JP2002221139A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

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JP2002221139A JP2001017569A JP2001017569A JP2002221139A JP 2002221139 A JP2002221139 A JP 2002221139A JP 2001017569 A JP2001017569 A JP 2001017569A JP 2001017569 A JP2001017569 A JP 2001017569A JP 2002221139 A JP2002221139 A JP 2002221139A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 一次巻線への通電開始時に点火プラグに火花
放電が発生して、混合気への誤着火を引き起こすことを
抑制すると共に、点火プラグの電極におけるイオン電流
の発生と、その検出精度が良好な内燃機関用点火装置を
提供する。 【解決手段】 一次巻線L1への通電が遮断され点火プ
ラグ13にて火花放電が開始すると、二次電流i2によ
り静電容量Cへの充電が開始される。次に、内燃機関の
運転状態に基づきECU19にて設定される火花放電継
続時間が経過した時点で、指令信号Saをハイレベルに
して一次巻線L1を再度通電し、火花放電を強制的に遮
断する。それにより、静電容量Cの充電電圧は火花放電
時の電圧値に制限され、火花放電の遮断後に充電電圧が
点火プラグ13に印加されて電極間にイオン電流が発生
し検出抵抗21を介して該イオン電流ioを検出回路2
5にて検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火コイルの点火
用高電圧を印加することで点火プラグに火花放電を発生
させると共に、火花放電の終了後に点火プラグの電極間
にイオン電流を発生させ、そのイオン電流を検出する機
能を備えた内燃機関用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジン等に代表される内燃機関
では、点火プラグにおける火花放電の発生により混合気
が燃焼するとその燃焼に伴ってイオンが発生することか
ら、点火プラグの火花放電により混合気が燃焼した後
に、その点火プラグの電極間に電圧を印加することでイ
オン電流が流れる。そして、イオンの発生量は混合気の
燃焼状態によって変化することから、このイオン電流を
検出し、解析処理を行うことによって、失火やノッキン
グ等の燃焼状態を検出することができる。
【0003】従来より、このイオン電流を発生させる機
能を備えた点火装置としては、二次巻線の一端(高圧
端)に点火プラグが接続される一方、二次巻線の他端
(低圧端)に直列にコンデンサが接続され、点火プラグ
での火花放電発生時に流れる二次電流(放電電流)によ
りこのコンデンサを充電し、火花放電終了後に充電され
たコンデンサを放電して点火プラグの電極間に電圧を印
加することで、点火プラグの電極間にイオン電流を発生
させる構成が主流である(例えば、特開平4−1914
65号公報や特開平10−238446号公報など)。
【0004】なお、このような点火装置では、コンデン
サにツェナーダイオードが並列接続され、コンデンサが
過充電により破壊されるのを防ぐと共に、その両端電圧
を一定電圧(100〜300〔V〕)に制限している。
このようにしてコンデンサをイオン電流発生用の電源と
する点火装置は、イオン電流発生用の専用電源装置を特
に必要とせずに部品点数が比較的少なくなり、安価な構
成を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のように
二次コイルの低圧端に接続されるコンデンサを火花放電
時に流れる二次電流にて充電し、放電させることでイオ
ン電流を発生させる構成の点火装置では、点火コイルに
磁束エネルギを蓄積するために一次巻線への通電を開始
した際に、点火用高電圧とは逆極性の高電圧(数kV)
が二次巻線の両端に発生し、点火時期以前に火花放電を
生じて混合気への誤着火を引き起こすといった問題があ
る。
【0006】つまり、従来からの点火装置では、二次電
流の通電経路に直列接続されるコンデンサに対して、火
花放電発生時には充電が可能となり、かつイオン電流検
出時(火花放電終了時)には放電が可能となるように、
二次電流の通電経路にて両方向の電流が通電可能に構成
されている。このために、一次巻線への通電開始時に、
二次巻線の両端に一次巻線への通電遮断時とは逆極性の
誘導電圧が発生して、この電圧が火花放電に必要な電圧
値を超えると、本来の火花放電時とは逆方向に電流が流
れて、点火プラグに火花放電が発生してしまうのであ
る。
【0007】なお、一次巻線への通電時間を同じ長さに
設定した条件下では、内燃機関の回転速度が高くなるほ
ど、一次巻線への通電開始時期は、クランク角度の早い
時期に設定されることになり、シリンダ内の筒内圧が低
い時期に設定されることになる。そして、点火プラグの
火花放電に必要な電圧値は、シリンダ内の筒内圧が低く
なるほど低下することが知られていることから、特に高
回転運転時には、一次巻線への通電開始時に二次巻線に
発生する点火用高電圧とは逆極性の数kV程度の電圧に
よっても、混合気への誤着火が起こり易くなるのであ
る。
【0008】このような混合気への誤着火を防ぐには、
点火プラグと二次巻線とにより形成される閉ループ(通
電経路)を流れる電流の通電方向を一方向とし、具体的
には一次電流の通電遮断時にのみ電流が流れるのを許容
するように、この閉ループ中に逆流防止用ダイオードを
設けるとよい。しかし、上述の公報技術に代表される点
火装置にて、逆流防止用ダイオードを点火プラグと二次
巻線とにより形成される閉ループ中に設けたのでは、二
次電流によるコンデンサへの充電は可能となるものの、
その放電に伴って上記閉ループに電流を流すことができ
ない。そのために、点火プラグの電極間にイオン電流を
発生させることが不可能となる。
【0009】そこで、本発明はこうした問題に鑑みて、
一次巻線への通電開始時に点火プラグに火花放電が発生
し、混合気への誤着火を引き起こすことを抑制するとと
もに、点火プラグの電極間におけるイオン電流の発生、
及びそのイオン電流を精度良く検出可能な内燃機関用点
火装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】かかる
目的を達成するためになされた本発明は、一次巻線及び
二次巻線を有し、一次巻線に流れる一次電流を遮断する
ことで二次巻線に点火用高電圧を発生する点火コイル
と、点火コイルの一次巻線に直列接続されて、一次電流
の通電・遮断を行うためにスイッチング駆動される主制
御スイッチング手段と、二次巻線に直列接続されて閉ル
ープを形成すると共に、点火用高電圧が印加されること
で火花放電を発生する点火プラグとを備えた内燃機関用
点火装置であって、二次巻線と点火プラグにより形成さ
れる閉ループ中に接続され、一次巻線への通電遮断時に
閉ループに流れる電流の通電を許容し、一次巻線への通
電開始時に閉ループに流れる電流の通電を阻止する逆流
防止用ダイオードと、点火プラグと二次巻線の高圧端と
を接続する通電経路との間で容量結合すると共に、点火
プラグにおける火花放電中に流れる電流により充電され
る静電容量構成手段と、静電容量構成手段に直列接続さ
れる電流検出手段と、火花放電の終了後における静電容
量構成手段の放電により点火プラグの電極間にイオン電
流が流れるときに、電流検出手段に流れるイオン電流に
比例した電流を検出する検出回路とを備えており、点火
プラグの火花放電の開始後、外部により決定される火花
放電継続時間が経過したタイミングに応じて火花放電を
強制的に遮断することを特徴とする。
【0011】まず本発明では、点火コイルの二次巻線と
点火プラグとにより形成される閉ループ中に逆流防止用
ダイオードを設けることにより、この閉ループ(通電経
路)における電流の通電方向を一方向に制限している。
そして、この逆流防止用ダイオードは、一次巻線への通
電開始時に、二次巻線の両端に発生する点火用高電圧と
は逆極性の電圧の発生に伴って流れる電流の通電を阻止
するように設けることで、一次巻線への通電開始時にて
二次巻線に発生する数kVの電圧によって点火時期以前
に点火プラグに火花放電が発生するのを防ぐことができ
る。
【0012】ここで、従来技術の二次巻線の低圧端に接
続されるコンデンサを二次電流により充電した後、当電
荷を放電してイオン電流を発生させる点火装置では、上
述のように二次巻線と点火プラグとの閉ループにおける
電流の通電方向を一方向に制限すると、イオン電流を発
生させることができなかった。それに対し本発明では、
イオン電流を発生させるための電流源として、二次巻線
の高圧端と点火プラグを接続する通電経路との間で容量
結合される静電容量構成手段を設け、さらにこの静電容
量構成手段に直列に電流検出手段を設けている点が注目
すべき点である。
【0013】これにより、二次巻線の高圧端と点火プラ
グとを接続する通電経路に流れる電流が逆流防止用ダイ
オードにより一方向に制限された場合にも、点火プラグ
での火花放電中に流れる電流(即ち、二次電流)にて静
電容量構成手段を充電することができる。そして、火花
放電終了後に、静電容量構成手段に充電された電荷によ
り、静電容量構成手段、点火プラグの電極間、電流検出
手段により形成される閉ループに電流(イオン電流)を
流すことになる。その結果、電流検出手段に流れるイオ
ン電流に比例した電流を、検出回路により検出可能とな
る。つまり、本発明では、点火プラグの火花放電中に流
れる二次電流とイオン電流の流れる方向を一方向に合わ
せることで、上記逆流防止用ダイオードを設けた際にも
点火プラグの電極間にイオン電流を発生させることがで
きるのである。
【0014】但し、上述のように逆流防止用ダイオード
を設けた上で、二次巻線の高圧端と点火プラグとの通電
