本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る包装袋(A)の第1実施形態を示す平面図であり、図2は本発明に係る包装袋(A)の第2実施形態を示す平面図であり、図3は本発明に係る包装袋(A)の第3実施形態を示す平面図であり、図4は本発明に係る包装袋(A)の第4実施形態を示す平面図であり、図5は本発明に係る包装袋(A)の第5実施形態を示す平面図であり、図6は本発明に係る包装袋(A)の第6実施形態を示す平面図であり、図7は図3の包装袋(A)に内容物を充填シール後、2つに折り畳んだ状態を示す斜視図であり、図8は図7の包装袋(A)を開封した状態を示す斜視図であり、図9は本発明に係る包装袋(A)の開封手段を設ける前の状態を示す平面図であり、図10は本発明に係る包装袋(A)の開封手段を設ける前の状態を示す平面図である。
本発明に係る包装袋(A)は、図9に示すように、少なくとも、周囲の一辺にシール部を有する包装袋(A)において、前記包装袋(A)の上部に上シール部(1)が設けられ、該上シール部(1)の中央部を垂下するほぼ同一線上に二つの内容物収納部(b、b)を形成するための中央シール部(6)が設けられ、前記上シール部(1)のほぼ中央部に該包装袋(A)を引き裂いて開封するための開封手段が設けられることを特徴とする包装
袋(A)である。
また、図10に示すように、前記中央シール部(6)の上端から下端にかけて略中心線に沿って切り取り線(15)が設けられ、二つの内容物収納部(b、b)を分離可能にすることができる。
前記包装袋(A)は、少なくとも、基材フィルム(外面)とシーラントフィルム(内面)とをラミネートした積層フィルムが用いられる。内面が熱融着性を有する該積層フィルムの2枚を内面側同士重ね合せて、前記上シール部(1)と左・右シール部(7、8)と中央シール部(6)とをヒートシールしたもので、下辺の未シール部(10)から内容物を充填した後で該未シール部(10)をヒートシールして、二つの内容物収納部(b、b)を有する包装袋(A)を作製する。尚、インフレーション方式で製造したチューブを利用して、左・右シール部(7、8)を設けない形態でも構わない。
次に、前記包装袋(A)を引き裂いて開封するための開封手段に関する実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る第1実施形態の包装袋(A)は、図1に示すように、少なくとも、周囲の一辺にシール部を有する包装袋(A)において、前記包装袋(A)の上部に上シール部(1)が設けられ、該上シール部(1)の中央部を垂下するほぼ同一線上に二つの内容物収納部(b、b)を形成するための中央シール部(6)が設けられ、前記上シール部(1)のほぼ中央部に該包装袋(A)を引き裂いて開封するための開封手段が設けられていることを特徴とする包装袋(A)である。
前記開封手段として、前記上シール部(1)の上部端縁(2)中央部に引き裂き開始部(3)が設けられ、該引き裂き開始部(3)から引き裂き線(4)が垂下方向に設けられるとともに、該引き裂き線(4)の先端が該上シール部(1)の上部端縁(2)と略平行に連続線で左右両端に向けて設けられている。この左右両端の連続線の延長方向には、内容物取り出し口(9)となる未シール部が位置している。
前記引き裂き開始部(3)の形状と形成方法は、引き裂きが可能なきっかけの機能さえあれば、特に制約されないが、例えば、V字形状やU字形状のノッチ、切れ目線、傷加工などをレーザー光線発振切断装置や切刃を組み込んだロータリーダイカッター装置などを製袋機などに組み込んで形成する方法が使用できる。
前記引き裂き線(4)は、手指で容易に引き裂けるものでありさえすれば特に制約されることはない。例えば、ミシン刃などによるミシン目線、レーザー加工などによるハーフカット線などでも良いが、加工適性、生産性、経済性などを考慮するとミシン目線が好ましい。
前記上シール部(1)形状を、逆三角形状、逆山型形状、逆凸形状などにすることにより、該包装袋(A)を開封する際の手で持つ面積が広くなり、指の力加減が調整し易いようになる。
また、該引き裂き開始部(3)から引き裂き線(4)が垂下方向に設けられているとともに、該引き裂き線(4)の先端が該上シール部(1)の上部端縁(2)と略平行に連続線で左右両端に向けて設けられているので、該連続線の延長方向に向かって引き裂くと、該上シール部(1)の形状が逆三角形状、逆山型形状、逆凸形状などになっているので、未シール部に内容物取り出し口(9)が形成される。この内容物取り出し口(9)の大きさは、該袋の設計時に開封時の開口幅を変えることができるので内容物の量を調整して取
り出すことが可能である。
例えば、逆三角形状の場合は、逆三角形の底辺から頂点までの距離、または垂下方向の引き裂き線(4)の距離、すなわち逆三角形の2辺の傾斜角度を変えることにより、開口幅を変えることができる。また、逆山型形状の場合は、山型の先端幅を変えることにより、逆凸形状の場合は、同様に凸部の先端幅を変えることにより、開口幅を変えることができる。特に、前記上シール部(1)が逆三角形状の場合は、斜め堰きシール形状のため、より一層、力加減を調整し易いので内容物が飛び散らずに完全に絞り出すことができるので好ましい。
該包装袋(A)は、前記引き裂き開始部(3)とほぼ同一線上に中央シール部(6)を設けることにより、二つの内容物収納部(b、b)を形成することができる。また、該引き裂き開始部をきっかけにして引き裂き線に沿って垂下方向に切り裂き、さらに左右の引き裂き線に沿って切り裂いた後、前記中央シール部を介して2つに折り畳み、左右同時に袋の開封ができ、二つの内容物収納部から夫々の内容物を同時に取り出すことができる。
尚、左シール部(7)又は/及び右シール部(8)に開封用ノッチ(14)などを設けることにより、従来通りの開封も可能である。
次に、本発明に係る第2実施形態の包装袋(A)は、図2に示すように、第1実施形態の包装袋(A)において、前記上シール部(1)の引き裂き線(4)が垂下する先端付近の下部に使用者が開封時に指を入れることが可能な掴み用穴(5a)が設けられていることを特徴とする包装袋である。このように指が入る掴み用穴(5a)を設けることにより、使用者が開封する際、該包装袋(A)をより一層、掴み易くなり該包装袋(A)の開封が容易になる。
