JP2007040212A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 この発明は、ポートインジェクタと筒内インジェクタとの双方を備えた内燃機関の制御装置に関し、空燃比を精度良く制御することを目的とする。
【解決手段】 ポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidの算出に際して、吸気の吹き返しによる誤差を補正するための吹き返し補正分を算入する。吹き返し補正分は、吹き返し燃料量fbを基礎とする。吹き返し燃料量fbは、筒内インジェクタの噴射割合が大きいほど、少なく推定される。また、吹き返し燃料量fbは、筒内インジェクタの噴射時期TDが遅いほど、少なく推定される。
【選択図】 図6

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、ポートインジェクタと筒内インジェクタとの双方を備えた内燃機関の制御装置に関する。
吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、筒内に燃料を噴射する筒内インジェクタとの双方を備えた内燃機関が知られている。特開平5−231221号公報には、このような内燃機関において、空燃比を精度良く制御するべく、ポートインジェクタから噴射された燃料のうち吸気ポート内壁に付着する分や、吸気ポート内壁に付着した燃料が筒内へ流入する分を考慮して、筒内インジェクタの噴射量を補正するシステムが開示されている。
特開平5−231221号公報 特許第2754744号公報
しかしながら、上記従来の空燃比制御技術では、実際上は空燃比を必ずしも十分な精度で制御することができず、その結果、排気エミッションやドライバビリティに悪影響を及ぼす場合があった。その原因は、ポートインジェクタと筒内インジェクタとの双方を備えた内燃機関に特有の現象に対する配慮が不十分であるためと考えられる。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ポートインジェクタと筒内インジェクタとの双方を備えた内燃機関における空燃比を精度良く制御することのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、
前記内燃機関の筒内に燃料を噴射する筒内インジェクタと、
前記筒内から前記吸気ポートへの吸気の吹き返し中に含まれる燃料の量を所定のパラメータに基づいて推定する吹き返し燃料量推定手段と、
前記吹き返し燃料量推定手段により推定された量に基づいて、吹き返しによる誤差を補正するための吹き返し補正分を算入して、前記ポートインジェクタから噴射するポート噴射量と前記筒内インジェクタから噴射する筒内噴射量とを算出する噴射量算出手段と、
を備え、
前記所定のパラメータは、前記ポートインジェクタと前記筒内インジェクタとの噴射割合を含み、
前記吹き返し燃料量推定手段は、前記筒内インジェクタの噴射割合が大きいほど、吹き返し燃料量を少なく推定することを特徴とする。
また、第2の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、
前記内燃機関の筒内に燃料を噴射する筒内インジェクタと、
前記筒内から前記吸気ポートへの吸気の吹き返し中に含まれる燃料の量を所定のパラメータに基づいて推定する吹き返し燃料量推定手段と、
前記吹き返し燃料量推定手段により推定された量に基づいて、吹き返しによる誤差を補正するための吹き返し補正分を算入して、前記ポートインジェクタから噴射するポート噴射量と前記筒内インジェクタから噴射する筒内噴射量とを算出する噴射量算出手段と、
を備え、
前記所定のパラメータは、前記筒内インジェクタの噴射開始時期を含み、
前記吹き返し燃料量推定手段は、前記筒内インジェクタの噴射開始時期が遅いほど、吹き返し燃料量を少なく推定することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記噴射量算出手段は、前記吹き返し補正分を前記ポート噴射量と前記筒内噴射量との双方に振り分けて算入する手段を含むことを特徴とする。
また、第4の発明は、第1または第2の発明において、
前記噴射量算出手段は、前記吹き返し補正分を前記筒内噴射量のみに算入する手段を含むことを特徴とする。
また、第5の発明は、第4の発明において、
前記吹き返し補正分が前記筒内噴射量のみに算入された場合に、前記筒内インジェクタの噴射開始時期を吸気弁が閉じた後の時期にする噴射時期制御手段を更に備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第4または第5の発明において、
前記噴射量算出手段は、前記吹き返し補正分を前記筒内噴射量のみに算入する際に、前サイクルの吹き返し補正分に対する今サイクルの吹き返し補正分の変化が判定値より大きい場合、前記吹き返し補正分の一部のみを前記筒内噴射量に算入する一部算入手段を含むことを特徴とする。
また、第7の発明は、第6の発明において、
前記吹き返し補正分が正の値であり、かつ、前記一部算入手段により前記吹き返し補正分の一部しか前記筒内噴射量に算入されなかった場合に、前記吹き返し補正分の残部に相当する量の燃料を排気行程において前記筒内インジェクタから噴射させる排気行程噴射手段を更に備えることを特徴とする。
また、第8の発明は、第6または第7の発明において、
前記吹き返し補正分が負の値であり、かつ、前記一部算入手段により前記吹き返し補正分の一部しか前記筒内噴射量に算入されなかった場合に、前記吹き返し補正分の残部を次サイクル以降の噴射量に算入することによって次サイクル以降の噴射量を減量させる噴射量減量手段を更に備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、ポートインジェクタと筒内インジェクタとの双方を備えた内燃機関における燃料噴射量を算出する場合において、吸気の吹き返しの影響による誤差を補正することができる。また、その吹き返し補正分の基礎とする吹き返し燃料量を、ポートインジェクタと筒内インジェクタとの噴射割合の影響を反映させた上で、推定することができる。このため、様々な運転状態の下で、吹き返し燃料量を、ひいては吹き返し補正分を、精度良く求めることができる。このようなことから、本発明によれば、上記内燃機関における空燃比を精度良く制御することができる。
第2の発明によれば、ポートインジェクタと筒内インジェクタとの双方を備えた内燃機関における燃料噴射量を算出する場合において、吸気の吹き返しの影響による誤差を補正することができる。また、その吹き返し補正分の基礎とする吹き返し燃料量を、筒内インジェクタの噴射開始時期の影響を反映させた上で、推定することができる。このため、様々な運転状態の下で、吹き返し燃料量を、ひいては吹き返し補正分を、精度良く求めることができる。このようなことから、本発明によれば、上記内燃機関における空燃比を精度良く制御することができる。
第3の発明によれば、吹き返し補正分がポート噴射量と筒内噴射量との双方に算入されるので、ポート噴射量と筒内噴射量との比率が、吹き返し補正分の算入前と変わらないようにすることができる。このため、本発明によれば、ポートインジェクタと筒内インジェクタとの噴射割合を目標値に容易かつ精度良く制御することができる。
第4の発明によれば、吹き返し燃料量の算出時期を遅らせ、実際の吹き返し量が確定する吸気弁閉弁時に近づけることが可能となる。このため、本発明によれば、吹き返し燃料量を、ひいては吹き返し補正分を、更に精度良く求めることができる。その結果、空燃比を更に精度良く制御することができる。
第5の発明によれば、吹き返し燃料量の算出時期を、実際の吹き返し量が確定する吸気弁閉弁時の近傍まで遅らせることが可能となる。このため、本発明によれば、吹き返し燃料量を、ひいては吹き返し補正分を、特に高い精度で求めることができる。その結果、空燃比を特に高い精度で制御することができる。
第6の発明によれば、吹き返し補正分の算入に起因してトルクショックが生じることを確実に回避することができる。
