JP2007023251A - フタロシアニン色素、インク、インクセット、このインク又はインクセットを用いたインクジェット記録方法、及び着色体 - Google Patents

フタロシアニン色素、インク、インクセット、このインク又はインクセットを用いたインクジェット記録方法、及び着色体 Download PDF

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Abstract

【課題】シアンインクとして良好な色相を有し、耐光性、耐オゾン性、耐湿性に優れ、及びブロンズ現象が大きく緩和したインクジェット記録に適したフタロシアニン色素を提供すること。
【解決手段】置換基として下記式(111)をβ位に有するフタロシアニン化合物を含有するインク
【化111】
Figure 2007023251

[式(111)中、X、YおよびZは、それぞれ独立してハロゲン原子、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリロキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基などを表す。但し、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。]

Description

本発明はフタロシアニン色素、インク、インクセット、このインクまたはインクセットを用いたインクジェット記録方法、及び着色体に関する。
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。また、ディスプレーではLCDやPDPにおいて、撮影機器ではCCDなどの電子部品において、カラーフィルターが使用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現出来る吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件に耐えうる色素がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式等がある。また、インクジェット記録に適したインクの例としては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インク等が挙げられる。
このようなインクジェット記録に適したインクに用いられる色素に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他、SOxなど)に対して耐久性があること、水や薬品に対する耐久性に優れていること、被記録材に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、更には、安価に入手できることが要求されている。特に、良好なシアンの色相を有し、耐光性(光に対する耐久性)、耐オゾン性(オゾンガスに対する耐久性)及び耐湿性(高湿度下における耐久性)に優れ、ブロンズ現象(ブロンジング現象とも言う)を起こさないシアン色素が強く望まれている。ブロンズ現象とは色素の会合やインクの吸収不良などが原因で光沢紙等の表面上に色素が金属片状になり、ぎらつく現象のことを言う。この現象が起こると光沢性、印字品位、印刷濃度すべての点で劣るものとなる。
インクジェット記録に適したインクに用いられる水溶性シアン色素の骨格としてはフタロシアニン系やトリフェニルメタン系が代表的である。最も広範囲に報告され、利用されている代表的なフタロシアニン系色素としては、以下のA〜Jで分類されるフタロシアニン誘導体がある。
A:C.I.Direct Blue 86、C.I.Direct Blue 87、C.I.Direct Blue 199、C.I.Acid Blue 249又はC.I.Reactive Blue 71等のフタロシアニン系色素
〔例えば、Cu−Pc−(SO3Na)m : m=1〜4の混合物〕
B:特許文献1〜3等に記載のフタロシアニン系色素
〔例えば、Cu−Pc−(SO3Na)m(SO2NH2)n : m+n=1〜4の混合物〕
C:特許文献4等に記載のフタロシアニン系色素
〔例えば、Cu−Pc−(CO2H)m(CONR12)n : m+n=0〜4の数〕
D:特許文献5等に記載のフタロシアニン系色素
〔例えば、Cu−Pc−(SO3H)m(SO2NR12)n : m+n=0〜4の数、且つ、m≠0〕
E:特許文献6等に記載のフタロシアニン系色素
〔例えば、Cu−Pc−(SO3H)l(SO2NH2)m(SO2NR12)n : l+m+n=0〜4の数〕
F:特許文献7等に記載のフタロシアニン系色素
〔例えば、Cu−Pc−(SO2NR12)n : n=1〜5の数〕
G:特許文献8、9、10等に記載のフタロシアニン系色素
〔置換基の置換位置を制御したフタロシアニン化合物、β−位に置換基が導入されたフタロシアニン系色素〕
H:特許文献11等に記載のピリジン環を有するフタロシアニン系色素
I:特許文献13等に記載のトリアジン環を一つ有するフタロシアニン系色素
J:特許文献14等に記載のトリアジン環を二つ有するフタロシアニン系色素
特開昭62−190273号公報 特開平7−138511号公報 特開2002−105349号公報 特開平5−171085号公報 特開平10−140063号公報 特表平11−515048号公報 特開昭59−22967号公報 特開2000−303009号公報 特開2002−249677号公報 特開2004−315807号公報 特開2003−34758号公報 特開2002−80762号公報 WO2004087815号公報 特開平3−185080号公報
現在一般に広く用いられるC.I.Direct Blue 86又はC.I.Direct Blue 199に代表されるフタロシアニン系色素については、一般に知られているマゼンタ色素やイエロー色素に比べ耐光性に優れるという特徴がある。
一方、フタロシアニン系色素は酸性条件下ではグリーン味の色相であり、シアンインクとしては余り好ましくない。そのためこれらの色素をシアンインクとして用いる場合は中性からアルカリ性の条件下で使用するのが好ましい。しかしながら、インクが中性からアルカリ性でも、用いる被記録材が酸性紙である場合印刷物の色相が大きく変化する可能性がある。
さらに、昨今環境問題として取りあげられることの多い酸化窒素ガスやオゾン等の酸化性ガスによってもグリーン味に変色し、同時に印字濃度も低下してしまう。
一方、トリフェニルメタン系については、色相は良好であるが、耐光性、耐オゾン性及び耐湿性においてフタロシアニン系色素より非常に劣る。
