JP2007051955A - 基板に注入した不純物元素の深さ分布を測定する測定方法 - Google Patents

基板に注入した不純物元素の深さ分布を測定する測定方法 Download PDF

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【課題】平坦な基板に数十nmの深さに注入した不純物の深さ分布を非破壊で精度よく測定する方法を提供する。
【解決手段】数十nmの深さに不純物を注入した基板に、入射角度を走査しながらX線を入射し、被測定試料によって反射されたX線の干渉振動曲線を測定し、干渉振動曲線のデータから、被測定試料に注入された不純物元素の深さ分布を測定する。干渉振動曲線のデータの解析は、X線反射率を表す解析式に干渉振動曲線をフィッティングすることにより行う。この際、不純物分布を適当な関数に近似し、関数に含まれるパラメータを最適化することにより深さ分布を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、平坦な基板に数十nmの深さに注入した不純物の深さ分布を、X線反射率測定を用いた非破壊で精度よく測定する方法に関する。
近年の半導体デバイスの大規模高集積化に伴い、素子のサイズや絶縁膜の膜厚、イオン注入による不純物の深さ、線幅などの縮小化がより一層進んでいる。
絶縁膜とシリコン基板の組み合わせにON/OFFの機能を発揮させるために、基板をpあるいはnタイプの半導体の性質を持たせる必要があるが、このために、シリコン基板の表面付近にボロン、燐(P)、アンチモン(Sb)、砒素(As)などの不純物を高濃度に注入することが必要になる。
素子サイズの減少に伴い、イオン注入の深さが数十nm程度に浅くなり、イオン注入をより低いエネルギーで行うとともに、注入されたイオンの分布や注入量を高精度に計測することが必要になっている。
従来、このような注入された不純物元素の測定には、主としてSIMS(二次イオン質量分析法:Secondary Ion Mass Spectroscopy)が用いられている。
SIMSとは、試料に一次イオンを照射して試料表面をスパッタし、スパッタ粒子中に含まれる二次イオンを質量分析することにより、試料中に含まれる微量元素濃度を定量する手法である。
このSIMS(二次イオン質量分光法)は、イオンを検出するため高感度な測定が可能な測定手段ではあるが、スパッタにより試料表面を少しずつはぎ取って、深さ方向の不純物濃度分布を測定する破壊検査である。
従って、SIMSは、非破壊検査が不可欠なインラインのプロセス管理に用いることはできない。また、極めて浅い領域の不純物濃度を定量することは容易でない。
RBS(ラザフォード後方散乱)は、数百keVから数MeV程度に高速に加速したヘリウムイオンを試料に照射し、試料中の元素と衝突して後方に散乱されるヘリウムのエネルギーと強度を測定し、衝突によるエネルギーの損失から試料中に含まれる元素やその濃度さらには元素の深さ分布を得る手法である。
非破壊的手法であるが、試料に打ち込まれたヘリウムイオンの多くは試料中に取り込まれたり、衝突により相手原子をはねとばす作用があるため、これらの影響は無視できず、完全な非破壊であるとはいえない。
また、高速のイオンを必要とするため装置が大きくなることもあり、実際のプロセスのインライン管理には不向きである。
また、蛍光分析法は、試料にX線を照射したときに放出される蛍光X線を測定し、蛍光X線の強度から含まれる元素の量を求める方法であるため、蛍光を出す元素の総量は測定できるが、極浅い深さに存在する元素の深さ方向の分布を測定することはできない。
公知の技術として、入射光の進入深さを算出して、試料を第1層から第M層までのM層に分割し、測定結果に基づいて、第1層から第M層まで、順次屈折率、吸収係数、厚さを前層までの影響を折り込んで算出し、これらから減衰率κを算出し、この減衰率κから試料の結晶欠陥量D1〜DMを順次算出し、試料の第1層から第M層までの結晶欠陥量の深さ分布、イオン注入量を測定することが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、これはX線ではなく、光を利用しており、また評価する進入深さが大きく異なっているので、数十nmの深さに注入した不純物の深さ分布を調べることができない。
また、レーザー光を半導体基板に照射し、短針に流れる電流を測定し、電流の変化量から半導体基板に注入されたイオン量を測定することが提案されている(特許文献2参照)。しかし、これは1000〜3000Åの範囲のイオン注入量の測定で、目的には適合しない。