第7の発明によれば、トルクショック回避のために吹き返し補正分が一部しか燃料噴射量に算入されなかった場合において、その残部が算入されなかったことによる排気空燃比のずれを回復させることができる。このため、本発明によれば、触媒酸素吸蔵量のバランスを良好に保つことが容易となる。
第8の発明によれば、トルクショック回避のために吹き返し補正分が一部しか燃料噴射量に算入されなかった場合において、その残部が算入されなかったことによる排気空燃比のずれを回復させることができる。このため、本発明によれば、触媒酸素吸蔵量のバランスを良好に保つことが容易となる。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関6を備えている。内燃機関6は、複数の気筒を有する多気筒式の機関であり、図1は、そのうちの一気筒の断面を示している。内燃機関6の各気筒には、それぞれ、ピストン8と、燃焼室10と、吸気弁12と、排気弁14と、点火プラグ16と、筒内に連通する吸気ポート18および排気ポート20とが設けられている。吸気弁12は、燃焼室10と吸気ポート18とを導通状態または遮断状態とするように開閉する。排気弁14は、燃焼室10と排気ポート20とを導通状態または遮断状態とするように開閉する。
また、内燃機関6の各気筒に対しては、それぞれ、吸気ポート18内に燃料を噴射するポートインジェクタ22と、筒内(燃焼室10内)に燃料を直接噴射する筒内インジェクタ24とが設けられている。ポートインジェクタ22および筒内インジェクタ24には、それぞれ、図示しないポンプにより加圧された燃料が送り込まれている。内燃機関6では、各気筒に対して、ポートインジェクタ22と筒内インジェクタ24との双方から燃料を供給することができる。
吸気ポート18は、吸気通路30に連通している。吸気通路30の上流端にはエアクリーナ32が設けられ、空気はエアクリーナ32を介して吸気通路30内に取り込まれる。エアクリーナ32の下流には、エアフロメータ33が配置されている。エアフロメータ33は、吸気通路30内を流れる吸入空気量GAを検出するセンサである。吸気通路30の下流部は気筒毎(吸気ポート18毎)に分岐しており、その分岐部にはサージタンク34が設けられている。吸気通路30のサージタンク34の上流にはスロットルバルブ36が配置されている。スロットルバルブ36には、その開度を検出するためのスロットルポジションセンサ37が付設されている。スロットルバルブ36より下流には、吸気管圧力PMを検出する吸気圧センサ38が設けられている。
排気ポート20には、燃焼室10内での燃焼により生成された燃焼ガスを排出ガスとして排出するための排気通路40が接続されている。排気通路40には、排出ガスを浄化するための触媒42が設けられている。排気通路40における触媒42の上流には、排出ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ44が配置されている。
内燃機関6のクランク軸45の近傍には、クランク角センサ46が設置されている。クランク角センサ46は、クランク軸45が所定回転角だけ回転する毎に、Hi出力とLo出力を反転させるセンサである。クランク角センサ46の出力によれば、クランク軸45の回転位置や回転速度、更には、機関回転数NEなどを検知することができる。また、内燃機関6は、冷却水温TWを検出する水温センサ48を更に備えている。
内燃機関6の吸気弁12は、可変動弁機構50により駆動される。可変動弁機構50は、クランク軸45の回転と同期して吸気弁12を開閉させると共に、そのバルブタイミングVTおよびバルブリフト量VLを変更することができる。可変動弁機構50の近傍には、可変動弁機構50の状態を検知するセンサ52が設けられている。センサ52の出力によれば、吸気弁12のバルブタイミングVTおよびバルブリフト量VLの現実値を検出することができる。
本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)60を備えている。ECU60には、上述したエアフロメータ33、空燃比センサ44等の各種センサと、上述したポートインジェクタ22、筒内インジェクタ24、可変動弁機構50等の各種アクチュエータが接続されている。ECU60は、それらの各センサの出力に基づいて、各アクチュエータを適当に駆動することにより、内燃機関6の運転状態を制御することができる。
[燃料挙動モデル]
図2および図3は、本実施形態で用いる燃料挙動モデルを説明するための図である。この燃料挙動モデルは、ポートインジェクタ22および筒内インジェクタ24から噴射された後の燃料の挙動を表すモデルである。
ポートインジェクタ22から噴射された燃料は、その一部が吸気ポート18の内壁や吸気弁12の外側に付着し、その残部が筒内に吸入されると考えられる。本モデルでは、図2に示すように、ポートインジェクタ22から噴射される燃料の量をポート噴射量fipとし、吸気ポート18の内壁に付着している燃料(以下、「ポート付着燃料」と称する)の総量をポート付着量fwpとし、吸気弁12に付着している燃料(以下、「吸気弁付着燃料」と称する)の総量を吸気弁付着量fwvとする。なお、図2においては、ポート付着量fwp、吸気弁付着量fwvがそれぞれ一箇所にまとまって描かれているが、実際にはポート付着燃料や吸気弁付着燃料が一箇所にまとまって付着するとは限らない。
一方、筒内インジェクタ24から噴射された燃料は、その一部がシリンダ内壁や燃焼室10の内壁に付着し、その残部が気化して燃焼に寄与すると考えられる。本モデルでは、図2に示すように、筒内インジェクタ24から噴射される燃料の量を筒内噴射量fidとし、シリンダ内壁や燃焼室10の内壁に付着している燃料(以下、「筒内付着燃料」と称する)の総量を筒内付着量fwcとする。なお、図2においては、筒内付着量fwcが一箇所にまとまって描かれているが、実際には筒内付着燃料が一箇所にまとまって付着するとは限らない。
図3中のfcpは、吸気ポート18から筒内へ吸入される燃料の量(以下、「筒内燃料吸入量」と称する)を表している。以下、図3を参照しつつ、本モデルにおける筒内燃料吸入量fcpの算出の仕方について説明する。
本モデルでは、ポートインジェクタ22から噴射された燃料のうち、吸気ポート18の内壁に付着する割合を「ポート付着率Rp」と定義し、吸気弁12に付着する割合を「吸気弁付着率Rv」と定義する。この定義によれば、ポート噴射量fipのうち、筒内に吸入されることなくポート付着燃料に加わる量は、「Rp・fip」で表される。また、ポート噴射量fipのうち、筒内に吸入されることなく吸気弁付着燃料に加わる量は、「Rv・fip」で表される。一方、ポート噴射量fipのうち、噴射された後にそのまま筒内に吸入される量は「(1-Rp-Rv)・fip」で表される。
筒内燃料吸入量fcpには、上記の演算式(1-Rp-Rv)・fipで表される量のほかに、ポート付着燃料の気化分と、吸気弁付着燃料の気化分とが加算される。本モデルでは、今サイクル開始時(吸気弁12の開弁前)にあったポート付着燃料のうち、今サイクルにおいて筒内に吸入されずに付着したまま残る割合を「ポート残留率Pp」と定義する。この定義によれば、「(1-Pp)・fwp」で表される量の燃料が今サイクルにおいてポート付着燃料の気化分として筒内に吸入されることになる。一方、ポート付着量fwpのうち、「Pp・fwp」で表される量は、今サイクル終了後にそのまま残る。同様にして、本モデルでは、今サイクル開始時にあった吸気弁付着燃料のうち、今サイクルにおいて筒内に吸入されずに付着したまま残る割合を「吸気弁残留率Pv」と定義する。この定義によれば、「(1-Pv)・fwv」で表される量の燃料が今サイクルにおいて吸気弁付着燃料の気化分として筒内に吸入されることになる。一方、吸気弁付着量fwvのうち、「Pv・fwv」で表される量は、今サイクル終了後にそのまま残る。
