JP2007038237A - 強度を持たせ、かつ平面度を維持する溶接法 - Google Patents

Abstract

【課題】鋼製円盤の薄板上所定の位置に、ケーブルポスト金具その他の円筒状部材を、該円筒の軸心が前記鋼製円盤に直交するように立設し、変圧器を収納するスチールドラム缶状ケースの密封性を保持し、そして鋼製円盤の強度と剛性を維持できるようにする。
【解決手段】変圧器を収納するスチールドラム缶状ケースの蓋を延性のある鋼製薄板で構成し、該鋼製円盤の薄板上所定の位置に、所定直径の円形孔を開設し、金型で該円形孔を深絞りして円環状突起を前記スチールドラム缶蓋の内面に形設し、該円環状突起の内側に前記ケーブルポスト金具その他の円筒状部材の一方端部外面全周を前記円環状突起内面に全周溶接する溶接法。
【選択図】 図５

Description

本発明は、鋼製薄板に円筒状鋼製部材を溶接する場合において、鋼製薄板の強度をもたせ、かつ平面度を維持する溶接法に関するものである。

従来、変圧器用ケースは鋼製で直方体のものが一般的であるが、円筒形状のオープン型スチールドラム缶状のものもある。

変圧器は用途、冷却方式、鉄心構造、巻数、相数及び結線により多種類に亘るが、電源と負荷の間を受け持つインターフェースであるから、変圧器を収容するケースは、ブッシング端子や接地端子を装着しなければならない。また、冷却用絶縁油に変圧器を浸漬する必要上ケースに密封性を持たせねばならない。

変圧器をスチールドラム缶状ケースに収納する場合、ケーブルポスト金具、油口、ブッシング端子、及び接地端子その他のインターフェース関連部材は、通常、スチールドラム缶状ケースの蓋に取着される。

スチールドラム缶状ケースの蓋は鋼製円盤であり、ケーブルポスト金具や油口は円筒状であるから、円筒状部材を円盤上所定の位置に取着する必要がある。しかし、鋼製円盤と、円筒状のケーブルポスト金具や油口とは肉厚が異なるので、そのままの状態で溶接することは難しく、熟練を要する。

解決しようとする問題点は、鋼製円盤の薄板（厚み０．６ｍｍ）上所定の位置に、ケーブルポスト金具その他の円筒状部材を、該円筒の軸心が前記鋼製円盤に直交するように溶接により立設し、変圧器を収納するスチールドラム缶状ケースの密封性を保持し、そして鋼製円盤の平面強度と平面度を維持できるようにすることである。

請求項１に係る発明は、変圧器を収納するスチールドラム缶状ケースの蓋である鋼製円盤の薄板上所定の位置に、所定直径の円形孔を開設し、金型で該円形孔を深絞りして円環状突起を前記スチールドラム缶蓋の内面に形設し、該円環状突起の内側に前記ケーブルポスト金具その他の円筒状部材の一方端部外周を溶接して強度を持たせ、平面度を維持する溶接法であることを要旨とする。

請求項２に係る発明は、前記スチールドラム缶状ケースの蓋が、延性のある鋼製であることを要旨とする。

本発明の強度を持たせ、かつ平面度を維持する溶接法によれば、変圧器を収納するスチールドラム缶状ケースの蓋である鋼製円盤の薄板上所定の位置に、ケーブルポスト金具その他の円筒状部材を、該円筒の軸心が前記鋼製円盤に直交するように溶接により立設することができ、変圧器を収納するスチールドラム缶状ケースの密封性を保持すると共に、蓋である鋼製円盤の強度を持たせ、かつ平面度を維持することができる。

この発明の溶接法を具体化した最良の実施の形態について、以下図面を用いて説明する。

図１は、本発明の溶接法施工のため円形孔が開設されたスチールドラム缶蓋１の平面図、そして図２は同上の正面図である。蓋１には円形孔２が４個、円形孔３が１個開設されている。円形孔２はケーブルポスト用金具４用、そして円形孔３は油口５用の開設孔である。スチールドラム缶蓋１の素材は延性のある鋼製薄板がよい。蓋１の周縁部は、スチールドラム缶本体の上縁部にOリングを介して嵌合し、締結帯により密着して密封性を保持できる構造となっている。

