JP2007046473A - ピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法 - Google Patents

ピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法 Download PDF

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浩明 粥川
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Abstract

【課題】シューの凸球面部、あるいはピストンに形成される凹球面形状の座面の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成を回避する。
【解決手段】ピストン18の第1受承壁21と第2受承壁22との間にボールエンドミル42の刃部421が配置され、ボールエンドミル42が回転される。回転するボールエンドミル42は、刃部421が鎖線で示す位置を経由して円弧の切削軌跡Dをもたらすように移動される。回転するボールエンドミル42は、切削軌跡Dをもたらすように、繰り返し往復される。回転するボールエンドミル42が切削軌跡Dをもたらすように繰り返し往復される間、ピストン18は、中心軸線L2を中心にして往復回動される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カム体が回転して前記ピストンが往復動することによりガスが圧縮されるピストン式圧縮機に用いるピストンにおいて、シューの凸球面部と嵌合するようにピストンに形成される凹球面形状の座面の加工方法に関する。
ピストン式圧縮機に用いるピストンに形成される凹球面形状の座面の加工方法が例えば特許文献1,2に開示されている。特許文献1に開示の加工方法では、ピストン側の受け座(凹球面形状の座面)の中心を通る回転軸線を中心にしてピストンを回転させながら、円弧状刃部を有する工具を被加工面側に平行移動させて、受け座(凹球面形状の座面)を加工する。座面の球半径の精度(真球精度)は、円弧状刃部のプロフィル(刃先の円弧形状)と、円弧状刃部の刃先と前記回転軸線との間の最大距離(最大の回転半径)とによって左右される。刃先の円弧の半径と前記最大距離(最大の回転半径)とが精度良く一致していれば、凹球面形状の真球精度が高くなる。
特許文献2に開示の加工方法では、シューにより形成される仮想球と同一曲率の円弧形切削刃を有するカッターを斜板受容空間内で回転させ、カッターの回転軸を斜板受容空間内の円形軌跡に沿って公転させてシューポケット(凹球面形状の座面)を切削加工する。
特開平10−220354号公報 特開2002−106465号公報
シューの凸球面部は、斜板の回転によって受け座(凹球面形状の座面)に対して摺動する。そのため、受け座(凹球面形状の座面)の真球精度は、できる限り高く、座面は、できるだけ滑らかな方がよい。しかし、特許文献1における円弧状刃部によって受け座を加工した場合、凹球面形状の座面にツールマークが顕著に付くことがある。このツールマークは、前記回転経路軸線を中心にして回転するピストンの回転方向と直交する方向に主として向く筋状の模様である。特許文献2においても、カッターの公転回転方向と直交する方向に主として向く筋状の模様からなるツールマークが生じることがある。
このようなツールマークは、ピストン式圧縮機が高速かつ高負荷の時や、凹球面形状の座面とシューとの間において潤滑油が少ないような時には、座面あるいはシューの凸球面部が摩耗し易くなる。
本発明は、シューの凸球面部、あるいはピストンに形成される凹球面形状の座面の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成を回避することを目的とする。
本発明は、凸球面形状の凸球面部を備えた一対のシューの前記凸球面部がピストンに形成された凹球面形状の一対の座面に嵌合されていると共に、前記シューがカム体のカム面と前記ピストンとの間に介在されており、前記カム体が回転して前記ピストンが往復動することによりガスが圧縮されるピストン式圧縮機に用いるピストンであって、前記凹球面形状の座面を形成する場所である前記ピストンの受承壁の被加工壁面に切削刃物を用いて前記座面を形成するピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法を対象とし、請求項1の発明は、前記切削刃物の回転軸線が前記座面と交差しないように前記切削刃物を回転させながら、前記座面の凹球面に沿った切削軌跡をもたらす第1工程と、前記ピストンの中心軸線を中心にして、前記切削刃物と前記ピストンとのうちの一方を他方に対して回動させる第2工程とを含み、前記第1工程と前記第2工程とを組み合わせて前記座面を形成するピストン式圧縮機に用いることを特徴とする。
