しかしながら、繁華街等においては、同時に端末装置を使用するユーザが多くなり、必然的にその近辺に設置された2、3の基地局装置に負担がかかることとなる。これにより、その基地局装置と接続することができない端末装置、すなわち通信ができないユーザが存在してしまう。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信の安定性を向上できる制御方法ならびにそれを利用したサーバを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のサーバは、有線回線を介して基地局装置と接続され、無線回線を介して複数の端末装置と接続されている所定の通信容量を有する基地局装置を介して、複数の端末装置を制御する。また、サーバは、容量検出部と、比較部と、第1選択部と、第2選択部と、端末検出部と、指示部とを備える。容量検出部は、基地局装置と複数の端末装置との間で行っている通信に必要な通信容量を測定して、基地局装置の残余の通信容量を検出する。比較部は、容量検出部にて検出された残余の通信容量と、所定のしきい値とを比較する。第1選択部は、比較部において、残余の通信容量がしきい値より小さくなっている基地局装置を第1基地局装置として選択する。第2選択部は、比較部において、残余の通信容量がしきい値より大きくなっている基地局装置を第2基地局装置として選択する。端末検出部は、第1基地局装置と通信を行っている端末装置のうち、第2基地局装置へ移行可能な端末装置を検出する。指示部は、端末検出部にて検出された端末装置に対し、第1基地局装置から第2基地局装置への移行を、第1基地局装置を介して指示する。
ここで、「複数の端末装置とで行っている通信に必要な通信容量」とは、その端末装置を含む通信システム全体の容量や通信量などであり、たとえば、通信システムが同時に受け入れられる端末装置の数でもよく、また、通信システムが受け入れられる端末装置ごとの伝送レートの総和などを含む。また、「残余の通信容量」とは、基地局装置の有する通信容量のうち、通信に使用していない容量であり、その基地局装置が新たに受け入れることのできる端末装置の通信量などを含む。また、「移行」とは、ハンドオーバなどを含む。また、「移行可能」とは、ハンドオーバによって端末装置がその接続先を新たな基地局装置に変更できることなどを含む。
この態様によると、サーバがその管理下にある基地局装置、端末装置におけるシステム全体の通信量を監視し、容量オーバの基地局装置の負担を容量が余っている基地局装置に転嫁することによって、より柔軟に、またはより効率的にシステム全体の通信量の最適化を図ることができる。
また、端末検出部は、移行可能な端末装置が存在しなかった場合、複数の端末装置が実行している通信の伝送レートをその伝送レートより低い伝送レートに変更することによって、再度第2基地局装置へ移行可能な端末装置を検出してもよい。また、指示部は、低い伝送レートに変更する旨もあわせて指示してもよい。
ここで、「伝送レート」とは、通信量などを含み、たとえば、変調方式の変調多値数や、符号化率、シンボルレート、などによって決定される量を含む。
この態様によると、より低い伝送レートに変更することによって、端末装置が通信できる範囲を拡大することができ、これにより、接続または移行の対象となる基地局装置を増加できる。また、移行対象の基地局装置を増加することによって、選択の幅を広げることができるため、より柔軟に通信量の最適化ができる。
本発明の別の態様は、本発明のある態様のサーバは、有線回線を介して基地局装置と接続され、無線回線を介して複数の端末装置と接続されている所定の通信容量を有する前記基地局装置を介して、前記複数の端末装置を制御する。また、サーバは、容量検出部と、比較部と、基地局選択部と、端末検出部と、指示部とを含む。容量検出部は、基地局装置と複数の端末装置との間で行っている通信に必要な通信容量を測定して、基地局装置の残余の通信容量を検出する。比較部は、容量検出部にて検出された残余の通信容量と、所定のしきい値とを比較する。基地局選択部は、比較部において、残余の通信容量がしきい値より大きくなっている基地局装置を選択する。端末検出部は、基地局選択部によって選択された基地局装置以外の基地局装置と通信を行っている複数の端末装置のうち、伝送レートを変更して、基地局選択部によって選択された基地局装置に移行可能な端末装置を検索する。指示部は、端末検出部にて検出された端末装置に対し、当該端末装置が実行している通信の伝送レートを変更するとともに基地局装置に移行する旨を指示する。
この態様によると、サーバがその管理下にある基地局装置、端末装置におけるシステム全体の通信量を監視し、容量が余っている基地局装置に集中的に通信量を割り振ることによって、システム内の複数の基地局装置の通信量の平滑化ができる。サーバが通信量を管理して、システム全体で最適になるように端末装置に指示をし、また、誘導することによって、より柔軟に、またはより効率的に通信量の最適化を図ることができる。
また、端末検出部は、高い伝送レートで通信を行っている端末装置から順に検索してもよい。また、端末検出部は、伝送レートを低い伝送レートに変更させて、基地局選択部によって選択された基地局装置への移行が可能となる端末装置を検出してもよい。
ここで、「伝送レートを低い伝送レートに変更させて、基地局選択部によって選択された基地局装置への移行が可能となる」とは、より低い伝送レートに変更することによって、端末装置が通信できる範囲を拡大させ、これにより、接続または移行の対象となる基地局装置を増加させることなどを含む。
この態様によると、移行対象の基地局装置を増加することによって、より柔軟に通信量の最適化ができる。また、基地局装置の負担の大きい、高い伝送レートで通信を行っている端末装置を優先的に移行対象とすることで、効率的に通信量の平滑化、最適化ができる。