また、基板上に被着した被膜の表面からの反射X線強度の対数値の入射角依存性を表すX線反射曲線を、基板の表面からの反射X線強度の対数値の入射角依存性を表すX線反射曲線で除したデータにより皮膜、特に10Åまで薄膜化されたゲート酸化膜の評価を行う方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、これは酸化膜の評価に関するもので、イオン注入の深さ分布を調べるものではない。
このように、従来用いられていた何れの測定方法も、注入された不純物の深さ方向の分布を非破壊的に測定するためには十分な方法ではなかった。
特開平9−229856号公報 特開平5−283496号公報 特開平8−254509号公報
本発明は、上記の問題点を解決することを目的とし、X線反射率法を用いることによって数十nmの比較的浅い領域に注入された不純物の深さ方向分布を定量的に、かつ非破壊的に測定することを可能にする。したがって、これを半導体プロセスの管理のためのインライン計測に利用する。
上記の深さ方向分布測定方法において、精密に求められる分布は不純物注入層の複素屈折率に対してであるが、複素屈折率は組成や密度と簡単な関係式で表し、おおよその組成の深さ分布を知ることを可能とする。
また、組成の深さ分布を加算することにより、全不純物の単位面積当たりの量を求めることも可能とする。さらに、同一元素を注入し、かつ注入量が特定された標準試料を同時に測定し、これを未知試料の結果と比較することにより高精度に不純物の注入量や組成の深さ方向分布を決定することを可能とする。
上記の課題に鑑み、
その1)として、不純物を注入した平坦な基板からなる被測定試料に、入射角度を走査しながらX線を入射し、前記被測定試料によって反射された前記X線の干渉振動曲線を測定し、前記干渉振動曲線のデータから、前記被測定試料表面に注入された不純物元素の深さ分布を測定する不純物元素の深さ分布測定方法を提供する。
その2)として、X線反射率を表す解析式を作成し、このX線反射率を表す解析式に前記干渉振動曲線をフィッティングすることにより、深さ分布を算出する上記2)記載の不純物元素の深さ分布測定方法を提供する。
その3)として、前記解析式に前記干渉振動曲線をフィッティングする際に、不純物分布を所定の関数に近似させ、該関数に含まれるパラメータを最適化することにより深さ分布を得る上記2)記載の不純物元素の深さ分布測定方法を提供する。
その4)として、不純物分布を関数に近似する場合、不純物を含む層を3つ以上の層に分割して表す上記3)記載の不純物元素の深さ分布測定方法を提供する。
その5)として、不純物分布を近似する関数において、深さ方向に非対称性を有する関数を用いる上記3)又は4)記載の不純物元素の深さ分布測定方法を提供する。
6)予め標準試料を作成し、該標準試料と被測定試料とを比較することにより注入量の深さ方向分布を高精度に求める上記1)〜5)のいずれかに記載の不純物元素の深さ分布測定方法を提供する。
本願発明は、不純物の深さ方向分布を非破壊で計測でき、また計算の時間は短く、収束しやすいという効果がある。また、解析結果は分布関数のモデルに対して唯一の解を与える。さらに、深さが10nm以下でも利用が可能であり、半導体デバイスプロセスにおける極浅注入試料の評価に極めて有効である。複雑な分布が想定されるときは複数の分布関数を用いることによって対応できる。以上から、本願発明は、半導体プロセスにおけるインラインプロセスの管理に利用することができるという著しい効果がある。
以下、本発明の特徴を、図に沿って具体的に説明する。なお、以下の説明は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、これに制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本願発明に含まれるものである。
X線反射率による深さ分布の測定法の原理について、図1および図2を用いて説明する。図1はX線反射率の原理を示すものでX線が反射される様子を表したものである。
図1に示すように、層状の試料に角度θでX線を入射すると、入射したX線は、試料の表面及び2番目の層の界面で反射される。実際には、すべての層の界面で反射され、この反射X線の強度が測定される。
特定のX線の入射角度で試料によって反射されたX線が互いに干渉する。X線の入射角度を徐々に変化させながら反射強度を測定すると、干渉による振動構造が得られる。
