実施例1と同様の方法で上清を得た。得られた上清を比較例1とした。
(実施例2)
プロポリス由来の固形分が20%のエタノール抽出物(キラヤニンS−100を10%含有)10mLに蒸留水40mLを加えた後、1N塩酸約1mLを加えることによりpHを5に調整した。その後、クロロゲン酸エステラーゼを250mg加えて反応液とした後、該反応液を35℃で一晩振とうすることにより、エステル化工程を実施した。一晩振とう後の反応液を濃縮乾固した。濃縮物にエタノールを加えて抽出することにより得られたエタノール抽出液を実施例2のエチルエステル化プロポリスとした。
(実施例3)
実施例2のエチルエステル化プロポリスに澱粉加水分解物(松谷化学工業(株)製のパインフロー)を31%となるように加えて濃縮乾固した。濃縮物を乳鉢にて粉砕後、メノウ乳鉢にて10mg/mL(プロポリス重量換算)となるように生理食塩水に懸濁させた。得られた懸濁液を実施例3とした。
(比較例2)
反応液にクロロゲン酸エステラーゼを加えずに(即ち、エステル化反応を実施せずに)、実施例2と同様の方法でエタノール抽出液を得た。得られたエタノール抽出液を比較例2とした。
(比較例3)
比較例2のエタノール抽出液にパインフローを35%となるように加えて濃縮乾固した。濃縮物を乳鉢にて粉砕後、メノウ乳鉢にて10mg/mL(プロポリス重量換算)となるように生理食塩水に懸濁させた。得られた懸濁液を対照試料としての比較例3とした。
<エステル化工程後の生成物の確認>
実施例1,2及び比較例1,2の各試料をそれぞれ高速液体クロマトグラフィー(Waters製、2次元UVスペクトル)にてHPLC分析した。その結果、実施例1,2のクロマトグラムでは、それぞれ比較例1,2のクロマトグラムに対して、それぞれ異なる保持時間に溶出される成分のピークが確認された。これらのピークは、p−クマル酸エチルエステル及びカフェ酸エチルエステルの標品をそれぞれ同条件で分析した場合とほぼ同じ保持時間で溶出されるものであった。さらに、これらの各ピークのUVスペクトルパターンも、それぞれの標品と酷似していた。以上より、実施例1,2のエチルエステル化プロポリス中には、p−クマル酸エチルエステル及びカフェ酸エチルエステルが生成されていたことが確認された。
<抗癌作用の評価>
実施例3の試料について、中部科学資材株式会社より購入したddY系マウス(雄、5週齢)を用いて、抗癌作用の評価を行った。5週齢ddY系マウスを1週間の予備飼育後、即ち6週齢になった時点で、あらかじめ別のddY系マウスの腹水で継代しておいたSarcoma180細胞を当該6週齢ddY系マウスの背部皮下に1×10細胞/マウスの移植量で移植した。移植日を0日目とし、0日目から実施例3の試料を10mg/kg/日の投与量で28日間腹腔内投与した。
なお、実施例3の試料の代わりに比較例3の試料を用いた場合、及び溶媒対照群として実施例3の試料の代わりに生理食塩水を用いた場合についても、それぞれ同様に腹腔内投与した。また、陽性対照群として実施例3の試料の代わりにカルボクリン(日本ケミファ(株)製)を用い、10mg/kg/日の投与量で28日間腹腔内投与した。
投与28日後に、各動物を頚椎脱臼させ、背部皮下から腫瘍を摘出してその重量を測定した。各群10匹ずつの動物を用いた。各群における腫瘍重量の平均値±標準偏差を求めるとともに、溶媒対照群の腫瘍重量に対する各群の腫瘍重量の割合から、腫瘍重量抑制率(%)を求めた。結果を表1に示す。また、各群の腫瘍重量の値を、溶媒対照群に対してt検定を行った結果も併せて表1に示す。
Figure 2007053947
表1に示すように、比較例3、即ちエチルエステル化していないプロポリスを投与した群には、腫瘍重量の低下傾向が認められた。一方、実施例3のエチルエステル化プロポリス投与群では、比較例3よりもさらに腫瘍重量が低下しており、かつ溶媒対照群に対して有意差が認められた(p<0.05)。これらの結果から、プロポリスをエステル化することにより、抗癌作用を上昇させることが示された。なお、実施例1及び比較例1の試料について、パインフローを加えて濃縮乾固した後、該濃縮物を乳鉢にて粉砕後、メノウ乳鉢にて10mg/mL(プロポリス重量換算)となるように生理食塩水に懸濁させた状態(即ち、実施例3及び比較例3と同様に処理した状態)で、同様に抗癌作用の評価を行った。その結果、実施例3及び比較例3の場合と全く同様の結果が得られた。
<消化吸収性の評価に関する予備試験>
エステル化プロポリスについて、ヒト小腸癌細胞Caco2細胞(Cell No.RCB0988、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより供給を受けた)を用いて、腸管における膜透過性(即ち、消化吸収性)の評価を行った。Caco2細胞は、ヒトの小腸におけるインビトロ(in vitro)の吸収モデルとして広く用いられている。Caco2細胞は、10%牛胎児血清(FBS)、2mMグルタミン酸及び0.1mMの非必須アミノ酸を含む高グルコースDMEM培地(シグマ社)で37℃、5%二酸化炭素存在下で継代培養を行った。
COSTAR社のTranswell(insert diameter:12mm、pore size:3.0μm)の各ウェルのカップ内側に、6.3×10細胞/ウェル/0.5mLの濃度のCaco2細胞を播種し、カップ外側に1.5mLの培地を入れた。4日間培養した後、培地交換を行い、その後は2〜3日に一度培地交換を行うことにより、計21日間培養した。培養21日目の時点で電極をカップの内側及び外側に同時に挿入し、膜抵抗値を測定した(測定機器:Millicell−ERS)。膜抵抗値が適正な範囲内(600〜1000Ω・cm)にあったことを確認したウェルについてのみ、以下のトランスポート実験を行った。