また、端末検出部は、低い伝送レートで通信を行っている端末装置から順に検索してもよい。また、端末検出部は、伝送レートを高い伝送レートに変更させたときに、基地局選択部によって選択された基地局装置への移行が可能な端末装置を検出してもよい。
この態様によると、移行させやすい低い伝送レートで通信を行っている端末装置を優先的に移行対象とすることで、より高速にシステムの通信量の最適化を図ることができる。また、高い伝送レートに変更させることによって、端末装置、または、システムのスループットを向上できる。
また、端末検出部は、選択された基地局装置の残余の通信容量が、端末装置の変更後の伝送レートで通信を行うために必要な通信容量より大きい場合、端末装置を移行する端末装置として検出してもよい。
ここで、「残余の通信容量が、端末装置の変更後の伝送レートで通信を行うために必要な通信容量より大きい場合」とは、新たにその端末装置を収容したとしても、その基地局装置の通信容量が許容の範囲を超えないことなどを含み、すなわち、その基地局装置は、新たにその端末装置を収容できる場合などに相当する。
この態様によると、より公平に、通信システム内の通信量の負担をそれぞれの基地局に分担させることができる。
本発明のさらに別の態様は、制御方法である。この制御方法は、有線回線を介して基地局装置と接続され、無線回線を介して複数の端末装置と接続されている所定の通信容量を有する前記基地局装置を介して、前記複数の端末装置を制御するためのものである。また、制御方法は、残余の通信容量を検出するステップと、第1基地局装置を選択するステップと、第2基地局装置を選択するステップと、端末装置を検出するステップと、指示するステップとを含む。残余の通信容量を検出するステップは、基地局装置と複数の端末装置との間で行っている通信に必要な通信容量を測定して、その基地局装置の残余の通信容量を検出する。第1基地局装置を選択するステップは、残余の通信容量が所定のしきい値より小さくなっている基地局装置を第1基地局装置として選択する。第2基地局装置を選択するステップは、残余の通信容量がしきい値より大きくなっている基地局装置を第2基地局装置として選択する。端末装置を検出するステップは、第1基地局装置と通信を行っている端末装置のうち、第2基地局装置へ移行可能な端末装置を検出する。指示するステップは、端末装置を検出するステップにて検出された端末装置に対し、前記第1基地局装置から第2基地局装置への移行を指示する。
この態様によると、サーバがその管理下にある基地局装置、端末装置におけるシステム全体の通信量を監視し、容量オーバの基地局装置の負担を容量が余っている基地局装置に転嫁することによって、システム内の複数の基地局装置の通信量の平滑化ができる。サーバが通信量を管理して、システム全体で最適になるように端末装置に指示をし、また、誘導することによって、より柔軟に、またはより効率的に通信量の最適化を図ることができる。
本発明のさらに別の態様は、制御方法である。この制御方法は、有線回線を介して基地局装置と接続され、無線回線を介して複数の端末装置と接続されている所定の通信容量を有する前記基地局装置を介して、前記複数の端末装置を制御するためのものである。また、制御方法は、通信容量を検出するステップと、基地局装置を選択するステップと、端末装置を検出するステップと、指示するステップとを含む。端末装置を検出するステップは、基地局装置と複数の端末装置との間で行っている通信に必要な通信容量を測定して、基地局装置の残余の通信容量を検出する。基地局装置を選択するステップは、残余の通信容量が所定のしきい値より大きくなっている基地局装置を選択する。端末装置を検出するステップは、基地局装置を選択するステップによって選択された基地局装置以外の基地局装置と通信を行っている複数の端末装置のうち、伝送レートを変更して、基地局装置を選択するステップによって選択された基地局装置に移行可能な端末装置を検出する。指示するステップは、端末装置を検出するステップにて検出された端末装置に対し、当該端末装置が実行している通信の伝送レートを変更するとともに基地局装置に移行する旨を指示する。
この態様によると、サーバがその管理下にある基地局装置、端末装置におけるシステム全体の通信量を監視し、容量が余っている基地局装置に集中的に通信量を割り振ることによって、システム内の複数の基地局装置の通信量の平滑化ができる。サーバが通信量を管理して、システム全体で最適になるように端末装置に指示をし、また、誘導することによって、より柔軟に、またはより効率的に通信量の最適化を図ることができる。
本発明のさらに別の態様は、プログラムである。このプログラムは、有線回線を介して基地局装置と接続され、無線回線を介して複数の端末装置と接続されている所定の通信容量を有する前記基地局装置を介して、前記複数の端末装置の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムである。また、このプログラムは、残余の通信容量を検出するステップと、第1基地局装置を選択するステップと、第2基地局装置を選択するステップと、端末装置を検出するステップと、指示するステップとを含む。残余の通信容量を検出するステップは、基地局装置と複数の端末装置との間で行っている通信に必要な通信容量を測定して、その基地局装置の残余の通信容量を検出する。第1基地局装置を選択するステップは、残余の通信容量が所定のしきい値より小さくなっている基地局装置を第1基地局装置として選択する。第2基地局装置を選択するステップは、残余の通信容量がしきい値より大きくなっている基地局装置を第2基地局装置として選択する。端末装置を検出するステップは、第1基地局装置と通信を行っている端末装置のうち、第2基地局装置へ移行可能な端末装置を検出する。指示するステップは、端末装置を検出するステップにて検出された端末装置に対し、前記第1基地局装置から第2基地局装置への移行を指示する。