反射率の解析式は、各層及び基板物質の複素屈折率、膜厚、界面粗さを、それぞれk、d、σ用いて表すことができることが知られている。
X線反射率は、次の[数1]に示す、式1の通りである。
Figure 2007051955
図1に示すn層の多層膜の場合は、γは次の[数2]に示すように、漸化式(2)〜(5)で表現される。第一層は空気である。
Figure 2007051955
各々の層には、4つのパラメータ、すなわち δ、 β、 厚さ(d )及びラフネス(σ)がある。δ及びβは複素屈折率をkとして、[数3]に示す、式(6)で与えられる。
Figure 2007051955
また、δ及びβは、[数4]に示す、式(7)、(8)で与えられる。
Figure 2007051955
パラメータの最適値は、非線形最小二乗計算を用いて、[数5]に示す、式(9)の残差二乗和(χ)を最小化して求める。
Figure 2007051955
フィッティングの程度は、[数6]に示す、式(10)のR値によって評価する。
Figure 2007051955
次に、X線反射率測定法を注入不純物の深さ方向分布の解析に利用する方法について説明する。
図2は、注入された不純物がある深さで極大を取り、それ以上の深さで減少する場合の分布を適切な解析関数で表したものである。不純物が分布する層を十分に薄い複数の厚さの等しいn層に分割して、基板に対するそれぞれの層での複素屈折率の実数部の増分を先の解析関数で近似する。
図2では、縦軸は複素屈折率の実数部分で表され、上式(7)で表されるδの増分、Δδについては、 [数7]に示す、次の関係式(11)が成り立つ。
Figure 2007051955
深さ分布関数には、ガウス関数あるいはそれらが修正された関数を用いることができる。例えば、ガウス関数を用いると、[数8]に示す、式(12)となる。
Figure 2007051955
ここで、xは表面からの深さ、μは分布の極大を与える深さ、pは分布関数の幅を表すパラメータである。従って、Δdを分割された層の厚さとすると、i番目の層の深さは、x= (i−1/2)*Δdとなり、複素屈折率の増分が分布関数として表されるためΔδ=f(x)である。
深さ分布は通常非対称の形状を持つために、pは分布関数の極大をはさんで表面側と基板内部側で異なる値を持つ。
複素屈折率の虚数部分、βの値は、δに比較して2桁ほど小さい。したがって、理論曲線を計算する場合は、不純物が存在する深さにおいても基板の値を固定して用いることが可能である。あるいは、式(7)及び式(8)から分かるように単一元素の場合は比が一定に保たれる。このため、δ/βを一定にして理論曲線を計算することは十分に精度の高い近似となる。
図3に、砒素(As)を15nmの深さに極大を持つ分布として全体で約1〜2×1016 atoms/cm2の量を注入した場合の理論曲線を示した。計算では、注入元素がシリコン結晶中のシリコン元素の位置に置換され、結晶構造は変化しないものと仮定した。
δおよびβの計算式に含まれるX線散乱因子については、既存のデータベースから得た。また、分布関数にはガウス関数を用い、非対称性を表すパラメータpについては表面側で内部の倍の幅を持つと仮定している。
注入量を多くすると振動曲線の振幅はより大きいことがわかる。通常の多層膜のX線反射率曲線と異なり、振動強度が角度の増加によって急激に小さくなるのは、注入元素が深さ方向に広い幅をもって分布するからである。
実際のイオン注入試料の解析においては、測定したX線反射率曲線と理論曲線の差を最小にするようにパラメータを決める。このために非線形最小二乗法を用いる。
図4は、1x1016 atoms/cm2の砒素(As)をシリコン基板に注入した試料を実際に測定し、注入元素が非対称のガウス関数に従って分布すると仮定して、理論解析曲線(丸印で表示)を測定曲線(実線で表示)にフィッティングさせた場合の結果を示している。
図5は、上記のフィッティングから決定された複素屈折率(δ)の深さ方向分布である。注入層を分割した層の総数は29とし、βには(8)によるシリコン基板の計算値を固定して計算した。
従って、最小二乗法で最適化されたパラメータは、不純物層の厚さ、分布関数の極大前後の幅、基板屈折率の実数部、分布極大での基板屈折率の実数部、表面の粗さ、及び測定値と理論値の相対的強度の差を調整するスケール因子の7個である。図5では、δ(=δ+Δδ)の値が縦軸に示されている。
未知パラメータの数が7個程度と限られるため、パソコンを用いて短時間で計算できる。確実に最適値を得ることができるためにプロセスの管理が容易である。
