JP2007036190A - 製造方法およびプリント配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリント配線基板の試作を何度も繰り返すことなく、より迅速に製造する。
【解決手段】ステップS12において、プリント配線基板上に部品が配置された場合に、予め定められた規格を満たすと見込まれる値に基づいて、プリント配線基板の回路および版下を設計し、ステップS15において、設計した版下を用いてプリント配線基板を作成し、ステップS16において、プリント配線基板とともに作成された擬似回路パターンの差動インピーダンスを測定する。作成したプリント配線基板が予め定められた規格を満たす場合、新たにプリント配線基板とともに製造された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値が、ステップS16において測定された差動インピーダンスの値に基づいて定められた所定の範囲内の値であるか否かを判定し、製造されたプリント配線基板が良品であるか否かの検査を行う。本発明は、DVIに準拠したプリント配線基板に適用できる。
【選択図】図9

Description

本発明は製造方法およびプリント配線基板に関し、特に、プリント配線基板の設計期間を短縮することができるようにした製造方法およびプリント配線基板に関する。
従来、製造したプリント配線基板の伝送線路の特性インピーダンスまたは差動インピーダンスが、予め定められた規格を満たしているか否かの良品判定(合否判定)を行うために、基板上に設けられた擬似回路パターン(テストクーポン)の特性インピーダンスまたは差動インピーダンスの測定が行われている(特性インピーダンスコントロール、または差動インピーダンスコントロール)。例えば、測定した擬似回路パターンの特性インピーダンスの値が、予め定められた範囲内の値でない場合には、製造されたプリント配線基板は、規格を満たさない不良品として廃却される。
従来のプリント配線基板には、擬似回路パターンの特性インピーダンスを測定し易くするために、プリント配線基板を含む基板の角部に、特性インピーダンスの測定に用いられる擬似回路パターンが現れるように、基板上に擬似回路パターンを設けているものもある(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、デジタルAV機器間において、高速でデジタル信号を伝送するためのインターフェース規格として、HDMI(High Definition Multimedia Interface)やDVI(Digital Visual Interface)が知られており、HDMIおよびDVIでは、映像信号(デジタル信号)の伝送方式として、2つの差動伝送線路を用いて映像信号を伝送するTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)方式が採用されている。
このような差動伝送線路が配置されたプリント配線基板においては、擬似回路パターンを用いた差動インピーダンスコントロールの他に、差動伝送線路上にダイオード、バリスタなどの部品を配置して静電気放電(ESD(Electro Static Discharge))による損傷を防止したり、プリント配線基板を構成する誘電体層の内部に2つの差動伝送線路が互いに重なるように並行かつ近接して配置することによりEMI(Electro Magnetic Interference)を抑制しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−46306号公報
特開2004−349406号公報
しかしながら、上述した技術においては、プリント配線基板の差動伝送線路上に配置された静電気放電による損傷を防止するための部品のランド(PAD)部分またはバリスタダイオードにおける静電容量による差動インピーダンスの低下や、差動伝送線路上に配置されたコモンモードフィルタまたはバリスタダイオードの特性のばらつきなどのため、HDMIまたはDVIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たすためには、プリント配線基板の試作を何度も繰り返し行う必要があった。
また、バリスタと組み合わせてコモンモードチョークコイルを差動伝送線路上に配置することで、差動インピーダンスの低下を抑えることも可能であるが、この場合、新たにコモンモードチョークコイルを配置するため実装スペースが増えてしまい、部品のコストも上がってしまうので、プリント配線基板全体の製造コストを削減することができなかった。
さらに、差動伝送線路上のランド部分や差動伝送線路の直下層にスリットを設けることによって、差動インピーダンスの低下を抑えることも可能であるが、この場合、リターン電流がスリット部分を迂回して流れるため、リターン電流が大きくなりEMIによる影響がより大きくなるので、ノイズの抑制が困難であった。
さらに、また、差動伝送線路上のランド部分や差動伝送線路の直下層にスリットを設けた場合、スリット部分を考慮しなければならないため、精度よくシミュレーションを行うことがでなかった。したがって、何種類もの異なる版下を作成して、プリント配線基板の試作を繰り返し行わなければならず、プリント配線基板の設計期間を短縮することができなかった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、より確実に規格を満たすことができるようにするものである。また、プリント配線基板の試作を何度も繰り返すことなく、プリント配線基板をより迅速に製造することができるようにするものである。
本発明の第1の側面は、所定の規格に基づいて定められた、プリント配線基板の伝送線路の第1の特性を示す値よりも大きい値であって、プリント配線基板上に所定の部品が配置された場合に、プリント配線基板が規格を満たすと見込まれる第1の特性を示す値に基づいて、プリント配線基板の回路および版下を設計し、設計した版下を用いて、所定の集合基板上に、基準となるプリント配線基板である基準プリント配線基板と、基準となる第1の特性を示す値を測定するための擬似回路パターンである基準擬似回路パターンとが近接して配置されるように、基準プリント配線基板および基準擬似回路パターンを作成し、作成された基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値を測定し、基準プリント配線基板が規格を満たす場合、新たにプリント配線基板および擬似回路パターンを製造して、新たに製造した擬似回路パターンの第1の特性を示す値を測定し、新たに製造した擬似回路パターンの第1の特性を示す値が、測定された基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値に基づいて定められた所定の範囲内の値であるか否かを判定することにより、製造されたプリント配線基板が、規格を満たす良品であるか否かを検査する製造方法である。
この製造方法においては、伝送線路上に、伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分を設けることにより、プリント配線基板の伝送線路の第1の特性を示す値を低下させることができる。
また、この製造方法においては、伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分として、擬似的なランドまたはビアを設けることができる。
この製造方法においては、設計した基準プリント配線基板の伝送線路における、過渡的な第1の特性の値をTDR(Time Domain Reflectometry)シミュレーションにより求め、求められた過渡的な第1の特性の値が、予め定められた所定の範囲内の値である場合、設計した前記版下を用いて基準プリント配線基板および基準擬似回路パターンを作成し、求められた過渡的な第1の特性の値が、予め定められた所定の範囲の値でない場合、プリント配線基板の回路および版下を設計し直すようにすることができる。
本発明の第1の側面においては、所定の規格に基づいて定められた、プリント配線基板の伝送線路の第1の特性を示す値よりも大きい値であって、プリント配線基板上に所定の部品が配置された場合に、プリント配線基板が規格を満たすと見込まれる第1の特性を示す値に基づいて、プリント配線基板の回路および版下が設計され、設計された版下が用いられて、所定の集合基板上に、基準となるプリント配線基板である基準プリント配線基板と、基準となる第1の特性を示す値を測定するための擬似回路パターンである基準擬似回路パターンとが近接して配置されるように、基準プリント配線基板および基準擬似回路パターンが作成され、作成された基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値が測定される。そして、基準プリント配線基板が規格を満たす場合、新たにプリント配線基板および擬似回路パターンが製造されて、新たに製造した擬似回路パターンの第1の特性を示す値が測定され、新たに製造した擬似回路パターンの第1の特性を示す値が、測定された基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値に基づいて定められた所定の範囲内の値であるか否かが判定されることにより、製造されたプリント配線基板が、規格を満たす良品であるか否かが検査される。
本発明の第2の側面は、配置される部品を相互に接続する伝送線路が設けられたプリント配線基板であって、所定の集合基板上に、伝送線路の第1の特性を示す値を測定するための擬似回路パターンと接近するように配置されて製造されたプリント配線基板において、所定の規格に基づいて定められた、伝送線路の第1の特性を示す値よりも大きい値であって、部品が配置された場合に規格を満たすと見込まれる第1の特性を示す値に基づいて回路および版下が設計され、版下が用いられて予め作成された基準となる基準プリント配線基板であって、規格を満たす基準プリント配線基板とともに作成された、基準プリント配線基板の第1の特性を示す値を測定するための基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値に基づいて定められた所定の範囲内の値に、擬似回路パターンの第1の特性を示す値がなるように製造されたプリント配線基板である。
このプリント配線基板には、プリント配線基板の伝送線路の第1の特性を示す値を低下させるように、伝送線路上に伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分を設けることができる。
このプリント配線基板には、伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分として、擬似的なランドまたはビアを設けることができる。
このプリント配線基板においては、プリント配線基板の回路および版下が、TDRシミュレーションにより求められた伝送線路における過渡的な第1の特性の値が予め定められた所定の範囲の値でない場合、設計し直されるようにすることができる。
本発明の第2の側面においては、プリント配線基板が、所定の規格に基づいて定められた、伝送線路の第1の特性を示す値よりも大きい値であって、部品が配置された場合に規格を満たすと見込まれる第1の特性を示す値に基づいて回路および版下が設計され、版下が用いられて予め作成された基準となる基準プリント配線基板であって、規格を満たす基準プリント配線基板とともに作成された、基準プリント配線基板の第1の特性を示す値を測定するための基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値に基づいて定められた所定の範囲内の値に、擬似回路パターンの第1の特性を示す値がなるように製造される。
本発明によれば、プリント配線基板を製造することができる。特に、プリント配線基板の試作を何度も繰り返すことなく、プリント配線基板をより迅速に製造することができる。また、本発明によれば、より確実に規格を満たすことができる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本明細書に記載の発明と、発明の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本明細書に記載されている発明をサポートする実施の形態が本明細書に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、発明に対応するものとして、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、本明細書に記載されている発明の全てを意味するものではない。換言すれば、この記載は、本明細書に記載されている発明であって、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により出現、追加される発明の存在を否定するものではない。
本発明の第1の側面は、所定の規格に基づいて定められた、プリント配線基板の伝送線路の第1の特性を示す値よりも大きい値であって、プリント配線基板上に所定の部品が配置された場合に、プリント配線基板が規格を満たすと見込まれる第1の特性を示す値に基づいて、プリント配線基板の回路および版下を設計し(例えば、図9のステップS11およびステップS12)、設計した版下を用いて、所定の集合基板上に、基準となるプリント配線基板である基準プリント配線基板と、基準となる第1の特性を示す値を測定するための擬似回路パターンである基準擬似回路パターンとが近接して配置されるように、基準プリント配線基板および基準擬似回路パターンを作成し(例えば、図9のステップS15)、作成された基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値を測定し(例えば、図9のステップS16)、基準プリント配線基板が規格を満たす場合、新たにプリント配線基板および擬似回路パターンを製造して、新たに製造した擬似回路パターンの第1の特性を示す値を測定し(例えば、図21のステップS41およびステップS42)、新たに製造した擬似回路パターンの第1の特性を示す値が、測定された基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値に基づいて定められた所定の範囲内の値であるか否かを判定することにより、製造されたプリント配線基板が、規格を満たす良品であるか否かを検査する(例えば、図21のステップS43)製造方法である。
この製造方法においては、設計した基準プリント配線基板の伝送線路における、過渡的な第1の特性の値をTDR(Time Domain Reflectometry)シミュレーションにより求め(例えば、図9のステップS13)、求められた過渡的な第1の特性の値が、予め定められた所定の範囲内の値である場合、設計した前記版下を用いて基準プリント配線基板および基準擬似回路パターンを作成し、求められた過渡的な第1の特性の値が、予め定められた所定の範囲の値でない場合、プリント配線基板の回路および版下を設計し直す(例えば、図9のステップS14)ようにすることができる。
この製造方法においては、伝送線路上に、伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分(例えば、図24のランド665−1、ランド665−2、ランド666−1、およびランド666−2)を設けることにより、プリント配線基板の伝送線路の第1の特性を示す値を低下させることができる。
本発明の第2の側面は、配置される部品を相互に接続する伝送線路が設けられたプリント配線基板であって、所定の集合基板(例えば、図2の集合基板51)上に、伝送線路の第1の特性を示す値を測定するための擬似回路パターン(例えば、図2の擬似回路パターン52)と接近するように配置されて製造されたプリント配線基板において、所定の規格に基づいて定められた、伝送線路の第1の特性を示す値よりも大きい値であって、部品が配置された場合に規格を満たすと見込まれる第1の特性を示す値に基づいて回路および版下が設計され(例えば、図9のステップS11およびステップS12)、版下が用いられて予め作成された基準となる基準プリント配線基板であって、規格を満たす基準プリント配線基板とともに作成された、基準プリント配線基板の第1の特性を示す値を測定するための基準擬似回路パターンの第1の特性を示す値に基づいて定められた所定の範囲内の値に、擬似回路パターンの第1の特性を示す値がなるように製造されたプリント配線基板である。
このプリント配線基板には、プリント配線基板の伝送線路の第1の特性を示す値を低下させるように、伝送線路上に伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分(例えば、図24のランド665−1、ランド665−2、ランド666−1、およびランド666−2)を設けることができる。
このプリント配線基板においては、プリント配線基板の回路および版下が、TDRシミュレーションにより求められた伝送線路における過渡的な第1の特性の値が予め定められた所定の範囲の値でない場合、設計し直される(例えば、図9のステップS11乃至ステップS14)ようにすることができる。
本発明は、DVI、HDMIなどのインターフェース規格に準拠したプリント配線基板に適用することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した分離型のテレビジョン受像機の構成例を示す図である。
テレビジョン受像機は、例えば、チューナなどが内蔵されているメディアレシーバ11、および液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイなどよりなるディスプレイ12を含むように構成され、メディアレシーバ11とディスプレイ12とが、DVIに準拠したDVIケーブル13により接続されている。
例えば、メディアレシーバ11は、内蔵するチューナが受信した番組の映像信号を、1.48Gbps(800MHz)の伝送速度でDVIケーブル13を介してディスプレイ12に供給(送信)し、ディスプレイ12は、メディアレシーバ11から供給された映像信号を基に、映像(画像)を再生して、メディアレシーバ11において受信された番組を表示する。
メディアレシーバ11は、TX基板21、IC(Integrated Circuit)22、およびDVIコネクタ23を含むように構成される。TX基板21は、例えば、インターフェース規格であるDVIに準拠した4層貫通基板(プリント配線基板)であり、TX基板21上には、IC22およびDVIコネクタ23が配置されている。
IC22とDVIコネクタ23とは、TX基板21上に設けられた差動伝送線路である、TX24−1、TX24−2、TX25−1、TX25−2、TX26−1、TX26−2、CLK27−1、およびCLK27−2により接続されている。
ここで、TX24−1およびTX24−2、TX25−1およびTX25−2、並びにTX26−1およびTX26−2はそれぞれペアをなしており、IC22は、TX24−1およびTX24−2、TX25−1およびTX25−2、またはTX26−1およびTX26−2を介して、TMDS方式の映像信号(差動信号)をDVIコネクタ23に供給(送信)する。また、CLK27−1およびCLK27−2もペアをなしており、IC22は、CLK27−1およびCLK27−2を介して、例えば、周波数が100MHz以上であるクロック信号(差動信号)をDVIコネクタ23に供給(送信)する。
なお、以下、TX24−1およびTX24−2からなる差動伝送線路をTX24とも称する。同様に、以下、TX25−1およびTX25−2からなる差動伝送線路をTX25とも称し、TX26−1およびTX26−2からなる差動伝送線路をTX26とも称する。さらに、以下、CLK27−1およびCLK27−2からなる差動伝送線路をCLK27とも称する。
DVIコネクタ23は、例えば、DVIに準拠したコネクタ(レセプタクル)であり、DVIケーブル13に接続されている。DVIコネクタ23は、IC22から供給された映像信号またはクロック信号を、DVIケーブル13を介してディスプレイ12に供給する。
また、ディスプレイ12は、RX基板28、DVIコネクタ29、およびIC30を含むように構成される。RX基板28は、例えば、インターフェース規格であるDVIに準拠した6層貫通基板(プリント配線基板)であり、RX基板28上には、DVIコネクタ29およびIC30が配置されている。
DVIコネクタ29は、DVIケーブル13に接続されており、また、DVIコネクタ29とIC30とは、RX基板28上に設けられた差動伝送線路である、RX31−1、RX31−2、RX32−1、RX32−2、RX33−1、RX33−2、CLK34−1、およびCLK34−2により接続されている。
ここで、RX31−1およびRX31−2、RX32−1およびRX32−2、並びにRX33−1およびRX33−2はそれぞれペアをなしており、DVIコネクタ29は、RX31−1およびRX31−2、RX32−1およびRX32−2、またはRX33−1およびRX33−2を介して、メディアレシーバ11からの映像信号(差動信号)をIC30に供給(送信)する。また、CLK34−1およびCLK34−2もペアをなしており、DVIコネクタ29は、CLK34−1およびCLK34−2を介して、メディアレシーバ11からのクロック信号(差動信号)をIC30に供給(送信)する。
なお、以下、RX31−1およびRX31−2からなる差動伝送線路をRX31とも称する。同様に、以下、RX32−1およびRX32−2からなる差動伝送線路をRX32とも称し、RX33−1およびRX33−2からなる差動伝送線路をRX33とも称する。さらに、以下、CLK34−1およびCLK34−2からなる差動伝送線路をCLK34とも称する。
IC30は、DVIコネクタ29から供給されたTMDS方式の映像信号およびクロック信号を基に、映像(画像)を再生して、メディアレシーバ11において受信された番組を表示させる。
メディアレシーバ11を構成するTX基板21は、例えば、1つの集合基板に1または複数個のTX基板21が含まれるようにして製造される。そして、そのようにして製造されたTX基板21のそれぞれは、集合基板から切り離されて(切り取られて)メディアレシーバ11に組み込まれる。