この態様によると、サーバがその管理下にある基地局装置、端末装置におけるシステム全体の通信量を監視し、容量オーバの基地局装置の負担を容量が余っている基地局装置に転嫁することによって、システム内の複数の基地局装置の通信量の平滑化ができる。サーバが通信量を管理して、システム全体で最適になるように端末装置に指示をし、また、誘導することによって、より柔軟に、またはより効率的に通信量の最適化を図ることができる。
また、端末装置を検出するステップは、移行可能な端末装置が存在しなかった場合、複数の端末装置が実行している通信の伝送レートをその伝送レートより低い伝送レートに変更することによって、再度第2基地局装置へ移行可能な端末装置を検出してもよい。また、指示するステップは、低い伝送レートに変更する旨もあわせて指示してもよい。
本発明のさらに別の態様は、プログラムである。このプログラムは、有線回線を介して基地局装置と接続され、無線回線を介して複数の端末装置と接続されている所定の通信容量を有する前記基地局装置を介して、前記複数の端末装置の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムである。また、このプログラムは、通信容量を検出するステップと、基地局装置を選択するステップと、端末装置を検出するステップと、指示するステップとを含む。端末装置を検出するステップは、基地局装置と複数の端末装置との間で行っている通信に必要な通信容量を測定して、基地局装置の残余の通信容量を検出する。基地局装置を選択するステップは、残余の通信容量が所定のしきい値より大きくなっている基地局装置を選択する。端末装置を検出するステップは、基地局装置を選択するステップによって選択された基地局装置以外の基地局装置と通信を行っている複数の端末装置のうち、伝送レートを変更して、基地局装置を選択するステップによって選択された基地局装置に移行可能な端末装置を検出する。指示するステップは、端末装置を検出するステップにて検出された端末装置に対し、当該端末装置が実行している通信の伝送レートを変更するとともに基地局装置に移行する旨を指示する。
この態様によると、サーバがその管理下にある基地局装置、端末装置におけるシステム全体の通信量を監視し、容量が余っている基地局装置に集中的に通信量を割り振ることによって、システム内の複数の基地局装置の通信量の平滑化ができる。サーバが通信量を管理して、システム全体で最適になるように端末装置に指示をし、また、誘導することによって、より柔軟に、またはより効率的に通信量の最適化を図ることができる。
また、端末装置を検出するステップは、高い伝送レートで通信を行っている端末装置から順に検索してもよい。また、端末装置を検出するステップは、伝送レートを低い伝送レートに変更させて、基地局装置を選択するステップによって選択された基地局装置への移行が可能となる端末装置を検出してもよい。
また、端末装置を検出するステップは、低い伝送レートで通信を行っている端末装置から順に検索してもよい。また、端末装置を検出するステップは、伝送レートを高い伝送レートに変更させたときに、基地局装置を選択するステップによって選択された基地局装置への移行が可能な端末装置を検出してもよい。
また、端末装置を検出するステップは、基地局装置を選択するステップによって選択された基地局装置の残余の通信容量が、端末装置の変更後の伝送レートで通信を行うために必要な通信容量より大きい場合、端末装置を移行する端末装置として検出してもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、通信の安定性を向上できる。
本発明の実施の形態を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施の形態は、サーバと基地局装置と端末装置とを含む無線通信システムにおけるハンドオーバ処理の制御方法に関する。サーバは、それぞれの基地局装置における通信量が平滑化されるように、通信量の多い基地局装置から通信量に余裕のある基地局装置に端末装置をハンドオーバさせることによって、通信システム全体で通信量の最適化を行う。端末装置をハンドオーバさせる際に、端末装置の伝送レートを変える、すなわち適応変調を行うことによって、通信可能な範囲を拡大させて、より柔軟に最適化を行う。具体的な構成、動作については、後述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム100の構成を示す図である。通信システム100は、端末装置10、基地局システム20と総称される第1基地局システム20a、第2基地局システム20b、第N基地局システム20n、公衆網14を含む。また、通信システム100は、無線装置22と総称される第1無線装置22a、第2無線装置22b、第3無線装置22c、第4無線装置22d、LANケーブル26と総称される第1LANケーブル26a、第2LANケーブル26b、第3LANケーブル26c、第4LANケーブル26d、制御装置24を含む。
ここで、LANケーブル26は、有線通信のための通路であって信号のやりとりができるケーブルであればよく、たとえば、光ファイバ、同軸ケーブル、などであってもよい。また、無線装置22は、一端において端末装置10と無線通信を行い、他端において制御装置24と有線通信に関する機能を有する装置であればよく、単に、基地局装置ともよばれる。また、制御装置24は、複数の無線装置22を統括的に制御する装置であり、呼制御機能などを含む。また、制御装置24は、サーバともよばれる。