次に、本発明に係る第3実施形態の包装袋(A)は、図3に示すように、第2実施形態の包装袋(A)において、前記掴み用穴(5a)が上方に向かい尖る上方開封用凸部(11)と、左右それぞれの方向に向かい尖る左・右開封用凸部(12、12)と、下方に向かい尖る中央シール部折り畳み開始用凸部(13)とを備えていることを特徴とする包装袋(A)である。
このような形状の掴み用穴(5a)を有する包装袋(A)の場合は、上方開封用凸部(11)と、左・右開封用凸部(12、12)及び前記引き裂き線(4)との相乗効果で垂下方向と左右方向の引き裂き性の向上もさることながら、中央シール部折り畳み開始用凸部(13)をきっかけにして中央シール部(6)を介して、正確に、容易に2つ折りに畳むことが可能になる。そのため該袋を2つ折りに畳んだ状態にして、該袋を左右同時に開封することが、より一層容易になる。
また、予め、前記引き裂き開始部(3)をきっかけにして引き裂き線(4)に沿って垂下方向に切り裂き、さらに左右方向に引き裂き線(4)に沿って切り裂くこともなく、図7に示すように、単に中央シール部(6)を介して、2つ折りに畳んで、図8に示すように、左右同時に袋を開封することが可能になる。
次に、本発明に係る第4実施形態の包装袋(A)は、図4に示すように、第3実施形態の包装袋(A)において、前記中央シール部(6)の上端から下端にかけて略中心線に沿って切り取り線(15)が設けられていることを特徴とする包装袋である。このように中央シール部(6)にミシン目などの切り取り線(15)を設けることにより、二つの内容物収納部(b、b)を分離可能にすることができる。このようにすることで、特に同種の内容物を二つの内容物収納部(b、b)に入れた場合は、1方のみ先に使用し、残りを別
途使用することができる。
次に、本発明に係る第5実施例の包装袋(A)は、図5に示すように、少なくとも、周囲の一辺にシール部を有する包装袋(A)において、前記包装袋(A)の上部に上シール部(1)が設けられ、該上シール部(1)の中央部を垂下するほぼ同一線上に二つの内容物収納部(b、b)を形成するための中央シール部(6)が設けられ、前記上シール部(1)のほぼ中央部に該包装袋(A)を引き裂いて開封するための開封手段が設けられていることを特徴とする包装袋(A)である。
前記開封手段として、前記上シール部(1)の略中央部に上方に向かい尖る上方開封用凸部(11)と、左右それぞれの方向に向かい尖る左・右開封用凸部(12、12)とを備え、且つ使用者が開封時に指を入れることが可能な開封開始用穴(5b)が設けられている。さらに、前記左・右開封用凸部(12、12)の延長方向には、内容物取り出し口(9)となる未シール部が位置していることを特徴とする包装袋(A)である。
使用時には、開封開始用穴(5b)に指を入れ、上シール部(1)を上方に向かって切り、次いで左右方向に切り裂くことにより、容易に開封することができる。また、使用時に該中央シール部(6)を介して、2つ折りに畳んで、左右同時に袋の開封が容易にでき、夫々の内容物を同時に取出すことができる。特に、前記上シール部(1)が逆三角形状の場合は、斜め堰きシール形状のため、より一層、力加減を調整し易いので内容物が飛び散らずに完全に絞り出すことができるので好ましい。
また、左・右開封用凸部(12)の延長方向には、内容物取り出し口(9)となる未シール部が位置しているので内容物取り出し口(9)が小さくでき内容物の量を調整して取り出せ、内容物が飛び散らずに取り出すことができる。
さらに、開封開始用穴(5b)の位置を一定にして、前記上シール部(1)の形態を変化させることにより、開封時の内容物取り出し口(9)の大きさを変えることができるので内容物の種類、1回の取り出し量などに適合した内容物取り出し口(9)を有する包装袋(A)を作製することが可能である。
例えば、逆三角形状の場合は、逆三角形の底辺から頂点までの距離、または垂直方向の引き裂き線(4)の距離、すなわち逆三角形の2辺の傾斜角度を変えることにより、開口幅を変えることができる。また、逆山型形状の場合は、山型の先端幅を変えることにより、逆凸形状の場合は、同様に凸部の先端幅を変えることにより、開口幅を変えることができる。
次に、前記包装袋(A)の外縁で、前記上方開封用凸部(11)及び/又は左右開封用凸部(12)を延長した位置に切り込み、切り欠き、又は傷加工などの開封開始部を設けても構わない。このような構造の場合は、使用者はこの開封開始部から開封を開始してもよい。
尚、前記切り込み、切り欠き、又は傷加工などの開封開始部を施す方法は、レーザー光線を発振する切断装置や切刃を組み込んだロータリーダイカッター装置などを製袋機などに組み込んで行う方法が使用できる。
次に、本発明に係る第6実施形態の包装袋(A)は、図6に示すように、第5実施形態の包装袋(A)において、前記中央シール部(6)の上端から下端にかけて略中心線に沿って切り取り線(15)が設けられていることを特徴とする包装袋(A)である。このように中央シール部(6)にミシン目などの切り取り線(15)を設けることにより、二つ
の内容物収納部(b、b)を分離可能にすることができる。このようにすることで、特に同種の内容物を二つの内容物収納部(b、b)に入れた場合は、1方のみ先に使用し、残りを別途使用することができる。
以上のような、前記包装袋(A)は、同種または異種の粘度のある液体調味料(例えば、マヨネーズとマスタードなど)や果実類のジャムとバタークリーム類などの食品やレトルト食品(例えば、カレー、シチューなど)などの内容物が該包装袋(A)の未シール部(10)から充填されて密封状態で販売され、使用時に際して開封される。
