JP2007041491A - 中間転写体、及び該中間転写体を用いた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】中間転写体と該中間転写体の帯電電荷を除電する除電手段とを備えることで、ライン画像が中抜けする画像欠陥(ホロキャラクター)やトナーの飛び散り(ブラー)による画質欠陥の発生を抑制する。
【解決手段】少なくとも、基材110と該基材上に設けられた光導電層130とを有し、像担持体との接触面の表面微小硬度が1〜10度であることを特徴とする中間転写体100。像担持体と、該像担持体と接触する前記中間転写体と、該中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材ヘと転写した後に、当該中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に用いられる中間転写体、及び該中間転写体を用いた画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、無機又は有機材料からなる光導電性感光体からなる像担持体表面に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を中間転写体を介して、或いは、直接、記録紙等の記録材に静電的に転写し、そして、転写されたトナー像を記録材に定着することにより所要の再生画像が得られる。
特に、前記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、更に、中間転写体上のトナー像を記録材に二次転写する方式を採用した画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
前記中間転写体方式を採用した画像形成装置において、中間転写体に用いられる材料としては、高分子材料中にカーボンや金属化合物等のフィラーを導電剤として分散させたものが用いられている。ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアルキレンフタレート、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料等の熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトを用いる提案がなされている(例えば、特許文献2〜7参照。)。また、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド系樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献8及び9参照。)
前記した、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂、及びポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いた中間転写ベルトは、通常、そのベルトの微小表面硬度が10度を越えるものであり、バイアスローラ(転写ローラ)を用いて記録紙を押圧し、電界を印加してトナー像を静電的に転写する1次転写部位において、バイアスローラによる押圧力による変形が少ないので、バイアスローラによる押圧力が集中する。このため、1次転写部位においては、トナーが凝集し、電荷密度が高くなることによってトナー内部にて放電が起こり、トナー極性が変化する等の原因によって、ライン画像が中抜けする画質欠陥(ホロキャラクター)を発生させる問題があった。
一方、上記の中間転写ベルトを含む中間転写体の体積抵抗率とトナー像の画質との間には、下記に示すような密接な関係があることが知られている。
(中間転写体の体積抵抗率ρvが低い場合)
中間転写体の体積抵抗率ρvが低すぎる(ρv<108Ωcm)場合、転写時のトナーの飛び散りが著しく発生し画質が低下することが知られている(例えば、特許文献10参照。)。中間転写体の体積抵抗率が低すぎる場合、1次転写ロールによる転写電界と転写電流の作用で、トナー層のない領域に転写電界が印加され易くなるために転写領域が広がり、その作用によってトナーが飛び散って転写されてしまうためと考えられる。
(中間転写体の体積抵抗率ρvが中間の場合)
現在実用化されている画像形成装置の中間転写体は、体積抵抗率ρvが中間値(108Ωcm≦ρv≦1014Ωcm)のものが使用されている。このような画像形成装置は、中間転写体の半導電性により、帯電電荷が適当に減衰する。すなわち、中間転写体の体積抵抗率の平均値は、帯電電荷が適当に減衰する範囲(体積抵抗率が適切な範囲)に有るので、除電部材を使用せずに連続して画像形成を行うことができる。
ところが、前記中間転写体の体積抵抗率の平均値が前記適切な範囲(帯電電荷が適当に減衰する範囲)にあったとしても、このような中間転写体においては、前記した、1次転写ロールによる転写電界と転写電流の作用で、トナー層のない領域に転写電界が印加され易くなるために転写領域が広がり、その作用によってトナーが飛び散って転写されてしまう問題が発生する場合がある。また、近年の高品質の転写画質を得るために、トナーは、小径の球状トナーを用いる傾向にあり、トナーが、小径化、球状化されることで、転写電界によって、容易にトナーが移動し易いためにトナーが飛び散ってしまう問題が発生する問題が起き易い。更に、上記のような中間転写体においては以下の問題がある。
すなわち、カーボンや金属化合物などのフィラーを高分子樹脂に分散した場合には、フィラーの分散状態に起因する中間転写体内の抵抗バラツキが約1桁以上と大きいこと、フィラーとフィラー間の微少な高分子樹脂部の絶縁破壊や通電によるフィラーの再配列などによる中間転写体の低抵抗化が経時で起こることなどである。このように、印刷を繰り返すと、経時的に中間転写体の体積抵抗率が、部分的に或いは全体的に良好な体積抵抗率の幅から外れ、画像品質を低下させるという問題があった。
(中間転写体の体積抵抗率ρvが高い場合)
中間転写体の体積抵抗率ρvが高い(ρv>1014Ωcm)場合には、トナー画像領域における中間転写体の電荷保持性が増加し、転写に必要な電界を適切にトナーへ印加することができる。一方、隣接する非画像部の中間転写体表面及び内部の電荷移動は減少するため、1次及び2次転写においてこの領域へのトナー転写が起こり難くなる。このことにより、中間転写体の体積抵抗率が高い場合には、トナーの飛び散りが少なく良好な画質のトナー形成像が得られる。しかし、この場合はトナー転写後に中間転写体に蓄積した電荷を除電する工程が必要となり、除電工程で中間転写体を均一に除電することが困難なため、現在、実用化されていない。実用化されていない理由は次のとおりである。
前記除電工程を設ける場合には除電部材としてコロトロン又は除電ロール等を用いることが容易に想定される。前記除電部材として除電ロールを使用して中間転写体の除電を行う場合、ACバイアス電圧を印加した除電ロールを使用することが考えられる。
この場合、中間転写体表面及び除電ロール表面には凹凸等があるため、回転移動する中間転写体全表面を前記アースした除電ロールに接触させることは不可能である。そして、除電ロールに接触しない中間転写体部分は中間転写体の体積抵抗率が高い状態では除電され難い。すなわち、前記中間転写体の体積抵抗率が高い場合には、前記中間転写体が除電部材を通過する短い時間で中間転写体全表面を確実に除電することは難しいという問題点がある。中間転写体表面に除電ムラが発生した場合には、次の画像形成時に中間転写体表面に1次転写されるトナー像に除電ムラに応じた濃度ムラが発生するという問題点がある。
また、放電による除電工程であるため高価な除電用高圧電源が必要になるという問題点もある。
更に、前記コロトロンを用いた除電では、多量のオゾンの発生、コロトロンへの付着物の付着による除電ムラに基づく画質欠陥の発生、NOxやO3、その他オゾン反応生成物等の放電生成物の中間転写体への付着、等の問題点がある。
前述のように体積抵抗率ρvが1014Ωcmを越える高抵抗率の中間転写体を使用した場合には、2次転写終了後に除電を行う除電部材が必要となり、特に、体積抵抗率ρvの値が高くなる程、除電部材を使用しても中間転写体の全表面を均一に除電することが困難となる。したがって、転写作用のみを考えると中間転写体の体積抵抗率が高い方が有利であるにもかかわらず、高抵抗率の中間転写体は、除電工程を必要とし且つ均一に除電することが困難であったために、従来は体積抵抗率ρvがρv>1014Ωの高抵抗率の中間転写体を使用した画像形成装置は実用化されていなかった。
また、従来の画像形成装置において物理的刺激を付与すると体積抵抗率が低下する中間転写体を使用したものとして、下記の技術(1)〜(3)が知られている(例えば、特許文献11〜13参照。)。
なお、(1)〜(3)において、抵抗値が低下する中間転写体を使用する理由は、(1)では、特殊な方法で1次転写した中間転写体を2次転写前に除電するためであり、(2)及び(3)では、中間転写体の抵抗値低下を利用して2次転写を行うためである。すなわち、(1)〜(3)はいずれも特殊な転写を行うために、抵抗値が低下する中間転写体を使用した画像形成装置であって、通常の転写電界により転写を行う画像形成装置とは全く異なる技術である。また、(1)〜(3)はいずれも、アイデア技術であり、実用化されている技術ではない。しかも、次に説明するような問題点がある。
(1)特許文献11の記載の技術
ここで、図6及び図7は、特許文献11である特開平7−146616号公報記載の技術の説明図である。図6において、Q1は1次転写領域、Q2は2次転写領域を示し、01a,01b(図6(B)参照)は、それぞれ、ブランケット(中間転写体)01(図6(A)参照)の表面層のカーボンを混入した導電ゴム層01a、電荷発生剤を混入したシリコンゴム層01bを示す。図6(C)において、中間転写体として光導電性を有するブランケット01を用い、このブランケット01表面をトナーの帯電極性(−)とは逆の極性(+)に帯電させる。図6(D)において、前記帯電電荷による静電気力によって感光体ドラム02からブランケット01へトナーを1次転写する。図6(E)において、1次転写後で且つ2次転写前に光Lをブランケット01及びその表面の1次転写トナー像に照射し除電する(図7(A)参照)。図6(F)において、除電によりブランケット01表面及びトナー間の結合力を弱まるので、2次転写が光照射により容易に行える。
しかし、この方式では図7(B)に示すように、感光体ドラム02上からブランケット01への1次転写が行われる前段階として中間転写体ブランケット01表面を感光体ドラム02上のトナー帯電極性と逆の極性に帯電させるため、1次転写前領域でのトナー転写が発生し、画像の乱れ、にじみ等による画質の劣化を防止することができない。
次に、複数色のトナーによるカラー画像を多重転写する装置に適用した場合に生じる問題点について説明する。図7(C)において、1色目のトナーを中間転写体ブランケット01に1次転写した後、2色目のトナーの1次転写に備えてブランケット01上にある1色目のトナーを、感光体ドラム02上にあるトナー帯電極性と逆極性に帯電させ、感光体ドラム02上のトナーをブランケット01に転写することとなる。この時、感光体ドラム02上のトナーを転写するのに充分な転写電界が感光体ドラム02とブランケット01間に印加されているため感光体ドラム02上にある2色目のトナーはブランケット01へ転写する。これとは逆にブランケット01上にある逆極性となった1色目のトナーは感光体ドラム02へ転写してしまう(図7(D)参照)こととなる。
したがって、この(1)に記載の中間転写体(ブランケット01)を、カラー画像を多重転写する装置に適用した場合、良好な画質のカラー画像を多重転写を用いて得ることは非常に困難である。
(2)特許文献12に記載の技術
ここで、図8は特許文献12である特開平5−257398号公報記載の技術の説明図である。この公報では、図8(A)及び図8(B)に示されるように、転写前領域での転写を防止することを目的とし、図8(C)に示すように、1次転写する前に転写前帯電器03によりブランケット01表面上にトナー帯電極性と同極性の予電荷を付加し、図8(D)に示すように、1次転写領域Q1で中間転写体01裏面から光照射し1次転写する方法が提案されている。
この方法では転写前領域での転写を軽減できるものの、単色の画像のみしか良好な転写像が得られず、鮮明なフルカラー画像を得ることが困難である。
また、図9は特許文献12である特開平5−257398号公報記載の技術により2色目の現像像を転写する場合に生じる問題点の説明図である。図9において、既に中間転写体01上に転写された1色目のトナー像も含めて予電荷を与え(図9(A)参照)、1次転写領域Q1において背面から光照射して転写を行う(図9(B)参照)が、この時、中間転写体01の電荷は除電されるが1色目のトナー電荷は除電されない。
この結果、1色目の除電されないトナー電荷による電界によって2色目のトナーの飛び散り、ムラが生じてしまう等の問題点がある。
(3)特許文献13の記載の技術
ここで、図10は特許文献13である特開平6−282181号公報記載の光照射により抵抗値の低下する中間転写体を使用して光照射により転写を行う技術の説明図である。また、図11は特許文献13である特開平6−282181号公報記載の加圧力により抵抗値の低下する中間転写体を使用して加圧力の印加により転写を行う技術の説明図である。図10において、紙等の転写材04を中間転写体01上に静電的に保持し、転写領域Q1において中間転写体01の背面から光照射し、電荷発生層01cで発生したホールによる転写電界を印加して感光体ドラム02上のトナー像を転写する方式が提案されている。この方法においては、転写領域Q1で光等の作用によって中間転写体01抵抗を低下させて転写電界を印加しているため、感光体ドラム02の軸方向(紙の進行方向に対して垂直方向)には低抵抗となっている。このため、軸方向のトナー像の飛び散りやにじみを防止することが困難となってしまうという問題点がある。図11は、図10の光照射の代わりにロールによる加圧力により抵抗を低下させて転写を行う技術であるが、この図11に示す技術も前記図10に示す技術と同様の問題点がある。更に、中間転写体支持ロールの軸の曲がり、表面の凹凸等により中間転写体に均一な圧力を加えることは困難であり、圧力分布ムラによる転写ムラが発生するという問題点がある。
このように、従来の中間転写体は諸問題を有しており、これらの問題を解決し得る技術が望まれている。
特開昭62−206567号公報 特開平6−095521号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−149081号公報 特開平6−149083号公報 特開平6−149079号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報 特開平8−248779号公報 特開平7−146616号公報 特開平5−257398号公報 特開平6−282181号公報
そこで、本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、1次転写部位におけるライン画像が中抜けする画像欠陥(ホロキャラクター)の発生を抑制しうると共に、転写電界を用いて1次転写及び2次転写を行う際には中間転写体の体積抵抗率が高い状態でトナーの飛散を抑制することができ、前記転写電界により発生する中間転写体の帯電電荷の除電を容易に行える中間転写体を提供することを目的とする。
また、本発明は、このような中間転写体と該中間転写体の帯電電荷を除電する除電手段とを備えることで、従来の中間転写体では解決が困難であった、ライン画像が中抜けする画像欠陥(ホロキャラクター)やトナーの飛び散り(ブラー)による画質欠陥の発生を抑制することで、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することを他の目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、以下の本発明を見出した。
即ち、本発明は、
<1> 少なくとも、基材と該基材上に設けられた光導電層とを有し、像担持体との接触面の表面微小硬度が1〜10度であることを特徴とする中間転写体である。
<2> 前記光導電層が、電荷輸送層と、該電荷輸送層の前記基材側に設けられる電荷発生層と、を含み構成されることを特徴とする<1>に記載の中間転写体である。
<3> 前記光導電層上に更に表面保護層を有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の中間転写体である。
<4> 前記表面保護層が、潤滑性充填剤を含有してなることを特徴とする<3>に記載の中間転写体である。
<5> 前記表面保護層が、電荷輸送物質を含有してなることを特徴とする<3>又は<4>に記載の中間転写体である。
<6> 前記表面保護層が、ポリウレタン樹脂を含有してなることを特徴とする<3>〜<5>のいずれか1に記載の中間転写体である。
<7> 前記基材が、体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmであることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1に記載の中間転写体である。
<8> 前記基材のヤング率が1000〜8000Mpaであることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1に記載の中間転写体である。
<9> 前記基材が、導電剤を分散してなるポリイミド樹脂から構成されることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1に記載の中間転写体である。
<10> 像担持体と、該像担持体に接触する<1>〜<9>のいずれか1項に記載の中間転写体と、該中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材へと転写した後に、当該中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
<11> 前記トナーの下記式(1)で規定される形状係数(SF)が、140〜100である球状トナーを用いることを特徴とする<10>に記載の画像形成装置である。
式(1)
(SF)=[(トナー粒子の最大長)2]/[(トナー粒子の投影面積)×π×100/4×100]
本発明によれば、1次転写部位におけるライン画像が中抜けする画像欠陥(ホロキャラクター)の発生を抑制しうると共に、転写電界を用いて1次転写及び2次転写を行う際には中間転写体の体積抵抗率が高い状態でトナーの飛散を抑制することができ、前記転写電界により発生する中間転写体の帯電電荷の除電を容易に行える中間転写体を提供することができる。