無線装置22は、無線ネットワークでのチャネルを割り当てることによって、端末装置10との通信を実行する。無線装置22は、増幅機能、周波数変換機能、変復調機能、誤り訂正機能、再送機能等を有する。無線装置22は、複数のチャネルから構成されるフレームを規定している。ここで、フレームの構成は、第二世代コードレス電話システムにおけるフレームの構成と同一であるとする。また、第1無線装置22aから第4無線装置22dのうちのひとつは、基準装置として規定されている。ここでは、第1無線装置22aを基準装置とする。さらに、第1無線装置22a以外の無線装置22でのチャネルのタイミングは、第1無線装置22aでのチャネルのタイミングと同期されている。なお、第2基地局システム20b等も第1基地局システム20aのように複数の無線装置22を備える。また、ひとつの通信システム100に備えられる無線装置22の数は、「4」以外であってもよい。なお、無線装置22は、呼制御を実行する機能を有していない。
サーバとしての制御装置24は、一端に、LANケーブル26を介して複数の無線装置22と接続し、他端に、公衆網14と接続する。このような構成によって、制御装置24は、複数の無線装置22と通信する。制御装置24は、所定の通信容量を有する基地局装置を介して、複数の端末装置10を制御する。また、制御装置24は、無線装置22でのチャネルと公衆網14でのチャネルとを接続するといった呼制御機能を実行する。制御装置24は、各無線装置22における制御機能を統合的に備えられたものである。したがって、各無線装置22に制御機能を設ける必要がないため、コストの低減、小型化が容易となる。
以上の構成において、制御装置24は、無線装置22の通信量を監視しつつ、適宜、端末装置10をハンドオーバさせることによって、通信量の平滑化を図る。たとえば、図1に図示した無線装置22のうち、第1無線装置22aの通信量が多く、第2無線装置22bの通信量が少ない場合においては、第1無線装置22aと通信している端末装置10を第2無線装置22bにハンドオーバさせる。これにより、通信量の平滑化を促進できる。それぞれの無線装置22における通信量の大小は、所定のしきい値との大小を比較することによって判断してもよい。
ハンドオーバ先となる無線装置22は、ハンドオーバさせる端末装置と通信ができることを限度として、第2基地局システム20b、もしくは、第N基地局システム20nに存在する無線装置22であってもよい。また、ハンドオーバ対象となる端末装置10の選定に際しては、ハンドオーバ先の無線装置22と通信できる領域に存在するか否かを考慮して選定する。他の無線装置22にハンドオーバできる端末装置が存在しない場合、すなわち、無線装置22と通信している全ての端末装置が当該無線装置22との間でしか通信を行えない場合、その端末装置の伝送レートを変更することによって、通信可能な範囲を拡大し、もってハンドオーバさせるようにしてもよい。ハンドオーバ先の無線装置22の選定に際しては、ハンドオーバ対象の端末装置10を収容することができることを要件としてもよい。詳細は後述する。
図2は、図1の通信システム100による通信開始の手順を示すシーケンス図である。第1無線装置22aは、端末装置10に対して制御信号を送信する(S200)。端末装置10は、制御信号をもとに、第1無線装置22aとのタイミング同期を確立する(S202)。端末装置10は、第1無線装置22aにリンクチャネル確立要求を送信する(S204)。第1無線装置22aは、端末装置10にリンクチャネル割当を送信する(S206)。第1無線装置22aは、制御装置24にTCH起動完了を送信する(S207)。端末装置10は、第1無線装置22aにCC呼設定を送信する(S208)。第1無線装置22aは、制御装置24に発信要求を送信する(S209)。制御装置24は、第1無線装置22aに伝達能力通知を送信する(S210)。また、制御装置24は、第1無線装置22aに発信確認を送信する(S211)。第1無線装置22aは、端末装置10にCC呼設定受付を送信する(S212)。端末装置10は、第1無線装置22aにRT定義情報要求を送信する(S213)。第1無線装置22aは、端末装置10にRT定義情報応答を送信する(S214)。
端末装置10は、第1無線装置22aにRT機能要求を送信する(S216)。第1無線装置22aは、端末装置10にRT機能要求応答を送信する(S218)。端末装置10は、第1無線装置22aにRT秘匿鍵設定を送信する(S220)。端末装置10は、第1無線装置22aにMM機能要求を送信する(S222)。第1無線装置22aは、端末装置10にMM機能要求応答を送信する(S224)。第1無線装置22aは、制御装置24に認証開始を送信する(S226)。制御装置24は、第1無線装置22aに認証要求を送信する(S228)。第1無線装置22aは、端末装置10に認証要求を送信する(S230)。端末装置10は、第1無線装置22aに認証応答を送信する(S232)。第1無線装置22aは、制御装置24に認証応答を送信する(S234)。
制御装置24は、公衆網14に呼設定を送信する(S236)。公衆網14は、制御装置24に呼設定受付を送信する(S238)。以上の処理によって、第1無線装置22aでのチャネルと公衆網14でのチャネルとが、接続される。公衆網14は、制御装置24に呼出を送信する(S240)。制御装置24は、第1無線装置22aに呼出を送信する(S242)。第1無線装置22aは、端末装置10にCC呼出を送信する(S244)。公衆網14は、制御装置24に応答を送信する(S246)。制御装置24は、第1無線装置22aに応答を送信する(S248)。第1無線装置22aは、端末装置10にCC応答を送信する(S250)。制御装置24は、公衆網14に応答確認を送信する(S252)。端末装置10と公衆網14とは、通信を実行する(S254)。
ここで、図1の制御装置24について、図3と図4を用いて詳細に説明する。図3は、図1の制御装置24の構成例を示す図である。制御装置24は、容量検出部30と、比較部32と、基地局選択部34と、端末検出部36と、指示部38と、インタフェイス部39とを含む。なお、以下においては、制御装置24を「サーバ」と表記する。また、無線装置22を「基地局装置」と表記する。