この場合、該包装袋(A)の上シール部(1)の上部端縁(2)中央部に設けられた引き裂き開始部(3)をきっかけにして引き裂き線(4)に沿って垂下方向に切り裂き、さらに左右の引き裂き線(4)に沿って切り裂き、該中央シール部(6)を介して、2つ折りに畳んで、最後に該包装袋(A)の左・右シール部(7、8)の方向に引きちぎるようにして開封する開封手段や前記上シール部(1)の略中央部に上方に向かい尖る上方開封用凸部(11)と、左右それぞれの方向に向かい尖る左・右開封用凸部(12、12)とを備え、且つ使用者が開封時に指を入れることが可能な開封開始用穴(5b)などの開封手段で開封するので、該包装袋(A)を構成する積層フィルムとしては、最外層の基材フィルムには、縦・横両方向に引き裂き性を有するフィルムを使用することが好ましい。また最内層には、ヒートシール強度が強く、夾雑物シール性、耐熱性、耐油性の優れているシーラントフィルムを使用することが必要である。さらに、内容物が液体調味料、果実類のジャムとバタークリーム類などの食品、レトルト食品などであるため、常温流通と長期保存が要求される場合には、ガスバリアフィルムや基材フィルムにガスバリア層を設けたフィルムを使用することが好ましい。
そこで、前記積層フィルムを構成している、最外層の直線引裂き性を有する基材フィルムと、最内層のシーラントフィルム、および内容物を長期保存するために必要なガスバリアフィルムなどについて詳細に説明する。
本発明の包装袋(A)をより一層安定的に直線状に開封するため、前記基材フィルムが直線引裂き性を有するフィルムからなることが好ましい。該直線引裂き性を有するフィルムとは、一方向に延伸した一軸延伸フィルムや縦横の延伸倍率を変えた二軸延伸フィルムなどがあり、本発明の包装袋では、直線引裂き性を有する二軸延伸フィルムが好ましい。
一般的にプラスチックフィルムは、延伸フィルムと無延伸フィルムに大別されるが、延伸フィルムは、プラスチックフィルムを融点以下の温度に加熱しながら縦横二方向、或いはそのいずれか一方向に引き伸ばして配向させたフィルムであり、無延伸フィルムは延伸をしていない未延伸状態のフィルムで分子鎖の配向がなく分子運動が自由なため熱溶融による接着(熱シール)ができる。延伸によるフィルムの分子鎖は、一軸延伸では一方向に、二軸延伸では面方向に配向し、無延伸フィルムの物性改善が可能となる。また、延伸することにより、腰(剛度)、透明性、引張り強さ、収縮性は増加し、光沢、防湿性、バリア性は改善するが、伸び、引裂き強度は減少する。
このような直線引裂き性を有する基材フィルムとしては、通常二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)や二軸延伸ポリアミドフィルム(ON)などが多用されている。直線引裂き性を有する基材フィルムは、フィルムの長手(縦)方向[MD(machine direction、押し出し方向)方向]および幅(横)方向[TD(transverse direction)方向)の少なくとも、いずれかの方向に直線的に容易に引き裂かれ得る性能(易引き裂き性)を有している。
前記直線引裂き性を有する基材フィルムである二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム(OPET)は、例えば、重量平均分子量600〜4000のポリテトラメチレングリコール(PTMG)単位を5〜20重量%含有したポリブチレンテレフタレート(変性PBT)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)とを、PET/変性PBT=70/30〜95/5(重量比)の割合で混合した原料を用いて製造された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)を挙げることができる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、公知の製法、すなわち、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとからのエステル交換反応法、あるいは、テレフタル酸とエチレングリコールからの直接エステル化法によりオリゴマーを得た後、溶融重合、あるいはさらに固相重合して得られたものであり、さらに他の成分を共重合して得られたものであっても構わない。他の共重合成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコールや、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物が挙げられる。
前記ポリブチレンテレフタレート(変性PBT)は、PBTの重合工程においてPTMGを添加し、重縮合して得られるものであってもよいし、PBTとPTMGを押出機で溶融混練することによって得られるものであってもよい。
該二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)の原料樹脂には、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどの他のポリマーを混合することができる。
該二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)を製造するには、先ず、例えば、変性PBTとPETを混合したものを押出機に投入し、加熱溶融した後、Tダイのダイオリフィスからシート状に押し出し、未延伸シートを製造する。Tダイのダイオリフィスから押し出されたシートは、静電印加キャスト法などにより、冷却ドラムに密着して巻き付けて冷却し、次に、温度90〜140℃で、縦横にそれぞれ3.0〜5.0倍の倍率で延伸し、さらに温度210〜245℃で熱処理して変性ポリエチレンテレフタレートフィルムを得る。二軸延伸方法としては、テンター同時二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二軸延伸法のいずれでもよい。また、チューブラー法で二軸延伸して変性ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造しても構わない。
次に、該直線引裂き性を有する基材フィルムである二軸延伸ポリアミドフィルム(ON)としては、例えば、脂肪族ポリアミド(PA)とポリメタキシレンアジパミド(MXD6)とを、PA/MXD6=80/20〜95/5(重量比)の割合で混合した原料を用いて製造された二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)を挙げることができる。
