JP2007032584A - 摺動部構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 相手側部材との間で摺動する摺動面を有する部材において、その摺動面の潤滑性能を長期間に亘って高く維持することができる摺動部構造を提供する。
【解決手段】 オートテンショナの軸受けブッシュ1の内周部の構造として、複数の凹凸が表面に形成された焼結層3と、この焼結層3の凹部32内にコーティング材料が入り込んだ状態で内周面を被覆するコーティング層4とを備えさせる。これにより、コーティング層4の焼結層3に対する密着性を高く維持することができ、コーティング層4が容易に剥離してしまうことを防止でき、その結果、軸受けブッシュ1と相手側部材との間の摺動性能を長期間に亘って高く維持できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 オートテンショナの軸受けブッシュ1の内周部の構造として、複数の凹凸が表面に形成された焼結層3と、この焼結層3の凹部32内にコーティング材料が入り込んだ状態で内周面を被覆するコーティング層4とを備えさせる。これにより、コーティング層4の焼結層3に対する密着性を高く維持することができ、コーティング層4が容易に剥離してしまうことを防止でき、その結果、軸受けブッシュ1と相手側部材との間の摺動性能を長期間に亘って高く維持できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばオートテンショナの軸受けブッシュの軸受け面等に適用される摺動部構造に関する。特に、本発明は、相対的に摺接する相手側部材との間の摺動性能を確保するコーティング層の密着性を高めるための対策に関する。
従来より、例えば自動車用エンジンにおいては、タイミングベルトや補機類駆動用ベルトの張力を一定に維持すると共にベルトの振動を吸収することを目的としてオートテンショナが用いられている(下記の特許文献1及び特許文献2を参照)。
この種のオートテンショナは、ベルトの張力変動に応じたテンションプーリの動きを許容しつつ、ベルトからの振動や衝撃を減衰するようにテンションプーリの動きを規制する機能を有している。この機能を実現するために、テンションプーリ支持用のアームのボス部とアーム支持用の支軸との間には、アームの揺動動作を円滑にするための滑り軸受けとして軸受けブッシュが介在されていると共に、上記アームにはテンションプーリをベルトに向けて押圧するための付勢力がコイルスプリングにより付与されている。尚、上記軸受けブッシュは一般的には焼結金属や合成樹脂により形成されている。
特開2002−98206号公報
特開2003−278864号公報
ところで、上記オートテンショナでは、テンションプーリに作用するベルト荷重(ベルトから受ける反力)が、軸受けブッシュの全周囲のうちの一部分の領域に対して大きく作用するといった偏荷重として作用することになる。このため、軸受けブッシュが部分的に偏摩耗するといった状況を招いていた。このような軸受けブッシュの偏摩耗が発生すると、その耐久性が低下してしまうばかりでなく、支軸に対するアームの傾き(回動軸に沿う方向の傾き)が発生し、テンションプーリに巻き掛けられたベルトが外れやすくなったり、テンションプーリの揺動動作に支障を来たし、オートテンショナの機能が低下してしまう可能性がある。
これまで、軸受けブッシュの摺動面の摩耗を抑制する手段として、ブッシュの平滑な内周面に四フッ化エチレン樹脂(商品名:テフロン(登録商標))をコーティングすることも行われているが、上述したような偏摩耗が生じる箇所では、この偏摩耗部分のコーティング層が比較的短期間のうちに摩滅してしまう可能性が高く、摺動性能の劣化を避けることが難しかった。
尚、このような状況は、オートテンショナの軸受けブッシュばかりでなく、相手側部材との間で相対的に摺動する摺動面を有する種々の部材においても同様に生じるものである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、相手側部材との間で摺動する摺動面を有する部材において、その摺動面の潤滑性能を長期間に亘って高く維持することができる摺動部構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、相手側部材との間で相対
