JP2007044691A - 撥水性薄膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高品質な撥水性薄膜を大量に安定的に得られる撥水性薄膜の形成方法を提供する。
【解決手段】撥水性薄膜形成用塗布液を基体(ガラス)4表面に滴下した後、弾性体(スキージ)1により基体表面に余剰に塗り広げ、乾燥し、次いで、該塗布液の余剰分を取り除く。
【選択図】図2

Description

本発明は、撥水性薄膜形成用塗布液をガラス等の表面に塗布し、撥水性薄膜を形成する方法に関する。
従来、撥水性薄膜の形成方法は、撥水性薄膜形成用塗布液を紙等に付着させて処理液を基体上に塗り広げ、そのまま、外観上問題がない透明状態となるまで紙等を取り替えつつ拭いていた。
この方法では、少量、小面積では問題ないが、多量、大面積では、多大の手間と時間を要するうえ、塗布程度(量、強さ、時間等)にバラツキが多く、結果として外観上のムラ、性能面のバラツキが多く大量生産には不適であった。さらに、機械化を図るに際しても、撥水性薄膜形成用塗布液を付着させる紙等を工程途中で頻繁に交換する必要があり、機械化は難しかった。
すなわち、従来方法における問題点は、主として以下の3点である。
1)撥水性薄膜形成用塗布液を紙等に付着させて塗り込むため、その液量、塗り込み時間、塗り込み回数、押さえつける力(塗りつける力)等の均一化、自動化が難しく、人手によるため接触角(基体に対する水の接触角)のバラツキがあり、結果として大量の処理には向いていない。
2)撥水性薄膜形成用塗布液の蒸発性を良くすると、短時間で処理できるが、処理できる面積が小面積となり、大面積に対応するにはその小さな面積単位での処理を組み合わせる必要がある。蒸発性を悪くすると一度に大面積を処理できる一方、仕上げまでに多くの時間を要する、塗布液を薄く伸ばしすぎる、拭き取りすぎて膜厚を薄くし性能が不充分となる、などの不具合があった。
3)上記の改善のため機械化を検討する場合、塗り込みの途中での紙等の取り替えを要し、ロボット等による機械化は仕様等が複雑になり難しい。紙等を交換せず、同一品で実施すると仕上げ時間が徐々に延び、また、古い撥水性薄膜形成用塗布液が蓄積され、性能が低下する。
本発明は、高品質な撥水性薄膜を大量に安定的に得られる撥水性薄膜の形成方法の提供を目的とする。
本発明は、曲面形状を含む基体表面にペルフルオロ化基含有シラン化合物を含む撥水性薄膜形成用塗布液を用いて膜厚5〜60nmの撥水性薄膜を形成する方法であって、撥水性薄膜形成用塗布液を基体表面に供給した後、弾性体により基体表面に塗り広げることにより、撥水性薄膜形成用塗布液を基体表面に塗し、その後乾燥する塗布工程と、その後にペルフルオロ化基含有シラン化合物の余剰分を溶解できる溶剤により、該余剰分を除去する余剰分除去工程とを有することを特徴とする撥水性薄膜の形成方法を提供する。
従来、塗布工程と拭き取り(仕上げ)工程を同時に手作業で実施していたため、熟練が必要であったうえに、撥水液量、擦り付ける回数、強さ、紙等の交換頻度等のバラツキが避けられなかった。本発明においては、塗布工程と拭き取り工程を分離し、一定に塗り、一定に余剰分を取ることとしたため、各工程を自動化(ロボットによる)でき、機械化による量産が可能となり、高品質な撥水膜を大量に安定的に得られるようになった。また、品質も安定し、1枚あたりの処理時間も従来の手作業で15〜20分要していたものが5分となり、大幅に短縮された。
本発明の特徴は、ペルフルオロ化基含有シラン化合物を含む撥水性薄膜形成用塗布液(以下、単に撥水液という)を塗布した後乾燥し、その後にペルフルオロ化基含有シラン化合物の『余剰分』を拭き取ることである。ペルフルオロ化基含有シラン化合物の『余剰分』(以下、単に余剰分という)とは反射色ムラや透過ヘイズを発現させている部分のことであり、したがって、色ムラやヘイズが消えるところまで拭き取ることが重要である。
本発明においては、基体(基体上にあらかじめ膜が形成されている場合はその膜材料)と反応するペルフルオロ化基含有シラン化合物を用いる。本発明は、撥水液を基体表面に余剰に塗布し、乾燥させて、その後、余剰分(未反応で付着されない分)を除去する。