上述したポート付着率Rp、吸気弁付着率Rv、ポート残留率Pp、吸気弁残留率Pvや、後述する筒内付着率Rc、筒内残留率Pcは、それぞれ、内燃機関6の運転状態に応じて変化する特性を有している。また、本モデルによれば、上述したポート付着量fwp、吸気弁付着量fwv、筒内付着量fwcは、それぞれ、新たな付着による増加と気化による減少との収支により、内燃機関6が1サイクル動作する毎に変化していく。そこで、以下では、第kサイクルにおけるそれらの値を表す際には、それらの符号の後に(k)を付すこととする。なお、ポート付着量fwp、吸気弁付着量fwvおよび筒内付着量fwcの初期値fwp(0)、fwc(0)およびfwc(0)は、いずれもゼロである。
以上より、第kサイクルにおける筒内燃料吸入量fcp(k)は、次式(1)のように表すことができる。また、第kサイクル終了後、つまり第k+1サイクル開始時における、ポート付着量fwp(k+1)および吸気弁付着量fwv(k+1)は、それぞれ、次式(2)および(3)のように表すことができる。
Figure 2007040212
一方、図3中のfcdは、筒内で気化して燃焼に寄与する燃料の量(以下、「筒内燃料気化量」と称する)を表している。以下、図3を参照しつつ、本モデルにおける筒内燃料気化量fcdの算出の仕方について説明する。
本モデルでは、筒内インジェクタ24から噴射された燃料のうち、シリンダ内壁や燃焼室10の内壁に付着する割合を「筒内付着率Rc」と定義する。この定義によれば、筒内噴射量fidのうち、気化することなく筒内付着燃料に加わる量は、「Rc・fid」で表される。一方、筒内噴射量fidのうち、噴射後そのまま気化する量は「(1-Rc)・fid」で表される。
筒内燃料気化量fcdには、上記の演算式(1-Rc)・fidで表される量のほかに、筒内付着燃料の気化分が加算される。本モデルでは、今サイクル開始時にあった筒内付着燃料のうち、今サイクルにおいて気化することなく付着したまま残る割合を「筒内残留率Pc」と定義する。この定義によれば、「(1-Pc)・fwc」で表される量の燃料が今サイクルにおける筒内付着燃料の気化分に相当する。一方、筒内付着量fwcのうち、「Pc・fwc」で表される量は、今サイクル終了後にそのまま残る。
以上より、第kサイクルにおける筒内燃料気化量fcd(k)は、次式(4)のように表すことができる。また、第kサイクル終了後、つまり第k+1サイクル開始時における、筒内付着量fwc(k+1)は、次式(5)のように表すことができる。
Figure 2007040212
以下、第kサイクルにおいて、筒内で燃焼に寄与し得る燃料の量(以下、「燃焼寄与燃料量」と称する)をfc(k)と表す。第kサイクルにおける燃焼寄与燃料量fc(k)は、以上説明した燃料挙動モデルによれば、筒内燃料吸入量fcp(k)と、筒内燃料気化量fcd(k)との和と考えられるので、次式(6)のように表すことができる。
Figure 2007040212
[吹き返し燃料量fbの推定]
上述した燃料挙動モデルによれば、噴射された燃料の壁面への付着分や、壁面に付着している燃料の気化分を考慮することができる。このため、所望の空燃比を実現する上で、燃料噴射量を精度良く算出することができる。本実施形態では、更なる精度向上を図るため、このような燃料挙動モデルに、吸気の吹き返し分の補正を加えることとする。
ここで、吸気の吹き返しとは、筒内に一旦吸入された新気が、吸気弁12が閉じる前に、吸気ポート18へ逆流することである。一般に、内燃機関においては、吸気慣性を有効に利用して吸入効率を高める等の理由から、吸気弁12は、下死点を過ぎた後に閉じることとされる。このため、吸気下死点を過ぎてピストン8が上昇し始め、かつ吸気弁12がまだ閉じていない状態では、筒内から吸気ポート18への新気の逆流が起こり得る。
このような吸気の吹き返しに伴い、その中に含まれる燃料も筒内から吸気ポート18へ戻されることとなる。以下では、吸気の吹き返し中に含まれる燃料を「吹き返し燃料」と称する。また、吹き返し燃料の量を「吹き返し燃料量」と称し、符号fbで表すこととする。本実施形態では、吹き返し燃料量fbを推定し、その推定値に基づいて、吸気の吹き返しの影響による誤差を補正する。本実施形態のような、ポートインジェクタ22および筒内インジェクタ24の双方を備えた内燃機関6においては、吹き返し燃料には、ポートインジェクタ22から噴射された燃料と、筒内インジェクタ24から噴射された燃料とのいずれもが含まれ得る。
吹き返し燃料量fbは、内燃機関6の運転状態に応じて変化する。より具体的には、吹き返し燃料量fbは、内燃機関6の機関回転数NEや、負荷率KL(あるいは吸気管圧力PM)、吸気弁12のバルブタイミングVTおよびバルブリフト量VL、更には、ポート噴射量fipと筒内噴射量fidとを合計した全噴射量fiといったパラメータに応じて変化する。例えば、全噴射量fiが多いほど、吹き返し燃料量fbは多くなる。また、吸気弁12のバルブリフト量VLが大きいほど、吹き返し燃料量fbは多くなる。したがって、吹き返し燃料量fbを様々な運転状態において常に精度良く推定するためには、それらのパラメータの値に応じた吹き返し燃料量fbを算出する必要がある。
そこで、本実施形態では、機関回転数NE、負荷率KL、バルブタイミングVT、バルブリフト量VLおよび全噴射量fiの各々に対する吹き返し燃料量fbの依存性を予め把握しておき、それらの依存性を表す情報をECU60に記憶させておく。そして、ECU60は、それらの依存性を反映させて、吹き返し燃料量fbを算出する。これにより、様々な運転状態下において、吹き返し燃料量fbを精度良く推定することが可能となる。
ところで、本実施形態のシステムでは、筒内インジェクタ24の燃料噴射開始時期(以下、「筒内噴射開始時期」と称する)TDは、固定されてはおらず、内燃機関6の運転状態に応じて最適となるように調整される。図4は、吹き返し燃料量fbと筒内噴射開始時期TDとの関係を、他のパラメータを一定にした条件下で表したグラフである。図4に示されるように、本実施形態の内燃機関6においては、吹き返し燃料量fbは、筒内噴射開始時期TDにも依存する。その訳は、次の通りである。
上述したように、吹き返し燃料には、ポートインジェクタ22から噴射された分と、筒内インジェクタ24から噴射された分とが含まれ得る。一方、筒内インジェクタ24の噴射期間が吸気弁閉弁時をまたぐ場合、吸気弁閉弁時以後に噴射される燃料については、吹き返しによって吸気ポート18に戻ることはない。このため、図4に示されるように、筒内インジェクタ24の噴射期間のうち吸気弁開弁期間と重なる期間が短くなると、これに比例するようにして、筒内噴射量fidのうち吸気ポート18へ吹き返す分が少なくなる。そして、筒内噴射開始時期TDが吸気弁閉弁時以後になると、筒内噴射量fidのうち吸気ポート18へ吹き返す分はゼロになり、筒内噴射量fidの全部が筒内に残る。このため、図4中、筒内噴射開始時期TDが吸気弁閉弁時以後になる範囲においては、吹き返し燃料量fbは、ポートインジェクタ22から噴射された分だけになるので、一定の値をとる。
このようにして、吹き返し燃料量fbは、他のパラメータを一定にした場合、筒内噴射開始時期TDが遅いほど少なくなる。本実施形態では、吹き返し燃料量fbの推定に際し、このような傾向を反映させるべく、吹き返し燃料量fbの推定の基礎とするパラメータに、筒内噴射開始時期TDを加えることとした。これにより、本実施形態では、吹き返し燃料量fbを更に精度良く推定することができる。
また、本実施形態では、吹き返し燃料量fbは、ポートインジェクタ22と筒内インジェクタ24との噴射割合にも依存する。本実施形態では、この噴射割合を表すのに、噴き分け率γを用いることとする。噴き分け率γは、ポート噴射量fipと筒内噴射量fidとの合計を1としたときのポート噴射量fipの比率である。すなわち、ポート噴射量fip:筒内噴射量fid=γ:(1-γ)となる。本実施形態のシステムでは、この噴き分け率γは、固定されてはおらず、内燃機関6の運転状態に応じて最適となるように調整される。