容量検出部30は、図示しない基地局装置と図示しない複数の端末装置10との間における通信に必要な通信容量を測定して、基地局装置の残余の通信容量を検出する。具体的には、基地局装置における通信容量から複数の端末装置10との間の通信に必要な通信容量の総和を減じる処理をする。たとえば、基地局装置の通信容量が100であり、また、その基地局装置と通信している端末装置10が2つあるとする。ここで、一方の端末装置10の通信に必要な量は、30であり、他方が40であるとする。そうすると、その基地局装置の残余の通信容量は、100から70を減じた30となる。なお、通信に必要な量は、端末装置10が所望する通信サービスなどに依存し、伝送レート、変調方法、符号化率などによって決まる値である。
比較部32は、容量検出部30にて検出された残余の通信容量と、所定のしきい値とを比較する。所定のしきい値は、予め設定された値でもよく、また、システムの負荷状態に応じて変化させてもよい。また、比較対象となる基地局装置ごとに、しきい値を変えてもよい。
基地局選択部34は、比較部32の結果を用いて、ハンドオーバの候補となる基地局装置を選択する。「ハンドオーバの候補となる基地局装置」とは、ハンドオーバ元の基地局装置、または、ハンドオーバ先の基地局装置を含む。ここで、図4を用いて、基地局選択部34について説明する。図4は、図3の基地局選択部34の構成例を示す図である。基地局選択部34は、第1選択部40と、第2選択部42とを含む。第1選択部40は、図3の比較部32において、残余の通信容量がしきい値より小さくなっている基地局装置を第1基地局装置として選択する。第2選択部42は、比較部32において、残余の通信容量がしきい値より大きくなっている基地局装置を第2基地局装置として選択する。なお、図3の基地局選択部34は、第1基地局装置、第2基地局装置のいずれか一方のみを選択してもよい。
図3に戻る。比較部32と基地局選択部34の動作について例を用いて説明する。たとえば、所定のしきい値が20である場合で、残余の通信容量が30である場合は、その基地局装置は、まだ通信量を増加することができる。すなわち、新たに端末装置を受け入れることができる基地局装置であると判断される。一方、所定のしきい値が20である場合で、残余の通信容量が10である場合は、残余の通信容量がしきい値を下回っているので、その基地局装置は、新たに端末装置を受け入れることができない基地局装置であると判断される。なお、基地局装置は、残余の通信容量が0でないかぎり、理論上は、新たに端末装置10を受け入れることができる。しかしながら、その基地局装置と現在通信している端末装置10が適応変調などにより伝送レートを増加する場合や、端末装置10がその基地局装置の在圏エリアに移動してくることによって、その端末装置10を受け入れざるを得ない場合が存在しうる。したがって、所定のしきい値を設けて、ある程度残余の通信容量が少なくなってきた場合は、積極的な端末装置10の受け入れを禁止するとともに、その基地局装置と現在通信をしている端末装置10のいずれかを他の基地局装置に移行させることとしている。
端末検出部36は、第1基地局装置と通信している端末装置10のうち、第2基地局装置へ移行可能な端末装置10を検出する。また、指示部38は、端末検出部36にて検出された端末装置10に対し、第1基地局装置から第2基地局装置への移行を、第1基地局装置を介して指示する。具体的には、第1基地局装置と第2基地局装置の双方の在圏エリアに存在する端末装置10を検出する。通信することのできない端末装置10を強制的にハンドオーバさせると、その端末装置10の通信が断絶されてしまうからである。指示部38は、検出された端末装置10についての情報を第1基地局装置と第2基地局装置の双方に通知し、ハンドオーバ処理の実行を指示する。以上の指示部38による指示は、口述するインタフェイス部39を介して行われる。
また、端末検出部36は、基地局選択部34によって選択された基地局装置の残余の通信容量が、端末装置10の変更後の伝送レートで通信を実行するために必要な通信容量より大きい場合、端末装置10を移行する端末装置10として検出する。移行先の基地局装置の残余の通信容量のほうが少ない場合は、その端末装置10を受け入れることができないからである。また、端末装置10を受け入れた後の残余の通信容量について、ある程度余裕を持たせたい場合は、基地局装置の残余の通信容量が、余裕分の通信容量と移行してくる端末装置10にかかる通信容量とを加算した値よりも大きい場合に、その端末装置10はその基地局装置に移行可能な状態にあると判断してもよい。
また、端末検出部36は、移行可能な端末装置10が存在しなかった場合、複数の端末装置10が実行している通信の伝送レートをその伝送レートより低い伝送レートに変更することによって、再度第2基地局装置へ移行可能な端末装置10を検出する。その際、指示部38は、低い伝送レートに変更する旨もあわせて指示する。ここでは、第1基地局装置と通信している端末装置10のうち、第2基地局装置とも通信を行うことができる端末装置が存在しなかった場合を想定している。一般に、端末装置10は、その伝送レートが低いほど遠くの基地局装置と通信を行うことができ、逆に、伝送レートが高い場合は、近くの基地局装置とでした通信を行うことができない。したがって、このような場合は、端末装置10の伝送レートを下げることによって、第2基地局装置と通信を行えるようにする。伝送レートを下げるとは、たとえば、16QAMをより変調多値数の少ないQPSKに変更することなどを含む。
