JP2007028213A - アンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 共振周波数の値を比較的容易に変更して選ぶことができ、小型かつ薄型の無線装置に適したアンテナ装置を提供する。
【解決手段】 アンテナ装置1は、第1アンテナ素子10とそれから分岐した第2アンテナ素子20とを備えている。第1アンテナ素子10の給電端11と接地端12は、近接して配置される。第1アンテナ素子10は、給電端11から第1折り返し個所12までの第1部分線路15、第1折り返し個所13から第2折り返し個所14までの第2部分線路16及び第2折り返し個所14から接地端12までの第3部分線路17を有する。第1部分線路15は第2部分線路16に近接して略平行かつ近接して配設され、第3部分線路17は第2部分線路16に近接して略平行かつ近接して配設される。第1折り返し個所13から第2部分線路16の略半分の線路長を隔てた分岐個所18において、第2アンテナ素子20が第2部分線路16から分岐する。
【選択図】 図1
【解決手段】 アンテナ装置1は、第1アンテナ素子10とそれから分岐した第2アンテナ素子20とを備えている。第1アンテナ素子10の給電端11と接地端12は、近接して配置される。第1アンテナ素子10は、給電端11から第1折り返し個所12までの第1部分線路15、第1折り返し個所13から第2折り返し個所14までの第2部分線路16及び第2折り返し個所14から接地端12までの第3部分線路17を有する。第1部分線路15は第2部分線路16に近接して略平行かつ近接して配設され、第3部分線路17は第2部分線路16に近接して略平行かつ近接して配設される。第1折り返し個所13から第2部分線路16の略半分の線路長を隔てた分岐個所18において、第2アンテナ素子20が第2部分線路16から分岐する。
【選択図】 図1
Description
本発明は無線装置用のアンテナ装置に係り、特に複数の共振周波数を持つ(複共振化された)アンテナ装置に関する。
無線装置の中でも近年とりわけ普及が目覚しい携帯型の無線装置用のアンテナは、これまでの主流であった使用時に筐体外部に引き出せるように実装されるいわゆる引き出し型のタイプから、内蔵型のタイプに移行しつつある。内蔵型アンテナを用いることにより、使用時及び収納時の取り扱いが引き出し型のタイプのアンテナを用いる場合に比べてはるかに容易になり、筐体デザインの自由度が増すと共に筐体を薄く構成することができるという利点が得られる。
従来用いられている内蔵型アンテナにおいては、筐体の小型化が進んで基板にきわめて近接して配置されるようになると、アンテナ素子と周辺回路等の金属部分が近接するためにインピーダンスが低下する。これにより、給電回路との間でインピーダンス不整合を生じて性能の低下を招く場合がある。
アンテナのインピーダンスを下げ過ぎず適切に設定するための技術として、折り返しダイポールアンテナが知られている。折り返しダイポールアンテナは、2以上のダイポールアンテナを平行にして近接させると共にその先端どうしを接続させ、これらのダイポールのうち1つを中央の給電点において給電したアンテナである(例えば、非特許文献1参照。)。通常は、給電点の両側で対称形に構成される。折り返しダイポールアンテナは、折り返さない通常のダイポールアンテナに比べインピーダンスを高くすることができ、また、平行線路の線径の比によりインピーダンスの値を調節することができるという特徴がある。
折り返しダイポールアンテナの対称に構成されたうちの一方を、一端に給電され他端が接地されたモノポールアンテナとして用いることもできる。これは折り返しモノポールアンテナと呼ばれ、理論上折り返しダイポールアンテナと等価な特性を有し、折り返しダイポールアンテナに比べて半分の構成で済むことから小型装置への適用が検討されている(例えば、非特許文献2参照。)。
上記の非特許文献2に開示された技術は、比較的低姿勢ないわゆる逆L型の折り返しモノポールアンテナを組み合わせ、それぞれの共振周波数を異ならせて複共振化するというものである。
しかし、モノポール型のアンテナはアンテナ素子だけでなく基板の接地回路も励振源とするものであるため、携帯型の無線装置の場合は手持ちの影響を受けてアンテナの入力インピーダンスが変化するという問題がある。特に送信の場合、アンテナの入力インピーダンスが変化することによって無線装置の送信出力が劣化する場合がある。
すなわち、アンテナから電力を放射させるには、まずアンテナに電力が入力されなくてはならない。アンテナへの電力入力の最適条件は、給電線の線路インピーダンスとアンテナの入力インピーダンスが同じ値となっていることである。アンテナの入力インピーダンスが最適値から変動すると、送信機から給電線を伝わってアンテナに入力された電力の一部がアンテナの入力端で反射され、送信機へ戻ってしまう。このように送信機から出力された電力の一部がアンテナの入力端で反射され放射されないことから、アンテナの放射効率が低下する。
モノポール型のアンテナは、上述した理由によりこの放射効率の点で一般にダイポール型のアンテナに劣っている。すなわち、携帯型の無線装置においてアンテナの放射効率を重視する観点からは、基本的にアンテナ素子のみを励振源とするダイポール型アンテナ又はダイポール型に近い動作をするアンテナの採用が好ましいと考えられる。
一方、無線装置の通信方式や用途が多様化するのに伴い、アンテナの広帯域化が求められている。これに対応して、共振周波数の異なる複数のアンテナ素子を組み合わせてアンテナを構成する技術が知られている(例えば特許文献1、特許文献2、非特許文献3又は非特許文献4参照。)。
上記の特許文献1に開示された技術は、給電端から接地端まで共振周波数の1波長相当の長さを有する開放ループ状の導体パターンを基板上に形成すると共に、該開放ループ中にブリッジを設けて1の閉ループを形成することにより複共振化アンテナを構成するというものである。
上記の特許文献2に開示された技術は、一端に給電され他端が開放された基板上の導体パターンの途中から分岐したパターンを接地して、上記の一端から他端までの電流経路、他端で折り返されて接地されるまでの電流経路及び上記の一端から接地されるまでの電流経路を形成することにより複共振化アンテナを構成するというものである。
上記の非特許文献3又は非特許文献4に開示された技術は、基板上の給電点から立ち上がった線路が4個所で折り曲げられて他端が同じ基板上で接地されることにより形成された変形伝送線路アンテナに、1の折り返し個所から分岐し開放端を有する素子を付加して複共振化アンテナを構成するというものである。
特開2004−260343号公報(第2、6、7ページ、図2)
特開2004−266311号公報(第2、4、5ページ、図1)
電子情報通信学会編、「アンテナ工学ハンドブック」、オーム社、東京、平成8年10月(第112−113ページ、図4・1、図4・3)
佐藤、天野、「二周波共用二点短絡型折り返しアンテナ」、電子情報通信学会総合大会B−1−57、2004年3月
公文、菊地、「分岐素子を有する2周波共用変形伝送線路アンテナ」、電子情報通信学会論文誌Vol.J86−B、No.12、pp.2570−2575、2003年12月
公文、菊地、「2周波共用分岐素子付き変形伝送線路アンテナの特性」、福岡大学工学集報第72号、pp.21−30、2004年3月
上記の特許文献1又は特許文献2に開示された従来の技術では、所望の共振周波数を得るためにループを形成する導体パターンの長さや幅を適切な値に合わせて固定する必要があることから、共振周波数を若干ずらすだけでも導体パターンの再設計を要するという問題があった。また、共振周波数ごと独立に値を変えて設定することが難しいという問題があった。
上記の非特許文献2に開示された従来の技術では、複数の折り返し型アンテナ素子を組み合わせる必要があるため、小型の無線装置のさらなる多機能化に伴う実装スペースの制限に対応するには、なお改善の余地があった。
上記の非特許文献3又は非特許文献4に開示された従来の技術では、アンテナ素子を基板と垂直な方向に立ち上げる必要があることから、低姿勢に構成しても装置の厚さ方向に一定のスペースを要し、小型かつ薄型の無線装置に適用するには問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、複数の共振周波数ごとの値を容易かつ独立に変えて設定することができ、小型かつ薄型の無線装置に適したアンテナ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のアンテナ装置は、第1の共振周波数及び第2の共振周波数を含む周波数帯において給電される始端から接地される終端まで前記第1の共振周波数の略1波長に相当する線路長を有すると共に、前記始端から前記第1の共振周波数の略4分の1波長に相当する線路長を経た第1の折り返し個所及び前記終端から前記第1の共振周波数の略4分の1波長に相当する線路長を経た第2の折り返し個所においてそれぞれ折り返されることにより折り返しアンテナとして構成され、かつ、前記始端と前記終端とが前記第1の共振周波数の略6分の1波長以下の間隔をおいて配設された第1のアンテナ素子と、前記第1の折り返し個所と前記第2の折り返し個所の間の略中央に位置する分岐個所において前記第1のアンテナ素子から分岐すると共に開放端を有してなり、前記分岐個所から前記開放端までの線路長が前記第1のアンテナ素子の始端から前記分岐個所までの線路長と合計して前記第2の共振周波数の略4分の1波長又は略4分の3波長に相当する第2のアンテナ素子とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、無線装置の小型化・薄型化に適した折り返し型であって、かつ、モノポール型に比べインピーダンス整合をとりやすく手持ちの影響が少ないダイポール型としての特徴を有するアンテナ素子に、長さの選べる分岐素子を付加することにより、小型無線装置用アンテナを複共振化すると共にその共振周波数を比較的容易に変更して選ぶことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