また、このような中間転写体と該中間転写体の帯電電荷を除電する除電手段とを備えることで、ライン画像が中抜けする画像欠陥(ホロキャラクター)やトナーの飛び散り(ブラー)による画質欠陥が著しく少ない、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の中間転写体及びそれを備えた画像形成装置について詳細に説明する。
<中間転写体>
本発明の中間転写体は、少なくとも、基材と該基材上に設けられた光導電層とを有し、像担持体との接触面の表面微小硬度が1〜10度であることを特徴とする。
すなわち、本発明の中間転写体は、像担持体との接触面、つまり、転写面における微小硬度が上記の範囲であることを要する。
ここで、像担持体との接触面とは、光導電層自体により形成されていてもよいし、光導電層上に設けられる他の任意の層、例えば、後述する表面保護層や、微小硬度調節層により形成されていてもよい。中でも、光導電層上に設けられる表面保護層の表面微小硬度が上記の範囲である態様、又は、光導電層自体の表面微小硬度が上記の範囲である態様が好ましい。
なお、像担持体との接触面を形成する層が表面微小硬度を測定する範囲において、単一層であれば、その層の表面微小硬度が本発明における表面微小硬度となる。
本発明者は、上記のように、中間転写体の像担持体との接触面(転写面)の表面微小硬度と、ホロキャラクターの発生レベルには極めて正確な相関があることを発見した。
具体的には、本発明の中間転写体のように、転写面の表面微小硬度が1〜10度の場合には、後述する画像形成装置に用いた場合、バイアスローラの押圧力によって転写面の変形が起こり、これにより半導電性のトナーに集中していた押圧力は分散される。このため、本発明によれば、トナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥が発生しないという、優れた効果を奏する。
[表面微小硬度の測定]
本発明の中間転写体において、像担持体との接触面の表面微小硬度が1〜10度であることを要する。また、表面微小硬度は3〜10度であることがより好ましい。
前記表面微小硬度は、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求めることができる。表面微小硬度の測定方法について説明する。図1は、像担持体との接触面の表面微小硬度の測定原理を示す模式図であり、図1中、10は針状圧子を、12は中間転写体を表し、矢印Pは、針状圧子10に加わる荷重を意味する。
表面微小硬度の測定に際しては、中間転写体12の転写面(像担持体との接触面)に所定形状の針状圧子10の先端を、荷重PmN)を荷重0から所定荷重Pとなるまで押圧する。このときの針状圧子10の層12中への垂直方向の食い込み深さをD(μm)とした場合、表面微小硬度DHは下式(2)で表される。
式(2) DH≡αP/D2
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
この表面微小硬度は、圧子を押し込んで行く過程の過重と押し込み深さから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、その計測面積は微小であり、トナー粒子径に近い範囲でより正確な硬度の測定が可能になる。
本発明において、像担持体との接触面の表面微小硬度は、超微小硬度計DUH−201S(株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。その際の、測定条件は、以下の通りである。
測定環境:23℃、55%RH
使用圧子:三角錐圧子
試験モード:3(軟質材料試験)
試験荷重:6.9×10-3N(0.70gf)
負荷速度:0.142×10-3N(0.0145gf/sec)
保持時間:5sec
なお、本発明の中間転写体において、像担持体との接触面を形成する層の厚みが0.001mm以上である場合、その層の表面微小硬度を測定することで、本発明における表面微小硬度としてもよい。
その場合、像担持体との接触面を形成する層と同様の材料を用い、その層と同じ厚さの測定シートを作製する。その測定シートを5mm角程度に切り、その小片を瞬間接着剤で硝子版に固定する。この試料を図1における12として用い、上記と同様の超微小硬度計を用い、更に、上記と同様の条件を用いて測定する。
本発明の中間転写体は、像担持体との接触面の表面微小硬度が上記の範囲であれば、どのような構成を有していてもよく、具体的には、例えば、ドラム状又はベルト状の構成であることが好ましい。
以下、本発明の中間転写体を構成する各部材について説明する。
[表面保護層]
本発明における表面保護層は後述する光導電層上に設けられる任意の層である。より具体的には、表面保護層は、図2(B)及び(c)に示されるように、多層型光導電層又は単層型光導電層上に設けられる層(140)である。
図2(B)及び(c)に示されるように、表面保護層が中間転写体の像担持体との接触面を形成している場合には、該接触面の表面微小硬度が1〜10度の範囲となるように、表面保護層の微小硬度を制御することが必要である。なお、通常、表面保護層の表面微小硬度を1〜10度に制御することで、本発明の中間転写体を得ることができる。
このような表面保護層を設けることで、中間転写体のライン画像が中抜けする画質欠陥を改善することに加え、耐磨耗性を向上させて中間転写体の寿命を延ばしたり、光導電層の化学的変化を防止することができる。
本発明における表面保護層は、表面微小硬度が上記の範囲であれば、特に限定されるものではない。本発明に好適は表面保護層として、具体的には、(1)絶縁性樹脂からなる絶縁性表面保護層、(2)金属酸化物などの抵抗制御剤を分散した抵抗制御型表面保護層、(3)電荷輸送性を付与した高分子化合物などによる電荷輸送性表面保護層などが挙げられる。
なお、各種の表面保護層において、表面微小硬度を制御するためには、表面保護層の膜物性に影響を及ぼす樹脂成分の種類及びその使用量と、潤滑性充填剤の種類及びその添加量を、適宜、調整すればよい。例えば、潤滑性充填剤の添加量を多くすることで表面保護層の表面微小硬度を大きくすることができる。
(1)絶縁性樹脂からなる絶縁性表面保護層に用いられる、絶縁性樹脂としては、層の表面微小硬度を1〜10度の範囲にすることができれば、特に限定されないが、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の縮合樹脂や、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂のようなビニル重合体等が挙げられ、中でも、表面微小硬度の制御容易性からポリウレタン樹脂が好ましい。
次に、(2)抵抗制御剤を分散した抵抗制御型表面保護層について説明する。
抵抗制御剤としては、カーボンブラックや金属、金属酸化物などの粒子を用いることができる。粒子の体積平均粒子径は、100nm以下であることが好ましい。
金属酸化物の例として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン被覆酸化スズ、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化タングステン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、或いは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子に上記の金属酸化物を被覆したものが挙げられる。
また、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物などを抵抗制御剤(粒子)の調整剤として用いることができる。
更に、これらの金属酸化物は、必要に応じて分散性等諸特性の改善のためシランカップリング剤やチタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤などの有機化合物で表面処理を行うことも可能である。
これらの中でも、抵抗制御型表面保護層には、体積平均粒子径が100nm以下の金属酸化物を用いることが好ましい。これにより、抵抗制御型表面保護層は、透明性に富み、厚膜を形成しても透過率の低下が少ないために感度の減少を抑制することができる。そのため、耐摩耗強度が高いのに加えて、厚膜化が可能な効果を併せて、中間転写体寿命の向上が一層可能である。
抵抗制御型表面保護層は、層の表面微小硬度を1〜10度の範囲にすることができれば、特に限定されないが、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの結着樹脂に、上記抵抗制御剤(粒子)を分散して成膜される。これらの結着樹脂の中でも、表面微小硬度の制御容易性からポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
抵抗制御剤は、結着樹脂に分散して成膜されるが、適当な塗膜抵抗を得るために抵抗制御剤の添加量は調整される。抵抗制御剤の添加量としては、結着樹脂固形分中に、10〜60体積%、好ましくは20〜50体積%が含有される。
続いて、(3)電荷輸送性を付与した高分子化合物などによる電荷輸送性表面保護層について説明する。このように、表面保護層中に電荷輸送性を持たせることで、表面保護層を設けることによる残留電位上昇及びその変動が押さえられることから、表面保護層の厚膜化が可能となる。
電荷輸送性表面保護層には、電荷輸送物質として、一般的に知られている電荷輸送性ポリマーを用いることができる。電荷輸送性ポリマーとしては、電荷輸送性を付与した高分子化合物(以下、「電荷輸送性高分子化合物」と称する場合がある。)や、少なくとも末端に反応性基を有する電荷輸送性ポリマーを用いることができる。
また、電荷輸送性表面保護層には、シリコーンハードコート剤等の強靭なコート剤中に低分子の電荷輸送剤を分子レベルで分散させるなどして電荷輸送機能をもたせた樹脂成分を用いることができる。
更に、電荷輸送性表面保護層は、単に、低分子の電荷輸送物質を含有する層であってもよい。
電荷輸送性高分子化合物の例としては、シリコーンポリマーの分子内に電荷輸送性基を付与したものが挙げられる。また、ポリビニカルバゾール等の電荷輸送能を有する基を側鎖に含む高分子化合物、特開平5−232727号公報等に開示されているような電荷輸送能を有する基を主鎖に含む高分子化合物、及びポリシラン等も挙げることができる。
また、電荷輸送性高分子化合物として、電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックよりなるブロック共重合体又はグラフト共重合体を使用することもできる。電荷輸送性高分子化合物が、トリアリールアミン構造を繰り返し単位として含有する場合は、高い電荷輸送能と好ましい機械的特性を有しているので好ましく、また、トリアリールアミン構造がペンダント型ではなく、主鎖中に含有している場合は、更に好ましい。ペンダント型であると、ペンダント同士が会合し、電荷トラップを形成し電荷輸送性を悪化する場合が多いが、主鎖中に含有されていることでこのような問題を回避できる。
更に、電荷輸送性高分子化合物が、主鎖中にトリアリールアミン構造が含有されているものである場合には、主鎖中には下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構造の少なくとも1種以上を繰り返し単位として含むトリアリールアミン構造が含有されていることが好ましい。
Figure 2007041491
但し、上記一般式(1)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、X1は芳香族環構造を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示し、X2及びX3はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、L1は枝分れ若しくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示し、m及びnは、それぞれ0又は1から選ばれる整数を意味する。
Figure 2007041491
但し、上記一般式(2)中、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、L2は芳香族環構造を有する3価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示す。
前記一般式(1)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基から選ばれるが、このアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。また、置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
1は芳香族環構造を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる。X1の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、メチレンジフェニル基、シクロヘキシリデンジフェニル基、オキシジフェニル基、チオジフェニル基等、及びこれらのメチル置換体、エチル置換体、メトキシ置換体、又はハロゲン置換体等が挙げられ、この中でも特に置換若しくは未置換のビフェニレン基が電荷輸送性の点で、特に好ましい。
2及びX3はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリーレン基から選ばれ、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基等、及びこれらのメチル置換体、エチル置換体、メトキシ置換体、又はハロゲン置換体等が挙げられる。
1は、枝分れ若しくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、上記の好ましい特性の少なくとも1つを発揮するかぎり任意であるが、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、シロキサン結合等から選ばれる結合基を含み、且つ、炭素数が20以下であるものが好ましい。L1の具体例としては、下記(3−1)〜(3−9)で示される2価の連結基が挙げられる。
Figure 2007041491
上記一般式(2)中、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基から選ばれ、該アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。また、置換基としては、炭素数1〜12個のアルキル基又はアルコキシ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
2は芳香族環構造を有する3価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、上記の好ましい特性の少なくとも1つを発揮するかぎり任意であるが、炭素数が20以下のものが好ましい。その具体例としては、下記(3−10)〜(3−14)で示される連結基が挙げられる。
Figure 2007041491
また、前記一般式(1)中のL1、又は、一般式(2)中のL2がエステル結合を有する場合が、機械的特性及び電荷輸送能の点で特に好ましい。
本発明においては、電荷輸送性と、表面微小硬度の制御容易性の点から、電荷輸送性高分子化合物として、主鎖中に、トリアリールアミン構造を繰り返し単位として含むポリウレタン樹脂を用いることが好ましく、特に、上記一般式(1)や一般式(2)で表されるトリアリールアミン構造を繰り返し単位として含むポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
このようなトリアリールアミン構造を繰り返し単位として含むポリウレタン樹脂は、末端に反応性基(例えば、ヒドロキシル基)を有するトリアリールアミンを、多官能イソシアネートと、ポリオールと、混合し、これらを反応させることによって、得ることができる。このようにポリウレタン樹脂の合成する際には、80〜150℃で、1〜3時間程度反応させることが好ましい。
なお、上記の3成分を含有する塗布液を光導電層上に塗布し、合成反応を行うことで、電気輸送性表面保護層を形成してもよい。
次に、電荷輸送性保護表面層に好適な、少なくとも末端に反応性基を有する電荷輸送性ポリマー(以下、「反応性基含有電荷輸送性ポリマー」と称する場合がある。)について説明する。
このような反応性基含有電荷輸送性ポリマーは、末端の反応性基を用いて3次元的に架橋硬化することで、電荷輸送性保護表面層を形成することが好ましい。このような電荷輸送性ポリマーを用いることで、ポリマー特有の機械的強度を利用した上、更に、電荷輸送性ポリマー同士、又は、電荷輸送性ポリマーと架橋性化合物との化学結合による3次元架橋構造を形成するため、形成された電荷輸送性保護表面層の機械的強度を飛躍的に高めることが可能である。
更に、上記のような末端の反応性基を架橋硬化させる際、その架橋硬化反応中にポリマー主鎖の分裂が起らないため、ポリマー本来の機械的強度の増強が効率的に行われる。また、反応性基含有電荷輸送性ポリマーを用いる他の利点としては、架橋反応部位が少ないため、残留未反応性基による画像劣化が起りにくいこと、現在有機半導体膜として主流である低分子分散系に比べ、電荷輸送部の濃度を高めることが容易であるため、電子写真プロセスの更なる高速化にも対応可能であること、等が挙げられる。
本発明における反応性基含有電荷輸送性ポリマーは、末端に反応性基を有するものであるが、当該末端の反応性基としては、反応性置換基と、架橋構造化可能な反応性基と、が挙げられる。
本発明において、反応性基含有電荷輸送性ポリマーの架橋手段としては、以下の(1)〜(3)の3通りが挙げられる。
(1)末端に反応性置換基を有する電荷輸送性ポリマーと、架橋性化合物と、の架橋硬化
(2)末端に架橋構造化可能な反応性基を有する電荷輸送性ポリマー単独による架橋硬化
(3)末端に架橋構造化可能な反応性基を有する電荷輸送性ポリマーと、架橋性化合物と、の架橋硬化
これらの中でも、特に、(1)、(3)の手段が好ましい。
上記(1)の手段の場合、電荷輸送性ポリマー末端の反応性置換基としては、活性水素基を有する置換基、及び、架橋性化合物と反応可能な置換基が挙げられるが、これらのうち、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等が好ましい。前記反応性置換基がヒドロキシル基、カルボキシル基の場合、ポリエステル、ポリカーボネートの末端残基をそのまま利用することができる。それ以外の反応性基は、ポリマー由来の末端官能基を修飾して導入することが可能である。例えば、ポリエステル末端のヒドロキシル基に官能基を導入する方法として、所望の官能基を置換基として有する酸クロライド、カルボン酸、酸無水物、イソシアネート等を反応させることが好ましい。
