JP2007035776A - 露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板を良好に露光することができる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、露光光の光路Kに液体LQを供給する供給口8と、液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する捕集装置70とを備えている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、液体を介して基板を露光する露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法に関するものである。
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置において、下記特許文献に開示されているような、露光光の光路を液体で満たし、その液体を介して基板を露光する液浸露光装置が案出されている。
国際公開第99/49504号パンフレット
基板上にパターンを形成するために液体を介して基板を露光する際、露光光の光路に満たされる液体中に気泡が存在すると、基板上に形成されるパターンに欠陥が生じる等、露光不良が発生し、製造されるデバイスの性能の劣化をもたらす可能性がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、基板を良好に露光することができる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。また、所望の性能を有するデバイスを製造できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の第1の態様に従えば、基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、露光光(EL)の光路(K)に液体(LQ)を供給する供給口(8)と、液体(LQ)中に存在する帯電した気泡を捕集する捕集装置(70)と、を備えた露光装置(EX)が提供される。
本発明の第1の態様によれば、液体中に存在する帯電した気泡を捕集する捕集装置を設けたので、液体中に帯電した気泡が生成された場合でも、その帯電した気泡に起因する露光不良の発生を抑え、基板を良好に露光することができる。
本発明の第2の態様に従えば、基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光装置において、露光光(EL)の光路(K)に液体(LQ)を供給する供給口(8)と、液体(LQ)中の気泡に帯電している電気を取り除く除電装置(70)と、を備えた露光装置(EX)が提供される。
本発明の第2の態様によれば、液体中の気泡に帯電している電気を取り除く除電装置を設けたので、液体中に帯電した気泡が生成された場合でも、その気泡の残留を抑制することができる。したがって、気泡に起因する露光不良の発生を抑え、基板を良好に露光することができる。
本発明の第3の態様に従えば、上記態様の露光装置(EX)を用いるデバイス製造方法が提供される。
本発明の第3の態様によれば、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
本発明の第4の態様に従えば、基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光方法において、露光光(EL)の光路(K)に液体(LQ)を供給する動作と、液体(LQ)中に存在する帯電した気泡を捕集する動作と、を含む露光方法が提供される。
本発明の第4の態様によれば、液体中に存在する帯電した気泡を捕集することによって、液体中に帯電した気泡が生成された場合でも、その帯電した気泡に起因する露光不良の発生を抑え、基板を良好に露光することができる。
本発明の第5の態様に従えば、基板(P)上に露光光(EL)を照射して基板(P)を露光する露光方法において、露光光(EL)の光路(K)に液体(LQ)を供給する動作と、液体(LQ)中の気泡に帯電している電気を取り除く動作と、を含む露光方法が提供される。
本発明の第5の態様によれば、液体中の気泡に帯電している電気を取り除くことで、液体中に気泡が生成された場合でも、その気泡の残留を抑制することができる。したがって、気泡に起因する露光不良の発生を抑え、基板を良好に露光することができる。
本発明の第6の態様に従えば、上記態様の露光方法を用いるデバイス製造方法が提供される。
本発明の第6の態様によれば、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
本発明によれば、液体中の気泡に起因する露光不良を抑制し、基板を良好に露光することができる。また、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ3と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ4と、マスクステージ3に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板P上に投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。なお、ここでいう基板は半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)を塗布したものを含み、マスクは基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。なお、本実施形態においては、マスクとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いてもよい。