図３は、スチールドラム缶蓋１に開設の円形孔２，３を深絞で形成した円環状突出部を示す平面図、そして図４は図３のA−A断面図である。円形孔３はA−A断面からずれるが、比較の便宜上共に図示した。蓋１にSPCC.SDに代表される鋼製薄板が使用されているので、金型を使用して深絞をして円環状突起部２２、３２を形成した。図３に見る円形孔２１、３１は、円環状突起部２２、３２の内面が形成するもので、図１の円形孔の直径よりも、円環状突起部２２、３２の突出高さの２倍だけ直径が拡大されている。すなわち、円環状突起部２２、３２の突出高さは、円形孔２１と円形孔２、円形孔３１と円形孔３との夫々の差の半分となる。円環状突起部２２、３２の円環厚みは蓋１の厚みである。

図５は、本発明の溶接法の工程図である。スチールドラム缶蓋１には、円環状突起部２２、３２の内面が円形孔２１、円形孔３１を形成する。円形孔２１にはケーブルポスト金具４が、円形孔３１には油口５が夫々対応する。円筒状のケーブルポスト金具４の底部を円形孔２１に、円筒状の油口５を円形孔３１に夫々面を合わせて嵌合させ、アルゴン溶接で数箇所をスポット溶接して仮止めし、円環状突起部２２の内面をケーブルポスト用金具４の底端部全周縁に、そして円環状突起部３２の内面を油口５の底端部全周縁にアルゴン雰囲気下で夫々全周溶接をした。蓋１の厚みは０．６ｍｍの薄板なのでアルゴン溶接が好ましい。作図の便宜上、図５の最下段には、右半分に断面図を、そして左半分に正面図を夫々示した。

図６は、ケーブルポスト用金具４の正面図（左半分）及びA−A断面図（右半分）、そして図７は、油口５の正面図（左半分）及びA−A断面図（右半分）である。ケーブルポスト用金具４と油口５は共に両端面解放の円筒体で、ケーブルポスト用金具４の円筒体の厚みは３．１５ｍｍ、油口５のそれは２．５ｍｍである。蓋１の厚みは０．６ｍｍであるから、かなり厚い。ケーブルポスト用金具４の内面には、上端面から１９ｍｍの深さまでの内面にめねじ４１が形設されている。

使い勝手の良いスチールドラム缶が変圧器ケースとして普及すれば、配電工事の作業性が向上し、コスト低減が図られて、配電事業の発展に寄与するので、産業上の利用可能性がある。

本発明の溶接法施工のため円形孔が開設されたスチールドラム缶蓋１の平面図である。 本発明の溶接法施工のため円形孔が開設されたスチールドラム缶蓋１の正面図である。 蓋１に開設の円形孔を深絞で形成した円環状突出部を示す平面図である。 図３のA−A断面図である。 本発明の溶接法の工程図である。 ケーブルポスト金具４の正面図（左半分）及びA−A断面図（右半分）である。 油口５の正面図（左半分）及びA−A断面図（右半分）である。

符号の説明

１ 変圧器収納スチールドラム缶の蓋
２ 蓋１に開設された円形孔（ケーブルポスト金具用）
３ 蓋１に開設された円形孔（油口用）
４ ケーブルポスト金具
５ 油口
２１ 円環状突起部２２の内面が形成する円形孔
３１ 円環状突起部３２の内面が形成する円形孔
２２ 円形孔２に形設された円環状突出部（ケーブルポスト金具用）
３２ 円形孔３に形設された円環状突出部（油口用）
４１ めねじ

Claims (2)

1. 変圧器を収納する鋼製ドラム缶（オープン型）（以下、スチールドラム缶という）状ケースの蓋である鋼製円盤の薄板上所定の位置に、所定直径の円形孔を開設し、金型で該円形孔を深絞りして円環状突起を前記スチールドラム缶蓋の内面に形設し、該円環状突起の内側に前記ケーブルポスト金具その他の円筒状部材の一方端部外部全周を前記円環状突起内面に強度を持たせ全周溶接する溶接法。
2. 前記スチールドラム缶状ケースの蓋が、延性のある鋼製である請求項１記載の溶接法。
   
   

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