JP2007048896A - 避雷システム、避雷システムに用いる避雷補助塗膜、避雷補助塗膜を形成する避雷補助塗料、及び避雷補助塗膜の形成方法 - Google Patents

避雷システム、避雷システムに用いる避雷補助塗膜、避雷補助塗膜を形成する避雷補助塗料、及び避雷補助塗膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実施が容易であって、避雷効果の高い避雷システムを構築する。
【解決手段】避雷対象の構造物に微小な導電性粒子を粒子間が絶縁されて配置された形の塗膜を形成し、この塗膜を接地に接続する。通常時にはこの塗膜は絶縁性であり、電界分布を乱さないが、落雷時には、塗膜の導電性粒子の粒子間が放電して導電状態となり、落雷地点から接地までの低抵抗で低インダクタタンスの電流経路が形成され、雷電流はこの経路を流れ、避雷対象の構造物は落雷による破損を免れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、上空からの落雷の電流を受けて大地に安全に導く避雷システム、避雷システムに用いる避雷補助塗膜、避雷補助塗膜を形成する避雷補助塗料、及び避雷補助塗膜を形成するための避雷補助塗膜の形成方法に関する。
高層化するビルや風力発電設備などの構造物では、落雷対策が不可欠である。特に近年では、例えば特許文献1に記載されているように、自然エネルギーを利用するために各地に建設されている風力発電装置に対するより適切な落雷対策が強く求められている。
従来、落雷に対し保護対象の構造物を保護する避雷システムとして、避雷針と落雷電流を避雷針から大地へと導く引下導線を備えたシステムが広く用いられている。避雷針は、保護対象の構造物よりも高い位置に設置し、保護対象物は、避雷針の作る保護角の中に入るようにすることが求められている。しかしながら、この保護角の中に構造物を入れることが一般的には困難である場合や、また保護角内に設置できた場合でも、横からの落雷あるいは下方からの落雷を受けることがあるなどの問題点が指摘されている。
また、落雷電流は避雷針から引下導線によって大地に導く必要があり、この場合に引下導線はインダクタンスを有するので、この引下導線に流れる電流が大きく変化することによって、誘起される電圧が非常に大きくなるという問題がある。
この誘起電圧について具体例を挙げて説明する。落雷時に引下導線に流れる電流は最大ピーク値(最大電流値)が例えば200kAであり、1μsで立ち上がる波形を有するとし定すると、このとき、電流の上昇率di/dtの最大値は、
(200×10)/(1×10−6)=200×10 [A/s]
となる。他方、雷電流を大地に導く引下導線のインダクタンスは、単位長あたりの一般的な値を約1μH/mと見積もることができる。従ってこの場合の自己誘導電圧は1mあたり200kV、10mあたりでは2000kVと非常に大きな値となる。ここに落雷時に引下導線に流れる最大電流として頻度が高い電流値は10kAから100kAの範囲に分布しており、この分布において、ある頻度にて上記の最大電流値が200kAに達するものの発生が予測される。
この非常に大きな自己誘導電圧に耐える引下導線は、非常に大規模なものとなるので、このような導線を実際に設置することは決して容易でない。日本原子力研究所の核融合実験装置JT−60の避雷システムでは、引下導線として、AC270kVのポリエチレン絶縁の電力ケーブルを採用している。このため、避雷針に落雷しても、引下導線として用いたケーブルの自己誘導電圧をケーブルが遮蔽しケーブルの絶縁がこれに耐えるため、逆尖絡の問題や落雷の被害はこれまで一度も起きていない。しかしながら、一般の構造物に対し、このJT−60の場合のような大規模なケーブルを引下導線として設置することは、決して容易なことではない。