具体的には、PAとしては、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン610(N610)、ナイロン12(N12)などの脂肪族ポリアミドが挙げられる。ホモポリマーの他、それぞれの単位を90モル%以上含有するコポリマーを含むものである。
MXD6は、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応で生成する構造単位を90モル%以上含有したものであり、ホモポリマーまたは他の成分を10モル%以下含有するコポリマーを含むものである。
該二軸延伸ポリアミドフィルム(ON)は、例えば、PAとMXD6とを混合したものを使用し、冷却ドラムによる冷却後、40〜60℃の温水による浸水処理を施し、延伸温度150〜220℃で縦方向および横方向に延伸倍率3〜4倍として延伸することによって製造することができる。
これらの直線引裂き性を有する基材フィルムの厚さは、加工性を考慮すると、3〜200μmの範囲内であることが好ましく、6〜30μmの範囲内がより好ましい。
次に、シーラントフィルムは、積層フィルムを熱融着によってシールするための最内層に構成されるフィルムである。そのようなシーラントフィルムとしては、従来からの公知の熱可塑性樹脂が使用できる。具体的には、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などからなるフィルムを使用することができるが、中でも強靭性、ヒートシール強度、夾雑物シール性、ホットタック性、耐ストレスクラック性、耐熱性、耐油性、耐臭気性などに優れる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)が好ましい。また、該シーラントフィルムの厚さは、強度、加工性(ラミネ−ション、製袋などの)を考慮すると、15〜200μmの範囲内であることが好ましく、30〜60μmの範囲内がより好ましい。
次に、本発明の包装袋(A)に収納する内容物によって、酸素ガス、水蒸気、光などに対する耐性やレトルト適性、長期常温流通などが求められる場合には、バリア性、強度特性などの各種特性を有するガスバリア樹脂フィルムや基材フィルムにガスバリア層を設けたガスバリアフィルムを使用し、シーラントフィルムと積層したガスバリア性積層フィルムを用いて該包装袋(A)を作製することが必要である。
前記ガスバリア樹脂フィルムや基材フィルムにガスバリア層を設けたガスバリアフィルムとしては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)ケン化物などのフィルム、或いはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)などのフィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着層、無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の蒸着薄膜層を設けたフィルムやまたこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層フィルムを使用することができるが、これらの中でも、基材フィルムに易引き裂き性を有するアルミニウム箔、アルミニウム蒸着層、廃棄処分が容易な無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の蒸着薄膜層を設けたガスバリアフィルムが好ましいが、特に、近年の環境問題を考慮すると、使用後の廃棄処分が容易な前記無機酸化物を蒸着した無機酸化物蒸着フィルムがより好ましく多用されている。
前記無機酸化物蒸着フィルムの支持体フィルムは、特に制約はされないが、加工適性などを考慮して、単体フィルム及び各種の積層フィルムを使用することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポ
リイミド(PI)などの無延伸あるいは延伸フィルムである。
これらの中でも、引き裂き性、強度、コストなどの面から、前述したように、二軸方向に任意に延伸された直線引裂き性を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)や二軸延伸ポリアミドフィルム(ON)を使用することが好ましい。
該無機酸化物の蒸着薄膜としては、基本的には金属の酸化物を使用することが可能であり、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物またはそれらの混合物が挙げられる。
一般的には、透明性、物性面、生産性などから、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムを使用することが好ましい。
このような無機酸化物の蒸着薄膜を形成する方法は、真空蒸着法、スパッタリング法などを使用することができるが、生産性、生産コスト面などを考慮すると、真空蒸着法が好ましい。
前記真空蒸着法は、被蒸着体の形態から、大別して3つの方式があり、1)バッチ方式:成形品の蒸着方式、2)巻き取り式半連続方式:ロール状フィルム(ウェブ)が対象で真空系の中で巻き出し・蒸着・巻き取り後、大気系に再度戻し、蒸着製品を取り出す方式、3)巻き取り式完全連続方式:ロール状フィルム(ウェブ)が対象でアンワインダー(巻き出し装置)とリワインダー(巻き取り装置)を大気系に配置し、蒸着ドラムや蒸発源を真空系に配置してロール状フィルム(ウェブ)に蒸発物質を蒸着する方式であって、一般的にair−to−air方式と呼ばれる完全連続方式で生産性が高い特徴がある方式である。
ロール状フィルム(ウェブ)に蒸発物質を蒸着する場合は、特に巻き取り式半連続方式が普及しており、その巻き取り式真空蒸着装置の構成要素と作業工程の概略、更に真空蒸着装置の内部構造について記述する。
先ず、構成要素は、ロール状フィルム(ウェブ)、蒸発源、蒸発物質、蒸着ドラム、真空系統、アンワインダー(巻き出し装置)、リワインダー(巻き取り装置)、ガイドロール等である。
次に作業工程の概略について記述すると、先ず前準備として真空蒸着装置の扉を開け、ロール状フィルム(ウェブ)をアンワインダー(巻き出し装置)にセットし、アンワインダーと蒸着ドラム間に配置されているガイドロールを介して、前記ロール状フィルム(ウェブ)を蒸着ドラムまで走行させ、更にリワインダー(巻き取り装置)との間に配置されているガイドロールを介して、リワインダー(巻き取り装置)に巻き取り、前記ロール状フィルム(ウェブ)への蒸発物質の蒸着準備が終了する。
