JP2007039740A - 電解メッキ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ハロゲン化銀感光材料の金属銀部に形成されるメッキ被膜のメッキむら、金属銀部の焦げ、ハロゲン化銀感光材料の傷等の発生を抑制する。
【解決手段】導電面を有するフィルムFを電解メッキ処理槽50内で搬送しながら、電解メッキ処理によるメッキ被膜を導電面に形成する電解メッキ処理装置において、ジェット穴60を、少なくともメッキ処理液7の液面から1.0mm〜100.0mmの深さに配置して、このジェット穴60からメッキ処理液7の液面に沿ってフィルムFの導電面へメッキ処理液を噴射させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、金属銀部が形成されたハロゲン化銀感光材料を電解メッキ処理層内で搬送しながら、金属銀部に電解メッキ処理によるメッキ被膜を形成する電解メッキ処理装置に関する。
ハロゲン化銀感光材料に形成された金属銀部に電解メッキ処理によるメッキ被膜を形成する方法としては、金属銀部が接触する陰極ロールの前または後に陽極を投入した電解メッキ処理槽を配設し、陰極ロールと陽極との間でハロゲン化銀感光材料を搬送しながら、陰極ロールと陽極との間で金属銀部に通電することによって、金属銀部にメッキ被膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この方法では、陰極−陽極を配置したユニットを繰り返し配設して、金属銀部にメッキ被膜を何度か重ねて形成することで、金属銀部上に厚膜化した所望の厚みのメッキ被膜を形成することが可能である。
ここで、図5に示すように、特許文献1に記載の電解メッキ処理装置では、メッキの均一性を保つことを目的として電解メッキ処理槽50の底部に設けられたチャンバー330のジェット穴60から槽内にエアーを導入して、メッキ処理液7を攪拌している。
しかしながら、電解メッキ処理槽50の底部から上方へ向けての液流ができることによって、メッキ処理液の液面が変動してしまう。これによって、陰極ロール1と陽極102との間のメッキ被膜の形成が集中する箇所であるメッキ処理液7の液面の近傍において、金属銀部へのメッキ処理液7の供給量が変動し、メッキむらが発生していた。
また、ハロゲン化銀感光材料の金属銀部の電気抵抗が高抵抗(例えば、10Ω/cm2以上、一般的には1Ω/cm2以下)である場合には、金属銀部に必要量の電流を流すために金属銀部に高電圧をかけなければならず、高濃度のメッキ処理液を金属銀部に供給することが必須となるが、電解メッキ処理槽50の底部から導入したエアーでメッキ処理液を攪拌するだけでは、金属銀部へのメッキ処理液の供給が追いつかず、金属銀部に焦げが生じていた。
また、金属銀部に高電圧をかけ、また、高濃度のメッキ処理液を金属部に供給することで、金属銀部における酸化水分解が活発になり、金属銀部が高熱になる。これによって、ハロゲン化銀感光材料のゼラチン等のバインダーが脆くなり、搬送ロールとの接触等によってハロゲン化銀感光材料に傷が付き易くなっていた。
特開2004−18949号公報 特開2004−221564号公報
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、ハロゲン化銀感光材料の金属銀部に形成されるメッキ被膜のメッキむら、金属銀部の焦げ、ハロゲン化銀感光材料の傷等の発生を抑制する。
請求項1に記載の電解メッキ処理装置は、金属銀部が形成されたハロゲン化銀感光材料が、メッキ処理液が充填された槽内で搬送される電解メッキ処理槽と、メッキ処理液の液面より上側に配設され、前記電解メッキ処理槽へ搬送されるハロゲン化銀感光材料の金属銀部に接触する陰極と、前記電解メッキ処理槽内に配設され、前記電解メッキ処理槽へ搬送されたハロゲン化銀感光材料の金属銀部と対向する陽極と、前記メッキ処理槽内で金属銀部へメッキ処理液を噴射する複数のジェット穴が形成されたチャンバーと、を備え、前記陰極と前記陽極との間で金属銀部に通電して金属銀部に電解メッキ処理によるメッキ被膜を形成する電解メッキ処理装置であって、ハロゲン化銀感光材料の金属銀部の電気抵抗が0.8Ω/cm2〜80Ω/cm2であり、前記ジェット穴の穴径を0.5mm〜3.0mm、前記ハロゲン化銀感光材料の幅方向の前記ジェット穴の間隔を1.0mm〜20.0mm、前記ジェット穴から噴射されるメッキ処理液の流速を500mm/sec〜1500mm/sec、前記ジェット穴と金属銀部との間隔を1.0mm〜20.0mmとし、
前記ジェット穴を少なくとも前記電解メッキ処理槽内のメッキ処理液の液面から1.0mm〜100.0mmの深さに配設したことを特徴とする。
請求項1に記載の電解メッキ処理装置では、電解メッキ処理槽にメッキ処理液が充填され、メッキ処理液の液面より上側に陰極が配設され、電解メッキ処理槽内に陽極が配設されている。この電解メッキ処理装置では、金属銀部が形成されたハロゲン化銀感光材料が、金属銀部を陰極に接触させてから電解メッキ処理槽へ搬送され、電解メッキ処理槽内で、金属銀部を陽極に対向させて搬送される。この際、陰極と陽極との間で金属銀部に通電され、金属銀部に電解メッキ処理によるメッキ被膜が形成される。
ところで、電解メッキ処理槽内では、チャンバーに形成されたジェット穴から金属銀部へメッキ処理液が噴射され、常に高濃度のメッキ処理液が金属銀部に供給されることで、メッキ被膜の形成が促進される。このジェット穴の穴径は0.5mm〜3.0mm、ハロゲン化銀感光材料の幅方向のジェット穴の間隔は1.0mm〜20.0mm、ジェット穴から噴射されるメッキ処理液の流速は500mm/sec〜1500mm/sec、ジェット穴とハロゲン化銀感光材料の金属銀部との間隔は1.0mm〜20.0mmとなっている。
ここで、ジェット穴は、少なくとも電解メッキ処理槽内のメッキ処理液の液面から1.0mm〜100.0mmの深さに配設されており、メッキ処理液の液面に沿って金属銀部へメッキ処理液を噴射する。
これによって、メッキ処理液の液面変動が少なくなり、メッキ処理液の液面の近傍にいて金属銀部へのメッキ処理液の供給量が安定する。メッキ処理液の液面の近傍は、陰極と陽極との間のメッキ被膜の形成が集中する箇所なので、金属銀部のメッキむらを効果的に抑制できる。
また、ハロゲン化銀感光材料の金属銀部の電気抵抗が高抵抗(例えば、10Ω/cm2〜80Ω/cm2、一般的には1Ω/cm2以下)であるため、金属銀部に必要量の電流を流すために金属銀部に高電圧をかけなければならず、高濃度のメッキ処理液を金属銀部に供給することが必須となるが、メッキ処理液の液面の近傍で、金属銀部へ向けてメッキ処理液を噴射することで、金属銀部へのメッキ処理液の供給を十分に行うことができ、金属銀部に焦げが生じることを防止できる。
また、メッキ処理液の液面近傍で、酸化水分解を起こしていない低温のメッキ処理液を次々と金属銀部に供給することで、金属銀部の温度上昇を抑制でき、ハロゲン化銀感光材料のゼラチン等のバインダーの脆弱化を抑制できる。従って、搬送ロールとの接触等によるハロゲン化銀感光材料の損傷を抑制できる。
また、ジェット穴の穴径を0.5mm〜3.0mmとしたことで、ジェット穴が目詰まりし難く、長期間安定してメッキ処理液を噴射でき、メッキむらも生じ難い。
請求項2に記載の電解メッキ処理装置は、請求項1に記載の電解メッキ処理装置であって、前記ジェット穴をハロゲン化銀感光材料の搬送方向の並びが千鳥状となるように配置したことを特徴とする。
請求項2に記載の電解メッキ処理装置では、ハロゲン化銀感光材料の搬送方向の並びが千鳥状となっている。すなわち、ジェット穴のハロゲン化銀感光材料の幅方向の間隔を1.0mm〜20.0mmとするために、仮に2通りの千鳥状の繰り返しとすれば、幅方向に並んだ各列の間隔を2.0mm〜40mm、また、3通りの千鳥状の繰り返しとすれば、幅方向に並んだ各列の間隔を3.0mm〜60mmとすることができる。
このように、ジェット穴を搬送方向へ千鳥状に配列してハロゲン化銀感光材料の幅方向の間隔を詰めることで、幅サイズが大きなハロゲン化銀感光材料でもメッキむらが発生せず、所望の導電性が得られる。
請求項3に記載の電解メッキ処理装置は、請求項1又は2に記載の電解メッキ処理装置であって、前記ジェット穴の穴径を0.5mm〜1.0mm、前記ジェット穴から噴射されるメッキ処理液の流速を700mm/sec〜1200mm/secとしたことを特徴とする。
請求項3に記載の電解メッキ処理装置では、より好ましい範囲として、ジェット穴の穴径が0.5mm〜1.0mm、ジェット穴から噴出されるメッキ処理液の流速が700mm/sec〜1200mm/secとされている。これによって、メッキ被膜のメッキむら、金属銀部の焦げ、ハロゲン化銀感光材料の傷がさらに抑制される。