以下、図1乃至図12を参照して、本発明の実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1に係るアンテナ装置1の構成を表す図である。アンテナ装置1は、図示しない無線装置に内蔵された基板2の周辺に設けられた線路により構成され、図中に楕円形の点線で囲んで表された第1アンテナ素子10と、第1アンテナ素子10から分岐し先端が開放された第2アンテナ素子20とを備えている。
第1アンテナ素子10の一端は給電端11であって、基板2上の給電点25に接続される。第1アンテナ素子10の他端は接地端12であって、基板2上で接地される。給電端11と接地端12は、後述するように近接して配置される。
アンテナ装置1は、上記の無線装置の使用周波数帯において給電点25から給電される。なお、以下ではアンテナ装置1の動作を送信の場合について説明するが、受信の場合についても同様の説明が成り立つ(実施例2以降においても同様とする。)。
第1アンテナ素子10を構成する線路は、所定の線路長を隔てて給電端11に近い側に位置する第1折り返し個所13及び接地端12に近い側に位置する第2折り返し個所14において、それぞれ折り返されている。第1アンテナ素子10は、給電端11から第1折り返し個所13までの第1部分線路15、第1折り返し個所13から第2折り返し個所14までの第2部分線路16及び第2折り返し個所14から接地端12までの第3部分線路17を有する。
第1部分線路15は第2部分線路16に近接して略平行に配設され、第3部分線路17は第2部分線路16に近接して略平行に配設される。各部分線路15、16、17の線路長、第1部分線路15と第2部分線路16間の折り返し間隔及び第3部分線路17と第2部分線路16間の折り返し間隔、並びに給電端11と接地端12の間隔については、後で説明する。
第1折り返し個所13から第2部分線路16の略半分の線路長を隔てて第2部分線路16の中央付近に位置する分岐個所18において、第2アンテナ素子20が第2部分線路16から分岐する。第2アンテナ素子20の先端は、開放端21である。なお、第1部分線路15及び第2部分線路16は第1折り返し個所13と分岐個所18の間の1個所以上で折り曲げられていてもよく、第2部分線路16及び第3部分線路17は分岐個所18と第2折り返し個所14の間の1個所以上で折り曲げられていてもよい。
そのように折り曲げて構成されたアンテナ装置1の形状の例を、図2に示す。図2(a)、(b)及び(c)の各図において符号1、2、10、11、12及び20を付して表した構成は、図1にそれぞれ同じ符号を付して表したものに等しい。
図2(a)においては、第1アンテナ素子10の給電端11側及び接地端12側がそれぞれ基板2の長辺方向に平行に折り曲げられている。図2(b)においては、第1アンテナ素子10の給電端11側及び接地端12側がそれぞれ基板2の長辺方向に続いて短辺方向に折り曲げられている。図2(c)においては、第1アンテナ素子10の給電端11側が基板2の長辺方向に平行に配設され、接地端12側が基板2の短辺方向に平行に配設されている。第2アンテナ素子20は、図2(a)、(b)及び(c)の各図において基板2の短辺方向に折り曲げられている。
アンテナ装置1は、このように図示しない無線装置の筐体内にコンパクトに実装することのできる形状をとる。図2(a)、(b)及び(c)の各図に表したアンテナ装置1の形状は例示であって、さまざまな変形が可能である。
次に、アンテナ装置1の共振周波数と電流分布について図3乃至図5を参照して説明する。図3乃至図5の各図は、それぞれ図1から第1アンテナ素子10又はアンテナ装置1、給電点25及び接地端12の位置に表された接地記号を抜き出すと共に電流分布(電流の向きを含む、以下同じ。)を矢線で表したもので、第1アンテナ素子10又はアンテナ装置1の各構成を表す符号は図が煩雑にならないように省略している。
図3(a)は、第1アンテナ素子10単独の(第2アンテナ素子20の存在を無視した場合の)最低の共振周波数における電流分布を表す図である。当該共振周波数f1は、第1アンテナ素子10が給電端11において給電され接地端12において接地されたことから、折り返しモノポールアンテナに近い状態で共振するときの周波数である。周波数f1に対応する波長をρ1とすると、ρ1の(1/2)倍が第1アンテナ素子10の全長に相当する。第1部分線路15及び第3部分線路17の線路長はρ1の略(1/8)倍、第2部分線路16の線路長はρ1の略(1/4)倍である。
図3(a)に示すように、給電端11において最大値をとる電流が第1部分線路15から第2部分線路16にかけて分布し、給電端11からρ1の(1/4)倍に相当する線路長を経た第2部分線路16の中央付近においてその電流値がゼロとなる。接地端12側の電流分布は、上述した給電端11側の電流分布と対称形をなす。
図3(b)は、アンテナ装置1の(第2アンテナ素子20の存在を考慮した場合の)最低の共振周波数F11における電流分布を表す図である。第2アンテナ素子20が付加されると、図3(a)に表された電流分布に変化が生じる。図3(b)に示すように、給電端11から第1部分線路15及び第2部分線路16にかけて分布する電流は第2部分線路16の中央付近に位置する分岐個所18において値がゼロにならず、第2アンテナ素子20の開放端21において値がゼロになる。接地端12側の電流分布は、給電端11側の電流分布と対称形をなす。
周波数F11に対応する波長をλ11と表すものとすれば、給電端11から分岐個所18を経て開放端21までの線路長の合計がλ11の(1/4)倍に相当する。分岐個所18は第2部分線路16の中央付近に位置するから、開放端21から岐個所18を経て接地端12までの線路長の合計がλ11の(1/4)倍に相当する。
分岐個所18から開放端21までの第2アンテナ素子20の線路長がゼロのときはρ1=λ11、f1=F11であるが、第2アンテナ素子20の線路長を大きくとるにつれてλ11はρ1より大きい値をとり、F11はf1より低い値をとる。
図4(a)は、第1アンテナ素子10単独の2番目の共振周波数における電流分布を表す図である。当該2番目の共振周波数f2は、第1アンテナ素子10の給電端11と接地端12とが近接していることから折り返しダイポールアンテナに近い状態で共振するときの周波数である。周波数f2に対応する波長をρ2とすると、第1部分線路15及び第3部分線路17の線路長がそれぞれρ2の略(1/4)倍、第2部分線路16の線路長がρ2の略(1/2)倍に相当する。また、第1アンテナ素子10の全長はほぼρ2に相当する。
図4(a)に示すように、第2部分線路16に分布する電流は両端の第1折り返し個所13及び第2折り返し個所14において値ゼロをとり、第2部分線路16の中央付近で最大値をとる。第2部分線路16に分布する電流と逆相の電流が、接地端12及び給電端11を挟んで第3部分線路17及び第1部分線路15に分布する。
図4(b)は、アンテナ装置1の2番目の共振周波数F12における電流分布を表す図である。図4(b)に示すように第2アンテナ素子20が付加された場合も、図4(a)に表された電流分布に変化を生じない。図4(b)において分岐個所18が位置する第2部分線路16の中央付近では、図4(a)の第2アンテナ素子20が付加されない条件下で電流分布が最大値をとる一方、電圧分布はゼロに近い状態にある。その位置に第2アンテナ素子20が付加されても励振されることはなく、その結果電流分布に変化を生じない。
周波数F12に対応する波長をλ12と表すものとすれば、分岐個所18から開放端21までの第2アンテナ素子20の線路長によらずρ2=λ12、f2=F12である。したがって、第1部分線路15及び第3部分線路17の線路長がそれぞれλ12の略(1/4)倍に相当する。第2部分線路16の線路長がλ12の略(1/2)倍に相当する。また、第1アンテナ素子10の全長はほぼλ12に相当する。
図5(a)は、第1アンテナ素子10単独の3番目の共振周波数における電流分布を表す図である。当該共振周波数f3は、第1アンテナ素子10が折り返しモノポールアンテナに近い状態で共振するときの周波数である。周波数f3に対応する波長をρ3とすると、ρ3の(3/2)倍が第1アンテナ素子10の全長に相当する。