ピストンの中心軸線を中心にして、切削刃物とピストンとのうちの一方を他方に対して回動させるとは、切削刃物が不動配置された状態でピストンが前記中心軸線を中心にして回動される場合、ピストンが不動配置された状態で切削刃物が前記中心軸線を中心にして回動される場合、ピストンと切削刃物との両者が共に前記中心軸線を中心にして回動される場合のいずれをも含む。ツールマークが生成されたとすると、このときのツールマークは、放射形状に近い筋模様、又は同心円形状に近い筋模様となる。放射形状又は同心円形状に近い筋模様の中心の位置は、座面の最も深い底の部位の付近となる。このようなツールマークは、ピストン式圧縮機が高速かつ高負荷の時や、凹球面形状の座面とシューとの間において潤滑油が少ないような時にも、座面あるいはシューの凸球面部の摩耗の回避に有利である。
好適な例では、前記第1工程は、前記座面の凹球面の球面中心と同心の円弧又は球面に沿った切削軌跡をもたらすように、前記切削刃物を回転させながら前記ピストンに対して前記切削刃物を相対移動させる工程である。
ツールマークが生成されたとすると、このときのツールマークは、放射形状に近い筋模様、又は同心円形状に近い筋模様となり、放射形状又は同心円形状に近い筋模様の中心の位置は、座面の最も深い底の部位の付近となる。
好適な例では、前記第1工程と前記第2工程とを同時進行させる。
この場合、第2工程におけるピストンと切削刃物との間の単位時間当たりの相対回動量〔(回動半径)×(単位時間当たりの回動角)(回動角はラジアン単位)〕は、第1工程におけるピストンと切削刃物との間の単位時間当たりの相対移動量よりも小さくする、又は大きくすることが望ましい。このような差は、ツールマークを目立たなくして座面の真球精度を高める上で有効である。
好適な例では、前記第1工程が完了した後、前記第2工程を行なう。
このような工程の組み合わせによっても、シューの凸球面部、あるいはピストンに形成される座面の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成を回避することができる。
本発明は、シューの凸球面部、あるいはピストンに形成される凹球面形状の座面の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成を回避できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図3は、可変容量型ピストン式圧縮機10を示す。シリンダブロック11、シリンダブロック11の前端に連結されたフロントハウジング12、及びシリンダブロック11の後端に連結されたリヤハウジング13は、可変容量型ピストン式圧縮機10の全体ハウジングを構成する。制御圧室121を形成するフロントハウジング12とシリンダブロック11とには回転軸14が回転可能に支持されている。制御圧室121から外部へ突出する回転軸14は、プーリ(図示略)及びベルト(図示略)を介して外部駆動源である車両エンジン(図示略)から駆動力を得る。
回転軸14には回転支持体15が止着されており、回転軸14にはカム体としての斜板16が回転軸14の軸方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。斜板16に止着されたガイドピン17の頭部は、回転支持体15に形成されたガイド孔151にスライド可能に嵌入されている。斜板16は、ガイド孔151とガイドピン17との連係により回転軸14の軸方向へ傾動可能かつ回転軸14と一体的に回転可能である。
斜板16の径中心部が回転支持体15側へ移動すると、斜板16の傾角が増大する。斜板16の最大傾角は回転支持体15と斜板16との接触によって規制される。図3の斜板16の実線位置は、斜板16の最大傾角位置を示す。斜板16の径中心部がシリンダブロック11側へ移動すると、斜板16の傾角が減少する。図3の斜板16の鎖線位置は、斜板16の最小傾角位置を示す。
シリンダブロック11に貫設された複数のシリンダボア111内にはピストン18が収容されている。ピストン18は、シリンダボア111内に嵌入される円柱形状の頭部19と、頭部19に連なるシュー保持部20とからなる。シュー保持部20は、頭部19に連なる第1受承壁21と、第1受承壁21に対向する第2受承壁22と、第1受承壁21と第2受承壁22とを連結する連結部23とからなる。斜板16の外周部は、第1受承壁21と第2受承壁22との間に入り込んでいる。斜板16のカム面161と第1受承壁21との間には半球形状のシュー24Aが介在されており、斜板16のカム面162と第2受承壁22との間には半球形状のシュー24Bが介在されている。