撥水液を塗布する基体としては、ガラス、金属、セラミックス、樹脂、またはそれらが表面処理された基体などが挙げられる。特に、ガラス、および各種表面処理されたガラスが好ましい。その理由は、ペルフルオロ化基含有シラン化合物が基体表面の水酸基と化学反応して強固に結合し、反応しない余剰のペルフルオロ化基含有シラン化合物を後から拭き取ることで、均一でムラのない透明な撥水性薄膜(以下、単に撥水膜という)を形成することが重要であり、基体表面に活性な水酸基を有することが好ましいからである。例えば、基体にあらかじめSiO2からなる層を形成しておき、そのSiO2からなる層の上に撥水液を塗布しうる。また、基体の形状は、平面のみならず、曲面形状を含
本発明における撥水液は、撥水膜を形成する化合物(ペルフルオロ化基含有シラン化合物とペルフルオロ化基含有シラン化合物を適宜溶解または希釈しうる有機溶剤を含有する。
ルフルオロ化基含有シラン化合物は、ガラスなどの表面のシラノール基(−Si−OH)と化学的に結合するために、−Si−OR、−Si−Cl、−Si−NCOなどの加水分解可能な反応基を有する。
ここで、ペルフルオロ化基含有シラン化合物を用いるのは、基体の表面にあるシラノール基とペルフルオロ化基含有シラン化合物の加水分解性反応基が化学的に結合してシロキサン結合(Si−O−Si)を形成でき、撥水性能の耐久性が発現できるからである。
本発明におけるペルフルオロ化基含有シラン化合物としては、ペルフルオロ化基を含有するクロロシラン、アルコキシシラン、およびイソシアネートシランから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。ペルフルオロ化基含有シラン化合物としては以下のものが例示できる。以下において、Rfは炭素数4〜16のペルフルオロアルキル基、Meはメチル基、Etはエチル基、mは1以上の整数、nは4〜16の整数である。
Rf(CH22SiCl3
Rf(CH22SiMeCl2
(RfCH2CH22SiCl2
Rf(CH22Si(OMe)3
RfCONH(CH23Si(OEt)3
RfCONH(CH22NH(CH23Si(OEt)3
RfSO2NMe(CH22CONH(CH23Si(OEt)3
Rf(CH22OCO(CH22S(CH23Si(OMe)3
Rf(CH22OCONH(CH23Si(OEt)3
Rf(CH22NH(CH22Si(OMe)3
Rf(CH22NH(CH22Si(OCH2CH2OMe)3
CF3CF2CF2O[CF(CF3)CF2O]m
−CF(CF3)CONH(CH23Si(OMe)3
Rf(CH22Si(NCO)3
Cl3Si(CH22(CF2n(CH22SiCl3
Cl2MeSi(CH22(CF2n(CH22SiMeCl2
(MeO)3Si(CH22(CF2n(CH22Si(OMe)3
(MeO)2MeSi(CH22(CF2n(CH22
−SiMe(OMe)2
(OCN)3Si(CH22(CF2n(CH22Si(NCO)3
(OCN)2MeSi(CH22(CF2n(CH22
−SiMe(NCO)2
ペルフルオロ化基含有シラン化合物としてはこれらを加水分解した縮合体でもよく、ペルフルオロアルキル基がエーテル結合を有するシラン化合物でもよい。また、前述したペルフルオロ化基含有シラン化合物の2種以上を適宜選択して共縮合体として用いてもよい。さらに、前述したペルフルオロ化基含有シラン化合物に他のシラン化合物を加え、混合物として用いてもよい。
特に好ましいのは、常温硬化型であるRf(CH22SiCl3、Rf(CH22Si(NCO)3などである。アルコキシシランは加熱により脱水縮合して強固なシロキサン結合を形成するが、クロロシランやイソシアネートシランは常温でガラスなどの表面の水酸基と強固に結合でき、加熱プロセスが必要なく取扱いが容易で工業的に使用する場合に適するからである。