図5は、吹き返し燃料量fbと噴き分け率γとの関係を、他のパラメータを一定にした条件下で表したグラフである。上述したように、筒内インジェクタ24から噴射される燃料のうち、吸気弁閉弁時以後に噴射される燃料については、吹き返しによって吸気ポート18に戻ることはない。つまり、筒内インジェクタ24から噴射される燃料は、ポートインジェクタ22から噴射される燃料に比べて、吹き返しにくいと言える。このため、図5に示されるように、筒内噴射の割合が高いほど、換言すれば噴き分け率γが0に近いほど、吹き返し燃料量fbは少なくなる。
そこで、本実施形態では、吹き返し燃料量fbの推定に際し、このような傾向を反映させるべく、吹き返し燃料量fbの推定の基礎とするパラメータに、噴き分け率γを加えることとした。これにより、本実施形態では、吹き返し燃料量fbを更に精度良く推定することができる。
[ポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidの算出]
次に、所望の空燃比を実現するために必要なポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidを、上述したモデルに基づいて算出する方法について説明する。
本実施形態では、ポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidを更に良い精度で算出するために、筒内残留ガスの影響を考慮する。内燃機関においては、一般に、既燃ガスを筒内から完全に排出することは困難であるため、既燃ガスの一部は次回サイクルまで筒内に残留する。以下では、第kサイクル終了後、つまり第k+1サイクル開始時に筒内に残留するガス中に含まれる燃料(既燃、未燃を問わない)の量を「筒内残留燃料量fr(k)」と表す。
以下、第kサイクルにおける吹き返し燃料量をfb(k)と表す。また、第kサイクルの動作によって排気ポート20へ送り出される排出ガス中に含まれる燃料(既燃、未燃を問わない)の量を「排出燃料量fex(k)」と表す。このfex(k)は、上述した燃焼寄与燃料量fc(k)に、吹き返しの影響に対する補正と、筒内残留ガスの影響に対する補正とを加えることにより、正確に算出することができる。すなわち、第kサイクルにおける排出燃料量fex(k)は、次式(7)のように表すことができる。
Figure 2007040212
上記(7)式の右辺における-fb(k)なる項は、今サイクルにおいて吹き返した分が減算されることを意味する。また、+fb(k-1)なる項は、前サイクルにおいて吹き返した分が今サイクルにおいて吸入されることによって加算されることを意味する。また、-fr(k)なる項は、今サイクルにおいて筒内に残留して排出されなかった分が減算されることを意味する。また、+fr(k-1)なる項は、前サイクルから筒内に残留していた分が今サイクルにおいて排出されることによって加算されることを意味する。
また、上記(7)式の右辺の2〜3行目は、右辺1行目のfc(k)に上記(6)式を代入したものである。
以下、第kサイクルにおける噴き分け率をγ(k)と表す。これにより、噴き分け率γの定義から、次式(8)が成り立つ。
また、第kサイクルにおける目標空燃比をα(k)とし、第kサイクルにおいて筒内に吸入された空気量(以下、「筒内吸入空気量」と称する)をm(k)とすると、目標空燃比α(k)を実現するために要求される条件は、次式(9)で表すことができる。
Figure 2007040212
上記(7)式に上記(8)式および(9)式を代入して、fip(k)とfid(k)についてそれぞれ解くことにより、次式(10)および(11)が得られる。
Figure 2007040212
本実施形態では、上記(10)式および(11)式に基づいて、ポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidを算出する。本実施形態では、上記(10)式および(11)式中のfb(k)、fb(k-1)を含む項で表される量が、吹き返しによる誤差を補正するための吹き返し補正分に相当する。本実施形態では、この吹き返し補正分を算入してポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidを算出することにより、吹き返しの影響による空燃比の誤差(ずれ)を正確に補正することができるので、目標空燃比α(k)を精度良く実現することができる。
[実施の形態1における具体的処理]
図6は、上述した機能を実現するために本実施形態においてECU60が実行するルーチンのフローチャートを示す。なお、このルーチンは、内燃機関6の気筒毎に別々に実行される。また、このルーチンは、対象とする気筒が1サイクル動作する毎に実行される。
図6に示すルーチンによれば、まず、現在の内燃機関6の状態を表す各種のパラメータが取得される(ステップ100)。具体的には、ここでは、機関回転数NE、負荷率KL、バルブタイミングVT、バルブリフト量VL、全噴射量fi、筒内吸入空気量m、吸気管圧力PM、冷却水温TWなど、内燃機関6の運転状態を表す物理量が、計測により、あるいは公知の演算により求められる。ここで、負荷率KLは、スロットルバルブ36を全開にしたときに得られる吸入空気量と、実吸入空気量GAとの比率であり、エアフロメータ33の出力等に基づいて算出することができる。また、筒内吸入空気量mは、エアフロメータ33の出力、あるいは、吸気圧センサ38の出力に基づいて算出することができる。
なお、ECU60は、別のルーチンにおいて、内燃機関6の運転状態等に基づいて、目標空燃比αを逐次設定している。上記ステップ100の処理において、全噴射量fiは、この目標空燃比αと、筒内吸入空気量mとに基づいて算出される。このようにして算出された全噴射量fiは、実際に噴射される量ではなく、図6に示すルーチン中の後述するステップ108の処理において、吹き返し燃料量fbを算出する基礎として近似的に用いられるものである。
図6に示すルーチンでは、次に、ポート付着率Rp、吸気弁付着率Rv、筒内付着率Rc、ポート残留率Pp、吸気弁残留率Pvおよび筒内残留率Pcをそれぞれ算出する処理が実行される(ステップ102)。ECU60は、それらの値を、内燃機関6の状態を表す各種のパラメータ(例えば、機関回転数NE、負荷率KL、バルブタイミングVT、冷却水温TW等)との関係で定めたマップを記憶している。ここでは、そのマップを参照して、現在の運転状態に応じた値が算出される。
次に、目標とする筒内噴射開始時期TDを算出する処理が行われる(ステップ104)。ECU60は、最適な筒内噴射開始時期TDを、内燃機関6の状態を表す各種のパラメータとの関係において定めたマップを記憶している。ここでは、そのマップを参照することにより、現在の運転状態に適した筒内噴射開始時期TDが目標として設定される。
次に、目標とする噴き分け率γを算出する処理が行われる(ステップ106)。ECU60は、最適な噴き分け率γを、内燃機関6の状態を表す各種のパラメータとの関係において定めたマップを記憶している。ここでは、そのマップを参照することにより、現在の運転状態に適した噴き分け率γが目標として設定される。
次に、吹き返し燃料量fbを算出する処理が次のようにして行われる(ステップ108)。ECU60は、所定の基準吹き返し燃料量を記憶している。更に、ECU60は、吹き返し燃料量fbに影響を及ぼす複数のパラメータである機関回転数NE、負荷率KL、バルブタイミングVT、バルブリフト量VL、全噴射量fi、筒内噴射開始時期TDおよび噴き分け率γの各々について、それらの影響を反映させるための補正係数を定めたマップを記憶している。そして、ECU60は、それらのマップを参照して各パラメータ毎の補正係数を取得し、それらの補正係数を上記基準吹き返し燃料量にすべて掛け合わせることにより、吹き返し燃料量fbを算出する。
上記ステップ108の処理において、筒内噴射開始時期TDについての補正係数を定めたマップとしては、図4に示すような傾向を吹き返し燃料量fbに反映させることが可能なマップが用いられる。これにより、筒内噴射開始時期TDの違いが及ぼす影響を正確に織り込むことができるので、現実の値により合致した吹き返し燃料量fbを求めることができる。