請求項4に記載の電解メッキ処理装置は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電解メッキ処理装置であって、前記ジェット穴と金属銀部との間隔を2.0mm〜10.0mmとしたことを特徴とする。
請求項4に記載の電解メッキ処理装置では、より好ましい範囲として、ジェット穴とハロゲン化銀感光材料の金属銀部との間隔が、2.0mm〜10.0mmとされている。これによって、メッキ被膜のメッキむら、金属銀部の焦げ、ハロゲン化銀感光材料の傷がさらに抑制される。
本発明によれば、ハロゲン化銀感光材料の金属銀部に形成されるメッキ被膜のメッキむら、金属銀部の焦げ、ハロゲン化銀感光材料の傷等の発生を抑制できる。
本発明に係る方法及び装置の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、電解メッキ処理装置100では、一面にメッシュ状の金属銀部が形成された長尺のフィルムをロール状態から巻き出し、メッキし、巻き取る連続式のメッキ処理装置である。主たる工程は、ロール状フィルムを巻き出す巻出部301、フィルムFの導電面(金属銀部が形成された面)に酸処理、脱脂処理、水洗等を施す前処理部302、電解メッキ処理槽50、メッキ液を水洗する水洗槽52が交互に配設されたメッキ処理部303、防錆処理、防錆処理液を洗い流す処理、さらに乾燥などを行う後処理部304、ロール状にフィルムFを巻き取る巻取部305からなっている。尚、電解メッキ被処理部であるフィルムFの導電面が清浄な場合は、前処理を省略しても構わないし、また、必要に応じて後処理工程を省略しても構わない。
図1において、ロール状フィルム306から巻き出されたフィルムFは、アキュムレータ307、バランスロール部308を経て張力調整された後、速度制御部309で速度を実質的に一定にされ、酸、脱脂処理部310、水洗部312を経て、メッキ処理部303へ入る。
メッキ処理部303は、全部で2n(nは整数)個の槽に区分されている。このメッキ処理部303では、電解メッキ処理槽50の横に水洗槽52が一体的に交互に並べられている。
図2に示すように、電解メッキ処理槽50にはメッキ処理液7が充填されており、電気メッキ処理槽50と搬送方向上流側の槽との間の隔壁50Aの上方、且つ、メッキ処理液7の液面より上側には、陰極ロール1が配設されている。また、電解メッキ処理槽50内の下部には搬送ロール101Aが配設され、電解メッキ処理槽50と搬送方向下流側の槽との間の隔壁50Bの上方、且つ、メッキ処理液7の液面より上側には搬送ロール101Cが配設されている。さらに、水洗槽52の下部には搬送ロール101Cが配設されている。フィルムFは、陰極ロール1、搬送ロール101A〜Cに巻き掛けられて略U字状に搬送される。
また、電解メッキ処理槽50のメッキ処理液7中では、銅ボールを充填したケース102が隔壁50Aに取付けられている。このケース102は、メッキ処理液中のフィルムFの導電面に面して配設されており、直流電源3の陽極に電気的に接続されている。また、直流電源3の陰極には陰極ロール1が接続されている。
即ち、フィルムFは、陰極ロール1に導電面を接触させた後、メッキ処理液7中で導電面をケース102Aに対向させて搬送される。この際、陰極ロール1を陰極、ケース102を陽極として、直流電源3からフィルムFの導電面に給電され、フィルムFの金属銀部上にメッキ被膜が形成される。
電解メッキ処理における電流条件は、フィルムFに対して、0.2〜10A/dm2の電流密度となるように設定されている。
また、電解メッキ処理槽50のメッキ処理液7中では、チャンバー58が隔壁50Aのケース102の上側に取付けられている。このチャンバー58のフィルムFの導電面と対向する噴射面58Aには複数のジェット穴60が形成され、また、チャンバー58と電解メッキ処理槽50の底部は、循環ポンプ62を備える循環パイプ64で接続されている。即ち、循環ポンプ62の駆動で、電解メッキ処理槽50内のメッキ処理液7が、チャンバー58へ供給されてジェット穴60からフィルムFの導電面へ噴射される。
これは、フィルムFのメッキ被膜が形成されている部分(ケース102の近傍の部分)の表面付近のメッキ被膜金属イオンの濃度を大きくすることを目的として行う。このため、メッキ処理液をメッキ被膜が形成されている部分へ目がけて噴出することで、メッキ被膜の形成が促進される。また、図示しないが、循環パイプ64にはフィルターが設けられており、メッキ処理液7は、常にフィルターを通して循環されてフィルターで汚れを取り除かれている。
また、陰極ロール1と搬送ロール101Aの位置は、ジェット穴60とフィルムFとの距離が1.0mm〜20.0mmとなる位置に設定されており、本実施例では、5.0mmとしている。
このように、ジェット穴60とフィルムFとの距離を設定することで、ジェット穴60と対向する部位とその周辺において、図3(B)に示す模式図で視覚的に理解できるように、フィルムFのメッキむらがなくなり、導電性が均一になる。
また、図3(A)に示すように、ジェット穴60は穴径が0.5mm〜3.0mm、本実施例では0.7mmとされ、目詰りし難く、長時間安定してメッキ処理液を噴射できるように設定されている。
また、噴射面58Aの長手方向(フィルムFの幅方向)に並んだ各列のジェット穴60の間隔は、1.0mm〜20.0mm、本実施例では4.5mmとされ、ジェット穴60の搬送方向への配列は、3通りの千鳥状の繰り返しとなっている。これにより、ジェット穴60のフィルムFの幅方向の間隔は実質的に4.5mm/3=1.5mmとなる。
このように、ジェット穴60のフィルムFの幅方向の間隔を実質的に詰めることで、メッキむらが少なくなり、所望の導電性が得られる。
さらに、ジェット穴60は、フィルムFの搬送方向に6.0mmの間隔で設けられており、搬送方向に12列、幅方向へ60個とされ、穴総数は720個となっている。ここで、循環ポンプ62は、20L/分のものが使用されており、ジェット穴60当りの噴射流量は14.2L/分となっている。なお、これを流速に直すと、854.6mm/sとなる。
図4には、ジェット流速のフィルムFの幅方向の分布を、導電面から0.1mm地点で算出したシュミレート結果が示されている。図4(A)は比較例(ジェット穴60の間隔が10mmの2列千鳥の場合)、図4(B)は本発明例(ジェット穴60の間隔が4.5mmの3列千鳥の場合)である。この図4から、本発明では、メッキむらが少なくなり、所望の導電性が得られることが判る。
このように、ジェット穴60の設定パターンによって、循環ポンプ62の噴射性能を上げることなく、噴射流速を上げることができ、メッキ処理液の攪拌能力を確保することができる。
ここで、噴射面58Aの法線方向は、メッキ処理液7の液面と略水平になっている。また、最も上側のジェット穴60のメッキ処理液7の液面からの深さは、1.0mm〜100.0mmに設定されており、本実施例では、10.0mmとしている。
このように、ジェット穴60からフィルムFの導電面へメッキ処理液7の液面と略水平にメッキ処理液7を噴射することで、メッキ処理液7の液面の変動が少なくなり、メッキ処理液7の液面の近傍におけるフィルムFの導電面へのメッキ処理液7の供給が安定する。メッキ処理液7の液面近傍は、陰極ロール1と陽極102との間のメッキ被膜の形成が集中する箇所なので、フィルムFの導電面のメッキむらを効果的に抑制できる。
また、本実施例では、フィルムFの導電面の電気抵抗が高抵抗(例えば、10Ω/cm2以上、一般的には1Ω/cm2以下)であり、フィルムFの導電面に必要量の電流を流すために高電圧をかけなければならず、高濃度のメッキ処理液を金属銀部に供給することが必須となる。しかし、メッキ処理液7の液面の近傍で、フィルムFの導電面へ向けてメッキ処理液7を噴射することで、フィルムFの導電面へのメッキ処理液7の供給を十分に行うことができ、フィルムFの導電面に焦げが生じることを防止できる。
また、メッキ処理液7の液面近傍で、酸化水分解を起こしていない低温のメッキ処理液7を次々とフィルムFの導電面に供給することで、フィルムFの導電面の温度上昇を抑制でき、フィルムFのゼラチン等のバインダーの脆弱化を抑制できる。従って、搬送ロール101A〜C、陰極ロール1との接触等によるフィルムFの損傷を抑制できる。
そして、導電面上にメッキ被膜を形成されたフィルムFは、一旦電解メッキ処理槽50を出てから搬送方向下流側の水洗槽52に入る。水洗槽52には水53が充填されており、フィルムF上のメッキ処理液が洗い出される。
そして、メッキ処理液を水洗されたフィルムFは、搬送方向下流側の電解メッキ処理槽50、水洗槽52を繰り返し通過する。これによって、フィルムFの導電面にメッキ被膜が重ねて形成され、トータルでフィルムFの金属銀部上に1〜30μmの厚みのメッキ被膜が形成される。