例えば、図2に示すように、1つの集合基板51にはTX基板21が含まれており、また、集合基板51には、例えば、集合基板51上の1つのTX基板21の近傍に擬似回路パターン52が設けられている。図2では、擬似回路パターン52は、図中、TX基板21の下側に設けられており、擬似回路パターン52のパターン(伝送線路)として、互いに長さの等しい直線状の差動伝送線路61−1および差動伝送線路61−2が設けられている。
差動伝送線路61−1および差動伝送線路61−2は、図中、上下に平行に並ぶように設けられており、集合基板51(TX基板21)が製造されると、例えば、その集合基板51に含まれている擬似回路パターン52の差動伝送線路61−1および差動伝送線路61−2の差動インピーダンスが測定される。
そして、測定された擬似回路パターン52の差動インピーダンスの値が、例えば、115Ω以上120Ω以下などの予め定められた範囲内の値である場合、集合基板51に含まれている全て(1または複数)のTX基板21は、規格を満たす良品(合格品)として、TX基板21上にIC22、DVIコネクタ23などの部品が配置されて、メディアレシーバ11に組み込まれる。このとき、例えば、図中、右上の四角形62および四角形63に示す位置には、それぞれ図1のIC22およびDVIコネクタ23が配置されて固定される。
これに対して、測定された擬似回路パターン52の差動インピーダンスの値が、予め定められた範囲内の値でない場合には、集合基板51に含まれている全てのTX基板21は、規格を満たさない不良品(不合格品)として廃却される。
また、1つの集合基板51には、1または複数のTX基板21および1つの擬似回路パターン52が含まれると説明したが、1つの集合基板51に含まれるTX基板21の数を増やすと、集合基板51に含まれるTX基板21の差動インピーダンスの値にばらつきが生じる。すなわち、例えば、擬似回路パターン52の近傍に位置する(設けられた)TX基板21の差動インピーダンスの値は、擬似回路パターン52の差動インピーダンスの値とほぼ同じ値であるとすることができるが、擬似回路パターン52からある程度離れた位置に設けられたTX基板21の差動インピーダンスの値は、必ずしも擬似回路パターン52の差動インピーダンスの値とほぼ同じ値となるとは限らない。
このような、TX基板21の差動インピーダンスのばらつきを抑えるために、例えば、1つの集合基板51に含まれる全てのTX基板21に対して、それぞれのTX基板21の近傍に擬似回路パターン52を設けることも可能であるが、それぞれの擬似回路パターン52の差動インピーダンスの測定などの管理工数が増えてしまうため、TX基板21の製造コストが高くなってしまう。
そこで、1つの集合基板51に含まれるTX基板21の数を極力少なくすることによって、TX基板21の製造コストを抑え、かつ集合基板51に含まれる各TX基板21の差動インピーダンスのばらつきを抑えることができる。
なお、図2では、擬似回路パターン52のパターンとして、差動伝送線路61−1および差動伝送線路61−2が設けられた構成とされているが、擬似回路パターン52のパターンとして、1つの伝送線路(いわゆるシングルエンドの伝送線路)を設けるようにしてもよい。この場合には、例えば、擬似回路パターン52の特性インピーダンスが測定され、測定された特性インピーダンスの値が、予め定められた範囲内の値であるか否かによって、TX基板21が規格を満たす良品であるか否かの判定(検査)が行われる。
また、図2に示した擬似回路パターン52の図中下側に、さらに、パターンとして1つの伝送線路(シングルエンドの伝送線路)が設けられた擬似回路パターンを、擬似回路パターン52と並べて配置するようにしてもよい。この場合には、例えば、擬似回路パターン52の差動インピーダンス、および擬似回路パターン52の図中、下側に配置された擬似回路パターンの特性インピーダンスが測定され、測定された差動インピーダンスおよび特性インピーダンスの値が、それぞれ、予め定められた範囲内の値であるか否かによって、TX基板21が規格を満たす良品であるか否かの判定が行われる。
集合基板51に含まれている擬似回路パターン52の差動インピーダンスが測定され、TX基板21が規格を満たす良品であると判定されると、上述したように、TX基板21には、IC22、DVIコネクタ23などの部品が配置される。
例えば、TX基板21が、4層貫通基板である場合、TX基板21の表面に設けられた層を第1層および第4層とし、TX基板21の内部に設けられた層を第2層および第3層として、第1層乃至第4層がそれぞれ番号順に並ぶように設けられているとすると、第2層および第3層は、グランド層または電源層とされ、第1層および第4層にIC22、DVIコネクタ23などの部品が配置される。
例えば、TX基板21の第1層には、図3に示すように、IC22、DVIコネクタ23、抵抗91−1乃至抵抗91−8、およびバリスタ92−1乃至バリスタ92−8が配置される。
差動伝送線路であるTX24−1には、IC22のピンをTX基板21に接続するためのランド93−1、DVIコネクタ23をTX基板21に接続するためのランド94−1、および第4層と接続するためのビア(スルーホール)95−1が設けられている。そして、TX24−1のランド93−1とランド94−1との間には、抵抗91−1および静電気放電によるメディアレシーバ11の損傷を防止するためのバリスタ92−1が配置されている。
すなわち、IC22と接続されているランド93−1には、抵抗91−1が接続されており、抵抗91−1のランド93−1と接続されている端子とは異なる端子は、ビア95−1と接続されている。さらに、ビア95−1は、バリスタ92−1と接続されており、バリスタ92−1のビア95−1と接続されている端子とは異なる端子は、ランド94−1と接続されている。
同様に、差動伝送線路であるTX24−2、TX25−1、TX25−2、TX26−1、TX26−2、CLK27−1、およびCLK27−2のそれぞれには、IC22のピンをTX基板21に接続するためのランド93−2乃至ランド93−8のそれぞれ、DVIコネクタ23をTX基板21に接続するためのランド94−2乃至ランド94−8のそれぞれ、および第4層と接続するためのビア95−2乃至ビア95−8のそれぞれが設けられている。そして、ランド93−2乃至ランド93−8のそれぞれと、ランド94−2乃至ランド94−8のそれぞれとの間には、抵抗91−2乃至抵抗91−8のそれぞれ、および静電気放電によるメディアレシーバ11の損傷を防止するためのバリスタ92−2乃至バリスタ92−8のそれぞれが配置されている。
すなわち、IC22と接続されているランド93−2乃至ランド93−8のそれぞれには、抵抗91−2乃至抵抗91−8のそれぞれが接続されており、抵抗91−2乃至抵抗91−8のそれぞれの、ランド93−2乃至ランド93−8のそれぞれと接続されている端子とは異なる端子のそれぞれは、ビア95−2乃至ビア95−8のそれぞれと接続されている。さらに、ビア95−2乃至ビア95−8のそれぞれは、バリスタ92−2乃至バリスタ92−8のそれぞれと接続されており、バリスタ92−2乃至バリスタ92−8の、ビア95−2乃至ビア95−8のそれぞれと接続されている端子とは異なる端子のそれぞれは、ランド94−2乃至ランド94−8のそれぞれと接続されている。
また、ビア95−1乃至ビア95−4およびビア95−5乃至ビア95−8は、図4に示すように、第4層に配置されている4つのダイオードのペアからなるパッケージ111およびパッケージ112に接続されている。
すなわち、パッケージ111に含まれている、静電気放電による損傷を防止するための4つのダイオードのペアのそれぞれは、ビア95−1乃至ビア95−4のそれぞれに接続されており、パッケージ112に含まれている、静電気放電による損傷を防止するための4つのダイオードのペアのそれぞれは、ビア95−5乃至ビア95−8のそれぞれに接続されている。
したがって、TX24−1上には、例えば、図5に示すように、抵抗91−1、パッケージ111、およびバリスタ92−1が配置される。図5では、TX24−1には、パッケージ111に含まれる4つのダイオードのペアのうちの、ダイオード131およびダイオード132からなる1つのダイオードのペアが接続されている。
パッケージ111に含まれているダイオード131は、ダイオード131のカソードがTX24−1(ダイオード132のアノード)に接続され、ダイオード131のアノードがグランドに接続されている。また、パッケージ111に含まれているダイオード132は、ダイオード132のアノードがTX24−1(ダイオード131のカソード)に接続され、ダイオード132のカソードが電源に接続されている。さらに、バリスタ92−1のTX24−1と接続されている端子とは異なる端子はグランドに接続されている。
ここで、例えば、静電気放電により、DVIコネクタ23からノイズが侵入して、TX24−1とダイオード132との接続点の電位が、ダイオード132が接続されている電源の電位よりも高くなった場合、ダイオード132によりリミッタがかけられて、IC22の電位は電源の電位よりも高くなることはない。
また、逆に静電気放電により、DVIコネクタ23からノイズが侵入して、TX24−1とダイオード131(またはバリスタ92−1)との接続点の電位が、ダイオード131に接続されているグランドの電位、またはバリスタ92−1に接続されているグランドの電位よりも低くなった場合、ダイオード131またはバリスタ92−1によってリミッタがかけられて、IC22の電位はダイオード131に接続されているグランド、またはバリスタ92−1に接続されているグランドの電位よりも低くなることはない。
このように、IC22の電位は、常にグランドの電位から電源の電位までの間の電位となるので、IC22は、静電気放電による損傷から保護される。なお、ビア95−2乃至ビア95−8のそれぞれに接続されている、パッケージ111またはパッケージ112に含まれている1つのダイオードのペアは、図5に示した、ビア95−1(TX24−1)に接続されているダイオード131およびダイオード132からなるダイオードのペアの構成と同様であるので、その説明は省略する。
また、TX基板21を製造する場合と同様に、ディスプレイ12を構成するRX基板28も、例えば、1つの集合基板に1または複数個のRX基板28が含まれるようにして製造される。そして、そのようにして製造されたRX基板28のそれぞれは、集合基板から切り離されて(切り取られて)ディスプレイ12に組み込まれる。
例えば、図6に示すように、1つの集合基板151にはRX基板28が含まれており、また、集合基板151には、例えば、集合基板151上の1つのRX基板28の近傍に擬似回路パターン152が設けられている。図6では、擬似回路パターン152は、図中、RX基板28の下側に設けられており、擬似回路パターン152のパターン(伝送線路)として、互いに長さの等しい直線状の差動伝送線路161−1および差動伝送線路161−2が設けられておいる。
差動伝送線路161−1および差動伝送線路161−2は、図中、上下に平行に並ぶように設けられており、集合基板151(RX基板28)が製造されると、例えば、その集合基板151に含まれている擬似回路パターン152の差動伝送線路161−1および差動伝送線路161−2の差動インピーダンスが測定される。
そして、測定された擬似回路パターン152の差動インピーダンスの値が、例えば、115Ω以上120Ω以下などの予め定められた範囲内の値である場合、集合基板151に含まれている全て(1または複数)のRX基板28は、規格を満たす良品(合格品)として、RX基板28上にDVIコネクタ29、IC30などの部品が配置されて、ディスプレイ12に組み込まれる。このとき、例えば、図中、中央の四角形162、および四角形162の下側の四角形163に示す位置には、それぞれ図1のDVIコネクタ29およびIC30が配置されて固定される。
これに対して、測定された擬似回路パターン152の差動インピーダンスの値が、予め定められた範囲内の値でない場合には、集合基板151に含まれている全てのRX基板28は、規格を満たさない不良品(不合格品)として廃却される。
なお、TX基板21にける場合と同様に、1つの集合基板151に含まれるRX基板28の数を増やすと、集合基板151に含まれるRX基板28の差動インピーダンスの値にばらつきが生じるので、1つの集合基板151に含まれるRX基板28の数を極力少なくすることによって、RX基板28の製造コストを抑え、かつ集合基板151に含まれる各RX基板28の差動インピーダンスのばらつきを抑えることができる。
また、図6では、擬似回路パターン152のパターンとして、差動伝送線路161−1および差動伝送線路161−2が設けられた構成とされているが、擬似回路パターン152のパターンとして、1つの伝送線路(いわゆるシングルエンドの伝送線路)を設けるようにしてもよい。この場合には、例えば、擬似回路パターン152の特性インピーダンスが測定され、測定された特性インピーダンスの値が、予め定められた範囲内の値であるか否かによって、RX基板28が規格を満たす良品であるか否かの判定(検査)が行われる。
さらに、図6に示した擬似回路パターン152の図中下側に、パターンとして1つの伝送線路(シングルエンドの伝送線路)が設けられた擬似回路パターンを、擬似回路パターン152と並べて配置するようにしてもよい。この場合には、例えば、擬似回路パターン152の差動インピーダンス、および擬似回路パターン152の図中、下側に配置された擬似回路パターンの特性インピーダンスが測定され、測定された差動インピーダンスおよび特性インピーダンスの値が、それぞれ、予め定められた範囲内の値であるか否かによって、RX基板28が規格を満たす良品であるか否かの判定が行われる。
集合基板151に含まれている擬似回路パターン152の差動インピーダンスが測定され、RX基板28が規格を満たす良品であると判定されると、RX基板28には、DVIコネクタ29、IC30などの部品が配置される。
例えば、RX基板28が、6層貫通基板である場合、RX基板28の表面に設けられた層を第1層および第6層とし、RX基板28の内部に設けられた層を第2層乃至第5層として、第1層乃至第6層がそれぞれ番号順に並ぶように設けられているとすると、第2層乃至第5層は、グランド層または電源層とされ、第1層および第6層にDVIコネクタ29、IC30などの部品が配置される。
例えば、RX基板28の第1層には、図7に示すように、DVIコネクタ29、IC30、バリスタ191−1乃至バリスタ191−8、および抵抗192−1乃至抵抗192−8が配置される。
差動伝送線路であるRX31−1には、DVIコネクタ29をRX基板28に接続するためのランド193−1、IC30のピンをRX基板28に接続するためのランド194−1、および第6層と接続するためのビア(スルーホール)195−1が設けられている。そして、RX31−1のランド193−1とランド194−1との間には、静電気放電によるディスプレイ12の損傷を防止するためのバリスタ191−1および抵抗192−1が配置されている。
すなわち、DVIコネクタ29と接続されているランド193−1には、バリスタ191−1が接続されており、バリスタ191−1のランド193−1と接続されている端子とは異なる端子は、ビア195−1と接続されている。さらに、ビア195−1は、抵抗192−1と接続されており、抵抗192−1のビア195−1と接続されている端子とは異なる端子は、ランド194−1と接続されている。
同様に、差動伝送線路であるRX31−2、RX32−1、RX32−2、RX33−1、RX33−2、CLK34−1、およびCLK34−2のそれぞれには、DVIコネクタ29をRX基板28に接続するためのランド193−2乃至ランド193−8のそれぞれ、IC30のピンをRX基板28に接続するためのランド194−2乃至ランド194−8のそれぞれ、および第6層と接続するためのビア195−2乃至ビア195−8のそれぞれが設けられている。そして、ランド193−2乃至ランド193−8のそれぞれと、ランド194−2乃至ランド194−8のそれぞれとの間には、静電気放電によるディスプレイ12の損傷を防止するためのバリスタ191−2乃至バリスタ191−8のそれぞれ、および抵抗192−2乃至抵抗192−8のそれぞれが配置されている。
すなわち、DVIコネクタ29と接続されているランド193−2乃至ランド193−8のそれぞれには、バリスタ191−2乃至バリスタ191−8のそれぞれが接続されており、バリスタ191−2乃至バリスタ191−8のそれぞれの、ランド193−2乃至ランド193−8のそれぞれと接続されている端子とは異なる端子のそれぞれは、ビア195−2乃至ビア195−8のそれぞれと接続されている。さらに、ビア195−2乃至ビア195−8のそれぞれは、抵抗192−2乃至抵抗192−8のそれぞれと接続されており、抵抗192−2乃至抵抗192−8のそれぞれの、ビア195−2乃至ビア195−8のそれぞれと接続されている端子とは異なる端子のそれぞれは、ランド194−2乃至ランド194−8のそれぞれと接続されている。
また、ビア195−1乃至ビア195−4およびビア195−5乃至ビア195−8は、図8に示すように、第6層に配置されている4つのダイオードのペアからなるパッケージ211およびパッケージ212に接続されている。
すなわち、パッケージ211に含まれている、静電気放電による損傷を防止するための4つのダイオードのペアのそれぞれは、ビア195−1乃至ビア195−4のそれぞれに接続されており、パッケージ212に含まれている、静電気放電による損傷を防止するための4つのダイオードのペアのそれぞれは、ビア195−5乃至ビア195−8のそれぞれに接続されている。なお、ビア195−1乃至ビア195−8のそれぞれに接続されている、パッケージ211またはパッケージ212に含まれている1つのダイオードのペアは、図5に示した、ビア95−1(TX24−1)に接続されているダイオード131およびダイオード132からなるダイオードのペアの構成と同様であるので、その説明は省略する。
以上において説明したTX基板21またはRX基板28を製造する場合には、設計者は、まず、製造しようとするプリント配線基板(TX基板21またはRX基板28)の回路および版下の設計を行い、設計した版下を作成する。そして、設計者は、作成した版下を用いて、プリント配線基板(TX基板21またはRX基板28)のプロトタイプを作成(試作)し、例えば、差動インピーダンスなどの、プロトタイプとして作成されたプリント配線基板の特性を評価する。
プリント配線基板(プロトタイプ)の特性の評価の結果、プリント配線基板の特性が予め定められた所定の規格を満たさない場合には、プリント配線基板の回路および版下の設計が再び行われる。一方、プリント配線基板(プロトタイプ)の特性の評価の結果、プリント配線基板の特性が予め定められた所定の規格を満たす場合には、例えば、基板製造メーカなどにおいて、設計されたプリント配線基板が量産される。
以下、図9のフローチャートを参照して、設計者がプリント配線基板の回路および版下を設計して、プリント配線基板のプロトタイプを作成する処理である、設計の処理を説明する。
ステップS11において、設計者は、製造しようとするプリント配線基板の差動伝送線路の差動インピーダンスの値(以下、コントロール設定値とも称する)を設定する。例えば、設計者は、製造しようとするプリント配線基板の差動伝送線路の長さ、これまでにプリント配線基板を製造することにより経験的に得られた、プリント配線基板上に各部品が配置された場合に、プリント配線基板が予め定められた規格を満たすと見込まれる差動インピーダンスの値などを考慮して、製造しようとするプリント配線基板の差動伝送線路の差動インピーダンスの値(コントロール設定値)を設定し、プリント配線基板の層構成を決定する。
例えば、プリント配線基板として、図1に示したTX基板21を製造する場合、TX24乃至TX26およびCLK27の長さ、プリント配線基板を製造することにより経験的に得られた差動インピーダンスの値、すなわち、プリント配線基板上に各部品が配置された場合に、プリント配線基板が予め定められた規格を満たすと見込まれる差動インピーダンスの値などが考慮されて、TX基板21の差動伝送線路(例えば、TX24乃至TX26、およびCLK27)の差動インピーダンスの値(コントロール設定値)が120Ωと設定される。
そして、TX基板21の差動伝送線路の差動インピーダンスの値が、設定された120Ωとなるように、TX基板21の層構成が決定される。ここで、TX基板21の層構成は、例えば、差動伝送線路の幅、差動伝送線路の厚さ、ペアとなる2つの差動伝送線路の間隔、各層の間の長さ(すなわち、互いに隣り合う層と層との間の絶縁層の厚さ)、および絶縁層の誘電率の値を定めることにより決定される。
したがって、例えば、設計者は、TX基板21の差動伝送線路の幅を100μmとし、ペアとなる2つの差動伝送線路の間隔を250μmとし、絶縁層の厚さを100μmとしてTX基板21の層構成を決定する。このように、TX基板21の差動伝送線路の幅を100μmとし、絶縁層の厚さを100μmとして、TX基板21の差動伝送線路の幅および絶縁層の厚さを十分に大きい値とすることにより、差動伝送線路の幅や絶縁層の厚さのばらつきを抑えることができるので、従来、過渡的な差動インピーダンスのばらつきが、予め定められた規格に対して±15%程度であったものを±10%(実力値では±7%)程度に抑えることができる。これにより、量産による過渡的な差動インピーダンスのばらつきを抑えることができ、市場においてプリント配線基板の抜き取り検査が実施された場合における、市場不良率を低く抑えることができる。
また、TX基板21の差動伝送線路の差動インピーダンスの値を、DVIの規格である100Ωよりもやや高めの値である、経験的に得られた120Ωと設定することによって、TX基板21の差動伝送線路上に配置されるランド、バリスタ、ダイオードなどの静電容量成分によって低下するTX基板21の差動インピーダンスの値を押し上げる(高くする)ことができる。したがって、TX基板21にスリットを設ける必要がなくなるので、EMIの発生を抑制することができる。
さらに、TX基板21の各差動伝送線路が長い場合など、実装条件に応じて、例えば、差動インピーダンスの値(コントロール設定値)を115Ωとすることで、TX基板21の差動インピーダンスの上限のばらつきを抑えることができる。
プリント配線基板では、伝送する信号の周波数が高くなると、僅かな静電容量の影響で、差動伝送線路の差動インピーダンス(または特性インピーダンス)の値が大きく変動するが、上述したように、コントロール設定値を予め定められた規格の値よりもやや高く設定し、差動伝送線路の幅や絶縁層の厚さを十分に大きい値とするなど、差動伝送線路の層構成を工夫することにより、差動インピーダンス(または特性インピーダンス)の変動を抑えることができる。したがって、ダイオードやバリスタなどを差動伝送線路上に配置することができるので、静電耐性を向上させることができ、また、800Mbps乃至10Gbps程度の伝送速度での映像信号(データ)の伝送を実現することができる。
