JP2007038238A - ダイクッション機構並びにその制御装置及び制御方法 - Google Patents

ダイクッション機構並びにその制御装置及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 サーボモータを駆動源とするダイクッション機構の制御装置において、要求される力を高い応答性でダイクッション機構に生じさせる高精度の力制御を実行する。
【解決手段】 制御装置10は、ダイクッション機構12に生じさせる力Fを指令する力指令部18と、ダイクッション機構が生じている力を検出する力検出部20と、スライド16とダイクッション機構との衝突から乖離までの協働動作の間、力検出値Dが力指令値C以上であるときに、サーボモータ14に対する力制御を実行する力制御部22と、力指令部が衝突時の予備指令値を指令する基準となる初期定常値Rを、スライドが1サイクルのプレス動作を遂行する度に新たに設定する初期値設定部24とを備える。初期値設定部は、スライドの1サイクルのプレス動作中、協働動作の時間と乖離の直後の所定時間とを除く出力安定期における、力検出部の出力値Qを初期定常値に採用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ダイクッション機構並びにその制御装置及び制御方法に関する。
曲げ、絞り、打抜き等のプレス加工を行なうプレス機械において、加工動作中に、プレス加工に用いる第1の型を支持する可動側の支持部材(一般にスライドと称する)に対し、第2の型を支持する支持部材(一般にボルスターと称する)の側から所要の力(圧力)を加える付属装置として、ダイクッション機構を装備することは知られている。ダイクッション機構は通常、所定の圧力で保持した可動要素(一般にクッションパッドと称する)に、型閉め方向へ移動中のスライド(又は第1の型)を直接又は間接に衝突させた後、型閉め(成形)を経て型開きに至るまで、クッションパッドがスライドに力(圧力)を加えながらスライドと共に移動するように構成されている。この協働動作の間、例えば、クッションパッドとスライドとの間に被加工素材の加工箇所の周辺領域を挟持することにより、被加工素材の皺の発生を防止することができる。
ダイクッション機構を用いたプレス加工の精度を向上させるためには、クッションパッドが、スライドと共に移動する間、指示された力(圧力)をスライドに対し安定して加えることが要求される。しかし、従来のダイクッション機構は、油空圧装置を駆動源としているものが多く、スライドの衝突等の外因による急激な圧力変動に応答して、スライドに対する力(圧力)を指令値通りに可変的に制御することが一般に困難であった。そこで近年、応答性に優れた力制御を可能とすべく、サーボモータを駆動源とするダイクッション機構が開発されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載されるダイクッション機構は、プレス機械のスライドの下方に設置されるクッションパッドを、スライドの昇降動作に対応して、サーボモータにより昇降動作させる構成を有する。スライドが下降する間、サーボモータは、スライドがクッションパッドに衝突力を加える前は、クッションパッドの位置指令値に基づく位置制御により動作して、クッションパッドを所定の待機位置に位置決めする。また、スライドがクッションパッドに衝突力を加えた後は、サーボモータは、クッションパッドの位置に対応させて予め定めた力指令値に基づく力制御により動作して、クッションパッドをスライドと共に移動させながら、クッションパッドからスライドに加わる力(圧力)を調整する。なお、衝突及び圧力の検知は、クッションパッドを介してサーボモータの出力軸に加わる負荷を検出することにより行なわれる。
特開平10−202327号公報
上記したように、従来のサーボモータ駆動によるダイクッション機構では、スライドがクッションパッドに衝突力を加えたときに、サーボモータの制御方式を位置制御から力制御へ切り替えることにより、クッションパッドからスライドに加わる力(圧力)を適正化している。しかし、制御方式のこのような単純な切り替えだけでは、衝突時の衝撃による大きな圧力変動に迅速に応答して、クッションパッドの力(圧力)を適正に制御することは困難である。
例えば、スライドがクッションパッドに衝突力を加えた瞬間(力制御開始時)や、力制御実行中にサーボモータの出力トルクが何らかの外因で変動したときに、スライドとクッションパッドとの間に生じている力を力検出部(上記特許文献1では、サーボモータの負荷検出部)が検出するに至る時間(すなわちむだ時間)は、一般に長い。したがって、力検出部からの力検出値をフィードバックする力制御ループの応答性を向上させることが、一般に困難であった。
ここで、ダイクッション機構のサーボモータの制御装置は、スライドがクッションパッドに実際に衝突した後、例えば、力検出部による力検出値が力指令値(目標値)以上になることで「衝突の発生」を判断して、位置制御を力制御に切り替えるように構成できる。この構成では、位置制御から力制御への切り替えを迅速かつ正確に行なうために、実際の衝突の瞬間には、予備的な初期の力指令値(本明細書で「予備指令値」と称する)として、目標値よりも低い値を設定しておくことが有利である。そして、力制御に切り替わった後には本来の目標値への力制御を実行できるように、予備指令値から目標値まで迅速に高まる力指令値を設定する。
他方、従来のダイクッション機構において、力検出部に、油圧変動感知型の力センサを用いることは知られている。この力検出部は、スライドとクッションパッドとの間の接触圧力の下で変形可能な油室を、クッションパッドに隣接して装備しており、油室内の油圧の変化をひずみゲージ等によって感知することにより、スライドとクッションパッドとの間に生じている力の大きさを検出する。この構成では一般に、油室内の油は、外部からの圧力が加わらない状態で、零でない一定の圧力(その値を本明細書で「初期定常値」と称する)に保持される。そして、上記した予備指令値は、通常、この初期定常値を基準として設定され、かつ処理される(つまり、初期定常値プラス何パスカル、といった設定)。なお、本来の目標値である力指令値は、力検出部に外部からの圧力が加わらないときの零検出値を基準とする絶対的な値として設定、処理される。
しかし、プレス工程を反復して実施する間、力検出部の油室における油漏れ等に起因して、スライドが初期位置(すなわち上死点)からクッションパッドとの協働動作を経て初期位置に復帰するまでの1サイクルのプレス動作を実施する度に、定常値であるべき無外圧時の力検出部の出力値が微妙に変化する場合がある。そして、「初期定常値」として扱われるべき力検出部の出力値が変化すると、一定の値である予備指令値が相対的に変動することになるので、位置制御から力制御への切り替えを高精度で実行することが困難になり、結果として、製品の歩留まりが悪化する惧れがある。