第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ3と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ4と、マスクステージ3に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板P上に投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。なお、ここでいう基板は半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)を塗布したものを含み、マスクは基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。なお、本実施形態においては、マスクとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いてもよい。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLの像面側の露光光ELの光路Kを液体LQで満たす液浸システム1を備えている。液浸システム1の動作は制御装置7に制御される。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板Pに投影している間、液浸システム1を用いて、露光光ELの光路Kを液体LQで満たす。露光装置EXは、投影光学系PLと光路Kに満たされた液体LQとを介してマスクMを通過した露光光ELを基板P上に照射することによって、マスクMのパターン像を基板P上に投影して、基板Pを露光する。また、本実施形態の露光装置EXは、光路Kに満たされた液体LQが、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部の領域に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する局所液浸方式を採用している。
なお、本実施形態においては、主に液浸領域LRは基板P上に形成される場合について説明するが、投影光学系PLの像面側において、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子FLと対向する位置に配置された物体上、例えば基板ステージ4の一部等にも形成可能である。
また、本実施形態の露光装置EXは、液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する捕集装置70を備えている。捕集装置70は、露光光ELの光路Kに供給される液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する。
照明光学系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明するものである。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージ3は、リニアモータ等のアクチュエータを含むマスクステージ駆動装置3Dの駆動により、マスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。マスクステージ3(ひいてはマスクM)の位置情報はレーザ干渉計3Lによって計測される。レーザ干渉計3Lはマスクステージ3上に設けられた移動鏡3Kを用いてマスクステージ3の位置情報を計測する。制御装置7は、レーザ干渉計3Lの計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置3Dを駆動し、マスクステージ3に保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターン像を所定の投影倍率で基板Pに投影するものであって、複数の光学素子を有しており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。また本実施形態においては、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、最終光学素子FLのみが光路Kの液体LQと接触するように設けられている。
基板ステージ4は、基板Pを保持する基板ホルダ4Hを有しており、ベース部材BP上で、基板ホルダ4Hに基板Pを保持して移動可能である。基板ホルダ4Hは、基板ステージ4上に設けられた凹部4Rに配置されており、基板ステージ4のうち凹部4R以外の上面4Fは、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面となっている。なお、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの表面と基板ステージ4の上面4Fとの間に段差があってもよい。
基板ステージ4は、リニアモータ等のアクチュエータを含む基板ステージ駆動装置4Dの駆動により、基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージ4(ひいては基板P)の位置情報はレーザ干渉計4Lによって計測される。レーザ干渉計4Lは基板ステージ4に設けられた移動鏡4Kを用いて基板ステージ4のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、基板ステージ4に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、不図示のフォーカス・レベリング検出系によって検出される。制御装置7は、レーザ干渉計4Lの計測結果及びフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて基板ステージ駆動装置4Dを駆動し、基板ステージ4に保持されている基板Pの位置制御を行う。
次に、液浸システム1について説明する。液浸システム1は、投影光学系PLの最終光学素子FLと、その最終光学素子FLに対向する位置に配置された基板Pとの間の露光光ELの光路Kを液体LQで満たすことができる。本実施形態においては、液体LQとして水を用いる。