また、例えば、プリント配線基板として、図1に示したRX基板28を製造する場合には、設計者は、RX31乃至RX33およびCLK34の長さ、プリント配線基板を製造することにより経験的に得られた差動インピーダンスの値、すなわち、プリント配線基板上に各部品が配置された場合に、プリント配線基板が予め定められた規格を満たすと見込まれる差動インピーダンスの値などを考慮して、RX基板28の差動伝送線路の差動インピーダンスの値を120Ωと設定する。
そして、RX基板28の差動伝送線路の差動インピーダンスの値が、設定された120Ωとなるように、設計者は、例えば、RX基板28の差動伝送線路の幅を150μmとし、ペアとなる2つの差動伝送線路の間隔を175μmとし、絶縁層の厚さを100μmとしてRX基板28の層構成を決定する。
ステップS11において、差動インピーダンスの値(コントロール設定値)が設定されると、ステップS12において、設計者は、設定した差動インピーダンスの値に基づいて、プリント配線基板の回路および版下を設計する。例えば、図1に示したTX基板21を設計する場合、設計者は、設定した差動インピーダンスの値である120Ω、およびその値により決定された層構成に基づいて、TX基板21上に配置する各電子部品の位置や、差動伝送線路(パターン)の引き回しなどを定めて、TX基板21の回路および版下を設計する。また、このとき、TX基板21上の差動伝送線路と、グランドまたは電源との間の距離を0.5mm以上とすることで、グランドまたは電源の影響による、差動伝送線路の差動インピーダンスの低下を防ぐことができる。
ステップS13において、設計者は、設計した回路の過渡的な差動インピーダンスの値をTDR(Time Domain Reflectometry)シミュレーションにより求める。例えば、設計者は、設計したプリント配線基板(例えば、TX基板21またはRX基板28)上に配置する各電子部品のシミュレーションモデルを用意する。そして、設計者は、プリント配線基板上の各ランドの静電容量を考慮し、用意したシミュレーションモデルと組み合わせてTDRシミュレーションを行い、プリント配線基板(の差動伝送線路)の過渡的な差動インピーダンスの値を求める。
ここで、プリント配線基板の過渡的な差動インピーダンスの値とは、プリント配線基板の差動伝送線路に所定のステップ信号を入力して、そのステップ信号が入力されてから、ステップ信号が差動伝送線路の終端において反射されて、入力された位置まで戻ってくるまでの期間における、差動伝送線路の差動インピーダンスの過渡特性を示す値をいう。
したがって、例えば、図2乃至図5を参照して説明したTX基板21(の回路および版下)を設計した場合、TDRシミュレーションにおいて、差動伝送線路であるTX24乃至TX26、およびCLK27には、DVIコネクタ23から図10に示すステップ信号が仮想的に入力される。
図10において、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。TX基板21の各差動伝送線路には、0secから100psecまでの期間に、電圧の値が0mVから243mVまで急激に立ち上がり、その後は243 mVで一定である、立ち上がり時間が100psecのステップ信号231、または0secから100psecまでの期間に、電圧の値が0mVから-243mVまで急激に立ち下がり、その後は-243 mVで一定である、立ち下がり時間が100psecのステップ信号232が入力される。
例えば、TX24−1、TX25−1、TX26−1、およびCLK27−1のそれぞれには、DVIコネクタ23からステップ信号231が入力され、TX24−2、TX25−2、TX26−2、およびCLK27−2のそれぞれには、DVIコネクタ23からステップ信号232が入力される。そして、ステップ信号231およびステップ信号232がDVIコネクタ23から入力されてから、ステップ信号231およびステップ信号232がIC22において反射されて、再びDVIコネクタ23まで戻ってくるまでの期間における、各差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの値が、TDRシミュレーションにより求められる。
これにより、例えば、図11に示す過渡的な差動インピーダンスの値が求められる。なお、図中、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線251乃至曲線254のそれぞれは、TX24乃至TX26およびCLK27のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから1.5nsec付近までの期間における、曲線251乃至曲線254の値は、それぞれDVIコネクタ23のピンの差動インピーダンスの値を示している。DVIコネクタ23の形状は予め定められているので、DVIコネクタ23のピンの差動インピーダンスの値は、DVIコネクタ23の物理的な構造により定まる。
また、1.5nsec付近から、曲線251乃至曲線254のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線251乃至曲線254の値は、それぞれDVIコネクタ23を接続するためのランド(ランド94−1乃至ランド94−8)からIC22までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示しており、その値は各差動伝送線路上のランド、抵抗、バリスタ、ダイオードなどの影響により変動する。
例えば、曲線252の値は、1.87nsec前後において急激に増加し続けており、曲線252の1.5nsecから1.87nsecまでの期間における値が、TX25の差動インピーダンスの値を示している。同様に、曲線251の1.66nsecから2.02nsecまでの期間における値が、TX24の差動インピーダンスの値を示しており、曲線253の1.5nsecから2.44nsecまでの期間における値が、TX26の差動インピーダンスの値を示しており、曲線254の1.5nsecから2.6nsecまでの期間における値が、CLK27の差動インピーダンスの値を示している。
さらに、曲線251乃至曲線254のそれぞれの値が急激に増加し続けだすまでの時間、すなわち、入力されたステップ信号が、IC22において反射されてDVIコネクタ23まで戻ってくるまでの時間は、各差動伝送線路の長さにより定まり、例えば、図3では、TX24乃至TX26よりもCLK27の長さがより長いため、図11に示すように、曲線254の値が急激に増加し続けだす時刻は、曲線251乃至曲線253のそれぞれの値が急激に増加し続けだす時刻よりも遅い。
また、図10に示したステップ信号を、図6乃至図8を参照して説明したRX基板28に入力した場合における、RX基板28の各差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図12に示す差動インピーダンスの値が求められる。
なお、図中、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線271乃至曲線274のそれぞれは、RX31乃至RX33およびCLK34のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから1.25nsec付近までの期間における、曲線271乃至曲線274の値は、それぞれDVIコネクタ29のピンの差動インピーダンスの値を示している。DVIコネクタ29の形状は予め定められているので、DVIコネクタ29のピンの差動インピーダンスの値は、DVIコネクタ29の物理的な構造により定まる。
また、1.25nsecから、曲線271乃至曲線274のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線271乃至曲線274の値は、それぞれDVIコネクタ29を接続するためのランド(ランド193−1乃至ランド193−8)からIC30までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示しており、その値は各差動伝送線路上のランド、抵抗、バリスタ、ダイオードなどの影響により変動する。
例えば、曲線272の値は、1.9nsec前後において急激に増加し続けており、曲線272の1.3nsecから1.9nsecまでの期間における値が、RX32の差動インピーダンスの値を示している。同様に、曲線271の1.35nsecから2.0nsecまでの期間における値が、RX31の差動インピーダンスの値を示しており、曲線273の1.35nsecから2.45nsecまでの期間における値が、RX33の差動インピーダンスの値を示しており、曲線274の1.3nsecから2.55nsecまでの期間における値が、CLK34の差動インピーダンスの値を示している。
さらに、曲線271乃至曲線274のそれぞれの値が急激に増加し続けだすまでの時間、すなわち、入力されたステップ信号が、IC30において反射されてDVIコネクタ29まで戻ってくるまでの時間は、各差動伝送線路の長さにより定まり、例えば、図7では、RX31乃至RX33よりもCLK34の長さがより長いため、図12に示すように、曲線274の値が急激に増加し続けだす時刻は、曲線271乃至曲線273のそれぞれの値が急激に増加し続けだす時刻よりも遅い。
このように、精度の高い各電子部品のシミュレーションモデルおよびランド部分のモデルを用いて、立ち上がり時間、およびたち下がり時間の短いステップ信号を入力した場合における、プリント配線基板のTDRシミュレーションを行うことによって、プリント配線基板の過渡的な差動インピーダンスの値の時間方向の分解能を向上させることができ、その結果、通常の伝送波形のシミュレーションによる波形解析では得られない、超GHz帯での差動伝送線路の差動インピーダンスの過渡特性を評価することができる。
また、上述したように、コントロール設定値を、予め定められた規格の値よりもやや高めの値に設定することにより、プリント配線基板の差動インピーダンスの値を高くすることができるので、プリント配線基板の層にスリットを設けたり、差動インピーダンスの低下を抑えるために、新たにコモンモードチョークコイルを配置したりする必要がなくなり、プリント配線基板の構成をより簡単な構成とすることができる。これにより、プリント配線基板のTDRシミュレーションをより精度よく行うことができる。
図9のフローチャートの説明に戻り、ステップS13において、プリント配線基板の過渡的な差動インピーダンスの値を求めると、ステップS14において、設計者は、TDRシミュレーションにより求めた過渡的な差動インピーダンスの値が、予め定められた目標とする値の範囲内であるか否かを判定する。
ここで、目標とする値の範囲は、例えば、プリント配線基板を製造することにより得られた経験的な値とすることができる。例えば、図1で示したTX基板21の過渡的な差動インピーダンスを、TDRシミュレーションにより求めた場合、DVIコネクタ23を接続するためのランド(ランド94−1乃至ランド94−8)からIC22までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値が、50Ω以上120Ω以下の範囲内の値となるようにTX基板21の回路を設計とすると、実際に製造したTX基板21は、DVIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの目標値を満たすことが、本出願人により確かめられている。
したがって、例えば、図1で示したTX基板21の回路を設計する場合、設計者は、50Ω以上120Ω以下の範囲を目標とする値の範囲とする。そして、例えば、TDRシミュレーションにより、図11に示したTX基板21の過渡的な差動インピーダンスの値が得られた場合、TX25については、ランド94−3またはランド94−4からIC22までの差動インピーダンスの値、すなわち、1.5nsecから1.87nsecまでの期間における曲線252の値が、50Ω以上120Ω以下の範囲内の値であるとき、ステップS14において、TDRシミュレーションにより求めた過渡的な差動インピーダンスの値が、予め定められた目標とする値の範囲内であると判定される。
例えば、図11では、1.5nsecから1.87nsecまでの期間における曲線252の値は、50Ω以上120Ω以下の範囲内の値であり、また、曲線251、曲線253、および曲線254のそれぞれについても、DVIコネクタ23を接続するためのランドからIC22までの差動インピーダンスの値が、50Ω以上120Ω以下の範囲内の値であるので、予め定められた目標とする値の範囲内であると判定される。
また、例えば、図1で示したRX基板28における場合においても、目標とする値の範囲を、50Ω以上120Ω以下の範囲とすることができ、例えば、TDRシミュレーションにより、図12に示したRX基板28の過渡的な差動インピーダンスの値が得られた場合、曲線271乃至曲線274のそれぞれについて、DVIコネクタ29を接続するためのランド(ランド193−1乃至ランド193−8)からIC30までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値が、50Ω以上120Ω以下の範囲内の値であるとき、ステップS14において、TDRシミュレーションにより求めた過渡的な差動インピーダンスの値が、予め定められた目標とする値の範囲内であると判定される。
例えば、図12では、1.3nsecから1.9nsecまでの期間における曲線272の値は、50Ω以上120Ω以下の範囲内の値であり、また、曲線271、曲線273、および曲線274のそれぞれについても、DVIコネクタ29を接続するためのランドからIC30までの差動インピーダンスの値が、50Ω以上120Ω以下の範囲内の値であるので、予め定められた目標とする値の範囲内であると判定される。
ステップS14において、TDRシミュレーションにより求めた過渡的な差動インピーダンスの値が、予め定められた目標とする値の範囲内でないと判定された場合、ステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。例えば、ステップS14において、過渡的な差動インピーダンスの値が、予め定められた目標とする値の範囲内でないと判定された場合、ステップS11およびステップS12において、設計者は、差動インピーダンスの値(コントロール設定値)、層構成、差動伝送線路上のランドの形状、各差動伝送線路(パターン)の引き回し、並びに差動伝送線路上に配置されるバリスタ、抵抗、およびダイオードの位置などを総合的に判断して、再びプリント配線基板の回路および版下の設計を行う。
なお、ステップS14において、過渡的な差動インピーダンスの値が、予め定められた目標とする値の範囲内でないと判定された場合、ステップS11ではなく、ステップS12に戻るようにしてもよい。この場合には、コントロール設定値および層構成を変えずに、ランドの形状や差動伝送線路上に配置される各電子部品の位置、および各差動伝送線路の引き回しなどを変化させて、プリント配線基板の回路および版下の設計が行われる。
一方、ステップS14において、TDRシミュレーションにより求めた過渡的な差動インピーダンスの値が、予め定められた目標とする値の範囲内であると判定された場合、ステップS15に進み、設計者は、設計した版下を作成して、作成した版下を用いてプリント配線基板を作成する。例えば、設計者は、作成した版下を用いて、図2に示したTX基板21(集合基板51)または図6に示したRX基板28(集合基板151)を作成する。
ステップS16において、設計者は、プリント配線基板とともに作成された、擬似回路パターンの差動インピーダンスを測定する。例えば、図2に示したTX基板21(集合基板51)を作成した場合、設計者は、集合基板51上のTX基板21の近傍に設けられている擬似回路パターン52の差動インピーダンスを測定する。
ステップS17において、設計者は、作成したプリント配線基板の過渡的な差動インピーダンスを、TDR法により測定する。例えば、作成したプリント配線基板としてのTX基板21の過渡的な差動インピーダンスを測定する場合、図13に示すように、設計者(測定者)は、オシロスコープ301と、アダプタ302とをSMAケーブル303−1およびSMAケーブル303−2で接続し、さらに、アダプタ302に電源304および測定の対象となるTX基板21を接続する。
例えば、オシロスコープ301は、立ち上がり時間が75psecであるステップ信号、および立下り時間が75psecであるステップ信号を生成して、生成したステップ信号、すなわち生成した差動モードのステップ信号を、SMAケーブル303−1またはSMAケーブル303−2を介してアダプタ302に供給(入力)する。
アダプタ302は、電源304から供給される電力により駆動し、ステップ信号の波形が劣化しないように、インピーダンスの整合を管理する。アダプタ302は、オシロスコープ301から供給されたステップ信号をTX基板21に入力する。そして、TX基板21にステップ信号を入力すると、ステップ信号が、TX基板21の差動伝送線路において反射されて再びアダプタ302に戻ってくるので、アダプタ302は、TX基板21から戻ってきたステップ信号をオシロスコープ301に供給(入力)する。
オシロスコープ301は、アダプタ302からのステップ信号の大きさ(反射電圧の値)を測定して、測定した電圧の値を基に、TX基板21の差動伝送線路の過渡的な特性インピーダンスを求めて、さらに、その特性インピーダンスの値を基に、過渡的な差動インピーダンスを求める。オシロスコープ301は、求めた過渡的な差動インピーダンスをオシロスコープ301のディスプレイなどに表示する。
TDR法は、分布定数線路で伝送される、入力したステップ信号の反射を利用して、伝送線路(分布定数線路)の特性インピーダンスを測定する方法であり、伝送線路上において、入力したステップ信号の反射が発生する時間からインピーダンスの空間的な分布(測定する伝送線路の長さに沿ったインピーダンスの変化)を容易に把握することができる。TDR法では、入力する高速立ち上がりステップ信号、および高速立下りステップ信号は、機能測定の高速論理信号をシミュレートし、また、オシロスコープ301において測定されるステップ信号の大きさ(反射電圧の値)は、インピーダンスの変化を示し、TX基板21の差動伝送線路の特性インピーダンスの計算に利用される。
例えば、図14Aに示すように、オシロスコープ301は、パルスジェネレータ321を備えており、パルスジェネレータ321は、立ち上がり時間が75psecであるステップ信号、または立下り時間が75psecであるステップ信号を生成して、生成したステップ信号を、パルスジェネレータ321に接続されている抵抗322、およびオシロスコープ301に接続されているアダプタ302(図示せず)を介して、TX基板21のDVIコネクタ23から、差動伝送線路(例えば、TX24−1、TX24−2、TX25−1、TX25−2、TX26−1、TX26−2、CLK27−1、またはCLK27−2のいずれか)に入力する。
そして、オシロスコープ301は、矢印A11により示される、オシロスコープ301内の伝送線路上の抵抗322の図中、右側の位置(以下、位置A11と称する)におけるステップ信号の大きさ(反射電圧の値)を測定する。
例えば、位置A11にいて測定されたステップ信号の大きさ(反射電圧の値)は、図14Bに示すように変化する。図14Bにおいて、縦軸は電圧(反射電圧)を示し、横軸は時間を示す。図14Bでは、反射電圧の値は、時刻0において0であり、時間の経過とともにステップ状に変化する。
ここで、位置A11において測定された反射電圧の値をVとし、パルスジェネレータ321における電位をV0とし、さらに、抵抗322の抵抗の値をRとし、抵抗322を流れる電流の大きさをIとすると、位置A11における反射電圧の値Vは、式(1)で表すことができる。
V=V0−I×R ・・・(1)
また、TX基板21の差動伝送線路の特性インピーダンスの値をZ0とすると、位置A11における反射電圧の値Vは、式(2)でも表すことができる。
V=I×Z0 ・・・(2)
したがって、式(1)または式(2)により表される反射電圧の値Vは、図14Cに示すように、直線B11または直線B12により表され、直線B11および直線B12の交点におけるVの値が、位置A11における反射電圧の値となる。なお、図14Cにおいて、縦軸は電圧の大きさを示し、横軸は電流の大きさを示している。
また、直線B11は、式(1)における電流の値Iに対する電圧の値Vを表す直線であり、直線B12は、式(2)における電流の値Iに対する電圧の値Vを表す直線であるので、直線B11と直線B12との交点における反射電圧の値Vは、式(1)および式(2)から電流の値Iを消去することで、式(3)により表される。
V=(V0×Z0)/(R+Z0) ・・・(3)
ここで、反射電圧の値Vは、測定により求められ、また、抵抗の値R、およびパルスジェネレータ321における電位V0は、既知の値であるので、式(3)を式(4)に変形することにより、TX基板21の特性インピーダンスの値Z0を求めることができる。
Z0=(V×R)/(V0−V) ・・・(4)
このようにして、TX基板21の差動伝送線路に入力したステップ信号の反射電圧の値を測定することにより、その差動伝送線路の特性インピーダンスを求めることができる。そして、ペアとなる差動伝送線路のそれぞれの特性インピーダンスの値を基に、差動伝送線路の差動インピーダンスを求めることができる。
例えば、TX基板21の差動伝送線路TX24の過渡的な差動インピーダンスを求める場合、オシロスコープ301は、図13および図14を参照して説明したように、位置A11における反射電圧の値を基に、TX24−1の過渡的な特性インピーダンス、およびTX24−2の過渡的な特性インピーダンスを求める。そして、オシロスコープ301は、求められたTX24−1の過渡的な特性インピーダンス、およびTX24−2の過渡的な特性インピーダンスを基に、TX24の過渡的な差動インピーダンスを求める。
このようにして、TDR法により、図1に示したTX基板21の過渡的な差動インピーダンスを測定すると、例えば、図15に示す測定結果が得られる。この場合、上述したように、TX基板21には、立ち上がり時間および立ち下がり時間が75psecであるステップ信号が入力される。