所望の官能基が、前記ポリマー末端に導入される反応に対し活性な場合、所望の官能基に保護基を付与したもので導入反応を行った後、脱保護反応を行うことも可能である。架橋硬化反応は、末端反応性基を有する電荷輸送性ポリマーと、その末端反応性基と、反応可能な架橋性化合物と、を混合して架橋硬化することが好ましい。
上記(2)及び(3)の手段の場合、架橋硬化反応に先立ち、電荷輸送性ポリマーに架橋構造化可能な反応性基を導入する。架橋構造化可能な反応性基としては、具体的には、アルコキシシリル基、メタクリル基、エポキシ基等が挙げられる。この架橋構造化可能な反応性基は、例えば、電荷輸送性ポリマーの末端官能基がヒドロキシル基、カルボキシル基である場合には、それらの基を修飾して導入することが可能である。例えば、ヒドロキシル基を修飾してアルコキシシリル基を導入する方法として、具体的には、(a)他端にアルコキシシリル基を有するアルキルイソシアネートの付加反応、又は、(b)他端にビニル基を有する酸クロライドとの反応に続き、末端ビニル基のヒドロキシシリル化によるアルコキシシリル基の付加反応などが挙げられる。架橋硬化反応は、電荷輸送性ポリマー単独で(上記(2)の手段)、又は、更に、架橋性化合物を添加して(上記(3)の手段)、架橋硬化することができる。
上記(1)や(3)の手段で用いる架橋性化合物としては、官能基を複数含む多官能化合物が好ましい。特に、3次元架橋構造化が可能となる、官能基数が3以上であることが望まれる。例として、多官能イソシアネート化合物や多官能エポキシ化合物、多官能ビニル化合物、アルコキシシラン化合物等が挙げられる。これらの中で、電荷輸送性ポリマー末端の反応性基と反応可能な架橋性化合物を適宜選択すればよい。具体的には、例えば、電荷輸送性ポリエステル又はポリカーボネートや、末端にヒドロキシル基を含む電荷輸送性ポリマーに対しては多官能イソシアネート化合物が、末端にエポキシ基を含む電荷輸送性ポリマーに対しては多官能エポキシ化合物が、末端にアルコキシシリル基を有する電荷輸送性ポリマーに対してはアルコキシシラン化合物が、それぞれ好ましい組み合わせとして挙げられる。
架橋性化合物の添加量は、樹脂組成物(電荷輸送性ポリマーを含む組成物)の全質量に対して、0.01〜50質量%程度が好ましく、0.1〜30質量%程度がより好ましい。電荷輸送性ポリマー末端の反応性基に対する架橋性化合物の反応性基の比率としては、0.01〜100等量とすることが好ましく、0.1〜50等量とすることがより好ましい。
なお、電荷輸送性ポリマーの末端の反応性基に対して、架橋性化合物の反応性基が等量以下であっても、部分的な3次元架橋が形成されることで機械的強度は向上する。更に、電荷輸送性ポリマーの末端官能基に対して架橋性化合物の反応性基が等量以上の場合、電荷輸送性ポリマーと架橋性化合物との3次元架橋硬化に加え、架橋性化合物同士の結合により、相互浸透性のポリマーネットワークが形成され更に機械的強度が向上する。
前記多官能イソシアネート化合物の例としては、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−イソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等のポリイソシアネート単量体等が挙げられる。
また、3個以上のイソシアネート基を含有する化合物の中で、最終的に得られる架橋膜の成膜性、耐クラック発生性及び取扱いの容易性等の面から、ポリイソシアネート単量体から得られる誘導体やプレポリマー等の変性体を用いることがより好ましい。
これらの例としては、ポリオールを過剰のイソシアネート化合物で変性したウレタン変性体、尿素結合を有する化合物をイソシアネート化合物で変性したビュレット変性体、ウレタン基にイソシアネートが付加したアロファネート変性体等が特に好ましく、その他にもイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等が用いられる。更に、上記ポリイソシアネート変性体に含まれるものであるが、イソシアネート基の活性を一時的にマスクするためのブロッキング剤を反応させたブロックイソシアネートも好ましく用いることができる。ここで、変性に用いるイソシアネートは、官能基数が2のものでもよく、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等が例示される。
市販の多官能イソシアネート化合物としては、スミジュールN−75、スミジュールN3200、デスモジュールN3400、デスモジュールN3500、スミジュールN3500、スミジュールHT、スミジュールBL3175、デスモジュールBL4165、デスモジュールTPLS−2010、デスモジュールTPLS−2759、デスモジュールE3265、デスモジュールZ4370、デスモジュールE41(住友バイエルウレタン社製)などが挙げられる。
また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
以上、反応性基含有電荷輸送性ポリマーについて説明したが、電荷輸送性と、表面微小硬度の制御容易性の点から、本発明においては、反応性基含有電荷輸送性ポリマーとして末端に反応性基を有するポリアリールアミンを用い、これをウレタン架橋する態様が好ましい。つまり、電荷輸送性表面保護層に、ポリアリールアミンをウレタン結合で結合した高分子化合物を用いることが好ましい。
末端に反応性基を有するポリアリールアミンは、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミンのような芳香族アミン等を出発物質として、特許3224031号公報の段落番号〔0081〕〜〔0094〕と同様な方法を用いて合成することができる。
上記のようにして得られた反応性基を有するポリアリールアミンをウレタン架橋させる。すなわち、ポリアリールアミンの反応性基、例えば、ヒドロキシル基と、架橋性化合物である多官能イソシアネート化合物と、を反応させる。
この方法により、ポリアリールアミンをウレタン結合で結合した高分子化合物を合成することができる。
なお、ウレタン架橋に用いられる多官能イソシアネート化合物としては、上述の架橋性化合物の一種である多官能イソシアネート化合物と同様のものを用いることができる。
また、上記のようにして得られたポリアリールアミンをウレタン結合で結合した高分子化合物において、反応性基が残存している場合、上述の(1)の架橋手段を用いて、架橋反応を行ってもよい。
具体的には、ポリアリールアミンをウレタン結合で結合した高分子化合物を合成した際、その高分子化合物にヒドロキシル基が残存している場合には、該ヒドロキシル基と、多官能イソシアネート化合物と、による架橋を行うことで、架橋構造を形成してもよい。
これらの電荷輸送性ポリマーを用いて電気輸送性表面保護層を形成する場合は、結着樹脂を併用してもよく、その結着樹脂としては、表面保護層の表面微小硬度を1〜10度の範囲にすることができれば、特に限定されないが、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。これらの結着樹脂の中でも、表面微小硬度の制御容易性からポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明のおける電荷輸送性表面保護層は、低分子の電荷輸送物質を含有する層であってもよい。ここで用いられる電荷輸送物質としては、後述する、電荷輸送層を構成する電荷輸送物質と同様のものを用いることができる。
また、これらの電荷輸送物質を用いる場合の結着樹脂としては、上述の、電荷輸送性高分子化合物と併用しうる結着樹脂と同様のものが挙げられ、中でも、表面微小硬度の制御容易性からポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
(潤滑性充填剤)
本発明における表面保護層には、表面の潤滑性向上のために、テトラフロロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂粒子や、フッ素原子を含有する化合物からなる潤滑性充填剤を含有させることが好ましい。
これらの潤滑性充填剤を含有させることで、中間転写体へのトナーフィルミングが起こり難くなり、対向する像担持体とのタッキングの問題が生じないので、マイクロスリップの発生を抑制することできる。
−フッ素系樹脂粒子−
フッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体の中から1種或いは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
フッ素系樹脂粒子の表面保護層中の含有量は、表面保護層全量に対し、0.1〜30質量%が適当であり、特に1〜25質量%が好ましい。含有量が1質量%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、30質量%を越えると、表面保護層が高硬度となり、光通過性が低下し、かつ、繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。
前記フッ素系樹脂粒子の一次粒子径は、体積平均粒子径で、0.05〜1μmがよく、更に好ましくは0.1〜0.5μmが好ましい。一次粒子径が0.05μmを下回ると分散時の凝集が進みやすくなる。一方、1μmを上回ると画質欠陥が発生し易くなる。
また、表面保護層には、フッ素系樹脂粒子に加えて、更に、無機粒子を加えてもよい。
無機粒子の表面保護層中の含有量は、表面保護層全量に対し、0.1〜30質量%が適当であり、特に1〜20質量%が好ましい。含有量が1質量%未満では無機粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、30質量%を越えると繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。
無機粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ(二酸化珪素)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸銅、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ニッケル、アンチモン、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化錫、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、これらのうち1種を、又は必要に応じて2種以上が用いられるが、好ましくはシリカが用いられる。シリカ粒子としては、化学炎CVD法により製造されるのが好ましく、具体例としては、クロルシランガスを酸素−水素混合ガス又は炭化水素−酸素混合ガスの高温火炎中で気相反応させて、シリカ微粒子を得る方法が好ましい。
また、無機粒子としては、粒子表面を疎水化されたものが好ましい。疎水化処理剤としては、例えば、シロキサン化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等が用いられる。シロキサン化合物としては、ポリジメチルシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、また、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、無機粒子の一次粒子径は、体積平均粒子径で、0.005〜2.0μmがよく、更に好ましくは0.01〜1.0μmが好ましい。無機微粒子の一次粒子径が0.005μmを下回ると中間転写体表面の十分な機械的強度が得られず、また、分散時の凝集が進みやすくなる。一方、2μmを上回ると中間転写体の表面粗さが大きくなり、該中間転写体のクリーニング装置として、クローニングブレードを用いた場合には、クリーニングブレードが摩耗、損傷してクリーニング特性が悪化し、プアクリーニングなどの問題が発生し易くなる。
−フッ素原子を含有する化合物−
フッ素原子を含有する化合物としては、分子構造の一部がフッ素原子又はフッ素原子団で置換された、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタンなどを挙げることができる。具体的には、例えば、メチルメタクリレート−パーフルオロアルキルメタクリレート共重合体の主鎖に、ポリメチルメタクリレート側鎖をグラフト処理してなる化合物が好適であり、この化合物は、綜研化学(株)製のケミトリーLF−700として入手可能である。
このようなフッ素原子を含有する化合物は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
このようなフッ素原子を含有する化合物の添加量は、表面保護層全量に対して、5〜35質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜30質量%の範囲である。添加量が5質量%未満の場合には潤滑性が発現しない場合があり、30質量%を超える場合には、表面保護層が軟化してしまい、表面保護層の硬度が得られないなどの問題が発生する場合がある。
(表面保護層の形成)
本発明において、表面保護層は、上記の各成分を含む塗布液を調製し、これを光導電層上に塗布することで形成される。
塗布液を調製する際に用いられる溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン、アルコール等の通常の有機溶剤を単独或いは2種以上混合して用いることができるが、できるだけこの塗布液が塗布される光導電層を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、リングコーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
また、表面保護層を形成するための塗布液には、フッ素系樹脂粒子や無機粒子が分散していてもよい。フッ素系樹脂粒子や無機粒子を分散させる場合には、塗布液を単に混合する方法ととってもよいが、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機を利用することもできる。更に、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
また、電荷発生物質を結着樹脂中に分散させる方法として、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
なお、表面保護層を形成するための塗布液に上記のような分散物が含有されている場合、各種分散物の分散安定性を向上させるため、及び、塗膜形成時の凝集を防止するために分散助剤を少量添加することも有効である。
分散助剤として、フッ素系界面活性剤、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。中でも、フッ素系ポリマー、特に、フッ素系クシ型グラフトポリマーが分散助剤として有効であり、フッ素系クシ型グラフトポリマーとしては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、スチレン化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチルメタクリレートよりグラフト重合された樹脂が好ましい。
本発明における表面保護層は、所定の表面微小硬度を達成するために、ポリウレタン樹脂を結着樹脂として用いることが好ましい。このようにポリウレタン樹脂を含む表面保護層を形成する場合、予め合成されたポリウレタン樹脂を用いてもよいし、また、塗布液中に、イソシアネートとポリオールとを含有させておき、その塗布液を塗布・乾燥させる際に、ポリウレタン樹脂を合成する方法を用いることもできる。
なお、イソシアネートとポリオールとを含有する塗布液を用いる場合には、ポリウレタン樹脂の合成のために、塗布液を塗布した後、乾燥させる際に、80〜150℃で、1〜3時間程度保持することが好ましい。
このようにして得られる表面保護層の厚みは、0.1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは1〜10μmに設定される。
0.1μm未満であると、表面保護層が、像担持体、クリーニング部材との摩擦磨耗により、膜減りの問題が発生する場合がある。また、20μmより大きいと、光通過性が低下し、かつ、繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくるなどの問題が発生する場合がある。
[光導電層]
本発明の中間転写体において、光導電層上にいかなる層も設けられておらず、光導電層自体が表面を形成する場合には、該接触面の表面微小硬度が1〜10度の範囲となるように、光導電層の微小硬度を制御することが必要である。
このような表面微小硬度を得るためには、光導電層を構成する材料、特に、膜性に影響を及ぼす、高分子化合物やポリマーの種類とその使用量、また、各種の添加剤の種類及びその添加量を、適宜、選択すればよい。例えば、各種の添加剤の添加量を多くすることで光導電層の表面微小硬度を大きくすることができる。
本発明における光導電層は、(A)光が照射されない状態では誘電体層であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射された状態では負極性の電子又は正極性のホールのいずれかのキャリアにより電荷を輸送する電荷輸送層、及び、該電荷輸送層の裏面側に設けられ、光が照射された状態で電荷を発生する電荷発生層を有する多層構造の光導電層(以下、多層型光導電層を称する。)、又は、(B)光が照射されない状態では誘電体であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射されると導電性を示す単層構造の光導電層(以下、単層型光導電層を称する。)であることが好ましい。
このように、本発明における光導電層は、いずれも、光未照射時には、誘電体の体積抵抗率を有し、光照射時には導電性を示すことになり、光の照射により、抵抗率が変化する層である。
このような中間転写体は、1次転写及び2次転写時は光未照射状態で行う。この時、中間転写体は、誘電体並の高体積抵抗率である。そのため、このような高い体積抵抗率を有する中間転写体を使用し、転写電圧を印加した場合、転写電界の広がりがなく、トナーの飛散を抑制することができ、良好な転写像を得ることができる。