図5(a)に示すように、第1部分線路15に分布する電流は給電端11において最大値をとり、ρ3の(1/4)倍に相当する線路長を経てその値がゼロになる。その先には逆相の電流が第1部分線路15から第2部分線路16にかけて分布し、ρ3の(1/2)倍に相当する線路長を経た第2部分線路16の中央付近において再び電流値がゼロとなる。給電端11から第2部分線路16の中央付近までの線路長は、ρ3の(3/4)倍に相当する。接地端12側の電流分布は、給電端11側の電流分布と対称形をなす。
図5(b)は、アンテナ装置1の3番目の共振周波数F13における電流分布を表す図である。第2アンテナ素子20が付加されると、図5(a)に表された電流分布に変化が生じる。図5(b)に示すように、第1部分線路15から第2部分線路16にかけて分布する電流は第2部分線路16の中央付近に位置する分岐個所18において値がゼロにならず、分岐素子10の開放端21において値がゼロになる。接地端12側の電流分布は、給電端11側の電流分布と対称形をなす。
周波数F13に対応する波長をλ13と表すものとすれば、給電端11から分岐個所18を経て開放端21までの線路長の合計がλ13の(3/4)倍に相当する。分岐個所18は第2部分線路16の中央付近に位置するから、開放端21から岐個所18を経て接地端12までの線路長の合計がλ13の(3/4)倍に相当する。
分岐個所18から開放端21までの第2アンテナ素子20の線路長がゼロのときはρ3=λ13、f3=F13であるが、第2アンテナ素子20の線路長を大きくとるにつれてλ13はρ3より大きい値をとり、F13はf3より低い値をとる。
第1アンテナ素子10は、前述したように折り返しモノポールアンテナ又は折り返しダイポールアンテナに近い性質を持つように構成される。したがって、給電端11と接地端12とは相互に近接して配設されることが望ましい。
給電端11と接地端12との間隔の設定について、図6乃至図8を参照して説明する。図6は、第1アンテナ素子10を無限地板(図中にハッチングを付してその一部を表す。)上に配設したシミュレーションモデルを表す図である。図中の符号10、11及び12(線路長を表す数字と区別するため、それぞれ下線を付す。)により表した構成は、図1にそれぞれ同じ符号を付して表したものに等しい。
図中に表した座標軸によれば、このシミュレーションモデルでは無限地板はx−y面内にあり、第1アンテナ素子10は給電端11及び接地端12からそれぞれz軸方向に立ち上がりx−y面内で折り曲げられて開ループを構成する。第1アンテナ素子10の長手方向はx軸に平行とする。なお、当該座標により表される任意の点のz軸からの角度の座標をθで、当該任意の点をx−y面へ投影した点のx軸からの角度の座標をφで、それぞれ表すものとする。
図6において、第1アンテナ素子10の両端の折り返し個所間の線路長をL1、給電端11又は接地端12の直上で折り曲げられてから両端で折り返されるまでの線路長をそれぞれL2、折り返し線路間の間隔を2mmとする。給電端11及び接地端12の間隔をパラメータeとする。なお、L1及びL2の値は第1アンテナ素子10の2番目の共振が2GHzで発生するように設定した。
図6に表したシミュレーションモデルを用いて周波数F12=2GHzにおける第1アンテナ素子10の電流分布とφ=0°の方向から見た主偏波の放射パターンを計算し、図7及び図8に示す。図7(a)は、パラメータeを4mm(F12の略40分の1波長相当)とした場合の第1アンテナ素子10の電流分布を表す。図中の符号10、11及び12により表した構成は、図1にそれぞれ同じ符号を付して表したものに等しい。図7(a)において、電流分布は矢線で表している。この場合には給電端11と接地端12が十分近接しているから、第1アンテナ素子10は折り返しダイポールアンテナに近い状態で動作していることがわかる。
図7(b)は、e=4mmの場合の上述した放射パターンを表す図である。第1アンテナ素子10には図7(a)に示すように折り返しダイポールアンテナの電流分布に近い電流分布を生じているから、図7(b)に示すように折り返しダイポールアンテナと同様のサイドローブが目立たない放射パターンを得ることがわかる。
図8(a)は、パラメータeを28mm(F12の略5分の1波長相当)とした場合の第1アンテナ素子10の電流分布を表す。図中の符号10、11及び12により表した構成は、図1にそれぞれ同じ符号を付して表したものに等しい。図8(a)において、電流分布は矢線で表している。この場合には給電端11と接地端12がある程度離れているから、第1アンテナ素子10は折り返しダイポールアンテナと異なる状態で動作していることがわかる。
図8(b)は、e=28mmの場合の上述した放射パターンを表す図である。第1アンテナ素子10には図8(a)に示すように折り返しダイポールアンテナの電流分布とは異なった電流分布を生じており、図8(b)に示すように放射パターンにはメインローブの他にサイドローブを生じる。
図9は、給電端11と接地端12の間隔eを変数として、上記のメインローブのピーク値(図8(b)に白丸印で示す。)とサイドローブのピーク値(図8(b)に黒丸印で示す。)の比をシミュレーションにより計算した結果を表す図である。図9に示すように、e=25mm(F12の略6分の1波長相当)以上になるとメインローブとサイドローブのピーク値の比が10dBを下回る。以上のことから、給電端11と接地端12の間隔は2番目の共振周波数F12の略6分の1波長相当以下の値とすることが望ましい。
第1部分線路15と第2部分線路16は相互に折り返された関係にあって略平行に配設され、その折り返し間隔は第1アンテナ素子10を折り返しアンテナとして構成するため十分小さい値とすることが望ましい。第3部分線路17と第2部分線路16は相互に折り返された関係にあって略平行に配設され、その折り返し間隔は第1アンテナ素子10を折り返しアンテナとして構成するため十分小さい値とすることが望ましい。
折り返しダイポールアンテナの折り返し間隔については、文献“Antennas For All Applications”(Mcgraw−Hill Series in Electrical Engineering)、Chap.16−19、“Folded Dipole Antennas”によれば、共振周波数の100分の1波長相当以下とすることが適当であるとされている。
当該折り返し間隔の設定について、図10を参照して説明する。図10(a)は、第1アンテナ素子10を無限地板(図中にハッチングを付してその一部を表す。)上に配設したシミュレーションモデルを表す図である。図中の符号10、11及び12(線路長を表す数字と区別するため、それぞれ下線を付す。)により表した構成は、図1にそれぞれ同じ符号を付して表したものに等しい。
図10(a)において、第1アンテナ素子10は給電端11及び接地端12からそれぞれ無限地板に対して垂直な方向に立ち上がり、無限地板に平行な面内で折り曲げられて開ループを構成する。両端の折り返し個所間の線路長をL1、給電端11又は接地端12の直上で折り曲げられてから両端で折り返されるまでの線路長をそれぞれL2、折り返し間隔をdとする。給電端11及び接地端12の間隔を4mmとする。なお、L1及びL2の値は第1アンテナ素子10の2番目の共振が2GHzで発生するように設定した。
図10(b)は、dを変数として周波数F12=2GHzにおける第1アンテナ素子10の給電端11における電圧定在波比(VSWR)をシミュレーションにより計算した結果を表す図である。図10(b)に示すように、d=28mm(F12の略5分の1波長相当)以上になるとVSWR>3となる。以上のことから、図10(a)のdに相当する第1部分線路15及び第2部分線路16間の折り返し間隔並びに第3部分線路17及び第2部分線路16間の折り返し間隔は、2番目の共振周波数F12の略5分の1波長相当以下の値とすることが望ましい。
以上述べたように、F11、F12及びF13を共振周波数として持つアンテナ装置1は、給電端11から接地端12までの全長がF12の略1波長に相当する線路からなる第1アンテナ素子10と、第1アンテナ素子10の途中の分岐個所18から分岐して開放端21に至る線路からなる第2アンテナ素子20とを備える。アンテナ装置1は、少なくともF11及びF12を含む周波数帯又は少なくともF12及びF13を含む周波数帯において、給電端11から給電されることができる。
第1アンテナ素子10は、給電端11からF12の略(1/4)波長に相当する線路長を経た第1折り返し個所13及び接地端12からF12の略(1/4)波長に相当する線路長を経た第2折り返し個所14においてF12の略5分の1波長以下の折り返し間隔をもってそれぞれ折り返されることにより折り返しアンテナとして構成されている。給電端11と接地端12は、F12の略6分の1波長以下の間隔をおいて配設されている。分岐個所18は、第1折り返し個所13及び第2折り返し個所14の間の略中央に位置する。