第1受承壁21と第2受承壁22との対向面211,221には凹球面形状の座面25,26が形成されている。シュー24Aの凸球面形状の凸球面部241は、座面25に摺接可能に嵌合しており、シュー24Aの平面形状の平坦部242は、斜板16のカム面161に面接触している。シュー24Bの凸球面形状の凸球面部241は、座面26に摺接可能に嵌合しており、シュー24Bの平面形状の平坦部242は、斜板16のカム面162に面接触している。凹球面形状の座面25の球面中心と凹球面形状の座面26の球面中心とは、一致させてある。座面25,26の球面中心Eoは、図1(f)及び図3に図示されている。
斜板16の回転運動は、シュー24A,24Bを介してピストン18の前後往復運動に変換され、ピストン18がシリンダボア111内を往復動する。
リヤハウジング13内には吸入室30及び吐出室31が区画して形成されている。吸入室30内のガス状の冷媒は、ピストン18の復動動作(図3において右側から左側への移動)により吸入ポート32から吸入弁33を押し退けて圧縮室112内へ吸入される。圧縮室112内へ吸入されたガス状の冷媒は、ピストン18の往動動作(図3において左側から右側への移動)により吐出ポート34から吐出弁35を押し退けて吐出室31へ吐出される。吸入室30と吐出室31とは、外部冷媒回路36で接続されている。外部冷媒回路36上には、冷媒から熱を奪うための熱交換器37、膨張弁38、周囲の熱を冷媒に移すための熱交換器39が介在されている。吐出室31の冷媒は、熱交換器37、膨張弁38及び熱交換器39を経由して吸入室30に流入する。
吐出室31と制御圧室121とは、供給通路27によって接続されている。又、制御圧室121と吸入室30とは、放出通路28によって接続されている。制御圧室121内の冷媒は、放出通路28を介して吸入室30へ流出する。
供給通路27上に介在された電磁式の容量制御弁29は、励磁状態では電流値が大きいほど弁開度が小さくなる方向へ変化する。制御圧室121内の冷媒は、放出通路28を介して吸入室30へ流出しており、この冷媒流出は、制御圧室121内の圧力を下がるように働く。従って、斜板16の傾角は、電流値に応じて大きくなって吐出容量が多くなる。容量制御弁29は、消磁によって弁開度が最大となる。従って、斜板16の傾角が最小となり、吐出容量が最小となる。
図1(a)は、座面25,26を形成するための加工装置40及びピストン支持装置43を示す。加工装置40は、駆動制御装置41とボールエンドミル42とからなり、駆動制御装置41は、ボールエンドミル42の回転及び移動を制御する。駆動制御装置41は、数値制御によってボールエンドミル42の移動を制御する。ボールエンドミル42は、回転軸線422を中心にして回転し、ボールエンドミル42が回転することによって生じる刃部421の回転軌跡の直径は、第1受承壁21と第2受承壁22との間の間隔よりも小さい。つまり、回転しているボールエンドミル42の刃部421は、第1受承壁21と第2受承壁22とに接することなく第1受承壁21と第2受承壁22との間へ挿入可能である。本実施形態では、ボールエンドミル42の回転軸線422は、ピストン18の中心軸線L2に対して直交しており、且つ形成しようとする座面25,26と交差しない。
ピストン支持装置43は、ピストン18の中心軸線L2を中心にしてピストン18を往復回動可能に支持する。ピストン支持装置43を構成する往復駆動装置431は、中心軸線L2を中心にしてピストン18を往復回動させる。
次に、座面25,26を加工形成する方法を説明する。
図1(a)に示すように、ピストン18は、固定されている。図1(a)に示すように第1受承壁21と第2受承壁22との間にボールエンドミル42の刃部421が配置され、ボールエンドミル42が回転される。回転するボールエンドミル42は、刃部421が図1(b)に示す最下位の鎖線位置、最下位より上の鎖線位置及び最上位の鎖線位置を経由するように、移動される。つまり、回転しながら移動する刃部421は、形成しようとする座面26に一致する仮想球面E〔図1(a)に図示〕の球面中心Eoと同心、かつ同一半径の円弧に沿った切削軌跡Dをもたらす。この切削軌跡Dは、ピストン18の中心軸線L2を含み、かつピストン18を左右対称に等分する平面H〔図1(c)に図示〕に含まれる。回転するボールエンドミル42は、切削軌跡Dをもたらすように、繰り返し往復される。
回転するボールエンドミル42が切削軌跡Dをもたらすように繰り返し往復される間、ピストン18は、図2(d),(e)に示すように中心軸線L2を中心にして往復回動される。ピストン18には連結部23があるため、ボールエンドミル42と連結部23とが接触しない範囲でピストン18を往復回動させる必要がある。ピストン18の回動角の範囲は、少なくとも−90°〜+90°〔ピストン18が図2(c)に示す回動位置にあるときを0°としている〕の範囲である。つまり、ピストン18の往復回動は、少なくとも半周分の往復回動である。本実施形態では、−(90°+β°)〜+(90°+β°)(β°>0°)の範囲にしてある。β°は、ピストン18の連結部23とボールエンドミル42とが接触しない範囲で設定されている。