また、上記ステップ108の処理において、噴き分け率γについての補正係数を定めたマップとしては、図5に示すような傾向を吹き返し燃料量fbに反映させることが可能なマップが用いられる。これにより、噴き分け率γの違いが及ぼす影響を正確に織り込むことができるので、現実の値により合致した吹き返し燃料量fbを求めることができる。
図6に示すルーチンでは、次に、筒内残留燃料量frを算出する処理が行われる(ステップ110)。ECU60は、筒内残留燃料量frの値を、内燃機関6の状態を表す各種のパラメータとの関係で定めたマップを記憶している。ここでは、そのマップを参照して、現在の運転状態に応じた値が算出される。
次に、ポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidを次のようにして算出する処理が行われる(ステップ112)。ECU60は、上記(10)式および(11)式を記憶している。ECU60は、それらの式に、今回の処理サイクルの上記ステップ102〜110で算出された値と、前回の処理サイクル時の上記ステップ110で算出された値とを代入する。また、ECU60は、後述するステップ118で算出される吹き返し燃料量fbの前回の処理サイクル時の値を、上記(10)式および(11)式中の「fb(k-1)」として代入する。更に、ECU60は、後述するステップ114で算出されるポート付着量fwp、吸気弁付着量fwvおよび筒内付着量fwcの前回の処理サイクル時の値を上記(10)式および(11)式に代入する。このような処理により、ポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidを算出することができる。
なお、ECU60は、別のルーチンにおいて、現在の運転状態に適したポート噴射時期を設定している。そのポート噴射時期に合わせて、上記ステップ112で算出されたポート噴射量fipの分の燃料がポートインジェクタ22から噴射される。また、上記ステップ104で算出された筒内噴射開始時期TDに合わせて、上記ステップ112で算出された筒内噴射量fidの分の燃料が筒内インジェクタ24から噴射される。
図6に示すルーチンでは、次に、ポート付着量fwp、吸気弁付着量fwvおよび筒内付着量fwcを算出する処理が行われる(ステップ114)。ECU60は、上記(2)式、(3)式および(5)式を記憶している。ECU60は、それらの式に、今回の処理サイクルの上記ステップ102および108で算出された値と共に、前回の処理サイクル時に求めたポート付着量fwp、吸気弁付着量fwvおよび筒内付着量fwcを代入することにより、ポート付着量fwp、吸気弁付着量fwvおよび筒内付着量fwcを最新値に更新することができる。このようにして更新されたポート付着量fwp、吸気弁付着量fwvおよび筒内付着量fwcの値は、次回の処理サイクルでの吹き返し燃料量fbの算出(ステップ108)に用いられる。
図6に示すルーチンでは、次に、対象とする気筒の吸気弁12が閉じたか否かを判断する(ステップ116)。この判断は、クランク角センサ46によって検出されるクランク軸45の回転位置や、センサ52によって検出されるバルブタイミングVTなどに基づいて行われる。
上記ステップ116において吸気弁12が閉じたと判断された後、吹き返し燃料量fbを最新の情報に基づいて再度算出する処理が行われる(ステップ118)。ここで再計算された吹き返し燃料量fbは、既述した通り、次回の処理サイクルでのポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidの算出時(ステップ112)に、fb(k-1)として用いられる。
上記ステップ118において吹き返し燃料量fbを再計算する理由は、次の通りである。吸気の吹き返しは吸気弁12が開弁しているときに生じるので、吸気弁12が閉じた瞬間に実際の吹き返し量が確定する。このため、吸気弁閉弁時に算出した吹き返し燃料量fbは、現実の値に更に近いものとなる。よって、吸気弁閉弁時に再計算した吹き返し燃料量fbを、次回の処理サイクルでfb(k-1)として使用することにより、ポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidを更に精度良く算出することができる。
以上説明した通り、図6に示すルーチンによれば、吹き返し燃料量fbに、筒内噴射開始時期TDの影響および噴き分け率γの影響を反映させることにより、吹き返し燃料量fbを精度良く推定することができる。そして、その吹き返し燃料量fbに基づく吹き返し補正分をポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidの計算に算入することにより、様々な運転状態の下で、実際の空燃比を目標空燃比αに精度良く制御することができる。
また、本実施形態では、上記(10)式および(11)式を見て分かる通り、吹き返し補正分がポート噴射量fipと筒内噴射量fidとの双方に振り分けて算入される。その結果、目標とされた噴き分け率γを満足するようにポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidを算出することができる。このため、実際の噴き分け率γを容易かつ精度良く制御することができる。
ところで、上述した実施の形態1では、吸気弁12が閉じるのを待って(上記ステップ116)、吹き返し燃料量fbを再計算する(上記ステップ118)ようにしているが、本発明では、これらの処理は行わなくても良い。すなわち、上記ステップ108で算出された吹き返し燃料量fbを、次回の処理サイクルのステップ112において「fb(k-1)」として用いるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1では、吹き返し燃料量fbを推定する基礎とするパラメータに、筒内噴射開始時期TDと噴き分け率γとの双方を含ませることとしているが、本発明では、筒内噴射開始時期TDと噴き分け率γとの何れか一方のみを含ませることとしてもよい。その場合においても、吹き返し燃料量fbを十分な精度で推定することができる。
また、吹き返し燃料量fbを推定する基礎とするパラメータのうち筒内噴射開始時期TDおよび噴き分け率γ以外のものについては、上述した実施の形態1で述べたものが必ずしもすべて含まれていなくても良い。例えば、吸気弁12の可変動弁機構50を備えないシステムの場合には、バルブタイミングVTおよびバルブリフト量VLは、吹き返し燃料量fbを推定する基礎とするパラメータに含める必要はない。逆に、吹き返し燃料量fbを推定する基礎とするパラメータとして、上述した実施の形態1で述べていないものが更に含まれていても良い。
また、上述した実施の形態1においては、吹き返し燃料量fbの算出を、複数のマップを参照して得られる複数の補正係数を基準となる量に乗算する方法によって行っているが、吹き返し燃料量fbの算出方法は、このような方法に限定されるものではない。例えば、吸気ポート18内の流量を算出することが可能な公知のシリンダモデルを使用する方法を採ってもよい。その場合、シリンダモデルにより算出される吸気ポート18内の流量を、吹き返しが生じている期間中に渡って積算することにより、総吹き返し量を算出することができる。その総吹き返し量に基づいて、吹き返し燃料量fbを算出することができる。
また、上述した実施の形態1においては、機関回転数NE、負荷率KL、バルブタイミングVT、バルブリフト量VL、全噴射量fi、筒内噴射開始時期TDおよび噴き分け率γが前記第1および第2の発明における「所定のパラメータ」に相当している。また、ECU60が、上記ステップ108の処理を実行することにより前記第1および第2の発明における「吹き返し燃料量推定手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより、前記第1および第2の発明における「噴射量算出手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU60が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第3の発明における「振り分けて算入する手段」が実現されている。