撥水液中のペルフルオロ化基含有シラン化合物の濃度は、撥水膜形成時の作業性、安定性、撥水膜の膜厚、経済性を考慮して決定される。特に、ペルフルオロ化基含有シラン化合物の固形分換算で撥水液全重量に対して0.2〜12重量%が好ましい。0.2重量%未満では充分な撥水性能が得られず、12重量%超では基体表面に必要以上に多くペルフルオロ化基含有シラン化合物が残りその後の拭き取りに長時間を要し、かつ拭き取るペルフルオロ化基含有シラン化合物が多くなり工業的に無駄である。
本発明において、撥水液中に含有される有機溶剤としては、酢酸エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ケトン類、エーテル類等が挙げられる。ただし、ペルフルオロ化基含有シラン化合物として、Rf(CH22Si(NCO)3などのイソシアネート基を有する化合物を用いる場合には、反応性官能基(水酸基など)を有している有機溶剤は、イソシアネート基と反応するため望ましくない。なお、イソプロピルアルコール(IPA)などの反応性の低い官能基を有する有機溶剤は使用できる。有機溶剤は1種に限定されず、2種以上を混合して使用することもできる。
炭化水素系溶剤を使用した場合は撥水液塗布直後にハジキが生じることがあるが、これは基体表面にペルフルオロ化基含有シラン化合物が反応して撥水膜を形成する一方でまだ乾燥していない撥水液自身をはじくために発生する。この場合、はじかれた部分の撥水膜の膜厚が単分子膜以上形成されるように、撥水液の濃度と溶剤の蒸発速度を調節する。また、この場合、ハジキによって発生した膜厚ムラが3μm以下になるようにすることが好ましい。
このような観点からは、有効成分としてRf(CH22Si(NCO)3を用いる場合、有機溶剤としては、酢酸エステル系溶剤が好ましく、具体的には酢酸ブチルや酢酸エチルが好ましい。
また、フッ素系溶剤を用いた場合は、蒸発速度を調節することで塗布時のハジキがなくなり、平滑な乾燥撥水膜が形成できる。
撥水液塗布時の膜厚は、最も薄い部分で1μm以上、厚い部分で10μm以下が好ましい。さらには塗布する基体全面に対して均一に3μm程度で塗布できることが好ましい。1μm未満では充分な撥水性能が得られず、10μm超では拭き取りに要する時間が長くなる。塗布する基体面内に3μm以上の膜厚ムラが存在すると、その後の拭き取りにムラが生じて面内均一な拭き取りが難しくなる。
撥水液の塗布手段としては、従来よりある種々の方法、例えば、ディップコート、スピンコート、スプレーコート、カーテン(フロー)コート、ダイヘッドコート、ブレードコート、ワイプコート、スキージコートなどが挙げられる。スキージコート法は、大面積の基体に少量の液量でかつ曲面を持った基体の片面のみにマスキングなしで短時間で容易に塗布でき、また、常温硬化型のペルフルオロ化基含有シラン化合物を含む撥水液を撥水液の劣化なく連続して基体に供給でき、たとえ撥水液が高価であっても必要最少液量で低コストで処理できるので、特に好ましい。
撥水液の塗布厚さを確保するために、弾性体、特に板状弾性体使用する。すなわち、塗布工程において、撥水液を基体表面に滴下した後、弾性体により基体表面に塗り広げることが好ましい。弾性体の材質としては、ゴム、発泡体、布等が使用でき、撥水液をある程度吸収し、液を均一に広げやすい点で発泡体が好ましい。具体的には、スポンジスキージが好適である。スポンジスキージのような発泡体を用いれば、塗布を行う基体面が、曲率半径が1000mm以下である曲率を有していても追従できる。さらに、曲率半径が小さい場合はスキージ自体に曲率を持たせてもよい。
発泡体は、撥水液に耐え、連続気泡を有し(そうであれば液の吸収がよい)、平滑であることが好ましく、材質としては、ポリウレタンやポリエチレンが好ましい。溶剤として酢酸ブチルを用いた場合は、ポリエチレン製を用いることが好ましい。
なお、独立気泡のスポンジでもその先端にスリットおよび/または孔をあける等をして撥水液を吸収しやすくすることにより不具合なく塗布できる。具体的な例として、図5に示すように、スキージの下面から高さ方向に1〜15mmのスリット(切り込み)6を数本入れたり、また、スキージの下方に厚さ方向(塗布方向)に0.1〜1mm程度の孔7(好ましくは貫通孔)をあけたりすることで、毛管現象によりスポンジに液を吸収させうる。スリット6は、長さ方向に対して平行方向(塗布方向に対して直角方向)に入れることが好ましい。孔7は、スキージの下方約3〜5mmのところに、相互に平行に、千鳥配置されることが好ましい。