図4で示されたX線反射率曲線の振動成分を強調するために基板からのX線反射率を差し引いた曲線を図6に示した。測定データとともに対称分布関数及び非対称分布関数を仮定してフィッティングしたときの結果を示した。
0.4〜0.7度の間に一つの大きな振動に続いて小さな振動成分が続いている。対称分布関数及び非対称分布関数のいずれを用いても主ピークは測定データとよく合っているが、引き続く小さい振動成分に対しては分布関数が非対称であるとした計算の方がより測定値と近い形状を示すことがわかる。
上記(7)式から、屈折率の実数部の値は物質の密度と組成に依存することが分かる。それ以外の記号は、定数か元素固有の値で既存のデータベースから精密な値を得ることができる。
例えば、注入したヒ素原子がシリコン基板のシリコン原子に置き換わり、かつ、結晶構造が変化しないと仮定すると、ヒ素の割合をzとして注入層の組成をSi1-zAsで表す場合、次の[数9]に示す、式13で計算できる。
Figure 2007051955
全層のzの値を加算すると、注入量となる。実際にはイオン注入により構造が変化するためSi1-zAsの密度を正確に決定できないので、高精度な組成の定量はできない。しかし、構造に対して上記のような仮定や注入原子が隙間を埋めてシリコン基板の構造を変えないなどの仮定によっても概略の注入量や組成の深さ方向分布を求めることができる。
注入量の分かった標準試料と比較するとより精度よく注入量を求めることができる。すなわち、未知試料から得られた分布曲線の増加量の面積と、未知試料と近い条件で注入され、かつ、注入量が分かった標準試料から求められた分布曲線の面積を比較することによって注入量を求めるものである。分布曲線の面積が注入量に比例するという近似は先の構造を仮定した評価よりはより精度の高い結果を与える。
本発明は上記の通り、X線反射率法を用いることによって数十nmの比較的浅い領域に注入された不純物の深さ方向分布を定量的に、かつ非破壊的に測定することができる。また、計算の時間は短く、収束しやすいという効果があり、解析結果は分布関数のモデルに対して唯一の解を与える。したがって、半導体デバイスプロセスにおける極浅注入試料の評価に極めて有効であり、半導体プロセスにおけるインラインプロセスの管理に有用である。
X線反射率による深さ分布の測定法の原理の説明図である。 注入された不純物がある深さで極大を取り、それ以上の深さで減少する場合の分布を解析関数で表した説明図である。 砒素(As)を注入した場合の理論曲線を示す説明図である。 理論解析曲線(丸印で表示)を測定曲線(実線で表示)にフィッティングさせた場合の結果を示す図である。 フィッティングから決定された複素屈折率(δ)の深さ方向分布を示す図である。 X線反射率曲線の振動成分を強調するために、基板からのX線反射率を差し引いた曲線を示す図である。

Claims (6)

  1. 不純物を注入した平坦な基板からなる被測定試料に、入射角度を走査しながらX線を入射し、前記被測定試料によって反射された前記X線の干渉振動曲線を測定し、前記干渉振動曲線のデータから、前記被測定試料表面に注入された不純物元素の深さ分布を測定することを特徴とする不純物元素の深さ分布測定方法。
  2. X線反射率を表す解析式を作成し、このX線反射率を表す解析式に前記干渉振動曲線をフィッティングすることにより、深さ分布を算出することを特徴とする請求項2記載の不純物元素の深さ分布測定方法。
  3. 前記解析式に前記干渉振動曲線をフィッティングする際に、不純物分布を所定の関数に近似させ、該関数に含まれるパラメータを最適化することにより深さ分布を得ることを特徴とする請求項2記載の不純物元素の深さ分布測定方法。
  4. 不純物分布を関数に近似する場合、不純物を含む層を3つ以上の層に分割して表すことを特徴とする請求項3記載の不純物元素の深さ分布測定方法。
  5. 不純物分布を近似する関数において、深さ方向に非対称性を有する関数を用いることを特徴とする請求項3又は4記載の不純物元素の深さ分布測定方法。
  6. 予め標準試料を作成し、該標準試料と被測定試料とを比較することにより不純物注入量の深さ方向分布を高精度に求めることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不純物元素の深さ分布測定方法。

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