JP2007053570A - 水晶電極成膜用メタルマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】水晶板の洗浄に当たり洗浄液の水切りを良くし、乾燥後に洗浄シミの残らない水晶電極成膜用メタルマスクを得る。
【解決手段】マグネットを埋設した開口部を有する下枠治具と、電極パターン開口部を有する下電極メタルマスクと、水晶板を充填する開口部を有する中板と、電極パターン開口部を有する上電極メタルマスクと、を備えた水晶電極成膜用メタルマスクにおいて、前記中板に多数の形状記憶合金を埋設して水晶電極成膜用メタルマスクを構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水晶板の洗浄及び電極成膜を兼ねるメタルマスクに関し、特に水晶板洗浄後、水晶板上に残る洗浄液の液留まりを大幅に低減し、水晶板上に生じる洗浄シミを改善した水晶電極成膜用メタルマスクに関する。
水晶振動子は小型であること、経年変化が小さいこと、高精度、高安定な周波数が容易に得られること等のため、通信機器から電子機器まで広く用いられている。中でも周波数−温度特性が3次曲線を呈するATカット水晶振動子は、携帯電話等に多量に用いられている。
ATカット水晶振動子は、一般に蒸着装置あるいはスパッタ装置等の真空中で矩形のATカット水晶板の両面に電極膜を成膜し、これをパッケージ内に気密封止して水晶振動子を構成する。このとき、所望の電極形状を得るため、水晶電極成膜用メタルマスクを用いる。
従来、水晶電極成膜用メタルマスクは、下枠治具、下電極メタルマスク(以下、下電極マスクと称す)、中板、上電極メタルマスク(以下、上電極マスクと称す)、上枠治具とからなり、これらを順に重ね合わせて構成する。下枠治具、上枠治具にはそれぞれ多数の開口部があり、下電極マスク、上電極マスクにはそれぞれ多数の開口部(電極形状パターン)が形成されている。下枠治具、上枠治具の開口部の形状は下電極マスク、上電極マスクのそれより十分に大きくする。中板には水晶板を収容する多数の開口部が形成されており、中板の厚さは水晶板の厚さより若干厚く設定する。下電極マスク、上電極マスクの厚さは薄い方が望ましいが、マスクの大きさと強度を考慮して適切に設定する。また、材質としては耐蝕性のあるステンレスを用いる場合が多い。
下枠治具、下電極マスク、中板は3枚重ねて位置合わせし、適当な間隔でスポット溶接して一体化した上で、これに水晶板を充填し、この上に上電極マスク、上枠治具を重ね、ネジで全体を固定して水晶電極成膜用メタルマスクとして用いる。しかし、下枠治具、下電極マスク、中板をスポット溶接する際に、下枠治具、下電極マスク、中板に溶接時の熱の影響で歪みが生じて、平行度が悪くなり、成膜時に所望の電極形状が得られないという問題があった。しかし、この問題を解決する水晶電極成膜用メタルマスクが、特公平6−74498号公報に開示されたマスキング装置である。
このマスキング装置は図4(a)に示すように、下部より補助板11a、マグネット保持板11b、下部マスク板11c、スペーサ11d、上部マスク板11eよりなっている。これらの中、補助板11a、スペーサ11d、上部マスク板11eは磁性材料のステンレス薄板で、マグネット保持板11b、下部マスク板11cが非磁性材料のステンレス薄板である。スペーサ11dには水晶板を充填するための多数の開口部11dhが空けられており、下部マスク板11c、上部マスク板11eには電極とリード電極とを形成するための開口部11ch、11ehが空けられている。さらに、下部マスク板11cにはこの他に多数の透磁孔16が空けられている。そして、マグネット保持板11bにはマグネット12を保持するためのマグネット保持孔15が多数設けられると共に、下部マスク板11c、上部マスク板11eの開口部11ch、11ehより大きなにげ孔11bhが形成されている。また、補助板11aにはにげ孔11bhと同様なにげ孔11ahが設けられている。