本発明の目的は、サーボモータを駆動源としてプレス機械のスライドに対する力を生ずるダイクッション機構の制御装置において、要求される力を高い応答性でダイクッション機構に生じさせる高精度の力制御を実行できる制御装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、プレス機械に組み込まれるダイクッション機構において、要求される力を高い制御応答性で高精度に生じることができるダイクッション機構を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、サーボモータを駆動源としてプレス機械のスライドに対する力を生ずるダイクッション機構の制御方法において、要求される力を高い応答性でダイクッション機構に生じさせる高精度の力制御を実行できる制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、サーボモータを駆動源としてプレス機械のスライドに対する力を生ずるダイクッション機構の制御装置であって、ダイクッション機構に生じさせる力を指令する力指令部と、ダイクッション機構がスライドに対して生じている力を検出する力検出部と、スライドとダイクッション機構との相互の衝突から乖離までの協働動作の間、力検出部が検出した力検出値が、力指令部が指令した力指令値以上であるときに、サーボモータに対する力制御を実行する力制御部と、力指令部が衝突時の予備指令値を指令する基準となる初期定常値を、スライドが初期位置からダイクッション機構との協働動作を経て初期位置に復帰するまでの1サイクルのプレス動作を遂行する度に、新たに設定する初期値設定部とを具備し、初期値設定部は、スライドの1サイクルのプレス動作中、スライドとダイクッション機構との協働動作の時間と乖離の直後の予め定めた時間とを除く出力安定期における、力検出部の出力値を採用して、初期定常値として設定すること、を特徴とする制御装置を提供する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの位置を検出するスライド位置検出部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド位置検出部が検出したスライド位置検出値が、予め定めたスライド位置閾値と、初期位置を表わすスライド位置初期値との間にあるときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの位置を指令するスライド位置指令部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド位置指令部が指令したスライド位置指令値が、予め定めたスライド位置閾値と、初期位置を表わすスライド位置初期値との間にあるときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの位置を検出するスライド位置検出部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド位置検出部が検出したスライド位置検出値が、初期位置を表わすスライド位置初期値に等しいときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの位置を指令するスライド位置指令部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド位置指令部が指令したスライド位置指令値が、初期位置を表わすスライド位置初期値に等しいときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の制御装置において、スライドの移動速度を検出するスライド速度検出部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド速度検出部が検出したスライド速度検出値が、初期位置から遠ざかる方向へのスライドの移動を表すときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項7に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の制御装置において、スライドの移動速度を指令するスライド速度指令部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド速度指令部が指令したスライド速度指令値が、初期位置から遠ざかる方向へのスライドの移動を表すときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項8に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の制御装置において、スライドの移動速度を検出するスライド速度検出部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド速度検出部が検出したスライド速度検出値が、初期位置に近づく方向へのスライドの移動を表すときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項9に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の制御装置において、スライドの移動速度を指令するスライド速度指令部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド速度指令部が指令したスライド速度指令値が、初期位置に近づく方向へのスライドの移動を表すときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの移動速度を検出するスライド速度検出部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド速度検出部が検出したスライド速度検出値が、予め定めたスライド速度閾値に比べて、より速いスライドの移動速度を表すときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの移動速度を指令するスライド速度指令部をさらに具備し、初期値設定部は、スライド速度指令部が指令したスライド速度指令値が、予め定めたスライド速度閾値に比べて、より速いスライドの移動速度を表すときの、力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの1サイクルのプレス動作中、予め定めた時間に渡って力検出部の複数の出力値を記憶して保持する記憶部をさらに具備し、初期値設定部は、協働動作の間、力検出値が最初に力指令値に等しくなった時点から予め定めた時間だけ遡ったときの、記憶部に保持した力検出部の出力値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの1サイクルのプレス動作中、予め定めた時間に渡って力検出部の複数の出力値を記憶して保持する記憶部をさらに具備し、初期値設定部は、協働動作の間、力検出値が最初に力指令値に等しくなった時点までの、記憶部に保持した力検出部の複数の出力値の平均値を、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項14に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、スライドの1サイクルのプレス動作中、力検出値が最初に力指令値に等しくなった時点での力検出値に対し、ノイズ除去処理を施すノイズ除去部をさらに具備し、初期値設定部は、ノイズ除去部がノイズ除去処理を施した後の力検出値を、出力安定期における力検出部の出力値の代わりに、初期定常値として採用する制御装置を提供する。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の制御装置において、初期値設定部は、出力安定期において力検出部の出力値を初期定常値として採用する時期を、外部装置から入力された信号に基づいて決定する制御装置を提供する。
請求項16に記載の発明は、プレス機械に組み込まれ、スライドの動作に対応して移動するクッションパッドと、クッションパッドを駆動するサーボモータと、サーボモータを制御してクッションパッドとスライドとの間に相関的な圧力を生じさせる制御装置とを備えるダイクッション機構において、制御装置が請求項1〜15のいずれか1項に記載の制御装置からなることを特徴とするダイクッション機構を提供する。
請求項17に記載の発明は、サーボモータを駆動源としてプレス機械のスライドに対する力を生ずるダイクッション機構の制御方法であって、ダイクッション機構に生じさせる力の指令値を求めるステップと、ダイクッション機構がスライドに対して生じている力の検出値を求めるステップと、スライドとダイクッション機構との相互の衝突から乖離までの協働動作の間、力の検出値が力の指令値以上であるときに、サーボモータに対する力制御を実行するステップと、衝突時の予備指令値の基準となる初期定常値を、スライドが初期位置からダイクッション機構との協働動作を経て初期位置に復帰するまでの1サイクルのプレス動作を実施する度に、新たに設定するステップとを具備し、初期定常値を設定するステップは、スライドの1サイクルのプレス動作中、スライドとダイクッション機構との協働動作の時間と乖離の直後の予め定めた時間とを除く出力安定期における、ダイクッション機構の力の出力値を、初期定常値として採用すること、を特徴とする制御方法を提供する。
請求項1に記載の発明によれば、初期値設定部が、スライドが1サイクルのプレス動作を反復して遂行する度に、力検出部の安定した出力値を用いて、初期定常値を更新設定することができる。その結果、新たに設定された初期定常値を用いて衝突時の予備指令値が指令されることになり、以って、位置制御から力制御への切り替えを高精度に実行することが可能になる。
請求項2又は4に記載の発明によれば、力検出部の出力値の採用時期の適否判断を、スライドの位置検出値を監視することにより、容易かつ確実に行なうことができる。
請求項3又は5に記載の発明によれば、スライド位置検出部が介在することによる遅れや誤差が排除される。
請求項6又は8に記載の発明によれば、出力値の採用時期の適否判断を、スライドの位置の監視に加え、スライドの移動速度に応じて制限することにより、スライドの1サイクルのプレス動作において、協働動作の時間よりも前又は後の出力安定期における力検出部の出力値を採用して、初期定常値を更新することができる。
請求項7又は9に記載の発明によれば、スライド速度検出部が介在することによる遅れや誤差が排除される。
請求項10に記載の発明によれば、出力値の採用時期の適否判断を、スライドの移動速度を監視することにより、容易かつ確実に行なうことができる。
請求項11に記載の発明によれば、スライド速度検出部が介在することによる遅れや誤差が排除される。
請求項12に記載の発明によれば、出力値の採用時期の適否判断を、スライドの動作情報によらず、記憶部に保持した力検出部の出力値を特定する時間を予め定めることにより、容易かつ確実に行なうことができる。
請求項13に記載の発明によれば、力検出部が被るノイズの影響が、出力値の平均値を採用することにより実質的に排除される。
請求項14に記載の発明によれば、力検出部が被るノイズの影響を、ノイズ除去部によって排除したことで、出力値の採用時期に関わらず、スライドが1サイクルのプレス動作を反復して遂行する度に、安定した初期定常値を用いて、高精度の力制御を実行することが可能になる。
請求項に15記載の発明によれば、制御装置が、スライドの位置や速度の情報を入手するための構成要素を備えない場合にも、初期値設定部が、出力安定期において力検出部の出力値を初期定常値として採用する時期を、外部装置から入力された信号に基づいて決定するように構成することができる。
請求項16に記載の発明によれば、要求される力を高い制御応答性で高精度に生じることができるダイクッション機構が提供される。
請求項17に記載の発明は、請求項1に記載の発明と同等の作用効果を奏する。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1は、本発明に係る制御装置10の基本構成を示す機能ブロック図、図2は、制御装置10を備えた本発明の一実施形態によるダイクッション機構12の基本構成を示す模式図である。
