JP2007048511A - アルカリ乾電池 - Google Patents

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康子 保科
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【課題】 高率放電性能に優れたアルカリ乾電池を提供する。
【解決手段】 底部を正極端子部3とする有底円筒状の電池缶2と、電池缶2内に中空円筒状に配置された二酸化マンガンと黒鉛を主構成物質とする正極合剤4と、正極合剤4の内周に嵌合させて配置した筒状のセパレータ5と、電池缶2内に収容した電解液と、セパレータ5の内部空間に収容されゲル化した電解液に亜鉛粉末を分散させてなるゲル状負極6と、電池缶2の開口部を封口する封口体8とを備えたアルカリ乾電池1において、セパレータ5の内部における電池缶2の正極端子部3の内側に接する空間に電解液保持材15を配置し、かつ電池缶2内の総電解液量を に対して、3〜33%増加した。
【選択図】 図1

Description

本発明はアルカリ乾電池に関し、特に高率放電性能の向上を図ったアルカリ乾電池に関するものである。
従来、図3に示すような構成のアルカリ乾電池21が知られている(例えば、特許文献1参照。)。図3において、有底円筒状で底部に正極端子部23を突出形成されたスチール製の電池缶22内に、二酸化マンガンと黒鉛を主構成物質とする円筒状の正極合剤24が内周面に密接して収容され、正極合剤24の内周に嵌合させて円筒状のセパレータ25が配置され、セパレータ25内にゲル化した電解液に亜鉛粉末を分散させたゲル状負極26が収容され、セパレータ25の正極端子部23側の開口端には絶縁底紙27が配置されてゲル状負極26と電池缶22とが隔離されている。なお、特許文献1では、絶縁底紙27を、正極端子部23の突出形状に合わせて突出した段付き形状とすることで、反応活物質の有効容積の向上が図られている。
電池缶22の開口部には、内筒部28aと外筒部28bとそれらの間を連結する連結部28cを有するガスケット28がセパレータ25の開口端に当接させて嵌合配置されている。ガスケット28には、補強ワッシャ29が内蔵されている。ガスケット28の内筒部28aを貫通して負極集電体30がゲル状負極26内に貫入され、この負極集電体30の頭部30aに負極端子板31が接続固定され、その外周部が補強ワッシャ29の外周部に当接されている。
そして、電池缶22の開口端から所定間隔あけた位置に形成された溝32にてガスケット28の外周部を支持した状態で電池缶22の開口端部及びガスケット28の外筒部28bの上端部が径方向内側にかしめられ、そのかしめ部33にてガスケット28の外筒部28bの端部が軸方向に圧縮され、ガスケット28にて電池缶22が封口されるとともに負極端子板31が固定されている。また電池缶22の外周面は、シート状又はチューブ状の熱収縮性の樹脂ラベル34で被覆されている。
また、他のアルカリ乾電池として、図4に示すように、セパレータ25を有底円筒形状とするとともに、その底部25aを電池缶22の正極端子部23が突出形成されている底面から離間させ、電池缶22の底部空間にも正極合剤24を配置したものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また、さらに別のアルカリ乾電池として、放電性能を低下することなく、振動・衝撃を受けた時にも確実に内部短絡を防止できるように、図5に示すように、円筒状のセパレータ25の内側の正極端子部23側の空間に、液状発泡ウレタンなどの発泡絶縁材35を配置し、発泡絶縁材35にてゲル状負極26と電池缶22とを隔離して絶縁するとともに内部に電解液を吸収して保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平9−17408号公報 特開平5−144428号公報 特開2003−272642号公報
ところで、図3に示すような構成のアルカリ乾電池では、大電流放電時の内部抵抗、特に正極端子部近傍での内部抵抗が大きいために、高率放電性能が良くないという問題があり、特許文献1に記載されているようにゲル状負極を正極端子の突出部の内側まで入れてゲル状負極の量を多くしてもこの問題を改善することはできない。
また、特許文献2に記載された図4に示すような構成のアルカリ乾電池では、正極合剤が正極端子部の内側にも配置することでショート防止が図られているが、高率放電の場合反応が正極端子部近傍のゲル状負極の亜鉛から強く進むため、この構成では正極端子部からゲル状負極の亜鉛までの距離が正極合剤によって長くなっているため、高率放電の反応性が逆に劣ってしまうという問題がある。