ここで、本発明における「体積抵抗率が高く(高い)」とは、光導電層に対し、光が照射されてない状態での体積抵抗率が1×1013.5Ωcm〜1×1016Ωcmであることを指し、好ましくは、体積抵抗率が1×1014Ωcm〜1×1016Ωcmである。
まず、上記(A)の、電荷輸送層、及び、該電荷輸送層の基材側に設けられる電荷発生層を有する多層型光導電層について、詳細に説明する。
このような多層型光導電層を備える中間転写体は、基材上に、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順に設けられている構成であれば、更に必要に応じて、電荷輸送層上に上述の表面保護層を設けてもよいし、また、任意の層、例えば、下引層を含んでいてもよい。
以下に、図2(A)及び(B)を用いて、この多層型光導電層を備える中間転写体の構成例を示し、それについて説明する。
ここで、図2(A)及び(B)は、本発明の中間転写体の構成例を示す概略断面図である。
図2(A)に示されるように、本発明の中間転写体100aの構成としては、基材110と、下引層120、電荷発生層132及び電荷輸送層134からなる光導電層130とを含む。
また、図2(B)に示されるように、本発明の中間転写体100bは、中間転写体100aの光導電層130上に、更に表面保護層140を備えた構成である。
下記に、各層について説明する。
(電荷発生層)
電荷発生層は、基材と電荷輸送層との間に設けられる層であって、光が照射された状態で電荷を発生する機能を有する。かかる電荷発生層は、電荷発生物質を真空蒸着により形成するか、電荷発生物質を有機溶剤及び結着樹脂と共に分散し、塗布することにより形成される。
電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、非晶質セレン,結晶性セレン,セレン−テルル合金,セレン−ヒ素合金,その他のセレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体及びこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン顔料、スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられる。また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特に、フタロシアニン顔料ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
本発明において、優れた性能が得られる電荷発生物質として以下の化合物が特に好適である。即ち、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるクロルガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるチタニルフタロシアニン、などを挙げることができる。
なお、結晶の形状や測定方法によりこれらのピーク強度の位置が微妙にこれらの値から外れることも有るが、X線回折パターンが基本的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断できる。
また、これらの電荷発生物質は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷発生層において用いられる結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。即ち、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂及びその共重合体;ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの結着樹脂は、単独或いは2種以上混合して用いることが可能である。
上記の電荷発生物質と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。
電荷発生物質を結着樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
また、電荷発生層の厚みは、一般には、0.01〜5μm、好ましくは、0.05〜2.0μmの範囲に設定される。
なお、電荷発生層の膜厚を変えることにより電荷発生層での光吸収が異なるが、電荷発生層での膜厚を厚くすることにより光の吸収が多くなり、光導電層全体での膜厚分布があったとしても、光に対する感度のばらつきを少なくすることができ、転写効率の面内均一性を高めることができる。
なお、電荷発生層の反射光量は、単に膜厚のみならず、照射光に対する顔料の吸収係数、顔料と結着樹脂との配合比、及び顔料の分散状態によっても影響を受けるために、単に膜厚からでは規定されない。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、上述した電荷発生層表面に設けられる層であって、光が照射されない状態では誘電体層であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射された状態では負極性の電子又は正極性のホールのいずれかのキャリアにより電荷を輸送する機能を有する。かかる電荷輸送層は、電荷発生物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解し、それを塗布することにより形成される。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、下記に示すものが例示できる。即ち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニルピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチルフェニル)アミン、トリ(p−ヒドロキシメチルフェニル)アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1’−ジ(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ−(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質。
クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン化合物など、或いは、以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。
また、上述の電荷輸送性表面保護層を形成する電荷輸送性ポリマーを用いることができる。
これらの電荷輸送物質は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送物質の電荷輸送極性により光導電層の帯電極性が異なるため、中間転写体の帯電極性は、電荷輸送物質の電荷輸送極性により決定される。正孔輸送物質を用いた場合には、中間転写体は負帯電で用いられ、電子輸送物質を用いた場合には、中間転写体は正帯電で用いられる。また、電荷輸送物質として両者を混合した場合には、中間転写体は両帯電極性となる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂には任意のものを用いることができるが、特に電荷輸送物質と相溶性を有し、適当な強度を有することが望ましい。
結着樹脂の例として、ビスフェノールAやビスフェノールZ,ビスフェノールC,ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体;ポリアリレート樹脂やその共重合体;ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。
これらの結着樹脂は単独或いは2種以上の混合物として使用することができる。
本発明で用いられる結着樹脂の分子量は、電荷輸送層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は、粘度平均分子量で3000〜30万、より好ましくは2万〜20万の範囲が適当である。
電荷輸送層は、上に示した電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
電荷輸送層の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル;或いはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
また、塗布液には、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤として、シリコーンオイルを微量添加することもできる。
塗布方法としては、中間転写体の形状や用途に応じて、浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことができる。また、乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
電荷輸送物質と結着樹脂との配合比は10:1〜1:5が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μm、好ましくは、10〜40μmの範囲に設定される。
本発明において、図2(A)に示されるように、電荷輸送層が像担持体との接触面を形成している場合、この電荷輸送層には、表面の潤滑性向上のために前述の潤滑性充填剤を含有することが好ましい。なお、潤滑性充填剤の含有量も表面保護層へ含有させる際と同程度である。
また、電荷輸送層には、電子写真方式の画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは、光・熱による劣化を防止する目的で、酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を添加することができる。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
また、酸化防止剤の具体的な化合物例を下記に示す。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は、2次酸化防止剤と言われフェノール系或いはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
また、光安定剤の具体的な化合物例を下記に示す。
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の化合物としては、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
また、電荷輸送層には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有することができる。
本発明における電荷輸送層に用いられる電子受容性物質としては、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
本発明の中間転写体において、この電荷輸送層が像担持体との接触面を形成する場合、該接触面の表面微小硬度が1〜10度の範囲となるように、電荷輸送層の微小硬度を制御することが必要である。なお、通常、電荷輸送層の表面微小硬度を1〜10度に制御することで、本発明の中間転写体を得ることができる。
この場合、上に例示された結着樹脂の種類を選択することで、層の微小硬度を制御してもよいし、また、上述の電荷輸送性表面保護層を形成する電荷輸送ポリマーを用いて、電荷輸送層を形成してもよい。
本発明においては、電荷輸送層が表面を形成する場合には、微小硬度の制御容易性の点から、主鎖にトリアリールアミン構造を繰り返し単位として含むポリウレタン樹脂や、ポリアリールアミンをウレタン結合で結合した高分子化合物、更に、該高分子化合物を更に架橋させたものを用いて電荷輸送層を形成することが好ましい。
(下引層)
本発明における下引層は、図2(A)及び(B)に示されるように、基材110と電荷発生層132との間に設けられる層であって、電気的なブロッキング層の役割と、上層である電荷発生層との濡れ性改善の役割と、を果たす。
かかる下引層は、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物の他に、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などの材料から形成される。これらの化合物は単独に或いは複数の化合物の混合物或いは重縮合物として用いることができる。中でも、ジルコニウム原子若しくはシリコン原子を含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。有機金属化合物は単独・混合で、或いは上述の樹脂と混合して用いることが可能である。
シリコン原子を含む有機金属化合物の例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。これらの中でも、特に好ましく用いられるシリコン化合物は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
ジルコニウム原子を含む有機金属化合物の例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタン原子を含む有機金属化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウム原子を含む有機金属化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
本発明における下引層は、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、上述の構成の下引層を形成する場合には、0.1〜3μmの膜厚範囲に設定される。
次に、上記(B)単層型光導電層について説明する。単層型光導電層としては、光が照射されない状態では誘電体であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射されると導電性を示せばよく、具体的には、中間転写体の表面保護層を構成する材料に、光導電物質を添加したものであってもよいし、電子写真用感光体に用いられる感光層であってもよい。
単層型光導電層としては、電荷輸送物質、電荷発生物質、及び結着樹脂を含有する層であることが好ましい。
以下に、図2(C)を用いて、この単層型光導電層を備える中間転写体の構成例を示し、それについて説明する。
ここで、図2(C)は、本発明の中間転写体の構成例を示す概略断面図である。
図2(C)に示されるように、本発明の中間転写体100cの構成としては、基材110と、単層型光導電層136(130)と、表面保護層140を含む。
以下に、単層型光導電層136を構成する各成分について説明する。
(電荷輸送物質)
本発明において、単層型光導電層を構成する電荷輸送物質としては、下記一般式(I)で表されるヒドラゾン系化合物(以下、適宜、「特定ヒドラゾン系化合物」と称する。)が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2007041491
上記一般式(I)中、R1〜R4は、各々独立に、アルキル基又はアリール基を表す。
1〜R4で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、中でも、好ましくは、メチル基である。
また、R1〜R4で表されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等が挙げられ、中でも、好ましくは、フェニル基、ナフチル基である。
上記一般式(I)で表されるヒドラゾン系化合物の具体例としては、一般式(I)中、R1〜R4が以下の置換基を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
1.化合物1:R1=メチル基、R2=フェニル基、R3=メチル基、R4=フェニル基
2.化合物2:R1=メチル基、R2〜R4=フェニル基
3.化合物3:R1〜R4=フェニル基
4.化合物4:R1=メチル基、R2=ナフチル基、R3=メチル基、R4=フェニル基
5.化合物5:R1=メチル基、R2=ナフチル基、R3、R4=フェニル基
6.化合物6:R1=フェニル基、R2=ナフチル基、R3、R4=フェニル基
7.化合物7:R1=フェニル基、R2=ナフチル基、R3=フェニル基、R4=ナフチル基
8.化合物8:R1〜R4=ナフチル基
9.化合物9:R1=フェニル基、R2=フェナントリル基、R3、R4=フェニル基
10.化合物10:R1=フェニル基、R2=ピレニル基、R3、R4=フェニル基
なお、上記化合物において、置換基がナフチル基やフェナントリル基である場合には、その置換位置は、ナフチル基ではα位、β位、フェナントリル基では1位〜10位のいずれの個所でもかまわない。
なお、単層型光導電層を構成する電荷輸送物質としては、上記特定ヒドラゾン系化合物を単独で又は2種以上を混合して用いてもよいし、特定ヒドラゾン系化合物と他の従来公知の電荷輸送物質とを併用してもよい。また、従来公知の電荷輸送物質のみを単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。ここで、従来公知の電荷輸送物質としては、上記電荷輸送層を構成する電荷輸送物質と同じものを用いることができる。
本発明における単層型光導電層には、これらの電荷輸送物質は、結着樹脂100質量部に対して、40〜200質量部含有することが好ましく、50〜150質量部含有することがより好ましい。
(電荷発生物質)
本発明において、単層型光導電層を構成する電荷発生物質としては、上記電荷発生層を構成する電荷発生物質と同じものを用いることができる。この電荷発生物質は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における単層型光導電層には、これらの電荷発生物質は、結着樹脂100質量部に対して、2〜20質量部含有することが好ましく、5〜15質量部含有することがより好ましい。
(結着樹脂)
本発明において、単層型光導電層を構成する結着樹脂としては、任意のものを用いることができるが、特に上記電荷輸送物質と相溶性を有し、適当な強度を有するものが望ましい。
具体的には、以下のものを例示することができる。例えば、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂及びその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
このような結着樹脂の分子量は、光導電層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は、粘度平均分子量で3000〜30万、より好ましくは2万〜20万の範囲が適当である。