次に、真空蒸着装置の扉を閉じて、真空ポンプにより、真空蒸着装置内の真空吸引定圧室と隔壁により分割された真空蒸着室を所定の真空環境にして、アンワインダー(巻き出し装置)から前記ロール状フィルム(ウェブ)を繰り出し、ガイドロールを介して走行させた前記ロール状フィルム(ウェブ)に、蒸着ドラムの下部に配置されている蒸発源から蒸発物質を加熱蒸発させて前記ロール状フィルム(ウェブ)に蒸着させる。
前記蒸着ドラムは冷却されているので前記ロール状フィルム(ウェブ)に蒸発物質を再結晶化させて固着させ、更にリワインダー側のガイドロールを介して蒸着された前記ロー
ル状フィルム(ウェブ)はリワインダーに巻き取られる。
真空蒸着装置の内部構造は、真空吸引定圧室と真空蒸着室に隔壁で分割されており、真空吸引定圧室はアンワインダー、ガイドロール、張力制御装置、速度制御装置、位置制御装置、蒸着ドラムの一部、リワインダー等が配置されている。
真空蒸着室は蒸着ドラムの一部と蒸発源とその加熱装置等が配置されており、真空蒸着装置本体の周辺に付属して配置されている真空ポンプにより、真空吸引定圧室は真空度が1×100MPa程度、隔壁を介して設けた真空蒸着室は1×10-2MPa(SI単位)程度にセットされる。
2つに室が隔壁で分割されているので、真空吸引定圧室で前記ロール状フィルム(ウェブ)から発生したガスなどの不純物(ダスト)は、真空蒸着室での蒸着時に悪い影響を与えることは少ない。
また、逆に真空蒸着室に配置されている蒸発源からの放射熱は、真空吸引定圧室への影響は少ないので前記ロール状フィルム(ウェブ)への熱の影響は少ない。
真空蒸着法も、加熱方法により、1)間接抵抗法、2)直接抵抗加熱法(ワイヤフィード法)、3)高周波誘導加熱法、4)電子ビーム法(Electoron Beam、略してEB法)の4つの方法があるが、蒸発物質が酸化珪素や酸化アルミニウム等の絶縁性金属酸化物を使用する場合は、エネルギー変換効率の良い電子ビーム法が最適である。
巻き取り式電子ビーム真空蒸着法は、酸化珪素や酸化アルミニウム等の蒸発物質に直接、電子ビームを照射し、該蒸発物質表面上をスキャンすることで、該蒸発物質表面を加熱する方法で、電子ビームがあたった部分でエネルギーを変換し、該蒸発物質を蒸発させる方法である。
該蒸着薄膜の厚さは、蒸着フィルムの最終用途によって、適宜選択されるが、5〜400nmの範囲内であることが好ましい。
該蒸着薄膜の膜厚が5nm未満では均一な膜が設けられないので、十分な酸素ガスバリア性や水蒸気バリア性が得られず、膜厚が400nmを越えると、柔軟性がなくなり、折り曲げ、引張りなどの外的要因により、蒸着薄膜に亀裂や剥離が発生しやすくなるので好ましくない。
尚、前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)や二軸延伸ポリアミドフィルム(ON)などの直線引裂き性を有する基材フィルムと蒸着薄膜層との間に熱架橋性プライマーコート層を設けて、該基材フィルムと蒸着薄膜層との間の密着性を高めたガスバリアフィルムを使用しても構わない。
前記熱架橋性プライマーコート層としては、例えば、一般式M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C2H5などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される金属アルコキシドあるいは該金属アルコキシドの加水分解物または、一般式、R´Si(OR)3(R´:アルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表される3官能基のオルガノシランあるいは該オルガノシランの加水分解物の内、少なくとも一方とポリオール化合物およびイソシアネート化合物との複合物も使用することができる。
または、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、ス
ルホキシド基など、R:アルキル基など)で表される3官能基のオルガノシランとポリオール化合物およびイソシアネート化合物との複合物からなるものでも構わない。
次に、前記金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C2H5などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される化合物で、例えば、アルコキシシラン化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタニウムアルコキシド化合物、その他などを使用することができる。
具体的には、テトラメトキシシラン[Si(O−CH3)4]、テトラエトキシシラン[Si(O−C2H5)4]、テトライソプロポキシシラン[Si(O−iso−C3H7)4]、テトラブトキシシラン[Si(O−C4H9)4]、ジメチルジメトキシシラン[(H3C)2Si(O−CH3)2]、トリメトキシメチルシラン[H3CSi(O−CH3)3]、ジメチルジエトキシシラン[(H3C)2Si(O−C2H5)2]などのアルコキシシラン化合物、テトラメトキシジルコニウム[Zr(O−CH3)4]、テトラエトキシジルコニウム[Zr(O−C2H5)4]、テトライソプロポキシジルコニウム[Zr(O−iso−C3H7)4]、テトラブトキシジルコニウム[Zr(O−C4H9)4]などのジルコニウムアルコキシド化合物、テトラメトキシチタニウム[Ti(O−CH3)4]、テトラエトキシチタニウム[Ti(O−C2H5)4]、テトライソプロポキシチタニウム[Ti(O−iso−C3H7)4]、テトラブトキシチタニウム[Ti(O−C4H9)4]などのチタニウムアルコキシド化合物などを挙げることができる。
また、該金属アルコキシドが、一般式、M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C2H5などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される化合物の加水分解物であってもよい。