ピストン18は、刃部421が切削軌跡Dの片道を全て辿る間に、中心軸線L2を中心にして回動角α°(>0)だけ回動される。つまり、刃部421が切削軌跡Dの片道を1回辿る間にピストン18が回動角α°だけ回動される。α°(所定の最小回動角)は、例えば1°〜20°の範囲で設定されている。
本実施形態では、ピストン18の往復回動の回数は、1回に設定されている。ピストン18の往復回動の開始位置は、例えば図2(c)に示す位置である。ピストン18は、図2(c)に示す回動開始位置から例えば図2(d)に示す側へ回動された後、図2(d)に示す位置から図2(e)に示す側へ反転回動され、次いで図2(e)に示す位置から図2(c)に示す位置へ反転回動して復帰される。ピストン18の1回の往復回動が完了すると、所望の座面26が得られる。図1(f)は、第2受承壁22の対向面221に所望の座面26が加工形成された状態を示す。ピストン18の中心軸線L2は、凹球面形状の座面26の球面中心Eoと、座面26の最も深い底の部位261とを通る。
所望の座面26が加工形成された後、座面25の形成が座面26の形成と同様に行われる。仮想球面Eは、座面26にも一致する。つまり、座面25,26の凹球面は、仮想球面Eに含まれる。ピストン18の中心軸線L2は、凹球面形状の座面25の球面中心Eoと、座面25の最も深い底の部位251とを通る。
第1受承壁21の対向面211は、座面25を形成する場所である被加工壁面であり、第2受承壁22の対向面221は、座面26を形成する場所である被加工壁面である。
ボールエンドミル42は、回転軸線422が座面25,26と交差しないように、回転される切削刃物である。ボールエンドミル42は、座面25,26の凹球面(仮想球面E)の球面中心Eoと同心の円弧に沿った切削軌跡をもたらす。切削軌跡Dをもたらすようにボールエンドミル42を移動させる工程は、座面25,26の凹球面の球面中心と同心の円弧(本実施形態では切削軌跡D)に沿った切削軌跡をもたらすように、ボールエンドミル42を回転させながらピストン18に対してボールエンドミル42を相対移動させる第1工程である。ピストン18の中心軸線L2を中心にしてピストン18を回動させる工程は、中心軸線L2を中心にして刃部421に対してピストン18を相対回動させる第2工程である。本実施形態では、第1工程と第2工程とが同時進行される。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)ボールエンドミル42によって切削形成された座面25,26にツールマークが生じた場合、このツールマークは、図2(a)に例示する放射形状、又は図2(b)に例示する同心円形状に近似する筋模様となる。放射形状又は同心円形状に近い筋模様の中心は、ピストン18の中心軸線L2上に略一致する。
シュー24A,24Bは、回転する斜板16の周速差の影響によって座面25,26上で回転したり、回転する斜板16の傾き方向が変わってゆくことによって揺動したりする。つまり、このような動きをするシュー24A,24Bの凸球面部241は、図2(a),(b)に例示するようなツールマークに摺接する。しかし、第1工程と第2工程との組み合わせによって切削形成された座面25,26上に生じたツールマーク〔図2(a),(b)に例示するようなツールマーク〕は、特定の方向に偏らない筋模様である。そのため、図2(a),(b)に例示するようなツールマークは、可変容量型ピストン式圧縮機10が高速かつ高負荷の時や、凹球面形状の座面25,26とシュー24A,24Bとの間において潤滑油が少ないような時にも、座面25,26あるいはシュー24A,24Bの凸球面部241の摩耗の回避に有利である。
つまり、シュー24A,24Bの凸球面部241(図3参照)、あるいはピストン18に形成される凹球面形状の座面25,26の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成が回避される。
(2)ボールエンドミル42を回転させながらピストン18に対してボールエンドミル42を相対移動させる第1工程と、刃部421に対してピストン18を相対回動させる第2工程とは同時進行される。第2工程におけるピストン18と刃部421との間の相対回動量〔回動半径×最小回動角(ラジアン単位でπ×α°/180°)〕は、第1工程におけるピストン18と刃部421との間の相対移動量(切削軌跡Dの長さ程度)よりも小さい。つまり、第2工程におけるピストン18と刃部421との間の単位時間当たりの相対回動量〔(回動半径)×(単位時間当たりの回動角)〕は、第1工程におけるピストン18と刃部421との間の単位時間当たりの相対移動量よりも小さい。単位時間当たりの相対回動量が単位時間当たりの相対移動量よりも小さいほど、座面25,26上の凹凸が小さくなり(ツールマークが目立たなくなり)、座面25,26の真球精度が高くなる。