一般の避雷設備では引下導線としてケーブルではなく、裸導線や耐電圧がそれほど高くないケーブルが使用される。このような場合には、引下導線のインダクタンスで発生する高電圧によって、電位のより低い近くの建屋構造や金属構造、あるいは電気回路などに火花放電するいわゆる逆尖絡が生じる可能性が高い。
このような場合には、内部へと尖絡するアークは、構造物の狭い空間を貫通し、電磁力とプラズマのジュール熱により、空気などの気体が急激に膨張して爆発し、尖絡した周囲を破壊する可能性か高い。
このような落雷被害の発生を回避する方法として、例えば構造物全面を厚い金属で覆うことが考えられる。しかし、構造物全面を厚い金属で覆うと、構造物の重量を大幅に増し、また大地と上空との間の電位を乱し、落雷を招くおそれがある。さらには、構造物全面を厚い金属で覆うと、通信などの電波の伝播に対して大きな障害物となるおそれがある。特許文献2には、保護対象が航空機の場合に、厚い金属で覆うかわりに、金属メッシュ薄膜で面状に覆う避雷構造が開示されている。こうした金属メッシュ薄膜で覆う構造は、厚い金属で覆うよりも軽量にはなるものの、落雷を招き易いことや、通信などの電波の伝播に対し障害物となるなどの問題点を残している。
特開2005−48765号公報 特開平11−138669号公報
このようなことから、構造物に対する避雷システムとして、従来の避雷システムよりも実施が容易であって避雷効果の高い新しい避雷システムが強く望まれている。特に風力発電設備では、絶縁性の風車ブレード表面への落雷被害が大きな問題となっており、これを避けるための効果的な対策の必要性が高まっている。
本発明は、このような要求に応える新しい避雷システムを提供するもので、実施が容易であり、しかも避雷効果が高く、例えば風力発電の風車ブレード表面のような絶縁性構造物の表面への落雷による構造物の破損の防止に優れた効果を得ることができるものである。
本発明の避雷システムは、避雷対象の構造体の表面に設けた樹脂下地層と、この樹脂下地層によって粒子の一端が固定され、粒子間が絶縁されて配置され、所定の電圧以下では高抵抗であり、所定の電圧を超えると放電が発生し高導電性となる導電性粒子層と、樹脂下地層を接地に接続する接地電極とを備えたことを特徴とする。
また本発明の避雷補助塗膜は、避雷対象の構造体の表面に設けた樹脂下地層と、この樹脂下地層によって粒子の一端が固定され、粒子間が絶縁されて配置され、所定の電圧以下では高抵抗であり、所定の電圧を超えると放電が発生し溶融気化してアーク状態に移行し高導電性となる導電性粒子層とを備えたことを特徴とする。
また本発明の避雷補助塗膜形成用塗料は、樹脂およびこの樹脂を溶解した樹脂溶剤を含有する樹脂下地層形成用の樹脂塗料と、導電性粒子およびこの導電性粒子を分散した溶剤とを含有する導電性粒子層形成用の導電性粒子分散液とを備えたことを特徴とする
さらに本発明の避雷補助塗膜の形成方法は、樹脂およびこの樹脂を溶解した樹脂溶剤を含有する樹脂下地層形成用の樹脂塗料を構造物に塗布し樹脂下地層を形成する工程と、樹脂下地層上に導電性粒子とこの導電性粒子を分散した溶剤とを含有する導電性粒子層形成用の導電性粒子分散液を塗布し、所定の電圧を超えると導電性粒子間に放電が発生し導電性となる粒子間の空隙を有し粒子の一端が樹脂層に固定されて配置された導電性粒子層を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
本発明において、上記導電性粒子層において、導電性粒子の粒子間を絶縁して配置する方法としては、例えば粒子間に小さな空隙を設け、比較的低い電圧で粒子間の放電が生じるようにしてもよいし、また粒子間に小さな間隙を設け、この間隙を耐電圧の低い物質で埋めることにより、低い電圧で粒子間の放電が生じるようにしてもよい。