なお、図15において、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示す。また、曲線351乃至曲線354は、それぞれ、TX24乃至TX26、およびCLK27の過渡的な差動インピーダンスの値を示す。さらに、点線355は、DVIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの目標値の上限を示し、点線356は、DVIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの目標値の下限を示す。
図15において、0secから0.2nsecまでの期間における、曲線351乃至曲線354の値は、それぞれDVIコネクタ23のピンの差動インピーダンスの値を示している。DVIコネクタ23の形状は予め定められているので、DVIコネクタ23のピンの差動インピーダンスの値は、DVIコネクタ23の物理的な構造により定まる。
また、0.2nsecから、曲線351乃至曲線354のそれぞれの値が急激に増加しだすまでの期間における曲線351乃至曲線354の値は、それぞれDVIコネクタ23を接続するためのランド(ランド94−1乃至ランド94−8)からIC22までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示しており、その値は各差動伝送線路上のランド、抵抗、バリスタ、ダイオードなどの影響により変動する。
例えば、曲線351の値は、1.0nsec付近において急激に増加しだしており、曲線351の0.2nsecから1.0nsecまでの期間における値が、TX24の差動インピーダンスの値を示している。同様に、曲線352の0.2nsecから0.95nsecまでの期間における値が、TX25の差動インピーダンスの値を示しており、曲線353の0.2nsecから0.95nsecまでの期間における値が、TX26の差動インピーダンスの値を示しており、曲線354の0.2nsecから1.2nsecまでの期間における値が、CLK27の差動インピーダンスの値を示している。
また、点線355により示される値は、0secから0.7nsecまでの期間は175Ωであり、0.7nsec以降は、120Ωとなっている。同様に、点線356により示される値は、0secから0.7nsecまでの期間は75Ωであり、0.7nsec以降は、80Ωとなっている。したがって、曲線351乃至曲線354のそれぞれの値が、0.2nsecから0.7nsecまでの期間は75Ω以上かつ175Ω以下であり、0.7nsecから、曲線351乃至曲線354のそれぞれの値が急激に増加しだすまでの期間は、80Ω以上かつ120Ω以下であれば、DVIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの目標値を満たすことになる。
図15では、DVIコネクタ23を接続するためのランド(ランド94−1乃至ランド94−8)からIC22までの曲線351乃至曲線354のそれぞれの値(差動インピーダンスの値)は、各時刻における点線356により示される値以上であり、かつ各時刻における点線355により示される値以下であるので、TX基板21は、DVIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの目標値を満たしている。
TX基板21の過渡的な差動インピーダンスにおける場合と同様に、TDR法により、図1に示したRX基板28の過渡的な差動インピーダンスを測定すると、例えば、図16に示す測定結果が得られる。この場合、RX基板28には、TX基板21の場合と同様に、立ち上がり時間および立ち下がり時間が75psecであるステップ信号が入力される。
なお、図16において、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示す。また、曲線381乃至曲線384は、それぞれ、RX31乃至RX33、およびCLK34の過渡的な差動インピーダンスの値を示す。さらに、点線385は、DVIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの目標値の上限を示し、点線386は、DVIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの目標値の下限を示す。
図16において、0secから0.2nsecまでの期間における、曲線381乃至曲線384の値は、それぞれDVIコネクタ29のピンの差動インピーダンスの値を示している。DVIコネクタ29の形状は予め定められているので、DVIコネクタ29のピンの差動インピーダンスの値は、DVIコネクタ29の物理的な構造により定まる。
また、0.2nsecから、曲線381乃至曲線384のそれぞれの値が急激に増加しだすまでの期間における曲線381乃至曲線384の値は、それぞれDVIコネクタ29を接続するためのランド(ランド193−1乃至ランド193−8)からIC30までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示しており、その値は各差動伝送線路上のランド、抵抗、バリスタ、ダイオードなどの影響により変動する。
例えば、曲線381の値は、1.0nsec付近において急激に増加しだしており、曲線381の0.2nsecから1.0nsecまでの期間における値が、RX31の差動インピーダンスの値を示している。同様に、曲線382の0.2nsecから1.0nsecまでの期間における値が、RX32の差動インピーダンスの値を示しており、曲線383の0.2nsecから1.1nsecまでの期間における値が、RX33の差動インピーダンスの値を示しており、曲線384の0.2nsecから1.3nsecまでの期間における値が、CLK34の差動インピーダンスの値を示している。
また、点線385により示される値は、0secから0.7nsecまでの期間は175Ωであり、0.7nsec以降は、120Ωとなっている。同様に、点線386により示される値は、0secから0.7nsecまでの期間は75Ωであり、0.7nsec以降は、80Ωとなっている。したがって、曲線381乃至曲線384のそれぞれの値が、0.2nsecから0.7nsecまでの期間は75Ω以上かつ175Ω以下であり、0.7nsecから、曲線381乃至曲線384のそれぞれの値が急激に増加しだすまでの期間は、80Ω以上かつ120Ω以下であれば、DVIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの目標値を満たすことになる。
図16では、DVIコネクタ29を接続するためのランド(ランド193−1乃至ランド193−8)からIC30までの曲線381乃至曲線384のそれぞれの値(差動インピーダンスの値)は、各時刻における点線386により示される値以上であり、かつ各時刻における点線385により示される値以下であるので、RX基板28は、DVIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの目標値を満たしている。
図9のフローチャートの説明に戻り、ステップS17において、作成したプリント配線基板の過渡的な差動インピーダンスを測定すると、ステップS18において、設計者は、測定された過渡的な差動インピーダンスの値が、目標とする値の範囲内であるか否かを判定する。
例えば、TX基板21の過渡的な差動インピーダンスを測定することにより、図15に示した測定結果が得られた場合、目標とする値の範囲は、各時刻において、点線356により示される値以上であり、かつ点線355により示される値以下の範囲となる。図15では、DVIコネクタ23を接続するためのランドからIC22までの曲線351乃至曲線354のそれぞれの値が、各時刻における点線356により示される値以上であり、かつ各時刻における点線355により示される値以下であるので、測定された過渡的な差動インピーダンスの値が、目標とする値の範囲内であると判定される。
ステップS18において、測定された過渡的な差動インピーダンスの値が、目標とする値の範囲内でないと判定された場合、ステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。なお、ステップS18において、測定された過渡的な差動インピーダンスの値が、目標とする値の範囲内でないと判定された場合、ステップS11に戻らずに、ステップS12に戻るようにしてもよく、また、ランドなどの大きさを調整するなどの処理を行った後、ステップS17に戻るようにしてもよい。
一方、ステップS18において、測定された過渡的な差動インピーダンスの値が、目標とする値の範囲内であると判定された場合、予め定められた規格を満たすプリント配線基板のプロトタイプを作成することができたので、設計の処理は終了する。
なお、ステップS16の処理において測定された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値は、今後、他のプリント配線基板を設計する場合に、ステップS11の処理におけるコントロール設定値を設定するときに、経験的に得られた差動インピーダンスの値として用いられる。
また、ステップS16の処理において測定された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値は、作成したプリント配線基板(例えば、TX基板21またはRX基板28)を量産する場合に、製造した集合基板に含まれる擬似回路パターンの差動インピーダンスの目標値とされる。したがって、この目標値に基づく値と、測定した擬似回路パターンの差動インピーダンスの値とを比較して、製造したプリント配線基板が規格を満たす良品であるか否かの判定(検査)を行う。
以上のようにして、経験的に得られた差動インピーダンスの値を考慮して、設計する差動インピーダンスの値(コントロール設定値)を設定し、TDRシミュレーションを行いながらプリント配線基板の回路および版下を設計する。そして、設計したプリント配線基板を作成して、プリント配線基板とともに作成された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値を測定して、測定により得られた値を、経験的に得られた差動インピーダンスの値として、コントロール設定値を設定する場合に用いる。
このように、プリント配線基板上に各部品が配置された場合に、プリント配線基板が予め定められた規格を満たすと見込まれる、経験的に得られた差動インピーダンスの値を考慮して、コントロール設定値を設定し、精度の高いTDRシミュレーションを行うことによって、何度も試作を繰り返すことなく、予め定められた規格を満たすプリント配線基板をより迅速に作成することができる。これにより、プリント配線基板の設計期間をより短縮することができ、さらに、プリント配線基板の試作開発費用を大幅に削減することができる。
また、経験的に得られた差動インピーダンスの値を考慮して、コントロール設定値を、予め定められた規格の値よりもやや高めの値に設定することによって、プリント配線基板の過渡的な差動インピーダンスの値を高くすることができるので、差動伝送線路上に配置されるランド、バリスタ、ダイオードなどの静電容量成分による、プリント配線基板の過渡的な差動インピーダンスの低下を抑制することができる。
したがって、プリント配線基板の回路を設計する場合に、ランドの大きさ、差動伝送線路上のビア、差動伝送線路上に配置する電子部品やその大きさなどの制約なしに設計を行うことができるので、プリント配線基板の構成をより簡単な構成とすることができる。また、プリント配線基板における差動インピーダンスの低下を抑制して、プリント配線基板の性能を向上させることで、例えば、DVIケーブル13などの性能(例えば、信号品質など)のばらつきによる不具合を補うことができる。
さらに、プリント配線基板(例えば、TX基板21およびRX基板28)の差動インピーダンスの特性を改善することによって、差動インピーダンスの特性と相関関係にある減衰特性(アイパターン)を向上させることができる。
例えば、図1に示すTX基板21およびRX基板28に対応する、従来のTX基板およびRX基板において、TX基板から映像信号をRX基板に伝送(送信)した場合のアイパターンのシミュレーション結果は、図17Aに示すように、伝送される映像信号の立ち上がり、および立下りがなまってしまい、RX基板側(ディスプレイ側)において、映像信号を正確に読み取ることができない場合があった。
なお、図17Aにおいて、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。また、矢印E11により示されるアイパターンは、ペアとなる差動伝送線路のそれぞれにおいて伝送された映像信号の波形を示しており、矢印E12により示されるアイパターンは、ペアとなる差動伝送線路のそれぞれにおいて伝送された映像信号の差分を取ることにより得られるディファレンシャル信号の波形(ディファレンシャル波形)を示している。
矢印E11により示される映像信号の波形は、映像信号の立ち上がりおよび立下りがなまっているので(なだらかになっているので)、映像信号の波形のアイ開口は、図中、縦方向に狭くなっている。したがって、ペアとなる差動伝送線路のそれぞれにおいて伝送された映像信号から得られる、矢印E12により示されるディファレンシャル信号の立ち上がりおよび立下りもなまったものとなり、ディファレンシャル信号の波形のアイ開口も図中、縦方向に狭くなっている。
また、DVIでは、ディファレンシャル信号が、予め定められた領域411(いわゆる規格のアイ、またはマスク)にかからない(領域411と重ならない)ようにすることが規定されている。すなわち、領域411は、最低限確保すべきアイ開口の領域として定められた領域を示しており、ディファレンシャル信号が、領域411と重なった場合、そのプリント配線基板(差動伝送線路)は、DVIの規格を満たさないものと判定される。
図17Aでは、矢印E12により示されるディファレンシャル信号は、領域411と重なっていないが、例えば、差動伝送線路のそれぞれにおいて伝送される映像信号に200psecのジッタを加えると、図17Bに示すように、ジッタが加えられた映像信号により得られるディファレンシャル信号は、領域411と重なってしまう。
なお、図17Bにおいて、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。また、図17Bにおいて、図17Aと対応する部分には同一の符号を付してあり、繰り返しになるのでその説明は省略する。
さらに、矢印E13により示されるアイパターンは、図17Aの矢印E11に示されるアイパターンに対応し、矢印E13により示されるアイパターンの斜線部分は、ジッタが加えられた映像信号の波形を示している。同様に、矢印E14により示されるアイパターンは、図17Aの矢印E12に示されるアイパターンに対応し、矢印E14により示されるアイパターンの斜線部分は、ジッタが加えられた映像信号により得られるディファレンシャル信号の波形(ディファレンシャル波形)を示している。
図17Bでは、矢印E13により示される映像信号の波形のアイ開口は、ジッタが加えられることにより、さらに図中、縦方向および横方向に狭くなっている。これにより、ペアとなる差動伝送線路のそれぞれにおいて伝送された映像信号から得られる、矢印E14により示されるディファレンシャル信号の波形のアイ開口も、さらに図中、縦方向および横方向に狭くなっており、ジッタが加えられた映像信号により得られるディファレンシャル信号、すなわち、矢印E14により示されるアイパターンの斜線部分は、領域411と重なってしまう。したがって、従来のTX基板およびRX基板においては、差動伝送線路、またはメディアレシーバとディスプレイとを接続するDVIケーブルなどにおいて、200psecのジッタが発生すると、伝送した映像信号を正確に読み取ることができなくなってしまう。
これに対して、図1に示すTX基板21およびRX基板28においては、例えば、IC22から出力され、TX24、長さが10mのDVIケーブル13、およびRX31を介して伝送されて、IC30に入力された映像信号のアイパターンのシミュレーション結果は、図18Aに示すように、伝送される映像信号の立ち上がり、および立下りがなまることなく、RX基板28(ディスプレイ12)において、映像信号を正確に読み取ることができる。
なお、図18Aにおいて、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。また、矢印E41により示されるアイパターンは、ペアとなる差動伝送線路である、RX31−1およびRX31−2のそれぞれからIC30に入力された映像信号の波形を示しており、矢印E42により示されるアイパターンは、RX31−1およびRX31−2のそれぞれからIC30に入力された映像信号の差分を取ることにより得られるディファレンシャル信号の波形(ディファレンシャル波形)を示している。
矢印E41により示される映像信号の波形は、映像信号の立ち上がりおよび立下りがなまっていないので、映像信号の波形のアイ開口の領域として、図中、縦方向および横方向に十分に拡がった領域が確保されており、映像信号は、波形が崩れることなく伝送されることがわかる。
また、矢印E41により示される映像信号の波形が崩れていないので、RX31−1およびRX31−2のそれぞれからIC30に入力された映像信号から得られる、矢印E42により示されるディファレンシャル信号の立ち上がりおよび立下りもなまっておらず、アイ開口の領域も、図中、縦方向および横方向に十分に拡がった領域となっているので、ディファレンシャル信号は、図17Aにおける領域411に対応する領域431とも重なっていない。
さらに、IC22から出力され、TX24、長さが10mのDVIケーブル13、およびRX31を介して伝送されて、IC30に入力される映像信号に200psecのジッタを加えた場合においても、図18Bに示すように、ジッタが加えられた映像信号により得られるディファレンシャル信号は、領域431とは重ならず、ディスプレイ12において、伝送されてきた映像信号を確実に読み取ることができる。
なお、図18Bにおいて、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。また、図18Bにおいて、図18Aと対応する部分には同一の符号を付してあり、繰り返しになるのでその説明は省略する。
さらに、矢印E43により示されるアイパターンは、図18Aの矢印E41に示されるアイパターンに対応し、矢印E43により示されるアイパターンの斜線部分は、ジッタが加えられた映像信号の波形を示している。同様に、矢印E44により示されるアイパターンは、図18Aの矢印E42に示されるアイパターンに対応し、矢印E44により示されるアイパターンの斜線部分は、ジッタが加えられた映像信号により得られるディファレンシャル信号の波形(ディファレンシャル波形)を示している。
図18Bでは、矢印E43により示される映像信号の波形のアイ開口は、ジッタが加えられることにより、図中、横方向に狭くなっている。したがって、矢印E44により示されるディファレンシャル信号の波形のアイ開口も、図中、横方向に狭くなっているが、ジッタが加えられた映像信号により得られるディファレンシャル信号、すなわち、矢印E44により示されるアイパターンの斜線部分は、領域431とは重なっていないので、TX基板21およびRX基板28においては、TX基板21若しくはRX基板28の差動伝送線路、またはDVIケーブル13において、200psecのジッタが発生した場合においても、ディスプレイ12は、メディアレシーバ11から伝送されてきた映像信号を正確に読み取ることができる。
このように、図18Bの矢印E44により示されるアイパターンは、図17Bの矢印E14により示される従来のTX基板およびRX基板のアイパターンと比較して、ディファレンシャル信号の波形のアイ開口が、図中、縦方向および横方向に大きく開いているので、TX基板21およびRX基板28では、減衰特性が大きく改善されていることが分かる。
したがって、例えば、DVIケーブル13として、長さが10mのケーブルを用いた場合においても、映像信号を確実に伝送することができるので、イコライザICなどによりアイパターン(映像信号またはディファレンシャル信号)を補正することなく、映像信号の長距離伝送を実現することができる。
また、図9のフローチャートを参照して説明した設計の処理において、HDMIに準拠したプリント配線基板(以下、HDMI基板と称する)を設計する場合には、例えば、ステップS11において、差動伝送線路の差動インピーダンスの値(コントロール設定値)は、115Ωとされる。そして、ステップS13の処理において、TDRシミュレーションを行うことにより、例えば、図19に示すHDMI基板の過渡的な差動インピーダンスの値が求められる。
なお、図中、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線471は、HDMI基板のペアをなす差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの値を示している。さらに、HDMI基板の差動伝送線路には、例えば、立ち上がり時間、およびたち下がり時間が100psecであるステップ信号が入力される。
100psecから600psec付近までの期間における、曲線471の値は、HDMIコネクタのピンの差動インピーダンスの値を示している。HDMIコネクタの形状は予め定められているので、HDMIコネクタのピンの差動インピーダンスの値は、HDMIコネクタの物理的な構造により定まる。
また、650psec付近から、950psec付近までの期間における曲線471の値は、差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示しており、その値は差動伝送線路上のランド、抵抗、バリスタ、ダイオードなどの影響により変動する。
HDMI基板では、HDMIコネクタ、ランドなどのシミュレーションモデルの精度の高さや差動伝送線路の引き回しの影響などにより、TDRシミュレーションの結果は、TDR法による測定結果とほぼ同じ結果を得ることができるので、ステップS14における差動インピーダンスの目標とする値の範囲を、例えば、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格とほぼ同じ範囲である、85Ω以上120Ω以下とすることができる。