(3)ピストン18の回動角の範囲は、−(90°+β°)〜+(90°+β°)〔ピストン18が図2(c)に示す回動位置にあるときを0°としている〕の範囲である。この範囲は、ボールエンドミル42と連結部23とが接触することなく、かつ凹球面形状の座面25,26の中心軸線L2を中心とした周方向へのボールエンドミル42による切削軌跡が半周分よりも大きくなる。ボールエンドミル42の刃部421の中心423が図1(b)において中心軸線L2よりも下側にあれば、前記半周分は、中心軸線L2よりも下側にあり、ボールエンドミル42の刃部421の中心423が図1(b)において中心軸線L2よりも上側にあれば、前記半周分は、中心軸線L2よりも上側にある。つまり、前記のような範囲の設定によれば、ボールエンドミル42と連結部23とが接触することなく、かつ凹球面形状の座面25,26の中心軸線L2を中心とした周方向へのボールエンドミル42による切削軌跡が1周分よりも大きくなる。前記のような範囲の設定は、ボールエンドミル42と連結部23とが接触することなく、かつ凹球面形状の座面25,26上における中心軸線L2を中心とした周方向へのボールエンドミル42による切削軌跡が確実に1周分となるようにする上で、望ましい。
(4)ピストン18の中心軸線L2を中心にしてピストン18自体を往復回動させる方法は、第2工程を遂行する上で簡便な方法である。
(5)ピストン18の回動中心は、ピストン18の中心軸線L2に一致しており、座面25,26の最も深い底の部位251,261は、ピストン18の中心軸線L2上に位置する。このような位置関係をもたらす座面25,26は、ピストン18をシリンダボア111内で円滑に往復動させる上で好ましい。
次に、図4(a),(b),(c),(d),(e),(f)に示す第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
図4(a),(b),(c)に示すように、回転軸44には一対の刃体45,46が延出可能に設けられている。回転軸44は、回転軸線441を中心にして回転可能であり、刃体45,46の延出方向は、回転軸線441に対して直交する方向である。刃体45,46は、回転軸44と一体的に回転する。刃体45,46は、回転しているときの刃先の回転軌跡によって図示されている。刃体45,46の刃先は、円弧形状であり、図4(b)に示すように、刃体45における円弧形状の刃先の円弧中心C1と、刃体46における円弧形状の刃先の円弧中心C2とを結ぶ線L1は、回転軸44の回転軸線441と直交している。刃体45,46の延出方向は、回転軸線441と直交する方向である。図4(a),(c)は、刃体45,46が退避位置にある状態を示し、図4(b)は、刃体45,46が延出位置にある状態を示す。刃体45,46は、退避位置と延出位置との間で切り換え配置可能である。
座面25,26の切削形成は、以下のように行われる。図4(a)に示すように、刃体45,46が退避位置にあるとき、刃体45,46は、線L1とピストン18の中心軸線L2とが一致するように、第1受承壁21と第2受承壁22との間に配置される。次に、回転軸44が回転している状態で刃体45,46が図4(a)に示す退避位置から図4(b)に示す延出位置に向けて延出される。刃体45,46が退避位置から延出位置に向けて移動している間、回転している刃体45,46は、座面25,26の凹球面の球面中心(仮想球面Eの球面中心Eo)と同心の球面に沿った球面形状の切削軌跡をもたらす。刃体45,46が延出位置に配置されたときには、球面形状の切削軌跡は、仮想球面Eに一致する。
回転している刃体45,46が延出位置に配置されると、回転軸44が回転している状態のもとに、回転軸44がピストン18の中心軸線L2を中心にして往復回動される。回転軸44の往復回動は、例えば図4(d),(e),(f),(d)の順に行われる。回転軸44の回動角の範囲は、少なくとも−90°〜+90°〔回転軸44が図4(d)に示す回動位置にあるときを0°としている〕の範囲である。回転軸44の往復回動の回数は、例えば1回である。回転軸44の往復回動が完了すると、座面25,26が同時に切削形成される。回転軸44の往復回動が完了した後、刃体45,46が延出位置から退避位置へ復帰される。図4(c)は、座面25,26が切削形成された状態を示す。
回転軸44及び刃体45,46は、座面25,26の凹球面(仮想球面E)の球面中心Eoと同心の球面に沿った切削軌跡をもたらす切削刃物を構成する。この切削刃物は、回転軸線441が座面25,26と交差しないように、回転される切削刃物である。