今後、使用分野が拡大して、広告等の展示物に広く使用されると、光や環境中の活性ガスに曝される場合が多くなるため、特に、良好な色相を有し、耐光性および環境中の活性ガス耐性に優れ、安価な色素及びインクがますます強く望まれてくる。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たすシアン色素(例えば、フタロシアニン系色素)及びシアンインクを開発することは難しい。これまで、活性ガス耐性を付与したフタロシアニン系色素は、特許文献3、8〜14等に開示されているが、色相、耐光性、耐オゾン性、耐湿性及びブロンズ現象等すべての品質を満足させるシアン色素及びシアンインクはいまだ得られていない。よってまだ市場の要求を充分に満足させるには至っていない。
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、シアンインクとして良好な色相を有し、耐光性、耐オゾン性、耐湿性に優れ、かつブロンズ現象を大きく緩和した新規なフタロシアニン色素を提供すること、更には該フタロシアニン色素を用いたインクジェット記録に適したインク及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明者らは、良好な色相と耐光性及び耐オゾン性の高いフタロシアニン系色素類を詳細に検討したところ、特定のフタロシアニン系色素をインク用の色素として用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より詳しくは、置換基としてトリアジン環を二つ有する立体障害の大きな置換基を導入した事を大きな特徴とするフタロシアニン化合物に関するものである。本発明の色素は良好なシアン等の色相を有し、耐光性(光に対する耐久性)、耐湿性(高湿度下における耐久性)、耐オゾン性(オゾンガスに対する耐久性)に優れ、ブロンズ現象においてもこれを大きく緩和することを見いだし、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)下記式(111)で表される基を置換基としてβ位に有するフタロシアニン化合物を含有するインク
Figure 2007023251
[式(111)中、X、YおよびZは、それぞれ独立してハロゲン原子、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリロキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換もしくは無置換のアラルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のアラルキルチオ基、置換もしくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。]
(2)遊離酸として下記式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有する(1)に記載のインク
Figure 2007023251
[式(1)中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。R1、R2は各々独立して、スルファモイル基、又は式(2)で表される置換スルファモイル基を表す。置換基はβ位に結合する。X、YおよびZは、それぞれ独立してハロゲン原子、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリロキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換もしくは無置換のアラルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のアラルキルチオ基、置換もしくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。a、b、cの和は3.0から4.0であり、bは0.3から2.0でありcは0.1から1.0であり、残りはaである。]
Figure 2007023251
(3)前記式(1)において、X、YおよびZは、それぞれ独立して水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、モルホリノ基、アルコキシ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アセチルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、ハロゲン原子からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、フェノキシ基(スルホ基、カルボキシル基、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ベンジロキシ基(スルホ基で置換されてもよい。)、フェネチルオキシ基(スルホ基で置換されてもよい。)、アルキルアミノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、アニリノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ニトロ基、ヘテロ環基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ナフチルアミノ基(スルホン酸基または水酸基で置換されてもよい)であり、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である(1)から(2)のいずれか一項に記載のフタロシアニン化合物を含有するインク
(4)MがCuである(1)から(3)のいずれか一項に記載のフタロシアニン化合物を含有するインク
(5)有機溶剤を含有する(1)から(4)に記載のインク
(6)インクジェット記録用である(1)から(5)に記載のインク
(7)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして(1)から(6)のいずれか一項に記載のインクまたはそのインクを含むインクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法
(8)被記録材が情報伝達用シートである(7)に記載のインクジェット記録方法
(9)情報伝達用シートが表面処理されたシートであって、支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受像層を有するシートである(8)に記載のインクジェット記録方法
(10)(1)から(6)のいずれか一項に記載のインクまたはそのインクを含むインクセットを含有する容器
(11)(10)に記載の容器を有するインクジェットプリンタ
(12)(1)から(6)のいずれか一項に記載のインクまたはそのインクを含むインクセットで着色された着色体