液浸システム1は、露光光ELの光路Kに対して所定位置に設けられ、露光光ELの光路Kに液体LQを供給する供給口8、及び液体LQを回収する回収口9を有するノズル部材6と、供給口8に液体LQを供給する液体供給系10と、回収口9を介して液体LQを回収する液体回収系20とを備えている。制御装置7は、液浸システム1を制御して、供給口8を介した液体LQの供給動作と回収口9を介した液体LQの回収動作とを並行して行うことで、露光光ELの光路Kを液体LQで満たし、基板P上の一部の領域に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。
液体供給系10は、供給管13を介して供給口8に液体LQを供給する液体供給装置11を備えている。ノズル部材6の内部には、供給口8と供給管13とを接続する内部流路(供給流路)が形成されており、液体供給装置11は、供給管13及びノズル部材6の供給流路を介して供給口8に清浄で温度調整された液体LQを供給することができる。
液体回収系20は、ノズル部材6の回収口9、及び回収管23を介して液体LQを回収する液体回収装置21を備えている。ノズル部材6の内部には、回収口9と回収管23とを接続する内部流路(回収流路)が形成されており、真空ポンプ等の真空系(吸引装置)を含む液体回収装置21は、ノズル部材6の回収流路及び回収管23を介して回収口9から液体LQを回収することができる。
ノズル部材6は、投影光学系PLの最終光学素子FLを囲むように環状に形成されている。供給口8は、投影光学系PLの最終光学素子FL(光路K)を囲むように、ノズル部材6の複数の所定位置のそれぞれに設けられている。回収口9は、ノズル部材6において、最終光学素子FLに対して供給口8よりも外側に設けられており、最終光学素子FL及び供給口8を囲むように環状に設けられている。
なお、本実施形態においては、回収口9には、例えばチタン製のメッシュ部材、あるいはセラミックス製の多孔体等からなる多孔部材9Tが配置されている。
図2は液体供給装置11を示す概略構成図である。液体供給装置11は、超純水を製造する超純水製造装置15と、供給する液体LQ中の気体成分を低減する脱気装置16と、供給する液体LQの温度を調整する温度調整装置18とを備えており、清浄で温度調整された液体LQを供給可能である。
超純水製造装置15は、水を精製して超純水を製造する。超純水製造装置15で製造された超純水は、脱気装置16で脱気される。脱気装置16は、液体LQ(超純水)を脱気して、液体LQ中の溶存気体濃度(溶存酸素濃度、溶存窒素濃度)を低下させる。温度調整装置18は、光路Kに供給される液体LQの温度調整を行うものであって、液体LQの温度調整を行った後、その温度調整された液体LQを供給管13に送出する。温度調整装置18は、供給する液体LQの温度を、露光装置が収容されているチャンバ(不図示)内の温度とほぼ同じ値に調整する。
なお、液体供給系10の少なくとも一部を構成する機器、例えば超純水製造装置等を、露光装置EXが設置される工場等の設備で代用してもよい。同様に、液体回収系20の少なくとも一部を構成する機器、例えば真空系等を、露光装置EXが設置される工場等の設備で代用してもよい。また、液体供給装置11が、液体LQ中の異物(particle)を取り除くフィルタユニットを備えていてもよい。
供給管13は、ノズル部材6の内部に形成された内部流路8Lを介して供給口8と接続されている。本実施形態においては、供給管13は、例えばPTFE(ポリテトラフロエラエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)などのフッ素系樹脂を含む絶縁材料によって形成されている。これらの材料は、液体(水)LQに不純物(汚染物質)を溶出し難い材料、すなわち液体(水)を汚染し難い材料であるため、供給管13を流れる液体LQは、汚染されることなく、供給口8に供給される
また、露光装置EXは、液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する捕集装置70を備えている。捕集装置70は、供給口8から露光光ELの光路Kに供給される前の液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する。本実施形態においては、捕集装置70は、供給管13において、液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する。
図3は捕集装置70を示す図である。捕集装置70は、供給管13の途中の所定位置に設けられている。捕集装置70は、供給管13の内側の所定位置に配置された第1電極71と、供給管13の内側において第1電極71と対向する位置に配置された第2電極72とを備えている。すなわち、第1電極71及び第2電極72のそれぞれは、供給管13を流れる液体LQ中に配置されている。第1電極71及び第2電極72のそれぞれは、例えば金、白金等、液体(水)LQに汚染物質をほぼ溶出しない金属、換言すれば液体LQに与える影響が少ない金属によって構成されている。
捕集装置70は、第1電極71及び第2電極72に接続され、第1電極71及び第2電極72に電位を印加する直流電源73を備えている。直流電源73によって、第1電極71及び第2電極72の一方にプラスの電位が印加され、他方にマイナスの電位が印加される。したがって、互いに対向する第1電極71と第2電極72との間の液体LQ中には、第1電極71及び第2電極72の一方から他方へ向かう電場が生成される。
図3に示すように、供給管13を流れる液体LQ中に存在する気泡が帯電している場合、その帯電した気泡は、電場が生成されている第1電極71と第2電極72との間を流れることによって、第1電極71及び第2電極72の少なくともいずれか一方に移動し、第1電極71及び第2電極72の少なくともいずれか一方に捕集される。このように、第1電極71及び第2電極72を有する捕集装置70は、液体LQ中に電場を生成し、その生成した電場を用いて、帯電した気泡を第1電極71及び第2電極72の少なくともいずれか一方に捕集することができる。
図3においては、第1電極71にはプラスの電位が印加され、第2電極72にはマイナスの電位が印加され、第1電極71から第2電極72に向かう方向に電場が生成されている。また、気泡はマイナスに帯電しており、第1電極71と第2電極72との間の液体LQ中に存在する気泡は、第1電極71側に移動し、第1電極71に捕集される。なお、本実施形態の第1電極71及び第2電極72のそれぞれは板状部材によって構成されており、電場が生成される領域の増大を図っている。