的に摺動する摺動部材における摺動部の構造を前提とする。この摺動部構造に対し、上記摺動部に、アンダーカット形状の複数の凹凸(底部に向かうに従って断面積が小さくなる形状とされた凸部と、複数の凸部同士の間で形成される凹部)が表面に形成されたアンダーカット層と、このアンダーカット層の凹部内にコーティング材料が入り込んだ状態で摺動部表面を被覆するコーティング層とを備えた構成としている。
的に摺動する摺動部材における摺動部の構造を前提とする。この摺動部構造に対し、上記摺動部に、アンダーカット形状の複数の凹凸(底部に向かうに従って断面積が小さくなる形状とされた凸部と、複数の凸部同士の間で形成される凹部)が表面に形成されたアンダーカット層と、このアンダーカット層の凹部内にコーティング材料が入り込んだ状態で摺動部表面を被覆するコーティング層とを備えた構成としている。
この特定事項により、アンダーカット層とコーティング層との境界部分にあっては、アンダーカット層に形成されているアンダーカット形状の複数の凹部内にコーティング層の一部が入り込んだ状態となっており、コーティング層がアンダーカット層に保持された形態となる。このため、コーティング層が容易に剥離してしまうことがなく、長期間に亘って摺動部にコーティング層を保持することができ、相手側部材との間の摺動性能を長期間に亘って高く維持することができる。特に、摺動部に偏摩耗が生じるような摺動部材の使用形態であったとしても、摺動部表面を被覆しているコーティング材料によって摺動性能を維持でき、仮に、この摺動部表面を被覆しているコーティング材料が摩滅したとしても、アンダーカット形状に形成されている凹部内に保持されているコーティング材料の存在によって摺動性能を継続的に維持することが可能である。また、実軸受負荷容量の増大を図ることもできるためフリクションを低減できる。更に、上記アンダーカット形状の凸部は僅かではあるが弾性変形が可能であるため、相手側部材との間で摺動する際に、この相手側部材から受けるストレスの軽減及びそれに伴う摩擦熱の抑制を図ることができ、その結果、凝着摩耗の発生も抑制することができる。
各層の具体的な構成材料としては、アンダーカット層を焼結金属で成す一方、コーティング層を四フッ化エチレン樹脂で成している。この構成によれば、例えばアンダーカット層の内部には多数の空隙が存在しているため、この空隙内に予め潤滑油またはグリース或いは潤滑油とグリースの両方を含有させておくなどの手段を講じることで更なる摺動性能の向上を図ることが可能になる。
アンダーカット形状の複数の凹凸の具体構成としては以下のものが挙げられる。つまり、アンダーカット層に形成されているアンダーカット形状の複数の凹凸を、摺動部の表面に沿って延びる複数の条痕により構成したものである。つまり、アンダーカット層の凹部内のコーティング材料はこの条痕の形状に沿った形状となって凹部内に入り込んでおり、コーティング層のアンダーカット層に対する密着性をいっそう高く維持することができる。
また、摺動部に偏摩耗が生じるような摺動部材の使用形態に特に有効な構成として以下のものが掲げられる。つまり、アンダーカット層に形成されているアンダーカット形状の複数の凹凸を、摺動部表面の一部分にのみ形成し、コーティング層が摺動部表面の全体を被覆する構成としたものである。つまり、偏摩耗が生じる箇所に対してのみアンダーカット形状の複数の凹凸を形成し、その内部にコーティング材料が入り込んだ構成のものである。これによれば、必要最小限の領域にアンダーカット形状の複数の凹凸を形成することになるので、加工に要する時間の短縮化及び加工作業の簡素化を図ることができる。
摺動部材の具体的な使用形態としては、オートテンショナの軸受けブッシュとして適用することが挙げられる。つまり、軸受けブッシュの内周部にアンダーカット層及びコーティング層が備えられた構成である。特に、オートテンショナの軸受けブッシュは、テンションプーリに作用するベルト荷重が軸受けブッシュに対して偏荷重として作用することになるため、本発明の構成を適用することが有効である。
また、アンダーカット形状の複数の凹凸を形成するための具体的な加工方法としては、切削加工または押し出し成形加工が挙げられる。
本発明では、摺動部材における摺動部の構造として、複数の凹凸が表面に形成されたアンダーカット層と、このアンダーカット層の凹部内にコーティング材料が入り込んだ状態で摺動部表面を被覆するコーティング層とを備えさせている。このため、コーティング層のアンダーカット層に対する密着性を高く維持することができ、コーティング層が容易に剥離してしまうことを防止でき、その結果、摺動部材と相手側部材との間の摺動性能を長期間に亘って高く維持することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車用エンジンのタイミングベルト等の張力を一定に維持するためのオートテンショナの軸受けブッシュの内周部に本発明の摺動部構造を適用した場合について説明する。