第2アンテナ素子20の分岐個所18から開放端21までの線路長は、第1アンテナ素子10の給電端11から分岐個所18までの線路長又は分岐個所18から接地端12までの線路長と合計して、F11の略4分の1波長又はF13の略4分の3波長に相当する値に選ばれる。第2アンテナ素子20の線路長を変えることにより、F11及びF13の値を変えることができるが、F12の値は変わらない。
アンテナ装置1の共振周波数に係るシミュレーション評価の結果を、図11及び図12を参照して説明する。図11(a)は、第2アンテナ素子20の線路長によるアンテナ装置1の共振周波数の変化をシミュレーションにより計算するための条件を表す図である。アンテナ装置1の各構成を表す符号は、図が煩雑にならないように省略している。
各部の線路長を図11(a)に表したようにとり、第2アンテナ素子20の線路長bを変化させてシミュレーションを行った結果を、図11(b)に示す。図11(b)の縦軸は周波数値、横軸はbの値である。bの値の増加に伴いF11及びF13の値はそれぞれ低下するが、F12の値は不変であることがわかる。図12は、同じ条件により求めたb=20mmの場合のスミス線図である。
本発明の実施例1によれば、折り返しダイポール型に近い構成のアンテナ素子から分岐させる素子の線路長を調整して、折り返しダイポール型としての共振周波数を保ちながらその上下の共振周波数を調整することができる。
以下、図13乃至図17を参照して、本発明の実施例2を説明する。図13は、本発明の実施例2に係るアンテナ装置3の構成を表す図である。アンテナ装置3は、実施例1と同じく図示しない無線装置に内蔵された基板2の周辺に設けられた線路により構成され、図中に楕円形の点線で囲んで表された第1アンテナ素子30と、第1アンテナ素子30から分岐し先端が開放された第2アンテナ素子40とを備えている。
第1アンテナ素子30の一端は給電端31であって、基板2上の給電点25に接続される。第1アンテナ素子30の他端は接地端32であって、基板2上で接地される。給電端31と接地端32は、後述するように近接して配置される。アンテナ装置3は、上記の無線装置の使用周波数帯において給電点25から給電される。
第1アンテナ素子30を構成する線路は、所定の線路長を隔てて給電端31に近い側に位置する第1折り返し個所33及び接地端32に近い側に位置する第2折り返し個所34でそれぞれ折り返されている。第1アンテナ素子30は、給電端31から第1折り返し個所33までの第1部分線路35、第1折り返し個所33から第2折り返し個所34までの第2部分線路36及び第2折り返し個所34から接地端32までの第3部分線路37を有する。
第1部分線路35は第2部分線路36に近接して略平行に配設され、第3部分線路37は第2部分線路36に近接して略平行に配設される。各部分線路35、36、37の線路長、第1部分線路35と第2部分線路36間の折り返し間隔及び第3部分線路37と第2部分線路36間の折り返し間隔、並びに給電端31と接地端32の間隔については、実施例1において第1アンテナ素子10の対応する各部分について説明したのと同様とする。
第2部分線路36の中央よりも給電端31寄りに設けた分岐個所38において、第2アンテナ素子40が第2部分線路36から分岐する。第2アンテナ素子40の先端は、開放端41である。なお、第1部分線路35及び第2部分線路36は第1折り返し個所33と分岐個所38の間の1個所以上で折り曲げられていてもよく、第2部分線路36及び第3部分線路37は分岐個所38と第2折り返し個所34の間の1個所以上で折り曲げられていてもよい。この点は、実施例1において図2を参照して説明したのと同様である。
次に、アンテナ装置3の共振周波数と電流分布について図14乃至図16を参照して説明する。図14乃至図16の各図は、それぞれ図13から第1アンテナ素子30又はアンテナ装置3、給電点25及び接地端32の位置に表された接地記号を抜き出すと共に電流分布を矢線で表したもので、第1アンテナ素子30又はアンテナ装置3の各構成を表す符号は図が煩雑にならないように省略している。
図14(a)は第1アンテナ素子30単独の(第2アンテナ素子40の存在を無視した場合の)最低の共振周波数f1における電流分布を表す図3(a)と同じ図であり、説明は省略するが図14(b)と対比するため番号を改めて再掲している。なお、第1アンテナ素子30単独の最低、2番目及び3番目の共振周波数及び波長は、実施例1の第1アンテナ素子10単独の場合のそれらの値に等価であるから、同一の符号を用いて表すものとする。
図14(b)は、アンテナ装置3の(第2アンテナ素子40の存在を考慮した場合の)最低の共振周波数F31における電流分布を表す図である。第2アンテナ素子40が付加されると、図14(a)に表された電流分布に変化が生じる。図14(b)に示すように、給電端31から第1部分線路35及び第2部分線路36にかけて分布する電流は分岐個所38を経て第2アンテナ素子40の開放端41において値がゼロになる。
周波数F31に対応する波長をλ31と表すものとすれば、給電端31から分岐個所38を経て開放端21までの線路長の合計がλ31の(1/4)倍に相当する。給電端31から開放端41までの線路長を給電端31から第2部分線路36の中央までの線路長に等しくすれば、λ31=ρ1すなわちF31=f1となる。分岐個所38の位置又は第2アンテナ素子40の線路長を変えることにより、F31はf1の前後の値をとる。
図14(b)において分岐個所38が第2部分線路36の中央よりも給電端31寄りに設けられていることから、開放端41から分岐個所38を経て接地端32までの線路長を、第1アンテナ素子30の全線路長ρ2の(3/4)倍(すなわちρ1の(3/8)倍)に近い値とすることができる。その場合、上記の開放端41から接地端32までの一端開放、他端接地の線路は、第1アンテナ素子30の第1の共振周波数f1に近い値をとるアンテナ装置3の最低の共振周波数F31における共振には寄与しない。
図15(a)は第1アンテナ素子30単独の第2の共振周波数f2における電流分布を表す図4(a)と同じ図であり、説明は省略するが図15(b)と対比するため番号を改めて再掲している。
図15(b)は、アンテナ装置3の2番目の共振周波数F32における電流分布を表す図である。給電端11から分岐個所38を経て開放端41までの線路長は、周波数F32における共振には寄与しない。一方、開放端41から分岐個所38を経て接地端32までの線路長は、上述したようにρ2の(3/4)倍に近い値になるから、第1アンテナ素子30の2番目の共振周波数f2に近い値をとるアンテナ装置3の2番目の共振周波数F32における共振に寄与する。当該線路長は、周波数F32に対応する波長をλ32と表すものとすれば、λ32の(3/4)倍となる。
周波数F32の値は分岐個所38から開放端41までの第2アンテナ素子40を含む線路長によって定まるから、実施例1の周波数F12の場合と異なり第2アンテナ素子40の線路長に影響される。
図16(a)は第1アンテナ素子30単独の3番目の共振周波数f3における電流分布を表す図5(a)と同じ図であり、説明は省略するが図16(b)と対比するため番号を改めて再掲している。
図16(b)は、アンテナ装置3の3番目の共振周波数F33における電流分布を表す図である。給電端31から分岐個所38を経て開放端41までの線路長は、上述したようにρ1の(1/4)倍すなわちρ3の(3/4)倍に近い値をとるから、アンテナ装置3の3番目の共振周波数F33における共振に寄与する。当該線路長は、周波数F33に対応する波長をλ33と表すものとすれば、λ33の(3/4)倍となる。一方、開放端41から接地端32までの一端開放、他端接地の線路は周波数F33における共振には寄与しない。
なお、給電端31と接地端32とは相互に近接して配設され、その間隔は実施例1で説明したのと同じ理由によりλ32の略6分の1以下であることが望ましい。第1部分線路35と第2部分線路36は相互に折り返された関係にあって略平行に配設され、その折り返し間隔は実施例1で説明したのと同じ理由によりλ32の略5分の1以下であることが望ましい。第3部分線路37と第2部分線路36は相互に折り返された関係にあって略平行に配設され、その折り返し間隔は実施例1で説明したのと同じ理由によりλ32の略5分の1以下であることが望ましい。
以上述べたように、F31、F32及びF33を共振周波数として持つアンテナ装置3は、給電端31から接地端32までの全長がF32の略1波長に相当する線路からなる第1アンテナ素子30と、第1アンテナ素子30の途中の分岐個所38から分岐して開放端41に至る線路からなる第2アンテナ素子40とを備える。アンテナ装置3は、少なくともF31及びF32を含む周波数帯又は少なくともF32及びF33を含む周波数帯において、給電端31から給電されることができる。
第1アンテナ素子30は、給電端31からF32の略(1/4)波長に相当する線路長を経た第1折り返し個所33及び接地端32からF32の略(1/4)波長に相当する線路長を経た第2折り返し個所34においてF32の略5分の1波長以下の折り返し間隔をもってそれぞれ折り返されることにより折り返しアンテナとして構成されている。給電端31と接地端32は、F32の略6分の1波長以下の間隔をおいて配設されている。