また、帯電している気泡は、第1電極71及び第2電極72の少なくともいずれか一方側に移動し、その第1電極71及び第2電極72のいずれか一方と接触することにより、電気的に中和され、帯電している電気(静電気)が取り除かれる。すなわち、捕集装置70は、捕集した気泡に帯電している電気(静電気)を取り除く(除電する)ことができる。
以下の説明においては、帯電している気泡を電気的に中和して、その気泡に帯電している電気(静電気)を取り除くことを適宜、除電と称する。したがって、上述の捕集装置70は、液体LQ中の気泡に帯電している電気を取り除く除電装置として機能する。
図4は脱気装置16の一例を示す概略構成図である。脱気装置16は、ハウジング171と、ハウジング171の内部に収容された筒状の中空糸束172とを備えている。ハウジング171の内壁と中空糸束172との間には所定空間173が設けられている。中空糸束172は、ストロー状の中空糸膜174の複数を平行に束ねたものである。中空糸膜174は、疎水性が高く気体透過性に優れた素材(例えば、ポリ4メチルペンテン1)で形成されている。ハウジング171の両端には真空キャップ部材175a、175bが固定されている。真空キャップ部材175a、175bは、ハウジング171の両端外側に密閉空間176a、176bを形成する。真空キャップ部材175a、175bには、不図示の真空ポンプに接続された脱気口177a、177bが設けられている。また、ハウジング171の両端には、封止部材178a、178bが設けられている。封止部材178a、178bは、中空糸束172の両端のみが密閉空間176a、176bに連結されるように、その中空糸束172を保持している。脱気口177a、177bに接続された真空ポンプは、それぞれの中空糸膜174の内側を減圧状態にすることができる。中空糸束172の内部には、超純水製造装置15に接続された管179が配置されている。管179には複数の液体供給穴180が設けられており、封止部材178a、178b及び中空糸束172で囲まれた空間181には、液体供給穴180から液体LQが供給される。液体供給穴180から空間181に液体LQが供給されると、その液体LQは、平行に束ねられた中空糸膜174の層を横切るように外側へ向かって流れ、中空糸膜174の外表面と接触する。上述のように、中空糸膜174のそれぞれは、疎水性が高く気体透過性に優れた素材で形成されているので、液体LQは中空糸膜174の内側に入ることなく、各中空糸膜174の間を通って中空糸束172の外側の空間173に移動する。一方、液体LQ中に溶解している気体(分子)は、中空糸膜174の内側が減圧状態(20Torr程度)になっているので、各中空糸膜174の内側へ移動する(吸収される)。中空糸膜174の層を横切る間に液体LQから除去(脱気)された気体成分は、矢印183で示すように、中空糸束172の両端から密閉空間176a、176b介して脱気口177a、177bから排出される。また、脱気処理された液体LQは、ハウジング171に設けられた液体出口182から供給管13(光路K)に供給される。本実施形態においては、液体供給装置11は、脱気装置16を用いて、光路Kに供給する液体LQの溶存気体濃度を5ppm以下にする。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。制御装置7は、基板Pを液浸露光するために、液浸システム1を駆動する。超純水製造装置15で製造された超純水(液体LQ)は、脱気装置16に供給される。脱気装置16は液体LQを脱気する。脱気装置16で脱気された液体LQは、温度調整装置18を通過した後、供給管13を介して、ノズル部材6の供給流路8Lに供給される。供給流路8Lに供給された液体LQは、供給口8から光路Kに供給される。制御装置7は、露光光ELの光路Kを満たす液体LQを介して基板P上に露光光ELを照射することによって、基板Pを液浸露光する。本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向(例えばY軸方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)であり、制御装置7は、レーザ干渉計4Lを用いて、基板P(基板ステージ4)の位置情報を計測しながら、露光光ELに対して基板Pを移動しつつ、基板P上に設定された複数のショット領域を順次露光する。
本実施形態の露光装置EXは、液体LQ中の気泡に起因する露光不良を抑制するために、捕集装置70を用いて、液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する。超純水は、電気的な絶縁性が高く、例えばその比抵抗は18MΩ・cm程度である。そのため、液体LQ中に生成された気泡が帯電すると、帯電した気泡は、低減又は消失し難くなる可能性がある。
液体LQ中に生成された気泡は、表面張力の作用により自己加圧されており、急速に液体LQに溶解する可能性が高い。特に、直径が1〜50μm程度の微細な気泡(以下、マイクロバブルと称する)や、そのマイクロバブルが縮小する過程で生成される、直径が1μm以下の超微細な気泡(以下、ナノバブルと称する)は、物理的に極めて不安定であり、液体LQ中に生成されても、直ちに低減又は消失する可能性が高い。
ところが、液体LQ中に生成されたナノバブルが帯電した場合、その帯電したナノバブルは低減又は消失し難くなり、液体LQ中に残留する可能性が高くなる。図5の模式図に示すように、ナノバブルの周囲に電荷が配置され、ナノバブルが帯電すると、静電気的な反発力が生じて、ナノバブルの更なる縮小が妨げられる。これにより、ナノバブルが低減又は消失し難くなると考えられる。このように、ナノバブルが帯電すると、その帯電したナノバブルは低減又は消失し難くなる可能性が高くなる。また、ナノバブルに限らず、マイクロバブルや、マイクロバブルよりも大きい気泡(バブル)が液体LQに生成された場合であっても、その気泡(バブル)が帯電している場合、その液体LQ中に存在する帯電した気泡(バブル)は低減又は消失し難くなる可能性が高くなる。ナノバブル及びマイクロバブルを含む気泡は、異物として作用するため、その気泡が光路Kを満たす液体LQ中に存在していたり、あるいは基板P上に付着している場合、基板P上に形成されるパターンの欠陥等、露光不良の発生を引き起こす。