マグネット保持板11bに埋設されたマグネット12は、上部マスク板11eにまで磁力線が有効に届くように、スペーサ11dの開口部11dhの内側に位置するように、また、透磁孔16は磁力線がスペーサ11dと上部マスク板11eとへ有効に届き、且つマグネットの移動防止のため、マグネットの保持孔15よりやや小さくする。これらの5枚の板11a、11b、11c、11d、11eには左右両端に位置合わせのピン13を挿入するための位置合わせ孔14が空けられている。以上のような構成で補助板11aの上にマグネット保持板11bをのせ、その上に下部マスク板11c、スペーサ11dをのせる。すると、マグネット12により補助板11aとスペーサ11dとが吸着され、4枚が重合される。そして、スペーサ11dの開口部11dhに水晶板を充填し、その上に上部マスク板11eをのせると、この上部マスク板11eもマグネット12により吸着され、5枚全てが一体に重合する
上記のマスキング装置を用い、図5(a)に示す水晶振動子の製造フローにより、水晶板洗浄、電極の成膜を行って、水晶振動子を製造していた。
これに対し、洗浄用治具に水晶板を一個づつ詰めて洗浄し、図5(b)に示す水晶振動子の製造フローに基づいて水晶振動子を製造する方法が、特開平10−145166号公報に開示されている。図6は洗浄治具の要部(一個の水晶板を収容する部分)を示す斜視図であって、下部プレート21、上部プレート22及び薄板23とからなり、それらの材質は耐食性のあるステンレス板材等である。下部プレート21と上部プレート22とは、例えば熱圧着して一体化し基板20としてもよい。
下部プレート21には切り欠き窓(開口部)24aがあり、その周縁に複数の爪状の支持片25を備えている。上部プレート22も切り欠き窓24bがあり、その周縁に複数の凸湾曲状の間隔保持片26が形成されている。そして、薄板23にも切り欠き窓24cがあり、その周縁に複数の爪状の押さえ片27が形成され、切り欠き窓24a、24b、24cは重ねて組み立てる際に上下対向する。長方形の水晶板28は上部プレート22の切り欠き窓24bに収容される際に、凸湾曲状の間隔保持片26の先端に当接し、下部プレート21の爪状の支持片25と薄板23の爪状の押さえ片27とにより上下より保持される構造となっている。
図7は実用に供される洗浄治具の模式的斜視図であり、基板20は下部プレート21と上部プレート22とを熱圧着し一体化したもので、上部プレート22の切り欠き窓24bに水晶板28を収容し、この上に薄板23を重ね、ネジ29等を用いて基板20と薄板23とを固定する。このとき、水晶板28は上下対向する爪状の支持片25と爪状の押さえ片27とによって保持され、切り欠き窓24bの中では凸湾曲状の間隔保持片26に点接触し、水抜きの隙間Sが大きく確保されることになる。
基板20に水晶板を充填し、薄板23を重ねて固定した洗浄治具30を用いて水晶板を洗浄し、乾燥した後、洗浄治具30を2つの成膜用プレート31で上下から挟むように装着し、ネジ33にて洗浄治具30と成膜用プレート31、31とを固定したものが図8である。成膜用プレート31には励振電極生成部32aと、引き出し電極生成部32bとからなる透孔32が形成されている。これを蒸着装置等に入れ、真空中で金属を蒸発させることにより透孔32を介して水晶板に所望の電極が形成される。
特公平6−74498号公報 特開平10−145166号公報
しかしながら、図9に示した水晶電極成膜用メタルマスクのスペーサ板11dに水晶板Xを充填し、洗浄装置に浸して洗浄し、水切りした後の要部断面図は図9のようになり、乾燥させる際に、水晶板Xと下部マスク板11c、スペーサ板11d、上部マスク板11eとの間に洗浄液の液溜まり17が生じ、水晶板を乾燥すると部分的に洗浄シミが発生するという問題があった。
また、特開平10−145166号公報の洗浄治具を用いて水晶板を洗浄した後、成膜用プレートを装着する手法では、図10に示すように成膜用プレート31と水晶板28との間に隙間Gが生じ、成膜した電極の輪郭に膜ボケが発生するという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、洗浄シミの発生を防止すると共に、成膜した電極の膜ボケを無くした水晶電極成膜用メタルマスクを提供することにある。