図1及び図2に示すように、本発明に係る制御装置10は、サーボモータ14を駆動源としてプレス機械のスライド16に対する力Fを生ずるダイクッション機構12の制御装置10であって、ダイクッション機構12に生じさせる力Fを指令する力指令部18と、ダイクッション機構12がスライド16に対して生じている力Fを検出する力検出部20と、スライド16とダイクッション機構12との相互の衝突から乖離までの協働動作の間、力検出部20が検出した力検出値Dが、力指令部18が指令した力指令値C以上であるときに、サーボモータ14に対する力制御を実行する力制御部22と、力指令部18が衝突時の予備指令値を指令する基準となる初期定常値Rを、スライド16が初期位置(すなわち上死点)からダイクッション機構12との協働動作を経て初期位置に復帰するまでの1サイクルのプレス動作を遂行する度に、新たに設定する初期値設定部24とを備えて構成される。初期値設定部24は、スライド16の1サイクルのプレス動作中、スライド16とダイクッション機構12との協働動作の時間と乖離の直後の予め定めた時間とを除く出力安定期(後述する)における、力検出部20の出力値Qを初期定常値Rに採用して、初期定常値Rを設定する。
また、本発明の一実施形態によるダイクッション機構12は、図2に示すように、プレス機械に組み込まれ、スライド16の動作に対応して移動するクッションパッド26と、クッションパッド26を駆動するサーボモータ14と、サーボモータ14を制御してクッションパッド26とスライド16との間に相関的な圧力(すなわち力F)を生じさせる制御装置10とを備える。スライド16は、プレス加工に用いる第1の型(図示せず)を支持して、図示しないボルスターに支持した第2の型(図示せず)に対し、プレス加工に要求される速度Vで接近又は離反する方向へ移動する。クッションパッド26は、第2の型に関連して配置され、ボールねじ装置28及びベルト/プーリ装置30を介して、サーボモータ14の出力軸に接続される。スライド16(又は第1の型)は、型閉め方向へ移動する間に、所定位置に待機していたクッションパッド26に直接又は間接に衝突する。そして通常は、型閉め(成形)を経て型開きに至るまで、クッションパッド26が、スライド16に所要の力(圧力)Fを加えながらスライド16と共に移動する。
制御装置10の力検出部20は、油圧変動感知型の力センサとして構成される。つまり、力検出部20は、スライド16とクッションパッド26との間に生じる力(接触圧力)Fの下で変形可能な油室20a(図2)を、クッションパッド26に隣接して装備しており、油室20a内の油圧の変化をひずみゲージ等によって感知することにより、スライド16とクッションパッド26との間に生じている力Fの大きさを検出する。ここで、力指令部18が衝突時の予備指令値を指令する基準となる初期定常値Rとして、油室20a内の油に外部からの圧力が加わらない定常状態での力検出部20の出力値(通常は零でない圧力初期値)Qが採用される。この構成では、前述したように予備指令値は通常、この初期定常値Rを基準として設定され、演算処理される。
図3は、制御装置10において、力指令部18が指令した力指令値C及び力検出部20が検出した力検出値Dの経時変化の一例を、同じ時間軸に沿ったスライド16の位置P及び速度Vの経時変化の一例と共に示す。図示のように、スライド16は、上死点TDCからクッションパッド26に向かって下降し、所定位置(図では位置原点)でクッションパッド26に衝突した後、クッションパッド26と共に下降して、下死点BDCに到達する。さらにスライド16は、下死点BDCからクッションパッド26と共に上昇し、所定位置でクッションパッド26から乖離した後、上死点TDCに到達する。これにより、1サイクルのプレス動作Aが完了する。
この1サイクルのプレス動作Aの間、制御装置10(図1及び図2)は、スライド16が上死点TDCから出発してクッションパッド26に衝突するまでの時間と、スライド16がクッションパッド26から乖離して上死点TDCに復帰するまでの時間とにおいて、ダイクッション機構12のサーボモータ14に対し、位置フィードバックループ(図示せず)による位置制御PCを実行する。また、制御装置10は、スライド16がクッションパッド26に衝突してから下死点BDCを経てクッションパッド26から乖離するまでの協働動作Bの時間において、ダイクッション機構12のサーボモータ14に対し、力フィードバックループ(力指令部18、力検出部20及び力制御部22)による力制御FCを実行する。
ここで、制御装置10の力制御部22は、スライド16がクッションパッド26に実際に衝突した後、力検出部20による力検出値Dが力指令値(目標値)C以上になることで「衝突の発生」を判断して、衝突前の位置制御PCを衝突後の力制御FCに切り替えるように構成される。このとき、位置制御PCから力制御FCへの切り替えを迅速かつ正確に行なうために、実際の衝突の瞬間には、予備指令値CF0として、目標値CFSよりも低い値が設定されている。そして、力制御FCに切り替わった後には本来の目標値CFSへの力制御FCを実行できるように、予備指令値CF0から目標値CFSまで迅速に高まるカーブを描く力指令値Cが設定される(図3に一点鎖線で示す)。
この力指令値Cに対し、力検出部20による力検出値D(図3に実線で示す)は、定常出力値Q(又は初期定常値R)に対応する値から、スライド16がクッションパッド26に実際に衝突した直後、急激に上昇して、オーバシュートを生じた後、徐々に目標値CFSに収束して、目標値CFSに近似する値DFSに達する。そして、スライド16がクッションパッド26から乖離した直後、力検出値Dは急激に下降し、それに伴って特定の時間(例えば200ms程度)に渡る不安定な状態を経た後、定常出力値Qに対応する値に戻る。
このような力制御FCを実行する際に、上記したように、力指令部18が予備指令値CF0を指令する基準となる初期定常値Rとして、外圧が加わらない定常状態での力検出部20の出力値Qを採用する(図1)と、プレス工程を反復して実施する間、力検出部20の油室20a(図2)における油漏れ等に起因して、定常値であるべき無外圧時の力検出部20の出力値Qが微妙に変化し、一定の値である予備指令値が相対的に変動することになって、位置制御PCから力制御FCへの切り替えを高精度に実行することが困難になる、という既述の課題が生じる。このような課題を解決するために、本発明に係る制御装置10(図1)では、初期値設定部24が、初期定常値Rを、スライド16が1サイクルのプレス動作Aを反復して遂行する度に、新たに設定する(つまり更新する)構成を有しているのである。
ここで、1サイクルのプレス動作Aにおいて、協働動作Bよりも前の時間における力検出部20の出力値Qを採用して、初期定常値Rを更新した場合には、新たな初期定常値Rは、そのサイクルの力制御FCにおいて使用される。他方、1サイクルのプレス動作Aにおいて、協働動作Bよりも後の時間における力検出部20の出力値Qを採用して、初期定常値Rを更新した場合には、新たな初期定常値Rは、次のサイクルの力制御FCにおいて使用される。