本実施形態では、液体LQ中に存在する気泡が帯電しても、その帯電した気泡を捕集装置70で捕集することで、供給口8から光路Kに供給される液体LQ中の気泡を低減又は無くすことができる。
また、本実施形態の捕集装置70は、ナノバブルを含む気泡を除電することで、そのナノバブルを低減又は消失させることができる。上述のように、ナノバブルは物理的に極めて不安定であるため、ナノバブルが帯電していない場合には、そのナノバブルは低減又は消失する可能性が高くなる。したがって、液体LQ中にナノバブルが生成されても、そのナノバブルを除電することにより、そのナノバブルを低減又は消失させることができる。したがって、液体LQ中にナノバブルが存在することに起因する露光不良の発生を抑制することができる。また、ナノバブルに限らず、液体LQ中に生成されたナノバブルよりも大きいマイクロバブルを含む気泡を除電することにより、その気泡を低減又は消失させることができる。
また、本実施形態においては、液体供給装置11は脱気装置16を有しており、液浸システム1は脱気された液体LQを露光光ELの光路Kに供給している。脱気された液体LQは、気泡を溶かし込んで直ちに低減又は消失させることができる。したがって、液浸システム1は、気泡に帯電している電気を取り除く(除電する)ことにより、その除電された気泡を脱気された液体LQ中に溶かし込んで直ちに低減又は消失させることができ、気泡の残留を抑制することができる。
以上説明したように、液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する捕集装置70を設けたので、液体LQ中に帯電した気泡が生成された場合でも、光路K上に気泡が存在することに起因する不都合の発生を抑制することができる。したがって、気泡に起因する露光不良の発生を抑え、基板を良好に露光することができる。
また、液体中に帯電した気泡が生成された場合、その帯電した気泡は低減又は消失し難くなる可能性が高くなるが、液体LQ中の気泡を除電することで、その気泡を低減又は消失することができる。そして、本実施形態では、液浸システム1は、脱気された液体LQを露光光ELの光路Kに供給するため、除電された気泡を液体LQに溶かし込んで直ちに低減又は消失させることができる。したがって、脱気された液体LQにより、除電された気泡の残留を効果的に抑制することができる。
また、脱気装置16を用いて、液体LQ中の溶存気体濃度、特に溶存酸素濃度を低減することにより、露光光ELに対する液体LQの透過率の低下を抑制することができる。酸素は露光光ELを吸収し、露光光ELの光量を低減させる可能性があるため、液体LQ中の溶存酸素濃度が高いと、その液体LQの露光光ELに対する透過率が低下する可能性がある。本実施形態では、脱気装置16を用いて溶存気体濃度(溶存酸素濃度)を低減することで、露光光ELに対する液体LQの透過率の低下を抑制することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図6を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、第1、第2電極71、72の表面に、第1、第2電極71、72から液体LQ中への汚染物質の溶出を抑制する膜74が形成されている点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
次に、第2実施形態について図6を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、第1、第2電極71、72の表面に、第1、第2電極71、72から液体LQ中への汚染物質の溶出を抑制する膜74が形成されている点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図6において、捕集装置70は、液体LQ中に配置された第1電極71及び第2電極72と、第1電極71及び第2電極72に接続された直流電源73とを備えている。第1電極71及び第2電極72のそれぞれは、例えばステンレス等の金属、あるいはステンレスを含む合金によって形成されている。第1電極71及び第2電極72の表面には、第1電極71及び第2電極72から液体LQ中への汚染物質の溶出を抑制する膜74が形成されている。膜74は絶縁材料によって形成されており、その膜74によって、第1電極71及び第2電極72から液体LQ中への汚染物質の溶出を抑制可能である。また、膜74を設けることにより、液体LQから第1電極71及び第2電極72を保護し、第1電極71及び第2電極72の腐食を抑制することができる。例えば、第1電極71及び第2電極72がステンレスの場合、膜74は、例えば酸化クロム等を含む材料によって形成することができる。また、第1電極71及び第2電極72がチタン(あるいはチタンを含む合金)である場合には、膜74は、例えば酸化チタンを含む材料によって形成することができる。
そして、第1実施形態と同様に、制御装置7は、第1電極71及び第2電極72に電位を印加することにより、第1電極71と第2電極72との間の液体LQ中に電場を生成し、生成した電場を用いて、第1電極71及び第2電極72の少なくとも一方の表面を覆うように形成された膜74に、帯電した気泡を捕集することができる。
また、第1電極71及び第2電極72の表面に膜74を設けることにより、第1電極71及び第2電極72から液体LQ中への汚染物質の溶出を抑えることができる。第1電極71及び第2電極72を形成する材料によっては、第1電極71及び第2電極72から液体LQ中へ金属イオン等の汚染物質が溶出する可能性がある。金属イオン等の汚染物質を含んだ液体LQが基板Pと接触した場合、その基板Pが劣化する可能性がある。例えば、基板Pが回路を有する半導体ウエハである場合、その半導体ウエハと金属イオンを含む液体LQとが接触すると、半導体ウエハ上の回路の性能が劣化する可能性がある。本実施形態では、第1電極71及び第2電極72を覆うように膜74を形成することにより、上述の不都合を防止することができる。