(13)遊離酸として下記式(3)で表されるフタロシアニン色素
Figure 2007023251
[式(3)中、MはCuを表す。X、YおよびZは、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、モルホリノ基、(C1〜C4)アルコキシ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、(C1〜C4)アリールアミノ基、アセチルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、ハロゲン原子からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、フェノキシ基(スルホ基、カルボキシル基、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ベンジロキシ基(スルホ基で置換されてもよい。)、フェネチルオキシ基(スルホ基で置換されてもよい。)、モノ又はジ(C1〜C4)アルキルアミノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、アルコキシ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、アニリノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、(C1〜C4)アルコキシ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ニトロ基、ヘテロ環基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ナフチルアミノ基(スルホン酸基または水酸基で置換されてもよい)であり、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。a、b、cの和は3.0から4.0であり、bは0.3から2.0でありcは0.1から1.0であり、残りはaである。]
(14)X、YおよびZは、それぞれ独立して、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、モルホリノ基、モノ又はジ(C1〜C4)アルキルアミノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、アルコキシ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、アニリノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、(C1〜C4)アルコキシ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ニトロ基、ヘテロ環基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ナフチルアミノ基(スルホン酸基または水酸基で置換されてもよい)で表される(1)から(3)に記載のフタロシアニン色素
(15)Xがスルホ基又はカルボキシル基で置換されたアニリノ基、またはスルホ基で置換されたナフチルアミノ基であり、Yがスルホ基又はカルボキシル基で置換されたアニリノ基、またはスルホ基で置換されたナフチルアミノ基であり、Zがスルホ基又はカルボキシル基で置換されたアニリノ基、またはスルホ基で置換されたナフチルアミノ基、またはスルホ基またはカルボキシル基で置換された(C1〜C4)アルキルアミノ基、またはアミノ基、またはモルホリノ基、または水酸基である(13)に記載のフタロシアニン色素
(16)式(4)で表されるフタロシアニン化合物又はその塩に塩素化剤を反応させ、クロロスルホン基に変換した後、アミノ化剤の存在下、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸と反応させて、得られた色素混合物に式(5)と式(6)で表される化合物を順次反応させて得られる(13)に記載のフタロシアニン色素の製造方法
Figure 2007023251
[式(5)中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を、Lはプロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、金属イオン、有機アミンのオニウムイオンまたはアンモニウムイオンをそれぞれ表す。e、f、g、hは0又は1であり、その和は3〜4の整数である。]
Figure 2007023251
Figure 2007023251
(17)アミノ化剤がアンモニア水である(16)に記載の製造方法
に関する。
本発明のフタロシアニン色素を用いたインクは、シアンインクとして良好な色相を有し、耐光性、耐オゾン性及び耐湿性に優れたインクである。また、長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。更に、他のマゼンタインク及びイエローインクと共に用いることで、広い可視領域の色調を色だしすることができる。従って、本発明のフタロシアニン色素を用いたシアンインクはインクジェット記録用のインクとして極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。本発明は、フタロシアニン環に、無置換スルファモイル基とイオン性親水性基を有するフタロシアニン色素混合物及びそれを用いたインクである。特許文献3には、無置換スルファモイル基を有するフタロシアニン色素混合物は耐オゾン性が良好であることが開示されている。しかし本発明者はトリアジン環を二つ有する立体障害の大きい置換スルファモイル基を導入することによって、ブロンズ現象が大きく緩和されることを見出した。
一般にフタロシアニン誘導体は、その合成時において不可避的に、式(7)における置換基R(n=1〜16)の置換位置異性体を含む場合があるが、これら置換位置異性体は互いに区別することなく同一誘導体として見なしている場合が多い。ここで本明細書においては便宜上、R1〜R16が結合しているベンゼン核上の位置をそれぞれ1位〜16位と定義する。
Figure 2007023251
置換位置が異なるフタロシアニン誘導体を以下の三種類に分類して定義し、本明細書においては便宜上、置換位置が異なるフタロシアニン誘導体を説明する場合、下記(1)β−位置換型、(2)α−位置換型、(3)α、β−位混合置換型として記載する。
(1)β−位置換型:2位または3位、6位または7位、10位または11位、14位または15位から選択される4ヶ所の全てまたは少なくともいずれか1ヶ所に置換基を有するフタロシアニン化合物をいう。