次に、前記3官能基のオルガノシランは、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表される化合物で、例えば、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどを挙げることができるが、これらの化合物は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。また、前記一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表される化合物の加水分解物であってもよい。
さらに、該3官能基のオルガノシランは、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基など、R:アルキル基など)で表される化合物で、例えば、γ−アミノ−プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができるが、これらの化合物は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。また、前記一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基など、R:アルキル基など)で表される化合物の加水分解物であってもよい。
次に、該熱架橋性プライマーコート層を構成している、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオールまたはアクリルポリオールを使用することができる。
前記ポリエステルポリオールは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタ
ル酸及びこれらの反応性誘導体の酸原料と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのアルコール原料から公知の製造方法で得られたポリエステル系樹脂のうち末端に2個以上の水酸基(ヒドロキシル基)を持つもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。
次に、前記アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物、もしくはアクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーと共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基を持つもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。
中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合させたものや、スチレンなどのその他のモノマーを加え、共重合させたアクリルポリオールが好ましく使用される。
また、イソシアネート化合物との反応性を考慮するとヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
次に、該ポリオール化合物と3官能基のオルガノシランの配合比は、重量比で1/1〜100/1の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2/1〜50/1の範囲内である。
溶解および希釈溶媒としては、溶解および希釈可能であれば、特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが単独および任意に配合されたものを使用することができる。
しかし、該3官能基のオルガノシランを加水分解するために塩酸や酢酸などの水溶液を使用することがあるため、共溶媒としてイソプロピルアルコールなどと極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を使用することがより好ましい。
また、3官能基のオルガノシランの配合時に反応を促進させるために反応触媒を添加しても一向に構わない。添加される触媒としては、反応性および重合安定性の観点から塩化錫(SnCl2、SnCl4)、オキシ塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)2Cl2)、錫アルコキシドなどの錫化合物であることが好ましい。これらの触媒は、配合時に直接添加してもよく、またメタノールなどの溶媒に溶かして添加してもよい。添加量は、少なすぎても多すぎても触媒効果は得られないため、3官能基のオルガノシランに対してモル比で1/10〜1/10000の範囲内が好ましく、さらに望ましくは、1/100〜1/2000の範囲内であることがより好ましい。
次に、該イソシアネート化合物は、ポリエステルポリオールまたはアクリルポリオールと反応してできるウレタン結合により、基材フィルムや蒸着薄膜層との密着性を高めるために添加されるもので、主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。
このようなイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネートやジフェニルメタンジイソシアネート、脂肪族系のキシリレンジイソシアネートやヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が使用され、これらは単独または混合物として用いられる。
該ポリオール化合物とイソシアネート化合物の配合比は、特に制限されるものではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキングなどが発生し加工上問題がある。そこでポリオール化合物とイソシアネート化合物の配合比としては、イソシアネート化合物由来のイソシアネート基がポリオール化合物由来の水酸基の50倍以下であることが好ましい。特に、好ましいのは、イソシアネート基と水酸基が等量で配合される場合であり、その混合方法は、公知の方法が使用できる。