なお、膜74は必ずしも絶縁体である必要はない。液体LQを汚染することなく、第1電極71及び第2電極72からの溶出を抑制可能な膜であればよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図7を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、第1電極71及び第2電極72が、供給管13の外側に配置されている点にある。
次に、第3実施形態について図7を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、第1電極71及び第2電極72が、供給管13の外側に配置されている点にある。
図7において、捕集装置70は、供給管13の外側の所定位置に配置された第1電極71と、供給管13の外側において第1電極71と対向する位置に配置された第2電極72とを備えている。すなわち、第1電極71と第2電極72とは、供給管13を挟んで互いに対向している。
制御装置7は、第1電極71及び第2電極72に電位を印加することにより、第1電極71と第2電極72との間の供給管13を流れる液体LQ中に電場を生成し、生成した電場を用いて、供給管13の内壁に、帯電した気泡を捕集することができる。供給管13で気泡を捕集することにより、供給口8から光路Kに気泡が流入することを抑制することができる。
上述のように、供給管13は、PTFE、PFAなどの絶縁材料によって形成されており、捕集装置70は、第1電極71及び第2電極72を用いて、液体LQ中に電場を生成することができる。そして、本実施形態では、液体LQ中には第1電極71及び第2電極72は配置されないため、第1電極71及び第2電極72から液体LQ中に汚染物質が溶出することがない。
なお、第2実施形態及び第3本実施形態においては、第1電極71及び第2電極72は帯電した気泡と直接接触しない。したがって、帯電した気泡は、第1電極71及び第2電極72によって除電されないが、液体LQ中に存在する少量の水素イオン(H+)、あるいは水酸化イオン(OH−)によって、帯電した気泡は徐々に除電され、最終的には気泡は脱気された液体LQ中に溶け込んで消失すると考えられる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について図8を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、第1電極71及び第2電極72によって液体LQ中に生成された電場に対して交差する方向に磁場を生成し、電場及び磁場を用いて気泡を捕集する点にある。
次に、第4実施形態について図8を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、第1電極71及び第2電極72によって液体LQ中に生成された電場に対して交差する方向に磁場を生成し、電場及び磁場を用いて気泡を捕集する点にある。
図8において、供給管13はX軸方向とほぼ平行に配置されている。捕集装置70は、供給管13の外側の所定位置に配置された第1電極71と、供給管13の外側において第1電極71と対向する位置に配置された第2電極72とを備えている。第1電極71は、供給管13の+Z側に配置され、第2電極72は、供給管13の−Z側に配置されている。そして、電場は、第1電極71及び第2電極72の一方から他方に向かって、Z軸方向に沿って生成される。
また、捕集装置70は、供給管13の外側の所定位置に配置された第1磁極77と、供給管13の外側において第1磁極77と対向する位置に配置された第2磁極78とを備えている。第1磁極77及び第2磁極78のうち、一方はN極の磁性を付与され、他方はS極の磁性を付与される。第1磁極77は、供給管13の−Y側に配置され、第2磁極78は、供給管13の+Y側に配置されている。そして、磁場は、第1磁極77及び第2磁極78の一方から他方に向かって、Y軸方向に沿って生成される。第1磁極77及び第2磁極78のそれぞれは、永久磁石によって構成されていてもよいし、電磁石によって構成されていてもよい。
このように、捕集装置70は、液体LQ中にZ軸方向に沿って電場を生成するとともに、その電場に対して交差するY軸方向に沿って磁場を生成する。これにより、供給管13内をほぼ−X方向に流れる液体LQに存在する帯電した気泡は、ローレンツ力により、その動きを規制され、供給管13の所定位置に捕集される。すなわち、帯電した気泡は、第1電極71と第2電極72とによって形成される電場により、第3実施形態と同様に、+Z方向に力を受け、更に、第1磁極77と第2磁極78とによって形成される磁場により、+Z方向の力を受け、供給管13の所定位置に捕集される。したがって、帯電した気泡が、供給口8から光路Kに流入してしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態においては、第1電極71及び第2電極72は供給管13の外側に配置されているが、供給管13の内側、すなわち液体LQ中に配置されていてもよい。
また、第2及び第3実施形態と同様に、第1電極71及び第2電極72は、帯電した気泡と直接接触しないので、第1電極71及び第2電極72によって除電されないが、液体LQ中に存在する少量の水素イオン(H+)、あるいは水酸化イオン(OH−)によって、帯電した気泡は徐々に除電され、最終的には気泡は脱気された液体LQ中に溶け込んで消失すると考えられる。
なお、上述のように、帯電した気泡が第1磁極77と第2磁極78とによって形成される磁場中で受ける力の方向と、第1電極71及び第2電極72によって形成される電場中で受ける力の方向とはほぼ同一であることが望ましいので、気泡がプラスに帯電するかマイナスに帯電するかが既知の場合には、液体LQの流れる方向(帯電した気泡の移動方向)と、第1電極71及び第2電極72によって形成される電場(電界)の方向とに応じて、第1磁極77と第2磁極78とによって形成される磁場(磁界)の方向を決めればよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について図9を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、捕集装置70は、供給口8から光路Kに供給された後の液体LQ中の気泡を捕集する点にある。