経路との間に容量結合する静電容量構成手段を設けれ
ば、イオン電流を良好に発生可能ではあるものの、以下
の問題が生じるおそれがある。それは、上記静電容量構
成手段は、点火プラグの火花放電中に流れる二次電流に
より充電される訳だが、火花放電が自然終了したときに
点火コイルに残る残留エネルギによっても再度充電され
ることになる。即ち、点火コイルでは、点火プラグでの
火花放電が自然終了したときには火花放電の継続には不
十分ではあるものの残留エネルギが残っているために、
静電容量構成手段を再度充電してしまう。
【0015】そして、火花放電が終了した際に点火コイ
ルに残る残留エネルギの大きさは、点火コイルの特性に
よっても異なるが、内燃機関の運転状態により大きく影
響を受ける。そのために、高回転高負荷時では、燃焼室
内の乱流(スワール流やタンブル流)の流速が早く火花
は早めに吹き消され火花放電継続時間は短いことから、
点火コイルの残留エネルギは大きく、静電容量構成手段
への充電電圧は比較的高くなる。逆に低回転低負荷時に
は、燃焼室内の乱流の流速が遅く火花放電継続時間は比
較的長いことから、点火コイルの残留エネルギは少な
く、静電容量構成手段の充電電圧は比較的低くなる。な
お、点火コイルの残留エネルギによって静電容量構成手
段に再度充電されたときの充電電圧は、内燃機関の運転
状態の違いにより、例えば1〜5〔kV〕の範囲で変化
する。
【0016】そして、イオン電流を発生させるための電
流源である上記静電容量構成手段における充電電圧が変
化するに伴い、電流検出手段に流れるイオン電流に比例
した電流値は変化する。即ち、内燃機関の運転状態の違
い(火花放電継続時間の長短)により、電流検出手段を
介して検出回路にて検出されるイオン電流に比例した電
流値に大きな幅(差)が生じてしまうのである。そし
て、検出回路にて検出されるイオン電流に比例した電流
は、失火やノッキング等の燃焼状態の検出を行うため
に、一般に内燃機関を総合的に制御する電子制御装置
(ECU)にて判読可能な信号に処理されるが、イオン
電流に比例した電流のダイナミックレンジ(換言すれ
ば、イオン電流を電圧変換したときの電圧範囲)は、当
該検出回路の電源電圧以下にする必要がある。そのため
に、このイオン電流に比例した電流のダイナミックレン
ジは、最も電流値が大きくなる条件でも範囲を超えない
ように検出回路側にて設定する必要があるが、このよう
にダイナミックレンジを広い範囲で設定することは、ア
イドル時といった最も低回転低負荷時に検出される小さ
い電流値(イオン電流値)に対する検出精度の低下につ
ながってしまうことがある。
【0017】そこで、本発明では、上記逆流防止用ダイ
オードを備えると共に、イオン電流を発生させる電流源
として上記静電容量構成手段を用いるが故に、点火プラ
グにて発生する火花放電を、外部にて決定される火花放
電継続時間が経過したタイミングで強制的に遮断してい
る点が、さらに注目すべき点である。
【0018】点火プラグでの火花放電を強制的に遮断す
るには、外部にて決定される火花放電継続時間が経過し
たタイミングで一次巻線に対して再度通電を行うことで
実現することができる。ここで、点火用高電圧の供給に
伴う点火プラグの火花放電中に一次巻線に対して再度通
電を行うと、火花放電によるエネルギ消費により低下傾
向を示していた磁束が再び増加方向に転じ、二次巻線側
では当該磁束変化を打ち消す逆起電力が発生し、火花放
電が強制的に遮断されるのである。
【0019】そして、火花放電の遮断時には、点火コイ
ルの二次巻線側では逆起電力が発生するが、本発明で
は、上記逆流防止用ダイオードを備えた上で、火花放電
を強制的に遮断している関係上、火花放電中に二次巻線
の高圧端と点火プラグとの通電経路に容量結合される静
電容量構成手段に充電された電荷が逆起電力に引っぱら
れて二次巻線側に逆流することはない。
【0020】さらに、点火プラグの火花放電を火花放電
継続時間に応じて強制的に遮断することで、上記静電容
量構成手段の充電電圧を、点火コイルの残留エネルギに
よらず火花放電中の電圧値に制限することができる。そ
れにより、静電容量構成手段に充電される充電電圧は、
例えば300〜800〔V〕の範囲内に制限され、点火
コイルの残留エネルギによりこの静電容量構成手段に再
度充電される場合の充電電圧の範囲に比べてその範囲を
大きく縮小する(換言すれば略一定に制限する)ことが
でき、ひいては検出回路側でのイオン電流に比例した電
流のダイナミックレンジを縮小させて、内燃機関の運転
状態によるイオン電流(イオン電流に比例した電流)の
検出精度の低下を抑制することができる。
【0021】したがって、本発明によれば、逆流防止用
ダイオードを設けることで、一次巻線への通電開始時に
誤って混合気への着火が行われることがなくなり、内燃
機関の損傷を防ぐことができる。そして、この逆流防止
用ダイオードを設ける場合にも、二次巻線の高圧端と点
火プラグの通電経路に容量結合する静電容量構成手段を
設けることで、点火プラグの電極間にイオン電流を発生
可能となる。さらに、点火プラグの火花放電を外部にて
決定される火花放電継続時間が経過したタイミングで強
制的に遮断する構成を図ることで、この静電容量構成手
段への充電電圧を火花放電中の電圧値に制限し、内燃機
関の運転状態が異なる場合にも、イオン電流(イオン電
流に比例した電流)の検出精度を向上させることができ
る。
【0022】なお、イオン電流を発生させるために点火
プラグの電極間に電圧を印加するに際しては、点火プラ
グを構成する中心電極が負電位、接地電極が正電位とな
るように印加する場合に比べ、中心電極が正電位、接地
電極が負電位となるように印加する場合の方が、良好に
イオン電流が発生することが知られている。これは、体
積の大きい陽イオンが、中心電極よりも表面積の大きい
接地電極から電子の供給を受け易くなり、多くの電子の
交換、移動が行われることになるからである。
【0023】このことから、本発明では、点火プラグの
火花放電中に充電された静電容量構成手段の放電の際
に、点火プラグの中心電極を正電位、接地電極を負電位
として電圧が印加されるように構成することで、イオン
電流の検出精度を高めることができる。そして、このた
めには、一次電流の通電遮断時に点火用高電圧が点火プ
ラグの中心電極が正電位として印加されるように、点火
コイル(具体的には点火プラグに接続される二次巻線の
巻線方向)を調整すればよい。
【0024】ところで、点火プラグの火花放電を強制的
に遮断するにあたり、外部にて決定される火花放電継続
時間は、予め一定時間に設定することが可能である。こ
の場合には、火花放電継続時間は、あらゆる内燃機関の
運転状態に応じても混合気の燃焼が可能となるように比
較的長い一定時間を設定することが望ましい。しかし、
内燃機関では、高回転高負荷時ほど火花放電は混合気の
乱流に吹き流され自然に終了し易くなるので、火花放電
継続時間を比較的長い一定時間に設定すると、火花放電
を遮断する前に火花放電が自然終了し、点火コイルの残
留エネルギによる上記静電容量構成手段への再充電を生
ずるおそれがある。
【0025】そこで、本発明では、内燃機関の運転状態
に基づき、点火プラグの火花放電継続時間を算出する火
花放電継続時間算出手段を備え、点火プラグの火花放電
開始後、火花放電継続時間算出手段により算出された火
花放電継続時間が経過したタイミングに応じて火花放電
を強制的に遮断するようにするとよい。
【0026】これにより、あらゆる内燃機関の運転状態
に対し、静電容量構成手段に対する点火コイルの残留エ
ネルギによる再充電を生ずることを抑え、イオン電流に
比例した電流の検出精度をより向上させることができ
る。なお、火花放電継続時間算出手段にて算出される火
花放電継続時間は、高回転高負荷時となるほど短く、逆
に低回転低負荷時となるほど長く設定する必要がある。
このように設定することで、あらゆる運転状態にも混合
気を燃焼させ易く、さらには火花エネルギの供給につい
ても制御され、点火プラグの電極消耗を抑えられる効果
も得られる。
【0027】ここで、点火プラグの火花放電を火花放電
継続時間に応じて強制的に遮断するには、火花放電中に
一次巻線に再度通電を行うことにより実現できるが、そ
の具体的な手法としては、一次巻線に直列に接続され、
点火用高電圧の発生のために一次巻線に流れる一次電流
を通電・遮断する主制御スイッチング手段を、火花放電
継続時間が経過したタイミングに再度スイッチング駆動
するとよい。この手法であれば、1つのスイッチング手
段を用いて、点火用高電圧の発生と火花放電の遮断を行
うことができ、部品点数を抑えることができる。
【0028】しかし、上記手法では、内燃機関の運転中
における主制御スイッチング手段に対する通電時間が長
くなりがちで発熱量が大きくなり、発熱に伴い主制御ス
イッチング手段が故障する可能性がある。そこで、火花
放電中に一次巻線に再度通電を行うにあたっては、火花
遮断用スイッチング手段に直列接続され、一次巻線への
通電を再開した後に前記点火プラグにて火花放電が発生
しないように該一次巻線に流れる電流を減少させる電流
調整手段と、を少なくとも含む再通電用回路を、主制御
スイッチング手段に並列に接続して、火花放電継続時間
が経過したタイミングに応じて火花遮断用スイッチング
手段をスイッチング駆動させるようにするとよい。
【0029】かかる構成を図ることにより、一次巻線へ
の通電・非通電及び火花放電を遮断するための再通電を
1つのスイッチング手段を用いて行う必要がなくなる。
さらには、電流調整手段が例えば容量素子で構成されて
いる場合、火花遮断用スイッチング手段を通電状態とす
ることで火花放電を遮断すべく一次巻線に再度通電され
る一次電流が、火花遮断用スイッチング手段に直列接続
された電流調整手段により点火プラグにて火花放電が発
生しないように緩やかに減少されることになる。このよ
うに、点火用高電圧と火花放電の遮断を行うためのスイ
ッチング手段を分担することで、1つのスイッチング手
段に対する負荷を低減し、その発熱量を小さく抑えなが
ら火花放電を遮断することができ、より信頼性の高い点
火装置となる。なお、主制御または火花遮断用スイッチ