これらの結着樹脂は、単独或いは2種以上混合して用いることが可能である。
(その他の成分)
本発明において、単層型光導電層には、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは、光・熱による劣化を防止する目的で、酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を添加することができる。これらの添加剤の具体的な化合物例については、上記の電荷輸送層に添加される各種添加剤と同様であり、また、その添加量の好ましい範囲も同様である。
また、単層型光導電層が像担持体との接触面を形成している場合、表面の潤滑性向上のために前述の潤滑性充填剤を含有していてもよい。
(単層型光導電層の形成)
本発明において、単層型光導電層は、上記の各成分を含む塗布液を調製し、これを所望の基材上に塗布することで形成される。
塗布液を調製する際に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル類、或いはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
なお、電荷発生物質を結着樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
また、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことができる。また、乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
このようにして得られた単層型光導電層の厚さは、光導電層としての機能の発現性の観点から、10〜200μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜100μmの範囲である。
このような単層型光導電層を備える中間転写体は、基材上に、単層型光導電層と上述の表面保護層とがこの順に設けられた構成であれば、必要に応じて、任意の層、例えば、上述の下引層を含んでいてもよい。このように、単層型光導電層を備える中間転写体の場合には、下引層は、電気的なブロッキング層の役割と、上層である単層型光導電層との濡れ性改善の役割と、を果たすこととなる。
本発明の中間転写体において、この単層型光導電層が像担持体との接触面を形成する場合、該接触面の表面微小硬度が1〜10度の範囲となるように、単層型光導電層の微小硬度を制御することが必要である。なお、通常、単層型光導電層の表面微小硬度を1〜10度に制御することで、本発明の中間転写体を得ることができる。
この場合、膜性に大きな影響を及ぼす樹脂成分の種類及びその使用量、種々の添加剤の種類とその添加量を調整することで、単層型光導電層の微小硬度を制御すればよい。
本発明の中間転写体において、任意の層である微小硬度調節層を用いて、像担持体との接触面の表面微小硬度が1〜10度の範囲としてもよい。
この場合、微小硬度調節層は、微小硬度を調整し、像担持体との接触面の表面微小硬度を上記の範囲にすることができれば、如何なるものであってもよいが、光導電層の機能を損なわせない材料を選択することが必要である。
[基材]
次に、本発明の中間転写体を構成する基材について説明する。
本発明における基材は、その形状に特に制限はなく、ベルト状やドラム状に構成することができる。
本発明における基材は、カラーレジ(色ずれ)の観点から、ヤング率が1,000MPa以上の機械特性を満足させることができることが好ましく、より好ましくは、ヤング率2,000MPa以上である。
1000MPa以上の基材を用いると、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量が少なくなるので、駆動時の応力に対するベルト変形が小さくなり、良好な画質を安定して得ることができる。また、本発明の中間転写体のように、機械特性に優れた基材と柔らかい材質の表面保護層とを有する構成は、より効果的に、単一の材料構成では得られない可とう性と剛性とのバランスを満足することができる。
なお、基材のヤング率は大きければ大きい程良いが、実用上は8000MPa以下であることが好ましく、6000MPa以下であることがより好ましい。基材のヤング率は、使用する樹脂材料の化学構造を選択することで上記範囲に制御することができ、芳香環構造を含むものほどヤング率を高くすることができる。
ここで、ヤング率は、JIS K 7127に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求める。
また、本発明における基材は、体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmの半導電性であることが好ましく、より好ましい体積抵抗率は、1×109〜1×1012Ωcmである。前記基材の体積抵抗率が1×108Ωcm未満の場合には、後述するタンデム式画像形成装置にこの中間転写体を適用すると、1次転写の各色間での抵抗が低いために転写部で必要な転写電圧が印加できなくなる場合がある。また、1×1013Ωcmを超える場合には、電荷の除去が十分にできないなどの問題が発生する場合がある。
基材を構成する樹脂材料としては、上記のようなヤング率を満足することができれば、特に限定はないが、具体的には、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアミド(PA)等が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、上述した、電荷輸送層、電荷発生層、下引層を被覆乾燥する時の乾燥温度による影響がなく、構成強度と屈曲疲労性の両面に優れている点で、ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
基材に好適なポリイミド樹脂としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分と、を有機極性溶媒中で反応させて得られるものである。芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルポキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)ヘキサフオロプロパン等があり、これらのテトラカルボン酸類の混合物でもよい。また、芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。また、上記有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を挙げることができる。
これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる、これらの溶剤も、単独で、又は2種類以上の混合物として用いられる。
本発明における基材は、下記の導電剤を分散してなるポリイミド樹脂から構成され、上記の体積抵抗率を有するものであることが好ましい態様である。
(導電剤)
本発明における基材には、上記の体積抵抗率(電気抵抗)を得るために、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤が、1種類又は2種類以上を組み合わせて添加される。
電子伝導性系導電剤として、カーボンブラック、グラファイト、アルミニュウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などを挙げることができる。また、イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤がある。
更には、導電性ポリマーをブレンドする方法があり、導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニユム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、更には、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどを挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、又はドープ状態で用いることができる。上記、導電剤又は導電性ポリマー、又は、界面活性剤を1種又は2種以上を組み合わせ用いることによって、前記した電気抵抗を安定して得ることができる。
本発明における導電剤としては、樹脂組成物中への分散性がよく、良好な分散安定性が得られ、抵抗バラツキを小さくすることができると共に、電界依存性も小さくなり、更に、転写電圧による電界集中が生じ難くなることにより電気抵抗の経時での安定性が向上することから、pH5以下の酸性カーボンブラックが好ましい。
−pH5以下の酸性カーボンブラック−
pH5以下の酸性カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、pH5以下の酸性カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸性カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。更に必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このため本発明においては、ファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、pH5以下の酸性カーボンブラックに含まれるとみなす。
本発明における酸性カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であることが好ましく、pH4.5以下であることがより好ましく、pH4.0以下であることが更に好ましい。pH5.0以下の酸性カーボンは、外にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基があるので、樹脂中への分散性がよく、良好な分散安定性が得られ、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができると共に、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が生じ難くなる。
前記カーボンブラックのpHは、水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、前記カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分の含有量が1〜25%であることが好ましく、3〜20%であることがより好ましく、3.5〜15%含まれていることが更に好ましい。前記揮発成分の含有量が1%未満である場合には、外に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下する場合がある。一方、前記揮発成分の含有量が25%より高い場合には、樹脂組成物に分散させる際に分解してしまう場合や、外の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、本発明における基材の外観が悪くなる場合がある。
これに対し前記揮発成分の含有量を1〜25%とすることで、前記樹脂組成物中への分散をより良好とすることができる。尚、前記揮発成分の含有は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
本発明の中間転写体における基材には、カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば、酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば、高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類にpH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
pH5.0以下の酸性カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)等が挙げられる。
前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、基材中のカーボンブラックの量が多くなるため、前記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
本発明における基材に対する前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックの含有量としては、上記の好ましい体積抵抗率(電気抵抗)を満たすことができればよいが、具体的には、10〜30質量%であると、中間転写体の表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸性カーボンブラックの効果が発揮できるため、好ましい。前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックが10質量%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる場合がある。一方、前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックの含有量が30質量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる場合がある。更に、前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを18〜30質量%含有させることがより好ましい、前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを18〜30質量%含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、抵抗の面内ムラや電界依存性を少なくさせることができる。
このような基材の厚みは、中間転写体の形状に合わせて、適宜、決定することができるが、例えば、本発明の中間転写体を中間転写ベルトに適用する場合、その厚みは、0.1〜0.5mmの範囲であることが好ましく、0.1〜0.3mmの範囲であることがより好ましい。
[中間転写体の体積抵抗率]
本発明において、上述した光導電層は、光が照射されない状態では誘電体であることから、上述したように、体積抵抗率は1×1013.5〜1×1016Ωcm、好ましくは1×1014〜1×1016Ωcmである。また、光が照射された状態では、抵抗率が変化して、導電性を示す。
一方、光導電層が電荷輸送層及び電荷発生層からなる場合にも、光が照射されない状態では、電荷輸送層が誘電体として機能することから、上述したように、体積抵抗率は1×1013.5〜1×1016Ωcm、好ましくは1×1014〜1×1016Ωcmである。また、光が照射された状態では、電荷発生層が電荷を発生することから、抵抗率が変化して、導電性を示す。
ここで、上記「導電性を示す」とは、光が照射された状態での中間転写体の体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmとなることを意味する。
本発明の中間転写体の体積抵抗率は、円形電極((株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブ)を用いて、JIS K 6911に従って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法を図を用いて説明する。図3は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。
図3に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に中間転写体1を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(3)により、中間転写体1の体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(3)中、tは、中間転写体1の厚さを示す。
式(3) ρv=19.6×(V/I)×t
なお、同様の方法により、上記光導電層や基材の体積抵抗率を測定することもできる。
[中間転写体の厚み]
本発明の中間転写体を中間転写ベルトとして使用する場合、その厚みは、総厚みで0.03〜1.0mmの範囲内であることが好ましく、0.05〜0.8mmの範囲内であることがより好ましく、0.1〜0.5mmの範囲内であることが更に好ましい。
総厚みが0.03mm未満の場合には、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの伸び・縮み(変位量)が大きくなり、良好な画質を安定して得ることができない場合がある。また、総厚みが1.0mmを超える場合には、駆動系ロールなどのベルト屈曲部でのベルトの外側表面の変形量が大きくなり、良好な画質を得られない場合がある。また、ベルトの外側と内側との変形量が大きくなり、局部的な繰り返し応力のためにベルトが破断するなどの問題が生じる場合がある。
なお、光導電層の厚みは、中間転写体の総厚みの10〜80%の範囲内であることが好ましく、20〜60%の範囲内であることがより好ましい。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、中間転写体方式の画像形成装置であり、像担持体と、該像担持体に接触する中間転写体として上述の本発明の中間転写体を用い、該中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材ヘと転写した後に、当該中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段と、を備えていれば、他の構成は特に限定されるものではない。例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラーの画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等のいずれでもよい。
また、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体を備える構成であってもよい。その際、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体のうち少なくとも1つが、上述の本発明の中間転写体であればよく、全てが本発明の中間転写体であることが好ましい。