第2アンテナ素子40の分岐個所38から開放端41までの線路長は、給電端31から分岐個所38までの線路長と合計してF31の略4分の1波長又はF33の略4分の3波長に相当すると共に、分岐個所38から接地端32までの線路長と合計してF32の略4分の3波長に相当する値に選ばれる。第2アンテナ素子40の線路長を変えることにより、F31及びF33の値を変えることができる。この場合、F32の値も影響を受け、その点をカバーする方法については後で実施例5において説明する。
アンテナ装置3の共振周波数に係るシミュレーション評価の結果を、図17を参照して説明する。図17(a)は、第2アンテナ素子40の線路長によるアンテナ装置3の共振周波数の変化をシミュレーションにより計算するための条件を表す図である。アンテナ装置3の各構成を表す符号は、図が煩雑にならないように省略している。
各部の線路長を図17(a)に表したようにとり、第2アンテナ素子40の線路長bを変化させてシミュレーションを行った結果を、図17(b)に示す。図17(b)の縦軸は周波数値、横軸はbの値である。bの値の増加に伴いF31及びF33の値はそれぞれ低下する。図11(b)のF12の場合とは異なり、F32の値もbの値と共に変化する。なおこの条件では、bの値が32mmから60mmの間でF32における共振が失われるという結果を得ている。
本発明の実施例2によれば、折り返しダイポール型に近い構成のアンテナ素子から分岐させる素子の線路長により折り返しダイポール型としての共振周波数も変化する点に注意を要するが、分岐個所の位置を実施例1の場合よりも自由に選ぶことができる。
以下、図18乃至図22を参照して、本発明の実施例3を説明する。図18は、本発明の実施例3に係るアンテナ装置5の構成を表す図である。アンテナ装置5は、実施例1と同じく図示しない無線装置に内蔵された基板2の周辺に設けられた線路により構成され、図中に楕円形の点線で囲んで表された第1アンテナ素子50と、第1アンテナ素子50から分岐し先端が開放された第2アンテナ素子60とを備えている。
第1アンテナ素子50の一端は給電端51であって、基板2上の給電点25に接続される。第1アンテナ素子50の他端は接地端52であって、基板2上で接地される。給電端51と接地端52は、後述するように近接して配置される。アンテナ装置5は、上記の無線装置の使用周波数帯において給電点25から給電される。
第1アンテナ素子50を構成する線路は、所定の線路長を隔てて給電端51に近い側に位置する第1折り返し個所53及び接地端52に近い側に位置する第2折り返し個所54でそれぞれ折り返されている。第1アンテナ素子50は、給電端51から第1折り返し個所53までの第1部分線路55、第1折り返し個所53から第2折り返し個所54までの第2部分線路56及び第2折り返し個所54から接地端52までの第3部分線路57を有する。
第1部分線路55は第2部分線路56に近接して略平行に配設され、第3部分線路57は第2部分線路56に近接して略平行に配設される。各部分線路55、56、57の線路長、第1部分線路55と第2部分線路56間の折り返し間隔及び第3部分線路57と第2部分線路56間の折り返し間隔、並びに給電端51と接地端52の間隔については、実施例1において第1アンテナ素子10の対応する各部分について説明したのと同様とする。
第2部分線路56の中央よりも接地端52寄りに設けた分岐個所58において、第2アンテナ素子60が第2部分線路56から分岐する。第2アンテナ素子60の先端は、開放端61である。なお、第1部分線路55及び第2部分線路56は第1折り返し個所53と分岐個所58の間の1個所以上で折り曲げられていてもよく、第2部分線路56及び第3部分線路57は分岐個所58と第2折り返し個所54の間の1個所以上で折り曲げられていてもよい。この点は、実施例1において図2を参照して説明したのと同様である。
アンテナ装置5の回路を実施例2で説明したアンテナ装置3の回路と比較すると、第2部分線路36(又は56)の中央に当る個所を挟んでほぼ左右対称の関係にある(形状が左右対称であるとは限らない。)。
次に、アンテナ装置5の共振周波数と電流分布について図19乃至図21を参照して説明する。図19乃至図21の各図は、それぞれ図18から第1アンテナ素子50又はアンテナ装置5、給電点25及び接地端52の位置に表された接地記号を抜き出すと共に電流分布を矢線で表したもので、第1アンテナ素子50又はアンテナ装置5の各構成を表す符号は図が煩雑にならないように省略している。
図19(a)は第1アンテナ素子50単独の(第2アンテナ素子60の存在を無視した場合の)最低の共振周波数f1における電流分布を表す図3(a)と同じ図であり、説明は省略するが図19(b)と対比するため番号を改めて再掲している。なお、第1アンテナ素子50単独の最低、2番目及び3番目の共振周波数及び波長は、実施例1の第1アンテナ素子10単独の場合のそれらの値に等価であるから、同一の符号を用いて表すものとする。
図19(b)は、アンテナ装置5の(第2アンテナ素子60の存在を考慮した場合の)最低の共振周波数F51における電流分布を表す図である。上述したように、アンテナ装置5の回路は実施例2のアンテナ装置3の回路と第2部分線路36(又は56)の中央に当る個所を挟んでほぼ左右対称の関係にあるから、図14(b)と比較して同じく左右対称の関係にある電流分布を得ることができる。
すなわち、開放端61から分岐個所58及び第2折り返し個所54を経て接地端52に至る電流が分布し、対応する線路長の和が周波数F51に対応する波長λ51の(1/4)倍に相当する。一方、給電端51から第1折り返し個所53及び分岐個所58を経て開放端61に至る一端給電、他端開放の線路は、周波数F51における共振には寄与しない。
図20(a)は第1アンテナ素子50単独の2番目の共振周波数f2における電流分布を表す図4(a)と同じ図であり、説明は省略するが図20(b)と対比するため番号を改めて再掲している。
図20(b)は、アンテナ装置5の2番目の共振周波数F52における電流分布を表す図である。この場合にも、上述した左右対称の関係に基づき図15(b)と比較して左右対称の関係にある電流分布を得ることができる。すなわち、給電端51から第1折り返し個所53及び分岐個所58を経て開放端61までの線路長が周波数F52に対応する波長λ52の(3/4)倍に相当し、当該周波数F52における共振に寄与する。一方、開放端61から分岐個所58及び第2折り返し個所54を経て接地端52までの線路長は当該周波数F52における共振に寄与しない。
周波数F52の値は分岐個所58から開放端61までの第2アンテナ素子60を含む線路長によって定まるから、実施例1の周波数F12の場合と異なり第2アンテナ素子60の線路長に影響される。
図21(a)は第1アンテナ素子50単独の3番目の共振周波数f3における電流分布を表す図5(a)と同じ図であり、説明は省略するが図21(b)と対比するため番号を改めて再掲している。
図21(b)は、アンテナ装置5の3番目の共振周波数F53における電流分布を表す図である。この場合にも、上述した左右対称の関係に基づき図16(b)と比較して左右対称の関係にある電流分布を得ることができる。すなわち、開放端61から分岐個所58及び第2折り返し個所54を経て接地端52までの線路長が周波数F53に対応する波長λ53の(3/4)倍に相当し、当該周波数F53における共振に寄与する。一方、給電端51から第1折り返し個所53及び分岐個所58を経て開放端61までの線路長は当該周波数F53における共振に寄与しない。
なお、給電端51と接地端52とは相互に近接して配設され、その間隔は実施例1で説明したのと同じ理由によりλ52の略6分の1以下であることが望ましい。第1部分線路55と第2部分線路56は相互に折り返された関係にあって略平行に配設され、その折り返し間隔は実施例1で説明したのと同じ理由によりλ52の略5分の1以下であることが望ましい。第3部分線路57と第2部分線路56は相互に折り返された関係にあって略平行に配設され、その折り返し間隔は実施例1で説明したのと同じ理由によりλ52の略5分の1以下であることが望ましい。
以上述べたように、F51、F52及びF53を共振周波数として持つアンテナ装置5は、給電端51から接地端52までの全長がF52の略1波長に相当する線路からなる第1アンテナ素子50と、第1アンテナ素子50の途中の分岐個所58から分岐して開放端61に至る線路からなる第2アンテナ素子60とを備える。アンテナ装置5は、少なくともF51及びF52を含む周波数帯又は少なくともF52及びF53を含む周波数帯において、給電端51から給電されることができる。
第1アンテナ素子50は、給電端51からF52の略(1/4)波長に相当する線路長を経た第1折り返し個所53及び接地端52からF52の略(1/4)波長に相当する線路長を経た第2折り返し個所54においてF52の略5分の1波長以下の折り返し間隔をもってそれぞれ折り返されることにより折り返しアンテナとして構成されている。給電端51と接地端52は、F52の略6分の1波長以下の間隔をおいて配設されている。