また、端末検出部36は、高い伝送レートで通信している端末装置10から順に検索していく。その際、端末検出部36は、伝送レートを低い伝送レートに変更させて、基地局選択部34によって選択された基地局装置への移行が可能となる端末装置10を検出する。この場合、高い伝送レートで通信している端末装置10を強制的に第2基地局装置へ移行させてもよい。強制的にハンドオーバさせない場合は、端末装置10にその旨を通知し、低い伝送レートに変更してもよいかを問い合せた上で、その端末装置10を第2基地局装置へ移行させる端末装置としてもよい。この結果、高い伝送レートで通信している端末装置10を優先的に伝送レートを下げつつ第2基地局装置に移行させることができるので、システム全体の通信量を低減できる。
また、端末検出部36は、低い伝送レートで通信している端末装置10から順に検索してもよい。その際、端末検出部36は、端末装置10の伝送レートを高い伝送レートに変更させたときに、基地局選択部34によって選択された基地局装置への移行が可能な端末装置10を検出する。これらの処理は上述の処理とは異なり、システム全体のスループットをあげる場合に行われる。すなわち、低い伝送レートで通信している端末装置10は、通信可能な範囲もひろいため第2基地局装置とも通信を行える可能性が高い。そうすると、端末検出部36における検出が容易となる。また、高い伝送レートで通信を行わせることにより、通信時間の短縮できる。一時的にシステムの通信量は増えるものの、通信時間の短縮により、システムの資源を占有する時間が短くなることから、システム全体のスループット、効率は向上されることとなる。
インタフェイス部39は、基地局装置、もしくは、図1の公衆網14との間における通信の送受信処理を実行する。たとえば、図1の第1基地局システム20aに接続されている端末装置10と、第2基地局システム20bに接続されている端末装置との通信の送受信処理を実行する。また、指示部38による基地局装置への指示は、インタフェイス部39を介して実行される。また、インタフェイス部39は、公衆網14を介して、当該基地局システム20と他のシステムにおける端末装置との通信の送受信処理をしてもよい。
これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
ここで、図5と図6を用いて、図1の通信システムにおける動作の詳細について説明する。図5は、図1の端末装置10が第1無線装置22aから第2無線装置22bにハンドオーバする際の動作シーケンス例を示す図である。ここでは、ハンドオーバ元の第1無線装置22aと、ハンドオーバ先の第2無線装置22bとは、双方とも同一の基地局システム20に属するものとして説明する。
図5に示すハンドオーバにかかるシーケンス例は、まず、端末装置10と第1無線装置22aとが通信を実行している状態から開始される(S100)。つぎに、第1無線装置22aは、制御装置24に対し、自己の通信容量、現在の通信量などについて報告する(S102)。また、第2無線装置22bも制御装置24に対して、同様の報告をする(S104)。ここでは、ハンドオーバ先を第2無線装置22bと仮定しているため、他の無線装置22については示していない。しかしながらこれにかぎらず、他の無線装置22も同様に制御装置24に対して報告をしてもよい。
制御装置24は、複数の無線装置22からの報告を受けて、選択処理を実行する(S106)。この選択処理の詳細については後述する。ここでは、ハンドオーバ元として第1無線装置22aが選択され、また、ハンドオーバ先として第2無線装置22bが選択されたものと仮定する。
つぎに、制御装置24は、第2無線装置22bに対し、ハンドオーバ先の基地局として選択された旨を指示する(S108)。第2無線装置22bは、制御装置24の指示を了解した旨の信号を制御装置24に通知する(S110)。また、制御装置24は、第1無線装置22aに対し、ハンドオーバに関する制御情報を通知する(S112)。ハンドオーバに関する制御情報は、ハンドオーバ元として選択された旨、第1無線装置22aと通信している端末装置10のハンドオーバ先の基地局として第2無線装置22bが選択された旨、また、端末装置10との通信を切断する旨などを含む。第1無線装置22aは、制御装置24からの通知に従って、端末装置10に対し、通信の切断、および第2無線装置22bへハンドオーバする旨を要求する(S113)。端末装置10は、この要求を受けて、第1無線装置22aとの間で通信の切断処理を行う(S114)。第1無線装置22aは、切断処理が完了した後、制御装置24に対し、切断が完了した旨を報告する(S116)。
つぎに、制御装置24は、ハンドオーバ先の第2無線装置22bに対し、端末装置10と接続する旨を指示する(S118)。ここで、端末装置10と第2無線装置22bは、図2説明したシーケンスと同様の接続処理を行う(S120)。接続処理が完了した後、第2無線装置22bは、制御装置24に対し、接続が完了した旨を報告し(S121)、端末装置10との間で通信を実行する(S122)。
ここでは、ハンドオーバ元の第1無線装置22aと、ハンドオーバ先の第2無線装置22bとは、双方とも同一の基地局システム20に属するものとして説明した。しかしながらこれにかぎらず、それぞれ異なった基地局システム20に属していてもよい。その場合、ハンドオーバにかかるシーケンス処理は、公衆網14を介して行えばよい。
図6は、図5の制御装置の選択処理S106に関する動作フロー例を示す図である。ここでは、無線装置22を「基地局装置」と表記して説明することとする。