実施の形態2.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。本実施形態のシステムは、図1に示すハードウェア構成を用いて、ECU60に、後述する図7に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
[実施の形態2の特徴]
既述した通り、実施の形態1においては、吹き返し補正分を、ポート噴射量fipと筒内噴射量fidとの双方に振り分けて算入する。これに対し、本実施形態においては、吹き返し補正分を筒内噴射量fidのみに一括して算入する。以下、本実施形態におけるポート噴射量fipおよび筒内噴射量fidの算出方法について、具体的に説明する。
[ポート噴射量fipの算出]
本実施形態では、既述した筒内燃料吸入量fcp(k)と、目標空燃比α(k)と、筒内吸入空気量m(k)と、噴き分け率γ(k)との間に次式の関係が成り立つように、ポート噴射量fipを設定する。
fcp(k)=γ(k)・m(k)/α(k) ・・・(12)
上記(1)式および(12)式から、ポート噴射量fipは、次式のように算出することができる。
Figure 2007040212
[筒内噴射量fidの算出]
排出燃料量fex(k)は、既述した通り、吹き返しの影響と、筒内残留ガスの影響とを考慮することにより、次式のように表すことができる。
fex(k)=fcp(k)+fcd(k)+fb(k-1)+fr(k-1)-fb(k)-fr(k) ・・・(14)
上記(4)式、(9)式、(12)式および(14)式から、筒内噴射量fidは、次式のように算出することができる。
Figure 2007040212
[吹き返し補正分fbc]
上記(15)式の右辺の2段目は、右辺1段目のfb(k)、fb(k-1)を含む項をまとめてfbcとして置き換えたものである。本実施形態では、このfbcが、吹き返しによる誤差を補正するための吹き返し補正分に相当する。すなわち、吹き返し補正分fbcは、次式で表される。
fbc(k)={fb(k-1)-fb(k)}/{1-Rc(k)} ・・・(16)
本実施形態では、ECU60は、上記(13)式、(15)式および(16)式を記憶している。
本実施形態では、上記吹き返し補正分fbcを筒内噴射量fidのみに算入することにより、次のような利点がある。吹き返し補正分fbcの基礎となるのは、吹き返し燃料量fbである。そして、実際の吹き返し量が確定するのは、既述した通り、吸気弁閉弁時である。このため、最も現実に合致した吹き返し燃料量fbを算出することができる時期は、吸気弁閉弁時の近傍である。一方、吸気弁12が閉じた後では、ポートインジェクタ22から噴射した燃料を筒内に供給することはできないので、ポート噴射時期は吸気弁閉弁時より前とされる。このため、吹き返し補正分fbcをポート噴射量fipに算入する場合には、吹き返し燃料量fbは、吸気弁閉弁時よりも前に算出しておかなければならない。
これに対し、筒内噴射の場合には、吸気弁12が閉じた後も、つまり圧縮行程においても、筒内に燃料を供給することができる。したがって、吹き返し補正分fbcを筒内噴射量fidのみに算入する場合には、吸気弁閉弁時まで待ってから吹き返し燃料量fbを算出した場合でも、吸気弁閉弁後の圧縮行程時に、吹き返し補正分fbcを加味した筒内噴射を行うことが可能である。すなわち、本実施形態では、吸気弁閉弁時まで待ってから最新の情報に基づいて吹き返し燃料量fbを求めることができるので、吹き返し燃料量fbを最良の精度で算出することができる。このため、吹き返しの影響による空燃比のずれを更に精度良く補正することができる。
本実施形態では、上記の理由から、筒内噴射開始時期TDを吸気弁閉弁後の圧縮行程中とする。図4を参照して既述した通り、筒内噴射開始時期TDが吸気弁閉弁時以後になる範囲においては、吹き返し燃料量fbは、筒内噴射開始時期TDによらず一定の値をとる。従って、本実施形態では、吹き返し燃料量fbの推定の基礎とするパラメータに、筒内噴射開始時期TDを加える必要がない。このため、吹き返し燃料量fbを筒内噴射開始時期TDによらずに推定することとした。
ところで、吹き返し補正分fbcは、上記(16)式を見て分かる通り、前サイクルに生じた吹き返し燃料量fb(k-1)と今サイクルに生じた吹き返し燃料量fb(k)との収支に基づくものである。このため、吹き返し補正分fbcは、正の値にも負の値にもなり得る。つまり、吹き返し補正分fbcは、増量補正となる場合と、減量補正となる場合との両方がある。
定常運転時には、一般に、この吹き返し補正分fbcのサイクル毎の変動は小さいものとなる。これに対し、過渡運転時には、吹き返し補正分fbcのサイクル毎の変動が大きくなり易い。吹き返し補正分fbcが前サイクルでの値に対して大きく変化した場合には、今サイクルの燃料噴射量が前サイクルに比べて急増または急減し易いので、今サイクルと前サイクルとの間のトルク段差が生じ易い。このトルク段差が大きくなり過ぎると、トルクショックが生じ易くなる。
そこで、本実施形態では、吹き返し補正に起因してトルクショックが生じることを確実に回避するため、吹き返し補正分fbcが前サイクルでの値に対して大きく変化した場合には、吹き返し補正分fbcの一部のみを筒内噴射量fidに算入することとした。これにより、今サイクルと前サイクルとの間のトルク段差に起因するトルクショックが生じるのを確実に回避することができる。
ところで、触媒42に良好な排気浄化作用を発揮させるためには、触媒42の酸素吸蔵量(以下、「触媒酸素吸蔵量」と称する)を適度な範囲に保つ必要がある。このため、本実施形態のシステムにでは、触媒酸素吸蔵量を適度な範囲に制御するべく、空燃比を調整することが行われる。このようなシステムにおいて、上述したトルクショック防止のために吹き返し補正分fbcの一部しか筒内噴射量fidに算入しなかった場合には、目標空燃比αからのずれが大きくなり易いので、触媒酸素吸蔵量を制御し難くなり易い。
例えば、吹き返し補正分fbcが正の値であり、かつ、吹き返し補正分fbcの一部しか筒内噴射量fidに算入されなかった場合には、燃料の総噴射量が目標空燃比αを達成するには足りないこととなるので、触媒酸素吸蔵量が過多になり易い。そこで、本実施形態では、このような場合であって、実際に触媒酸素吸蔵量に過多になっている場合には、吹き返し補正分fbcのうち筒内噴射量fidに算入されなかった分に相当する量の燃料を排気行程において筒内インジェクタ24から噴射させることとした。この排気行程において噴射された燃料は、燃焼に寄与しないので、トルクを増大させることがない。よって、トルクの急増によるトルクショックを発生させることなく、触媒酸素吸蔵量のバランスを保つことができる。
一方、吹き返し補正分fbcが負の値であり、かつ、吹き返し補正分fbcの一部しか筒内噴射量fidに算入されなかった場合には、燃料の総噴射量が目標空燃比αを達成する量より多くなることとなるので、触媒酸素吸蔵量が不足し易い。そこで、本実施形態では、このような場合であって、実際に触媒酸素吸蔵量に不足している場合には、吹き返し補正分fbcのうち筒内噴射量fidに算入されなかった分を次サイクルのポート噴射量fipに算入することにより、次サイクルのポート噴射量fipを減量させることとした。すなわち、吹き返し補正分fbcを今サイクルと次サイクルとに分散させることで、燃料噴射量の減少によるトルク段差を分散させて小さくすることができる。このため、トルクショックを発生させることなく、触媒酸素吸蔵量のバランスを保つことができる。
[実施の形態2における具体的処理]
図7は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU60が実行するルーチンのフローチャートである。なお、このルーチンは、内燃機関6の気筒毎に別々に実行される。また、このルーチンは、対象とする気筒が1サイクル動作する毎に実行される。