(2)α−位置換型:1位または4位、5位または8位、9位または12位、13位または16位から選択される4ヶ所の全てまたは少なくともいずれか1ヶ所に置換基を有するフタロシアニン化合物をいう。
(3)α、β−位混合置換型:1位〜16位の任意の位置に少なくとも2つの置換基を有し、その置換基のうち少なくとも一つはα−位に、同時に少なくとも一つはβ−位に置換基を有するフタロシアニン化合物をいう。
前記式(1)において、Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。金属原子の具体例としては例えば、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。金属酸化物としてはVO、GeO等が挙げられる。また、金属水酸化物としては例えば、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2、AlOH等が挙げられる。さらに、金属ハロゲン化物としては例えば、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl、AlCl等が挙げられる。これらの中でもCu、Ni、Zn、Al、AlOHが好ましく、Cuが最も好ましい。
本明細書においては特に断りがない限り、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基及びシクロアルキル基等における炭素数は本発明の目的が達成される限り特に限定されない。以下に順次、本明細書においてアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、アルケニル基という単語を用いた場合の意味を示す。これらは特に断りがない限り本明細書を通して同じ意味を表し、また例えばシクロアルキルアミノ基やヘテロ環オキシ基などのようにアミノ基やオキシ基の置換基として使用される場合などにも便宜上、同じ意味を有するものとする。
通常、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基及びシクロアルキル基等の炭素数は1〜16、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6、更には1〜4程度である。
ただしシクロアルキル基については、通常3〜12、好ましくは5〜8程度である。
また、これらが置換基を有する場合、本発明の目的が達成される限り、置換基の種類は特に限定されない。これらの基の炭素鎖上における好ましい置換基としては例えば、スルホ基及びそれから誘導される基(スルファモイル基等)、カルボキシル基及びそれから誘導される基(カルボン酸エステル基等)、リン酸基及びそれから誘導される基(リン酸エステル基等)、水酸基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアミノ基、置換又は無置換のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は無置換のアリールチオ基等が挙げられる。
また、アリール基についても本発明の目的が達成される限り特に限定されない。通常はフェニル基又はナフチル基等である。またこれらはヘテロ環等と縮環していても良い。アリール基上の好ましい置換基としては、例えば上記の炭素鎖上の好ましい置換基として挙げたもの及びウレイド基、ニトロ基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記置換もしくは無置換のアルキル基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルキル基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、例えば炭素原子数が3〜12のシクロアルキル基があげられる。好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキル基が挙げられる。該シクロアルキル環上の置換基としては例えば、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基があげられる。置換基としては例えば、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。また、これらはヘテロ環と縮環していても良く、芳香族へテロ環であっても、非芳香族へテロ環であっても良い。ヘテロ環と縮環したアリール基の例としては、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズオキサゾールなどが挙げられる。
上記置換もしくは無置換のヘテロ環基としては、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族へテロ環であっても、非芳香族ヘテロ環であってもよい。ヘテロ環の例としてはピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。また、これらのヘテロ環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
上記アリール基で置換されたアルキル基(アラルキル基)におけるアルキル基の炭素原子数は好ましくは1〜12程度である。(ここに好ましいアラルキル基の具体例を列記してください)。該アラルキル基は置換基を有してもよく、置換基としては例えば、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアルケニル基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニル基があげられる。(ここに好ましいアルケニル基の具体例を列記してください)。置換基としては例えば、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルコキシ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基としては、例えば炭素原子数が3〜12のシクロアルキルオキシ基があげられる。好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキルオキシ基が挙げられる。該シクロアルキル環上の置換基としては例えば、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアリロキシ基としては、例えばフェノキシ基、ナフチロキシ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基におけるヘテロ環としては、5員環または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族へテロ環であっても、脂肪族ヘテロ環であってもよい。ヘテロ環の例としてはピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。また、これらのヘテロ環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