図19では、650psec付近から、950psec付近までの期間における曲線471の値は、85Ω以上かつ120Ω以下の値となっているので、設計された版下を作成して、作成した版下を用いてHDMI基板が作成される。
そして、作成したHDMI基板の過渡的な差動インピーダンスをTDR法により測定すると、例えば、図20に示す測定結果が得られる。この場合、HDMI基板には、立ち上がり時間およびたち下がり時間が200psecであるステップ信号が入力される。
なお、図20において、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示す。また、曲線501および曲線502は、それぞれ、HDMI基板上のペアをなす差動伝送線路のそれぞれの特性インピーダンスの値を示し、曲線503は、曲線501および曲線502により示される特性インピーダンスの値により求められる、HDMI基板上のペアをなす差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示す。さらに、点線504は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の上限を示し、点線505は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の下限を示す。
図20において、0secから400psecまでの期間における、曲線501および曲線502の値は、HDMIコネクタのピンの特性インピーダンスの値を示している。また、400psecから1200psec付近までの期間における曲線501の値および曲線502の値は、差動伝送線路の特性インピーダンスの値を示しており、その値は差動伝送線路上のランド、抵抗、バリスタ、ダイオードなどの影響により変動している。
また、0secから400psecまでの期間における、曲線503の値は、HDMIコネクタのピンの差動インピーダンスの値を示している。HDMIコネクタの形状は予め定められているので、HDMIコネクタのピンの差動インピーダンスの値は、HDMIコネクタの物理的な構造により定まる。また、400psecから1200psec付近までの期間における曲線503の値は、差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示しており、その値は差動伝送線路上のランド、抵抗、バリスタ、ダイオードなどの影響により変動している。
ここで、図19に示したTDRシミュレーションの結果と、曲線503により示される差動インピーダンスの測定結果とを比較すると、例えば、曲線471(図19)の700psecから800psec付近の値と、曲線503(図20)の800psecから900psec付近の値とが90Ωとなっており、また、曲線471(図19)の900psec付近の値と、曲線503(図20)の1100psec付近の値とが100Ωとなっており、ほぼ相関が取れていることが分かる。
さらに、図20では、0secから1200psecまでの期間における、曲線503の値は、各時刻における点線505により示される値(85Ω)以上であり、かつ各時刻における点線504により示される値(115Ω)以下であるので、HDMI基板は、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たしている。
このように、HDMI基板を作成する場合においても、コントロール設定値を、予め定められた規格の値よりもやや高めの値に設定することによって、HDMI基板の過渡的な差動インピーダンスの値を高くすることができるので、例えば、従来、過渡的な差動インピーダンスの低下を抑えるために、差動伝送線路上に配置されていたバリスタおよびコモンモードフィルタのうち、バリスタを差動伝送線路上に配置するだけで、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たすことができ、さらに、映像信号(高周波信号)の減衰特性(信号品質)を改善することができる。したがって、HDMI基板をより簡単な構成とすることができるので、HDMI基板の大きさをより小さくすることができるとともに、HDMI基板の製造コストを削減することができる。
例えば、従来では、HDMI基板の差動伝送線路上にコモンモードフィルタが8個、およびバリスタが16個配置されており、コモンモードフィルタが8個で120円、バリスタが16個で42円であるとすると、従来のHDMI基板の電子部品のコストは、162円となる。これに対して、上述したように、コントロール設定値を規格の値よりもやや高めの値に設定して作成したHDMI基板においては、コモンモードフィルタを配置する必要がなくなり、HDMI基板上には、バリスタが16個配置されることになるので、HDMI基板の電子部品のコストは42円となり、120円だけ製造コストを削減することができる。
また、図9のフローチャートを参照して説明した、コントロール設定値を規格の値よりもやや高めの値に設定して、TDRシミュレーションを行いながらプリント配線基板を設計する方法により、4層貫通基板や6層貫通基板を作成することができるので、ビルドアップ基板を作成(製造)する場合に比べて、DVIやHDMIに準拠したプリント配線基板を安価に作成することができる。
次に、図21のフローチャートを参照して、図9を参照して説明した設計の処理において設計されたプリント配線基板(例えば、TX基板21またはRX基板28)を、例えば、基板製造メーカなどにおいて量産する処理である、製造の処理を説明する。
ステップS41にいて、製造者は、設計したプリント配線基板を製造する。例えば、製造者は、図9のステップS12において設計された版下を作成して、作成した版下を用いて、図2の集合基板51を製造することにより、TX基板21を製造する。
ステップS42において、製造者は、プリント配線基板とともに製造された擬似回路パターンの差動インピーダンスを測定する。例えば、図2に示した集合基板51(TX基板21)を製造した場合、製造者は、集合基板51上のTX基板21の近傍に設けられている擬似回路パターン52の差動インピーダンスを測定する。
ステップS43において、製造者は、測定された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値が、予め定められた目標とする値の範囲内であるか否かを判定する。例えば、差動インピーダンスの目標とする値の範囲は、図9のステップS16において測定された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値に基づいて定められる。例えば、図2の集合基板51を製造した場合、図9のステップS16において測定された擬似回路パターン52の差動インピーダンスの値に基づいて、目標とする値の範囲は115Ω以上120Ω以下の範囲と定められる。
すなわち、図9のステップS16において測定された、擬似回路パターンの差動インピーダンスの値は、規格を満たすプリント配線基板とともに作成された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値であるので、この擬似回路パターンの差動インピーダンスの値に基づいて、目標とする値の範囲を定めることにより、ステップS41の処理において製造したプリント配線基板が、予め定められた規格を満たすか否かをより確実に判定することができる。
ステップS43において、測定された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値が、目標とする値の範囲内であると判定された場合、製造したプリント配線基板は、規格を満たす良品であるので、ステップS44に進む。
ステップS44において、製造者は、製造されたプリント配線基板上にバリスタ、抵抗、ダイオードなどの各部品を配置し、プリント配線基を組み立てて、製造の処理は終了する。
一方、ステップS43において、測定された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値が、目標とする値の範囲内でないと判定された場合、製造したプリント配線基板は、規格を満たさない不良品であるので、ステップS45に進み、製造者は、製造したプリント配線基板を廃却する。
そして、ステップS46において、製造者は、規格を満たすプリント配線基板を製造するために、プリント配線基板の差動伝送線路の層構成を調整し、処理はステップS41に戻り、上述した処理が繰り返される。
例えば、ステップS46において、製造者は、設定されているコントロール設定値(図9のステップS11において設定されたコントロール設定値)が変化しないように(コントロール設定値を固定して)、プリント配線基板の差動伝送線路の幅、差動伝送線路の厚さ、ペアとなる2つの差動伝送線路の間隔、絶縁層の厚さ、および絶縁層の誘電率の値を調整する(変化させる)ことによって、プリント配線基板の差動伝送線路の層構成を調整する。そして、層構成が調整されると、ステップS41に戻り、新たにプリント配線基板が製造される。
このようにして、製造者は、規格を満たすプリント配線基板(プロトタイプ)とともに作成された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値を基に定められた値の範囲を、擬似回路パターンの差動インピーダンスの目標とする値の範囲として、プリント配線基板を製造し、プリント配線基板とともに製造された擬似回路パターンの差動インピーダンスを測定して、製造したプリント配線基板が、予め定められた規格を満たす良品であるか否かの判定(検査)を行う。
このように、規格を満たすプリント配線基板とともに作成された擬似回路パターンの差動インピーダンスの値を、製造したプリント配線基板が、良品であるか否かの判定に用いることにより、製造したプリント配線基板が、予め定められた規格を満たすか否かをより確実に判定することができる。
ところで、HDMIに準拠したプリント配線基板(HDMI基板)を設計する場合に、図9のステップS11において定められる差動伝送線路の差動インピーダンスの値であるコントロール設定値は、TDRシミュレーションの結果や、実際に作成されたHDMI基板の過渡的な差動インピーダンスの測定結果などによって経験的に定められ、その値は各HDMI基板によって異なる。HDMI基板のコントロール設定値は、例えば105Ω以上120Ω以下の値とされる。
図22は、4層貫通基板であるHDMI基板の第1層の配線の例を示す図である。
図22に示すHDMI基板であるPQ基板531の第1層には、IC541、HDMIコネクタ542、HDMIコネクタ543、抵抗544−1乃至抵抗544−8、抵抗545−1乃至抵抗545−8、バリスタ546−1乃至バリスタ546−8、およびバリスタ547−1乃至バリスタ547−8が配置されている。
差動伝送線路551−1乃至差動伝送線路554−2のそれぞれには、IC541のピンをPQ基板531に接続するためのランド555−1乃至ランド555−8、HDMIコネクタ542をPQ基板531に接続するためのランド556−1乃至ランド556−8、および第4層と接続するためのビア557−1乃至ビア557−8のそれぞれが設けられている。ここで、差動伝送線路551−1乃至差動伝送線路554−2のそれぞれにおける、ランド556−1乃至ランド556−8からビア557−1乃至ビア557−8までの部分はPQ基板531の第4層に設けられている。
また、差動伝送線路551−1乃至差動伝送線路554−2のそれぞれのランド555−1乃至ランド555−8とランド556−1乃至ランド556−8との間には、抵抗544−1乃至抵抗544−8および静電気放電による損傷を防止するためのバリスタ546−1乃至バリスタ546−8のそれぞれが配置されている。
すなわち、IC541と接続されているランド555−1乃至ランド555−8のそれぞれには、抵抗544−1乃至抵抗544−8が接続されており、抵抗544−1乃至抵抗544−8のランド555−1乃至ランド555−8と接続されている端子とは異なる端子は、ビア557−1乃至ビア557−8と接続されている。さらに、ビア557−1乃至ビア557−8は、バリスタ546−1乃至バリスタ546−8と接続されている。
なお、以下、差動伝送線路551−1および差動伝送線路551−2、差動伝送線路552−1および差動伝送線路552−2、差動伝送線路553−1および差動伝送線路553−2、並びに差動伝送線路554−1および差動伝送線路554−2のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に差動伝送線路551、差動伝送線路552、差動伝送線路553、および差動伝送線路554と称する。
同様に、差動伝送線路558−1乃至差動伝送線路561−2のそれぞれには、IC541のピンをPQ基板531に接続するためのランド562−1乃至ランド562−8、HDMIコネクタ543をPQ基板531に接続するためのランド563−1乃至ランド563−8、および第4層と接続するためのビア564−1乃至ビア564−8のそれぞれが設けられている。ここで、差動伝送線路558−1乃至差動伝送線路561−2のそれぞれにおける、ランド563−1乃至ランド563−8からビア564−1乃至ビア564−8までの部分はPQ基板531の第4層に設けられている。
また、差動伝送線路558−1乃至差動伝送線路561−2のそれぞれのランド562−1乃至ランド562−8とランド563−1乃至ランド563−8との間には、抵抗545−1乃至抵抗545−8および静電気放電による損傷を防止するためのバリスタ547−1乃至バリスタ547−8のそれぞれが配置されている。
すなわち、IC541と接続されているランド562−1乃至ランド562−8のそれぞれには、抵抗545−1乃至抵抗545−8が接続されており、抵抗545−1乃至抵抗545−8のランド562−1乃至ランド562−8と接続されている端子とは異なる端子は、ビア564−1乃至ビア564−8と接続されている。さらに、ビア564−1乃至ビア564−8は、バリスタ547−1乃至バリスタ547−8と接続されている。
なお、以下、差動伝送線路558−1および差動伝送線路558−2、差動伝送線路559−1および差動伝送線路559−2、差動伝送線路560−1および差動伝送線路560−2、並びに差動伝送線路561−1および差動伝送線路561−2のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に差動伝送線路558、差動伝送線路559、差動伝送線路560、および差動伝送線路561と称する。
図22に示した差動伝送線路551乃至差動伝送線路554、および差動伝送線路558乃至差動伝送線路561のそれぞれの差動インピーダンスの値が115ΩとなるようにPQ基板531の回路を設計し、設計した回路の過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図23に示す結果が得られる。
ここで、HDMIコネクタ542およびHDMIコネクタ543から、差動伝送線路551乃至差動伝送線路554および差動伝送線路558乃至差動伝送線路561には、立ち上がり時間および立下り時間が100psecであるステップ信号が仮想的に入力される。また、PQ基板531では、図9のステップS14における差動インピーダンスの目標とする値の範囲は70Ω以上120Ω以下とされる。
図23において、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線591乃至曲線598のそれぞれは、差動伝送線路551乃至差動伝送線路554および差動伝送線路558乃至差動伝送線路561のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線591乃至曲線598のそれぞれの値は、HDMIコネクタ542またはHDMIコネクタ543のピンの差動インピーダンスの値を示している。HDMIコネクタの形状は予め定められているので、HDMIコネクタ542およびHDMIコネクタ543のピンの差動インピーダンスの値は、HDMIコネクタの物理的な構造により定まる。
また、480psec付近から曲線591乃至曲線598のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線591乃至曲線598の値は、それぞれHDMIコネクタ542またはHDMIコネクタ543を接続するためのランドからIC541までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示しており、その値は各差動伝送線路上のランド、抵抗、バリスタ、ビアなどの影響により変動する。
例えば、440psec付近から740psec付近までの期間における曲線593の値は、HDMIコネクタ542を接続するためのランド556−5およびランド556−6から、ビア557−5およびビア557−6までの部分の差動伝送線路553−1および差動伝送線路553−2の差動インピーダンスの値を示している。また、740psec付近から1.16nsec付近までの期間における曲線593の値は、ビア557−5およびビア557−6からIC541までの部分の差動伝送線路553−1および差動伝送線路553−2の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線591乃至曲線598のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線591乃至曲線598の値のうち、最も小さい値は、860psec付近における曲線596の値、すなわち69Ωであり、最も大きい値は、960psec付近における曲線591の値、すなわち116Ωとなっている。
したがって、PQ基板531の各差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの値は、ほぼ目標とする値の範囲である70Ω以上120Ω以下の範囲内にあり、実際に作成するPQ基板531は、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たすと見込むことができる。
ところで、基板上に配置される各部品の位置はHDMI基板ごとに異なるので、差動伝送線路の長さもHDMI基板ごとに異なり、HDMI基板の設計時におけるコントロール設定値も各部品が配置される位置に応じて変化させる必要がある。
例えば、図24に示すHDMI基板であるB1基板631では、基板上のHDMIコネクタの位置が図22に示したPQ基板531における場合よりも、よりICに近い位置に配置されている。
6層貫通基板であるB1基板631の第1層には、図24に示すようにIC641、HDMIコネクタ642、HDMIコネクタ643、抵抗644−1乃至抵抗644−8、抵抗645−1乃至抵抗645−8、バリスタ646−1乃至バリスタ646−8、およびバリスタ647−1乃至バリスタ647−8が配置されている。
差動伝送線路651−1乃至差動伝送線路654−2のそれぞれには、IC641のピンをB1基板631に接続するためのランド655−1乃至ランド655−8、HDMIコネクタ642をB1基板631に接続するためのランド656−1乃至ランド656−8、および第6層と接続するためのビア657−1乃至ビア657−8のそれぞれが設けられている。ここで、差動伝送線路651−1乃至差動伝送線路654−2のそれぞれにおける、ランド656−1乃至ランド656−8からビア657−1乃至ビア657−8までの部分はB1基板631の第6層に設けられている。
また、差動伝送線路651−1乃至差動伝送線路654−2のそれぞれのランド655−1乃至ランド655−8とランド656−1乃至ランド656−8との間には、抵抗644−1乃至抵抗644−8および静電気放電による損傷を防止するためのバリスタ646−1乃至バリスタ646−8のそれぞれが配置されている。
すなわち、IC641と接続されているランド655−1乃至ランド655−8のそれぞれには、抵抗644−1乃至抵抗644−8が接続されており、抵抗644−1乃至抵抗644−8のランド655−1乃至ランド655−8と接続されている端子とは異なる端子は、ビア657−1乃至ビア657−8と接続されている。さらに、ビア657−1乃至ビア657−8は、バリスタ646−1乃至バリスタ646−8と接続されている。
なお、以下、差動伝送線路651−1および差動伝送線路651−2、差動伝送線路652−1および差動伝送線路652−2、差動伝送線路653−1および差動伝送線路653−2、並びに差動伝送線路654−1および差動伝送線路654−2のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に差動伝送線路651、差動伝送線路652、差動伝送線路653、および差動伝送線路654と称する。
同様に、差動伝送線路658−1乃至差動伝送線路661−2のそれぞれには、IC641のピンをB1基板631に接続するためのランド662−1乃至ランド662−8、HDMIコネクタ643をB1基板631に接続するためのランド663−1乃至ランド663−8、および第6層と接続するためのビア664−1乃至ビア664−8のそれぞれが設けられている。ここで、差動伝送線路658−1乃至差動伝送線路661−2のそれぞれにおける、ランド663−1乃至ランド663−8からビア664−1乃至ビア664−8までの部分はB1基板631の第6層に設けられている。
また、差動伝送線路658−1乃至差動伝送線路661−2のそれぞれのランド662−1乃至ランド662−8とランド663−1乃至ランド663−8との間には、抵抗645−1乃至抵抗645−8および静電気放電による損傷を防止するためのバリスタ647−1乃至バリスタ647−8のそれぞれが配置されている。
すなわち、IC641と接続されているランド662−1乃至ランド662−8のそれぞれには、抵抗645−1乃至抵抗645−8が接続されており、抵抗645−1乃至抵抗645−8のランド662−1乃至ランド662−8と接続されている端子とは異なる端子は、ビア664−1乃至ビア664−8と接続されている。さらに、ビア664−1乃至ビア664−8は、バリスタ647−1乃至バリスタ647−8と接続されている。
なお、以下、差動伝送線路658−1および差動伝送線路658−2、差動伝送線路659−1および差動伝送線路659−2、差動伝送線路660−1および差動伝送線路660−2、並びに差動伝送線路661−1および差動伝送線路661−2のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に差動伝送線路658、差動伝送線路659、差動伝送線路660、および差動伝送線路661と称する。
