JP2007032352A - イオン電流検出装置を備える点火装置 - Google Patents

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Abstract

【目的】高出力エネルギの点火装置を用いた場合でもイオン電流の検出が精度よく行えるイオン電流検出装置を提供する。
【解決手段】電源と点火コイルの一次線輪およびスイッチング素子の直列回路からなる電流遮断方式の点火装置において、上記一次線輪を分路する第二のスイッチング素子を備え、さらに上記点火コイルの二次線輪に点火プラグとイオン電流検出装置を備え、内燃機関の回転数に応じて上記第二のスイッチング素子の動作タイミングを制御する。
【選択図】図1

Description

この発明は排気ガス対策や燃費向上のために有効な燃料直噴内燃機関などに要求される高出力エネルギ内燃機関点火装置、特に気筒内に燃焼状態に応じて発生するイオン電流を検出する手段を備えた点火装置に関する。
従来より、内燃機関点火装置は近年の排気ガス対策や燃費向上のための高圧縮リーン燃焼に適合するために、高エネルギの点火装置が求められている。一方、内燃機関の燃焼状態検出装置は、連続的な失火を検出し、内燃機関の取り扱い者に警告を示すために、失火時における内燃機関の回転数の変動をセンサにて検知する回転変動方式の失火検出機能が提案されている。
また、イオン電流による内燃機関の燃焼状態検出装置は、回転変動方式では失火検出精度が落ちる多気筒エンジンにおいても優れた失火検出性を示し、気筒毎の失火検出も可能であると同時に点火時期やノック制御などに従来より種々提案されているが、一般的な高エネルギ点火装置は一般的に放電持続時間が長いことから、イオン検出時間が制約されるために相性が悪い。
従来の電流遮断方式の内燃機関点火装置の出力放電電流波形は略三角波が得られ、汎用点火コイルでは二次線輪のインダクタンスと漏洩キャパシタンスの値でその形態が設定できる。すなわち二次線輪の巻回数が少ない時には放電電流の最大値が大きいが、放電持続時間が短くなり、巻回数が多い時にはその反対の放電電流が得られる。そして渦流の強い燃焼が行われる直噴内燃機関などにおいては、上記三角波の後半の電流は乱れが大きくなることにより、燃料の点火に殆ど寄与しない。
また、従来の電流遮断方式の内燃機関点火装置に、イオン電流による燃焼状態検出装置を付加するものでは、放電初期の点火エネルギの一部をキャパシタに一次的に蓄積して、放電終了後のイオン検出電源として利用している。
上記イオン検出電源の電圧は、一般的に70V〜300V程度の範囲で使用されることが多く、電圧が高いほどイオン検出のSN比が高くなり設計自由度が上がるが、当該電圧を上げると本来放電に必要な点火装置のエネルギが損なわれることとなる。
近年の排気ガス対策では、内燃機関の始動時から高回転域に至るまでイオン電流の変化情報をきめ細かく収集して、点火時期や空燃比を制御するシステムが望まれているために、上記のイオン電流での燃焼悪化状態やノッキングを検出するには上死点を過ぎてから15度程度以後がイオン電流判別の重要な時間帯であることが確かめられてきたが、当該判別時間を確保する一方では、リーン燃料での燃料直噴内燃機関などに対応するために、イオン電流による制御以前の問題として高出力エネルギの点火装置が望まれている。高出力エネルギの点火装置を用いた場合は、火花放電時間が長くなることにより、特に高回転域においてイオン電流検出に必要な十分な時間が取れないという問題があった。
前述したように電流遮断方式の点火装置では、点火コイルの二次線輪の巻回数で放電電流の多少の設定ができるが、何れも放電初期には放電電流が比較的大きい三角波で有って、渦流の強い燃焼が行われる直噴内燃機関などにおいては、上記三角波の後半の電流は乱れが大きくなることにより、放電電流や放電時間の制御は限られた物となっている。
上記課題を解決するために、本発明では次のような構成とする。請求項1においては、電源と点火コイルの一次線輪およびスイッチング素子の直列回路からなる電流遮断方式の点火装置において、上記一次線輪を分路する第二のスイッチング素子を備え、さらに上記点火コイルの二次線輪に点火プラグとイオン電流検出装置を備え、内燃機関の回転数に応じて上記第二のスイッチング素子の動作タイミングを制御する構成としたことを特徴とするイオン電流検出装置を備える点火装置とすることによって、放電電流が極めて高く放電持続時間の長い高エネルギ点火コイルを用いながら機関回転数に適合した出力エネルギ設計の自由度が得られるようにしたものである。