塗布後に厚さムラをおこさないかぎりは、スリット6や孔7の本数、大きさ、デザインは特に制約されない。
撥水液塗布後のペルフルオロ化基含有シラン化合物と基体表面との反応は、通常乾燥させることで行う。乾燥時間は1分〜75時間が好ましい。1分未満では希釈溶剤の蒸発乾燥が充分ではなくペルフルオロ化基含有シラン化合物の基体への結合反応が充分得られず、75時間超では逆にペルフルオロ化基含有シラン化合物の反応が進みすぎその後の拭き取りが容易でなくなる。特に、常温硬化型のペルフルオロ化基含有シラン化合物を用いる場合は、1〜25時間が好ましい。
撥水液塗布後の乾燥温度は、室温〜300℃が好ましい。室温より低いと基体への結合反応が進行せず反応に長時間を要する。300℃より高いとペルフルオロ化基含有シラン化合物が徐々に分解して撥水性が低下する。特に常温硬化型のペルフルオロ化基含有シラン化合物を用いる場合は、室温〜200℃が好ましい。
余剰分の除去(拭き取り)は、色ムラが消え、ガラス等の基体本来の透明性が発現できるところまで行う。撥水性を発現するには、理論的には、膜厚は単分子以上あればよい。また、これに撥水膜の耐久性、経済的効果を考慮すると2μm以下が好ましい。例えば、加熱硬化型のペルフルオロ化基含有シラン化合物を用いた場合は撥水液の拭き取り後の膜厚は5〜60nm、常温硬化型のペルフルオロ化基含有シラン化合物を用いた場合も5〜60nm、であることが好ましい。
余剰分の除去(拭き取り)方法としては、デンプン等の、余剰分を吸着できる粉体を、撥水液を塗布した面上に散布し、その後この粉体を取り除くことにより、撥水液の余剰分を除去する方法も採用できる
しかし、本発明においては、ペルフルオロ化基含有シラン化合物の余剰分を溶解できる溶剤により、余剰分を溶解除去する方法好ましい。その理由は、未反応のペルフルオロ化基含有シラン化合物のみを溶解させて化学的に拭き取ることは、機械的に拭き取る場合に比べ、平滑、均一で、高い表面フッ素濃度にて仕上げることが容易な場合があるからである。具体的には、余剰分を溶解可能な溶剤を含ませた紙、布、発泡体等で塗布された表面を触って(擦って)、余剰分を紙、布、発泡体等に溶解、吸収させるようにする。この除去(拭き取り)方法によれば、粉等の飛散がなく、また、コスト的にも安価である。
かかる溶剤としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンエステル類、エーテル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、エステルエーテル類、フロン類などの溶剤を使用できる。特に低級アルコールが好ましい。さらに、溶解性、拭き取り時の乾燥速度が最適で、かつ、安全性とコストの点からIPAが好ましい。
参考例
高さ方向に曲率半径1000mmの曲率を有するフロントドアガラス上に、以下のようにして撥水膜を形成した。
ペルフルオロ(2−n−ブチルテトラヒドロフラン)(沸点100℃、比重1.77)中に、有効成分であるフルオロアルキルシリルイソシアネート(C81724Si(NCO)3)を4重量%(有効成分の固形分濃度換算)含む撥水液をガラス表面に滴下後、発泡ポリウレタン製板状スポンジスキージを用いて、ガラス表面にスポンジを押し込む程度で走行させた。
図1は、撥水液塗布時のスキージの状態を示す側面図である。1はスキージ、2はホルダー、3は撥水液、4は基体(ガラス)を示す。図2は、塗布工程におけるスキージの軌跡を示す平面図である。スキージの長さは300mmであるが、それ以上の幅の塗布は10〜20mm重ねて走行させた。またその重なり部(境界部)に撥水液(インク)のたまりが目立つようであればさらにもう一度インクを出さずに走行させるとインクだまりが軽減された。
本例では、図2に示すように、4回の塗布により、ガラス全体に撥水液を塗り広げた。撥水液の供給はスキージ手前に位置したノズルで行った。スキージ両端各10mm内を除き、その間に液量を0.5〜5ccでスキージよりはみ出さないようにコントロールした。