第2アンテナ素子60の分岐個所58から開放端61までの線路長は、分岐個所58から接地端52までの線路長と合計してF51の略4分の1波長又はF53の略4分の3波長に相当すると共に、給電端51から分岐箇所58までの線路長と合計してF52の略4分の3波長に相当する値に選ばれる。第2アンテナ素子60の線路長を変えることにより、F51及びF53の値を変えることができる。この場合、F52の値も影響を受け、その点をカバーする方法については後で実施例6において説明する。
アンテナ装置5の共振周波数に係るシミュレーション評価の結果を、図22を参照して説明する。図22(a)は、第2アンテナ素子60の線路長によるアンテナ装置5の共振周波数の変化をシミュレーションにより計算するための条件を表す図である。アンテナ装置5の各構成を表す符号は、図が煩雑にならないように省略している。
各部の線路長を図22(a)に表したようにとり、第2アンテナ素子60の線路長bを変化させてシミュレーションを行った結果を、図22(b)に示す。図22(b)の縦軸は周波数値、横軸はbの値である。bの値の増加に伴いF51及びF53の値はそれぞれ低下する。図11(b)のF12の場合とは異なり、F52の値もbの値と共に変化する。なおこの条件では、bの値が20mmから48mmの間でF53における共振が失われるという結果を得ている。
本発明の実施例3によれば、折り返しダイポール型に近い構成のアンテナ素子から分岐させる素子の線路長により折り返しダイポール型としての共振周波数も変化する点に注意を要するが、分岐個所の位置を実施例1の場合よりも自由に選ぶことができる。
以下、図23乃至図27を参照して、本発明の実施例4を説明する。図23は、本発明の実施例4に係るアンテナ装置101の構成を表す図である。アンテナ装置101は、実施例1と同じく図示しない無線装置に内蔵された基板2の周辺に設けられた線路により構成され、図中に楕円形の点線で囲んで表された第1アンテナ素子110と、第1アンテナ素子110から分岐し先端が開放された第2アンテナ素子120とを備えている。
第1アンテナ素子110は、実施例1で説明した第1アンテナ素子10と同様に、給電端111から第1部分線路115、第1折り返し個所113、第2部分線路116、第2折り返し個所114及び第3部分線路117を経て接地端112に至る線路により構成されている。第1部分線路115と第2部分線路116は、短絡個所119において短絡されており、その点を除いて第1アンテナ素子110は実施例1の第1アンテナ素子10に等しい。
第2アンテナ素子120は、実施例1で説明した第2アンテナ素子20と同様に、第1折り返し個所113から第2部分線路116の略半分の線路長を隔てた分岐個所118において第2部分線路116から分岐する。第2アンテナ素子120の先端は、開放端121である。第2アンテナ素子120は,実施例1の第2アンテナ素子20に等しい。
次に、アンテナ装置101の共振周波数と電流分布について図24及び図25を参照して説明する。図24及び図25の各図は、それぞれ図23からアンテナ装置101、給電点25及び接地端112の位置に表された接地記号を抜き出すと共に電流分布を矢線で表したもので、アンテナ装置101の各構成を表す符号は図が煩雑にならないように省略している。
図24(a)は、第1部分線路115と第2部分線路116とが短絡されない場合の最低の共振周波数F11における電流分布を表す図3(b)と同じ図であり、説明は省略するが図24(b)と対比するため番号を改めて再掲している。なお、アンテナ装置101の最低、2番目及び3番目の共振周波数及び波長は、実施例1におけるアンテナ装置1のそれらの値を短絡の有無により変化させるものであるから、同一の符号を用いて表すものとする。
図24(b)は、第1部分線路115と第2部分線路116とが短絡個所119において短絡された場合の最低の共振周波数F11における電流分布を表す図である。短絡個所119の位置を調整することにより、給電端111から短絡個所119及び第2折り返し個所114を経て接地端112までの線路長を、給電端111から第1折り返し個所113及び分岐個所118を経て開放端121までの線路長の約2倍の値(λ11の(1/2)倍)にすることができる。
そうすると、給電端111から短絡個所119及び第2折り返し個所114を経て接地端112までの線路が折り返しモノポールアンテナに近い状態で共振する場合の共振周波数はF11となり、その値を短絡個所119の位置により調整することができる。
図25(a)は、第1部分線路115と第2部分線路116とが短絡されない場合の3番目の共振周波数F13における電流分布を表す図5(b)と同じ図であり、説明は省略するが図25(b)と対比するため番号を改めて再掲している。
図25(b)は、第1部分線路115と第2部分線路116とが短絡個所119において短絡された場合の3番目の共振周波数F13における電流分布を表す図である。短絡個所119の位置を調整することにより、給電端111から短絡個所119及び第2折り返し個所114を経て接地端112までの線路長を、給電端111から第1折り返し個所113及び分岐個所118を経て開放端121までの線路長の約(4/3)倍の値(λ13)にすることができる。
そうすると、給電端111から短絡個所119及び第2折り返し個所114を経て接地端112までの線路が折り返しダイポールアンテナに近い状態で共振する場合の共振周波数はF13となり、その値を短絡個所119の位置により調整することができる。
なお、アンテナ装置101は実施例1のアンテナ装置1と同様に2番目の共振周波数F12において共振する。その場合の電流分布は図4(b)の通りであり、短絡個所119の位置によらない。
以上述べたように、実施例1で説明したアンテナ装置1の変形であるアンテナ装置101は、アンテナ装置1と同じくF11、F12及びF13を共振周波数として持ち、第1部分線路115と第2部分線路116が短絡個所119において短絡されている。アンテナ装置101は、少なくともF11及びF12を含む周波数帯又は少なくともF12及びF13を含む周波数帯において、給電端111から給電されることができる。
給電端111から短絡個所119及び第2折り返し個所114を経て接地端112に至る線路長は、F11の略(1/2)波長又はF13の略1波長に相当する値に選ばれる。短絡個所119の位置を変えることにより、F11及びF13の値を変えることができるが、F12の値は変わらない。なお、第3部分線路117と第2部分線路116の間を短絡した場合にも、同様の効果を得ることができる。
アンテナ装置101の共振周波数に係るシミュレーション評価の結果を、図26を参照して説明する。図26(a)は、短絡個所119と第1折り返し個所113との間の線路上の距離によるアンテナ装置101の共振周波数の変化を、シミュレーションにより計算するための条件を表す図である。アンテナ装置101の各構成を表す符号は、図が煩雑にならないように省略している。
各部の線路長を図26(a)に表したようにとり、短絡個所119と第1折り返し個所113との間の線路上の距離cを変化させてシミュレーションを行った結果を、図26(b)に示す。図26(b)の縦軸は周波数値、横軸はcの値である。cの値の増加に伴い、F11及びF13の値はそれぞれ増加する。F12の値は、ほぼcの値によらず一定である。なおこの条件では、cの値が20mmから28mmの間でF13における共振が失われるという結果を得ている。
第1部分線路115と第2部分線路116の間ではなく、第3部分線路117と第2部分線路116の間を短絡することによっても、同様の効果を得ることができる。アンテナ装置101をそのように変形した場合の共振周波数に係るシミュレーション評価の結果を、図27を参照して説明する。図27(a)は、アンテナ装置101をそのように変形した場合の当該短絡個所と第2折り返し個所114との間の線路上の距離による共振周波数の変化を、シミュレーションにより計算するための条件を表す図である。
各部の線路長を図27(a)に表したようにとり、当該短絡個所と第2折り返し個所114との間の線路上の距離cを変化させてシミュレーションを行った結果を、図27(b)に示す。図27(b)の縦軸は周波数値、横軸はbの値である。cの値の増加に伴い、F11及びF13の値はそれぞれ増加する。
本発明の実施例4によれば、第1アンテナ素子の部分線路間の短絡個所の位置を調整することによっても、実施例1と同等の効果を得ることができる。
以下、図28乃至図31を参照して、本発明の実施例5を説明する。図28は、本発明の実施例5に係るアンテナ装置103の構成を表す図である。アンテナ装置103は、実施例1と同じく図示しない無線装置に内蔵された基板2の周辺に設けられた線路により構成され、図中に楕円形の点線で囲んで表された第1アンテナ素子130と、第1アンテナ素子130から分岐し先端が開放された第2アンテナ素子140とを備えている。
第1アンテナ素子130は、実施例2で説明した第1アンテナ素子30と同様に、給電端131から第1部分線路135、第1折り返し個所133、第2部分線路136、第2折り返し個所134及び第3部分線路137を経て接地端132に至る線路により構成されている。第3部分線路137と第2部分線路136は、短絡個所139において短絡されており、その点を除いて第1アンテナ素子130は実施例2の第1アンテナ素子30に等しい。
