JP2007050374A - 低含水率汚泥の輸送方法及び輸送装置並びにセメント製造設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の低含水率汚泥の輸送方法は、低含水率汚泥をパイプライン29を用いて輸送する方法であり、解砕機25により低含水率汚泥を解砕し塊状物とし、混合押込ホッパー26により塊状物に高含水率汚泥を添加し、必要に応じて水をさらに添加し、この高含水率汚泥と塊状物との混合汚泥を輸送ポンプ28を用いてパイプライン29にて輸送することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この脱水汚泥の処理方法としては、例えば、含水汚泥を、乾燥することなく、また、添加剤を用いて前処理することなく直接、ロータリーキルンの窯尻部分又は仮焼炉にパイプライン輸送にて導入して焼却する方法が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
図2は、従来の有機系の脱水汚泥の輸送装置を備えたセメント焼成設備を示す模式図であり、図において、1はセメント原料貯蔵庫、2はセメント原料を乾燥・粉砕する原料ミル、3はセメント原料粉を分離するサイクロン、4はサスペンションプレヒータ、5は仮焼炉、6はロータリーキルン、7はクリンカクーラ、8は電気集塵機、9は排気煙突、10はバーナー、11は脱水汚泥を貯留する貯留ホッパー、12は圧送ポンプ、13は脱水汚泥を輸送するパイプラインである。
また、セメント焼成設備において処理される脱水汚泥は、セメント焼成設備に容易にパイプ輸送し投入することが可能な高含水率汚泥に限られており、その含水率は80%前後であるものが一般的である。
したがって、高含水率汚泥をロータリーキルンの窯尻部分又は仮焼炉に導入して焼却する場合、高含水率汚泥の投入量を制限する必要があり、クリンカ焼成量に対して、せいぜい数重量%までの処理が限度であった。
一方、消石灰や塩化第二鉄等の無機系凝集剤を添加した場合、フィルタープレス型脱水機を用いて脱水されるために、得られる脱水汚泥は、含水率が60%前後の低含水率汚泥であることが多い。
これらの脱水汚泥を輸送する場合、臭気の発生を防ぐことができる構造でなければならないために、パイプラインの輸送が好ましいのであるが、一般にパイプラインで輸送が行われる脱水汚泥は、高含水率汚泥に限られてしまい、含水率の低い石灰系汚泥等の低含水率汚泥をパイプラインにて単独輸送するのは難しい。
ずり応力は、汚泥の含水率によって大きく左右され、含水率が低下することによりずり応力が急激に増大する。このため、ずり応力の大きい物質をパイプライン輸送する際には、この物質とパイプラインとの間の摩擦抵抗を低下させる目的で、この物質とパイプラインとの間に滑材を注入することによって長距離のパイプライン輸送を可能とした低含水率汚泥のパイプ輸送方法が提案されている(特許文献2参照)。
このパイプ輸送方法は、高粘稠物質を輸送ポンプによりパイプライン輸送する方法であり、高粘稠物質が輸送されるパイプラインの途中の適宜の一個所または複数の個所に、水、油、高分子系潤滑剤等の滑剤を適当な圧力で注入することにより、高粘稠物質とパイプラインの内壁との摩擦抵抗を低減し、パイプライン輸送を容易にしている。この方法では、滑材の吐出量の制御を、滑材注入個所より下流のパイプラインの二点間の圧力差を検出し、この圧力差が設定値の範囲内になるように滑材注入ポンプの吐出量を自動的に制御することにより行っている。
また、パイプライン内で注水された後においても、汚泥に性状変化が生じてずり応力が増加するために、再度複数箇所での注水が必要となり、汚泥の含水率が増加する等の問題点があった。
そこで、この低含水率汚泥に水を加えて高含水率汚泥に改質し、この高含水率汚泥をパイプライン輸送することも考えられるが、この場合、例えば、含水率60%の低含水率汚泥に水を加えて含水率80%の高含水率汚泥に改質しようとすると、添加する水は低含水率汚泥100重量部に対して100重量部が必要となり、水を加えた後の低含水汚泥の重量は2倍に増加することとなる。したがって、焼却処理に伴うセメント焼成炉の操業に対する影響は、高含水率汚泥を処理する場合以上に大きなものとなる。
前記滑材は、高含水率汚泥、水、廃油、再生油、酸性廃液、アルカリ性廃液、中和処理液の群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
前記高含水率汚泥は、含水率が70%以上であることが好ましい。