なお、前記のスポンジスキージによる撥水液塗布において、インクの量を最小限とし、スキージより液のはみ出し(インクのたまり)がない程度に液量をコントロールした結果、3回の塗布により、ガラス全体に撥水液を塗り広げることもできた。
前記のように塗布し、25℃で、60分間乾燥後、余剰分除去工程として、デンプンの粉体(粒径は数十nm)を、撥水液を塗布した面上に散布し、200mmφの回転ブラシ(PVC製、毛の長さ40mm、毛の太さ0.2mm)により、この粉体を除去した。あまり回転が速いとブラシ進行方向の粉を周辺にまき散らし仕上げ能力が低下するため、ブラシの回転速度は200rpm以下とし、拭き取りの程度によって、50〜200rpm程度で回転させた。粉体をブラシ中央に導くように、ブラシを進行方向に対して約5〜10度傾け、ガラス上で5〜15mm押し込んだ状態で走行させた。
図3は、余剰分除去工程におけるブラシの状態を示す側面図である。5はブラシを示す。図4は、余剰分除去工程におけるブラシの軌跡を示す平面図である。以上のようにして、透明で均一な撥水膜が形成された。膜厚は10〜30nmであった。
また、本例で用いた発泡ポリウレタン製板状スポンジスキージは、撥水液をよく吸収する。したがって、液の供給がばらついたりしても比較的均一に塗布でき、また、ガラスエッジ部でも均一に塗布できる。
[例
酢酸n−ブチル(沸点126℃、比重0.87)中に、有効成分であるフルオロアルキルシリルイソシアネート(C81724Si(NCO)3)を7重量%(有効成分の固形分濃度換算)含む撥水液を用い、発泡ポリエチレン製板状スポンジスキージを用いた以外は、参考例と同様にして、フロントドアガラス上に撥水液を塗り広げ、乾燥した。余剰分除去工程として、参考例のデンプンの粉体を用いた方法に代えて、IPAをしみ込ませたタオルを用い、数回擦ることで『余剰分』を拭き取った。なお、IPAは、霧吹きを使ってタオルへ吹きかけてしみ込ませた。このしみ込ませ方法により、IPAは均一にタオルにしみ込んだ。しみ込み量は、タオル地30cmあたり1〜3cc程度であった。『余剰分』を拭き取った結果、透明で均一な撥水膜が形成された。膜厚は10〜30nmであった。また、作業性も良好であった。
また、本例で用いた発泡ポリエチレン製板状スポンジスキージは、撥水液の吸収量は少量であり、その結果、使用量も少なくなる。そして、『余剰分』が少なくなるので拭き取りは短時間で行うことができる。
参考例における撥水液塗布時のスキージの状態を示す側面図。 参考例の塗布工程におけるスキージの軌跡を示す平面図。 参考例の余剰分除去工程におけるブラシの状態を示す側面図。 参考例の余剰分除去工程におけるブラシの軌跡を示す平面図。 本発明で用いるスポンジスキージの一例を示す(a)斜視図および(b)側面図。
符号の説明
1:スキージ
2:ホルダー
3:撥水液
4:基体
5:ブラシ
6:スリット
7:孔

Claims (5)

  1. 基体表面に撥水性薄膜形成用塗布液を用いて撥水性薄膜を形成する方法であって、撥水性薄膜形成用塗布液を基体表面に余剰に塗布する塗布工程と、その後に撥水性薄膜形成用塗布液の余剰分を除去する余剰分除去工程とを有することを特徴とする撥水性薄膜の形成方法。
  2. 塗布工程において、撥水性薄膜形成用塗布液を基体表面に滴下した後、弾性体により基体表面に塗り広げる請求項1記載の撥水性薄膜の形成方法。
  3. 余剰分除去工程において、撥水性薄膜形成用塗布液の余剰分を吸着できる粉体を、撥水性薄膜形成用塗布液を塗布した面上に散布し、その後、この粉体を取り除くことにより、撥水性薄膜形成用塗布液の余剰分を除去する請求項1または2記載の撥水性薄膜の形成方法。
  4. 粉体がデンプンおよび/またはセルロースを含む粉体である請求項3記載の撥水性薄膜の形成方法。
  5. 余剰分除去工程において、撥水性薄膜形成用塗布液の余剰分を溶解できる溶剤により、撥水性薄膜形成用塗布液の余剰分を溶解除去する請求項1または2記載の撥水性薄膜の形成方法。
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