また、特許文献3に記載された図5に示すような構成のアルカリ乾電池では、液状発泡ウレタンからなる発泡絶縁材35を正極端子部23の内側に配置しているが、ウレタンは耐アルカリ性が低く、アルカリと反応して、二酸化炭素、アンモニア、エチルアルコールに分解し、電池缶内部にガスが発生するために、あまり実用的でないという問題がある。また、電池缶内容積が限定されているため、発泡絶縁材35による容積増加分だけゲル状負極の量が少なくなり、また電解液の充填量は特に記載されていないので負極の亜鉛量に対応した一般的な規定量であるものと考えられるので、発泡絶縁材35による容積増加分だけ電池容量が低下するという問題がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、高率放電性能に優れたアルカリ乾電池を提供することを課題とする。
本発明のアルカリ乾電池は、底部を正極端子部とする有底円筒状の電池缶と、電池缶内に中空円筒状に配置された二酸化マンガンと黒鉛を主構成物質とする正極合剤と、正極合剤の内周に嵌合させて配置した筒状のセパレータと、電池缶内に収容した電解液と、セパレータの内部空間に収容されゲル化した電解液に亜鉛粉末を分散させてなるゲル状負極と、電池缶の開口部を封口する封口体とを備えたアルカリ乾電池において、セパレータの内部における電池缶の正極端子部の内側に接する空間に電解液保持材を配置し、かつ電池缶内の総電解液量を電解液保持材を配置しない場合に対して、3〜33%増加したものである。
アルカリ乾電池において、高率放電性能を向上するには電解液を増やすことが考えられる。しかし、電池缶内容積が限られているので、電解液を増やすためにはゲル状負極の量を減らす必要があり、単純に電解液を増やして高率放電性能の向上を図ろうとすると電池容量が少なくなってしまうことになる。本発明は、正極端子部の内側近傍に多くの電解液を保持させることで高率放電性能の向上効果が高いことを見い出したことに基づいて発明したものであり、上記のように正極端子部の内側に接する空間に電解液保持材を配置して電解液を保持させるようにしたことで、高率放電時に正極端子部の近傍からゲル状負極の亜鉛の反応が進む際の電解液の供給が良好になされ、その結果優れた高率放電性能を確保することができる。さらに、総電解液量を電解液保持材を配置しない場合に対して、3〜33%増加し、その容積増加分に対応して亜鉛量を少なくしても、電解液の増加によって電池反応がより効率的に行われることで亜鉛量が少なくなっても電池容量の低下を来たさず、逆に電池容量を増加できることが実験的に確認された。かくして、高率放電性能に優れしかも電池容量を維持したアルカリ乾電池を得ることができる。
また、電解液保持体に吸収保持された電解液量が、総電解液量の1〜12%となるようにすると、高率放電性能と電池容量の維持をともに確保できて好適である。
また、電解液保持材としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、又はそれらの混合物から成るゲル化剤、又はテンセル、ポリノジックレーヨン、マーセル化パルプ、ビニロン繊維から選択された1種、又は複数種の混合物からなるものなどが好適である。
本発明のアルカリ乾電池によれば、正極端子部の内側に接する空間に電解液保持材を配置して電解液を保持させるようにしたことで、高率放電時に正極端子部の近傍からゲル状負極の亜鉛の反応が進む際の電解液の供給が良好になされ、その結果優れた高率放電性能を確保することができ、さらに総電解液量を電解液保持材を配置しない場合に対して、3〜33%増加することで亜鉛量が少なくなっても電池容量の低下を来たさず、逆に電池容量を増加でき、高率放電性能に優れしかも電池容量を維持したアルカリ乾電池を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態のアルカリ乾電池について、図1、図2を参照して説明する。
図1において、1はアルカリ乾電池で、有底円筒状で底部に正極端子部3が突出形成されたスチール製の電池缶2内に、二酸化マンガンと黒鉛を主構成物質とする円筒状の正極合剤4が内周面に密接して収容され、その内側に有底円筒状のセパレータ5を介して、ゲル化した電解液に亜鉛粉末を分散させたゲル状負極6が収容されている。セパレータ5の正極端子部3側の開口端には絶縁底紙7が配置されてゲル状負極6と電池缶2とが隔離されている。