次いで、図1に示すように、フィルムFは、フィルムFの張力を検出するロール325、メッキ膜を保護する防錆処理液317の入った防錆処理部316、過剰な防錆処理液を除去する水洗部318、水分を除去する乾燥炉をもつ乾燥工程部320、速度調整部321、バランスロール部322を経て、張力調整された後、アキュムレータ323を通過する。そして最後に、フィルムFはロール状に巻き取られてロール状フィルム324となる。こうしてメッキ被膜付きのフィルムFが得られる。
ここで、実質的なフィルムFの搬送張力は、10N/m以上320N/m以下とすることが好ましい。実際に張力を10N/m未満にすると、フィルムFが蛇行し始め、搬送経路の制御がうまくいかなかった。また320N/mを超えると、フィルムFに形成されたメッキ被膜金属が持つ内部歪みによって、製品にカールが発生するなどの問題があった。
搬送張力制御は、張力検出ロール325を用いて、搬送張力を検出し、この張力値が一定になるように速度調整部321によって速度を増減させるフィードバック制御を行うと良い。
陰極ロール1の突起材質としては、電池現象(酸化還元現象)発現が好ましくないので、樹脂製あるいはセラミックス製が適している。また、樹脂の中では例えばPVCあるいはナイロンなどが適している。
また、このようなメッキ被膜付きのフィルムFのフィルム材質としては、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
本発明で用いる基材のプラスチックフィルムの材質を具体的に例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−α,β−ビス(2−クロルフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート)などのポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリパラジン酸、ポリオキサジアゾールおよびこれらのハロゲン基あるいはメチル基置換体などが挙げられる。また、これらの共重合体や、他の有機重合体を含有するものであってもよい。これらのプラスチックに公知の添加剤、例えば、滑剤、可塑剤などが添加されていてもよい。
上記プラスチックの中、下記化1に示すような繰り返し単位を85モル%以上含むポリマーを溶融押出して得られる未延伸フィルムを、二軸方向に延伸配向して機械特性を向上させたフィルムが特に好ましく使用される。
Figure 2007039740
また、下記化2に示すような繰り返し単位を50モル%以上含むポリマーからなり、湿式あるいは乾式製膜したフィルム、あるいは該フィルムを二軸延伸および/または熱処理せしめたフィルムも好ましく使用される。
Figure 2007039740
PDP(プラズマディスプレイパネル)に使用される透光性導電性膜の場合、基材であるプラスチックフィルムの厚さは50〜150μm程度のものが多用され、とくに75〜100μmの厚さのものが好適に用いられる。
(透光性導電性金属膜の形成方法)
ハロゲン化銀写真感光材料にメッシュパターンを露光し、黒白現像処理して透光性導電性金属膜を作成し、その金属銀(現像銀)部に銅メッキを施す本件記載の電解メッキ方法及び装置を応用した例を示す。
本発明における透光性導電性金属膜の形成方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜などの透光性導電性金属膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するメッキ又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像各近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜などの透光性導電性金属膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面は小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜などの透光性導電性金属膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理および反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、溶解物理現像、及び拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Prosess, 4th ed.」に解説されている。
〈感光材料〉
[支持体]
本発明の製造方法に用いられる感光材料の支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
ディスプレイ用の電磁波シールド材では透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフィルムおよびプラスチック板として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
本発明におけるプラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして用いることも可能である。なお、厚さは75μm〜100μmが好ましい。
本発明における支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、ディスプレイ用電磁波シールド膜の用途として用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、かつ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
[保護層]
用いられる感光材料は、後述する乳剤層上に好ましくは保護層が設けられる。本発明において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する乳剤層に形成される。上記保護層の厚みは0.02〜20μmであり、好ましくは0.1〜10μmであり、さらに好ましくは0.3〜3μmであり、また保護層は必須ではない。上記保護層の塗布方法の形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
尚、本発明の製造方法に用いられる感光材料は、乳剤層に染色用の乳剤添加に公知の染料を含んでいてもよい。
[乳剤層]
本発明の電解メッキ処理方法に用いられる感光材料は、支持体上に、光センサーとして銀塩を含む乳剤層(銀塩含有層)を有する。本発明における乳剤層には、銀塩のほか、必要に応じて、染料、バインダー、溶媒等を含有することができる。
<染料>
感光材料には、少なくとも乳剤層に染料が含まれる。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で乳剤層に含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。本発明に好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
このほか、本発明に使用することができる染料としては、現像または定着の処理時に脱色させる固体微粒子分散状の染料としては、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料および同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物および特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。また、特開平9−179243号公報記載の一般式(F1)、一般式(F2)で表される染料で、具体的には同公報記載の化合物F35〜F112も用いることができる。
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することができる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料およびアゾ染料が挙げられる。中でも本発明においては、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料およびベンジリデン染料が有用である。本発明に用い得る水溶性染料の具体例としては、英国特許584,609号明細書、同1,177,429号明細書、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許2,274,782号明細書、同2,533,472号明細書、同2,956,879号明細書、同3,148,187号明細書、同3,177,078号明細書、同3,247,127号明細書、同3,540,887号明細書、同3,575,704号明細書、同3,653,905号明細書、同3,718,427号明細書に記載されたものが挙げられる。