図7に示すルーチンによれば、まず、フラグFに1がセットされているか否かが判別される(ステップ130)。このフラグFの意味するところについては後述する。フラグFの初期値は0とされている。このため、本ルーチンが初めて実行された際には、上記ステップ130においてF=1の不成立が認められる。この場合には、次に、ポート噴射量fipが算出される(ステップ132)。このポート噴射量fipの算出は、次のようにして行われる。
ECU60は、既述した図6に示すルーチンと同様にして、付着量fwp、fwv、fwcをサイクル毎に最新値に更新している。また、上記ステップ132においては、図6に示すルーチン中のステップ102、106および110と同様の処理が行われ、付着率Rp、Rv、Rc、残留率Pp、Pv、Pc、噴き分け率γ、筒内残留燃料量frとが算出される。ECU60は、これらのパラメータを上記(13)式に代入することにより、ポート噴射量fipを算出する。
図7に示すルーチンでは、次に、算出されたポート噴射量fipの分の燃料がポートインジェクタ22から噴射される(ステップ134)。このポート噴射の時期は、吸気弁12が開弁する前か、または吸気弁12の開弁期間中とされる。
次に、吹き返し補正分fbcの変化率Sが算出される(ステップ136)。この変化率Sは、前サイクルの吹き返し補正分fbc(k-1)に対する今サイクルの吹き返し補正分fbc(k)の変化が、トルクショックの原因になるおそれがあるほどに大きいか否かを判断する基礎とされるものである。具体的には、変化率Sは、次式に示す通り、今サイクルの吹き返し補正分fbc(k)と前サイクルの吹き返し補正分との差を全噴射量fi(k)で除した値として定義される。
S={fbc(k)-fbc(k-1)}/fi(k) ・・・(17)
上記ステップ136の変化率Sの算出処理では、まず、今サイクルの吹き返し燃料量fb(k)が算出される。この吹き返し燃料量fb(k)の算出処理は、筒内噴射開始時期TDを算出の基礎としないこと以外は、既述した図6に示すルーチンのステップ108と同様にして行われる。ここでは、吹き返し燃料量fb(k)は、推定精度が最も高くなるタイミングである吸気弁閉弁時の近傍で、機関回転数NE、負荷率KL、バルブタイミングVT、バルブリフト量VL、全噴射量fiおよび噴き分け率γの最新の値を取得した上で、それらの値に基づいて算出される。これにより、本実施形態では、吹き返し燃料量fbを特に高い精度で算出することができる。
上記ステップ136の処理においては、次に、ECU60は、算出された今サイクルのfb(k)と、前回の処理サイクルで算出されたfb(k-1)とを上記(16)式に代入することにより、今サイクルの吹き返し補正分fbc(k)を算出する。そして、ECU60は、算出された今サイクルの吹き返し補正分fbc(k)と、前回の処理サイクルで算出されたfbc(k-1)とを上記(17)式に代入することにより、変化率Sを算出する。
図7に示すルーチンでは、次に、吹き返し補正分fbcの変化率Sの絶対値が所定の判定値より大きいか否かが判別される(ステップ138)。その結果、変化率Sの絶対値が判定値以下であることが認められた場合には、吹き返し補正分fbc(k)の全量を筒内噴射量fidに算入しても、トルクショックが発生するおそれはないと判断できる。よって、この場合には、次に、上記(15)式に基づいて、筒内噴射量fidが算出され(ステップ140)、更に、その算出された量の燃料が筒内インジェクタ24から実際に噴射される(ステップ142)。この筒内噴射時期は、吸気弁閉弁後の圧縮行程中とされる。
一方、上記ステップ138において、変化率Sの絶対値が判定値より大きいことが認められた場合には、吹き返し補正分fbc(k)の全量を筒内噴射量fidに算入すると、トルクショックが発生するおそれがあると判断できる。この場合には、トルクショックを確実に回避するべく、吹き返し補正分fbc(k)の一部のみを算入して筒内噴射量fidが算出される(ステップ144)。具体的には、上記(15)式中のfbc(k)を、0<β<1を満足する所定の係数βを乗じたβ・fbc(k)に変更した式に基づいて、筒内噴射量fidが算出される。その後、その算出された量の燃料が筒内インジェクタ24から実際に噴射される(ステップ146)。この筒内噴射時期は、吸気弁閉弁後の圧縮行程中とされる。このような処理によれば、トルク段差が少なくなり、トルクショックの発生が確実に防止される。
本実施形態では、上述したように、吹き返し燃料量fbを特に精度良く算出することができるので、これに基づいて得られる吹き返し補正分fbc(k)の精度も極めて高いものとなる。このため、吹き返しの影響による空燃比のずれを特に高い精度で補正することができる。
なお、上述した吹き返し燃料量fbの算出処理や、筒内噴射量fidの算出処理においては、付着率Rp、Rv、Rc、残留率Pp、Pv、Pc、噴き分け率γ、筒内残留燃料量frについては上記ステップ132で算出された値を用いても良いが、更なる精度向上を図るべく、最新の情報に基づいて再計算した値を用いることとしてもよい。
上記ステップ146の処理により、圧縮工程中の筒内噴射が、吹き返し補正分fbc(k)の一部(β・fbc(k))のみが算入された筒内噴射量fidで行われた場合には、次に、吹き返し補正分fbc(k)が正であるか負であるかが判別される(ステップ148)。
上記ステップ148において、吹き返し補正分fbc(k)が正の値であることが認められた場合には、次に、触媒酸素吸蔵量が過多であるか否かが判別される(ステップ150)。ECU60は、別のルーチンにおいて、公知の手法により触媒酸素吸蔵量を推定しており、その推定値に基づいて上記ステップ150の判別を行う。その結果、触媒酸素吸蔵量が過多であることが認められた場合には、上記ステップ144において筒内噴射量fidに算入されなかった、吹き返し補正分の残部(1-β)・fbcに相当する量の燃料を、排気行程に合わせて、筒内インジェクタ24から噴射する(ステップ152)。これにより、触媒酸素吸蔵量を減少させることができ、触媒酸素吸蔵量を好ましい範囲へ近づけることができる。
なお、上記ステップ152における排気行程での筒内噴射は、排気下死点以後に限らず、排気弁開弁後なら排気下死点以前から開始してもよい。
また、ステップ150において触媒酸素吸蔵量が過多であるとは認められなかった場合には、排気行程での燃料噴射を行う必要はないと考えられるので、上記ステップ152の処理は飛ばされる。
一方、上記ステップ148において、吹き返し補正分fbc(k)が負の値であることが認められた場合には、次に、触媒酸素吸蔵量が不足しているか否かが上記触媒酸素吸蔵量の推定値に基づいて判別される(ステップ154)。その結果、触媒酸素吸蔵量が不足していることが認められた場合には、上記ステップ144において筒内噴射量fidに算入されなかった、吹き返し補正分の残部(1-β)・fbcに相当する量を、次回の処理サイクルにおいてポート噴射量fipに算入することにより、内燃機関6の次サイクルのポート噴射量fipを減量させることとされる。そこで、この場合には、次回の処理サイクルにおいて吹き返し補正分の残部(1-β)・fbcをポート噴射量fipに算入すべきことを表すべく、フラグFに1がセットされ(ステップ156)、その後、今回の処理サイクルを終了する。
なお、ステップ154において触媒酸素吸蔵量の不足が認められなかった場合には、内燃機関6の次サイクルのポート噴射量fipを減量させる必要はないと考えられるので、次回の処理サイクルにおいてポート噴射量fipを通常通り算出すべきことを表すべく、フラグFに0がセットされ(ステップ158)、その後、今回の処理サイクルを終了する。
また、吹き返し補正分fbc(k)が正の値であった場合や、更には、吹き返し補正分fbc(k)の全部が筒内噴射量fidに算入されて筒内噴射噴射が行われた場合にも、次回の処理サイクルにおいてポート噴射量fipを通常通り算出すべきことを表すべく、フラグFに0がセットされ(ステップ158)、その後、今回の処理サイクルを終了する。