ング手段としては、具体的にパワートランジスタやFE
T等の半導体素子からなるスイッチング素子を挙げるこ
とができる。
【0030】さらに、点火プラグの火花放電を火花放電
継続時間に応じて強制的に遮断すべく、火花放電中に一
次巻線に再度通電を行うにあたっては、一次巻線の両端
に接続される一次巻線短絡手段を設け、火花放電継続時
間が経過したタイミングに一次巻線短絡手段を動作させ
て一次巻線の両端を短絡させるようにしてもよい。
【0031】このように、点火プラグの火花放電中に、
一次巻線の両端に接続される一次巻線短絡手段にて一次
巻線を短絡すると、点火コイルに残されている磁束によ
り一次巻線とスイッチング素子とで形成される閉ループ
に電流が流れ始める。そして、この電流が次第に増加し
て、火花放電発生時の点火用高電圧とは逆極性の電圧が
二次巻線に誘導されることで、火花放電が遮断されるこ
とになるのである。
【0032】なお、このような一次巻線短絡手段として
は、サイリスタやトライアック等が挙げられる。とりわ
けサイリスタ等を一次巻線短絡手段に適用すれば、一次
巻線の両端を短絡した後、一次巻線とサイリスタ等とで
形成される閉ループに電流が流れなくなれば、一次巻線
の両端を自動的に開放するように自身が機能することに
なる。そして、一次巻線短絡手段がこのような機能を発
揮することで、短絡される一次巻線の両端の開放時期を
制御する必要がなくなり、一次巻線短絡手段を動作させ
るタイミングのみを制御すればよく、火花放電を強制的
に遮断するための制御処理を簡略化させることができ
る。また、サイリスタ等の適用により、一次巻線への再
通電時に一次巻線に流れる電流は徐々に低下することに
なり、一次巻線の過剰な発熱を抑えることも可能であ
る。
【0033】また、本発明では、逆流防止用ダイオード
は、二次巻線の高圧端と点火プラグとを接続する通電経
路中に接続され、静電容量構成手段は、点火プラグと逆
流防止用ダイオードとを接続する通電経路との間で容量
結合されるように構成するとよい。
【0034】つまり、このように逆流防止用ダイオード
及び静電容量構成手段を配置させることで、静電容量構
成手段の放電により発生するイオン電流の通電経路に対
し、点火コイル(詳細には二次巻線)から流れ込む電流
を、逆流防止用ダイオードにより一方向のみに制限する
ことができ、点火コイルによる減衰振動がイオン電流に
重畳するのを抑制でき、イオン電流検出時におけるノイ
ズの影響を抑えることができる。
【0035】さらに、本発明では、電流検出手段は、静
電容量構成手段に直列接続される検出用抵抗を備えてお
り、検出回路は、点火プラグの電極間にイオン電流が流
れるときに、検出用抵抗の両端電圧を検出することでイ
オン電流に比例した電流を検出するようにするとよい。
このような構成によれば、火花放電の強制的な遮断に伴
い静電容量構成手段の放電が開始されると、検出抵抗の
両端に電圧が発生することになる。そして、検出回路に
て検出用抵抗の両端電圧を検出することで、測定した両
端電圧値と検出用抵抗の抵抗値とに基づいて検出用抵抗
に流れる電流が算出されることになり、ひいてはイオン
電流の大きさを検出することができる。
【0036】なお、静電容量構成手段に対して直列に検
出用抵抗を設けると、火花放電中に静電容量構成手段を
充電する際に検出用抵抗にも電流が流れるので、検出用
抵抗の両端に余計なノイズ成分が生じ、イオン電流にそ
のノイズ成分が重畳する可能性がある。そこで、アノー
ドが検出用抵抗と静電容量構成手段との接続点に接続さ
れる形態で、検出用抵抗に並列接続されるバイパス用ダ
イオードを備えるとよい。これにより、静電容量構成手
段への充電時に流れる電流は、バイパス用ダイオードを
流れることになり、検出用抵抗の両端における余分なノ
イズ成分の発生を抑制し、検出回路におけるイオン電流
(イオン電流に比例した電流)の検出精度を高めること
ができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。 (第1実施形態)まず、図1は、第1実施例のイオン電
流検出が可能な内燃機関用点火装置の構成を表す電気回
路図である。なお、本実施例では、1気筒分について説
明を行うが、本発明は複数の気筒を備える内燃機関につ
いても適用でき、気筒毎の点火装置の基本構成は同様で
ある。
【0038】図1に示すように、第1実施例の内燃機関
用点火装置1は、定電圧(例えば、12〔V〕)を出力
する電源装置(バッテリ)11と、内燃機関の気筒に設
けられた点火プラグと、一次巻線L1と二次巻線L2と
を有し点火用高電圧を発生する点火コイル15と、一次
巻線L1と直列接続されたnpn型パワートランジスタ
からなるトランジスタ17と、トランジスタ17をスイ
ッチング駆動するための指令信号Saを出力する電子制
御装置19(以下、ECU19と呼ぶ)とを備えてい
る。さらには、アノードが二次巻線L2の高圧端35に
接続され、カソードが点火プラグ13の中心電極13a
に接続された逆流防止用ダイオード31と、中心電極1
3aと逆流防止用ダイオード31とを接続する通電経路
に接近して容量結合され、後述する点火プラグ13での
火花放電中に電荷を蓄積させる静電容量を構成する導電
体33と、この導電体33と電源装置11の負極と同電
位のグランドとの間に接続される検出抵抗21と、検出
抵抗21に並列接続されるバイパス用ダイオード23
と、検出抵抗21の両端電圧Vr(イオン電流に比例す
る検出電流io×検出抵抗21の抵抗値)に基づき、イ
オン電流に応じて変動するイオン電流検出信号SiをE
UC19に出力する検出回路25を備えている。
【0039】これらのうち、トランジスタ17は、点火
コイル15の一次巻線L1への通電・遮断を行うため
に、指令信号Saに基づいてスイッチング駆動されるス
イッチング素子であり、本実施例の点火装置はフルトラ
ンジスタ型点火装置である。そして、一次巻線L1は、
一端が電源装置11の正極に接続され、他端がトランジ
スタ17のコレクタに接続されており、二次巻線L2
は、一端(低圧端)が電源装置11の負極と同電位のグ
ランドに接続され、他端(高圧端35)が逆流防止用ダ
イオード31のアノードに接続されている。
【0040】また、逆流防止用ダイオード31は、上述
のように接続されることで、二次巻線L2から点火プラ
グ13の中心電極13aに向かう電流の通電を許容し、
点火プラグ13の中心電極13aから二次巻線L2に向
かう電流の通電を阻止するように機能する。
【0041】次に、導電体33は、中心電極13aと逆
流防止用ダイオード31とを接続する通電経路の周囲を
包囲する電極板からなり、上記通電経路と導電体33と
の間で容量結合して静電容量C(図1に示す点囲み線部
分)を構成する一方、検出抵抗21を介して電源装置1
1の負極と同電位のグランドに接続されている。そし
て、静電容量C及び検出抵抗21の直列回路は、後述す
るイオン電流発生時に、点火プラグ13と共に閉ループ
を構成することになる。
【0042】また、バイパス用ダイオード23は、アノ
ードが導電体33により構成される静電容量Cと検出抵
抗21との接続点に接続され、カソードが電源装置11
の負極と同電位のグランドに接続されて、検出抵抗21
に並列接続されている。さらに、静電容量Cと検出抵抗
21との接続点は、検出回路25の入力端子に接続され
ている。
【0043】検出回路25は、検出抵抗21の両端電圧
Vrに基づき、イオン電流検出信号SiをECU19に
出力するものであって、内燃機関の運転状態によって変
化する検出抵抗21の両端電圧Vrのダイナミックレン
ジ(変動範囲)に対応できるように構成されると共に、
イオン電流検出信号Siの変動範囲がECU19に入力
可能な範囲を逸脱しないように構成されている。
【0044】さらに、点火プラグ13において、中心電
極13aと対向して火花放電を発生させる火花放電ギャ
ップを形成する接地電極13bは、電源装置11の負極
と同電位のグランドに接地されている。また、トランジ
スタ17は、ベースがECU19の指令信号Saの出力
端子に接続され、エミッタが電源装置11の負極と同電
位のグランドに接地されている。
【0045】このような内燃機関用点火装置1では、E
CU19から出力される指令信号Saがローレベル(一
般にグランド電位)である場合には、ベース電流ibが
流れずトランジスタ17はオフ状態となり、一次巻線L
1に一次電流i1が流れることはない。また、ECU1
9から出力される指令信号Saがハイレベル(一般に定
電圧電源からの供給電圧5[V])である場合には、ベ
ース電流ibが流れてトランジスタ17はオン状態とな
り、一次巻線L1に一次電流i1が流れる。
【0046】そして、点火時期から予め定められた時間
遡った時点より、指令信号Saをローからハイレベルに
変化させて一次巻線L1に一次電流i1を流し、点火時
期に応じて指令信号Saをハイからローレベルに変化さ
せると、一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断
(停止)されて、点火コイル15における磁束密度が急
激に変化して、二次巻線L2に点火用高電圧が発生する
と共に、点火プラグ13に火花放電が発生する。
【0047】なお、点火コイル15は、二次巻線L2に
おける点火プラグ13の中心電極13aにグランド電位
よりも高い正極性の点火用高電圧を発生するように構成
されている。そして、火花放電に伴い二次巻線L2に流
れる二次電流i2は、二次巻線L2から逆流防止用ダイ
オード31、点火プラグ13の中心電極13a、接地電
極13bの順に通過して、グランドを介して二次巻線L
2に戻る方向に流れる。
【0048】ここで、点火プラグ13の火花放電中に流
れる二次電流i2は、逆流防止用ダイオード31、静電
容量C及びバイパス用ダイオード23からなる閉ループ
にも流れることになる。それにより、二次巻線L2と点
火プラグ13との通電経路にて容量結合される静電容量
Cは、この二次電流i2によって電荷が蓄積されること
になる。
【0049】そして、点火プラグ13の火花放電中に、
指令信号Saをローからハイレベルに変化させると、ト