電池缶2の開口部には、内筒部8aと外筒部8bとそれらの間を連結する連結部8cを有する封口体としてのガスケット8がセパレータ5の開口端に当接させて嵌合配置されている。ガスケット8には、補強ワッシャ9が内蔵されている。ガスケット8の内筒部8aを貫通して負極集電体10がゲル状負極6内に貫入され、この負極集電体10の頭部10aに負極端子板11が接続固定され、その外周部が補強ワッシャ9の外周部に当接されている。
そして、電池缶2の開口端から所定間隔あけた位置に形成された溝12にてガスケット8の外筒部8bの基端を支持した状態で電池缶2の開口端部及びガスケット8の外筒部8bの先端部が径方向内側にかしめられ、そのかしめ部13にてガスケット8の外筒部8bの先端部が軸方向に圧縮され、ガスケット8にて電池缶2が封口されるとともにその負極端子板11が固定されている。また電池缶2の外周面は熱収縮性の樹脂チューブ14で被覆されている。
以上の構成のアルカリ乾電池1において、セパレータ5の内部における絶縁底紙7と電池缶2の正極端子部3の内側との間の空間に電解液保持材15が配置されている。そして、セパレータ5と正極合剤4に電解液が含浸されるとともに、この電解液保持材15に電解液が保持され、電池缶2内の総電解液量が、電解液保持材を配置しない場合に対して、3〜33%増加した量となり、かつ電解液保持材15に吸収保持された電解液量が、総電解液量の1〜12%となるようにされている。また、電解液の増加量が多くなり、その電解液保持材15が図1に示すように、正極端子部3の内側の空間内に収まらない場合には、図2に示すように、絶縁底紙7をセパレータ5の内側に入り込んだ位置に配置し、その絶縁底紙7と正極端子部3の内側との間の空間に電解液保持材15が配置される。なお、この電解液量の増加に伴う容積増加に対応してゲル状負極6の量が減らされている。
電解液保持材15としては、ゲル状負極6に用いられているゲル化剤と同様の、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、又はそれらの混合物などのゲル化剤が好適に用いられる。また、テンセル、ポリノジックレーヨン、マーセル化パルプ、ビニロン繊維から選択された1種、又は複数種の混合物も好適に用いられる。
以上の構成によれば、正極端子部3の内側に接する空間に電解液保持材15を配置して電解液を保持させるようにしたことで、高率放電時に正極端子部3の近傍からゲル状負極6の亜鉛の反応が進む際の電解液の供給が良好になされ、その結果優れた高率放電性能を確保することができる。さらに、総電解液量の容積増加分に対応して亜鉛量を少なくしても、電解液の増加によって電池反応がより効率的に行われることで亜鉛量が少なくなっても電池容量の低下を来たさず、逆に電池容量を増加できる。かくして、高率放電性能に優れしかも電池容量を維持したアルカリ乾電池1を得ることができる。
次に、本発明の実施例と比較例について説明する。
(実施例1)
単3形電池の鉄ケースからなる電池缶2内に正極合剤4を挿入配置し、正極端子部3の内側空間に、ポリアクリル酸ナトリウムとポリアクリル酸を2:1で混合した混合物から成る電解液保持材(保持材C)15を挿入配置し、正極端子部3の内側容積に対応して、電解液を正規の充填量1.4gに対して0.05g増量して注液し、セパレータ5と絶縁底紙7を挿入配置し、セパレータ5内にゲル状負極6を充填し、その後負極集電体10を結合された負極端子板11を装着した封口体としてのガスケット8にて封口してアルカリ乾電池1を作製した。
(実施例2〜4)
正極端子部3の内側空間とそれに隣接するセパレータ5内の一部空間にわって、電解液の増量に合わせて適量の電解液保持材15を挿入配置し、電解液量をそれぞれ0.15g、0.40g、0.45g増量して充填し、その結果電解液保持材15のセパレータ5内への配置容積分だけ、ゲル状負極6の亜鉛量が減少した以外は、実施例1と同様にアルカリ乾電池1を作製した。
(実施例5〜10)
電解液保持材15として、それぞれポリアクリル酸(保持材A)、ポリアクリル酸ナトリウム(保持材B)、テンセル(保持材D)、ポリノジックレーヨン(保持材E)、マーセル化パルプ(保持材F)、ビニロン(保持材G)に変えた以外は、実施例3と同様にアルカリ乾電池1を作製した。
(比較例1)
従来例に対応するものとして、保持材を配置せず、電解液量及びゲル状負極の量を変えないアルカリ乾電池を作製した。
(比較例2〜4)
保持材を配置することなく、電解液量を、それぞれ0.05g、0.15g、0.40g増量して注液し、それに伴う容積増加分だけゲル状負極6の量が減少したアルカリ乾電池を作製した。