滑材として、高含水率汚泥、水、廃油、再生油、酸性廃液、アルカリ性廃液、中和処理液の群から選択される1種または2種以上を使用することにより、同一設備を用いて低含水率汚泥と同時に滑材も処理することが可能になり、より多くの含水汚泥の処理が可能となる。また、低含水率汚泥の粘性は滑材を加えることにより調整することが可能になり、よって、安定したパイプライン輸送が可能となる。
低含水率汚泥を解砕して上記のような平均粒径の範囲の塊状物とすることにより、解砕された塊状物はその最大粒径が過剰の大きさとならず、よって、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する際に、塊状物が供給口やパイプライン等に詰まる虞がなく、ポンプ圧送によるパイプライン輸送が可能になる。また、少ない滑材の使用によって、輸送可能な粘度を得ることが容易になる。
このように、パイプライン輸送の途中箇所でも更に滑材を供給することで、滑材を含む塊状物の粘性がパイプライン輸送の途中で高くなり、したがって、この滑材を含む塊状物の摩擦抵抗が高くなった場合においても、再度滑材を添加することにより、滑材を含む塊状物の粘性を下げ、摩擦抵抗を軽減することが可能になる。
しかも、低含水率汚泥をパイプライン輸送することにより、セメント焼成炉への安定供給が可能になり、セメント焼成の操業への影響を小さくすることが可能になる。
また、低含水率汚泥をパイプライン輸送するので、低含水率汚泥をセメント焼成炉へ安定供給することができる。また、パイプラインが目詰まりする等の不具合が生じる虞がなく、セメント焼成の操業への影響を小さくすることができる。
なお、本形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
低含水率汚泥は、通常、石灰系の脱水汚泥であって、フィルタープレスで圧搾脱水されているため、厚みが数十mmの板状の固形物である。
この低含水率汚泥を、貯留ホッパー23から供給装置24により所定の供給速度にて解砕機25に送り込む。低含水率汚泥は、貯留ホッパー23からの排出が難しいため、例えば、供給装置24として、貯留ホッパー23の底部に取り付けられて往復運動をするフレームと、このフレームにより集められた低含水率汚泥を外部に排出するスクリューコンベアとにより構成されたものを用いることで、解砕機25に送り込むことができる。
この解砕機25では、供給された低含水率汚泥をパイプライン29に供給可能な大きさにまで解砕し塊状物とする。この塊状物の大きさの最大値は、圧送ポンプ28およびパイプライン29の直径の1/2以下であることが好ましい。
この解砕の際に、注水ライン30にて噴霧注水を行い、塊状物の表面の含水率を増加させ、流動性を調整することとしてもよい。
混合押込ホッパー26としては、ホッパー内部に立軸スクリューとパドルスクリューを併用した供給構造機構を設けたもの等が好適に用いられる。
パイプライン輸送される混合汚泥のずり応力は、混合汚泥における高含水率汚泥の混合率、および解砕機25やパイプライン29での注水量によって調整することができる。
また、パイプライン29に圧力計を取り付けてパイプライン29の一定区間の圧力損失を測定し、パイプライン29の注水量を制御することによっても、容易にずり応力を調整することができる。
また、低含水率汚泥をパイプライン輸送するので、混合汚泥をセメント焼成炉へ安定供給することができる。また、パイプラインが目詰まりする等の不具合が生じる虞がなく、セメント焼成の操業への影響を小さくすることができる。
いずれの方法にしても、低含水率汚泥の含水率を大きく増加させることなく、しかも、滑材の有する粘性を有効に利用することで、パイプラインの輸送を可能とすることができる。
ここでは、輸送ポンプ28として、ピストン式のダブルシリンダ型のスラリーポンプを用いた。また、パイプライン29としては、200A管を用い、その所定箇所に電磁流量計及び圧力計を設置し、さらに、200A×15mの長さ位置に分岐管を取り付け、この分岐管を用いて輸送した汚泥を排出可能とするようにした。
そして、この200A管により輸送される汚泥をセメント焼成炉にて焼却処理するようにした。
実施例および比較例にて用いた汚泥の性状は下記のとおりである。
石灰系の脱水汚泥であり、かつフィルタープレスにて圧搾脱水したもの
含水率:56%
性状:厚み6〜12mm、一辺の長さ30〜400mmの繊維質で湿った厚紙様のもの
高分子系の脱水汚泥
含水率:75%
性状:数mm〜50mmの塊状混合、含水粘土状
上記の低含水率汚泥を解砕機にて解砕して平均粒径が50mm以下の塊状物とし、この塊状物と高含水率汚泥とを表1に示す混合比にて混合し、実施例1〜3の混合汚泥を作製した。