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止などの効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
<銀塩>
本発明で用いられる銀塩としては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀が用いられる。
本発明で用いられるハロゲン化銀について説明する。
本発明では、光センサーとして機能させるためにハロゲン化銀を使用され、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においても用いることができる。
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrやAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
尚、ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成されるパターン状金属銀層の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
尚、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
本発明に用いられる乳剤層用塗布液であるハロゲン化銀乳剤は、P. Glafkides 著 Chimie etPhysique Photographique (Paul Montel 社刊、1967年)、G. F. dufin 著PhotographiC Emulsion Chemistry (The ForCal Press刊、1966年)、V. L.Zelikman et al著 Making and Coating Photographic Emulsion (The Forcal Press 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、上記ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、酸性法、中性法等のいずれでもよく、又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩とを反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせなどのいずれを用いてもよい。
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
また、アンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。係る方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号各公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンが挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-2モルが好ましい。
上記コントロールド・ダブルジェット法およびハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に好ましく用いることができる。また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号広報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く銀を成長させることが好ましい。本発明における乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物、レニウム化合物などを含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどや、こうした擬ハロゲン、アンモニアのほか、アミン類(メチルアミン、エチレンジアミン等)、ヘテロ環化合物(イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾールなど)、尿素、チオ尿素等の、有機分子を挙げることができる。 また、高感度化のためにはK4〔Fe(CN)6〕やK4〔Ru(CN)6〕、K3〔Cr(CN)6〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、K3Rh2Br9等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、或いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
上記イリジウム化合物としては、K2IrCl6、K3IrCl6等のヘキサクロロイリジウム錯塩、ヘキサブロモイリジウム錯塩、ヘキサアンミンイリジウム錯塩、ペンタクロロニトロシルイリジウム錯塩等が挙げられる。
上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K4〔Ru(CN)6〕等が挙げられる。
上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
上記レニウム、ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加され、特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕‐n(ここで、MはRu、Re、またはOsを表し、nは0、1、2、3または4を表す。)
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウム若しくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔ReCl6-3、〔ReBr6-3、〔ReCl5(NO)〕-2、〔Re(NS)Br5-2、〔Re(NO)(CN)5-2、〔Re(O)2(CN)4-3、〔RuCl6-3、〔RuCl4(H2O)2-1、〔RuCl5(NO)〕-2、〔RuBr5(NS)〕-2、〔Ru(CO)3Cl3-2、〔Ru(CO)Cl5-2、〔Ru(CO)Br5-2、〔OsCl6-3、〔OsCl5(NO)〕-2、〔Os(NO)(CN)5-2、〔Os(NS)Br5-2、〔Os(CN)6-4、〔Os(O)2(CN)5-4
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当り10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
その他、本発明では、Pd(II)イオンおよび/またはPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオンおよび/またはPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の、銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
本発明では、さらに光センサーとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感の方法としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感等カルコゲン増感、金増感などの貴金属増感、還元増感等を用いることができる。これらは、単独または組み合わせて用いられる。上記化学増感の方法を組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法などの組み合わせが好ましい。
上記硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で変化し、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-5〜10-3モルである。
上記セレン増感に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、上記セレン増感は、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