ところが、特に協働動作Bよりも後の時間においては、前述したように、スライド16がクッションパッド26から乖離した直後に力検出部20の出力値Q(力検出値D)が不安定になる時間Tが存在する。したがって、この時間Tにおける力検出部20の出力値Qを、新たな初期定常値Rに採用した場合には、次サイクルの力制御FCにおいて、予備指令値CF0が、予期した値とは異なる値として処理される懸念が生じる。例えば、時間Tにおける図で正の領域の出力値Qを新たな初期定常値Rに採用すると、予備指令値CF0が予期値よりも大きくなるので、位置制御から力制御への切り替えが遅れることになる。また、時間Tにおける図で負の領域の出力値Qを新たな初期定常値Rに採用すると、予備指令値CF0が予期値よりも小さくなるので、実際の衝突前に、力検出部20が被り得るノイズに起因して位置制御から力制御への切り替えが行なわれる惧れがある。
本発明に係る制御装置10では、力検出部20の出力値Qの採用時期によって生じ得るこのような不都合を回避するために、前述したように、初期値設定部24(図1)が、スライド16の1サイクルのプレス動作Aの中で、スライド16とダイクッション機構12との協働動作Bの時間Tと乖離直後の所定時間Tとを除く出力安定期T(図3)における力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rに採用するように構成したのである。このような構成により、スライド16が1サイクルのプレス動作Aを反復して遂行する度に、新たに設定された初期定常値Rを基準として、位置制御PCから力制御FCへの切り替えを高精度に実行することが可能になる。
上記した制御装置10の構成を制御方法として記述すれば、この制御方法は、ダイクッション機構12に生じさせる力Fの指令値Cを求めるステップと、ダイクッション機構12がスライド16に対して生じている力Fの検出値Dを求めるステップと、スライド16とダイクッション機構12との相互の衝突から乖離までの協働動作Bの間、力の検出値Dが力の指令値C以上であるときに、サーボモータ14に対する力制御FCを実行するステップと、衝突時の予備指令値CF0の基準となる初期定常値Rを、スライド16が1サイクルのプレス動作Aを実施する度に、新たに設定するステップとを具備し、初期定常値Rを設定するステップは、スライド16の1サイクルのプレス動作A中、スライド16とダイクッション機構12との協働動作Bの時間Tと乖離直後の予め定めた時間Tとを除く出力安定期Tにおける、ダイクッション機構12の力の出力値Qを、初期定常値Rとして採用すること、を特徴とするものとなる。このような制御方法を実行することにより、上記した格別の作用効果が奏される。
次に、図4〜図12を参照して、初期値設定部24が初期定常値Rを更新する目的で出力値Qを採用する時期を決定するための、さらに具体的な構成を、本発明の幾つかの好適な実施形態として説明する。なお、いずれの実施形態も、上記した制御装置10の基本構成を有するものであるから、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、本発明の第1の実施形態による制御装置40は、前述した制御装置10の基本構成に加えて、スライド16の位置Pを検出するスライド位置検出部42をさらに備える。そして初期値設定部24は、図5に示すように、スライド位置検出部42が検出したスライド位置検出値Dが、予め定めたスライド位置閾値Pと、スライド16の初期位置(つまり上死点TDC)を表わすスライド位置初期値Pとの間にあるときの、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用する。この場合、スライド位置閾値Pは、スライド16がクッションパッド26から乖離した直後の出力値Qが不安定な時間Tの終了時に対応するスライド位置と、スライド上死点TDCとの間の位置として設定される。
このような構成により、前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Q(図5にQ1及びQ2で示す)が、初期定常値Rとして採用されることになる。特にこの構成では、出力値Qの採用時期の適否判断を、スライド16の位置Pを監視することにより、容易かつ確実に行なうことができる。なお、スライド位置検出部42は、図2に示すように、公知のリニアスケールを有することができる。
上記構成において、初期値設定部24は、図5に示すように、スライド位置検出部42が検出したスライド位置検出値Dが、上死点TDCを表わすスライド位置初期値Pに等しいときの、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用することもできる。この構成によっても、前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Q(図5にQ3及びQ4で示す)が、初期定常値Rとして採用されることになる。
上記した制御装置40の変形例として、図6に示すように、スライド位置検出部42に代えて、スライド16の位置を指令するスライド位置指令部44を備えることもできる。この場合、初期値設定部24は、スライド位置指令部44が指令したスライド位置指令値C(図5)が、予め定めたスライド位置閾値Pと、スライド16の初期位置(つまり上死点TDC)を表わすスライド位置初期値Pとの間にあるときの、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用する。或いは、初期値設定部24は、スライド位置指令部44が指令したスライド位置指令値Cが、上死点TDCを表わすスライド位置初期値Pに等しいときの、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用する。
このような構成によっても、前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Q1及びQ2、又はQ3及びQ4(図5)が、初期定常値Rとして採用されることになる。特に、出力値Qの採用時期の適否判断に、スライド位置検出値Dではなくスライド位置指令値Cを用いることで、スライド位置検出部42が介在することによる遅れや誤差が排除される。
図7は、本発明の第2の実施形態による制御装置50を示す。制御装置50は、第1実施形態による制御装置40の構成に加えて、スライド16の移動速度Vを検出するスライド速度検出部52をさらに備える。そして、初期値設定部24は、前述したスライド位置検出部42のスライド位置検出値Dを判断基準に用いる構成に加えて、スライド速度検出部52が検出したスライド速度検出値Dが、初期位置(つまり上死点TDC)から遠ざかる方向へのスライド16の移動を表すとき(図5で負の速度領域)の、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用する。