第2アンテナ素子140は、実施例2で説明した第2アンテナ素子40と同様に、第2部分線路136の中央よりも給電端131寄りに設けた分岐個所138において第2部分線路136から分岐する。第2アンテナ素子140の先端は、開放端141である。第2アンテナ素子140は、実施例2の第2アンテナ素子40に等しい。
次に、アンテナ装置103の共振周波数と電流分布について図29及び図30を参照して説明する。図29及び図30の各図は、それぞれ図28からアンテナ装置103、給電点25及び接地端132の位置に表された接地記号を抜き出すと共に電流分布を矢線で表したもので、アンテナ装置103の各構成を表す符号は図が煩雑にならないように省略している。
図29(a)は、第3部分線路137と第2部分線路136とが短絡されない場合の最低の共振周波数F31における電流分布を表す図14(b)と同じ図であり、説明は省略するが図29(b)と対比するため番号を改めて再掲している。なお、アンテナ装置103の最低、2番目及び3番目の共振周波数及び波長は、実施例2におけるアンテナ装置3のそれらの値を短絡の有無により変化させるものであるから、同一の符号を用いて表すものとする。
図29(b)は、第3部分線路137と第2部分線路136とが短絡個所139において短絡された場合の共振周波数F31における電流分布を表す図である。短絡個所139の位置を調整することにより、給電端131から第1折り返し個所133及び短絡個所139を経て接地端132までの線路長を、給電端131から第1折り返し個所133及び分岐個所138を経て開放端141までの線路長の約2倍の値(λ31の(1/2)倍)にすることができる。
そうすると、給電端131から第1折り返し個所133及び短絡個所139を経て接地端132までの線路が折り返しモノポールアンテナに近い状態で共振する場合の共振周波数はF31となり、その値を短絡個所139の位置により調整することができる。
図30(a)は、第3部分線路137と第2部分線路136とが短絡されない場合の3番目の共振周波数F33における電流分布を表す図16(b)と同じ図であり、説明は省略するが図30(b)と対比するため番号を改めて再掲している。
図30(b)は、第3部分線路137と第2部分線路136とが短絡個所139において短絡された場合の3番目の共振周波数F33における電流分布を表す図である。短絡個所139の位置を調整することにより、給電端131から第1折り返し個所133及び短絡個所139を経て接地端132までの線路長を、給電端131から第1折り返し個所133及び分岐個所138を経て開放端141までの線路長の約(4/3)倍の値(λ33)にすることができる。
そうすると、給電端131から第1折り返し個所133及び短絡個所139を経て接地端132までの線路が折り返しダイポールアンテナに近い状態で共振する場合の共振周波数はF33となり、その値を短絡個所139の位置により調整することができる。
なお、アンテナ装置103は実施例2のアンテナ装置3と同様に2番目の共振周波数F32において共振する。その場合の電流分布は図15(b)の通りであり、短絡個所139の位置によらない。
以上述べたように、実施例2で説明したアンテナ装置3の変形であるアンテナ装置103は、アンテナ装置3と同じくF31、F32及びF33を共振周波数として持ち、第3部分線路137と第2部分線路136が短絡個所139において短絡されている。アンテナ装置103は、少なくともF31及びF32を含む周波数帯又は少なくともF32及びF33を含む周波数帯において、給電端131から給電されることができる。
給電端131から第1折り返し個所133及び短絡個所139を経て接地端132に至る線路長は、F31の略(1/2)波長又はF33の略1波長に相当する値に選ばれる。短絡個所139の位置を変えることによりF31及びF33の値を変えることができ、かつ、実施例2の場合と異なりF32の値をほぼ一定に保つことができる。なお、第1部分線路135と第2部分線路136の間を短絡した場合にも、同様の効果を得ることができる。
アンテナ装置103の共振周波数に係るシミュレーション評価の結果を、図31を参照して説明する。図31(a)は、短絡個所139と第2折り返し個所134との間の線路上の距離によるアンテナ装置103の共振周波数の変化を、シミュレーションにより計算するための条件を表す図である。アンテナ装置103の各構成を表す符号は、図が煩雑にならないように省略している。
各部の線路長を図31(a)に表したようにとり、短絡個所139と第2折り返し個所134との間の線路上の距離cを変化させてシミュレーションを行った結果を、図31(b)に示す。図31(b)の縦軸は周波数値、横軸はcの値である。cの値の増加に伴い、F31及びF33の値はそれぞれ増加する。F32の値はほぼcの値によらず一定であり、図17(b)においてF32の値がbの値に影響されたのと対照をなす。なお、第3部分線路137と第2部分線路136の間ではなく、第1部分線路135と第2部分線路136の間を短絡することによっても、同様の効果を得ることができる。
本発明の実施例5によれば、第1アンテナ素子の部分線路間の短絡個所の位置を調整することによっても実施例2と同様に最低及び3番目の共振周波数の値を調整することができ、さらに2番目の共振周波数の値をほぼ一定に保つことができるという付加的な効果が得られる。
以下、図32乃至図35を参照して、本発明の実施例6を説明する。図32は、本発明の実施例6に係るアンテナ装置105の構成を表す図である。アンテナ装置105は、実施例1と同じく図示しない無線装置に内蔵された基板2の周辺に設けられた線路により構成され、図中に楕円形の点線で囲んで表された第1アンテナ素子150と、第1アンテナ素子150から分岐し先端が開放された第2アンテナ素子160とを備えている。
第1アンテナ素子150は、実施例3で説明した第1アンテナ素子50と同様に、給電端151から第1部分線路155、第1折り返し個所153、第2部分線路156、第2折り返し個所154及び第3部分線路157を経て接地端152に至る線路により構成されている。第1部分線路155と第2部分線路156は、短絡個所159において短絡されており、その点を除いて第1アンテナ素子150は実施例3の第1アンテナ素子50に等しい。
第2アンテナ素子160は、実施例3で説明した第2アンテナ素子60と同様に、第2部分線路156の中央よりも接地端152寄りに設けた分岐個所158において第2部分線路156から分岐する。第2アンテナ素子160の先端は、開放端161である。第2アンテナ素子160は、実施例3の第2アンテナ素子60に等しい。
次に、アンテナ装置105の共振周波数と電流分布について図33及び図34を参照して説明する。図33及び図34の各図は、それぞれ図32からアンテナ装置105、給電点25及び接地端152の位置に表された接地記号を抜き出すと共に電流分布を矢線で表したもので、アンテナ装置105の各構成を表す符号は図が煩雑にならないように省略している。
図33(a)は、第1部分線路155と第2部分線路156とが短絡されない場合の最低の共振周波数F51における電流分布を表す図19(b)と同じ図であり、説明は省略するが図33(b)と対比するため番号を改めて再掲している。なお、アンテナ装置105の最低、2番目及び3番目の共振周波数及び波長は、実施例3におけるアンテナ装置5のそれらの値を短絡の有無により変化させるものであるから、同一の符号を用いて表すものとする。
図33(b)は、第1部分線路155と第2部分線路156とが短絡個所159において短絡された場合の共振周波数F51における電流分布を表す図である。短絡個所159の位置を調整することにより、給電端151から短絡個所159及び第2折り返し個所154を経て接地端152までの線路長を、開放端161から分岐個所158及び第2折り返し個所154を経て接地端152までの線路長の約2倍の値(λ51の(1/2)倍)にすることができる。
そうすると、給電端151から短絡個所159及び第2折り返し個所154を経て接地端152までの線路が折り返しモノポールアンテナに近い状態で共振する場合の共振周波数はF51となり、その値を短絡個所159の位置により調整することができる。
図34(a)は、第1部分線路155と第2部分線路156とが短絡されない場合の3番目の共振周波数F53における電流分布を表す図21(b)と同じ図であり、説明は省略するが図34(b)と対比するため番号を改めて再掲している。
図34(b)は、第1部分線路155と第2部分線路156とが短絡個所159において短絡された場合の第3の共振周波数F53における電流分布を表す図である。短絡個所159の位置を調整することにより、給電端151から短絡個所159及び第2折り返し個所154を経て接地端152までの線路長を、開放端161から分岐個所158及び第2折り返し個所154を経て接地端152までの線路長の約(4/3)倍の値(λ53)にすることができる。