ランジスタ17にベース電流ibが供給され一次巻線L
1に再度一次電流i1が流れる。これにより、二次巻線
L2の両端に点火用高電圧とは逆極性の電圧が発生し、
点火プラグ13における火花放電が強制的に遮断され
る。そして、点火プラグ13の火花放電が遮断される
と、火花放電中に流れる二次電流i2により静電容量C
に充電された充電電圧が、点火プラグ13に放電される
ことになる。そして、点火プラグ13の電極13a−1
3b間にイオンが存在する場合には、電極13a−13
b間にイオン電流が発生し、静電容量Cの一端から点火
プラグ13を通り、グランド、検出抵抗21を通じて静
電容量Cの他端に至る経路にイオン電流に比例した検出
電流ioが流れることになる。
【0050】ここで、静電容量Cについては、点火プラ
グ13の火花放電中に流れる二次電流i2により充電さ
れるものであるが、二次巻線L2と点火プラグ13とに
より形成される閉ループ中に一次巻線L1の通電開始時
に流れる電流の通電を阻止する逆流防止用ダイオード3
1を備え、かつ火花放電を強制的に遮断して二次巻線L
2に逆起電力を発生させている関係上、点火コイル13
の残留エネルギによって再充電されることはない。
【0051】そして、この静電容量Cの放電により、点
火プラグ13の電極13a−13b間にイオン電流が発
生すると、検出電流ioの大きさに比例した電圧が検出
抵抗21の両端に発生し、検出抵抗21の両端電圧Vr
が検出電流io(イオン電流)の大きさに比例して変化
することになる。このとき、検出電流ioの発生に伴い
バイパス用ダイオード23に印加される電圧は、順方向
電圧ではなく逆方向電圧となるために、検出電流ioは
バイパス用ダイオード23には流れず、検出抵抗21を
通じて流れる。
【0052】このようにして検出抵抗21の両端電圧V
rが変化することで、検出回路25は、検出した検出抵
抗21の両端電圧Vrに基づくイオン電流検出信号Si
をECU19に出力する。なお、検出回路25は、EC
U19の入力端子の入力レンジに応じた範囲内で検出抵
抗21の両端電圧Vrと同様の変化を示すように、かつ
検出抵抗21の両端電圧Vrとは正負が反転した信号
を、イオン電流検出信号SiとしてECU21に出力し
ている。
【0053】ここで、混合気への着火が正常に行われた
場合の図1に示す回路図における指令信号Sa、一次巻
線L1に流れる一次電流i1、点火プラグ13の中心電
極13aの電位Vp、検出抵抗21の両端電圧Vr(換
言すれば、イオン電流)の各状態を表すタイムチャート
を図2に示す。
【0054】図2に示すように、時刻t1にて、指令信
号Saがローからハイレベルに切り換わると、一次巻線
L1に一次電流i1が流れ始める。このとき、一次電流
i1の通電開始に伴う磁束密度の変化により、二次巻線
L2の両端に点火プラグ13の中心電極13aが負電位
となる数kVの電圧が発生する。但し、一次電流i1の
通電開始時に二次巻線L2の両端に発生する電圧により
生じる電流は、逆流防止用ダイオード31により通電が
阻止されるので、点火プラグ13の中心電極13aの電
位Vpが変化することなく、火花放電が発生することは
ない。
【0055】そして、時刻t1からあらゆる内燃機関の
運転状態に適応するように予め設定された通電時間(一
次電流通電時間)が経過した時刻t2(点火時期)に、
指令信号Saがハイからローレベルに切り換わると、一
次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断され、二次巻
線L2に点火用高電圧(数十[kV]以上)が発生す
る。そして、二次巻線L2の高圧端35から点火プラグ
13の中心電極13aに正極性の点火用高電圧が印加さ
れて、中心電極13aの電位Vpが急峻に上昇し、点火
プラグ13に火花放電が発生して、二次巻線L2に二次
電流i2が流れる。なお、この点火プラグ13の火花放
電中に、静電容量Cに電荷が蓄積される。
【0056】このあと、外部(ECU19)にて決定さ
れる火花放電継続時間が経過した時時刻t3に、指令信
号Saをローからハイレベルに切り換えると、一次巻線
L1に再度一次電流iが流れ始める。すると、点火プラ
グ13にて発生する火花放電が強制的に遮断され、それ
に同期して静電容量Cの充電電圧が放電されて点火プラ
グ13の電極間に印加され、正常燃焼時にはこの電極間
におけるイオンの発生量に応じて、検出抵抗21にイオ
ン電流に比例した検出電流ioが流れる。
【0057】そして、時刻t4になると指令信号Saの
レベルが緩やかに減少を開始し、時刻t5になると指令
信号Saがローレベルとなる。このように緩やかに指令
信号Saを減少させてトランジスタ17のベース電流i
bを緩やかに減少させることで、トランジスタ17の電
流増幅率の関係から、一次電流i1は緩やかに減少す
る。これにより、一次電流i1を瞬時に通電遮断する場
合に比べて、点火コイル15での単位時間あたりの磁束
密度の変化が小さくなり、二次巻線L2の両端に発生す
る電圧が小さくなるため、二次巻線L2にて点火用高電
圧が発生することなく、不適切な時期における火花放電
の発生を抑制することができる。
【0058】このようにしてイオン電流が図2における
時刻t3以降から発生すると、静電容量Cの一端から点
火プラグ13を通り、グランド、検出抵抗21を通じて
静電容量Cの他端に至る経路にイオン電流に比例した検
出電流ioが流れる。それにより、検出抵抗21の両端
に電位差が発生し、検出抵抗21の両端電圧Vrはイオ
ン電流の大きさに応じて変化することになる。このとき
のイオン電流(検出抵抗21の両端電圧Vr)の変動
は、図2における時刻t3から時刻t4までの波形のよ
うに、略山形の波形を示すことになる。
【0059】なお、図2に示すイオン電流は、正常燃焼
時の波形を示しており、時刻t3から時刻t4までの期
間には、イオンの発生量に応じたイオン電流が発生する
ものである。また、検出抵抗21の両端電圧Vrの検出
位置の関係から、図2では、イオン電流波形(両端電圧
Vr)は負の値となるほど(図中下になるほど)、イオ
ン電流の電流量が大きくなる。このことから、例えば、
時刻t3〜時刻t4におけるイオン電流波形におけるピ
ーク値と、失火判定用に予め定められた判定基準値とを
比較してピーク値が判定基準値以上となる場合には正常
放電と判定し、ピーク値が判定基準値よりも小さい場合
には失火が判定していると判定することができる。
【0060】次に、内燃機関用点火装置1のECU19
において実行されるイオン電流検出処理について、図3
に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ECU
19は、内燃機関の火花放電発生時期(点火時期)、火
花放電の遮断時期、燃料噴射量、アイドル回転数等を総
合的に制御するためのものであり、以下に説明するイオ
ン電流検出処理のほかに、別途、内燃機関の吸入空気量
(吸気管圧力),回転速度(エンジン回転数)、スロッ
トル開度、冷却水温、吸気温等、機関各部の運転状態を
検出する運転状態検出処理等を実行している。
【0061】また、図5に示すイオン電流検出処理は、
例えば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出する
クランク角センサからの信号に基づき、内燃機関が、吸
気、圧縮、燃焼、排気を行う1燃焼サイクルに1回の割
合で実行されており、さらに、点火制御のための処理も
併せて実行している。
【0062】そして、内燃機関が始動されてイオン電流
検出処理が開始されると、まずS110(Sはステップ
を表す)にて、別途実行される運転状態検出処理にて検
出された運転状態を読込み、S120にて、その読み込
んだ運転状態に基づき、火花放電発生時期(所謂、点火
時期)ts及び火花放電継続時間Ttを設定する。
【0063】なお、S110の処理では、内燃機関のエ
ンジン回転数と、スロットル開度や吸気管負圧(吸入空
気量)等を用いて算出されるエンジン負荷とを含む情報
を、運転状態として読み込むことが好ましい。そして、
S120の処理における火花放電発生時期tsの設定に
ついては、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメー
タとするマップ若しくは計算式を用いて制御基準値を求
め、これを冷却水温,吸気温等に基づき補正するといっ
た従来公知の手順で行う。また、S120の処理におけ
る火花放電継続時間Ttの設定は、エンジン回転数及び
エンジン負荷の情報に基づいて、低回転低負荷時には長
く、高回転高負荷時には短くなるように、予め設定され
たマップ若しくは計算式を用いて設定(算出)する。本
実施例では、エンジン回転数とエンジン負荷をパラメー
タとするマップを用いて、最適な火花放電継続時間Tt
を設定する。
【0064】次に、S130では、S120にて設定し
た火花放電発生時期tsに基づき、火花放電発生時期t
sに対し予め設定された一次巻線L1の通電時間だけ早
い通電開始時期を求め、その通電開始時期に達した時点
(図2に示す時刻t1)で、指令信号Saをローからハ
イレベルに変化させる。なお、S130の処理により、
指令信号Saがローからハイレベルに切り換わると、ト
ランジスタ17がオン状態となり、一次巻線L1に一次
電流i1が流れる。また、火花放電発生時期tsまでの
一次巻線L1の通電時間は、その通電によって点火コイ
ル15に蓄積される磁束エネルギが、内燃機関のあらゆ
る運転条件下での点火プラグが放電するために必要な電
圧を満たすようにすべく予め設定されている。
【0065】そして、続くS140では、クランク角セ
ンサからの検出信号に基づき、S120で設定した火花
放電発生時期tsに達したか否かを判断し、否定判定さ
れた場合には、同ステップを繰り返し実行することで、
火花放電発生時期tsになるまで待機する。そして、S
140にて、火花放電発生時期tsに達したと判断され
ると(図2に示す時刻t2)、S150に移行する。す
ると、S150では、指令信号Saをハイからローレベ
ルに反転させ、この結果トランジスタ17がターンオフ