−軸受けブッシュの構造−
図1(c)は、本実施形態に係る軸受けブッシュ1の一部分の断面構造を拡大して示す図である。具体的には、円筒形状の軸受けブッシュ1の軸線に沿った方向の断面を示している。この図1(c)に示すように、軸受けブッシュ1は、外周側から順に、裏金層2、焼結層(多孔質燒結金属層)3、コーティング層4を備えている。つまり、内周面を構成しているコーティング層4が図示しない支軸の外周面との間で摺動することにより、図示しないアームの揺動動作を円滑にするようになっている。以下、各層2,3,4の構成材料及びその形状について説明する。
図1(c)は、本実施形態に係る軸受けブッシュ1の一部分の断面構造を拡大して示す図である。具体的には、円筒形状の軸受けブッシュ1の軸線に沿った方向の断面を示している。この図1(c)に示すように、軸受けブッシュ1は、外周側から順に、裏金層2、焼結層(多孔質燒結金属層)3、コーティング層4を備えている。つまり、内周面を構成しているコーティング層4が図示しない支軸の外周面との間で摺動することにより、図示しないアームの揺動動作を円滑にするようになっている。以下、各層2,3,4の構成材料及びその形状について説明する。
上記裏金層2は、軸受けブッシュ1の基板となる層であって、炭素鋼等の金属板(冷間圧延鋼板や一般構造用圧延鋼板等)で成り且つ略円筒形状に形成されている。尚、この裏金層2の厚さ寸法は例えば1mm程度に設定されている。この厚さ寸法は軸受けブッシュ1の外径寸法に応じて適宜設定される。
上記焼結層3は、金属粉末(青銅、鉛青銅、リン青銅、アルミニウム合金、鉄等)が焼結されて成る金属焼結材料で構成されており、その内周面(図1(c)における上面)にはアンダーカット形状の複数の凹凸が形成されている。つまり、この焼結層3が本発明でいうアンダーカット層として構成されている。この焼結層3の内周面に形成されている凹凸は、底部(軸受けブッシュ1の外周側)に向かうに従って断面積が小さくなる形状とされた凸部31と、この複数の凸部31,31同士の間で形成され且つ底部に向かうに従って空間が大きくなる形状とされた凹部32とが交互に形成されて成っている。また、各凹部32,32は軸受けブッシュ1の周方向に沿って延びる条痕として形成されている。つまり、上記凸部31及び凹部32は軸受けブッシュ1の周方向に亘って連続して形成されている。尚、この条痕はそれぞれ円環状とされた一条痕であってもよいし螺旋形状の条痕であってもよい。
また、上記凹部32の深さ寸法(凸部31の高さ寸法ともなる)や隣接する凹部32,32の中心同士の間隔寸法(ピッチ)は、任意に設定可能であるが、その一例としては凹部32の深さ寸法が300μmに設定されており、凹部32のピッチが500μmに設定されている。これら寸法は、例えば、軸受けブッシュ1の内周面に作用する荷重が高いほど凹部32の深さ寸法を大きく設定し、且つ隣接する凹部32,32の間隔寸法も大きく設定することになる。また、上記各凸部31の頭部の形状としても、例えば、軸受けブッシュ1の内周面に作用する荷重が高いほど大形に設定される。但し、この場合、各凸部31の下端(括れ部)の断面形状としては凸部31が座屈しない程度の形状が必要である。これら荷重に対する凹部32の深さ寸法や隣接する凹部32,32の間隔寸法の関係、荷重に対する各凸部31の頭部の形状の関係については、上述したものに限定されず、上記
とは逆の関係をもたせるようにしてもよい。つまり、荷重に対して最適な形状が適宜設定されることになる。
とは逆の関係をもたせるようにしてもよい。つまり、荷重に対して最適な形状が適宜設定されることになる。
そして、上記コーティング層4は、四フッ化エチレン樹脂(コーティング材料)により構成されており、その特徴として、図1(c)に示すようにコーティング材料は焼結層3の表面の凹部32,32,…の内部に入り込んだ状態で焼結層3の全体を被覆している。尚、このコーティング層4の厚さ寸法も任意に設定可能であるが、その一例としては上記焼結層3の凸部31の先端からコーティング層4の表面までの厚さ寸法が200μmに設定されている。