本発明における「転写材」とは、中間転写体の表面のトナー像を、記録用紙やOHPシート等の記録材に間接的に転写する際に用いる中間転写体、或いは、直接的に転写する場合に用いる前記記録材の両方を意味する。従って、本発明の画像形成装置は、例えば、本発明の中間転写体の表面に形成されたトナー像を、更に別の中間転写体(転写材)に転写するというような、複数の中間転写体を備える構成であってもよい。この際も、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体のうち少なくとも1つが、上述の本発明の中間転写体であればよく、全てが本発明の中間転写体であることが好ましい。
なお、後述する、図4及び図5を参照して説明する画像形成装置においては、「転写材」は記録材である。
一例として、本発明の中間転写体を中間転写ベルトとして用いた、順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。
図4は本発明の画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。該画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム21、中間転写体としての中間転写ベルト22、中間転写ベルト22を除電する除電ランプ91(光除電手段)、転写電極であるバイアスローラ23(第二転写手段)、転写媒体である記録紙を供給する用紙トレイ24、Bk(ブラック)トナーによる現像器25、Y(イエロー)トナーによる現像器26、M(マゼンタ)トナーによる現像器27、C(シアン)トナーによる現像器28、中間転写体クリーナー29、剥離爪33、ベルトローラ41、43及び44、バックアップローラ42、導電性ローラ45(第一転写手段)、電極ローラ46、クリーニングブレード51、記録紙61、ピックアップローラ62、並びにフィードローラ63を有してなる。なお、図4に示される中間転写ベルト22が上述した本発明の中間転写体である。
次に、図4に示す画像形成装置の構成について説明する。感光体ドラム21の周囲には、これに近接し矢印A方向に沿って、ブラック現像器25、イエロー現像器26、マゼンタ現像器27、シアン現像器28が順次配置されている。また、感光体ドラム21に対して、これら4色の現像器が配置された側と反対側に、中間転写ベルト22を挟んで導電性ローラ45が、感光体ドラム21と圧接するように配置されている。
中間転写ベルト22は、その内周面に接して矢印B方向に順次配置された導電性ローラ45、ベルトローラ41、ベルトローラ43、バックアップローラ42、ベルトローラ44により張架されており、中間転写ベルト22を挟んで、ベルトローラ44の反対側には中間転写体クリーナー29が配置されている。また、中間転写ベルト22の、バックアップローラ42とベルトローラ44とにより張架された部分の外周面に接触するように剥離爪33が配置されている。
加えて、ベルトローラ44と導電性ローラ45との間の中間転写ベルト22の外周面側には除電ランプ91が設置されており、また、その内周部に当接するように、アースされた(不図示)除電用導電部材90が設置されている。
バックアップローラ42は、中間転写ベルト22を介して、バイアスローラ23と圧接しており、記録紙61が、バックアップローラ42(に押圧された中間転写ベルト22)とバイアスローラ23との間を挿通可能である。バイアスローラ23の周囲には、この表面に接触するようにクリーニングブレード51が設けられている。また、バックアップローラ42のバイアスローラ23が配置された側のほぼ反対側に、バックアップローラ42と接して電極ローラ46が配置されている。
バックアップローラ42とバイアスローラ23との間を記録紙61が通過する方向には、一対のお互いに接触したフィードローラ63が配置され、2つのフィードローラ63の間を用紙41が挿通可能である。また、一対のフィードローラ63の、バックアップローラ42及びバイアスローラ23が設けられた側の反対側には、記録紙61をストックした用紙トレイ24と、用紙トレイ24から記録紙61を一対のフィードローラ63の接触部に供給するピックアップローラが配置されている。
次に、図4に示す画像形成装置を用いた画像形成について説明する。まず、感光体ドラム21は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム21にレーザー書込み装置等の画像書き込み手段により第一色(例えば、Bk)の静電潜像が形成される。この静電潜像はブラック現像器25によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは、感光体ドラム21の回転で導電性ローラ45(第一転写手段)が配置された一次転写部に到り、導電性ローラ45からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより、前記トナー像Tは、静電的に中間転写ベルト22に吸着されつつ中間転写ベルト22の矢印B方向の回転で一次転写される。
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され、中間転写ベルト22において重ね合わされ、多重トナー像が形成される。
中間転写ベルト22に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト2の回転でバイアスローラ23(第二転写手段)が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、中間転写ベルト22のトナー像が担持された表面側に設置されたバイアスローラ23と該中間転写ベルト22の裏側からバイアスローラ23に対向するように配置されたバックアップローラ42及びこのバックアップローラ42に圧接して回転する電極ローラ46から構成される。
記録紙61は、用紙トレー24に収容された記録紙束からピックアップローラ62で一枚ずつ取り出され、フィードローラ63で二次転写部の中間転写ベルト22とバイアスローラ23との間に所定のタイミングで給送される。給送された記録紙61は、バイアスローラ23及びバックアップローラ42による圧接搬送と中間転写ベルト22の回転により、該中間転写ベルト22に担持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録紙61は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪33を作動せることにより中間転写ベルト22から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。尚、多重トナー像の記録紙61への転写の終了した中間転写ベルト22は、二次転写部の下流に設けた中間転写体クリーナー29で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ23は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード51が常時当接するように取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト22と感光体ドラム21との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。前記二次転写部では、バイアスローラ23と中間転写ベルト22を介して対向配置したバックアップローラ42に圧接した電極ローラ46に、トナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで、該トナー像を記録紙61に静電反発で転写する。ここで、中間転写ベルト22の電荷は、除電ランプ91により光導電層に光を照射して導電性を発現させることで、光除電される。
以下、本発明の中間転写体である中間転写ベルト22を用いた転写機構と、中間転写ベルト22の除電機構について、再び、図4を参照して、より詳細に説明する。
図4に示される中間転写ベルト22は、画像形成装置の感光体ドラム21表面に接触する1次転写領域Q3、記録紙61に接触する2次転写領域Q4、及び、除電ランプ91による除電領域Q5を順次通過するように矢印B方向に回転移動する。ここで、1次転写領域Q3及び2次転写領域Q4を通過時の中間転写ベルト22は光照射されず、誘電体の状態である。中間転写ベルト22は、1次転写領域Q3の通過時に、感光体ドラム21表面のトナー像が1次転写され、1次転写されたトナー像が2次転写領域Q4の通過時に記録紙61に2次転写される。
このように、本発明の中間転写体である中間転写ベルト22は、光導電層の存在により、光が照射されない状態では誘電体であり体積抵抗率が高いことから、1次転写及び2次転写する際には誘電体(絶縁体)の状態で転写を行うことができる。この際、中間転写ベルト22の表面に沿った電荷の移動が少ないので、1次転写領域Q3及び2次転写領域Q4において、トナー像の飛散の少ない良好な転写を行うことができる。
また、この中間転写ベルト22の転写面(像担持体との接触面)の表面微小硬度が1〜10度の範囲で柔らかいことから、1次転写をする際には、像担持体21との間でのギャップの形成が少なくすることができ、更に、導電性ローラ45による押圧力による変形も容易であるため、転写の際のトナーの飛び散りを抑制することができる。
本発明の画像形成装置においては、トナーはその帯電特性が負極性であるか正極性であるかは問わないが、便宜上、負極性トナーを用いて説明する。
負帯電トナーの場合には、導電性ローラ45(1次転写手段)に正電圧を印加して1次転写を行う。これにより、1次転写後の中間転写ベルト22は、裏面側に導電性ローラ45による正の電荷が蓄積し、表面側にはトナー及びカウンタチャージによる負の電荷が蓄積される。カラー画像を得る場合には、2色目以降順次1次転写電圧を上げていき、中間転写ベルト22上に複数色のトナー像を形成すればよい。
続いて、2次転写の際、トナー像の記録紙61への転写時は、中間転写ベルト22の表面側には2次転写像に応じた不均一な正の電荷が供給され、裏面側には負の電荷が供給される。2次転写後の中間転写ベルト22の表面電位は、2次転写電圧が1次転写電圧より低い場合には、−(マイナス)となり、2次転写電圧が1次転写電圧より高い場合には、+(プラス)となる。
ここで、中間転写ベルト22の表面電位が残っている状態で次の画像の1次転写工程を行うと、蓄積した電荷の不均一さによる1次転写ムラの発生により画像のにじみ、飛び散り、太り等の乱れが発生してしまう。更には、中間転写ベルト22の表面の除電機構が無く、2次転写後も負の電荷が蓄積していった場合、1次転写、2次転写を繰り返す毎に電荷が蓄積され中間転写ベルト22の表面電位が過剰に高い−(マイナス)の値(裏面側は過剰に高い正(プラス)の表面電位)となり、そのために、次の画像での必要な1次転写電圧も非常に高くなってしまう。
このため2次転写後には、中間転写ベルト22に蓄積した電荷を均一にある一定レベル以下とすることが必要となる。ここで、ある一定レベルとは、感光体ドラム21の表面電位、トナー帯電量、前転写領域の形態等に応じて定まるレベルである。
本発明において、本発明の中間転写体を中間転写ベルト22として用いたことから、中間転写ベルト22の表面電荷は、2次転写後に除電ランプ91により光照射することで、蓄積した電荷を容易に光除去することができる。これは、中間転写ベルト22内の光導電性物質が光を吸収して発生した自由キャリアが、表面に存在する対向する電荷を中和させることによるものである。除電ランプ91については、光導電層に添加されている光導電性物質の光感度領域波長の光源を有しているものであればよく、その強度、光除電位置は随時決めていけばよい。除電ランプ91としては、例えば、赤色光LEDを用いることができる。
また、中間転写ベルト22に蓄積した電荷は、除電ランプ91により光除電された後、更に、中間転写ベルト22の内周部に当接している、アースされた除電用導電部材90によって、中間転写ベルト22の外へ排出されることが好ましい。そのため、中間転写ベルト22の回転方向(図4の矢印B方向)において、除電用導電部材90は除電ランプ91よりも下流側に設けられることが好ましい。また、除電用導電部材90は、中間転写ベルト22の裏面側又は表面側のいずれにも配置可能であり、中間転写ベルト22に接触することで電荷の排出(除去)が行なわれる。除電用導電部材90としては、体積抵抗率が1×105〜1×1010Ωcmに調整してなる導電剤を分散してなる弾性ロール(例えば、カーボンブッラク分散のエピクロルヒドリンゴムロールなど)を用いることができる。このように、除電用導電部材90は、ロール状であってもよいし、ブレード状、ブラシ状であってもよい。
除電用導電部材90は、中間転写ベルト22の裏面側又は表面側のいずれにも配置可能であり、裏面側に配置した場合には、常時、中間転写ベルト22に接触させた状態で使用できるが、表面側に配置した場合には、カラートナー像の多重転写の際に2次転写が終わるまでは中間転写ベルト22から離れた位置に配置し、2次転写終了後の除電を行うときに中間転写ベルト22に接触するように構成する必要がある。
その場合には、除電用導電部材90を中間転写ベルト22に接触する位置と離れた位置との間で移動させる移動機構が必要となる。したがって、除電用導電部材90を中間転写ベルト22の裏面に常時接触させるように配置した場合には、前記移動機構が不要となって、構成が簡素となり、コストも低くなるので有利である。
以上のことから、上述の構成の本発明の画像形成装置は、中間転写ベルト22として本発明の中間転写体を用いていており、更に、中間転写ベルト22の電荷を容易に除去可能な除電ランプ91(光除電手段)をも有するため、転写領域におけるトナーの飛び散りによる画質欠陥(ホロキャラクター等)が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
次に、本発明の中間転写体からなる中間転写ベルトを備え、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体をこの中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置について図面を用いて説明する。
図5は本発明の画像形成装置の他の例を示す概略模試図である。図5に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、バックアップロール73、テンションロール74、2次転写ロール75、用紙経路76、用紙トレイ77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの1次転写ロール80、駆動ロール81、転写クリーナー82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナー84、4つの現像器85、中間転写ベルト86、中間転写ベルト86を除電する除電ランプ91(光除電手段)等を主用な構成部材として含んでなる。なお、図5に示す画像形成装置において、本発明の中間転写体は中間転写ベルト86として用いられる。
次に、図5に示す画像形成装置の構成について順次説明する。まず、感光体79の周囲には、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して配置された1次転写ロール80、感光体クリーナー84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83と現像器85との間の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射することができるレーザー発生装置78が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内においてほぼ水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体79と1次転写ロール80とのニップ部を挿通するように中間転写ベルト86が設けられている。中間転写ベルト86は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、バックアップロール73、テンションロール74、及び駆動ロール81により張架されている。なお、4つの1次転写ロールはバックアップロール73とテンションロール74との間に位置する。また、中間転写ベルト86を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト86の外周面をクリーニングする転写クリーナー82が駆動ロール81に対して圧接するように設けられている。
また、中間転写ベルト86を介してバックアップロール73の反対側には用紙トレイ77から用紙経路76を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト86の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール75が、バックアップロール73に対して圧接するように設けられている。バックアップロール73と駆動ロール81との間の中間転写ベルト86の外周面側には除電ランプ91が設置されており、内周面に当接するように、アースされた(不図示)除電用導電部材90が設置されている。
また、画像形成装置の底部には記録用紙をストックする用紙トレイ77が設けられ、用紙トレイ77から用紙経路76を経由して2次転写部を構成するバックアップロール73と2次転写ロール75との圧接部を通過するように供給することができる。この圧接部を通過した記録用紙は更に1対の定着ロール72の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送可能であり、最終的に画像形成装置外へと排出することができる。
次に、図5の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を一様に帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール80と感光体79との圧接部に運ばれたトナー像を矢印A方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト86の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール75により、用紙トレイ77から用紙経路76を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、更に定着部を構成する1対の定着ロール72の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