して一次電流i1が遮断され、二次巻線L2に点火用高
電圧が発生し、点火プラグ13に火花放電が発生する。
そして、火花放電の発生により、静電容量Cには二次電
流i2により充電が開始される。
【0066】次のS160では、S120で設定した火
花放電継続時間Ttに達したか否かを判断し、否定判定
された場合には、同ステップを繰り返し実行すること
で、火花放電継続時間Ttになるまで待機する。そし
て、S160にて、火花放電継続時間Ttに達したと判
断されると(図2に示す時刻t3)、S170に移行し
て、指令信号Saをローからハイレベルに切り変え、火
花放電を強制的に遮断する。そして、これに同期して静
電容量Cの充電電圧が放電される。
【0067】ついで、S180に移行し、検出抵抗21
を介して検出回路25から出力されるイオン電流検出信
号Siの読み込みを開始する。なお、このS180の処
理が開始された後は、ECU19の内部では、検出抵抗
21の両端電圧Vrの変化に応じて検出回路25から出
力されるイオン電流検出信号Siを読み込む処理が継続
して行われる。
【0068】続いて、S190に移行し、イオン電流i
oを検出するための時間として予めECU19にて設定
してある指令信号Saのハイレベル継続時間を経過した
か否かを判断し、否定判定された場合には、同ステップ
を繰り返し実行して待機する。なお、本実施例では、こ
の指令信号Saのハイレベル継続時間は、予め固定値と
しているが、運転状態に合わせて適宜値を変更するよう
に設定してもよい。
【0069】そして、S190にて、指令信号Saのハ
イレベル継続時間が経過したと判断されると(図2に示
す時刻t4)、S200に移行する。S200では、指
令信号Saをハイからローレベルに緩やかに減少させる
指令信号Saレベル低下処理を行う。これにより最終的
に一次電流i1の通電を停止(図2に示す時刻t5)す
ることができる。そして、S200の処理が開始される
と、S210に以降し、S170で開始したイオン電流
検出信号Siの読み込み処理を停止し、S210におけ
る処理が終了すると、本イオン電流検出処理が終了す
る。
【0070】なお、ECU19では、点火プラグ13の
電極13a−13b間に発生するイオン電流に比例する
検出電流ioに基づいて、内燃機関の失火の有無を判定
する失火判定処理を別途実行している。つまり、この失
火判定処理では、図2における時刻t3から時刻t4ま
での期間において、検出回路25から出力されるイオン
電流検出信号Siに基づき失火判定を行っている。
【0071】以上説明したように、本実施例の内燃機関
用点火装置1では、逆流防止用ダイオード31を設ける
ことで、一次巻線L1への通電開始時に誤って混合気へ
の着火が行われることを防いでいる。そして、この逆流
防止用ダイオード31を設けると共に、二次巻線L2の
高圧端35と点火プラグ13の通電経路に接近して容量
結合する導体体33から構成される静電容量Cを設ける
たことで、混合気への誤着火を防止しつつ、点火プラグ
13の電極間にイオン電流を発生可能となる。さらに、
点火プラグ13の火花放電を、EUC19にて内燃機関
の運転状態に基づいて算出される火花放電継続時間が経
過したタイミングで強制的に遮断する構成を図ること
で、この静電容量Cへの充電電圧を火花放電中の電圧値
に制限し、この静電容量Cの放電により点火プラグ13
の電極13a−13b間に流れるイオン電流を、検出抵
抗21を介して検出回路25により検出している。
【0072】(第2実施形態)ついで、第2の実施例に
ついて説明する。本第2実施例の内燃機関用点火装置
は、上記第1実施例において、点火プラグ13の火花放
電を強制的に遮断すべく一次巻線に再度通電を行うため
の手法が異なるものであり、具体的には図1に示す第1
実施例の回路図にて、一次巻線L1に直列接続されるト
ランジスタ17に、並列に火花遮断用トランジスタ47
を備える再通電用回路40を接続したものである(図4
参照)。但し、この再通電用回路40を設けたことによ
り、第1実施例におけるイオン電流検出処理が異なるも
のとなるために、第1実施例と異なる部分を中心に説明
し、同様な部分については同じ記号や番号を付し、説明
を省略あるいは簡略化する。
【0073】図4の回路図にて示すように、第2実施例
の内燃機関用点火装置2の再通電用回路は、エミッタが
接地され、ベースがECU19の第2指令信号Sbを出
力する端子と接続され、コレクタがコンデンサ49の一
端に接続されると共に、ダイオード45を介して接地さ
れたnpn型の火花火花遮断用トランジスタ47を備え
る。それより、ダイオード45は、アノードが接地さ
れ、カソードが火花火花遮断用トランジスタ47のコレ
クタに接続されている。また、コンデンサ49は、火花
遮断用トランジスタ47との接続端とは反対側の接続端
が、抵抗41を介して一次巻線L1に接続されている。
さらに、ダイオード43が抵抗41に並列接続されてお
り、ダイオード43は、アノードが抵抗45と一次巻線
L1との接続点に接続されている。
【0074】そして、ECU19から出力される第2指
令信号Sbがローレベルである場合には、再通電用回路
40内の火花遮断用トランジスタ47はオフ状態とな
り、一次巻線L1に一次電流i1を流すことはない。ま
た、第2指令信号Sbがハイレベルである場合、再通電
用回路40内の火花遮断用トランジスタ47はオン状態
となり、一次巻線L1に一次電流i1を流す。このと
き、一次巻線L1からコンデンサ49に流れ込む電流
は、ダイオード43を通じて流れる。そして、一次巻線
L1を流れる電流によってコンデンサ49に電荷が蓄積
されるに従い、一次電流i1は緩やかに減少し、コンデ
ンサ49に一次巻線L1のインダクタンスとコンデンサ
49の容量とで決まる一定の時定数にて、所定量の電荷
が蓄積されると、コンデンサ49に電流が流れなくな
り、一次電流i1を遮断する。
【0075】但し、コンデンサ49が、一次巻線L1側
に接続された電極を正極として完全に充電されている場
合、第2指令信号Sbがハイレベルであっても、一次電
流i1は流れないため、予めコンデンサ49に蓄積され
た電荷を放電させておく必要がある。そこで、本実施形
態では、点火用高電圧を発生させるための指令信号Sa
をハイレベルにする、即ちトランジスタ17をオン状態
とすることで、コンデンサ49が充電されている場合に
その電荷を放電させることができる。
【0076】つまり、トランジスタ17をオン状態とす
ると、トランジスタ17、抵抗41、コンデンサ49、
ダイオード45による閉ループが形成され、コンデンサ
49に蓄積された電荷によって、この閉ループに電流が
流れることにより、コンデンサ49は放電される。この
とき、コンデンサ49から放電される電流は、ダイオー
ド43ではなく抵抗41を介して流れるため、通電経路
の抵抗値が大きくなる。このため、通電経路に流れる電
流値が小さくなり、トランジスタ17に流れる電流量が
抑えられる。これにより、コンデンサ49に蓄積された
電荷を放電させたときに伴うトランジスタ17の発熱を
小さく抑えることが可能となる。
【0077】図5は、図4に示す回路図における、指令
信号Sa、第2指令信号Sb、点火プラグ13の中心電
極13aの電位Vp、点火コイル15の一次巻線L1に
流れる一次電流i1、検出抵抗21の両端電圧Vr(換
言すれば、イオン電流)の各状態を表すタイムチャート
である。ここで、時刻t1にて、指令信号Saがローか
らハイレベルに切り換わると、トランジスタ17がオン
状態となり、一次巻線L1に一次電流i1が流れ始め
る。なお、このとき、第2指令信号Sbはローレベルに
あり、火花遮断用トランジスタ47はオフ状態である。
すると、一次電流i1の通電開始に伴う磁束密度の変化
により、二次巻線L2の両端に点火プラグ13の中心電
極13aが負電位となる数kVの電圧が発生することに
なるが、この二次巻線L2の両端に発生する電圧により
生じる電流は、逆流防止用ダイオード31により通電が
阻止される。
【0078】そして、時刻t1からあらゆる内燃機関の
運転状態に適応するように予め設定された通電時間(一
次電流通電時間)が経過した時刻t2(点火時期)に
て、指令信号Saがハイからローレベルに切り換わる
と、一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断され、
二次巻線L2に点火用高電圧(数十[kV]以上)が発
生する。そして、二次巻線L2の高圧端35から点火プ
ラグ13の中心電極13aに正極性の点火用高電圧が印
加されて、中心電極13aの電位Vpが急峻に上昇し、
点火プラグ13に火花放電が発生して、二次巻線L2に
二次電流i2が流れる。なお、この点火プラグ13の火
花放電中に、静電容量Cに電荷が蓄積される。
【0079】このあと、外部(ECU19)にて決定さ
れる火花放電継続時間が経過した時時刻t3に、第2指
令信号Sbをローからハイレベルに切り換えると、火花
遮断用トランジスタ47がオン状態となり、一次巻線L
1に再度一次電流iが流れ始める。すると、点火プラグ
13にて発生する火花放電が強制的に遮断され、それに
同期して導電体33により構成される静電容量Cに充電
された充電電圧は放電されて点火プラグ13の電極間に
印加され、正常燃焼時にはこの電極間におけるイオンの
発生量に応じて、検出抵抗21にイオン電流に比例した
検出電流ioが流れる。
【0080】また、時刻t3にて、火花遮断用トランジ
スタ47をオン状態として一次巻線L1に再度一次電流
i1が流れると、コンデンサ49に電荷が蓄積されてい
き、それに従い一次電流が緩やかに減少し、コンデンサ
49に所定量の電荷が蓄積されて完全に充電されると、
一次電流i1を遮断する。そして、時刻t5になると、
第2指令信号Sbをハイからローレベルに切り換え、火
花遮断用トランジスタ47をオフ状態とする。なお、コ
ンデンサ49に蓄積された電荷は、同気筒における次の
燃焼サイクルにおける指令信号Saをローからハイレベ
ルに切り換えたとき(トランジスタ17がオン状態とな
ったとき)に、抵抗41、トランジスタ17を介してグ
ランドに放電される。
【0081】このようにしてイオン電流が図2における