本実施形態に係る軸受けブッシュ1では、この図1(c)に示す断面構造が軸受けブッシュ1の周方向全体に亘って形成されている。
−製造方法−
次に、上述の如く構成された軸受けブッシュ1の製造方法について説明する。この製造方法としては、上記焼結層3の表面に形成するアンダーカット形状の複数の凹凸の成形手法により3タイプに類別することができる。以下、それぞれについて説明する。
次に、上述の如く構成された軸受けブッシュ1の製造方法について説明する。この製造方法としては、上記焼結層3の表面に形成するアンダーカット形状の複数の凹凸の成形手法により3タイプに類別することができる。以下、それぞれについて説明する。
(第1タイプ)
先ず、アンダーカット形状の複数の凹凸を平押し出し加工によって形成する場合について図1を用いて説明する。先ず、成形しようとする上記アンダーカット形状の複数の凹凸の形状に成形されたキャビティ内面を有する押し出し金型(図示省略)を用意しておく。つまり、この押し出し金型のキャビティ内面のうち一つの面には上記アンダーカット形状の凹凸を成形するための凹凸が形成されており、その他の面は平坦面となっている。この押し出し金型のキャビティ内に、焼結層3を構成するための燒結金属材料を導入して押し出し加工を行う。これにより、図1(a)に示すように、片面(図中の上面)に上記アンダーカット形状の複数の凹凸が形成された燒結金属板(焼結層3と成る金属板)を製造する。
先ず、アンダーカット形状の複数の凹凸を平押し出し加工によって形成する場合について図1を用いて説明する。先ず、成形しようとする上記アンダーカット形状の複数の凹凸の形状に成形されたキャビティ内面を有する押し出し金型(図示省略)を用意しておく。つまり、この押し出し金型のキャビティ内面のうち一つの面には上記アンダーカット形状の凹凸を成形するための凹凸が形成されており、その他の面は平坦面となっている。この押し出し金型のキャビティ内に、焼結層3を構成するための燒結金属材料を導入して押し出し加工を行う。これにより、図1(a)に示すように、片面(図中の上面)に上記アンダーカット形状の複数の凹凸が形成された燒結金属板(焼結層3と成る金属板)を製造する。
その後、図1(b)に示すように、この燒結金属板3の下面(凹凸が形成されていない面)に、裏金層2となる金属板を接着する。
その後、燒結金属板3の上面(凹凸が形成されている面)に対してコーティング層4を構成する四フッ化エチレン樹脂のコーティング作業を行う。このコーティング作業においては、焼結層3に形成されているアンダーカット形状の複数の凹部32,32,…内に四フッ化エチレン樹脂が入り込む。つまり、図1(c)に示すように、コーティング層4の一部が焼結層3の凹部32の内部に入り込んだ状態でコーティング層4が形成されるため、このコーティング層4が焼結層3に強固に保持された形態となる。このため、コーティング層4が焼結層3から容易に剥離してしまうことがなくなる。
以上のようにして3層構造とされた板材を、コーティング層4が内周側に位置するようにロール加工を行うことによって円筒形状の軸受けブッシュ1が作製されることになる。
(第2タイプ)
次に、アンダーカット形状の複数の凹凸を平面切削加工によって形成する場合について図2を用いて説明する。先ず、図2(a)に示すように、裏金層2となる金属板の表面に焼結層3を構成する燒結金属を接着し、2層構造で成る金属板を作製する。
次に、アンダーカット形状の複数の凹凸を平面切削加工によって形成する場合について図2を用いて説明する。先ず、図2(a)に示すように、裏金層2となる金属板の表面に焼結層3を構成する燒結金属を接着し、2層構造で成る金属板を作製する。
そして、成形しようとする上記アンダーカット形状の複数の凹凸の形状に成形された多数の切削歯を下面に有する加工具5を焼結層3の表面に押し当て、この加工具5を図中矢
印で示すように水平方向に移動させる。これにより、焼結層3の表面を加工具5の切削歯によって部分的に筋状に切削することにより、この焼結層3の表面にアンダーカット形状の複数の凹凸が形成される。これにより、上述した第1タイプの製造方法において図1(b)で示した断面構造と同様の構造が得られる。
印で示すように水平方向に移動させる。これにより、焼結層3の表面を加工具5の切削歯によって部分的に筋状に切削することにより、この焼結層3の表面にアンダーカット形状の複数の凹凸が形成される。これにより、上述した第1タイプの製造方法において図1(b)で示した断面構造と同様の構造が得られる。