2次転写部を通過した中間転写ベルト86は、矢印C方向に更に進み、除電ランプ91と除電用導電部材90とにより蓄積した電荷が、除電される。その後、更に、転写クリーナー82により外周面がクリーニングされた後に次のトナー像の転写に備える。
なお、中間転写ベルト86の蓄積した電荷は、上述した中間転写ベルト22の電荷の除電機構と同様に、除電ランプ91による光除電に加え、除電用導電部材90による中間転写ベルト86の外への電荷の排出により、除電されることが好ましい。ここで用いられる除電ランプ91及び除電用導電部材90は、上記図4に示される画像形成装置における除電ランプ91及び除電用導電部材90と同様である。
また、除電ランプ91と除電用導電部材90との設置位置の関係も、上記図4に示される画像形成装置における除電ランプ91と除電用導電部材90との関係と同様である。
更に、図5に示される画像形成装置においても、除電ランプ91としては、例えば、赤色光LEDを用いることができる。また、除電用導電部材90は、中間転写ベルト86の裏面側又は表面側のいずれにも配置可能であり、ここでも、除電用導電部材90としては、体積抵抗率を1×105〜1×1010Ωcmに調整してなる導電剤を分散して弾性ロール(例えば、カーボンブッラク分散のエピクロルヒドリンゴムロールなど)を用いることができる。
以上のことから、構成のタンデム式の画像形成装置においても、中間転写ベルト86として本発明の中間転写体を用いていており、更に、中間転写ベルト86の電荷を容易に除去可能な除電ランプ91(光除電手段)をも用いているため、転写領域におけるトナーの飛び散りによる画質欠陥(ホロキャラクター等)が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
更に、本発明の中間転写体を、画像形成装置内の中間転写ベルトとして組み込んで利用する場合には、トナーとして球状トナーを用いることが好ましい。トナーとして球状トナーを用いることにより、転写面を構成する材料が、表面硬度が低く、かつ高体積抵抗であることによって、画質欠陥(ホロキャラクター、ブラー、カラーレジ)ない高品質の転写画質を得ることができる。
ただし、当該球状トナーとは、その形状係数(SF)が、140〜100であることを意味する。該形状係数としては、130〜100であることが好ましく、120〜100であることがより好ましい。この平均形状係数(SF)が140より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう。
ここで、前記形状係数(SF)は、下記の式(1)で規定される係数である。
式(1)
(SF)=[(トナー粒子の最大長)2]/[(トナー粒子の投影面積)×π×100/4×100]
なお、トナー粒子の最大長、及び、トナー粒子の投影面積の測定は、ルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いてスライドガラス上に散布したトナー1000個についての光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、画像処理することにより実施した。
このような球状トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる。この球状トナーの体積平粒子径は、2〜12μmの粒子であり、好ましくは2.5〜9μmの粒子であり、更に好ましくは3〜6μmを用いることができる。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレンーメタクリル酸アルキル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げられる。
球状トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒子径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機或いは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、メタチタン酸、酸化亜鉛、ジルコニア、マグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなるため有効である。
球状トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば結着樹脂及び着色剤と、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、球状トナーを得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂及び着色剤と必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。また上記方法で得られた球状トナーをコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球状トナー及び外添剤をヘンシェルミキサー或いはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球状トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[ベルト状基材の作製]
(ポリアミド酸溶液(A)の調製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%)に、この溶液中のポリイミド系樹脂を形成することが可能な原料の固形分100質量部に対して、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))を23質量部になるよう添加して、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、基材用のカーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を得た。
(基材の形成)
カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を、円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して塗膜の厚みが0.5mmとなるように塗布し、金型を1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する塗膜を形成した後、金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、その後、室温にまで冷却して皮膜を形成した。
その後、金型の内面に形成された皮膜を剥離して、この皮膜を金属芯体の外周を覆うように被覆して400℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に400℃で30分加熱し、皮膜に残留する溶媒及び脱水閉環水を除去すると共に、イミド転化反応を完結させた。その後、金属芯体を室温にまで冷却した後に、金属芯体表面に形成されたポリイミドフィルムを剥離することにより、厚みが0.08mmの無端ベルト状の基材を得た。
得られた基材のヤング率は3,800Mpaであり、体積抵抗率は1×109.5Ωcm、表面抵抗率は1×1012Ω/□であった。
なお、得られた基材の体積抵抗率及び表面抵抗率の測定は以下のように行った。
(体積抵抗率)
得られた基材を、上述したように、図3に示す円形電極((株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブ)の所定の位置に挟持し、22℃/55%RH環境下にて、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧100(V)を印可し、10秒後の電流値を基に、前記式(3)により体積抵抗率ρv(Ωcm)を求めた。
(表面抵抗率)
得られた基材を、図3に示す円形電極((株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブ)の所定の位置に挟持し、22℃/55%RH環境下にて、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’とリング状電極部D’との間に電圧100(V)を印可し、10秒後の電流値を基に、下記式(4)により表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出した。
式(4) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
ここで、上記式(4)中、d(mm)は円柱状電極部C’の外径を示す。D(mm)はリング状電極部D’の内径を示す。
[下引層の形成]
酸化亜鉛(MZ300:テイカ社製:比表面積値30m2/g)を150℃にて5時間加熱乾燥後、酸化亜鉛100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM403:信越化学社製)5質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、150℃で2時間焼き付けを行った。
前記表面処理を施した酸化亜鉛60質量部と硬化剤ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15質量部とブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーンオイルSH29PA(東レダウコーニングシリコーン社製):0.01質量部を添加し、下引層用塗布液を得た。
この下引層用塗布液を浸漬塗布法にて、無端ベルト状の基材表面に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い、膜厚20μmの下引層を得た。
[電荷発生層の形成]
次に、電荷発生物質として、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置に明瞭な回折ピークが得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としてのブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)10質量部、n−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。
得られた分散液を電荷発生層用塗布液として、上記下引層表面に浸漬塗布し、乾燥し膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
[電荷輸送層の形成]
次に、ジ(3,4−ジメチルフェニル)(4−フェニルフェニル)アミン2質量部とN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン2質量部とビスフェノールZポリカーボネート(分子量4万)6質量部とに、テトラヒドロフラン80質量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2質量部を加えて溶解した。得られた液を電荷輸送層用塗布液として、上記電荷発生層表面に浸漬塗布し、120℃40分の乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
[表面保護層の形成]
イソシアネートとして、コロネート4028(日本ポリウレタン工業(株)製)100質量部と、ポリオールとして、ニッポランN−4599(日本ポリウレタン工業(株)製)93質量部と、電荷輸送物質として、下記〔化6〕に示す構造の化合物を90質量部と、潤滑性充填剤として、体積平均粒子径0.2μmのフッ素樹脂粉末(ルブロンL−5:ダイキン工業(株)製)22部と、を混合して、表面保護層用塗布液を調製した。得られた表面保護層用塗布液中に、上記電荷輸送層が設けられた基材を浸漬して塗布した後、150℃1時間の乾燥を行うことにより膜厚8μmの表面保護層を得た。
これにより、図2(B)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体を得た。
本実施例の中間転写体の像担持体との接触面の表面微小硬度を、前述の方法で測定したところ、5度であった。
また、実施例1における中間転写体の光照射されていない状態での体積抵抗率を、上記基材の測定方法と同様の方法で測定したところ、1×1013.8Ωcmであった。
Figure 2007041491
<実施例2>
実施例1と同じ無端ベルト状の基材の上に、実施例1と同じ下引層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に形成し、その後、下記に示す表面保護層を形成した。
[表面保護層の形成]
イソシアネートとして、コロネート4028(日本ポリウレタン工業(株)製)100質量部と、ポリオールとして、ニッポランN−4599(日本ポリウレタン工業(株)製)93質量部と、導電剤として、カーボンブラック(商品名:プリンテックス140U(pH4.5%):デグサ・ジャパン社製)18部と、潤滑性充填剤として、体積平均粒子径0.2μmのフッ素樹脂粉末(ルブロンL−5:ダイキン工業(株)製)60部と、を混合して、表面保護層用塗布液を調製した。得られた表面保護層用塗布液中に、上記電荷輸送層が設けられた基材を浸漬して塗布した後、150℃1時間の乾燥を行うことにより膜厚3μmの表面保護層を得た。
これにより、図2(B)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体を得た。
本実施例の中間転写体の像担持体との接触面の表面微小硬度を、前述の方法で測定したところ、10度であった。
また、実施例1における中間転写体の光照射されていない状態での体積抵抗率を、上記基材の測定方法と同様の方法で測定したところ、1×1013.5Ωcmであった。
<実施例3>
実施例1と同じ無端ベルト状の基材の上に、実施例1と同じようにして、以下の下引層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層を形成した。
[下引層の形成]
4質量部のポリビニルブチラール樹脂(積水化学製エスレックBM−S)を溶解したn−ブチルアルコール170質量部、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30質量部、及び有機シラン化合物の混合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3質量部を追加混合撹拌し、下引層用塗布液を得た。無端ベルト状の基材表面に、浸漬塗布装置を用いて下引層の塗布を行ない150℃1時間の硬化処理を行い、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
[電荷発生層の形成]
次に、電荷発生物質としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置に明瞭な回折ピークが得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としてのブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)10質量部、n−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを下引層表面に浸漬塗布し、乾燥し膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
[電荷輸送層の形成]
次に、ジ(3,4−ジメチルフェニル)(4−フェニルフェニル)アミン2質量部とN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン2質量部とビスフェノールZポリカーボネート(粘度平均分子量4万)6質量部とを、テトラヒドロフラン80質量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2質量部を加えて溶解した。得られた液を電荷輸送層用塗布液として、上記電荷発生層表面に浸漬塗布し、120℃40分の乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
[表面保護層の形成]
イソシアネートとして、コロネート4028(日本ポリウレタン工業(株)製)100質量部と、ポリオールとして、ニッポランN−4599(日本ポリウレタン工業(株)製)93質量部と、電荷輸送物質として、前記〔化6〕に示す構造の化合物を90質量部と、潤滑性充填剤として、体積平均粒子径0.2μmのフッ素樹脂粉末(ルブロンL−5:ダイキン工業(株)製)40部と、を混合して、表面保護層用塗布液を調製した。得られた表面保護層用塗布液中に、上記電荷輸送層が設けられた基材を浸漬して塗布した後、150℃1時間の乾燥を行うことにより膜厚8μmの表面保護層を得た。
これにより、図2(B)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体を得た。
本実施例の中間転写体の像担持体との接触面の表面微小硬度を、前述の方法で測定したところ、7度であった。
また、実施例1における中間転写体の光照射されていない状態での体積抵抗率を、上記基材の測定方法と同様の方法で測定したところ、1×1013.8Ωcmであった。
<実施例4>
実施例1と同じ無端ベルト状の基材の上に、実施例3と同じようにして、下引層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、以下の表面保護層を形成した。
[表面保護層の形成]
イソシアネートとして、コロネート4028(日本ポリウレタン工業(株)製)100質量部と、ポリオールとして、ニッポランN−4599(日本ポリウレタン工業(株)製)93質量部と、電荷輸送物質として、前記〔化6〕に示す構造の化合物を90質量部と、潤滑性充填剤として、綜研科学(株)製のケミトリーLF−700(フッ素原子で置換されたアクリレート樹脂)40質量部と、を混合して、表面保護層用塗布液を調製した。得られた表面保護層用塗布液中に、上記電荷輸送層が設けられた基材を浸漬して塗布した後、150℃1時間の乾燥を行うことにより膜厚8μmの表面保護層を得た。
これにより、図2(B)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体を得た。
本実施例の中間転写体の像担持体との接触面の表面微小硬度を、前述の方法で測定したところ、3度であった。
また、実施例4における中間転写体の光照射されていない状態での体積抵抗率を、上記基材の測定方法と同様の方法で測定したところ、1×1013.5Ωcmであった。