このような構成によれば、前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Q1又はQ3(図5)が、初期定常値Rとして採用されることになる。つまり、この構成では、出力値Qの採用時期の適否判断を、スライド16の位置Pの監視に加え、スライド16の移動速度Vに応じて制限することにより、スライド16の1サイクルのプレス動作Aにおいて、協働動作Bの時間Tよりも前の出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Qを採用して、初期定常値Rを更新することができる。なお、スライド速度検出部52は、図2に示すように、公知のリニアスケールを有することができる。
制御装置50の初期値設定部24は、上記構成の代わりに、前述したスライド位置検出部42のスライド位置検出値Dを判断基準に用いる構成に加えて、スライド速度検出部52が検出したスライド速度検出値Dが、初期位置(つまり上死点TDC)に近づく方向へのスライド16の移動を表すとき(図5で正の速度領域)の、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用することもできる。このような構成によれば、前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Q2又はQ4(図5)が、初期定常値Rとして採用されることになる。つまり、この構成では、スライド16の1サイクルのプレス動作Aにおいて、出力不安定時間Tよりも後の出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Qを採用して、初期定常値Rを更新することができる。
上記した制御装置50の変形例として、図8に示すように、スライド速度検出部52に代えて、スライド16の位置を指令するスライド速度指令部54を備えることもできる。この場合、初期値設定部24は、スライド速度指令部54が指令したスライド速度指令値D(図5)が、初期位置(つまり上死点TDC)から遠ざかる方向へのスライド16の移動を表すとき(図5で負の速度領域)の、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用する。或いは、初期値設定部24は、スライド速度指令部54が指令したスライド速度指令値Dが、上死点TDCに近づく方向へのスライド16の移動を表すとき(図5で正の速度領域)の、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用する。
このような構成によっても、前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Q1若しくはQ3、又はQ2若しくはQ4(図5)が、初期定常値Rとして採用されることになる。特に、出力値Qの採用時期の適否判断に、スライド速度検出値Dではなくスライド位置指令値Cを用いることで、スライド速度検出部52が介在することによる遅れや誤差が排除される。なお、スライド位置検出部42とスライド速度指令部54との組み合わせ、又はスライド位置指令部44とスライド速度検出部52との組み合わせを採用してもよい。
図9は、本発明の第3の実施形態による制御装置60を示す。制御装置60は、第1実施形態による制御装置40におけるスライド位置検出部42の代わりに、スライド16の移動速度Vを検出するスライド速度検出部62を備える。そして、初期値設定部24は、図10に示すように、スライド速度検出部62が検出したスライド速度検出値Dが、予め定めたスライド速度閾値VT1、VT2に比べて、(絶対値で)より速いスライド16の移動速度Vを表すときの、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用する。この場合、スライド速度閾値VT1は、スライド16が上死点TDCからクッションパッド26に衝突するまでの時間帯における、図で負の速度領域のうち、衝突時の速度よりも速い速度として設定される。また、スライド速度閾値VT2は、スライド16がクッションパッド26から乖離した後に上死点TDCに復帰するまでの時間帯における、図で正の速度領域のうち、乖離時の速度よりも速い速度として設定される。
このような構成により、前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Q(図10にQ5及びQ6で示す)が、初期定常値Rとして採用されることになる。特にこの構成では、出力値Qの採用時期の適否判断を、スライド16の移動速度Vを監視することにより、容易かつ確実に行なうことができる。なお、スライド速度検出部62は、図2に示すように、公知のリニアスケールを有することができる。
上記した制御装置60は、図11に変形例として示すように、スライド速度検出部62に代えて、スライド16の移動速度を指令するスライド速度指令部64を備えることもできる。この場合、初期値設定部24は、スライド速度指令部64が指令したスライド速度指令値Cが、予め定めたスライド速度閾値VT1、VT2に比べて、(絶対値で)より速いスライド16の移動速度Vを表すときの、力検出部20の出力値Qを、初期定常値Rとして採用する。
このような構成によっても、前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Q5及びQ6(図10)が、初期定常値Rとして採用されることになる。特に、出力値Qの採用時期の適否判断に、スライド速度検出値Dではなくスライド速度指令値Cを用いることで、スライド速度検出部62が介在することによる遅れや誤差が排除される。
図12は、本発明の第4の実施形態による制御装置70を示す。制御装置70は、前述した制御装置10の基本構成に加えて、スライド16の1サイクルのプレス動作A中、予め定めた時間nに渡って、所定周期で検出された力検出部20の複数の出力値Q(1)〜Q(n)を記憶して保持する記憶部72をさらに備える。そして初期値設定部24は、スライド16とクッションパッド26との協働動作の間、力検出値Dが最初に力指令値Cに等しくなった時点(すなわち力制御部22が「衝突」を判断する時点)から予め定めた時間nだけ遡ったときの、記憶部72に保持した力検出部20の出力値Q(n)を、初期定常値Rとして採用する。