刃体45,46を退避位置から延出位置へ移動させる工程は、座面25,26の凹球面の球面中心と同心の球面に沿った切削軌跡をもたらすように、回転軸44(刃体45,46)を回転させながらピストン18に対して刃体45,46を相対移動させる第1工程である。ピストン18の中心軸線L2を中心にして回転軸44を回動させる工程は、ピストン18の中心軸線L2を中心にして刃体45,46に対してピストン18を相対回動させる第2工程である。
ツールマークが生じたとすると、このツールマークは、放射形状に近い筋模様、又は同心円形状に近い筋模様となる。放射形状又は同心円形状に近い筋模様の中心の位置は、座面25,26の最も深い底の部位251,261の付近となる。つまり、第2の実施形態においても、シュー24A,24Bの凸球面部241(図3参照)、あるいはピストン18に形成される凹球面形状の座面25,26の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成を回避することができる。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○第1工程によって座面を略形成した後、第2工程を行なうようにしてもよい。つまり、第1工程が完了した後、第2工程を行なうようにしてもよい。このような工程の組み合わせによっても、シュー24A,24Bの凸球面部241、あるいは座面25,26の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成を回避することができる。
○第1の実施形態では、第1工程と第2工程とを同時進行させたが、第1工程において円弧の切削軌跡Dに沿った片道1回分の切削又は往復1回分の切削を行なう工程と、この後に、第2工程において所定の最小回動角をもたらす相対回動を行なう工程との組み合わせを繰り返して座面25,26を形成するようにしてもよい。
○第1の実施形態において、ピストン18を高速で往復回動(少なくとも半周分の相対回動)させる第2工程と、ボールエンドミル42を低速で移動させる第1工程とを組み合わせてもよい。つまり、第2工程におけるピストン18と刃部421との間の単位時間当たりの相対回動量〔(回動半径)×(単位時間当たりの回動角)〕は、第1工程におけるピストン18と刃部421との間の単位時間当たりの相対移動量よりも大きくてもよい。例えば、ピストン18が半周分回動する間又は1回往復回動する間に、刃部421が切削軌跡Dに沿って僅かに(例えば1mm程度)移動するといった組み合わせを行えばよい。あるいは、ピストン18が半周分回動する間又は1回往復回動した後、ピストン18に対して刃部421を相対移動させてもよい。
この実施形態においても、シュー24A,24Bの凸球面部241(図3参照)、あるいはピストン18に形成される凹球面形状の座面25,26の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成を回避することができる。
○第1の実施形態において、仮想球面Eと同心であって仮想球面Eの半径よりも小さい半径の円弧の切削軌跡をもたらすようにボールエンドミル42を移動し、円弧の切削軌跡の片道又は1往復後に切削軌跡における円弧半径を少し大きくした円弧の切削軌跡をもたらすようにボールエンドミル42を移動するようにしてもよい。つまり、円弧の切削軌跡における円弧半径を段階的に大きくしてゆき、最終的に円弧の切削軌跡における円弧半径を仮想球面Eの球面半径に一致させるようにしてもよい。
○第1の実施形態において、ボールエンドミル42を移動させないで(ボールエンドミル42を固定して)ピストン18を移動して、座面25,26を切削形成するようにしてもよい。
○第1の実施形態において、ピストン18を往復回動させないで(ピストン18を固定して)、ピストン18の中心軸線L2を中心にしてボールエンドミル42を往復回動させるようにしてもよい。
○第1の実施形態において、ピストン18を往復させない回動であってもよい。例えば図1(d)の位置から図1(e)の位置へピストン18を回動させるだけでもよい。
○第1の実施形態において、刃部421以外のボールエンドミル42の部位が受承壁21,22に接触しない範囲で、ボールエンドミル42の回転軸線422をピストン18の中心軸線L2に対して傾けてもよい。
○第2の実施形態において、回転軸44を往復回動させないで(回転軸44を固定して)、ピストン18を往復回動させるようにしてもよい。
○固定容量型のピストン式圧縮機に用いるピストンに本発明を適用してもよい。
○前後に一対の頭部を備えた両頭ピストンに本発明を適用してもよい。
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
〔1〕前記第2工程において半周分の相対回動を行なう工程と、この後に、又は同時に、前記第1工程において前記円弧に沿った所定の最小相対移動量をもたらす相対移動を行なう工程との組み合わせを繰り返して前記座面を形成する請求項1に記載のピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法。