本発明においては、避雷針とこの避雷針を大地に接続する引下導線の代わりに、絶縁耐圧が低く、かつ、いったん尖絡すると容易にアーク放電により導電性となって雷電流を低電圧で接地へと誘導する電流経路を形成する上記塗膜により、避雷対象の構造物を保護する。
また本発明においては、導体粒子の断面積を小さくし、電流の初期に落雷電流で導体がジュール熱により蒸発し、気中アークに移行することにより、塗膜に電流経路が形成され、雷電流を低電圧で接地へと誘導することにより、避雷対象の構造物を保護することができる。
本発明の避雷システムにおいて、雷電流による放電が進みプラズマ化すれば、アーク断面が増しプラズマの温度が上昇するので、プラズマ化した雷電流に対する電気抵抗は導体を流れる場合よりも十分に低いものとなる。またアークプラズマは、電流が増すとともにプラズマ圧力が上昇し、アークの直径が大きくなるので、インダクタンスがこれに伴って小さくなる。従ってこのアークプラズマによって形成される電流経路に雷電流を流すことにより、引下銅線に雷電流を流した場合に比べ、その誘起電圧を大幅に低くすることができる。
本発明の避雷システムによれば、雷電流によって誘起される電圧を従来の引下銅線を用いる場合よりも低くできるので、誘起電圧により、他の金属体に火花放電が生じるのを防ぐことができ、また電流の分流を生じることなく最初の流路を保ったまま、雷電流をアーク放電により、アース(大地)電極を経てアースへと安全に導くことができる。なお、アークプラズマは超高温の状態にあることから、一般的には熱対策が重要であるが、本発明においては落雷時にアークに暴露される時間が短時間であり、他方で通常に絶縁物として用いられている物質は短時間の耐熱性を十分に有しているため、アークプラズマの熱の影響は軽微なものとなる。落雷による40μsの短時間のアークに実際に暴露された強化プラスチック(FRP)は、表面に痕跡がみられるだけで、構造的には損傷が生じていないとの結果が得られている。
本発明において避雷補助塗膜は、低電圧のもとで絶縁性である点において、構造物の避雷システム用途として好ましいものである。構造物の避雷システムは、落雷の誘起を防ぐために、落雷を受ける前の低電圧のもとでは構造物の近くの電界をできるだけ乱さないようにすることが望ましく、この点で落雷を受ける前には導電性であるよりも絶縁性であることがより望ましい。なお、本発明に係る避雷システムを特許文献2に記載された航空機の避雷システムとを比較すると、特許文献2では導電性の金属メッシュ薄膜を用いるのに対し、本発明の避雷補助塗膜は間隙を有して配列された導電性粒子層を有し、低電圧のもとで電気的に絶縁性であることから、その構成が異なることに加えて、その機能においても全く異なっている。
他方、この避雷補助塗膜は高電圧のもとでは容易にアークを生じて尖絡し、導電性の状態となる。なお、この避雷補助塗膜は必ずしも避雷対象の構造体全面を覆う必要はなく、落雷電流が沿面放電などによって容易に避雷補助塗膜に到達できればよい。例えば避雷補助塗膜を帯状に配置してもよい。
本発明によれば、絶縁耐圧が低く一旦尖絡すると低抵抗で電流を誘導する導電性粒子塗膜により、雷電流を放電できる。放電が進めばアーク断面が増しインダクタンスが小さくなって誘起電圧が十分に低くなり、最初の流路のまま、雷電流を大地へと安全に導くことができる。低電圧のもとでは、避雷補助塗膜はが電気的に絶縁性であることから、導電性物体を用いた場合のように落雷の前の電界を乱し、落雷を誘う効果が生じるのを防ぐことができる。
次に図を参照し、本発明の実施の形態を具体的に説明することにより、本発明りさらなる詳細について述べる。