このような構成により、スライド16とクッションパッド26とが衝突する前の前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Qが、初期定常値Rとして採用されることになる。特にこの構成では、出力値Qの採用時期の適否判断を、スライド16の動作情報によらず、記憶部72に保持した力検出部20の出力値Q(n)を特定する時間nを予め定めることにより、容易かつ確実に行なうことができる。
上記構成において、初期値設定部24は、スライド16とクッションパッド26との協働動作の間、力検出値Dが最初に力指令値Cに等しくなった時点(すなわち力制御部22が「衝突」を判断する時点)までの、記憶部72に保持した力検出部20の複数の出力値Q(1)〜Q(n)の平均値(Q(1)+・・・+Q(n))/nを、初期定常値Rとして採用することもできる。この構成によれば、スライド16とクッションパッド26とが衝突する前の前述した出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Qが、初期定常値Rとして採用されることになる。特にこの構成では、力検出部20が被るノイズの影響が、出力値Qの平均値を採用することにより実質的に排除される。
図13は、本発明の第5の実施形態による制御装置80を示す。制御装置80は、前述した制御装置10の基本構成に加えて、スライド16の1サイクルのプレス動作A中、力検出値Dが最初に力指令値Cに等しくなった時点(すなわち力制御部22が「衝突」を判断する時点)での力検出値Q(1)に対し、ノイズ除去処理を施すノイズ除去部82をさらに備える。そして初期値設定部24は、ノイズ除去部82がノイズ除去処理を施した後の力検出値Q(1')を、出力安定期Tにおける力検出部20の出力値Qの代わりに、初期定常値Rとして採用する。
この構成によれば、力検出部20が被るノイズの影響を、ノイズ除去部82によって排除したことで、出力値Qの採用時期に関わらず、スライド16が1サイクルのプレス動作Aを反復して遂行する度に、安定した初期定常値Rを用いて、高精度の力制御FCを実行することが可能になる。
上記した種々の実施形態において、特にスライド16の位置や速度の情報を利用して、力検出部20の出力値Qの採用時期を決定する構成では、本発明に係る制御装置10は、スライド16の位置や速度の情報を入手するための構成要素(スライド位置検出部42、スライド速度検出部52等)を備える必要がある。これに対し、制御装置10がそのような構成要件を備えない場合には、初期値設定部24は、出力安定期Tにおいて力検出部20の出力値Qを初期定常値Rとして採用する時期を、外部装置90から入力された信号Gに基づいて決定するように構成することができる(図14)。この場合、外部装置90としては、例えば、スライド16の動作を制御するためにプレス機械に設けられるスライド制御装置が挙げられる。
本発明に係るダイクッション機構の制御装置の基本構成を示す機能ブロック図である。 図1の制御装置を備えた本発明の一実施形態によるダイクッション機構を、プレス機械のスライドと共に模式図的に示す図である。 図1の制御装置における力指令値及び力検出値の経時変化を、スライドの位置及び速度の経時変化と共に示す図である。 本発明の第1の実施形態による制御装置を示す機能ブロック図である。 図4の制御装置における力検出部の出力値の採用時期の選定方法を説明する図である。 図4の制御装置の変形例を示す機能ブロック図である。 本発明の第2の実施形態による制御装置を示す機能ブロック図である。 図7の制御装置の変形例を示す機能ブロック図である。 本発明の第3の実施形態による制御装置を示す機能ブロック図である。 図9の制御装置における力検出部の出力値の採用時期の選定方法を説明する図である。 図9の制御装置の変形例を示す機能ブロック図である。 本発明の第4の実施形態による制御装置を示す機能ブロック図である。 本発明の第5の実施形態による制御装置を示す機能ブロック図である。 本発明に係る制御装置の変形例を示す機能ブロック図である。
符号の説明
10、40、50、60、70、80 制御装置
12 ダイクッション機構
14 サーボモータ
16 スライド
18 力指令部
20 力検出部
22 力制御部
24 初期値設定部
26 クッションパッド
42 スライド位置検出部
44 スライド位置指令部
52、62 スライド速度検出部
54、64 スライド速度指令部
72 記憶部
82 ノイズ除去部
90 外部装置

Claims (17)

  1. サーボモータを駆動源としてプレス機械のスライドに対する力を生ずるダイクッション機構の制御装置であって、
    前記ダイクッション機構に生じさせる力を指令する力指令部と、
    前記ダイクッション機構が前記スライドに対して生じている力を検出する力検出部と、
    前記スライドと前記ダイクッション機構との相互の衝突から乖離までの協働動作の間、前記力検出部が検出した力検出値が、前記力指令部が指令した力指令値以上であるときに、前記サーボモータに対する力制御を実行する力制御部と、
    前記力指令部が前記衝突時の予備指令値を指令する基準となる初期定常値を、前記スライドが初期位置から前記ダイクッション機構との前記協働動作を経て該初期位置に復帰するまでの1サイクルのプレス動作を遂行する度に、新たに設定する初期値設定部とを具備し、
    前記初期値設定部は、前記スライドの前記1サイクルのプレス動作中、該スライドと前記ダイクッション機構との前記協働動作の時間と前記乖離の直後の予め定めた時間とを除く出力安定期における、前記力検出部の出力値を採用して、前記初期定常値として設定すること、
    を特徴とする制御装置。
  2. 前記スライドの位置を検出するスライド位置検出部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド位置検出部が検出したスライド位置検出値が、予め定めたスライド位置閾値と、前記初期位置を表わすスライド位置初期値との間にあるときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記スライドの位置を指令するスライド位置指令部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド位置指令部が指令したスライド位置指令値が、予め定めたスライド位置閾値と、前記初期位置を表わすスライド位置初期値との間にあるときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  4. 前記スライドの位置を検出するスライド位置検出部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド位置検出部が検出したスライド位置検出値が、前記初期位置を表わすスライド位置初期値に等しいときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  5. 前記スライドの位置を指令するスライド位置指令部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド位置指令部が指令したスライド位置指令値が、前記初期位置を表わすスライド位置初期値に等しいときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  6. 前記スライドの移動速度を検出するスライド速度検出部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド速度検出部が検出したスライド速度検出値が、前記初期位置から遠ざかる方向への前記スライドの移動を表すときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の制御装置。