さて、上記ステップ156においてフラグFに1がセットされた場合には、次回の処理サイクルの実行時、上記ステップ130においてF=1の成立が認められる。この場合には、前サイクルの吹き返し補正分の残部(1-β)・fbcを算入してポート噴射量fipが算出される(ステップ160)。このステップ160の処理は、(1-β)・fbcを算入すること以外は、上記ステップ132と同様にして行われる。
上記ステップ160の処理によれば、吹き返し補正分fbcが負の場合において、前サイクルで減量し足りなかった、吹き返し補正分の残部(1-β)・fbcを、今サイクルにおいてポート噴射量fipから差し引くことができる。これにより、触媒酸素吸蔵量を増加させることができ、触媒酸素吸蔵量を好ましい範囲へ近づけることができる。
ところで、上述した実施の形態2では、吹き返し補正分fbcが負の場合であって、吹き返し補正分の残部(1-β)・fbcを次サイクルの燃料噴射量に算入する場合、これをポート噴射量fipのみに算入しているが、筒内噴射量fidに算入するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態2では、吹き返し補正分fbcが負の場合の吹き返し補正分の残部(1-β)・fbcを、次サイクルの燃料噴射量にのみ算入しているが、次サイクル以降の複数のサイクルに更に分散させて算入してもよい。これにより、トルク段差を更に分散し縮小することができる。
また、上述した実施の形態2においては、機関回転数NE、負荷率KL、バルブタイミングVT、バルブリフト量VL、全噴射量fiおよび噴き分け率γが前記第1の発明における「所定のパラメータ」に相当している。また、ECU60が、上記ステップ136の処理を実行することにより前記第1の発明における「吹き返し燃料量推定手段」が、上記ステップ132および140の処理を実行することにより、前記第1の発明における「噴射量算出手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態2においては、ECU60が、上記ステップ140の処理を実行することにより前記第4の発明における「筒内噴射量のみに算入する手段」が、上記ステップ142および146の処理を実行することにより前記第5の発明における「噴射時期制御手段」が、上記ステップ144の処理を実行することにより前記第6の発明における「一部算入手段」が、上記ステップ152の処理を実行することにより前記第7の発明における「排気行程噴射手段」が、上記ステップ160の処理を実行することにより前記第8の発明における「噴射量減量手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1で用いる燃料挙動モデルを説明するための図である。 本発明の実施の形態1で用いる燃料挙動モデルを説明するための図である。 吹き返し燃料量fbと筒内噴射開始時期TDとの関係を、他のパラメータを一定にした条件下で表したグラフである。 吹き返し燃料量fbと噴き分け率γとの関係を、他のパラメータを一定にした条件下で表したグラフである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
6 内燃機関
10 燃焼室
12 吸気弁
14 排気弁
16 点火プラグ
18 吸気ポート
20 排気ポート
22 ポートインジェクタ
24 筒内インジェクタ
30 吸気通路
33 エアフロメータ
36 スロットルバルブ
40 排気通路
42 触媒
44 空燃比センサ
46 クランク角センサ
60 ECU
fip ポート噴射量
fid 筒内噴射量
fwp ポート付着量
fwv 吸気弁付着量
fwc 筒内付着量
fcp 筒内燃料吸入量
fcd 筒内燃料気化量
Pp ポート残留率
Rp ポート付着率
Pv 吸気弁残留率
Rv 吸気弁付着率
Pc 筒内残留率
Rc 筒内付着率
fb 吹き返し燃料量
fr 筒内残留燃料量
fex 排出燃料量
fbc 吹き返し補正分
m 筒内吸入空気量
α 目標空燃比
γ 噴き分け率

Claims (8)

  1. 内燃機関の吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、
    前記内燃機関の筒内に燃料を噴射する筒内インジェクタと、
    前記筒内から前記吸気ポートへの吸気の吹き返し中に含まれる燃料の量を所定のパラメータに基づいて推定する吹き返し燃料量推定手段と、
    前記吹き返し燃料量推定手段により推定された量に基づいて、吹き返しによる誤差を補正するための吹き返し補正分を算入して、前記ポートインジェクタから噴射するポート噴射量と前記筒内インジェクタから噴射する筒内噴射量とを算出する噴射量算出手段と、
    を備え、
    前記所定のパラメータは、前記ポートインジェクタと前記筒内インジェクタとの噴射割合を含み、
    前記吹き返し燃料量推定手段は、前記筒内インジェクタの噴射割合が大きいほど、吹き返し燃料量を少なく推定することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、
    前記内燃機関の筒内に燃料を噴射する筒内インジェクタと、
    前記筒内から前記吸気ポートへの吸気の吹き返し中に含まれる燃料の量を所定のパラメータに基づいて推定する吹き返し燃料量推定手段と、
    前記吹き返し燃料量推定手段により推定された量に基づいて、吹き返しによる誤差を補正するための吹き返し補正分を算入して、前記ポートインジェクタから噴射するポート噴射量と前記筒内インジェクタから噴射する筒内噴射量とを算出する噴射量算出手段と、
    を備え、
    前記所定のパラメータは、前記筒内インジェクタの噴射開始時期を含み、
    前記吹き返し燃料量推定手段は、前記筒内インジェクタの噴射開始時期が遅いほど、吹き返し燃料量を少なく推定することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 前記噴射量算出手段は、前記吹き返し補正分を前記ポート噴射量と前記筒内噴射量との双方に振り分けて算入する手段を含むことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記噴射量算出手段は、前記吹き返し補正分を前記筒内噴射量のみに算入する手段を含むことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記吹き返し補正分が前記筒内噴射量のみに算入された場合に、前記筒内インジェクタの噴射開始時期を吸気弁が閉じた後の時期にする噴射時期制御手段を更に備えることを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記噴射量算出手段は、前記吹き返し補正分を前記筒内噴射量のみに算入する際に、前サイクルの吹き返し補正分に対する今サイクルの吹き返し補正分の変化が判定値より大きい場合、前記吹き返し補正分の一部のみを前記筒内噴射量に算入する一部算入手段を含むことを特徴とする請求項4または5記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記吹き返し補正分が正の値であり、かつ、前記一部算入手段により前記吹き返し補正分の一部しか前記筒内噴射量に算入されなかった場合に、前記吹き返し補正分の残部に相当する量の燃料を排気行程において前記筒内インジェクタから噴射させる排気行程噴射手段を更に備えることを特徴とする請求項6記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記吹き返し補正分が負の値であり、かつ、前記一部算入手段により前記吹き返し補正分の一部しか前記筒内噴射量に算入されなかった場合に、前記吹き返し補正分の残部を次サイクル以降の噴射量に算入することによって次サイクル以降の噴射量を減量させる噴射量減量手段を更に備えることを特徴とする請求項6または7記載の内燃機関の制御装置。
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