そうすると、給電端151から短絡個所159及び第2折り返し個所154を経て接地端152までの線路が折り返しダイポールアンテナに近い状態で共振する場合の共振周波数はF53となり、その値を短絡個所159の位置により調整することができる。
なお、アンテナ装置105は実施例3のアンテナ装置5と同様に2番目の共振周波数F52において共振する。その場合の電流分布は図20(b)の通りであり、短絡個所159の位置によらない。
以上述べたように、実施例3で説明したアンテナ装置5の変形であるアンテナ装置105は、アンテナ装置5と同じくF51、F52及びF53を共振周波数として持ち、第1部分線路155と第2部分線路156が短絡個所159において短絡されている。アンテナ装置105は、少なくともF51及びF52を含む周波数帯又は少なくともF52及びF53を含む周波数帯において、給電端151から給電されることができる。
給電端151から短絡個所159及び第2折り返し個所154を経て接地端152に至る線路長は、F51の略(1/2)波長又はF53の略1波長に相当する値に選ばれる。短絡個所159の位置を変えることによりF51及びF53の値を変えることができ、かつ、実施例3の場合と異なりF52の値をほぼ一定に保つことができる。なお、第3部分線路157と第2部分線路156の間を短絡した場合にも、同様の効果を得ることができる。
アンテナ装置105の共振周波数に係るシミュレーション評価の結果を、図35を参照して説明する。図35(a)は、短絡個所159と第1折り返し個所153との間の線路上の距離によるアンテナ装置105の共振周波数の変化を、シミュレーションにより計算するための条件を表す図である。アンテナ装置105の各構成を表す符号は、図が煩雑にならないように省略している。
各部の線路長を図35(a)に表したようにとり、短絡個所159と第1折り返し個所153との間の線路上の距離cを変化させてシミュレーションを行った結果を、図35(b)に示す。図35(b)の縦軸は周波数値、横軸はcの値である。cの値の増加に伴いF51及びF53の値も増加するが、この条件ではcの値が24mm以下の範囲でF53における共振が失われるという結果を得ている。F52の値はほぼcの値によらず一定であり、図22(b)においてF52の値がbの値に影響されたのと対照をなす。なお、第1部分線路155と第2部分線路156の間ではなく、第3部分線路157と第2部分線路156の間を短絡することによっても、同様の効果を得ることができる。
本発明の実施例6によれば、第1アンテナ素子の部分線路間の短絡個所の位置を調整することによっても実施例3と同様に最低及び3番目の共振周波数の値を調整することができ、さらに2番目の共振周波数の値をほぼ一定に保つことができるという付加的な効果が得られる。
以上の実施例1乃至実施例6の説明において、アンテナ装置は基板の周辺に設けられた線路により構成されるものとした。本発明のアンテナ装置の構成はこれに限らず、例えば基板上の導体パターンを線路として構成されたり、基板外部の導体と基板上の導体パターンとを組み合わせた線路として構成されたりしてもよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形が可能である。
1、3、5、101、103、105 アンテナ装置
2 基板
10、30、50、110、130、150 第1アンテナ素子
11、31、51、111、131、151 給電端
12、32、52、112、132、152 接地端
13、33、53、113、133、153 第1折り返し個所
14、34、54、114、134、154 第2折り返し個所
15、35、55、115、135、155 第1部分線路
16、36、56、116、136、156 第2部分線路
17、37、57、117、137、157 第3部分線路
18、38、58、118、138、158 分岐個所
119、139、159 短絡個所
20、40、60 第2アンテナ素子
21、41、61 開放端
25 給電点
2 基板
10、30、50、110、130、150 第1アンテナ素子
11、31、51、111、131、151 給電端
12、32、52、112、132、152 接地端
13、33、53、113、133、153 第1折り返し個所
14、34、54、114、134、154 第2折り返し個所
15、35、55、115、135、155 第1部分線路
16、36、56、116、136、156 第2部分線路
17、37、57、117、137、157 第3部分線路
18、38、58、118、138、158 分岐個所
119、139、159 短絡個所
20、40、60 第2アンテナ素子
21、41、61 開放端
25 給電点
Claims (5)
- 第1の共振周波数及び第2の共振周波数を含む周波数帯において給電される始端から接地される終端まで前記第1の共振周波数の略1波長に相当する線路長を有すると共に、前記始端から前記第1の共振周波数の略4分の1波長に相当する線路長を経た第1の折り返し個所及び前記終端から前記第1の共振周波数の略4分の1波長に相当する線路長を経た第2の折り返し個所において前記第1の共振周波数の略5分の1波長以下の折り返し間隔をもってそれぞれ折り返されることにより折り返しアンテナとして構成され、かつ、前記始端と前記終端とが前記第1の共振周波数の略6分の1波長以下の間隔をおいて配設された第1のアンテナ素子と、
前記第1の折り返し個所と前記第2の折り返し個所の間の略中央に位置する分岐個所において前記第1のアンテナ素子から分岐すると共に開放端を有してなり、前記分岐個所から前記開放端までの線路長が前記第1のアンテナ素子の始端から前記分岐個所までの線路長と合計して前記第2の共振周波数の略4分の1波長又は略4分の3波長に相当する第2のアンテナ素子とを
備えたことを特徴とするアンテナ装置。 - 第1の共振周波数及び第2の共振周波数を含む周波数帯において給電される始端から接地される終端まで前記第1の共振周波数の略1波長に相当する線路長を有すると共に、前記始端から前記第1の共振周波数の略4分の1波長に相当する線路長を経た第1の折り返し個所及び前記終端から前記第1の共振周波数の略4分の1波長に相当する線路長を経た第2の折り返し個所において前記第1の共振周波数の略5分の1波長以下の折り返し間隔をもってそれぞれ折り返されることにより折り返しアンテナとして構成され、かつ、前記始端と前記終端とが前記第1の共振周波数の略6分の1波長以下の間隔をおいて配設された第1のアンテナ素子と、
前記第1の折り返し個所と前記第2の折り返し個所の間に位置する分岐個所において前記第1のアンテナ素子から分岐すると共に開放端を有してなり、前記分岐個所から前記開放端までの線路長が前記第1のアンテナ素子の始端から前記分岐個所までの線路長と合計して前記第2の共振周波数の略4分の1波長又は略4分の3波長に相当すると共に前記分岐個所から前記第1のアンテナ素子の終端までの線路長と合計して前記第1の共振周波数の略4分の3波長に相当することを特徴とするアンテナ装置。 - 第1の共振周波数及び第2の共振周波数を含む周波数帯において給電される始端から接地される終端まで前記第1の共振周波数の略1波長に相当する線路長を有すると共に、前記始端から前記第1の共振周波数の略4分の1波長に相当する線路長を経た第1の折り返し個所及び前記終端から前記第1の共振周波数の略4分の1波長に相当する線路長を経た第2の折り返し個所において前記第1の共振周波数の略5分の1波長以下の折り返し間隔をもってそれぞれ折り返されることにより折り返しアンテナとして構成され、かつ、前記始端と前記終端とが前記第1の共振周波数の略6分の1波長以下の間隔をおいて配設された第1のアンテナ素子と、
前記第1の折り返し個所と前記第2の折り返し個所の間に位置する分岐個所において前記第1のアンテナ素子から分岐すると共に開放端を有してなり、前記分岐個所から前記開放端までの線路長が前記分岐個所から前記第1のアンテナ素子の終端までの線路長と合計して前記第2の共振周波数の略4分の1波長又は略4分の3波長に相当すると共に、前記第1のアンテナ素子の始端から前記分岐個所までの線路長と合計して前記第1の共振周波数の略4分の3波長に相当することを特徴とするアンテナ装置。 - 前記第1のアンテナ素子は前記始端と前記第1の折り返し個所の間の部分及び前記第1の折り返し個所と前記第2の折り返し個所の間の部分が短絡個所において短絡され、前記始端から前記短絡個所及び前記第2の折り返し個所を経て前記終端までの線路長が前記第2の共振周波数の略2分の1波長又は略1波長に相当することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
- 前記第1のアンテナ素子は前記第1の折り返し個所と前記第2の折り返し個所の間の部分及び前記第2の折り返し個所と前記終端の間の部分が短絡個所において短絡され、前記始端から前記第1の折り返し個所及び前記短絡個所を経て前記終端までの線路長が前記第2の共振周波数の略2分の1波長又は略1波長に相当することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
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