<実施例5>
実施例1と同じ無端ベルト状の基材の上に、以下のようにして、光導電層、表面保護層を形成した。
[単層型光導電層の形成]
結着樹脂としてのビスフェノールA型ポリカーボネート100質量部に対して、電荷発生物質としてのCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置に明瞭な回折ピークが得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部と、電荷輸送物質としての下記構造式に示した特定ヒドラゾン系化合物100質量部と、テトラヒドロフラン900質量部と、を混合し、サンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を光導電層用の塗布液とした。この塗布液を浸漬塗布法にて、無端ベルト状の基材表面に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、膜厚25μmの単層型光導電層を形成した。
Figure 2007041491
[表面保護層の形成]
イソシアネートとして、コロネート4028(日本ポリウレタン工業(株)製)100質量部と、ポリオールとして、ニッポランN−4599(日本ポリウレタン工業(株)製)93質量部と、電荷輸送物質として、前記〔化6〕に示す構造の化合物を90質量部と、潤滑性充填剤として、体積平均粒子径0.2μmのフッ素樹脂粉末(ルブロンL−5:ダイキン工業(株)製)30部と、を混合して、表面保護層用塗布液を調製した。得られた表面保護層用塗布液中に、上記単層型光導電層が設けられた基材を浸漬して塗布した後、150℃で1時間の乾燥を行うことにより膜厚8μmの表面保護層を得た。
これにより、図2(C)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体を得た。
本実施例の中間転写体の像担持体との接触面の表面微小硬度を、前述の方法で測定したところ、6度であった。
また、実施例5における中間転写体の光照射されていない状態での体積抵抗率を、上記基材の測定方法と同様の方法で測定したところ、1×1013.8Ωcmであった。
<実施例6>
実施例1と同じ無端ベルト状の基材の上に、実施例1と同じ下引層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に形成し、その後、下記に示す表面保護層を形成した。
[表面保護層の形成]
(化合物Aの合成)
機械的撹拌機、アルゴンガス導入管及び滴加漏斗を備えた500mlの3つ口丸底フラスコ中へ、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−ヒドロキシフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン26g(0.05モル)、乾燥塩化メチレン100ml、及びピリジン12ml(0.15モル)を入れた。反応フラスコの内容物を水浴で冷却しながら、乾燥塩化メチレン40ml中に溶解されたホスゲン5.1g(0.15モル)を滴加した。ホスゲン溶液の約半分を添加した後、無色のピリジン塩酸塩の沈殿が生成した。添加終了後、粘稠な混合物を塩化メチレン200mlで希釈し、痕跡の水を含むメタノール1500mlで沈殿させた。得られた無色の重合体を濾過によって単離し、乾燥した後、塩化メチレンに溶解し、メタノール中で沈殿させ、濾過し、乾燥した。
このようにして得られた化合物Aは、収量26g、重量平均分子量5,740であり、赤外及び核磁気共鳴末端基分析により、末端にフェノール基を有するポリアリールアミンであることが分かった。
次に、得られた化合物A(重量平均分子量5,740)2.5部と、イソシアネート化合物(デスモジュールN3500、住友バイエルウレタン社製)0.13部と、潤滑性充填剤として、綜研科学(株)製のケミトリーLF−700(フッ素原子で置換されたアクリレート樹脂)0.3部と、をシクロヘキサノン7.5部に溶解させ、更に、ジブチル錫ジラウレート0.01部を添加した塗布液を、前記電荷輸送層上にスプレーコート法により塗布し、150℃で1時間加熱して、膜厚10μmの表面保護層を形成した。
これにより、図2(B)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体を得た。
本実施例の中間転写体の像担持体との接触面の表面微小硬度を、前述の方法で測定したところ、8度であった。
また、実施例6における中間転写体の光照射されていない状態での体積抵抗率を、上記基材の測定方法と同様の方法で測定したところ、1×1013.5Ωcmであった。
<実施例7>
実施例3と同じ無端ベルト状の基材の上に、実施例3と同じ下引層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に形成し、その後、下記に示す表面保護層を形成した。
[表面保護層の形成]
(化合物Bの合成)
機械的撹拌機、アルゴンガス導入管及びゴムシリンジ隔膜を備えた250mlの3つ口丸底フラスコ中へ、実施例6に記載の化合物A10.1g、乾燥トルエン25ml、1,6−ジイソシアナトヘキサン0.336g、及びDABCO(ジアザビシクロオクタン)0.003gを入れた。フラスコの内容物を撹拌しつつ、4日間70℃に加熱した。この間中、溶液の粘度は定常的に増加した。その後、得られた重合体をメタノールで沈殿させ、乾燥した。
得られた化合物は、赤外及び核磁気共鳴末端基分析により、末端にヒドロキシル基を有するポリアリールアミンがウレタン結合で結合された高分子化合物であることが分かった。また、この高分子化合物の重量平均分子量は47,000であった。
次に、得られた化合物B(重量平均分子量47,000)5.0部と、イソシアネート化合物(デスモジュールN3500、住友バイエルウレタン社製)0.13部と、潤滑性充填剤として、綜研科学(株)製のケミトリーLF−700(フッ素原子で置換されたアクリレート樹脂)0.6部と、をシクロヘキサノン7.5部に溶解させ、更に、ジブチル錫ジラウレート0.01部を添加した塗布液を、電荷輸送層上にスプレーコート法により塗布し、150℃で1時間加熱して、膜厚10μmの表面保護層を形成した。
これにより、図2(B)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体を得た。
本実施例の中間転写体の像担持体との接触面の表面微小硬度を、前述の方法で測定したところ、7度であった。
また、実施例7における中間転写体の光照射されていない状態での体積抵抗率を、上記基材の測定方法と同様の方法で測定したところ、1×1013.5Ωcmであった。
<実施例8>
実施例3と同じ無端ベルト状の基材の上に、実施例3と同じ下引層、電荷発生層をこの順に形成し、その後、下記に示す電荷輸送層を形成した。
[電荷輸送層の形成]
実施例7における化合物B(重量平均分子量47,000)5.0部と、イソシアネート化合物(デスモジュールN3500、住友バイエルウレタン社製)0.13部と、潤滑性充填剤として、体積平均粒子径0.2μmのフッ素樹脂粉末(ルブロンL−5:ダイキン工業(株)製)0.5部と、をシクロヘキサノン7.5部に溶解させ、更に、ジブチル錫ジラウレート0.01部を添加した塗布液を、電荷発生層上にスプレーコート法により塗布し、150℃で1時間加熱して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
これにより、図2(A)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体を得た。
本実施例の中間転写体の像担持体との接触面の表面微小硬度を、前述の方法で測定したところ、10度であった。
また、実施例8における中間転写体の光照射されていない状態での体積抵抗率を、上記基材の測定方法と同様の方法で測定したところ、1×1013.6Ωcmであった。
<比較例1>
実施例1におけるカーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して塗膜の厚みが0.5mmとなるように塗布し、金型を1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する塗膜を形成した後、金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、室温にまで冷却して皮膜を形成した。
その後、金型の内面に形成された皮膜を剥離して、この皮膜を金属芯体の外周を覆うように被覆して400℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に400℃で30分加熱し、皮膜に残留する溶媒及び脱水閉環水を除去すると共に、イミド転化反応を完結させた。その後、金属芯体を室温にまで冷却した後に、金属芯体表面に形成されたポリイミドフィルムを剥離することにより、厚みが0.08mmの無端ベルトを得た。
得られた無端ベルトのヤング率は3,800Mpaであり、体積抵抗率は1×109.5Ωcm、表面抵抗率は1×1012Ω/□であった。
得られたポリイミド樹脂からなる無端ベルトを、中間転写体とした。
ここで、比較例1における中間転写体の表面微小硬度について、前述の方法で測定したところ、28度であった。
<比較例2>
(ポリアミド酸溶液(B)の調製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%)に、この溶液中のポリイミド系樹脂を形成することが可能な原料の固形分100質量部に対して、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%)を7質量部になるよう添加して、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、基材用のカーボンブラック入りポリアミド酸溶液(B)を得た。
(無端ベルトの形成)
カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(B)を、円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して塗膜の厚みが0.5mmとなるように塗布し、金型を1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する塗膜を形成した後、金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、室温にまで冷却して皮膜を形成した。
その後、金型の内面に形成された皮膜を剥離して、この皮膜を金属芯体の外周を覆うように被覆して400℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に400℃で30分加熱し、皮膜に残留する溶媒及び脱水閉環水を除去すると共に、イミド転化反応を完結させた。その後、金属芯体を室温にまで冷却した後に、金属芯体表面に形成されたポリイミドフィルムを剥離することにより、厚みが0.08mmの無端ベルトを得た。
得られた無端ベルトのヤング率は3,700Mpaであり、体積抵抗率は1×1012.0Ωcm、表面抵抗率は1×1014Ω/□であった。
得られたポリイミド樹脂からなる無端ベルトを、中間転写体とした。
ここで、比較例2における中間転写体の表面微小硬度について、前述の方法で測定したところ、27度であった。
<転写画質の評価>
得られた中間転写体を、図4に示す画像形成装置とほぼ同様な構成の富士ゼロックス(株)Docu Color1255CPに、中間転写ベルト22として装着し、更に、中間転写ベルト22の光除電手段として、除電ランプ91及び除電用導電部材90も図4に示すように装着した。ここで、除電ランプ91としては、赤色光LED(波長720nm)を用いた。除電用導電部材90としては、導電剤としてカーボンブラックを分散し、体積抵抗率を1×106Ωcmに調整してなるエピクロルヒドリンゴムロールを用いた。
このような画像形成装置を用いて、1次転写及び2次転写による転写画質について下記のように評価した。なお、ここで用いた記録紙61は、富士ゼロックスオフィスサプライ(株)フルカラー複写機用紙J紙である。
トナーとしては、形状係数(SF)125、体積平均粒子径5.5μmの球状トナーを用いた。
また、プリントサンプルは、画像パターンとして、1枚目は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各単色、2次色、3次色の2cm角大のソリッド、及びライン画像で構成されている。
[転写画質の評価]
転写画質(ホロキャラクター、ブラー)評価基準は以下の通りである。また、評価結果を下記表1に示す。
−転写画質(ホロキャラクター)−
初期画像におけるホロキャラクターの発生状況について、以下の基準により評価した。
◎:画質上の問題なし。
○:ホロキャラクターの発生がわずかであり、画質上の問題はない。
△:ホロキャラクターの発生は少しあるが、画質上の問題は少ない。
×:ホロキャラクターの発生があり、画質上の問題あり。
−転写画質(ブラー)−
初期画像におけるブラーの発生状況について、以下の基準により評価した。
◎:ブラーの発生なし。
○:ブラーの発生は、わずかであり、画質上での問題なし。
△:ブラーの発生は、少しあるが、画質上での問題は少ない。
×:ブラーの発生があり、画質上での問題あり。
−連続10000枚印刷後の転写画質−
○:ホロキャラクター又はブラーの発生はなく、画質上での問題なし。
△:ホロキャラクター又はブラーの発生は少しあるが、画質上での問題は少ない。
×:ホロキャラクター又はブラーの発生があり、画質上での問題あり。
Figure 2007041491
(評価結果)
実施例1〜8は、1枚目のプリントサンプルにおいて、ホロキャラクターやブラー(トナーの飛び散り)の無く、また、濃度ムラの無い均一な画像が得られた。また、2次転写直後では、中間転写ベルト22の表面電位は、−300V〜−400V程度の画像パターンに応じていると思われる表面電位ムラがあったが、除電ランプ91の点灯照射後に、除電用導電部材90による除電が行なわれると、中間転写ベルト22の表面電位は−10V〜−30Vの間で、ほぼ均一となった。
続いて、2枚目のプリントサンプルにおいても、濃度ムラ、ホロキャラクターやブラーの無い均一な画像が得られた。
また、同様に、連続して、10000枚出力したが、ホロキャラクター又はブラーの発生がごくわずかであり、良好な画像が得られた。
比較例1は、1枚目のプリントサンプルの2次転写直後では、中間転写ベルト22の表面電位は10V〜−30Vの間で、ほぼ均一となっているが、中間転写ベルト22の体積抵抗値が低く、1次転写後のベルト表面の電荷保持力が弱いので、ホロキャラクターやブラーの発生が見られたものの、ある程度均一な画像が得られた。
また、連続して、10000枚出力したが、ホロキャラクター又はブラーの発生が見られ、実施例1〜3と比較して、画像品質に劣ることが分かった。
比較例2は、1枚目のプリントサンプルにおいては、ホロキャラクターやブラーが多少見られたものの、ある程度均一な画像が得られた。しかし、2次転写直後では中間転写ベルト22の表面電位は−300V〜−400V程度の画像パターンに応じていると思われる表面電位ムラがあり、2枚目のプリントサンプルにおいては、濃度ムラが発生し、連続で画質評価はできなかった。
表面保護層の表面微小硬度の測定原理を示す模式図である。 本発明の中間転写体の構成例を示す概略断面図であり、(A)及び(B)は光導電層が多層構造である場合の構成例を示し、(C)は光導電層が単層構造である場合の構成例を示す。 円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。 本発明の画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す概略模試図である。 特許文献11である特開平7−146616号公報記載の技術の説明図である。 特許文献11である特開平7−146616号公報記載の技術の説明図である。 特許文献12である特開平5−257398号公報記載の技術の説明図である。 特許文献12である特開平5−257398号公報記載の技術により2色目の現像像を転写する場合に生じる問題点の説明図である。 特許文献13である特開平6−282181号公報記載の光照射により抵抗値の低下する中間転写体を使用して光照射により転写を行う技術の説明図である。 特許文献13である特開平6−282181号公報記載の加圧力により抵抗値の低下する中間転写体を使用して加圧力の印加により転写を行う技術の説明図である。
符号の説明
01 ブランケット(中間転写体)
02 感光体ドラム
1 中間転写体
10 針状圧子
12 中間転写体(像担持体との接触面を形成する層)
21 感光体ドラム(像担持体)
22 中間転写ベルト(中間転写体)
23 バイアスローラ(第二転写手段)
24 用紙トレー
25 ブラック現像器
26 イエロー現像器
27 マゼンタ現像器
28 シアン現像器
29 中間転写体クリーナー
33 剥離爪
41 ベルトローラ
42 バックアップローラ
43 ベルトローラ
44 ベルトローラ
45 導電性ローラ(第一転写手段)
46 電極ローラ
50 除電ロール
51 クリーニングブレード
61 記録紙
62 ピックアップローラ
63 フィードローラ
71 トナーカートリッジ
72 定着ロール
73 バックアップロール
74 テンションロール
75 2次転写ロール
76 用紙経路
77 用紙トレイ
78 レーザー発生装置
79 感光体
80 1次転写ロール
81 駆動ロール
82 転写クリーナー
83 帯電ロール
84 感光体クリ−ナー
85 現像器
86 中間転写ベルト(中間転写体)
90 除電用導電部材
91 除電ランプ(光除電手段)
100 中間転写体
110 基材
120 下引層
130 光導電層
132 電荷発生層
134 電荷輸送層
140 表面保護層
T トナー像
Q1 1次転写領域
Q2 2次転写領域
Q3 1次転写領域
Q4 2次転写領域
Q5 除電領域

Claims (2)

  1. 少なくとも、基材と該基材上に設けられた光導電層とを有し、像担持体との接触面の表面微小硬度が1〜10度であることを特徴とする中間転写体。
  2. 像担持体と、該像担持体と接触する請求項1に記載の中間転写体と、該中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材へと転写した後に、当該中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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