図1は絶縁性の構造物に落雷した場合の状況を模式的に例示した図である。図1において、構造物1の側面に避雷補助塗膜2が形成されている。例えば構造物1の側面の落雷点3に落雷ストリーマ4が到達し落雷すると、この落雷電流は避雷補助塗膜2に電流経路5が形成され、この電流経路5を経由して接地電極6を経て大地へと流れる。避雷補助塗膜2は構造物の全表面に設けておけば問題がないが、もしも避雷補助塗膜2が構造物の全表面を覆っておらず、落雷点3に避雷補助塗膜2が塗布されていない場合であっても、沿面放電により雷電流が容易に避雷補助塗膜2に到達できれば、雷電流はこの避雷補助塗膜2に誘導され接地電極6を経て大地へと流れる。従って避雷補助塗膜2は必ずしも構造体全体を覆いつくす必要はない。また避雷補助塗膜2をこの構造物1の上面にも形成しておくことにより、構造物1の上面に落雷した場合にも、同様にしてこの避雷補助塗膜2に電流経路5が形成され、雷電流がこの電流経路5を経由して大地へと流れるようにでき、構造物1を保護することができる。
図1との比較のために、図6には従来の避雷システムにより、構造物1に落雷を捉えるための避雷針7を設け、この避雷針7から雷電流を接地電極6に流すための引下電線8を設けた場合について図示した。例えば落雷点3に落雷すると、落雷電流が尖絡により引下電線8に流れ、構造物を損傷するおそれがある。また避雷針7に落雷した場合にも引下電線8に高電圧が誘起され、この高電圧により、構造物を損傷するおそれがある。本発明の避雷システムによれば、このようして生じる構造物の損傷の発生を回避することができる。
図2は上述した避雷補助塗膜2の表面について、導電性粒子21が観察できる倍率にまで拡大した拡大図を模式的に示したものである。図2において(a)はその模式的平面図、(b)はその模式的断面図である。
図2(a)にみられるように、避雷補助塗膜2の表面には、金属粒子、炭素粒子、あるいは半導体粒子などの導電性粒子21が互いにある空隙を保ちながら塗膜面に配置されている。また図2にみられるように、各導電性粒子21は、樹脂膜22によって背面で保持されている。このような膜構造は、後に述べる避雷補助塗膜の形成方法を用いることにより、得ることができる。
図3はこの避雷補助塗膜22が放電する場合の等価回路を概念的に示したものである。各導電性粒子21は樹脂塗膜22を通じ、静電的に互いに結合している。落雷などにより高電圧が印加されると、比較的低い電圧で隣接する導電性粒子21間の放電が始まり、避雷補助塗膜22に低抵抗の放電路32が形成される。落雷時の雷電流はこの放電路32により放電される。ひとたび導電性粒子間の微小間隙が尖絡すると、次々と尖絡が進み、電流経路ができる。この電流経路は気中アークの非線形性、すなわちいったん放電が始まると急激に電気抵抗が小さくなるという性質のために、電流が放電を開始した経路に集中するようになる。このため経路の微小粒子は溶融し、気化し、アークプラズマへと進展する。
図4は本発明の避雷補助塗膜の作用を検証するための原理実験の模式図とその結果を示したものである。ある粒子間隔で並んだ導電性物質が高電圧に対し、放電を誘発してアーク放電に移行することを検証するものである。図4(a)には、FRP板41上にスチール球42と鉄線43とを配置した。スチール球41間の距離は0.54mmとし、95段でギャップの合計を約5mmとした。またスチール球42と鉄線43との距離は30mmとした。これに対し高圧電源44からスチール球42に600kVの電圧を加え、20回の放電を行ったところ、電流は鉄線43に短絡することなく、すべてスチール球42間を放電して流れた。