上記テルル増感剤に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。具体的には、米国特許US第1,623,499号明細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第235,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同第1,295,462号明細書、同第1,396,696号明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635(1980)、 ibid 1102(1979)、 iBid 645(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.)1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellunium Compounds)、Vol 1(1986)、同 Vol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に特開平5−313284号公報中の一般式(II)(III)(IV)で示される化合物が好ましい。
本発明で用いることのできるセレン増感剤およびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
また、上記貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられ、特に金増感が好ましい。金増感に用いられる金増感剤としては、具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、チオグルコース金(I)、チオマンノース金(I)などが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モル程度を用いることができる。本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。
また、本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物などを用いることができる。上記ハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)293917に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。本発明に用いられる感光材料の作製に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるもの)の併用であってもよい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
<バインダー>
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーを用いることができる。本発明において上記バインダーとしては、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。
<溶媒>
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトンなどケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。 本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
〈各工程〉
[露光]
本発明では、支持体上に設けられた銀塩含有層またはフォトリソグラフィー用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
上記光源としては、必要に応じて可視スペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また本発明では、露光は種々のレーザービームを用いて行うことが好ましい。例えば、本発明における露光は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことがより好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが最も好ましい。
露光のエネルギーとしては100μJ/cm2以下が好ましく、50μJ/cm2以下がさらに好ましい、最も好ましくは40μJ/cm2以下4μJ/cm2以上である。
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月の第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
銀塩含有層をパターン状に露光する方法は、レーザービームによる走査露光が好ましい。特に特開2000-39677号公報記載のキャプスタン方式のレーザー走査露光装置が好ましく、さらには該キャプスタン方式においてポリゴンミラーの回転によるビーム走査の代わりに特開2004-1224号公報記載のDMDを光ビーム走査系に用いることも好ましい。
[現像処理]
本発明では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、またはそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
リス現像液としては、KODAK社製のD85などを用いることができる。本発明では、上記の露光および現像処理を行うことにより露光部に金属銀部、好ましくはパターン状金属銀部が形成されると共に、未露光部に後述する光透過性部が形成される。
本発明においては、上記現像液としてジヒドロキシベンゼン系現像主薬を用いることができる。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩などが挙げられるが、特にハイドロキノンが好ましい。上記ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と超加成性を示す補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン類やp−アミノフェノール類が挙げられる。本発明の方法において用いる現像液としては、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬と1−フェニル−3−ピラゾリドン類との組合せ;またはジヒドロキシベンゼン系現像主薬とp−アミノフェノール類との組合せが好ましく用いられる。
補助現像主薬として用いられる1−フェニル−3−ピラゾリドンまたはその誘導体と組み合わせられる現像主薬としては、具体的に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。 上記p−アミノフェノール系補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は、通常0.05〜0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましいが、本発明においては、0.23モル/リットル以上で使用するのが特に好ましい。さらに好ましくは、0.23〜0.6モル/リットルの範囲である。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類若しくはp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には、前者を0.23〜0.6モル/リットル、さらに好ましくは0.23〜0.5モル/リットル、後者を0.06モル/リットル以下、さらに好ましくは0.03モル/リットル〜0.003モル/リットルの量で用いるのが好ましい。
本発明においては、現像開始液および現像補充液の双方が、「該液1リットルに0.1モルの水酸化ナトリウムを加えたときのpH上昇が0.5以下」である性質を有することが好ましい。使用する現像開始液ないし現像補充液がこの性質を有することを確かめる方法としては、試験対象の現像開始液ないし現像補充液のpHを10.5に合わせ、ついでこの液1リットルに水酸化ナトリウムを0.1モル添加し、この際の液のpH値を測定し、pH値の上昇が0.5以下であれば上記に規定した性質を有すると判定する。本発明においては、特に、上記試験を行った時のpH値の上昇が0.4以下である現像開始液および現像補充液を用いることが好ましい。