まず、容量検出部30は、基地局装置と複数の端末装置10とで行っている通信に必要な通信容量を測定して、基地局装置の残余の通信容量を検出する(S10)。具体的には、その制御装置24の制御下に存在する複数の基地局装置のそれぞれからされた報告にもとづいて検出する。つぎに、比較部32は、容量検出部30にて検出された残余の通信容量と、所定のしきい値とを比較する(S20)。比較した結果、残余の通信容量がしきい値より小さい場合(S20のY)、第1選択部40は、比較部32において、その基地局装置を第1基地局装置として選択する(S30)。S20において比較した結果、残余の通信容量がしきい値より大さい場合(S20のN)、第2選択部42は、その基地局装置を第2基地局装置として選択する(S40)。制御装置24が制御している基地局装置の全てについて、以上の一連の選択動作が完了していない場合(S50のN)、制御装置24が制御している他の基地局装置について同様の動作(S10〜S40)を行う。
全ての基地局装置について検査が終了している場合(S50のY)、端末検出部36は、第1基地局装置と通信を行っている端末装置10のうち、第2基地局装置へ移行可能な端末装置10を検出する(S60)。ここで、端末検出部36は、前述したように、移行可能な端末装置10が存在しなかった場合、複数の端末装置10が実行している通信の伝送レートをその伝送レートより低い伝送レートに変更することによって、再度第2基地局装置へ移行可能な端末装置10を検出する。また、システム全体のスループットを高めるために、高い伝送レートに変更しつつ、第2基地局装置に移行する端末装置10を検出してもよい。
つぎに、指示部38は、端末検出部36にて検出された端末装置10に対し、第1基地局装置から第2基地局装置への移行を、第1基地局装置を介して指示する(S70)。また、S60において、移行とともに端末装置10の伝送レートを変更する場合、変更後の伝送レートもあわせて指示する。
次に、本発明の実施の形態の変形例を示す。まず概要を述べる。本発明の実施の形態は、サーバと基地局装置と端末装置とを含む無線通信システムにおけるハンドオーバ処理の制御方法に関する。サーバは、基地局間での通信量が平滑化されるように、通信量が少なく残余の通信容量に余裕のある基地局装置に優先的に端末装置をハンドオーバさせることによって、通信システム全体で通信量を最適化する。端末装置をハンドオーバさせる際に、端末装置の伝送レートを変えて、すなわち適応変調処理を実行し、通信可能な範囲を拡大させて、より柔軟に最適化を行わせる。具体的な構成、動作については、後述する。
本変形例においては、図1に示す通信システム100と同様の構成例をとる。また、通信システム100における制御装置24は、図2に示す構成例をとる。本発明の実施の形態の違いは、残余の通信容量に余裕がない基地局装置であるかないかにかかわらず、余裕のある基地局装置に、他の基地局装置と通信している端末装置10を移行させる点である。以下においては、制御装置24を「サーバ」と表記する。また、無線装置22を「基地局装置」と表記する。なお、前述した実施の形態と共通する部分については同一の符号を付して説明を簡略化する。
サーバは、有線回線を介して基地局装置と接続され、無線回線を介して複数の端末装置10と接続されている所定の通信容量を有する基地局装置を介して、複数の端末装置10を制御する。また、容量検出部30は、基地局装置と複数の端末装置10とで行っている通信に必要な通信容量を測定して、基地局装置の残余の通信容量を検出する。比較部32は、容量検出部30にて検出された残余の通信容量と、所定のしきい値とを比較する。また、基地局選択部34は、比較部32において、残余の通信容量がしきい値より大きくなっている基地局装置を選択する。また、端末検出部36は、基地局選択部34によって選択された基地局装置以外の基地局装置と通信を行っている複数の端末装置10のうち、伝送レートを変更して、基地局選択部34によって選択された基地局装置に移行可能な端末装置10を検索する。また、指示部38は、端末検出部36にて検出された端末装置10に対し、当該端末装置10が実行している通信の伝送レートを変更するとともに基地局装置に移行する旨を指示する。
ここで、端末検出部36は、高い伝送レートで通信を行っている端末装置10から順に検索する。端末検出部36は、伝送レートを低い伝送レートに変更させて、基地局選択部34によって選択された基地局装置への移行が可能となる端末装置10を検出する。また、端末検出部36は、低い伝送レートで通信を行っている端末装置10から順に検索してもよい。この際、端末検出部36は、伝送レートを高い伝送レートに変更させたときに、基地局選択部34によって選択された基地局装置への移行が可能な端末装置10を検出する。また、端末検出部36は、基地局選択部34によって選択された基地局装置の残余の通信容量が、端末装置10の変更後の伝送レートで通信を行うために必要な通信容量より大きい場合、端末装置10を移行する端末装置10として検出してもよい。
以上のような処理によって、システム全体での通信量を平滑化できる。これにより、繁華街等において通信を行えなかった端末装置10が多数存在する状況を回避することができる。
次に、本発明の実施の形態の別の変形例を示す。まず概要を述べる。上述した本発明の実施の形態、およびその変形例においては、サーバが主体的に端末装置10の伝送レートを変更することとしていた。ここでは、端末装置10が伝送レートの変更を要求する場合について説明する。なお、本変形例においては、図1に示す通信システム100と同様の構成例をとるとして説明する。以下においては、制御装置24を「サーバ」と表記する。また、無線装置22を「基地局装置」と表記する。なお、前述した実施の形態と共通する部分については同一の符号を付して説明を簡略化する。
まず、端末装置10は、基地局装置に対し、伝送レートを変更したい旨の信号を送信する。この信号には、変更後の伝送レートなどの情報を含む。つぎに、基地局装置は、その伝送レートに変更した場合における通信量を計算し、変更の可否を判断する。すなわち、その基地局装置の残余の通信容量が伝送レートを変更した場合における通信量の増加分より多いか否かを判断する。残余の通信容量のほうが多い場合、基地局装置は、伝送レートの変更を許可するための通知する。端末装置10は、その通知をもとに、伝送レートを切替えて新たに通信を開始する。基地局装置は、その端末装置10の伝送レートが変更された旨、もしくは、変更後の伝送レートを加味した残余の通信容量をサーバに通知する。なお、伝送レート変更の決定は、基地局装置でなく、サーバが行ってもよい。その場合、基地局装置は、サーバと端末装置10との要求信号、許可信号を中継する役割を担う。