時刻t3の直後から発生すると、静電容量Cの一端から
点火プラグ13を通り、グランド、検出抵抗21を通じ
て静電容量Cの他端に至る経路にイオン電流に比例した
検出電流ioが流れる。それにより、検出抵抗21の両
端に電位差が発生し、検出抵抗21の両端電圧Vrはイ
オン電流の大きさに応じて変化することになる。このと
きのイオン電流(検出抵抗21の両端電圧Vr)の変動
は、図5における時刻t3から時刻t4までの波形のよ
うに、略山形の波形を示すことになる。
【0082】次に、この第2実施例の内燃機関用点火装
置2のECU19において実行されるイオン電流検出処
理について、図6に示すフローチャートを用いて説明す
る。上記第1実施例と同様に、内燃機関が始動されて本
イオン電流検出処理が開始されると、まずS110(S
はステップを表す)にて、別途実行される運転状態検出
処理にて検出された内燃機関の運転状態を読込み、S1
20にて、その読み込んだ運転状態に基づき、火花放電
発生時期(所謂、点火時期)tsおよび火花放電継続時
間Ttを設定する。
【0083】続いてS130では、S120にて設定し
た火花放電発生時期tsに基づき、火花放電発生時期t
sに対して、予め設定された一次巻線L1の通電時間だ
け早い通電開始時期を求め、通電開始時期に達した時点
(図5に示す時刻t1)で、指令信号Saをローからハ
イレベルに変化させる。なお、火花放電発生時期tsま
での一次巻線L1の通電時間については、その通電によ
って点火コイル15に蓄積される磁束エネルギが、内燃
機関のあらゆる運転条件下での点火プラグが放電するた
めに必要な電圧を満たすようにすべく予め設定されてい
る。
【0084】そして、続くS140では、クランク角セ
ンサからの検出信号に基づき、S120で設定した火花
放電発生時期tsに達したか否かを判断し、否定判定さ
れた場合には、同ステップを繰り返し実行することで、
火花放電発生時期tsになるまで待機する。そして、S
140にて、火花放電発生時期tsに達したと判断され
ると(図5に示す時刻t2)、S150に移行する。す
ると、S150では、指令信号Saをハイからローレベ
ルに反転され、二次巻線L2に点火用高電圧が発生し、
点火プラグ13に火花放電が発生する。そして、火花放
電の発生により、静電容量Cには二次電流i2により充
電が開始される。
【0085】次のS160では、S120で設定した火
花放電継続時間Ttに達したか否かを判断し、否定判定
された場合には、同ステップを繰り返し実行すること
で、火花放電継続時間Ttになるまで待機する。そし
て、S160にて、火花放電継続時間Ttに達したと判
断されると(図5に示す時刻t3)、S220に移行し
て、第2指令信号Sbをローからハイレベルに切り変
え、火花放電を強制的に遮断する。そして、これに同期
して静電容量Cの充電電圧が放電される。
【0086】ついで、S180に移行し、検出抵抗21
を介して検出回路25から出力されるイオン電流検出信
号Siの読み込みを開始する。なお、このS180の処
理が開始された後は、ECU19の内部では、検出抵抗
21の両端電圧Vrの変化に応じて検出回路25から出
力されるイオン電流検出信号Siを読み込む処理が継続
して行われる。
【0087】続いて、S210に移行し、イオン電流i
oを検出するための時間として予めECU19にて設定
してあるイオン電流検出時間を経過すると、イオン電流
検出信号Siを読み込む処理を終了する(図5に示す時
刻t4)。なお、本第2実施例では、このイオン電流検
出時間は、予め固定値としているが、運転状態に合わせ
て適宜値を変更するように設定してもよい。
【0088】そして、S230に移行して、ECU19
にて予め設定されている2指令信号Sbハイレベル継続
時間が経過したか否かを判断し、否定判定された場合に
は、同ステップを繰り返し実行して待機する。なお、こ
のS230の処理を行っている際に、一次巻線L1に再
度通電された一次電流i1はコンデンサ49に充電され
ていき、本第2実施例では第2指令信号Sbハイレベル
継続時間が経過する前に一次電流i1は流れなくなる。
そして、S230にて第2指令信号Sbハイレベル継続
時間が経過したと判断されると(図5に示す時刻t
5)、S240に移行し、第2指令信号Sbをハイから
ローレベルに切り換える。これにより、本イオン電流検
出処理が終了する。
【0089】なお、ECU19では、点火プラグ13の
電極13a−13b間に発生するイオン電流に比例する
検出電流ioに基づいて、内燃機関の失火の有無を判定
する失火判定処理を別途実行している。つまり、この失
火判定処理では、図5における時刻t3から時刻t4ま
での期間において、検出回路25から出力されるイオン
電流検出信号Siに基づき失火判定を行っている。
【0090】(第3実施形態)ついで、第3の実施例に
ついて説明する。本第3実施例の内燃機関用点火装置
は、上記第1実施例のものにおいて、点火プラグ13の
火花放電を強制的に遮断すべく一次巻線に再度通電を行
うための手法が異なるものである。具体的には、図1に
示す第1実施例の回路図にて、一次巻線L1の両端に接
続され、一次巻線L1の両端を短絡することで一次巻線
L1に通電を行うためのサイリスタ51を備えるもので
ある(図7参照)。但し、このサイリスタ51を設けた
ことで、第1実施例におけるイオン電流検出処理が異な
るものとなるために、第1実施例と異なる部分を中心に
説明し、同様な部分については同じ記号や番号を付し、
説明を省略あるいは簡略化する。
【0091】図7の回路図にて示すように、第3実施例
の内燃機関用点火装置3では、カソード51cが一次巻
線と電源装置との接続端に、アノード51aが一次巻線
L1とトランジスタ17との接続端に、ゲート51gが
次述するサイリスタ駆動回路61に接続されている。
【0092】サイリスタ駆動回路61は、第1端子63
aが抵抗69を介して電源装置11の正極に接続された
コンデンサ63と、一端がコンデンサ63の第2端子6
3bにコレクタが接続されたnpn型トランジスタから
なる遮断制御用トランジスタ67と、一端がコンデンサ
63の第2端子63bに接続され、他端が電源装置11
の正極に接続された抵抗65と、コンデンサ63の第1
端子63aと電源装置11の正極との間に接続されたノ
イズ除去用コンデンサ75とを備えている。そして、コ
ンデンサ63の第1端子63aは、サイリスタ51のゲ
ート51gに接続されている。また、遮断制御用トラン
ジスタ67は、エミッタが電源装置11と負極と同電位
のグランドに接続され、ベースがECU19における遮
断用指令信号Scの出力端子に接続されている。
【0093】このように構成されたサイリスタ駆動回路
61は、遮断制御用トランジスタ67のベースに入力さ
れる遮断用指令信号Scがハイレベル(一般にECU1
9の駆動電圧)であるときには、遮断制御用トランジス
タ67のベース−エミッタ間に電位差が生じて電流が流
れ、遮断制御用トランジスタ67はオン状態となる。こ
のとき、コンデンサ63の第2端子63bはグランド電
位と略等しくなり、電源装置11の正極から抵抗69、
コンデンサ63、遮断制御用トランジスタ67を通じて
電源装置11の負極に至る通電経路が形成され、コンデ
ンサ63は両端電圧が電源装置11の電源電圧Vbに等
しくなるまで充電される。このとき、コンデンサ63
は、第1端子63aが高電位、第2端子63bが低電位
となって充電される。
【0094】そして、この状態より遮断制御用トランジ
スタ67のベースに入力される遮断用指令信号Scがロ
ーレベル(一般にグランド電位)になると、遮断制御用
トランジスタ67はオフ状態となり、コンデンサ63に
蓄積されている電荷が放電され、コンデンサ63、サイ
リスタ51のゲート51g、カソード51c及び抵抗6
5からなる閉ループを形成し、コンデンサ63、サイリ
スタ51、抵抗65の順に電流が流れる。
【0095】このとき、コンデンサ63が放電される瞬
間には、コンデンサ63の第2端子63bの電位は電源
装置11の正極の電位Vbに略等しくなり、コンデンサ
63の第1端子63aの電位は、電源装置11の正極の
電位Vbに充電時のコンデンサ63の両端電圧Vbを加
算した電位となる。このため、コンデンサ63が放電さ
れる瞬間には、コンデンサ63の第1端子63aの電位
は2Vbとなり、少なくとも電源装置11の正極の電位
Vbよりも高電位となる。このあと、コンデンサ63に
蓄積された電荷が放電されるに従い、第1端子63aの
電位は低下していき、最終的に電源装置11の正極の電
位Vbに等しくなる。
【0096】よって、この第3実施例のサイリスタ駆動
回路61は、ECU19からの遮断用指令信号Scがハ
イレベルであるときには、サイリスタ51のゲート51
gに対して電源装置11の正極の電位に等しい低電位
(ローレベル)の信号を出力する。また、ECU19か
らの遮断用指令信号Scがハイからローレベルに変化し
た直後には、サイリスタ51のゲート51gに対して電
源装置11の正極の電位よりも高電位(ハイレベル)の
信号を出力する。
【0097】このため、ECU19から出力される遮断
用指令信号Scがハイレベルである場合には、サイリス
タ駆動回路61からサイリスタ51へ出力される駆動信
号Sdがローレベル(電位Vb)となり、サイリスタ5
1がオフ状態となるため、一次巻線L1の両端がサイリ
スタ51により短絡されることはない。また、遮断用指
令信号Sbがハイからローレベルになった直後は、サイ
リスタ駆動回路61からサイリスタ51へ出力される信
号がハイレベル(電位2Vb)となり、サイリスタ51
がオン状態となるため、一次巻線L1の両端が短絡され
て、一次巻線L1とサイリスタ51による閉ループが形
成される。なお、サイリスタ51は、短絡状態の際に一
方向に流れる電流のみを許容するものであり、このサイ
リスタ51により両端が短絡された一次巻線L1には、
トランジスタ17がオン状態のときに流れる一次電流i
1と同方向に電流が流れる。
【0098】図8は、図7に示す回路図における、指令
信号Sa、遮断用指令信号Sc、点火プラグ13の中心