現像開始液および現像補充液に上記の性質を与える方法としては、緩衝剤を使用した方法によることが好ましい。上記緩衝剤としては、炭酸塩、特開昭62−186259号公報に記載のホウ酸、特開昭60−93433号公報に記載の糖類(例えばサッカロース)、オキシム類(例えばアセトオキシム)、フェノール類(例えば5−スルホサリチル酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩)などを用いることができ、好ましくは炭酸塩、ホウ酸が用いられる。上記緩衝剤(特に炭酸塩)の使用量は、好ましくは、0.25モル/リットル以上であり、0.25〜1.5モル/リットルが特に好ましい。
本発明においては、上記現像開始液のpHが9.0〜11.0であることが好ましく、9.5〜10.7の範囲であることが特に好ましい。上記現像補充液のpHおよび連続処理時の現像タンク内の現像液のpHもこの範囲である。pH設定のために用いるアルカリ剤には通常の水溶性無機アルカリ金属塩(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)を用いることができる。
本発明において、感光材料1平方メートルを処理する際に、現像液中の現像補充液の含有量は323ミリリットル以下、好ましくは323〜30ミリリットル、特に225〜50ミリリットルである。現像補充液は、現像開始液と同一の組成を有していてもよいし、現像で消費される成分について開始液よりも高い濃度を有していてもよい。
本発明で感光材料を現像処理する際の現像液(以下、現像開始液および現像補充液の双方をまとめて単に「現像液」という場合がある)には、通常用いられる添加剤(例えば、保恒剤、キレート剤)を含有することができる。上記保恒剤としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩が挙げられる。該亜硫酸塩は、0.20モル/リットル以上用いられることが好ましく、さらに好ましくは0.3モル/リットル以上用いられるが、余りに多量添加すると現像液中の銀汚れの原因になるので、上限は1.2モル/リットルとするのが望ましい。特に好ましくは、0.35〜0.7モル/リットルである。また、ジヒドロキシベンゼン系現像主薬の保恒剤として、亜硫酸塩と併用してアスコルビン酸誘導体を少量使用してもよい。ここでアスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸、および、その立体異性体であるエリソルビン酸やそのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩)などを包含する。上記アスコルビン酸誘導体としては、エリソルビン酸ナトリウムを用いることが素材コストの点で好ましい。上記アスコルビン酸誘導体の添加量はジヒドロキシベンゼン系現像主薬に対して、モル比で0.03〜0.12の範囲が好ましく、特に好ましくは0.05〜0.10の範囲である。上記保恒剤としてアスコルビン酸誘導体を使用する場合には現像液中にホウ素化合物を含まないことが好ましい。
上記以外に現像液に用いることのできる添加剤としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムの如き現像抑制剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミドの如き有機溶剤;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、イミダゾールまたはその誘導体等の現像促進剤や、メルカプト系化合物、インダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物をカブリ防止剤または黒ポツ(Black pepper)防止剤として含んでもよい。上記ベンゾイミダゾール系化合物としては、具体的に、5−ニトロインダゾール、5−p−ニトロベンゾイルアミノインダゾール、1−メチル−5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、3−メチル−5−ニトロインダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、2−イソプロピル−5−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロベンズトリアゾール、4−〔(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ〕ブタンスルホン酸ナトリウム、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、メチルベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。これらベンゾイミダゾール系化合物の含有量は、通常、現像液1リットル当り0.01〜10mmolであり、より好ましくは、0.1〜2mmolである。
さらに上記現像液中には、各種の有機・無機のキレート剤を併用することができる。上記無機キレート剤としては、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を用いることができる。一方、上記有機キレート剤としては、主に有機カルボン酸、アミノポリカルボン酸、有機ホスホン酸、アミノホスホン酸および有機ホスホノカルボン酸を用いることができる。
上記有機カルボン酸としては、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
上記アミノポリカルボン酸としては、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミンモノヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテル四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、その他特開昭52−25632号、同55−67747号、同57−102624号の各公報、および特公昭53−40900号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
有機ホスホン酸としては、米国特許US第3214454号、同3794591号の各明細書、および西独特許公開2227639号公報等に記載のヒドロキシアルキリデン−ジホスホン酸やリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)第181巻、Item 18170(1979年5月号)等に記載の化合物が挙げられる。上記アミノホスホン酸としては、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170号、特開昭57−208554号、同54−61125号、同55−29883号の各公報および同56−97347号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
有機ホスホノカルボン酸としては、特開昭52−102726号、同53−42730号、同54−121127号、同55−4024号、同55−4025号、同55−126241号、同55−65955号、同55−65956号等の各公報、および前述のリサーチ・ディスクロージャー18170号等に記載の化合物を挙げることができる。これらのキレート剤はアルカリ金属塩やアンモニウム塩の形で使用してもよい。
これらキレート剤の添加量としては、現像液1リットル当り好ましくは、1×10-4〜1×10-1モル、より好ましくは1×10-3〜1×10-2モルである。
さらに、現像液中に銀汚れ防止剤として、特開昭56−24347号、特公昭56−46585号、特公昭62−2849号、特開平4−362942号の各公報記載の化合物を用いることができる。また、溶解助剤として特開昭61−267759号公報記載の化合物を用いることができる。さらに現像液には、必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬膜剤等を含んでもよい。現像処理温度および時間は相互に関係し、全処理時間との関係において決定されるが、一般に現像温度は約20℃〜約50℃が好ましく、25〜45℃がさらに好ましい。また、現像時間は5秒〜2分が好ましく、7秒〜1分30秒がさらに好ましい。