(比較例5)
電解液量を0.55g増量して充填し、それに対応してゲル状負極6の亜鉛量が減少した以外は、実施例1と同様にアルカリ乾電池1を作製した。
以上の実施例1〜10及び比較例1〜5について、電解液量の増加量の割合(%)と、ゲル状負極における亜鉛の減少量とその割合(%)と、保持材に吸収される電解液の総電解液量に対する割合(%)とを求め、また電池容量の増減を検討するため、1Ω連続放電(終端電圧0.9V)の持続時間を測定し、高率放電性能を検討するため、1000mA連続放電(終端電圧0.9V)の持続時間を測定した。
Figure 2007048511
表1に、実施例1〜10及び比較例1〜5について、電解液の増加割合と量、亜鉛量の減少割合と量、保持材の種類、保持材に吸収される電解液の割合、1Ω連続放電持続時間と1000mA連続放電持続時間の測定結果を示した。
表1において、実施例1〜実施例4から電解液量をほぼ3%から33%の範囲で増加させ、保持材に総電解液量の1〜12%吸収させた状態とすることで、それに対応して亜鉛量が減少しても、電池容量を示す1Ω連続放電持続時間が低下せずにむしろ改善し、高率放電性能を示す1000mA連続放電持続時間が5〜13%向上すること、及び27〜30%程度の増加量でそれらの効果がピークを示し、それ以上増加すると却って効果が減少し、比較例5のように40%も増加させると、電池容量及び高率放電性能がともに従来例よりも劣ることが分かる。
また、電解液保持材としては、保持材A〜Gの何れでも効果が得られるが、保持材Cが最も好適で、保持材Dがそれに続き、その次に保持材A、Eとなり、保持材B、F、Gは高率放電性能の向上が相対的に低くかつ電池容量が従来例に対して僅かに低下することが分かる。
一方、比較例2によれば、保持材を設けずに電解液量を増加するだけでも、高率放電性能の向上が若干認められるが、比較例3、比較例4のようにさらに電解液量を増加すると、電池容量及び高率放電性能の両者が急激に低下することが分かる。
本発明は、正極端子部の内側に接する空間に電解液保持材を配置して電解液を保持させるようにしたことで、優れた高率放電性能を確保することができ、さらに総電解液量を増加することで亜鉛量が少なくなっても、電池容量の低下を来たさずに逆に電池容量を増加でき、高率放電性能に優れしかも電池容量を維持できるので、アルカリ乾電池に有用である。
本発明の一実施形態のアルカリ乾電池の縦断面図。 同実施形態のアルカリ乾電池の変形構成例の縦断面図。 従来例のアルカリ乾電池の縦断面図。 他の従来例のアルカリ乾電池の縦断面図。 さらに別の従来例のアルカリ乾電池の縦断面図。
符号の説明
1 アルカリ乾電池
2 電池缶
3 正極端子部
4 正極合剤
5 セパレータ
6 ゲル状負極
8 ガスケット(封口体)
15 電解液保持材

Claims (5)

  1. 底部を正極端子部とする有底円筒状の電池缶と、電池缶内に中空円筒状に配置された二酸化マンガンと黒鉛を主構成物質とする正極合剤と、正極合剤の内周に嵌合させて配置した筒状のセパレータと、電池缶内に収容した電解液と、セパレータの内部空間に収容されゲル化した電解液に亜鉛粉末を分散させてなるゲル状負極と、電池缶の開口部を封口する封口体とを備えたアルカリ乾電池において、セパレータの内部における電池缶の正極端子部の内側に接する空間に電解液保持材を配置し、かつ電池缶内の総電解液量を電解液保持材を配置しない場合に比較して
    3〜33%増加したことを特徴とするアルカリ乾電池。
  2. 電解液保持体に吸収保持された電解液量は、総電解液量の1〜12%であることを特徴とする請求項1記載のアルカリ乾電池。
  3. 電解液保持体は、ゲル化剤であることを特徴とする請求項1記載のアルカリ乾電池。
  4. ゲル化剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項3記載のアルカリ乾電池。
  5. 電解液保持体は、テンセル、ポリノジックレーヨン、マーセル化パルプ、ビニロン繊維から選択された1種、又は複数種の混合物からなることを特徴とする請求項1記載のアルカリ乾電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007157635A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Fdk Energy Co Ltd 筒形電池

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