次に、第5実施形態について図9を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、捕集装置70は、供給口8から光路Kに供給された後の液体LQ中の気泡を捕集する点にある。
図9において、捕集装置70は、光路Kに対して所定位置に配置された第1電極71と、第1電極71と離れた位置に配置された第2電極72とを備えている。第1電極71と第2電極72とは、基板Pとノズル部材6との間において、光路Kを挟んで互いに対向する位置に配置されている。第1電極71と第2電極72とは不図示の支持機構により、ノズル部材6及び基板Pのそれぞれに接触しないように、且つ供給口8から光路Kに供給された液体LQ、すなわち液浸領域LRの液体LQと接触するように支持されている。すなわち、第1電極71及び第2電極72のそれぞれは、液浸領域LRの液体LQ中に配置されている。
捕集装置70は、第1電極71及び第2電極72の一方にプラスの電位を印加し、他方にマイナスの電位を印加することによって、液浸領域LRの液体LQ中に電場を生成する。これにより、供給口8から光路Kに供給された後の液体LQ中に存在する帯電した気泡は、第1電極71及び第2電極72の少なくともいずれか一方に捕集される。また、帯電している気泡は、第1電極71及び第2電極72の少なくともいずれか一方側に移動し、その第1電極71及び第2電極72のいずれか一方と接触することにより、除電される。そして、液浸システム1は、脱気された液体LQを光路Kに供給しているので、除電された気泡を液体LQに溶かし込んで低減又は消失させることができる。
以上説明したように、第1電極71及び第2電極72を液浸領域LRの内側に配置することにより、すなわち第1電極71及び第2電極72を光路Kを満たす液体LQに浸かるように配置することにより、供給口8から光路Kに供給された後の液体LQ中の帯電した気泡を捕集し、その帯電した気泡を除電することができる。
なお、第5実施形態において、第1電極71及び第2電極72の表面に、上述の第2実施形態で説明したような膜74を形成してもよい。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について図10を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、第1電極71及び第2電極72のそれぞれが、液浸領域LRの外側に配置されている点にある。
次に、第6実施形態について図10を参照しながら説明する。本実施形態の特徴的な部分は、第1電極71及び第2電極72のそれぞれが、液浸領域LRの外側に配置されている点にある。
図10において、捕集装置70は、光路Kに対して所定位置に配置された第1電極71と、第1電極71と離れた位置に配置された第2電極72とを備えている。第1電極71と第2電極72とは、光路Kを挟んで互いに対向する位置に配置されている。第1電極71と第2電極72とは不図示の支持機構により、ノズル部材6及び基板Pのそれぞれに接触しないように、且つ供給口8から光路Kに供給された液体LQによって形成される液浸領域LRの液体LQと接触しないように支持されている。すなわち、第1電極71及び第2電極72のそれぞれは、液体LQの液浸領域LRの外側に配置されている。
捕集装置70は、第1電極71及び第2電極72の一方にプラスの電位を印加し、他方にマイナスの電位を印加することによって、液浸領域LRの液体LQ中に電場を生成する。これにより、供給口8から光路Kに供給された後の液体LQ中に存在する帯電した気泡は、第1電極71及び第2電極72の少なくともいずれか一方に近傍に移動し、その動きを規制される。第1電極71及び第2電極72は光路Kから十分に離れた位置に配置されているため、その第1電極71及び第2電極72を用いて気泡を捕集することにより、液体LQ中の気泡が光路K上に存在する不都合を抑制できる。
なお、上述の第5、第6実施形態において、液浸領域LRの液体LQ中に、電場及び磁場の両方を生成するようにしてもよい。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について図11を参照しながら説明する。上述の各実施形態においては、投影光学系PLのうち投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子FLと基板Pとの間の露光光ELの光路Kに供給される液体LQ中に存在する気泡を捕集しているが、例えば、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、最終光学素子FLの物体面側(マスクM側)の光路に供給される液体LQ中に存在する気泡を捕集することができる。
次に、第7実施形態について図11を参照しながら説明する。上述の各実施形態においては、投影光学系PLのうち投影光学系PLの像面に最も近い最終光学素子FLと基板Pとの間の露光光ELの光路Kに供給される液体LQ中に存在する気泡を捕集しているが、例えば、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、最終光学素子FLの物体面側(マスクM側)の光路に供給される液体LQ中に存在する気泡を捕集することができる。
図11において、露光装置EXは、最終光学素子FLと、最終光学素子FLに次いで投影光学系PLの像面に近い光学素子FL2との間に液体LQを供給する液浸システム1’を備えている。以下の説明においては、最終光学素子FLに次いで投影光学系PLの像面に近い光学素子FL2を適宜、境界光学素子FL2と称する。
液浸システム1’は、最終光学素子FLと境界光学素子FL2との間の光路K2に液体LQを供給する供給口8’と、液体LQを回収する回収口9’とを備えている。液浸システム1’は、上述の各実施形態で説明した液浸システム1とほぼ同等の構成を有しており、供給口8’から光路K2に供給される前の液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集する捕集装置70を有している。これにより、露光光ELの光路K2に供給された液体LQ中の気泡に起因する露光不良を抑制することができる。