トランスポート実験では、まず、カップ内側をMES−HBSS緩衝液(pH6.0)、カップ外側をHEPES−HBSS緩衝液(pH7.4)で置換した後、標品(カフェ酸、カフェ酸エチル、p−クマル酸、p−クマル酸エチルのうちいずれか一つ)をそれぞれ終濃度1mMとなるようにカップ内側に添加した。その後、カップ外側に輸送された各標品量をトランスポート実験の開始から60分後に定量した。さらに、トランスポート実験の開始から60分後に、カップ内側に残存する各標品量を定量するとともに、カップ内側を覆うCaco2細胞を剥離させて採取し、該細胞の細胞膜を破壊した後、細胞質内に存在する各標品量を定量した。
なお、各標品量の定量結果は、カップ内側へ試料を添加した直後に、カップ内側から採取した緩衝液中に含まれる標品濃度を100%としたときの割合(%)として求めた。具体的には、トランスポート実験の開始時(0分時)にカップ内側から採取した緩衝液をHPLC分析し、各標品に対応するピークの面積を求め、該ピーク面積を100%とする。そして、トランスポート実験後に採取した緩衝液又は細胞質を同条件にてHPLC分析し、該緩衝液又は細胞質中に含まれる各標品のピーク面積を求め、該ピーク面積を0分時のカップ内側の緩衝液のピーク面積に対する割合として算出した。結果を表2に示す。なお、値は平均値及び標準偏差で示す。ちなみに、トランスポート実験の終了後、膜抵抗値を測定し、Caco2細胞の単層膜が適正に維持されていることを確認した。
Figure 2007053947
表2に示すように、p−クマル酸エチルエステルは、p−クマル酸よりもトランスポートされやすかった。即ち、p−クマル酸エチルエステルは、p−クマル酸よりも高い膜透過性を有していた。同様に、カフェ酸エチルエステルは、カフェ酸よりも高い膜透過性を有していた。従って、プロポリスに含まれるp−クマル酸及びカフェ酸は、いずれもエステル化されると、生体内へ吸収されやすくなることが示された。
<エステル化プロポリスに関する消化吸収性の評価>
上記<消化吸収性の評価に関する予備試験>で用いた標品の代わりに、実施例1のエチルエステル化プロポリスを終濃度が0.5mg/mLとなるようにカップ内側に添加した。そして、上記<消化吸収性の評価に関する予備試験>と同様の方法で、カップ外側に輸送されるカフェ酸、カフェ酸エチル、p−クマル酸、p−クマル酸エチルをそれぞれ経時的に定量した。結果を表3に示す。なお、試験終了後、膜抵抗値を測定し、Caco2細胞の単層膜が適正に維持されていることを確認した。
Figure 2007053947
表3に示すように、エチルエステル化プロポリスに含まれるp−クマル酸エチルエステル、カフェ酸エチルエステル及びp−クマル酸の膜透過性が高いことが分かった。一方、小腸細胞内では、エチルエステル体の存在量が多かったことから、p−クマル酸やカフェ酸よりもカフェ酸エチルエステルやp−クマル酸エチルエステルの方が細胞内に取り込まれやすいことが示された。
以上の結果から、p−クマル酸、カフェ酸よりもp−クマル酸エチルエステル、カフェ酸エチルエステルの方がヒト小腸細胞内への吸収性及び腸管からの膜透過性(消化吸収性)に優れていることが確認された。また、消化吸収性に優れたp−クマル酸エチルエステル及びカフェ酸エチルエステルが、エステル化プロポリスのインビボ(in vivo)における吸収性の向上に寄与している可能性も示唆された。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ プロポリス原塊を含水アルコールに浸漬させた状態で、クロロゲン酸エステラーゼ等の酵素を作用させることにより、エステル化工程を実施することも可能である。この場合、エステル化工程と、プロポリスの含水アルコール抽出とを同時に実施することも可能となる。
・ エステル化工程で、加水分解酵素を用いる代わりに、エステル化反応を正反応として触媒する酵素(リパーゼ、ニューラーゼ等)を用いてもよい。
・ エステル化プロポリスは、抗癌作用以外の生理作用も発揮し得るため、抗癌剤及び癌予防剤以外の効能・効果を有する健康食品や医薬品に利用することが可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記プロポリスよりも高い抗癌作用を有することを特徴とする請求項3に記載のエステル化プロポリス。
・ 請求項1又は請求項2に記載のエステル化プロポリスの製造方法により製造されることを特徴とするエステル化プロポリス。

Claims (5)

  1. プロポリスにアルコールの存在下で酵素を作用させ、該プロポリス中の有機酸をエステル化させることを特徴とするエステル化プロポリスの製造方法。
  2. 前記酵素はクロロゲン酸エステラーゼである請求項1に記載のエステル化プロポリスの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のエステル化プロポリスの製造方法により製造されるエステル化プロポリスであって、
    前記有機酸に関して、前記プロポリスよりも消化器官からの高い吸収性を有することを特徴とするエステル化プロポリス。
  4. 請求項3に記載のエステル化プロポリスよりなる抗癌剤。
  5. 請求項3に記載のエステル化プロポリスを含有する食品製剤。
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