現像液の搬送コスト、包装材料コスト、省スペース等の目的から、現像液を濃縮化し、使用時に希釈して用いるようにする態様も好ましい。現像液の濃縮化のためには、現像液に含まれる塩成分をカリウム塩化することが有効である。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程で使用する定着液の好ましい成分としては、以下が挙げられる。すなわち、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、必要により酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ホウ酸、イミノジ酢酸、5−スルホサリチル酸、グルコヘプタン酸、タイロン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸これらの塩等を含むことが好ましい。近年の環境保護の観点からは、ホウ酸は含まれない方が好ましい。本発明に用いられる定着液の定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどが挙げられ、定着速度の点からはチオ硫酸アンモニウムが好ましいが、近年の環境保護の観点からチオ硫酸ナトリウムが使われてもよい。これら既知の定着剤の使用量は適宜変えることができ、一般には約0.1〜約2モル/リットルである。特に好ましくは、0.2〜1.5モル/リットルである。定着液には所望により、硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫酸)、キレート剤、界面活性剤、湿潤剤、定着促進剤を含むことができる。
上記界面活性剤としては、例えば硫酸化物、スルホン化物などのアニオン界面活性剤、ポリエチレン系界面活性剤、特開昭57−6740号公報記載の両性界面活性剤などが挙げられる。また、上記定着液には、公知の消泡剤を添加してもよい。上記湿潤剤としては、例えば、アルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。また、上記定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号の各公報に記載のチオ尿素誘導体;分子内に3重結合を持つアルコール;米国特許US第4126459号明細書記載のチオエーテル化合物;特開平4−229860号公報記載のメソイオン化合物などが挙げられ、特開平2−44355号公報記載の化合物を用いてもよい。また、上記pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などの有機酸や、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩などの無機緩衝剤が使用できる。上記pH緩衝剤として好ましくは、酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、好ましくは0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。定着液のpHは4.0〜6.5が好ましく、特に好ましくは4.5〜6.0の範囲である。また、上記色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号公報記載の化合物を用いることもできる。
本発明の定着液中の硬膜剤としては、水溶性アルミニウム塩、クロム塩が挙げられる。上記硬膜剤として好ましい化合物は、水溶性アルミニウム塩であり、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明バンなどが挙げられる。上記硬膜剤の好ましい添加量は0.01モル〜0.2モル/リットルであり、さらに好ましくは0.03〜0.08モル/リットルである。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理または安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。このため、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。水洗水の補充量を少なくする方法としては、古くから多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明の製造方法に適用した場合、定着後の感光材料は徐々に正常な方向、即ち定着液で汚れていない処理液の方向に順次接触して処理されていくので、さらに効率のよい水洗がなされる。また、水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−287252号各公報などに記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のためには、種々の酸化剤添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。さらに、上記方法においては、水洗浴または安定化浴に防黴手段を施した水を、処理に応じて補充することによって生じた水洗浴または安定化浴からのオーバーフロー液の一部または全部を、特開昭60−235133号公報に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止および/またはスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィルムに転写することを防止するために、水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
また、上記水洗処理または安定化処理においては、感光材料から溶出した染料による汚染防止に、特開昭63−163456号公報に記載の色素吸着剤を水洗槽に設置してもよい。また、水洗処理に続いて安定化処理においては、特開平2−201357号、同2−132435号、同1−102553号、特開昭46−44446号の各公報に記載の化合物を含有した浴を、感光材料の最終浴として使用してもよい。この際、必要に応じてアンモニウム化合物、Bi、Alなどの金属化合物、蛍光増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌剤、防かび剤、アルカノールアミンや界面活性剤を加えることもできる。水洗工程または安定化工程に用いられる水としては水道水のほか脱イオン処理した水やハロゲン、紫外線殺菌灯や各種酸化剤(オゾン、過酸化水素、塩素酸塩など)等によって殺菌された水を使用することが好ましい。また、特開平4−39652号、特開平5−241309号公報記載の化合物を含む水洗水を使用してもよい。水洗処理または安定化温度における浴温度および時間は0〜50℃、5秒〜2分であることが好ましい。
本発明に用いられる現像液や定着液等の処理液は、特開昭61−73147号公報に記載された酸素透過性の低い包材で保管することが好ましい。また、補充量を低減する場合には処理槽の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許US第3025779号明細書、同第3545971号明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型プロセッサーとして言及する。また、ローラー搬送型プロセッサーは現像、定着、水洗および乾燥の四工程からことが好ましく、本発明においても、他の工程(例えば、停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。また、水洗工程の代わりに安定工程による四工程でも構わない。
上記各工程においては、現像液や定着液の組成から水を除いた成分を固形にして供給し、使用に当たって所定量の水で溶解して現像液や定着液として使用してもよい。このような形態の処理剤は固形処理剤と呼ばれる。固形処理剤は、粉末、錠剤、顆粒、粉末、塊状またはペースト状のものが用いられる。上記処理剤の、好ましい形態は、特開昭61−259921号公報記載の形態或いは錠剤である。該錠剤の製造方法は、例えば特開昭51−61837号、同54−155038号、同52−88025号の各公報、英国特許1,213,808号明細書等に記載される一般的な方法で製造できる。さらに顆粒の処理剤は、例えば特開平2−109042号、同2−109043号、同3−39735号各公報および同3−39739号公報等に記載される一般的な方法で製造できる。また、粉末の処理剤は、例えば特開昭54−133332号公報、英国特許725,892号、同729,862号各明細書およびドイツ特許3,733,861号明細書等に記載される一般的な方法で製造できる。
上記固形処理剤の嵩密度は、その溶解性の観点と、0.5〜6.0g/cm3のものが好ましく、特に1.0〜5.0g/cm3のものが好ましい。