次いで、これらの混合汚泥を上記のスラリーポンプを用いてパイプライン輸送した。
なお、低含水率汚泥、高含水率汚泥それぞれを単独で用いた場合についても検討し、参考例1、2とした。
上記の低含水率汚泥を解砕機にて解砕して平均粒径が50mm以下の塊状物とし、この塊状物と高含水率汚泥とを表1に示す混合比にて混合し、さらに表1に示す割合にて添加水を添加し実施例4、5の混合汚泥を作製した。
次いで、これらの混合汚泥を上記のスラリーポンプを用いてパイプライン輸送した。
上記の低含水率汚泥を解砕機にて解砕して平均粒径が50mm以下の塊状物とし、この塊状物と水とを表2に示す加水率にて混合し、実施例6〜8の混合汚泥を作製した。
次いで、これらの混合汚泥を上記のスラリーポンプを用いてパイプライン輸送した。
上記の低含水率汚泥を解砕機にて塊状物がほぼ無くなるまでに解砕し、粉体とした。次いで、この粉体と水とを表3に示す加水率にて混合して均質化し、比較例1〜3の混合汚泥を作製した。
次いで、これらの混合汚泥を上記のスラリーポンプを用いてパイプライン輸送した。
なお、低含水率汚泥に加水を行わない場合についても検討し、参考例3とした。
これらの結果を表1〜表3に示す。
また、実施例4、5では、混合汚泥にさらに水を添加することによって、ずり応力を大きく低下させることが可能となり、低含水率汚泥の長距離パイプライン輸送が容易になった。
このように、実施例1〜8の混合汚泥は、含水率が比較的少ないのにも関わらず、パイプライン輸送での圧力損失が小さく、パイプライン輸送を容易に行うことができることが分かった。
22 高含水率汚泥の供給装置
23 低含水率汚泥の貯留ホッパー
24 低含水率汚泥の供給装置
25 解砕機
26 混合押込ホッパー
27 オーガーフィーダー
28 輸送ポンプ
29 パイプライン
30 解砕機への注水ライン
31 パイプラインへの注水ライン
Claims (10)
- 低含水率汚泥をパイプライン輸送する方法であって、
低含水率汚泥を解砕し塊状物とする解砕工程と、この塊状物に滑材を添加する滑材添加工程と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送工程とを備えてなることを特徴とする低含水率汚泥の輸送方法。 - 低含水率汚泥をパイプライン輸送する方法であって、
滑材を含む低含水率汚泥を解砕し塊状物とする解砕工程と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送工程とを備えてなることを特徴とする低含水率汚泥の輸送方法。 - 低含水率汚泥をパイプライン輸送する方法であって、
低含水率汚泥に滑材を添加しつつ解砕し塊状物とする解砕工程と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送工程とを備えてなることを特徴とする低含水率汚泥の輸送方法。 - 前記低含水率汚泥は、含水率が70%以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の低含水率汚泥の輸送方法。
- 前記滑材は、高含水率汚泥、水、廃油、再生油、酸性廃液、アルカリ性廃液、中和処理液の群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の低含水率汚泥の輸送方法。
- 前記高含水率汚泥は、含水率が70%以上であることを特徴とする請求項5記載の低含水率汚泥の輸送方法。
- 前記塊状物は、平均粒径が5mm〜40mmの範囲にあることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の低含水率汚泥の輸送方法。
- 前記パイプライン輸送の途中箇所にて、前記滑材を含む塊状物にさらに前記滑材を添加することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記載の低含水率汚泥の輸送方法。
- 低含水率汚泥をパイプライン輸送する装置であって、
低含水率汚泥を解砕し塊状物とする解砕手段と、この塊状物に滑材を添加する滑材添加手段と、この滑材を含む塊状物を圧送ポンプを介してパイプライン輸送する輸送手段とを備えてなることを特徴とする低含水率汚泥の輸送装置。 - セメント焼成炉に請求項9記載の低含水率汚泥の輸送装置を備え、
この輸送装置により輸送される前記滑材を含む塊状物を前記セメント焼成炉に投入し焼却処理することを特徴とするセメント製造設備。
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