  7. 前記スライドの移動速度を指令するスライド速度指令部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド速度指令部が指令したスライド速度指令値が、前記初期位置から遠ざかる方向への前記スライドの移動を表すときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の制御装置。
  8. 前記スライドの移動速度を検出するスライド速度検出部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド速度検出部が検出したスライド速度検出値が、前記初期位置に近づく方向への前記スライドの移動を表すときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の制御装置。
  9. 前記スライドの移動速度を指令するスライド速度指令部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド速度指令部が指令したスライド速度指令値が、前記初期位置に近づく方向への前記スライドの移動を表すときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の制御装置。
  10. 前記スライドの移動速度を検出するスライド速度検出部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド速度検出部が検出したスライド速度検出値が、予め定めたスライド速度閾値に比べて、より速い該スライドの該移動速度を表すときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  11. 前記スライドの移動速度を指令するスライド速度指令部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該スライド速度指令部が指令したスライド速度指令値が、予め定めたスライド速度閾値に比べて、より速い該スライドの該移動速度を表すときの、前記力検出部の前記出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  12. 前記スライドの前記1サイクルのプレス動作中、予め定めた時間に渡って前記力検出部の複数の前記出力値を記憶して保持する記憶部をさらに具備し、前記初期値設定部は、前記協働動作の間、前記力検出値が最初に前記力指令値に等しくなった時点から該予め定めた時間だけ遡ったときの、該記憶部に保持した該力検出部の該出力値を、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  13. 前記スライドの前記1サイクルのプレス動作中、予め定めた時間に渡って前記力検出部の複数の前記出力値を記憶して保持する記憶部をさらに具備し、前記初期値設定部は、前記協働動作の間、前記力検出値が最初に前記力指令値に等しくなった時点までの、該記憶部に保持した該力検出部の該複数の出力値の平均値を、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  14. 前記スライドの前記1サイクルのプレス動作中、前記力検出値が最初に前記力指令値に等しくなった時点での該力検出値に対し、ノイズ除去処理を施すノイズ除去部をさらに具備し、前記初期値設定部は、該ノイズ除去部が該ノイズ除去処理を施した後の該力検出値を、前記出力安定期における前記力検出部の前記出力値の代わりに、前記初期定常値として採用する、請求項1に記載の制御装置。
  15. 前記初期値設定部は、前記出力安定期において前記力検出部の前記出力値を前記初期定常値として採用する時期を、外部装置から入力された信号に基づいて決定する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の制御装置。
  16. プレス機械に組み込まれ、スライドの動作に対応して移動するクッションパッドと、該クッションパッドを駆動するサーボモータと、該サーボモータを制御して該クッションパッドと該スライドとの間に相関的な圧力を生じさせる制御装置とを備えるダイクッション機構において、
    前記制御装置が請求項1〜15のいずれか1項に記載の制御装置からなることを特徴とするダイクッション機構。
  17. サーボモータを駆動源としてプレス機械のスライドに対する力を生ずるダイクッション機構の制御方法であって、
    前記ダイクッション機構に生じさせる力の指令値を求めるステップと、
    前記ダイクッション機構が前記スライドに対して生じている力の検出値を求めるステップと、
    前記スライドと前記ダイクッション機構との相互の衝突から乖離までの協働動作の間、前記力の検出値が前記力の指令値以上であるときに、前記サーボモータに対する力制御を実行するステップと、
    前記衝突時の予備指令値の基準となる初期定常値を、前記スライドが初期位置から前記ダイクッション機構との前記協働動作を経て該初期位置に復帰するまでの1サイクルのプレス動作を実施する度に、新たに設定するステップとを具備し、
    前記初期定常値を設定する前記ステップは、前記スライドの前記1サイクルのプレス動作中、該スライドと前記ダイクッション機構との前記協働動作の時間と前記乖離の直後の予め定めた時間とを除く出力安定期における、該ダイクッション機構の力の出力値を、前記初期定常値として採用すること、
    を特徴とする制御方法。
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