一方、残余の通信容量のほうが少ない場合、伝送レートを変更することを許可できないため、基地局装置は、不許可の旨の信号を端末装置10に通知する。また、基地局装置は、端末装置10の要求する伝送レート変更を許可できなかったものの、その端末装置10が伝送レートの変更を希望している旨の信号をサーバに通知する。この場合、サーバは、図3に示す基地局選択部34において、その基地局装置を第1基地局装置として選択し、また、端末検出部36においてその端末装置10をハンドオーバさせる端末装置として検出する。また、基地局選択部34は、伝送レートを変更した上で、その端末装置10を移行させることができるような基地局装置を第2基地局装置として選択する。
以上のような処理によって、ユーザの要求を満たすように通信環境を設定できるので、ユーザに対し快適な通信環境を提供することができる。また、システム全体としての効率を高めることができる。
以上、本発明について実施の形態、その変形例、別の変形例として説明した。これらの実施の形態は、以下の効果のうち少なくとも1以上の効果を奏する。
サーバがその管理下にある基地局装置、端末装置におけるシステム全体の通信量を監視し、容量オーバの基地局装置の負担を容量が余っている基地局装置に転嫁することによって、システム内の複数の基地局装置の通信量の平滑化ができる。また、容量が余っている基地局装置に集中的に通信量を割り振ることによって、システム内の複数の基地局装置の通信量の平滑化ができる。また、サーバが通信量を管理して、システム全体で最適になるように端末装置に指示をし、また、誘導することによって、より柔軟に、またはより効率的に通信量の最適化を図ることができる。また、繁華街等において通信を行えなかった端末装置が多数存在する状況を回避することができる。
また、端末装置の伝送レートをより低い伝送レートに変更することによって、端末装置が通信を行うことができる範囲を拡大することができ、これにより、接続または移行の対象となる基地局装置を増加できる。また、移行対象の基地局装置を増加することによって、より柔軟に通信量の最適化ができる。移行対象の基地局装置を増加することによって、より柔軟に通信量の最適化ができる。また、基地局装置の負担の大きい、高い伝送レートで通信している端末装置を優先的に移行対象とすることで、効率的に通信量の平滑化、最適化ができる。
移行させやすい低い伝送レートで通信している端末装置を優先的に移行対象とすることで、より高速にシステムの通信量の最適化を図ることができる。また、高い伝送レートに変更させることによって、端末装置、または、システムのスループットを向上できる。高い伝送レートで通信している端末装置を優先的に第2基地局装置に移行させることができるので、システム全体の通信量を低減できる。また、高い伝送レートで通信を行わせることにより、通信時間の短縮させることができる。一時的にシステムの通信量は増えるものの、通信時間の短縮により、システムの資源を占有する時間が短くなることから、システム全体のスループット、効率は向上される。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、実施の形態および変更例同士の組み合わせ、もしくは、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施の形態、およびその変形例においては、複数の無線装置22は呼制御機能を有しておらず、制御装置24において統括して呼制御機能を実行するとして説明した。しかしながらこれにかぎらず、無線装置22に呼制御機能を搭載してもよい。本発明の実施の形態においては無線装置22、制御装置24に呼制御機能が搭載されていたとしても、同様の効果を得られることは当業者にとって容易に想到できるといえる。
また、端末装置10における伝送レートは、制御装置24が制御し、また決定するとして説明した。しかしながらこれにかぎらず、ユーザの操作する端末装置10または、端末装置10が移行する基地局装置が伝送レートを決定してもよい。この場合、端末装置10または、端末装置10が移行する基地局装置は、決定した伝送レートを制御装置24に通知し、制御装置24の端末検出部36がその通知をもとに、その端末装置10を優先的にハンドオーバするようにしてもよい。また、制御装置24に対し決定した伝送レートを通知せず、そのかわりに、その端末装置10を優先的にハンドオーバの対象とする旨の要求信号を通知してもよい。この場合は、制御装置24の端末検出部36がその通知をもとに、その端末装置10をハンドオーバ対象の端末装置として選択してもよい。また、移行した後に、伝送レートを変更してもよい。以上により、ユーザに対し快適な通信環境を提供することができる。また、システム全体としての効率を高めることができる。
10 端末装置、 14 公衆網、 20 基地局システム、 20a 第1基地局システム、 20b 第2基地局システム、 20n 第N基地局システム、 22 無線装置、 22a 第1無線装置、 22b 第2無線装置、 22c 第3無線装置、 22d 第4無線装置、 26 LANケーブル、 26a 第1LANケーブル、 26b 第2LANケーブル、 26c 第3LANケーブル、 26d 第4LANケーブル、 30 容量検出部、 32 比較部、 34 基地局選択部、 36 端末検出部、 38 指示部、 40 第1選択部、 42 第2選択部、 100 通信システム。