この発明の請求項2に係るイオン電流検出装置を備える点火装置では、点火コイルの放電持続時間が内燃機関のアイドル回転数の時には2.5ms以上であり、高回転数の時には1.0ms以下とすることで、内燃機関の各々の回転数に応じたイオン検出時間を確保してその回転数での点火エネルギを最大限確保する構成としたものである。
同様にこの発明の請求項3に係るイオン電流検出装置を備える点火装置では、イオン電流検出装置の検出開始時間を少なくとも内燃機関実用回転域においてATDC(圧縮上死点後)15度程度とすることで、内燃機関の各々の回転数に応じたイオン検出時間を確保してその回転数での点火エネルギを最大限確保する構成としたものである。
この発明の請求項4に係るイオン電流検出装置を備える点火装置では、点火コイルの磁気回路が閉磁路の鉄心構造とすることで、点火エネルギと放電持続時間の制御範囲を広げたものである。
この発明によれば、近年の燃費と排気ガス対策で要求されているリーン混合気での燃料直噴内燃機関などに対応するために、高出力エネルギの点火装置が望まれているが、高出力エネルギの点火コイルの一次線輪を分路する第二のスイッチング素子を追加したことで内燃機関の始動時から高回転域に至るまでイオン電流の変化情報をきめ細かく収集して、点火時期や空燃比を制御するシステムに対して、イオン電流での燃焼悪化状態やノッキングを検出するために必要なATDC15度程度からの判別時間を確保する一方、低回転数から高回転数までの広域に渡って、最大限の点火エネルギを確保できるイオン電流検出装置を備える点火装置を得ることが出来るものである。
図1は請求項の全てに記載したこの発明の実施例であり、図2は当該実施例の動作で得られる出力電流波形の形態を示す図、図3のグラフは実施例の動作を説明するためのもので、機関回転数を横軸に放電持続時間を縦軸に示す図である。なお、内燃機関は通常多気筒で使用されるが、説明の都合上、一気筒での実施例としている。
図1において、電源1と点火コイル2の一次線輪100および第一のスイッチング素子3の直列回路からなる電流遮断方式の点火装置の主回路と、上記一次線輪100を分路するSCRからなる第二のスイッチング素子4を備え、上記第一と第二の各々のスイッチング素子の制御端子はドライバ回路5に接続されている。また、点火コイル2の二次線輪200の高圧側は点火栓6に接続され、上記二次線輪200の低圧側は定電圧ダイオード7に分路されたキャパシタ8とダイオード9によって分路されたイオン電流を検出するレジスタ10の直列回路を介してイオン電流検出装置11の入力端子に接続されており、当該入力端子には保護ダイオード12が接続されている。そして上記ドライバ回路5とイオン電流検出装置11は、内燃機関制御ECU13に接続されている。
内燃機関の始動時からアイドル回転時に、ECU13からの点火指令により、ドライバ回路5から点火タイミングに点火コイル2の一次線輪100の通電電流が8A程度になる時間前に、スイッチング素子3にオン信号が送信されており、その後、上記点火タイミングに第一のスイッチング素子3にオフ信号を送信すると、上記電流によって点火コイル2に蓄積されている誘導エネルギが二次線輪200の低圧側をプラス、高圧側をマイナス電位の40KV程度の高電圧を発生するために、点火栓6に放電を開始する。
当該点火栓6に放電を開始した放電電流は、図2の電流波形aで示された電流が流れて燃料に点火すると同時に、定電圧ダイオード7によって定まる電圧、例えば170Vの電荷をキャパシタ8に蓄積する。その後、上記点火栓6での放電電流は例えばピーク電流100mAから順次低減し、3ms程度の放電持続時間が終了する間に、気筒内の点火火炎核は十分に拡がりを見て、燃焼イオンを発生する。当該イオンは上記キャパシタ8の電荷電圧が点火栓6の電極両端部に印加されていることにより燃焼状態に応じたイオン電流が流れ、レジスタ10を介してイオン検出装置11に取り込まれた後、ECU13で情報処理される。
上記、イオン電流の変化を捉えるイオン検出装置11によってECU13に送られた信号により、内燃機関の失火やノックの検出は勿論、燃焼圧力や空燃比のリーン限界を捉えて、排気ガス低減や燃費向上に役立てられる。
上記イオン電流情報を有効に検出するためには、イオン電流検出開始時間を少なくとも内燃機関の実用回転域において、ATDC15度程度から観測することが必要であり、そのために点火放電時間は、内燃機関のアイドル回転数800rpm程度では、2.5ms以上、回転数の高い6000rpm程度では1.0ms以内の勾配を有する放電時間程度で終了することが要求される。