さらに、B1基板631では、差動伝送線路651−1における抵抗644−1とバリスタ646−1の間、差動伝送線路651−2における抵抗644−2とバリスタ646−2の間、差動伝送線路660−1における抵抗645−5とバリスタ647−5の間、および差動伝送線路660−2における抵抗645−6とバリスタ647−6の間には、それぞれ、擬似的なランドであるランド665−1乃至ランド666−2が設けられている。
ここで、擬似的なランド(PAD)とは、プリント配線基板上に設けられたランドであって、実際にはプリント配線基板に部品を半田付けして接続するためには用いられないランドをいう。すなわち、本来プリント配線基板上に設けられたランドには、ランドをコーティングしているレジストが除去された後、所定の部品が配置される。そしてランド上に配置された部品が半田付けされることにより、プリント配線基板に固定されるが、ここでいう擬似的なランドは、例えばレジストによりコーティングされたままの状態とされ、そのランド上に部品が配置されて半田付けされることもない。
HDMI基板においてHDMIコネクタが配置される位置は、その基板の大きさや形などの物理的要因によってほぼ決まってしまい、B1基板631においては、HDMIコネクタ642およびHDMIコネクタ643は、IC641に接近した位置に配置されている。そのため、B1基板631では、差動伝送線路651および差動伝送線路660の長さが、他の差動伝送線路と比較して長くなっている。差動伝送線路が長くなると、差動伝送線路のインダクタンス成分が増加するので、それに伴って差動伝送線路の差動インピーダンスの値は高くなる。
そこで、他の差動伝送線路よりも長い差動伝送線路651および差動伝送線路660のそれぞれに擬似的なランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれを設けて、差動伝送線路651および差動伝送線路660のキャパシタンス成分を増加させることにより、結果的に差動伝送線路651および差動伝送線路660の差動インピーダンスの値の上昇を抑制することができる。換言すれば、ランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれにおける静電容量により、差動インピーダンスを低下させることができる。
なお、擬似的なランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれは、任意の形状および大きさとすることができる。例えば、いわゆる1005サイズ、すなわち横1mm×縦0.5mmの大きさの部品をプリント配線基板に固定するために差動伝送線路に設けられる2つの長方形状のランドのうちの片方を、擬似的なランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれとして差動伝送線路に設けることができる。
また、擬似的なランドの大きさは、その他、いわゆる0605サイズ、1608サイズ、2005サイズ、3125サイズの部品を固定するために設けられるランドの大きさとするようにしてもよい。さらに、擬似的なランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれの形状は、長方形状の他、円形状、正方形状などとしてもよい。
差動伝送線路651および差動伝送線路660に設けられた擬似的なランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれの形状、大きさを変化させることで、ランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれのキャパシタンス成分の大きさを調整することができる。これにより差動伝送線路651および差動伝送線路660の差動インピーダンスの値を調整することができる。
また、擬似的なランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれが、レジストによりコーティングされたままの状態にすると説明したが、ランド665−1乃至ランド666−2のレジストが除去されるようにし、ランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれに半田が付着されるようにしてもよい。そのような場合には、擬似的なランド665−1乃至ランド666−2のそれぞれに付着する半田の量、すなわち半田の厚みを調整することにより差動伝送線路651および差動伝送線路660の差動インピーダンスの値を調整することができる。
さらに、擬似的なランド665−1乃至ランド666−2を、それぞれランド656−1とバリスタ646−1との間、ランド656−2とバリスタ646−2との間、ランド663−5とバリスタ647−5との間、およびランド663−6とバリスタ647−6との間に設けるようにしてもよい。但し、バリスタ646−1乃至バリスタ647−6のそれぞれは静電対策、すなわち静電気放電による損傷を防止するために設けられているのでランド656−1乃至ランド663−6のそれぞれと直接接続されることが望ましい。
さらに、また、図24に示した擬似的なランド665−1乃至ランド666−2を設けずに、差動伝送線路651乃至差動伝送線路654、および差動伝送線路658乃至差動伝送線路661のそれぞれの差動インピーダンスの値(コントロール設定値)が115ΩとなるようにB1基板631を設計し、設計した回路の過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図25に示す結果が得られる。
ここで、HDMIコネクタ642およびHDMIコネクタ643から、差動伝送線路651乃至差動伝送線路654および差動伝送線路658乃至差動伝送線路661には、立ち上がり時間および立下り時間が100psecであるステップ信号が仮想的に入力される。また、B1基板631では、図9のステップS14における差動インピーダンスの目標とする値の範囲は70Ω以上120Ω以下とされる。
図25において、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線691乃至曲線698のそれぞれは、差動伝送線路651乃至差動伝送線路654および差動伝送線路658乃至差動伝送線路661のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線691乃至曲線698のそれぞれの値は、HDMIコネクタ642またはHDMIコネクタ643のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線691乃至曲線698のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線691乃至曲線698の値は、それぞれHDMIコネクタ642またはHDMIコネクタ643を接続するためのランドからIC641までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
例えば、600psec付近から680psec付近までの期間における曲線693の値は、HDMIコネクタ642を接続するためのランド656−5およびランド656−6から、ビア657−5およびビア657−6までの部分の差動伝送線路653の差動インピーダンスの値を示している。また、680psec付近から1.08nsec付近までの期間における曲線693の値は、ビア657−5およびビア657−6からIC641までの部分の差動伝送線路653の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線691乃至曲線698のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線691乃至曲線698の値のうち、最も小さい値は、860psec付近における曲線694の値、すなわち68Ωであり、最も大きい値は、640psec付近における曲線691の値および880psec付近における曲線693の値、すなわち119Ωとなっている。
したがって、図25に示すB1基板631の差動インピーダンスの下限の値は、図23に示したPQ基板531の差動インピーダンスの下限の値とほぼ同じ値となるが、B1基板631の差動インピーダンスの上限の値は、PQ基板531の差動インピーダンスの上限の値よりも3Ω程度高い値となっている。
そこで、過渡的な差動インピーダンスの値の大きい差動伝送線路651に図24に示した擬似的なランド665−1およびランド665−2を設けてTDRシミュレーションを行ったところ、図26に示す結果が得られた。
なお、図26に示す場合においてもHDMIコネクタ642から差動伝送線路651には、立ち上がり時間および立下り時間が100psecであるステップ信号が仮想的に入力される。また、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。
図26において、曲線721は、図25における場合と同様に、擬似的なランドが設けられていない差動伝送線路651の過渡的な差動インピーダンスの値を示している。また、曲線722および曲線723のそれぞれは、差動伝送線路651に擬似的なランド665−1およびランド665−2を設け、それらのランドの大きさを1005サイズ、および1608サイズの部品を固定するために設けられるランドの大きさとした場合における差動伝送線路651の過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
さらに、曲線724は、差動伝送線路651上に擬似的なランドを設けずに、バリスタ646−1およびバリスタ646−2が配置される位置をHDMIコネクタ642側に移動させた場合における差動伝送線路651の過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから500psec付近までの期間における、曲線721乃至曲線724のそれぞれの値は、HDMIコネクタ642のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、500psec付近から820psec付近までの期間における曲線721乃至曲線724のそれぞれの値は、HDMIコネクタ642を接続するためのランド656−1およびランド656−2から、ビア657−1およびビア657−2までの部分の差動伝送線路651の差動インピーダンスの値を示している。さらに、820psec付近から1.32nsec付近までの期間における曲曲線721乃至曲線724のそれぞれの値は、ビア657−1およびビア657−2からIC641までの部分の差動伝送線路651の差動インピーダンスの値を示している。
バリスタ646−1およびバリスタ646−2の位置を移動させると、バリスタ646−1およびバリスタ646−2の位置とともに、差動伝送線路651のバリスタ646−1およびバリスタ646−2から抵抗644−1および抵抗644−2までの長さ、すなわち差動伝送線路651の部品が配置されない部分の長さが変化するため、バリスタ646−1およびバリスタ646−2の影響により過渡的な差動インピーダンスの値が低下する位置および上限値が変化する。差動伝送線路では、部品が配置されない部分の長さが長くなるほど差動インピーダンスの値が高くなる。
曲線721では860psec付近において、バリスタ646−1およびバリスタ646−2により過渡的な差動インピーダンスの値が低下しており、曲線724では840psec付近において、バリスタ646−1およびバリスタ646−2により過渡的な差動インピーダンスの値が低下している。したがって、曲線721と曲線724とを比較すると、バリスタ646−1およびバリスタ646−2をHDMIコネクタ642側に移動させることにより、過渡的な差動インピーダンスの値が低下する位置が図中左側、すなわちHDMIコネクタ642側に移動している。
また、差動インピーダンスの値も、960psecから1.12nsecの期間において曲線724により示される値は、曲線721により示される値よりも低くなっている。このようにTDRシミュレーションの結果を参照しながらバリスタなどの差動伝送線路上に配置される部品の位置を調整することによっても、過渡的な差動インピーダンスの値を調整することができる。
図26では、960psecから1.12nsecまでの期間において、曲線722乃至曲線724のそれぞれの値は、曲線721の値よりも低くなっており、擬似的なランドまたはバリスタの移動により過渡的な差動インピーダンスの特性が改善されているが、680psecから720psec付近の期間においては、曲線722乃至曲線724のそれぞれの値が118Ω程度であり、曲線721の値とほぼ同じ値となっている。
そこで、図24に示した擬似的なランド665−1乃至ランド666−2を設けずに、差動伝送線路651乃至差動伝送線路654、および差動伝送線路658乃至差動伝送線路661のコントロール設定値を110ΩとしてB1基板631を設計し、設計した回路の過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図27に示す結果が得られる。
ここで、HDMIコネクタ642およびHDMIコネクタ643から、差動伝送線路651乃至差動伝送線路654および差動伝送線路658乃至差動伝送線路661には、立ち上がり時間および立下り時間が100psecであるステップ信号が仮想的に入力される。
図27において、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線741乃至曲線748のそれぞれは、差動伝送線路651乃至差動伝送線路654および差動伝送線路658乃至差動伝送線路661のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。また、曲線749は、コントロール設定値を115Ωとした場合の差動伝送線路654の過渡的な差動インピーダンスの値を示している。すなわち曲線749は、図25における曲線694に対応している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線741乃至曲線749のそれぞれの値は、HDMIコネクタ642またはHDMIコネクタ643のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線741乃至曲線749のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線741乃至曲線749の値は、それぞれHDMIコネクタ642またはHDMIコネクタ643を接続するためのランドからIC641までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線741乃至曲線748のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線741乃至曲線748の値のうち、最も小さい値は、880psec付近における曲線744の値、すなわち70Ωであり、最も大きい値は、640psec付近における曲線741の値および880psec付近における曲線743の値、すなわち114Ωとなっている。特に、曲線744と曲線749とを比較すると、過渡的な差動インピーダンスの下限の値が、2Ω程度改善されており、図23に示したPQ基板531の過渡的な差動インピーダンスの下限の値とほぼ等しい値となっている。
このように、コントロール設定値を110Ωとすることで、B1基板631の各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を、目標とする値の範囲である70Ω以上120Ω以下の範囲内の値とすることができ、実際に作成するB1基板631は、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たすと見込むことができる。
図28は、図24に示したB1基板631を実際に作成して、TDR法により差動伝送線路651の過渡的な差動インピーダンスを測定した結果を示している。なお、図28における場合、HDMIコネクタ642から差動伝送線路651には、立ち上がり時間および立ち下がり時間が200psecであるステップ信号が入力される。
図28Aは、コントロール設定値を110Ωとし、差動伝送線路651上にランド665−1およびランド665−2が設けられるようにB1基板631を作成した場合における差動伝送線路651の過渡的な差動インピーダンスの測定結果を示している。なお、差動伝送線路651の幅は175μmとされ、差動伝送線路651−1と差動伝送線路651−2との間隔は225μmとされている。
図28Aにおいて、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線771および曲線772は、それぞれ差動伝送線路651−1および差動伝送線路651−2の特性インピーダンスの値を示し、曲線773は、曲線771および曲線772により示される特性インピーダンスの値により求められる、差動伝送線路651の差動インピーダンスの値を示す。さらに、点線774は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の上限を示し、点線775は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の下限を示す。
図28Aにおいて、0secから400psecまでの期間における、曲線771および曲線772の値は、HDMIコネクタ642のピンの特性インピーダンスの値を示している。また、400psecから1200psec付近までの期間における曲線771の値および曲線772の値は、差動伝送線路651の特性インピーダンスの値を示している。
また、0secから400psecまでの期間における、曲線773の値は、HDMIコネクタ642のピンの差動インピーダンスの値を示している。400psecから1200psec付近までの期間における曲線773の値は、差動伝送線路651の差動インピーダンスの値を示している。
さらに、0secから1200psecまでの期間における、曲線773により示される値の下限は100.2Ωであり、上限は109.7Ωとなっている。したがって、曲線773の各時刻における値は、各時刻における点線775により示される値(85Ω)以上であり、かつ各時刻における点線774により示される値(115Ω)以下であるので、差動伝送線路651は、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たしていることが分かる。
また、図28Bは、コントロール設定値を105Ωとし、差動伝送線路651上にランド665−1およびランド665−2を設けずにB1基板631を作成した場合における差動伝送線路651の過渡的な差動インピーダンスの測定結果を示している。なお、差動伝送線路651の幅は195μmとされ、差動伝送線路651−1と差動伝送線路651−2との間隔は205μmとされている。
図28Bにおいて、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線781および曲線782は、それぞれ差動伝送線路651−1および差動伝送線路651−2の特性インピーダンスの値を示し、曲線783は、曲線781および曲線782により示される特性インピーダンスの値により求められる、差動伝送線路651の差動インピーダンスの値を示す。さらに、点線784は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の上限を示し、点線785は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の下限を示す。
図28Bにおいて、0secから400psecまでの期間における、曲線781および曲線782の値は、HDMIコネクタ642のピンの特性インピーダンスの値を示している。また、400psecから1200psec付近までの期間における曲線781の値および曲線782の値は、差動伝送線路651の特性インピーダンスの値を示している。
また、0secから400psecまでの期間における、曲線783の値は、HDMIコネクタ642のピンの差動インピーダンスの値を示している。400psecから1200psec付近までの期間における曲線783の値は、差動伝送線路651の差動インピーダンスの値を示している。
さらに、0secから1200psecまでの期間における、曲線783により示される値の下限は102.9Ωであり、上限は107.8Ωとなっている。したがって、曲線783の各時刻における値は、各時刻における点線785により示される値(85Ω)以上であり、かつ各時刻における点線784により示される値(115Ω)以下であるので、差動伝送線路651は、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たしていることが分かる。
このように、HDMI基板の差動伝送線路のうち、他の差動伝送線路よりも差動伝送線路が長く、過渡的な差動インピーダンスの値が高い差動伝送線路には、擬似的なランドを設けることにより、その差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの値だけを低下させることができる。また、差動伝送線路に擬似的なランドを設けなくても差動伝送線路のコントロール設定値を変化させることで、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たすHDMI基板を作成することができる。
したがって、例えば、差動伝送線路が短くて過渡的な差動インピーダンスの値が低い場合には、差動伝送線路のコントロール設定値を上げることにより、HDMI基板の差動インピーダンスの値を調整し、HDMIの規格を満足するHDMI基板を作成することができる。
なお、以上においては、差動伝送線路に擬似的なランドを設けて所望する差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの値を低下させると説明したが、擬似的なランドに限らず、差動伝送線路のキャパシタンス成分を増加させるものであればよい。例えば、擬似的なランドではなく、擬似的なビアを差動伝送線路に設けることによっても、その差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスを低下させることができる。