シュー24A,24Bの凸球面部241、あるいはピストン18に形成される凹球面形状の座面25,26の摩耗をもたらし易いタイプのツールマークの生成を回避することができる。
〔2〕前記ピストンの中心軸線を中心にして前記ピストンを往復回動させる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法。
ピストン18自体を往復回動させる方法は、第2工程を遂行する上で簡便な方法である。
〔3〕前記ピストンの中心軸線を中心にして前記ピストンを往復回動させるときの回動角の範囲は、少なくとも−90°〜+90°の範囲である前記〔2〕項に記載のピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法。
切削刃物(ボールエンドミル42)と連結部23とが接触することなく、かつ凹球面形状の座面25,26の中心軸線L2を中心とした周方向への切削刃物による切削軌跡が確実に1周分となるようにする上で、望ましい。
第1の実施形態を示し、(a)は、側面図。(b)は、部分側断面図。(c),(d),(e)は、ピストン18の往復回動を説明する部分断面図。(f)は、座面25,26が切削形成された状態を示す部分側断面図。 (a),(b)は、ツールマークの例を示す斜視図。 可変容量型ピストン式圧縮機の全体側断面図。 第2の実施形態を示し、(a)は部分側面図。(b)は、刃体45,46が延出位置にある状態を示す部分側断面図。(c)は、刃体45,46が退避位置にあり、座面25,26が切削形成された状態を示す部分側断面図。(d),(e),(f)は、回転軸44の往復回動を説明する部分断面図。
符号の説明
10…可変容量型ピストン式圧縮機。16…カム体としての斜板。161,162…カム面。18…ピストン。21…第1受承壁。22…第2受承壁。211,221…被加工壁面としての対向面。24A,24B…シュー。241…凸球面部。25,26…座面。251,261…底の部位。42…切削刃物としてのボールエンドミル。422…回転軸線。44…切削刃物を構成する回転軸。441…回転軸線。45,46…切削刃物を構成する刃体。L2…回動軸線としての中心軸線。D…円弧形状の切削軌跡。H…平面。E…球面形状の切削軌跡に一致する仮想球面。

Claims (4)

  1. 凸球面形状の凸球面部を備えた一対のシューの凸球面部がピストンに形成された凹球面形状の一対の座面に嵌合されていると共に、前記シューがカム体のカム面と前記ピストンとの間に介在されており、前記カム体が回転して前記ピストンが往復動することによりガスが圧縮されるピストン式圧縮機に用いるピストンであって、前記凹球面形状の座面を形成する場所である前記ピストンの受承壁の被加工壁面に切削刃物を用いて前記座面を形成するピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法において、
    前記切削刃物の回転軸線が前記座面と交差しないように前記切削刃物を回転させながら、前記座面の凹球面に沿った切削軌跡をもたらす第1工程と、
    前記ピストンの中心軸線を中心にして、前記切削刃物と前記ピストンとのうちの一方を他方に対して回動させる第2工程とを含み、
    前記第1工程と前記第2工程とを組み合わせて前記座面を形成するピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法。
  2. 前記第1工程は、前記座面の凹球面の球面中心と同心の円弧又は球面に沿った切削軌跡をもたらすように、前記切削刃物を回転させながら前記ピストンに対して前記切削刃物を相対移動させる工程である請求項1に記載のピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法。
  3. 前記第1工程と第2工程とを同時進行させる請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法。
  4. 前記第1工程が完了した後、前記第2工程を行なう請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のピストン式圧縮機に用いるピストンの加工方法。
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KR102672802B1 (ko) * 2023-10-10 2024-06-05 나은선 사판식 또는 사축식 유압펌프나 유압모터용 피스톤부재 제작방법 및 그 방법에 사용되는 피스톤 프레스장치

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