その後、このようにして焼結層3の表面にアンダーカット形状の複数の凹凸が形成された2層構造の板材を、焼結層3が内周側に位置するようにロール加工を行うことによって円筒形状のブッシュ基体11が作製される(図2(b)参照)。そして、このブッシュ基体11の内周面に対してコーティング層4を構成する四フッ化エチレン樹脂のコーティングを行う。このコーティング作業においても、焼結層3に形成されているアンダーカット形状の複数の凹部32,32,…内に四フッ化エチレン樹脂が入り込んだ状態でコーティング層4が形成されるため、コーティング層4が焼結層3に保持された形態となる。このため、コーティング層4が焼結層3から容易に剥離してしまうことがない。
また、この四フッ化エチレン樹脂のコーティング作業は、上記ブッシュ基体11を円筒形状に形成する前、つまり平板状である状態において焼結層3の表面に対して行い、その後に、コーティング層4が内周側に位置するようにロール加工を行うことによって円筒形状の軸受けブッシュ1を作製するようにしてもよい。
(第3タイプ)
次に、アンダーカット形状の複数の凹凸をローリング加工によって形成する場合について図3を用いて説明する。先ず、図3に示すように、裏金層2となる金属板の表面に焼結層3を構成する燒結金属を接着した円筒形状のブッシュ基体11の内周面に対して、成形しようとする上記アンダーカット形状の複数の凹凸の形状に成形された多数の切削歯を外周面に有するローラ(精密加工ダイス)6を焼結層3の表面に押し当て、このローラ6を回転させる。これにより、焼結層3の表面を切削歯によって部分的に切削することにより、この焼結層3の表面にアンダーカット形状の複数の凹凸が形成される。
次に、アンダーカット形状の複数の凹凸をローリング加工によって形成する場合について図3を用いて説明する。先ず、図3に示すように、裏金層2となる金属板の表面に焼結層3を構成する燒結金属を接着した円筒形状のブッシュ基体11の内周面に対して、成形しようとする上記アンダーカット形状の複数の凹凸の形状に成形された多数の切削歯を外周面に有するローラ(精密加工ダイス)6を焼結層3の表面に押し当て、このローラ6を回転させる。これにより、焼結層3の表面を切削歯によって部分的に切削することにより、この焼結層3の表面にアンダーカット形状の複数の凹凸が形成される。
その後、このブッシュ基体11の内周面に対してコーティング層4を構成する四フッ化エチレン樹脂のコーティングを行う。このコーティング作業においても、焼結層3に形成されているアンダーカット形状の複数の凹部32,32,…内に四フッ化エチレン樹脂が入り込んだ状態でコーティング層4が形成されるため、このコーティング層4が焼結層3に保持された形態となる。このため、コーティング層4が焼結層3から容易に剥離してしまうことがない。
以上のように何れの製造方法においても、コーティング層4が焼結層3に保持された形態となっており、コーティング層4が容易に剥離してしまうことがない。このため、軸受けブッシュ1の内周部に長期間に亘ってコーティング層4を保持することができ、相手側部材との間の摺動性能を長期間に亘って高く維持することができる。特に、本実施形態にようなオートテンショナの軸受けブッシュ1にあっては内周面に偏摩耗が生じる可能性が高いが、コーティング材料によって摺動性能を維持でき、仮に、この摺動部表面を被覆しているコーティング材料が摩滅したとしても、アンダーカット形状に形成されている凹部32内に保持されているコーティング材料の存在によって摺動性能を継続的に維持することが可能である。また、上述した条痕構造により実軸受負荷容量の増大を図ることもできるためフリクションを低減できる。更に、上記アンダーカット形状の凸部31は僅かではあるが弾性変形が可能であるため、相手側部材との間で摺動する際に、この相手側部材から受けるストレスの軽減及びそれに伴う摩擦熱の抑制を図ることができ、その結果、凝着摩耗の発生も抑制することができる。
−他の実施形態−
上述した実施形態では、オートテンショナの軸受けブッシュ1の内周部に本発明の摺動部構造を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、各種摺動部材の摺動部に適用することが可能である。例えば、エンジンのコネクティングロッドの小端部(スモールエンド)や大端部(ビッグエンド)に適用される軸受けや、ボールベアリングのインナレースやアウタレースの摺動部等に適用可能である。