内燃機関の回転数が高くなると上記放電持続時間を短くする必要性から、点火コイル2の一次線輪100に蓄積するエネルギを小さくするために、回転数の増加に従って第一のスイッチング素子3のオフ時電流を8Aから順次5A程度まで低減することで実現できるが、上記オフ時電流の低減と同時に二次線輪200に誘起される出力電圧も下がってくる。従って、内燃機関の要求出力電圧の限界を下回る前の高い回転数になると、ドライバ回路5は第一のスイッチング素子3のオフ動作から、イオン電流検出に必要な時間を残すための点火栓6での放電を打ち切る信号を、第二のスイッチング素子4に動作信号を発生する。当該信号により第二のスイッチング素子4がオン動作して、点火コイル2に蓄えられているエネルギの殆どは、点火コイル2の一次線輪100の内部抵抗によって消費されるために、図2の電流波形bで示された急激に減衰する電流となり、点火栓6での放電電流は消滅する。
回転数が高くなることにより、第二のスイッチング素子4に動作信号が送られるようになると、点火コイル2の一次線輪100に流す電流を、例えば5Aに固定して出力電圧の低下を防止しながら、回転数の増加に従い第二のスイッチング素子4のオン動作時間を順次早めることにより、図2の電流波形cで示されたより急激に減衰する電流となって、急加速など高回転域での気筒内の強い過流で燃料点火の寄与度の少ない小電流領域時間のみをカットして、十分なイオン電流検出時間を確保することが出来る。
上記第二のスイッチング素子4のオン動作によって得られる機関回転数と放電持続時間との特性を図3のグラフに示している。
上記実施例では、一次線輪100と直接第二のスイッチング素子4を並列分路接続しているが、放電電流の減衰時間が遅くするために、レジスタなどの負荷を上記第二のスイッチング素子4に直列に接続しても良いし、一次線輪100にタップ端子を設けて部分的に分路接続しても良い。
上記実施例での放電持続時間は、通常の点火コイルの放電持続時間の1.5ms程度より極めて大きな3ms程度としたが、当該放電持続時間は近未来の燃料直噴内燃機関の要求特性と考えられ、例えば160平方ミリメートル程度の断面積を有する閉磁路鉄心を用いた点火コイルが設計効率が良いことが確かめられた。この場合にもバイアス磁石を用いると小型軽量化できることは云うまでもない。
なお各々のスイッチング素子3がオンとなることにより、電源1から供給される電圧、例えば14Vが一次線輪100に印加され、二次線輪200の高電圧側を正極にした電圧が誘起されるが、ダイオード9に一部ブロックされ、また、レジスタ10の値が大きいこともあって、点火栓6に放電するに必要な1kV以上の電圧は点火栓6の電極両端に発生しない設定としている。
上記実施例のイオン検出装置11に接続される検出レジスタ10は、二次線輪200の低電圧側に接続したが、周知の高電圧側に接続する構成で有っても当該発明は有効である。
また、各々のスイッチング素子3および4に電流制限回路や一次線輪100の逆起電力制限のための保護素子を付加できることは説明するまでもない。また、各々のスイッチング素子は、通常のトランジスタやIGBTなど適宜選択することが出来る。
発明の実施例を示す図。 発明の実施例の出力電流波形。 発明の実施例の動作特性を示すグラフ。
符号の説明
1 電源
2 点火コイル
3 第一のスイッチング素子
4 第二のスイッチング素子
5 ドライバ回路
6 点火栓
7 定電圧ダイオード
8 キャパシタ
9 ダイオード
10 レジスタ
11 イオン検出装置
12 保護ダイオード
13 ECU
100 一次線輪
200 二次線輪

Claims (4)

  1. 電源と点火コイルの一次線輪およびスイッチング素子の直列回路からなる電流遮断方式の点火装置において、上記一次線輪を分路する第二のスイッチング素子を備え、さらに上記点火コイルの二次線輪に点火プラグとイオン電流検出装置を備え、内燃機関の回転数に応じて上記第二のスイッチング素子の動作タイミングを制御する構成としたことを特徴とするイオン電流検出装置を備える点火装置。
  2. 点火コイルの放電持続時間が内燃機関のアイドル回転数の時には2.5ms以上であり、高回転数の時には1.0ms以下であることを特徴とする請求項1に記載のイオン電流検出装置を備える点火装置。
  3. イオン電流検出装置の検出開始時間を少なくとも内燃機関実用回転域においてATDC(圧縮上死点後)15度程度としたことを特徴とする請求項1と請求項2に記載のイオン電流検出装置を備える点火装置。
  4. 点火コイルの磁気回路が閉磁路の鉄心構造からなることを特徴とする請求項1及至請求項3に記載のイオン電流検出装置を備える点火装置。
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