なお、第7実施形態において、供給口8’から光路K2に供給された後の液体LQ中に存在する帯電した気泡を捕集することもできる。
なお、上述の各実施形態において、液体LQ中で帯電した気泡が発生することを抑制するために、液体LQの帯電を防止する帯電防止装置を併用してもよい。液体LQの帯電を防止する帯電防止装置としては、液体LQの比抵抗を下げる物質(二酸化炭素など)と液体LQとを混合する混合装置などを用いることができる。
なお、液体LQ中の気泡は、基板Pの露光のみならず、液体LQを介して行われる各種計測などにも影響を与える可能性があるが、上述の実施形態のように、帯電した気泡を捕集することによって、液体LQを介して行われる各種計測も高精度に実行することができる。したがって、その計測に基づいて実行される基板Pの露光も良好に行うことができる。
なお、上述の各実施形態において、最終光学素子FLと基板Pとの間の光路Kを液体LQで満たす液浸システム1の構成は、上述のものに限られず、各種の構成を採用することができる。例えば、米国特許公開第2004/0165159号公報、国際公開第2004/055803号公報に開示されているような構成を採用することもできる。
また、第7実施形態の液浸システム1’の構成も、上述のものに限られず、各種の構成を採用することができ、例えば国際公開第2004/107048号公報に開示されている構成を採用することもできる。
上述の各実施形態における液体LQは純水(超純水)により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
また、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で光学素子FLを形成してもよい。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子FLが取り付けられており、この光学素子により投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図12に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…液浸システム、8…供給口、13…供給管、16…脱気装置、70…捕集装置、71…第1電極、72…第2電極、74…膜、77…第1磁極、78…第2磁極、EL…露光光、EX…露光装置、K…光路、LQ…液体、P…基板
Claims (20)
- 基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記露光光の光路に液体を供給する供給口と、
前記液体中に存在する帯電した気泡を捕集する捕集装置と、を備えた露光装置。 - 前記捕集装置は、前記液体中に電場を生成し、前記生成した電場を用いて前記気泡を捕集する請求項1記載の露光装置。
- 前記捕集装置は、前記液体中に前記電場に対して交差する磁場を生成し、前記電場及び磁場を用いて前記気泡を捕集する請求項2記載の露光装置。
- 前記捕集装置は、捕集した気泡に帯電している電気を取り除く請求項1〜3のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記液体を脱気する脱気装置を有し、前記脱気された液体により、前記電気を取り除かれた気泡の残留を抑制する請求項4記載の露光装置。
- 前記捕集装置は、前記供給口から供給される前の液体中の前記気泡を捕集する請求項1〜5のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記供給口に液体を供給する供給管を有し、
前記捕集装置は、前記供給管で前記気泡を捕集する請求項6記載の露光装置。 - 前記捕集装置は、前記供給口から供給された後の液体中の前記気泡を捕集する請求項1〜5のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記捕集装置は、前記液体中に電場を生成し、前記生成した電場を用いて前記気泡を捕集する電極を有する請求項1〜8のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記電極は、前記液体中に配置される請求項9記載の露光装置。
- 前記電極は金属を含み、
前記電極の表面に、前記電極から液体中への汚染物質の溶出を抑制する膜が形成されている請求項10記載の露光装置。 - 基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光装置において、
前記露光光の光路に液体を供給する供給口と、
前記液体中の気泡に帯電している電気を取り除く除電装置と、を備えた露光装置。 - 前記液体を脱気する脱気装置を有し、前記脱気された液体により、前記電気を取り除かれた気泡の残留を抑制する請求項12記載の露光装置。
- 前記捕集装置は、前記液体中に電場を生成し、前記生成した電場を用いて前記気泡を捕集する電極を有する請求項12又は13記載の露光装置。
- 前記電極は、前記液体中に配置される請求項15記載の露光装置。
- 前記電極は金属を含み、
前記電極の表面に、前記電極から液体中への汚染物質の溶出を抑制する膜が形成されている請求項15記載の露光装置。 - 請求項1〜請求項16のいずれか一項記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
- 基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光方法において、
前記露光光の光路に液体を供給する動作と、
前記液体中に存在する帯電した気泡を捕集する動作と、を含む露光方法。 - 基板上に露光光を照射して前記基板を露光する露光方法において、
前記露光光の光路に液体を供給する動作と、
前記液体中の気泡に帯電している電気を取り除く動作と、を含む露光方法。 - 請求項18又は請求項19のいずれか一項記載の露光方法を用いるデバイス製造方法。
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