次に、該熱架橋性プライマーコート層を形成するためのプライマー溶液の調液法としては、3官能基のオルガノシランとポリオール化合物およびイソシアネート化合物を任意の配合比で混合した複合混合溶液を作り、それを基材フィルム上にコーティングして形成する。
その複合混合溶液の作り方としては、3官能基のオルガノシランとポリオール化合物を混合し、溶媒、希釈剤を加え、任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物と混合して複合混合溶液を作る方法、または予め3官能基のオルガノシランを溶媒中に混合しておき、その後ポリオール化合物を混合させたものを溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物を加え複合混合溶液を作る方法などがある。
この複合混合溶液に各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩などの硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系などの酸化防止剤、レベリング剤、流動調製剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤などを必要に応じて添加することも可能である。
次に、該熱架橋性プライマーコート層の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば、特に限定されないが、その乾燥膜厚が5〜300nmの範囲内であることが好ましい。厚さが、5nm以下では均一な塗膜形成ができず、安定的な密着性が得られず、300nm以上では、物性的に平衡に達するので経済的でない。
次に、該熱架橋性プライマーコート層を形成する方法は、例えば、公知のグラビアロールコーティング方式、リバースロールコーティング方式、バーコーティング方式、滴下方式などを使用することができる。
尚、密着性をさらに良くするために、該基材フィルムの表面に、コロナ放電処理、グロー放電処理、低温プラズマ処理、火炎処理、薬品処理、溶剤処理などの公知の方法で前処理を行なう場合もある。また、該基材フィルムの表裏面には、公知の各種の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、及び滑剤などを使用することも可能である。
次に、前記無機酸化物蒸着フィルムのガスバリア性をさらに高めるために、該無機酸化物蒸着層上にガスバリア性被覆層を積層した構成にしても構わない。該ガスバリア性被覆層としては、例えば、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含むものからなるもの使用することができる。
該ガスバリア性被覆層は、蒸着薄膜層の後工程での2次的な各種損傷を防止するとともに、より高いガスバリア性を付与するために該蒸着薄膜層上に設けられるものであり、そ
の成分は、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を該蒸着薄膜層上に塗布してガスバリア性被覆層を形成するものである。
例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水溶液あるいは水/アルコール混合溶液)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行なったものを混合した溶液を蒸着薄膜層上にコーティングし、加熱乾燥し形成したものである。
前記水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
特に、ポリビニルアルコール(PVA)は、ガスバリア性が優れているので好ましく、ここでいうポリビニルアルコール(PVA)は、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものである。
前記ポリビニルアルコール(PVA)としては、例えば酢酸基が数十%残存している、所謂部分鹸化ポリビニルアルコール(PVA)から酢酸基が数%しか残存していない完全鹸化ポリビニルアルコール(PVA)などを含み、特に限定されるものではない。
前記塩化錫は、塩化第一錫、塩化第二錫、或いはそれらの混合物であり、またこれら塩化錫の無水物及び水和物なども使用できる。
次に、金属アルコキシドとしては、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定なテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムなどが好ましい。
さらに、該コーティング剤には、そのガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を、必要に応じて加えることができる。
該コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものが好ましい。
このようなイソシアネート化合物として、例えばトリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が挙げられる。
該ガスバリア性被覆層を蒸着薄膜層上に形成する方法は、グラビアコーティング方式、リバースロールコーティング方式、エアナイフコーティング方式などの公知の方法で塗布した後、加熱、乾燥して形成される。
その際の該ガスバリア性被覆層の厚さは、乾燥後の厚さが、0.01〜50μmの範囲内にあることが好ましい。該乾燥後の厚さが、0.01μm以下では、十分なガスバリア性が得られず、50μm以上の場合は、塗膜にクラックが入り易く、ガスバリアに悪影響を及ぼすので好ましくない。
次に、前記基材フィルムとシーラントフィルム、或いは基材フィルムにガスバリア層を付与したガスバリアフィルムとシーラントフィルムとを順次積層する方法は、例えば、ド
ライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法、該エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチラミネーション方法などの公知の方法を適宜使用することができる。