上記置換もしくは無置換アリール基で置換されたアルコキシ基(アラルキルオキシ基)におけるアルコキシ基の炭素原子数は1〜12程度である。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基におけるアルケニル基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニル基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアルキルアミノ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルキルアミノ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基としては、例えば炭素原子数が3〜12のシクロアルキルアミノ基があげられる。好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキル基が挙げられる。該シクロアルキル環上の置換基としては例えば、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアリールアミノ基としては、例えばアニリノ基、ナフチルアミノ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基におけるヘテロ環としては、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族へテロ環であっても、脂肪族ヘテロ環であってもよい。ヘテロ環の例としてはピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。また、これらのヘテロ環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
上記置換もしくは無置換アリール基で置換されたアルキルアミノ基(アラルキルオアミノ基)におけるアルキルアミノ基の炭素原子数は1〜12程度である。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニルアミノ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルキル基を置換基として2つ有するジアルキルアミノ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のジアルケニルアミノ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニル基を置換基として2つ有するジアルケニルアミノ基があげられる。該置換としては例えば基スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアルキルチオ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルキルチオ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のシクロアルキルチオ基としては、例えば炭素原子数が3〜12のシクロアルキルチオ基があげられる。シクロアルキルチオ基におけるシクロアルキル基として好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキル基が挙げられる。該シクロアルキル環上の置換基としては例えば、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアリールチオ基としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基におけるヘテロ環としては、5員環または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族へテロ環であっても、非芳香族ヘテロ環であってもよい。ヘテロ環の例としてはピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。また、これらのヘテロ環は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い。)、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられる。
上記置換もしくは無置換アリール基で置換されたアルキルチオ基(アラルキルチオ基)におけるアルキルチオ基の炭素原子数は1〜12程度である。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
上記置換もしくは無置換のアルケニルチオ基としては、例えば炭素原子数が1〜12のアルケニルアミノ基があげられる。該置換基としては例えばスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基(アルキル基、アリール基及びアセチル基で置換されても良い)アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アリールチオ基(スルホ基等で置換されても良い)が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、水酸基が好ましい。
本発明の前記式(1)で示されるフタロシアニン色素における、M、X、Y、Zの組み合わせの具体例を表1から5に示すが、本発明に用いられるフタロシアニン色素は、下記の例に限定されるものではない。尚、表中においてスルホン酸などの官能基は遊離酸の形で記載する。
Figure 2007023251
Figure 2007023251
Figure 2007023251
Figure 2007023251
本発明のフタロシアニン色素は、フタロシアニンスルホン酸クロライドにアンモニアと2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸を反応させ置換スルファモイル基に変換し、更に上記式(5)、上記式(6)との縮合により得られる。
フタロシアニンスルホン酸クロライドは、(金属)フタロシアニンにクロロスルホン酸を反応させることによって得ることができるし、4−スルホフタル酸誘導体同士又は、4−スルホフタル酸誘導体と(無水)フタル酸誘導体を金属化合物の存在下に反応させることにより得られる化合物に塩素化剤を反応させ、スルホ基をクロロスルホン基に変換することによっても得られる。