ここで、擬似的なビアとは、プリント配線基板上に設けられたビアであって、実際にはそのビアが設けられている層の差動伝送線路と、他の層に設けられている差動伝送線路や部品などとを接続するためには用いられないビアをいう。また、擬似的なビアの大きさや形状も擬似的なランドにおける場合と同様に、どのような大きさ、形状であってもよく、その形状、大きさを変化させることでビアにおけるキャパシタンス成分の大きさを調整することができる。
ところで、バリスタには、インダクタンス成分を含む部品から構成されているものもあり、そのようなバリスタが差動伝送線路上に配置されている場合、その差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの上限値は、インダクタンス成分を含まないバリスタが配置された差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスよりも高くなる。
したがって、差動伝送線路にそのようなバリスタが配置されている場合には、コントロール設定値を低くすることにより、HDMIの過渡的な差動インピーダンスの規格を満足するHDMI基板を作成することができる。
図29は、差動伝送線路にインダクタンス成分を含む部品から構成されているバリスタが配置されたHDMI基板の配線の例を示す図である。
6層貫通基板であるB2基板831の第1層には、図29に示すようにIC841、HDMIコネクタ842、HDMIコネクタ843、抵抗844−1乃至抵抗844−8、抵抗845−1乃至抵抗845−8、バリスタ846−1乃至バリスタ846−4、およびバリスタ847−1乃至バリスタ847−4が配置されている。
差動伝送線路851−1乃至差動伝送線路854−2のそれぞれには、IC841のピンをB2基板831に接続するためのランド855−1乃至ランド855−8、およびHDMIコネクタ842をB2基板831に接続するためのランド856−1乃至ランド856−8のそれぞれが設けられている。
差動伝送線路851−1乃至差動伝送線路854−2のそれぞれのランド855−1乃至ランド855−8とランド856−1乃至ランド856−8との間には、抵抗844−1乃至抵抗844−8および静電気放電による損傷を防止するためのバリスタ846−1乃至バリスタ846−4のそれぞれが配置されている。
すなわち、IC841と接続されているランド855−1乃至ランド855−8のそれぞれには、抵抗844−1乃至抵抗844−8が接続されている。また、抵抗844−1および抵抗844−2のランド855−1およびランド855−2と接続されている端子とは異なる端子には、バリスタ846−1が接続されている。
また、抵抗844−3および抵抗844−4のランド855−3およびランド855−4と接続されている端子とは異なる端子には、バリスタ846−2が接続されており、抵抗844−5および抵抗844−6のランド855−5およびランド855−6と接続されている端子とは異なる端子には、バリスタ846−3が接続されており、抵抗844−7および抵抗844−8のランド855−7およびランド855−8と接続されている端子とは異なる端子には、バリスタ846−4が接続されている。
そして、バリスタ846−1はランド856−1およびランド856−2と接続されており、バリスタ846−2はランド856−3およびランド856−4と接続されている。また、バリスタ846−3はランド856−5およびランド856−6と接続されており、バリスタ846−4はランド856−7およびランド856−8と接続されている。
ここで、バリスタ846−1乃至バリスタ846−4のそれぞれは、インダクタンス成分を含む部品から構成されており、より詳細には2つのバリスタからなるパッケージとされている。したがって、例えば、バリスタ846−1を構成する1つのバリスタは、差動伝送線路851−1に接続されており、他方のバリスタは差動伝送線路851−2に接続されている。
なお、以下、差動伝送線路851−1および差動伝送線路851−2、差動伝送線路852−1および差動伝送線路852−2、差動伝送線路853−1および差動伝送線路853−2、並びに差動伝送線路854−1および差動伝送線路854−2のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に差動伝送線路851、差動伝送線路852、差動伝送線路853、および差動伝送線路854と称する。
同様に、差動伝送線路857−1乃至差動伝送線路860−2のそれぞれには、IC841のピンをB2基板831に接続するためのランド861−1乃至ランド861−8、およびHDMIコネクタ843をB2基板831に接続するためのランド862−1乃至ランド862−8のそれぞれが設けられている。
差動伝送線路857−1乃至差動伝送線路860−2のそれぞれのランド861−1乃至ランド861−8とランド862−1乃至ランド862−8との間には、抵抗845−1乃至抵抗845−8および静電気放電による損傷を防止するためのバリスタ847−1乃至バリスタ847−4のそれぞれが配置されている。
すなわち、IC841と接続されているランド861−1乃至ランド861−8のそれぞれには、抵抗845−1乃至抵抗845−8が接続されている。また、抵抗845−1および抵抗845−2のランド861−1およびランド861−2と接続されている端子とは異なる端子には、バリスタ847−1が接続されている。
また、抵抗845−3および抵抗845−4のランド861−3およびランド861−4と接続されている端子とは異なる端子には、バリスタ847−2が接続されており、抵抗845−5および抵抗845−6のランド861−5およびランド861−6と接続されている端子とは異なる端子には、バリスタ847−3が接続されており、抵抗845−7および抵抗845−8のランド861−7およびランド861−8と接続されている端子とは異なる端子には、バリスタ847−4が接続されている。
そして、バリスタ847−1はランド862−1およびランド862−2と接続されており、バリスタ847−2はランド862−3およびランド862−4と接続されている。また、バリスタ847−3はランド862−5およびランド862−6と接続されており、バリスタ847−4はランド862−7およびランド862−8と接続されている。
ここで、バリスタ847−1乃至バリスタ847−4のそれぞれは、インダクタンス成分を含む部品から構成されており、より詳細には2つのバリスタからなるパッケージとされている。
なお、以下、差動伝送線路857−1および差動伝送線路857−2、差動伝送線路858−1および差動伝送線路858−2、差動伝送線路859−1および差動伝送線路859−2、並びに差動伝送線路860−1および差動伝送線路860−2のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に差動伝送線路857、差動伝送線路858、差動伝送線路859、および差動伝送線路860と称する。
さらに、B2基板831では、差動伝送線路851−1における抵抗844−1とバリスタ846−1の間、差動伝送線路851−2における抵抗844−2とバリスタ846−1の間、差動伝送線路860−1における抵抗845−7とバリスタ847−4の間、および差動伝送線路860−2における抵抗845−8とバリスタ847−4の間には、それぞれ、擬似的なランドであるランド863−1乃至ランド864−2が設けられている。
次に、図30乃至図36を参照して、図29に示したB2基板831の各差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの特性について説明する。なお、図30乃至図36のそれぞれは、TDRシミュレーションにより求められたB2基板831の各差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの値を示しており、HDMIコネクタ842およびHDMIコネクタ843から各差動伝送線路には、立ち上がり時間および立下り時間が100psecであるステップ信号が仮想的に入力される。
また、図30乃至図36において、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。さらにB2基板831では、図9のステップS14における差動インピーダンスの目標とする値の範囲は70Ω以上120Ω以下とされる。
図29に示した擬似的なランド863−1乃至ランド864−2を設けずに、差動伝送線路851乃至差動伝送線路854、および差動伝送線路857乃至差動伝送線路860のそれぞれの差動インピーダンスの値(コントロール設定値)が120ΩとなるようにB2基板831を設計し、設計した回路の過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図30に示す結果が得られる。
図30において、曲線891乃至曲線898のそれぞれは、差動伝送線路851乃至差動伝送線路854および差動伝送線路857乃至差動伝送線路860のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線891乃至曲線898のそれぞれの値は、HDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線891乃至曲線898のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線891乃至曲線898の値は、それぞれHDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843を接続するためのランドからIC841までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
例えば、480psec付近から1.26nsec付近までの期間における曲線891の値は、ランド856−1およびランド856−2からIC841までの部分の差動伝送線路851の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線891乃至曲線898のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線891乃至曲線898の値のうち、最も小さい値は、1.04nsec付近における曲線894の値、すなわち79Ωであり、最も大きい値は、980psec付近における曲線898の値および1.02nsec付近における曲線891の値、すなわち141Ωとなっている。
したがって、図29に示すB2基板831の差動インピーダンスの下限の値は、図23に示したPQ基板531の差動インピーダンスの下限の値よりも大きい値となり、目標値の下限の値となる70Ωよりも大きい値となるが、B2基板831の差動インピーダンスの上限の値は、PQ基板531の差動インピーダンスの上限の値よりも大幅に高い値となっており、目標値の上限の値である120Ωを超える値となってしまう。
そこで、B2基板831の各差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの上限値が低くなるように、図29におけるバリスタ846−1乃至バリスタ846−4およびバリスタ847−1乃至バリスタ847−4のそれぞれをIC841により近くなる位置に移動させ、さらにB2基板831の各差動伝送線路のコントロール設定値が110ΩとなるようにB2基板831を設計し直して過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図31に示す結果が得られる。なお、図31における場合においても、B2基板831には擬似的なランド863−1乃至ランド864−2が設けられていないもとする。
図31において、曲線911乃至曲線918のそれぞれは、差動伝送線路851乃至差動伝送線路854および差動伝送線路857乃至差動伝送線路860のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線911乃至曲線918のそれぞれの値は、HDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線911乃至曲線918のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線911乃至曲線918の値は、それぞれHDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843を接続するためのランドからIC841までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線911乃至曲線918のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線911乃至曲線918の値のうち、最も小さい値は、1.04nsec付近における曲線914の値、すなわち76Ωであり、最も大きい値は、1.0nsec付近における曲線918の値すなわち、132Ωとなっている。
したがって、B2基板831の過渡的な差動インピーダンスの値は、目標値の下限の値となる70Ωよりも大きい値となるが、B2基板831の過渡的な差動インピーダンスの上限の値は、目標値の上限の値である120Ωを超える値となってしまう。また、1.02nsec付近における曲線911の値は129Ω程度であり、1.0nsec付近における曲線917の値も126Ω程度であるので、目標値の上限の値である120Ωを超える値となっており、さらに過渡的な差動インピーダンスの上限の値を下げる必要がある。
次に、B2基板831の各差動伝送線路のコントロール設定値を110Ωのままとし、目標値の上限の値である120Ωを超えた、曲線917に対応する差動伝送線路859に設けられているバリスタ847−3を、さらに図29においてよりIC841に近づくようにその位置を移動させる。
さらに、目標値の上限の値である120Ωを超えた曲線911および曲線918のそれぞれに対応する差動伝送線路851および差動伝送線路860に、それぞれ擬似的なランド863−1およびランド863−2、並びにランド864−1およびランド864−2を設けてB2基板831を設計し直し、過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図32に示す結果が得られる。
図32において、曲線931乃至曲線938のそれぞれは、差動伝送線路851乃至差動伝送線路854および差動伝送線路857乃至差動伝送線路860のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線931乃至曲線938のそれぞれの値は、HDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線931乃至曲線938のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線931乃至曲線938の値は、それぞれHDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843を接続するためのランドからIC841までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線931乃至曲線938のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線931乃至曲線938の値のうち、最も小さい値は、1.04nsec付近における曲線934の値、すなわち76Ωであり、最も大きい値は、940psec付近における曲線932の値および1.0nsec付近における曲線937の値、すなわち121Ωとなっている。
したがって、B2基板831の過渡的な差動インピーダンスの値は、目標値の上限の値である120Ωを超える値となってしまうため、目標値の上限の値を超えた曲線932および曲線937に対応する差動伝送線路852および差動伝送線路859の過渡的な差動インピーダンスの上限の値をさらに下げる必要がある。
そこで、差動伝送線路852および差動伝送線路859の過渡的な差動インピーダンスの上限値が低くなるように、図29におけるバリスタ846−2およびバリスタ847−3をIC841により近くなる位置に移動させ、さらに差動伝送線路860の長さが短くなるようにB2基板831を設計し直して過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図33に示す結果が得られる。なお、図33における場合においても、コントロール設定値は110Ωのままとされ、B2基板831には擬似的なランド863−1乃至ランド864−2が設けられているものとする。
図33において、曲線951乃至曲線958のそれぞれは、差動伝送線路851乃至差動伝送線路854および差動伝送線路857乃至差動伝送線路860のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。また、曲線959は、差動伝送線路860に擬似的なランド864−1およびランド864−2を設けずに、その差動伝送線路860の長さを短くした場合における差動伝送線路860の過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線951乃至曲線959のそれぞれの値は、HDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線951乃至曲線959のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線951乃至曲線959の値は、それぞれHDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843を接続するためのランドからIC841までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線951乃至曲線958のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線951乃至曲線958の値のうち、最も小さい値は、1.04nsec付近における曲線954の値、すなわち76Ωであり、最も大きい値は、940psec付近における曲線952の値および1.0nsec付近における曲線957の値、すなわち119Ω程度となっている。
したがって、B2基板831の過渡的な差動インピーダンスの値は、目標値の上限の値である120Ωよりも低い値となるが、図23に示したPQ基板531の差動インピーダンスの上限の値よりも3Ω程度高い値となっている。また、差動伝送線路860に擬似的なランド864−1およびランド864−2を設けない場合には、曲線959に示されるように、差動伝送線路860の過渡的な差動インピーダンスの上限の値は130Ω程度となり、目標値の上限の値である120Ωを大幅に超えてしまう。
そこで、B2基板831の各差動伝送線路のコントロール設定値が105ΩとなるようにB2基板831を設計し直して過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図34に示す結果が得られる。なお、図34における場合において、B2基板831には擬似的なランド863−1乃至ランド864−2が設けられているもとする。
図34において、曲線971乃至曲線978のそれぞれは、差動伝送線路851乃至差動伝送線路854および差動伝送線路857乃至差動伝送線路860のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線971乃至曲線978のそれぞれの値は、HDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線971乃至曲線978のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線971乃至曲線978の値は、それぞれHDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843を接続するためのランドからIC841までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線971乃至曲線978のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線971乃至曲線978の値のうち、最も小さい値は、1.04nsec付近における曲線974の値、すなわち76Ωであり、最も大きい値は、1.0nsec付近における曲線977の値、すなわち122Ωとなっている。
したがって、B2基板831の過渡的な差動インピーダンスの値は、目標値の上限の値である120Ωを超える値となってしまい、また図23に示したPQ基板531の差動インピーダンスの上限の値よりも6Ω程度高い値となっている。
目標値の上限の値を超えた曲線977により示される差動伝送線路859の過渡的な差動インピーダンスの上限の値をさらに下げるために、図29におけるバリスタ847−3をIC841により近くなる位置にさらに移動させて過渡的な差動インピーダンスの値をTDRシミュレーションにより求めると、例えば、図35に示す結果が得られる。
なお、図35における場合において、コントロール設定値は105Ωのままとされ、B2基板831には擬似的なランド863−1乃至ランド864−2が設けられているものとする。また、差動伝送線路860の長さも図33における場合と同様にその長さが短くされたままとする。