図4(b)はこの放電の状況を撮影した写真をスケッチしたものであって、白い部分45が放電している部分である。ひとたび尖絡により放電が開始されると、次々に尖絡が進み、電流経路が形成される。こうして形成された経路は他の部分に比べ著しく電気抵抗が低くなっているので、電流はこの経路に集中して流れている。
図5は、表面に導電性粒子が互いに微小な間隙を保って配列した避雷補助塗膜の製造方法の一実施形態を示した図である。
まず構造物1の表面に樹脂を溶媒に溶かした樹脂塗料を塗布し、樹脂塗膜22を形成する。この樹脂塗膜22が未硬化の状態で、導電性粒子21を溶媒51中に分散させた導電性粒子塗料をこの樹脂塗膜22の上に塗布し、導電性粒子層を形成する。導電性粒子塗料を塗布する際には、下地となる未硬化の樹脂塗膜を乱さないような塗布方法として、例えば下地にせん断力を与えない塗布方法として例えば吹き付け塗布法(スプレー塗布法)を用いることができる。こうすることにより、樹脂塗膜に溶媒51が浸透し、導電性粒子が樹脂塗膜に接着される。次に樹脂塗膜に接着されていない余分な導電性粒子を除去し、表面に導電性粒子が互いに間隙を有して配列された避雷補助塗膜を得る。
導電性粒子塗料の導電性粒子の表面は溶媒によって濡れて溶媒層を形成し、樹脂塗膜上には導電性粒子がこの溶媒層を介して隣接し配列した導電性粒子層が形成される。導電性粒子は表面張力によってほぼ等間隔に塗料表面に自己組織化されて並ぶので、溶媒が蒸発した後には、導電性粒子が微小な粒子間隔を隔てて配列し、図2に模式的に示された構造の塗膜が得られる。
導電性物質として平均粒子径が10μmのアトマイズ法で製造された銀粉を用い、上述した方法により、避雷補助塗膜を風力発電用風車に用いられるFRP(繊維強化プラスチックス)の面に形成した。この条件として、(a)樹脂塗膜を塗布した直後に銀粉塗料を塗布した場合、(b)樹脂塗膜を塗布してから60分後に銀粉塗料を塗布した場合、および(c)樹脂塗膜を塗布してから120分後に銀粉塗料を塗布した場合の3つの場合について、形成した避雷補助塗膜上の50mmの電極間距離における放電開始電圧を測定した。
その結果、(a)の場合には10回の測定における平均放電開始電圧が880V、その標準偏差は40Vと低い放電開始電圧が得られ、また(b)の場合には10回の測定における平均放電開始電圧が2400V、その標準偏差は440V、さらに(c)の場合には10回の測定における平均放電開始電圧が3900V、その標準偏差は110Vであり、いずれの場合も、比較的低い電圧で安定して放電を開始することがわかった。これの結果を表1にまとめて示した。なお、上記において(a)の場合に平均放電開始電圧が最も低いのは、銀粉の粒子が樹脂塗膜に十分な量固定されているので、銀粉粒子の粒子間隔が小さくなっているためと考えられる。また(c)の場合には、銀粉粒子の樹脂塗膜への固定量が(a)に比べると少なく、このため銀粉粒子の粒子粒子間隔が大きくなっていることが考えられる。
一方、テスターを用い同じ50mmの電極間距離におけるこの避雷補助塗膜の1.5Vの低電圧下での抵抗値の測定を試みたところ、(a)〜(c)のいずれの場合も、絶縁性(抵抗値が大きく測定の範囲外)であることがわかった。
このようにして、この塗膜は低電圧では電気的に十分な絶縁物ある一方で、比較的低い電圧で放電を開始するので、避雷補助塗膜に適していることがわかる。