上記固形処理剤を調製するに当たっては、処理剤を構成する物質の中の、少なくとも2種の相互に反応性の粒状物質を、反応性物質に対して不活性な物質による少なくとも一つの介在分離層によって分離された層になるように層状に反応性物質を置き、真空包装可能な袋を包材とし、袋内から排気しシールする方法を採用してもよい。ここにおいて、「不活性」とは、物質が互いに物理的に接触されたときにパッケージ内の通常の状態下で反応しないこと若しくは何らかの反応があっても著しくないことを意味する。不活性物質は、二つの相互に反応性の物質に対して不活性であることは別にして、二つの反応性の物質が意図される使用において不活発であればよい。さらに不活性物質は二つの反応性物質と同時に用いられる物質である。例えば、現像液においてハイドロキノンと水酸化ナトリウムは直接接触すると反応してしまうので、真空包装においてハイドロキノンと水酸化ナトリウムの間に分別層として亜硫酸ナトリウム等を使うことで、長期間パッケージ中に保存できる。また、ハイドロキノン等をブリケット化して水酸化ナトリウムとの接触面積を減らす事により保存性が向上し混合して用いることもできる。これらの真空包装材料の包材として用いられるのは不活性なプラスチックフィルム、プラスチック物質と金属箔のラミネートから作られたバッグである。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本発明における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
[物理現像およびメッキ処理]
本発明では、前記露光および現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための電解メッキ処理を行う。本発明では電解メッキ処理のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像と電解メッキ処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。
実施例中の各特性値は、次の方法に従って測定した。
(1)メッキ膜の膜厚
メッキ被膜の一部分を切断し断面を、キーエンス(株)製のレーザ顕微鏡を用いて、その段差を測定して求めた。
(2)導電率
株式会社コス製の導電率メーターCEH−12を用いて測定した。測定方式は、交流2電極方式で、測定範囲は0〜199mS/cmセンサーである。
(3)搬送張力
搬送陰極ロールの両側にロードセルの方式のセンサーを取付け測定した。センサーは、ミネベア(株)製の"C2G1−25K"型を用いた。測定範囲は0〜250Nの測定が可能なスペックである。ロール重さとフィルム搬送の抱き角から厳密に張力値を換算して校正したものの値を張力値とした。
(第1実施例)
上述した方法で得られたロール状の現像銀メッシュパターン付きフィルム2000mを、400mのロール状体に5分割して、650mm×400mのロール状体の導電膜付きのフィルムFを5本準備し、その5本のフィルムFを次に示す電解メッキ処理装置に通してメッキ被膜を形成した。
電解メッキ処理装置として図1に示す装置を用い、陽極に銅を用いて銅のメッキ被膜を5μm形成した。なお、メッシュパターンの金属銀部は、線の太さが10μm、線の間隔が300μmとなっている。
また、陰極ロール1は、直径210mm、長さ800mm、肉厚10mmのSUS316の円管を用いた。陰極ロール上の突起の高さは0.5mm、幅1mm、間隔20mm、材質PVCとした。
また、フィルムFの前処理条件、メッキ条件、防錆処理条件は、表1に示す条件で行った。なお、銅メッキは、陰極ロール1と搬送ロール101A〜Cのパスの繰り返し数が進むにつれて徐々に電流密度が上昇するように設定した。
Figure 2007039740
また、本実施例で用いられるフィルムFの支持体及び乳剤層の組成、及び、メッキ処理液の組成は、表2に示すとおりである。
Figure 2007039740
フィルム張力設定は、図1に示すようにS字ラップの速度制御部309によって適度に張力をカットし、その後、順次ロールの回転速度をドローにかける方式で張力を設定した。張力は陰極ロール325(張力検出ロール)部でロードセルによって自動で圧力検出を行い、張力が160N/mになるように速度制御部321の駆動モータの速度でフィードバック制御した。
搬送速度は4m/分、各陰極ロール1のモータ駆動設定において段階的にドロー比率設定を行い順次速度を上げ、張力を徐々に上げる方式とした。
その結果、搬送状態も非常に安定していて、良好な巻姿のロール状フィルムを得た。
また、表3に示す条件でメッキ処理液をジェット穴60から噴射させたところ、メッキむら、支持体の傷の有無、メッキ被膜の焦げの判定結果は、表3に示すようになった。
なお、メッキむらは、30点無作為に膜厚測定して標準偏差を求め、5μmの設計値に対して、±0.3μm以内を◎、±0.5μm以内を○、±1μm未満を△、±1μm以上を×と判定している。
Figure 2007039740
表3に示すように、導電面の電気抵抗が0.8Ω/cm2〜80Ω/cm2であるフィルムFに対して、ジェット穴60のメッキ処理液7の液面からの深さを1.0mm〜100.0mm、ジェット穴60の穴径を0.5mm〜3.0mm、ジェット穴60のフィルムFの幅方向の間隔を1.0mm〜20.0mm、ジェット穴60から噴射するメッキ処理液の流速を500mm/sec〜1500mm/sec、ジェット穴60とフィルムFの導電面との間隔を1.0mm〜20.0mmとした場合に、所望の厚みのメッキ被膜が得られ、フィルムFの傷、フィルムFの導電面の焦げが発生しないことが判る。
また、ジェット穴60の穴径を0.5mm〜1.0mm、ジェット穴60から噴射するメッキ処理液の流速を700mm/sec〜1200mm/sec、ジェット穴60とフィルムFの導電面との間隔を2.0mm〜10.0mmとした場合に、導電性がより高くなることが判る。
本発明の第1実施例における電解メッキ処理装置の全体を示す概略縦断面図である。 図1の装置の一部を拡大した図で、給電方法の一例を示す概略構成図である。 (A)は図1の装置のジェット穴の配置を示す拡大平面図、(B)はフィルムのメッキ処理状態を模式的に示す平面図である。 (A)、(B)はフィルムの幅方向の距離とジェット穴から噴射されるメッキ処理液の流速との関係を示すグラフである。 従来の電解メッキ処理装置の位置を拡大した図である。
符号の説明
1 陰極ロール(陰極)
7 メッキ処理液
50 電解メッキ処理槽
58 チャンバー
60 ジェット穴
100 電解メッキ処理装置
102 ケース(陽極)
F フィルム(ハロゲン化銀感光材料)

Claims (4)

  1. 金属銀部が形成されたハロゲン化銀感光材料が、メッキ処理液が充填された槽内で搬送される電解メッキ処理槽と、
    メッキ処理液の液面より上側に配設され、前記電解メッキ処理槽へ搬送されるハロゲン化銀感光材料の金属銀部に接触する陰極と、
    前記電解メッキ処理槽内に配設され、前記電解メッキ処理槽へ搬送されたハロゲン化銀感光材料の金属銀部と対向する陽極と、
    前記メッキ処理槽内で金属銀部へメッキ処理液を噴射する複数のジェット穴が形成されたチャンバーと、
    を備え、前記陰極と前記陽極との間で金属銀部に通電して金属銀部に電解メッキ処理によるメッキ被膜を形成する電解メッキ処理装置であって、
    ハロゲン化銀感光材料の金属銀部の電気抵抗が0.8Ω/cm2〜80Ω/cm2であり、
    前記ジェット穴の穴径を0.5mm〜3.0mm、前記ハロゲン化銀感光材料の幅方向の前記ジェット穴の間隔を1.0mm〜20.0mm、前記ジェット穴から噴射されるメッキ処理液の流速を500mm/sec〜1500mm/sec、前記ジェット穴と金属銀部との間隔を1.0mm〜20.0mmとし、
    前記ジェット穴を少なくとも前記電解メッキ処理槽内のメッキ処理液の液面から1.0mm〜100.0mmの深さに配設したことを特徴とする電解メッキ処理装置。
  2. 前記ジェット穴をハロゲン化銀感光材料の搬送方向の並びが千鳥状となるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ処理装置。
  3. 前記ジェット穴の穴径を0.5mm〜1.0mm、前記ジェット穴から噴射されるメッキ処理液の流速を700mm/sec〜1200mm/secとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電解メッキ処理装置。
  4. 前記ジェット穴と金属銀部との間隔を2.0mm〜10.0mmとしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電解メッキ処理装置。
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