本発明に係る水晶電極成膜用メタルマスクの請求項1の発明は、マグネットを埋設した開口部を有する下枠治具と、電極パターン開口部を有する下電極メタルマスクと、水晶板を充填する開口部を有する中板と、電極パターン開口部を有する上電極メタルマスクと、を備えた水晶電極成膜用メタルマスクにおいて、前記中板に多数の形状記憶合金を埋設して水晶電極成膜用メタルマスクを構成することを特徴とする。
請求項2の発明は、前記下電極メタルマスクと前記中板と上電極メタルマスクとを重ね合わせた際に、前記形状記憶合金の埋設位置が下電極メタルマスク及び上電極メタルマスクの前記マグネットの埋設位置を外して埋設したことを特徴とする請求項1に記載の水晶電極成膜用メタルマスクである。
請求項3の発明は、前記形状記憶合金の厚さが常温時には中板の厚さより厚く、高温時には中板の厚さより薄くなる形状記憶合金を選定して水晶電極成膜用メタルマスクを構成することを特徴とする。
本発明に係る水晶電極成膜用メタルマスクの請求項1の発明は、中板に形状記憶合金を多数埋設したので、常温時には形状記憶合金の厚さが中板より厚いため、洗浄に際しては中板と下、上電極マスクとの間に間隙ができて、洗浄液の拡散が容易になり、洗浄シミが大幅に低減するという利点がある。また、高温時には形状記憶合金の厚さが中板より薄くなるので、中板と下、上電極マスクとが密着し、膜ボケのない成膜ができるという利点がある。
請求項2及び3の発明は、形状記憶合金の埋設位置、常温及び高温における形状記憶合金の厚さを特定したので、実用に供する水晶電極成膜用メタルマスクが容易に得られるという利点がある。
図1は本発明に係る水晶電極成膜用メタルマスクの実施の形態を示す断面図、図2は水晶電極成膜用メタルマスク構成する5枚のメタル板の平面図である。水晶電極成膜用メタルマスクは、下部より下枠治具1a、下電極マスク1b、中板1c、上電極マスク1d及び上枠治具1eより構成される。これらの中、下枠治具1a、中板1c、上電極マスク1d、上枠治具1eは磁性材料のステンレス薄板を用い、下電極マスク1cは非磁性材料のステンレス薄板を用いる。下枠治具1aはマグネット2を保持するためのマグネット保持孔5を多数設けると共に、開口部1ahを空ける。中板1cは水晶板を充填するための多数の開口部1chを空けると共に、多数の形状記憶合金7を埋め込む。下電極マスク1b、上電極マスク1dは電極とリード電極とを形成するための開口部1bh、1dhを空け、さらに、下電極マスク1bには多数の透磁孔6を空ける。そして、上枠治具1eは下電極マスク1b、上電極マスク1dの開口部1bh、1dhより大きな開口部1ehを形成する。また、下枠治具1aの開口部1ahも開口部1ehと同様に大きくする。
下枠治具に埋設されたマグネット2は、上枠治具1eまで磁力線が届くように、中板1cの開口部1chの内側に位置するように、また、透磁孔6は磁力線が中板1cと上枠治具1eとへ届き、且つマグネットの移動防止のため、マグネットの保持孔5よりやや小さくする。これらの5枚の板1a、1b、1c、1d、1eには左右両端に位置合わせのピンを挿入するための位置合わせのネジ孔4を空ける。このような構成で下枠治具1aの上に下電極マスク1b、中板1cをのせると、マグネット2により下枠治具1aと中板1cとが吸着され、3枚が重合される。そして、中板cの開口部1chに水晶板を充填し、その上に上電極マスク1dと上枠治具とをのせると、これらもマグネット5により吸着され、5枚全てが一体に重合する。その後、ネジ孔4にネジを挿入回転して5枚全体を固定する。