この塗膜を風力発電のFRP製タービン羽根に塗布すると、この塗膜は弱電圧で絶縁性を示すので、金属で覆った場合のように大地と上空との電位を乱し落雷を誘うことはない。しかし、ひとたび落雷すれば塗膜の表面に放電が生じ、電流経路が形成されて、雷電流をアース(大地)へと流すので、タービン羽根の落雷による破損が防止される。またこの塗料を航空機の表面に塗ると、低電圧では塗膜は絶縁物であって、金属で覆った場合のように落雷を誘起することがない一方で、一旦落雷した場合には塗膜が低インピーダンスの電流経路を形成し、雷電流を通過させることにより、雷被害を軽減できる。さらに電磁波を通過させるための絶縁構造物やアンテナの周辺で本発明の避雷補助塗膜を設けて避雷システムを構成すれば、落雷のないときは絶縁物であるため、電磁波を通過させることができるので、アンテナとしての機能を確保しつつ、落雷時に雷電流の流路を形成して雷被害を防止することができる。このように本発明は、従来は避雷対策が困難であった様々な分野の避雷対策を可能にする新しい特徴を有しており、その産業上の利用可能性は非常に大きいといえる。
本発明に係る避雷補助塗膜を設けた絶縁性構造物に落雷した場合の落雷電流をの一例を模式的に示した図である。 本発明に係る避雷補助塗膜の一実施形態の表面を導電性粒子が観察できる倍率にまで拡大した拡大図を模式的に示した図であり、(a)はその模式的平面図、(b)はその模式的断面図である。 本発明に係る避雷補助塗膜が放電する場合の等価回路を概念的に示したものである。 本発明に係る避雷補助塗膜の作用を検証するために行った原理実験を示した図であって、(a)は実験装置を模式的に示した図であり、(b)は実験によって得た放電写真のスケッチである。 本発明に係る避雷補助塗膜の製造方法の一実施形態を示した図である。 従来の避雷システムにより、落雷を捉えるための避雷針を設け、この避雷針から雷電流を大地に流すための引下電線を設けた場合について示した図である。
符号の説明
1…構造物、2…避雷補助塗膜、3…落雷点、4…落雷ストリーマ、5…電流経路、 6…接地電極、7…避雷針、8…引下電線、21…導電性粒子、22…樹脂塗膜、32…放電路、41…FRP板、42…スチール球、43…鉄線、44…高電圧電源、 45…放電している部分、 51…溶媒。

Claims (4)

  1. 避雷対象の構造体の表面に設けた樹脂下地層と、
    この樹脂下地層によって粒子の一端が固定され、粒子間が絶縁されて配置され、所定の電圧以下では高抵抗であり、所定の電圧を超えると放電が発生し高導電性となる導電性粒子層と、
    前記樹脂下地層を接地に接続する接地電極と
    を備えたことを特徴とする避雷システム。
  2. 避雷対象の構造体の表面に設けた樹脂下地層と、
    この樹脂下地層によって粒子の一端が固定され、粒子間が絶縁されて配置され、所定の電圧以下では高抵抗であり、所定の電圧を超えると放電が発生し溶融気化してアーク状態に移行し高導電性となる導電性粒子層と
    を備えたことを特徴とする避雷補助塗膜。
  3. 樹脂及びこの樹脂を溶解した樹脂溶剤を含有する樹脂下地層形成用の樹脂塗料と、
    導電性粒子及びこの導電性粒子を分散した溶剤とを含有する導電性粒子層形成用の導電性粒子分散液と
    を備えたことを特徴とする避雷補助塗膜形成用塗料。
  4. 樹脂及びこの樹脂を溶解した樹脂溶剤を含有する樹脂下地層形成用の樹脂塗料を構造物に塗布し樹脂下地層を形成する工程と、
    前記樹脂下地層上に導電性粒子とこの導電性粒子を分散した溶剤とを含有する導電性粒子層形成用の導電性粒子分散液を塗布し、所定の電圧を超えると前記導電性粒子間に放電が発生し導電性となる粒子間の空隙を有し粒子の一端が前記樹脂層に固定されて配置された導電性粒子層を形成する工程と
    を備えたことを特徴とする避雷補助塗膜の形成方法。
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JP2011228068A (ja) * 2010-04-16 2011-11-10 Hibino Gaku 落雷被害軽減衣類素材および落雷被害軽減服

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