図35において、曲線991乃至曲線998のそれぞれは、差動伝送線路851乃至差動伝送線路854および差動伝送線路857乃至差動伝送線路860のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。また、曲線999は、差動伝送線路860に擬似的なランド864−1およびランド864−2を設けずに、その差動伝送線路860の長さを短くした場合における差動伝送線路860の過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線991乃至曲線999のそれぞれの値は、HDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線991乃至曲線999のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線991乃至曲線999の値は、それぞれHDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843を接続するためのランドからIC841までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線991乃至曲線998のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線991乃至曲線998の値のうち、最も小さい値は、1.04nsec付近における曲線994の値、すなわち76Ωであり、最も大きい値は、940psec付近における曲線992の値、すなわち116Ω程度となっている。
このように、コントロール設定値を105Ωとすることで、B2基板831の各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を、目標とする値の範囲である70Ω以上120Ω以下の範囲内の値とすることができ、実際に作成するB2基板831は、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たすと見込むことができる。
また、差動伝送線路860に擬似的なランド864−1およびランド864−2を設けない場合には、曲線999に示されるように、差動伝送線路860の過渡的な差動インピーダンスの上限の値は128Ω程度となり、目標値の上限の値である120Ωを大幅に超えてしまうが、差動伝送線路860に擬似的なランド864−1およびランド864−2を設けることにより、曲線998に示すように、その上限の値を113Ω程度に抑えることができる。
また、図29に示したB2基板831においてHDMIコネクタ842およびHDMIコネクタ843を異なる形状のHDMIコネクタに変えると、B2基板831の過渡的な差動インピーダンスの値も変化する。
図36は、図29に示したHDMIコネクタ842およびHDMIコネクタ843を、異なる形状のHDMIコネクタに変えた場合におけるB2基板831の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。
なお、図36における場合において、コントロール設定値は105Ωとされ、図29におけるバリスタ846−2、バリスタ847−2、およびバリスタ847−3はIC841により近くなる位置に移動されているものとする。また、差動伝送線路860の長さも図33における場合と同様にその長さが短くされ、B2基板831には擬似的なランド863−1乃至ランド864−2が設けられているものとする。
図36において、曲線1021乃至曲線1028のそれぞれは、差動伝送線路851乃至差動伝送線路854および差動伝送線路857乃至差動伝送線路860のそれぞれの過渡的な差動インピーダンスの値を示している。
100psecから480psec付近までの期間における、曲線1021乃至曲線1028のそれぞれの値は、HDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。
また、480psec付近から曲線1021乃至曲線1028のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線1021乃至曲線1028の値は、それぞれHDMIコネクタ842またはHDMIコネクタ843を接続するためのランドからIC841までの各差動伝送線路の差動インピーダンスの値を示している。
480psec付近から曲線1021乃至曲線1028のそれぞれの値が急激に増加し続ける付近までの期間における曲線1021乃至曲線1028の値のうち、最も小さい値は、1.04nsec付近における曲線1023の値、すなわち75Ωであり、最も大きい値は、940psec付近における曲線1027の値、すなわち122Ω程度となっている。
また、900psec付近における曲線1025の値、および曲線1023の値も120Ω程度となっており、HDMIコネクタの影響でB2基板831の過渡的な差動インピーダンスの特性が悪化したことが分かる。
このように、HDMIコネクタなどの部品を変え場合には、上述したようにコントロール設定値、各部品の位置、擬似的なランドの配置などを変化させてB2基板831の設計を行うことにより、B2基板831をHDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たすものとすることができる。
図37は、図29に示したB2基板831を実際に作成して、TDR法によりその差動伝送線路860の過渡的な差動インピーダンスを測定した結果を示している。なお、図37における場合、HDMIコネクタ843から差動伝送線路860には、立ち上がり時間および立ち下がり時間が200psecであるステップ信号が入力される。
図37Aは、コントロール設定値を110Ωとし、差動伝送線路860上に擬似的なランド864−1およびランド864−2が設けられるようにB2基板831を作成した場合における差動伝送線路860の過渡的な差動インピーダンスの測定結果を示している。なお、差動伝送線路860の幅は175μmとされ、差動伝送線路860−1と差動伝送線路860−2との間隔は225μmとされている。
図37Aにおいて、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線1051および曲線1052は、それぞれ差動伝送線路860−1および差動伝送線路860−2の特性インピーダンスの値を示し、曲線1053は、曲線1051および曲線1052により示される特性インピーダンスの値により求められる、差動伝送線路860の差動インピーダンスの値を示す。さらに、点線1054は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の上限を示し、点線1055は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の下限を示す。
図37Aにおいて、0secから400psecまでの期間における、曲線1051および曲線1052の値は、HDMIコネクタ843のピンの特性インピーダンスの値を示している。また、400psecから1200psec付近までの期間における曲線1051の値および曲線1052の値は、差動伝送線路860の特性インピーダンスの値を示している。
また、0secから400psecまでの期間における、曲線1053の値は、HDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。400psecから1200psec付近までの期間における曲線1053の値は、差動伝送線路860の差動インピーダンスの値を示している。
さらに、0secから1200psecまでの期間における、曲線1053により示される値の下限は92.5Ωであり、上限は102.9Ωとなっている。したがって、曲線1053の各時刻における値は、各時刻における点線1055により示される値(85Ω)以上であり、かつ各時刻における点線1054により示される値(115Ω)以下であるので、差動伝送線路860は、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たしていることが分かる。
また、図37Bは、コントロール設定値を115Ωとし、差動伝送線路860上にランド864−1およびランド864−2を設けずにB2基板831を作成した場合における差動伝送線路860の過渡的な差動インピーダンスの測定結果を示している。
図37Bにおいて、縦軸は差動インピーダンスの大きさを示し、横軸は時間を示している。また、曲線1061および曲線1062は、それぞれ差動伝送線路860−1および差動伝送線路860−2の特性インピーダンスの値を示し、曲線1063は、曲線1061および曲線1062により示される特性インピーダンスの値により求められる、差動伝送線路860の差動インピーダンスの値を示す。さらに、点線1064は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の上限を示し、点線1065は、HDMIのコンプライアンステストの規格により定められた、各時刻における過渡的な差動インピーダンスの値の下限を示す。
図37Bにおいて、0secから400psecまでの期間における、曲線1061および曲線1062の値は、HDMIコネクタ843のピンの特性インピーダンスの値を示している。また、400psecから1200psec付近までの期間における曲線1061の値および曲線1062の値は、差動伝送線路860の特性インピーダンスの値を示している。
また、0secから400psecまでの期間における、曲線1063の値は、HDMIコネクタ843のピンの差動インピーダンスの値を示している。400psecから1200psec付近までの期間における曲線1063の値は、差動伝送線路860の差動インピーダンスの値を示している。
さらに、0secから1200psecまでの期間における、曲線1063により示される値の下限は94.4Ωであり、上限は106Ωとなっている。したがって、曲線1063の各時刻における値は、各時刻における点線1065により示される値(85Ω)以上であり、かつ各時刻における点線1064により示される値(115Ω)以下であるので、差動伝送線路860は、HDMIのコンプライアンステストにおける過渡的な差動インピーダンスの規格を満たしていることが分かる。
また、1つの差動伝送線路の幅を部分的に変化させたり、差動伝送線路と差動伝送線路との間隔を部分的に変化させたりすることにより、プリント配線基板の差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの値を調整することも可能であるが、そのような場合には、集合基板に差動伝送線路の幅や差動伝送線路どうしの間隔の異なる複数の擬似回路パターンを配置してプリント配線基板が良品であるか否かの判定を行う必要があり、管理コストがかかってしまうことになる。
なお、以上においては、差動伝送線路の場合における例について説明したが、TMDSライン、すなわちTMDS方式の信号を伝送する差動伝送線路をシングルエンドの伝送線路として扱う場合においても、伝送線路のコントロール設定値を変化させたり、伝送線路に擬似的なランドを設けたりすることで特性インピーダンスの値を調整し、規格を満たすプリント配線基板をより迅速に製造することができる。
TMDSラインをシングルエンドの伝送線路として扱う場合、例えば、特性インピーダンスが50Ωとなり、伝送線路どうしの間隔が500μmとなるようにして伝送線路がプリント配線基板上に配置(配線)されるため、実装面積は増えるが差動伝送線路特有のペア間結合をなくし、特性インピーダンスのばらつきをより低減させることができる。
また、プリント配線基板の絶縁層の厚み(信号配線層とインピーダンスコントロールする電源グランド層との距離)を薄くすると、差動伝送線路においては差動インピーダンスにばらつきが生じるが、シングルエンドの伝送線路においては、絶縁層の厚みを薄くしても特性インピーダンスのばらつきをある程度抑えることができる。
このようなプリント配線基板として、例えば、6層基板であるB1基板631では、絶縁層の厚みを210μmとし、差動インピーダンス(コントロール設定値)を105Ω乃至120Ωとすることができ、4層基板であるPQ基板531では、絶縁層の厚みを113μmとし、差動インピーダンスを105Ω乃至120Ωとすることができる。また、4層基板であるプリント配線基板において、TMDSラインをシングルエンドの伝送線路として扱う場合には、例えば、絶縁層の厚みを75μmとし、伝送線路の幅を125μmとし、特性インピーダンスを50Ωとすることができる。
以上のように、本発明によれば、プリント配線基板上に各部品が配置された場合に、プリント配線基板が予め定められた規格を満たすと見込まれる差動インピーダンスの値を考慮して、コントロール設定値を設定し、予め定められた規格を満たすプリント配線基板(プロトタイプ)とともに作成された擬似回路パターンの差動インピーダンスの測定値を、製造したプリント配線基板が良品であるか否かの判定に用いるようにしたので、プリント配線基板の試作を何度も繰り返すことなく、プリント配線基板をより迅速に製造することができる。
なお、DVIまたはHDMIに準拠するプリント配線基板の過渡的な差動インピーダンスの低下を抑制し、プリント配線基板をより迅速に製造することができると説明したが、経験的に得られた差動インピーダンスの値を考慮して、コントロール設定値を設定することにより、LVDS(Low Voltage Differencial Signaling)、USB(Universal Serial Bus)、i.LINK(IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394)、PCI Expressなどの規格に準拠したプリント配線基板の差動伝送線路の過渡的な差動インピーダンスの低下を抑制して信号品質を改善し、プリント配線基板をより迅速に製造することももちろん可能である。また、差動インピーダンスに限らず、経験的に得られた特性インピーダンスの値を考慮して、コントロール設定値としての特性インピーダンスの値を設定することにより、例えば、周波数帯域が500MHz乃至10GHz程度であるプリント配線基板のシングルエンド信号の伝送線路の特性インピーダンスの低下を抑制することも可能である。
本発明を適用した分離型のテレビジョン受像機の構成例を示す図である。 TX基板が含まれている集合基板を説明するための図である。 TX基板の第1層に配置される部品の一例を説明するための図である。 TX基板の第4層に配置される部品の一例を説明するための図である。 TX基板の差動伝送線路上に配置されている各部品の一例を説明するための図である。 RX基板が含まれている集合基板を説明するための図である。 RX基板の第1層に配置される部品の一例を説明するための図である。 RX基板の第6層に配置される部品の一例を説明するための図である。 設計の処理を説明するフローチャートである。 TDRシミュレーションにおいて、プリント配線基板に入力されるステップ信号を説明するための図である。 TDRシミュレーションにより求めた、TX基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、RX基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDR法によるプリント配線基板の差動インピーダンスの測定系の一例を示す図である。 TDR法によるプリント配線基板の特性インピーダンスの測定を説明するための図である。 TDR法によるTX基板の差動インピーダンスの測定結果を示す図である。 TDR法によるRX基板の差動インピーダンスの測定結果を示す図である。 従来のTX基板およびRX基板のアイパターンを示す図である。 図1のTX基板およびRX基板のアイパターンを示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、HDMI基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDR法によるHDMI基板の差動インピーダンスの測定結果を示す図である。 製造の処理を説明するフローチャートである。 PQ基板の第1層の配線例を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、PQ基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 B1基板の第1層の配線例を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B1基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B1基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B1基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDR法によるB1基板の差動インピーダンスの測定結果を示す図である。 B2基板の第1層の配線例を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B2基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B2基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B2基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B2基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B2基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B2基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDRシミュレーションにより求めた、B2基板の過渡的な差動インピーダンスの値を示す図である。 TDR法によるB2基板の差動インピーダンスの測定結果を示す図である。
符号の説明
11 メディアレシーバ, 12 ディスプレイ, 21 TX基板, 22 IC,
23 DVIコネクタ, 28 RX基板, 29 DVIコネクタ, 30 IC, 51 集合基板, 52 擬似回路パターン, 151 集合基板, 152 擬似回路パターン

Claims (10)

  1. プリント配線基板を製造する製造方法において、
    所定の規格に基づいて定められた、前記プリント配線基板の伝送線路の第1の特性を示す値よりも大きい値であって、前記プリント配線基板上に所定の部品が配置された場合に、前記プリント配線基板が前記規格を満たすと見込まれる前記第1の特性を示す値に基づいて、前記プリント配線基板の回路および版下を設計し、
    設計した前記版下を用いて、所定の集合基板上に、基準となる前記プリント配線基板である基準プリント配線基板と、基準となる前記第1の特性を示す値を測定するための擬似回路パターンである基準擬似回路パターンとが近接して配置されるように、前記基準プリント配線基板および前記基準擬似回路パターンを作成し、
    作成された前記基準擬似回路パターンの前記第1の特性を示す値を測定し、
    前記基準プリント配線基板が前記規格を満たす場合、新たに前記プリント配線基板および前記擬似回路パターンを製造して、新たに製造した前記擬似回路パターンの前記第1の特性を示す値を測定し、
    新たに製造した前記擬似回路パターンの前記第1の特性を示す値が、測定された前記基準擬似回路パターンの前記第1の特性を示す値に基づいて定められた所定の範囲内の値であるか否かを判定することにより、製造された前記プリント配線基板が、前記規格を満たす良品であるか否かを検査する
    製造方法。
  2. 前記第1の特性を示す値は、前記プリント配線基板の伝送線路の特性インピーダンスまたは差動インピーダンスである
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記伝送線路上に、前記伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分を設けることにより、前記プリント配線基板の前記伝送線路の前記第1の特性を示す値を低下させる
    請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分として、擬似的なランドまたはビアを設ける
    請求項3に記載の製造方法。
  5. 設計した前記基準プリント配線基板の前記伝送線路における、過渡的な前記第1の特性の値をTDR(Time Domain Reflectometry)シミュレーションにより求め、
    求められた過渡的な前記第1の特性の値が、予め定められた所定の範囲内の値である場合、設計した前記版下を用いて前記基準プリント配線基板および前記基準擬似回路パターンを作成し、求められた過渡的な前記第1の特性の値が、予め定められた所定の範囲の値でない場合、前記プリント配線基板の回路および版下を設計し直す
    請求項1に記載の製造方法。
  6. 配置される部品を相互に接続する伝送線路が設けられたプリント配線基板であって、所定の集合基板上に、前記伝送線路の第1の特性を示す値を測定するための擬似回路パターンと接近するように配置されて製造されたプリント配線基板において、
    所定の規格に基づいて定められた、前記伝送線路の前記第1の特性を示す値よりも大きい値であって、前記部品が配置された場合に前記規格を満たすと見込まれる前記第1の特性を示す値に基づいて回路および版下が設計され、
    前記版下が用いられて予め作成された基準となる基準プリント配線基板であって、前記規格を満たす基準プリント配線基板とともに作成された、前記基準プリント配線基板の前記第1の特性を示す値を測定するための基準擬似回路パターンの前記第1の特性を示す値に基づいて定められた所定の範囲内の値に、前記擬似回路パターンの前記第1の特性を示す値がなるように製造された
    プリント配線基板。
  7. 前記第1の特性を示す値は、前記プリント配線基板の伝送線路の特性インピーダンスまたは差動インピーダンスである
    請求項6に記載のプリント配線基板。
  8. 前記プリント配線基板の前記伝送線路の前記第1の特性を示す値を低下させるように、前記伝送線路上に前記伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分が設けられている
    請求項7に記載のプリント配線基板。
  9. 前記伝送線路のキャパシタンス成分を増加させる部分として、擬似的なランドまたはビアが設けられている
    請求項8に記載のプリント配線基板。
  10. 前記プリント配線基板の回路および版下は、TDRシミュレーションにより求められた前記伝送線路における過渡的な前記第1の特性の値が予め定められた所定の範囲の値でない場合、設計し直される
    請求項6に記載のプリント配線基板。
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