本発明の特徴は図3に示すように中板1cの構成にある。つまり、中板1cに小さな形状記憶合金7を多数埋め込み、その位置は下電極マスク1b、上電極マスク1dの開口部1bh、1dhに相当する位置を避けて埋設すると共に、下電極マスク1bの透磁孔6に相当する位置も避けなければならない。形状記憶合金の種類としては常温時の厚さに比べ、蒸着あるいはスパッタ装置の中で高温に保持されたときに収縮する材料を選定する。このような形状記憶合金を中板1cに埋設すると、図1の要部断面図に示すように、水晶板を洗浄する工程のような常温時には、形状記憶合金7は中板1cの厚さよりも厚くなるように設定することにより、洗浄後の水切り、乾燥時には中板1cと、下電極マスク1b及び上電極マスク1dとの間隔は広がり、液溜まりは大幅に減少し、水晶板上に洗浄シミが残ることはほとんどない。
一方、高温時には形状記憶合金7が収縮してその厚さは中板1cの厚さより薄くなるので、中板1cと下電極マスク1b及び上電極マスク1dとは密着し、電極膜の膜ボケが生じることはない。常温時には形状記憶合金7の厚さに合わせて、ネジにて5枚の板を固定するが、高温時には形状記憶合金7の厚さが薄くなり、ネジによる固定が緩むおそれがあるが、マグネット2の磁力により5枚の板の重合が保たれ、電極の成膜が行える。
以上の説明では下枠治具1a、下電極マスク1b、中板1c、上電極マスク1d及び上枠治具1eの5枚の場合を説明したが、上枠治具1eを省いて構成してもよい。そして、下電極マスク1bは非磁性材料のステンレス薄板を用いると説明したが、磁性材料を用いてもよい。また、以上では直方体の形状記憶合金を示したが、コイルバネ状の記憶合金であってもよい。
本発明に係る水晶電極成膜用メタルマスクの構造を示した要部断面図である。 本発明に係る水晶電極成膜用メタルマスクを構成する5枚(1a、1b、1c、1d、1e)の平面図である。 本発明に係る中板の平面図である。 従来の水晶電極成膜用メタルマスクの構造を示した概略図で、(a)は断面図、(b)は5枚(11a、11b、11c、11d、11e)の平面図である。 (a)、(b)とも製造フローの一部である。 従来の洗浄治具の要部の構成を示した斜視図である。 従来の洗浄治具の構成を示した斜視図である。 洗浄治具の上下から成膜用プレートを装着する様子を示す斜視図である。 従来の水晶電極成膜用メタルマスクを用いて洗浄した後の要部の断面図である。 洗浄治具に成膜用プレートを装着したものの要部の断面図である。
符号の説明
1a 下枠治具
1b 下電極マスク
1c 中板
1d 上電極マスク
1e 上枠治具
1ah、1bh、1ch、1dh、1eh 開口部
X 水晶板
2 マグネット
4 ネジ孔
5 マグネット孔
6 透磁孔
7 形状記憶合金



Claims (3)

  1. マグネットを埋設した開口部を有する下枠治具と、電極パターン開口部を有する下電極メタルマスクと、水晶板を充填する開口部を有する中板と、電極パターン開口部を有する上電極メタルマスクと、を備えた水晶電極成膜用メタルマスクにおいて、
    前記中板に多数の形状記憶合金を埋設したことを特徴とする水晶電極成膜用メタルマスク。
  2. 前記下電極メタルマスクと前記中板と上電極メタルマスクとを重ね合わせた際に、前記形状記憶合金の埋設位置が下電極メタルマスク及び上電極メタルマスクの前記マグネットの埋設位置を外して埋設したことを特徴とする請求項1に記載の水晶電極成膜用メタルマスク。
  3. 前記形状記憶合金の厚さが常温時には中板の厚さより厚く、高温時には中板の厚さより薄くなる形状記憶合金を選定することを特徴とする水晶電極成膜用メタルマスク。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016201610A (ja) * 2015-04-08 2016-12-01 京セラクリスタルデバイス株式会社 金属膜被着用治具および水晶素子の製造方法
CN107888157A (zh) * 2017-12-26 2018-04-06 东晶锐康晶体(成都)有限公司 一种双层点焊式电极掩模

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