上述した実施形態では、オートテンショナの軸受けブッシュ1の内周部に本発明の摺動部構造を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、各種摺動部材の摺動部に適用することが可能である。例えば、エンジンのコネクティングロッドの小端部(スモールエンド)や大端部(ビッグエンド)に適用される軸受けや、ボールベアリングのインナレースやアウタレースの摺動部等に適用可能である。
また、コーティング層4の構成材料としては、四フッ化エチレン樹脂に限らず、ポリアセタール樹脂や含油ポリアセタール樹脂等を適用することも可能である。
また、焼結層3の内部に存在している多数の空隙内に予め潤滑油を含有させておくようにしてもよい。これによれば、更なる摺動性能の向上を図ることが可能になる。また、焼結層の空隙内に自己潤滑性を有する合成樹脂材料を予め含有させておいたり、モリブデンコートを施すようにしてもよい。
更に、上述した実施形態では軸受けブッシュ1の周方向全体に亘って焼結層3にアンダーカット形状の複数の凹凸を形成していたが、このアンダーカット形状の複数の凹凸を周方向の一部分のみに形成するようにしてもよい。具体的には、軸受けブッシュ1の内周面のうち偏摩耗が生じる箇所に対してのみアンダーカット形状の複数の凹凸を形成するものである。この場合にもコーティング層4は、軸受けブッシュ1の内周面の全体に設けることが好ましい。例えば、上記第3タイプの製造方法の場合には、ローラ6の外径を適宜選択し、このローラ6がブッシュ基体11の内周面に対して接触する範囲を設定することによりアンダーカット形状の複数の凹凸を形成する範囲を任意に設定することが可能になる。また、周方向に亘って、アンダーカット形状の複数の凹凸の形状(凸部31の大きさや凹部32の深さ寸法等)を異ならせるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、焼結層3に条痕を形成することによりアンダーカット形状の複数の凹凸を軸受けブッシュ1の周方向に延びるように形成していた。本発明はこれに限らず、アンダーカット形状の複数の凹凸を軸受けブッシュ1の軸心に沿う方向に延びるように形成してもよい。更には、軸受けブッシュ1の周方向及び軸心に沿う方向のそれぞれに条痕を形成することにより、周方向及び軸心共に連続しない凸部(軸受けブッシュ1の内周面において個々に独立して点在するように形成された凸部)を形成するようにしてもよい。
1 軸受けブッシュ(摺動部材)
3 焼結層(アンダーカット層)
31 凸部
32 凹部
4 コーティング層
3 焼結層(アンダーカット層)
31 凸部
32 凹部
4 コーティング層
Claims (6)
- 相手側部材との間で相対的に摺動する摺動部材における摺動部の構造であって、
上記摺動部は、アンダーカット形状の複数の凹凸が表面に形成されたアンダーカット層と、このアンダーカット層の凹部内にコーティング材料が入り込んだ状態で摺動部表面を被覆するコーティング層とを備えた構成となっていることを特徴とする摺動部構造。 - 上記請求項1記載の摺動部構造において、
上記摺動部を構成するアンダーカット層は焼結金属で成っている一方、コーティング層は四フッ化エチレン樹脂で成っていることを特徴とする摺動部構造。 - 上記請求項1または2記載の摺動部構造において、
アンダーカット層に形成されているアンダーカット形状の複数の凹凸は、摺動部の表面に沿って延びる複数の条痕により構成されていることを特徴とする摺動部構造。 - 上記請求項1、2または3記載の摺動部構造において、
アンダーカット層に形成されているアンダーカット形状の複数の凹凸は、摺動部表面の一部分にのみ形成されており、コーティング層が摺動部表面の全体を被覆した構成となっていることを特徴とする摺動部構造。 - 上記請求項1〜4のうち何れか一つに記載の摺動部構造において、
摺動部材はオートテンショナの軸受けブッシュであって、この軸受けブッシュの内周部にアンダーカット層及びコーティング層が備えられていることを特徴とする摺動部構造。 - 上記請求項1〜5のうち何れか一つに記載の摺動部構造において、
アンダーカット層に形成されているアンダーカット形状の複数の凹凸は、切削加工または押し出し成形加工により形成されていることを特徴とする摺動部構造。
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2005
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