電極13aの電位Vp、点火コイル15の一次巻線L1
に流れる一次電流i1、サイリスタ51のゲート電位
(V4)、検出抵抗21の両端電圧Vr(換言すれば、
イオン電流)の各状態を表すタイムチャートである。こ
こで、時刻t1にて、指令信号Saがローからハイレベ
ルに切り換わると、トランジスタ17がオン状態とな
り、一次巻線L1に一次電流i1が流れ始める。なお、
このとき、遮断用指令信号Scはハイレベルにあり、遮
断制御用トランジスタ67はオン状態である。すると、
一次電流i1の通電開始に伴う磁束密度の変化により、
二次巻線L2の両端に点火プラグ13の中心電極13a
が負電位となる数kVの電圧が発生することになるが、
一次電流i1の通電開始時に二次巻線L2の両端に発生
する電圧により生じる電流は、逆流防止用ダイオード3
1により通電が阻止される。
【0099】そして、時刻t1からあらゆる内燃機関の
運転状態に適応するように予め設定された通電時間(一
次電流通電時間)が経過した時刻t2(点火時期)に
て、指令信号Saがハイからローレベルに切り換わる
と、一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断され、
二次巻線L2に点火用高電圧(数十[kV]以上)が発
生する。そして、二次巻線L2の高圧端35から点火プ
ラグ13の中心電極13aに正極性の点火用高電圧が印
加されて、中心電極13aの電位Vpが急峻に上昇し、
点火プラグ13に火花放電が発生して、二次巻線L2に
二次電流i2が流れる。なお、この点火プラグ13の火
花放電中に静電容量Cに電荷が蓄積される。
【0100】このあと、外部(ECU19)にて決定さ
れる火花放電継続時間が経過した時刻t3に、遮断用指
令信号Scをハイからローレベルに切り換えると、サイ
リスタ駆動回路61の動作によりサイリスタ51がオン
状態となり、一次巻線L1の両端が短絡される。詳細に
説明すると、点火コイル15の残留エネルギにより、一
次巻線L1とサイリスタ51とにより形成される閉ルー
プに一次電流i1が流れ始める。そして、この一次電流
i1が次第に増加していくと二次巻線L2に点火用高電
圧とは逆極性の電圧が誘導されて、点火プラグ13での
火花放電が遮断される。そして、それに同期して静電容
量Cに充電された充電電圧は放電されて点火プラグ13
の電極間に印加され、正常燃焼時にはこの電極間におけ
るイオンの発生量に応じて、検出抵抗21にイオン電流
に比例した検出電流ioが流れる。
【0101】そして、遮断用指令信号Scは、ローレベ
ルになった後、ECU19に予め設定された所定の時間
が経過すると(時刻t4)、ローからハイレベルに切り
換えられて、サイリスタ駆動回路61からの駆動信号S
dが完全に停止される。なお、サイリスタ51と一次巻
線L1との閉ループに流れる一次電流i1は、遮断用指
令信号Scのスイッチング駆動制御によらず、点火コイ
ル15の残留エネルギが一次巻線L1の内部抵抗によっ
て消費されて、徐々に減少していくものであり、残留エ
ネルギが消費されると一次電流i1は流れなくなる(時
刻t5)。このとき、電流が流れなくなることにより、
自動的に一次巻線L1とサイリスタ51とによる閉ルー
プは開放される。
【0102】このようにしてイオン電流が図8における
時刻t3以降から発生すると、導電体33により構成さ
れる静電容量Cの一端から点火プラグ13を通り、グラ
ンド、検出抵抗21を通じて上記静電容量Cの他端に至
る経路にイオン電流に比例した検出電流ioが流れる。
それにより、検出抵抗21の両端に電位差が発生し、検
出抵抗21の両端電圧Vrはイオン電流の大きさに応じ
て変化することになる。このときのイオン電流(検出抵
抗21の両端電圧Vr)の変動は、図8における時刻t
3以降の波形のように、略山形の波形を示すことにな
る。
【0103】次に、この第3実施例の内燃機関用点火装
置3のECU19において実行されるイオン電流検出処
理について、図9に示すフローチャートを用いて説明す
る。上記第1実施例と同様に、内燃機関が始動されて本
イオン電流検出処理が開始されると、まずS110(S
はステップを表す)にて、別途実行される運転状態検出
処理にて検出された内燃機関の運転状態を読込み、S1
20にて、その読み込んだ運転状態に基づき、火花放電
発生時期(所謂、点火時期)tsおよび火花放電継続時
間Ttを設定する。
【0104】続いてS130では、S120にて設定し
た火花放電発生時期tsに基づき、火花放電発生時期t
sに対して、予め設定された一次巻線L1の通電時間だ
け早い一次巻線L1の通電開始時期を求め、通電開始時
期に達した時点(図8に示す時刻t1)で、指令信号S
aをローからハイレベルに変化させる。なお、火花放電
発生時期tsまでの一次巻線L1の通電時間は、内燃機
関のあらゆる運転条件下での点火プラグが放電するため
に必要な電圧を満たすようにすべく予め設定されてい
る。
【0105】そして、続くS140では、クランク角セ
ンサからの検出信号に基づき、S120で設定した火花
放電発生時期tsに達したか否かを判断し、否定判定さ
れた場合には、同ステップを繰り返し実行することで、
火花放電発生時期tsになるまで待機する。そして、S
140にて、火花放電発生時期tsに達したと判断され
ると(図8に示す時刻t2)、S150に移行する。す
ると、S150では、指令信号Saをハイからローレベ
ルに反転され、二次巻線L2に点火用高電圧が発生し、
点火プラグ13に火花放電が発生する。そして、火花放
電の発生により、静電容量Cには二次電流i2により充
電が開始される。
【0106】次のS160では、S120で設定した火
花放電継続時間Ttに達したか否かを判断し、否定判定
された場合には、同ステップを繰り返し実行すること
で、火花放電継続時間Ttになるまで待機する。そし
て、S160にて、火花放電継続時間Ttに達したと判
断されると(図5に示す時刻t3)、S250に移行し
て、遮断用指令信号Scをハイからローレベルに切り変
え、サイリスタ51を駆動させて火花放電を強制的に遮
断する。そして、この火花放電の遮断に同期して静電容
量Cの充電電圧が放電される。
【0107】ついで、S180に移行し、検出抵抗21
を介して検出回路25から出力されるイオン電流検出信
号Siの読み込みを開始する。なお、このS180の処
理が開始された後は、ECU19の内部では、検出抵抗
21の両端電圧Vrの変化に応じて検出回路25から出
力されるイオン電流検出信号Siを読み込む処理が継続
して行われる。
【0108】続いて、S260に移行し、予めECU1
9にて設定してある遮断用指令信号Scのローレベル継
続時間を経過したか否かを判断し、否定判定された場合
には、同ステップを繰り返し実行して待機する。なお、
本第3実施例では、このローレベル継続時間が経過して
も、ECU19の内部ではイオン電流検出信号Siを読
み込む処理が継続して行われる。
【0109】そして、S260にて、遮断指令信号Sc
ローレベル継続時間が経過したと判断されると(図5に
示す時刻t4)、S270に移行し、遮断用指令信号S
cをローからハイレベルに切り換える。そして、S27
0からS210の処理に以降すると、S170で開始し
たイオン電流検出信号Siの読み込み処理を停止し、S
210における処理が終了すると、本イオン電流検出処
理が終了する。ここで、このイオン電流検出信号Siを
読み込む期間(S170からS210にかけての期間)
については、本第3実施例ではECU19内にて予め固
定値としているが、運転状態に合わせて適宜値を変更す
るように設定してもよい。
【0110】なお、ECU19では、点火プラグ13の
電極13a−13b間に発生するイオン電流に比例する
検出電流ioに基づいて、内燃機関の失火の有無を判定
する失火判定処理を別途実行している。つまり、この失
火判定処理では、図8における時刻t3以降において、
検出回路25から出力されるイオン電流検出信号Siに
基づき失火判定を行っている。
【0111】次に、本実施形態による効果を確認するた
め、実際に内燃機関を用いて、内燃機関の運転状態に基
づいて火花放電を遮断する場合と、遮断しない場合と
で、イオン電流に比例した電流のダイナミックレンジが
どの程度変化するかを各3度ずつ測定した。本測定は、
内燃機関としてガスエンジンを用いると共に、点火装置
としては上記第3実施形態の点火装置3(図7参照)を
用いて行っており、回転数が2000〔rpm〕、負荷
が25〔%〕、排気酸素濃度が3.2〔%〕という条件
下で運転して、点火プラグ13の電極間に流れるイオン
電流を検出するという手順で行った。
【0112】ここで、本測定に用いてられる第3実施形
態の点火装置3では、検出抵抗21は100〔kΩ〕の
ものを用い、火花放電継続時間としては上記運転状態を
考慮してECU19にて0.2〔ms〕に設定して行っ
た。また、測定結果については、火花放電継続時間に応
じてサイリスタ51を動作させて一次巻線L1の両端を
短絡して火花放電を遮断した場合を図10(a)〜
(c)に、火花放電を遮断しなかった場合を図10
(d)〜(f)に示している。なお、図10はいずれも
正常燃焼して点火プラグ13の電極間にイオンが発生し
た場合の測定結果を示しており、イオン電流に比例した
電流を電圧変換した波形(以下、イオン電流波形とい
う)として示している。
【0113】この図10に示す測定結果からも明らかな
ように、火花放電の遮断を行った(a)〜(c)の測定
結果と、火花放電の遮断を行わなかった(d)〜(f)
の測定結果を比較すると、火花放電の遮断を行ったイオ
ン電流波形のピーク値が火花放電の遮断を行わなかった
それとは大きく異なっている。そして、火花放電の遮断
を行った(a)〜(c)では、イオン電流波形のピーク
値がそれぞれほぼ同等であるのに比較して、火花放電の
遮断を行わなかった(d)〜(f)では、それぞれイオ
ン電流波形のピーク値にまで差がみられる。
【0114】これらの結果から、火花放電の遮断を行わ
ない場合には、内燃機関の運転状態が同じでも点火プラ
グ13での火花放電の継続時間がまちまちとなることが
あり、図7に示す静電容量Cの充電電圧の大きさがその