先ず、前記ドライラミネーション方法は、接着剤を介して、一方のフィルムと、他方のフィルムとをラミネーションする方法で、コーティング部、乾燥装置、ニップローラー部の3つのセクションと、巻き出し、巻き取り、及びテンションコントロールシステムから構成されている。
該コーティング部は、一般的にグラビアロールコーティング方式、又はリバースロールコーティング方式を採用している。
該ドライラミネーション方法に使用する接着剤は、一般的に、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤を使用することができる。
前記ラミネーション用接着剤は、溶剤型接着剤、或いは無溶剤型接着剤が使用されるが、無溶剤型接着剤を使用する場合は、乾燥装置は不要であり、特に、ノンソルベントドライラミネーション方法と呼んでいる。
前記ホットメルトラミネーション方法は、加熱溶融したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ワックス、粘着付与剤などからなるホットメルト接着剤を介して、一方のフィルムと、他方のフィルムとを、直ちにラミネーションする方法である。
前記エクストルージョンラミネーション方法は、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)などの熱可塑性樹脂を加熱し、シリンダーと呼ばれる筒の中で溶解し、スクリューで圧力をかけて押し出し、該シリンダーの先端部にあるTダイスと呼ばれる、細いスリットからカーテン状に溶解した該熱可塑性樹脂を押し出してフィルム状にした後、基材フィルムにダイレクトにラミネーションする方法である。
この際、該エクストルージョンラミネーション方法を利用して、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)などの熱可塑性樹脂を接着剤にして、一方のフィルムと他方のフィルムとをラミネーションするサンドイッチラミネーション方法を使用することもできる。
尚、積層フィルムは上記の構成の他に印刷を施したり、アンカーコーティングなどを含んでいてもよい。
先ず、基材フィルムへの印刷を設ける場合、該フィルムの印刷面は表裏どちらでも印刷可能であるが、一般的なプラスチックフィルム袋への印刷の場合と同様に、インキの耐摩擦性、耐候性などを考慮して基材フィルムの内面に商品の販売促進効果を向上させるなどの理由で美麗な絵柄の印刷を設けることが好ましい。
該印刷を施す印刷インキとしては、インキに色彩を与える顔料や染料などからなる色材と該色材を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させる樹脂と該樹脂を安定して溶解し、該顔料や染料などの分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できる溶剤とから構成されるビヒクル、更に色材の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤などからなる助剤から形成されているが、特に色材は、耐候性の良い顔料が好ましい。
該基材フィルムに印刷を施す印刷方式は、該フィルムに印刷できる印刷方式ならば、特に制約はないが、鉄製の円筒(シリンダー)表面上に銅メッキを施して下地を形成し、該銅メッキ面上に剥離層を設け、更に銅メッキをして、その表面を鏡面状に研磨した銅面に彫刻方式や腐食方式により、凹部(セル)を作成し、該セル内の印刷インキを該フィルムに転移させ、調子物でもカラフルに印刷ができ、且つ訴求効果も高いグラビア印刷方式が好ましい。
尚、該基材フィルムに印刷する際、該基材フィルムとインキとの密着性を向上させるため必要ならば、該基材フィルム面にオゾン処理、コロナ処理などの前処理を施すか、更には、該基材フィルムとインキとの密着性をより向上させるために、該基材フィルム面にアンカーコート剤などをコーティングしてもよい。
前記アンカーコート剤としては、例えばイソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系などのアンカーコート剤や、或いはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤などを使用することができる。
該アンカーコート剤をコーティングする方法は、公知のグラビアロールコーティング方式、リバースロールコーティング方式などを使用することができる。
以上のような材料、方法による代表的な該包装袋(A)を構成する積層フィルムは、例えば、最外層側から順に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPE)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)/無機酸化物蒸着薄膜層/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPE)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)/無機酸化物蒸着薄膜層/接着剤/無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、2軸延伸ポリアミドフィルム(ON)/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPE)、2軸延伸ポリアミドフィルム(ON)/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、2軸延伸ポリアミドフィルム(ON)/無機酸化物蒸着薄膜層/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPE)、2軸延伸ポリアミドフィルム(ON)/無機酸化物蒸着薄膜層/接着剤/無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、積層フィルムの最外層に用いるフィルムも縦・横方向に引き裂き性を有するフィルムに限定されるものではない。
以下に、本発明の包装袋(A)について、具体的にいくつかの実施例を挙げて、さらに詳しく説明する。