火花放電継続時間の長短に左右されて、イオン電流波形
の大きさが変化することが判る。一方、火花放電の遮断
を行う場合には、内燃機関の運転状態に応じて点火プラ
グ13での火花放電の継続時間が一律であるが故に、逆
流防止用ダイオード31を設ける効果と相俟って図7に
示す静電容量Cの充電電圧の大きさが略一定に制限さ
れ、イオン電流波形の大きさも略同等となることが判
る。
【0115】これらのことから、火花放電の遮断を行わ
ない点火装置3では、検出回路25側にてイオン電流に
比例した電流を検出するためのダイナミックレンジ(電
圧範囲)を最も大きいピーク値を示すイオン電流波形で
も対応できるように広範囲に設ける必要がある。そのた
めに、低回転低負荷時といった点火プラグの電極間に流
れるイオン電流が比較的小さくなるときの、検出回路2
5側による検出精度が低下することがある。これに対し
て内燃機関の運転状態に基づいてサイリスタ51を用い
て火花放電の遮断を行った点火装置3では、検出回路2
5側での上記ダイナミックレンジ(電圧範囲)を縮小す
ることができ、低回転低負荷時といったイオン電流が比
較的小さくなるときでも、検出回路25側による検出精
度を向上させることができる。
【0116】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明は上記実施形態1〜3に限定されるものでは
なく、種々の態様を採ることができる。例えば、イオン
電流を用いて検出可能な燃焼状態としては、失火に限ら
ず、例えばノッキング等が挙げられる。このノッキング
を検出するにあたっても、点火プラグに流れるイオン電
流を検出し、検出したイオン電流波形(イオン電流検出
信号)を公知の手法を用いて解析することで、ノッキン
グ判定を行うことができる。
【0117】さらに、逆流防止用ダイオードは、一次巻
線への通電開始時に二次巻線に発生する電流の通電を阻
止すると共に、一次巻線への通電遮断時に二次巻線に発
生する電流の通電を許容するように備えればよいため、
逆流防止用ダイオードの設置箇所は、図1、図4及び図
7に示す内燃機関用点火装置1、2及び3のように、二
次巻線L2の高圧端35と導電体からなる静電容量Cと
の間に設けることに限定されない。例えば、図1の回路
図を代表して説明すると、アノードが電源装置11の負
極と同電位のグランドに接続され、カソードが二次巻線
L2の高圧端35とは反対側の端部(低圧端)に接続さ
れるように配置してもよく、また、アノードが導電体3
3により構成される静電容量Cに接続され、カソードが
点火プラグ13の中心電極13aに接続されるように配
置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の内燃機関用点火装置の構成を
表す電気回路図である。
【図2】 混合気への着火が正常に行われた場合の第1
実施形態の内燃機関用点火装置における各部の状態を表
すタイムチャートである。
【図3】 第1実施形態の内燃機関用点火装置のECU
において実行されるイオン電流検出処理の処理内容を示
すフローチャートである。
【図4】 第2実施形態の内燃機関用点火装置の構成を
表す電気回路図である。
【図5】 混合気への着火が正常に行われた場合の第2
実施形態の内燃機関用点火装置における各部の状態を表
すタイムチャートである。
【図6】 第2実施形態の内燃機関用点火装置のECU
において実行されるイオン電流検出処理の処理内容を示
すフローチャートである。
【図7】 第3実施形態の内燃機関用点火装置の構成を
表す電気回路図である。
【図8】 混合気への着火が正常に行われた場合の第3
実施形態の内燃機関用点火装置における各部の状態を表
すタイムチャートである。
【図9】 第3実施形態の内燃機関用点火装置のECU
において実行されるイオン電流検出処理の処理内容を示
すフローチャートである。
【図10】 第3実施形態の内燃機関用点火装置を用い
て、点火プラグにおける火花放電の遮断を行った場合
と、火花放電の遮断を行わなかった場合のイオン電流波
形の測定結果であり、(a)〜(c)が火花放電の遮断
を行った場合の測定結果であり、(d)〜(f)が火花
放電の遮断を行わなかった場合の測定結果である。
【符号の説明】
1、2、3・・・内燃機関用点火装置、11・・・電源装置、
13・・・点火プラグ、15・・・点火コイル、17・・・トラ
ンジスタ、19・・・電子制御装置(ECU)、21・・・検
出抵抗、23・・・バイパス用ダイオード、25・・・検出回
路、31・・・逆流防止用ダイオード、33・・・導電体、4
0・・・再通電用回路、47・・・火花遮断用トランジスタ、
49・・・コンデンサ、51・・・サイリスタ、61・・・サイ
リスタ駆動回路、C・・・静電容量、L1・・・一次巻線、L
2・・・二次巻線

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次巻線及び二次巻線を有し、前記一次
    巻線に流れる一次電流を遮断することで前記二次巻線に
    点火用高電圧を発生する点火コイルと、 該点火コイルの前記一次巻線に直列接続されて、前記一
    次電流の通電・遮断を行うためにスイッチング駆動され
    る主制御スイッチング手段と、 前記二次巻線に直列接続されて閉ループを形成すると共
    に、前記点火用高電圧が印加されることで火花放電を発
    生する点火プラグとを備えた内燃機関用点火装置であっ
    て、 前記点火コイルの前記二次巻線と前記点火プラグにより
    形成される前記閉ループ中に接続され、前記一次巻線へ
    の通電遮断時に該閉ループに流れる電流の通電を許容
    し、前記一次巻線への通電開始時に該閉ループに流れる
    電流の通電を阻止する逆流防止用ダイオードと、 前記点火プラグと前記二次巻線の高圧端とを接続する通
    電経路との間で容量結合すると共に、前記点火プラグに
    おける火花放電中に流れる電流により充電される静電容
    量構成手段と、 前記静電容量構成手段に直列接続される電流検出手段
    と、 前記火花放電の終了後における前記静電容量構成手段の
    放電により前記点火プラグの電極間にイオン電流が流れ
    るときに、前記電流検出手段に流れる該イオン電流に比
    例した電流を検出する検出回路と、を備え、 前記点火プラグの火花放電の開始後、外部により決定さ
    れる火花放電継続時間が経過したタイミングに応じて火
    花放電を強制的に遮断することを特徴とする内燃機関用
    点火装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関の運転状態に基づき、前記点火
    プラグにおける火花放電継続時間を算出する火花放電継
    続時間算出手段を備え、該点火プラグの火花放電開始
    後、該火花放電継続時間算出手段により算出された該火
    花放電継続時間が経過したタイミングに応じて火花放電
    を強制的に遮断することを特徴とする請求項1に記載の
    内燃機関用点火装置。
  3. 【請求項3】 前記点火プラグの火花放電の開始後、前
    記火花放電継続時間が経過したタイミングに応じて、前
    記主制御スイッチング手段をスイッチング駆動させて前
    記一次巻線への通電を再開することで、該点火プラグの
    火花放電を強制的に遮断することを特徴とする請求項1
    又は2に記載の内燃機関用点火装置。
  4. 【請求項4】 火花遮断用スイッチング手段に直列接続
    され、該一次巻線への通電を再開した後に前記点火プラ
    グにて火花放電が発生しないように該一次巻線に流れる
    電流を減少させる電流調整手段と、を少なくとも含む再
    通電用回路が、前記主制御スイッチング手段に並列接続
    されており、前記点火プラグの火花放電開始後、前記火
    花放電継続時間が経過したタイミングに応じて、前記火
    花遮断用スイッチング手段をスイッチング駆動すること
    で、該点火プラグの火花放電を強制的に遮断することを
    特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用点火装
    置。
  5. 【請求項5】 前記一次巻線の両端に接続される一次巻
    線短絡手段を備え、前記点火プラグの火花放電開始後、
    前記火花放電継続時間が経過したタイミングに応じて、
    前記一次巻線短絡手段を動作させて一次巻線の両端を短
    絡させることで、該点火プラグの火花放電を強制的に遮
    断することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機
    関用点火装置。
  6. 【請求項6】 前記逆流防止用ダイオードは、前記二次
    巻線の高圧端と前記点火プラグとを接続する通電経路中
    に接続され、前記静電容量構成手段は、前記点火プラグ
    と前記逆流防止用ダイオードとを接続する通電経路との
    間で容量結合されることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載の内燃機関用点火装置。
  7. 【請求項7】 前記電流検出手段は、前記静電容量構成
    手段に直列接続される検出用抵抗を備えており、前記検
    出回路は、前記点火プラグの電極間にイオン電流が流れ
    るときに、前記検出用抵抗の両端電圧を検出することで
    該イオン電流に比例した電流を検出することを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関用点火装
    置。
  8. 【請求項8】 前記電流検出手段は、アノードが前記検
    出用抵抗と前記静電容量構成手段との接続点に接続され
    る形態で、前記検出用抵抗に並列接続されるバイパス用
    ダイオードを備えることを特徴とする請求項7に記載の
    内燃機関用点火装置。
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