前者の場合はα、β−位混合置換型フタロシアニン色素が得られ(α−位置換型:β−位置換型の比率はおよそ50:50)、後者の場合はβ−位置換型フタロシアニン色素が得られる。特に耐オゾン性の高いインクを得る為には後者の方法によって得られるβ−位置換型フタロシアニン色素が好ましい。β−位置換型該色素の合成原料として用いる市販品として市場から入手可能な4−スルホフタル酸誘導体は、3−スルホフタル酸誘導体を通常15〜25質量%程度不純物として含有する。このためこの不純物由来のα−位置換体が目的とするフタロシアニン色素中に混入する。本発明の効果をより高めるためには、即ち特に耐オゾン性の高いインクを得る為には、不純物である3−スルホフタル酸誘導体の含有量が少ない原料を使用するのが好ましい。
さらに、上記フタロシアニンスルホン酸クロライドにアンモニアを反応させる際などにおいて、理論上、スルホン酸クロライドの一部が加水分解し、スルホ基に変換される副反応が考えられる。この場合、目的とするスルファモイル置換フタロシアニン色素中に、スルホ置換フタロシアニン色素が副生成物として一部混入することも考えられるが本発明においては特に支障はない。
本発明の式(3)で表されるフタロシアニン色素は、β位置換体が主成分、即ち少なくとも60%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上であることが好ましい。
本発明のフタロシアニン色素の置換基数a、b、cについてはa、b、cの和は3.0から4.0であり、bは0.3から2.0でありcは0.1から1.0であり、残りはaである。それぞれ、bについては0.5以上が好ましく、cについては0.3以上が好ましい。また、a、bの比率が多いと耐オゾン性は高くなる一方、ブロンズ現象が起きやすい傾向にある。従って、耐オゾン性、ブロンズ特性、製造の容易さ等を考慮し、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、式(5)および式(6)の添加比率を適宜調節し、バランスの良い比率を選択すればよい。
なお、本発明において色素の合成上、上記した通り色素のスルホン酸クロライドが一部加水分解を受けスルホ基となったものが副成することが考えられるが、両者は分析上区別することが困難であるため、本明細書においては便宜上、無置換スルファモイル基として表記する。従ってスルホ基が副成している場合には、置換基数aは無置換スルファモイル基およびスルホ基の総量として表される。
本発明のフタロシアニン色素においてより好ましいM、X、Y、Zの組み合わせの具体例を表5に示す。尚、表中においてスルホン酸などの官能基は遊離酸の形で記載する。
Figure 2007023251
本発明の式(1)の色素の製造方法を説明する。なお本明細書においては便宜上、フタル酸および/または無水フタル酸を(無水)フタル酸と記載する。また(無水)フタル酸誘導体などと表記する場合であっても、(無水)フタル酸については同じ意味を有するものとする。
まず、式(4)で表される金属フタロシアニンスルホン酸を合成する。尚、前述のとおり、本発明のフタロシアニン色素には原料由来によるα−位置換体が副生するが、製造方法の説明においては、主成分のβ−位置換体で記載する。
式(4)を合成するには、例えば触媒及び金属化合物の存在下、4−スルホフタル酸誘導体又は、4−スルホフタル酸誘導体と(無水)フタル酸誘導体を反応させる事により得られる。
4−スルホフタル酸と無置換(無水)フタル酸の反応のモル比を変えることによりスルホ基の数、つまりe〜hの数を調整することが可能である。4−スルホフタル酸誘導体としては4−スルホフタル酸、4−スルホ無水フタル酸、4−スルホフタルイミド、4−スルホフタロニトリル、4または5−スルホ−2−シアノベンザミド及び5−スルホ−1,3−ジイミノイソインドリン若しくはそれらの塩が挙げられる。これらの中で通常4−スルホフタル酸若しくはその塩が好ましい。但し、フタル酸、無水フタル酸及びフタルイミドの場合は尿素の添加が必須である。尿素の使用量は4−スルホフタル酸誘導体1モルに対し5〜100倍モル量である。
また、反応は通常、溶媒の存在下に行われ、溶媒としては沸点が通常100℃以上、より好ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる。例えば、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼン、キノリン、スルホラン、尿素等が挙げられる。溶媒の使用量は4−スルホフタル酸誘導体の1〜100質量倍である。
触媒としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、モリブデン酸アンモニウム及びホウ酸等が挙げられる。添加量は4−スルホフタル酸誘導体1モルに対し、0.001〜1倍モルである。
金属化合物としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等のハロゲン化物、カルボン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート、カルボニル化合物、錯体等が挙げられる。例えば、塩化銅、臭化銅、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトナート等が挙げられる。金属化合物の使用量は4−スルホフタル酸誘導体または、4−スルホフタル酸誘導体と無置換(無水)フタル酸誘導体の総計1モルに対し、0.15〜0.35倍モルである。
反応温度は通常100〜290℃であり、好ましくは130〜270℃である。また反応時間は反応温度により変わるが通常1〜8時間である。反応終了後、濾過、塩析(又は酸析)、乾燥する事により金属フタロシアニンテトラスルホン酸又はその塩が得られる。遊離酸とするには、例えば酸析すればよい。また、塩にするには、塩析するか、塩析によって所望の塩が得られないときには、例えば遊離酸にしたものに所望の有機又は無機の塩基を添加する通常の塩交換法を利用すればよい。
また、Mが銅である、銅フタロシアニンテトラスルホン酸またはその塩は、特許文献8に記載の方法で合成され、前記式(4)におけるe、f、g、hがそれぞれ1で表される化合物は、例えばスルホラン溶媒中、4−スルホフタル酸(1モル)、塩化銅(II)(0.3モル)、リンモリブデン酸アンモニウム(0.003モル)、尿素(6モル)、塩化アンモニウム(0.5モル)を180℃、次いで室温程度で6時間反応させることにより得ることができる。
式(4)で表される、フタロシアニンスルホン酸又はその塩を、例えば有機溶媒、硫酸、発煙硫酸又はクロロスルホン酸等の溶媒中でクロロ化剤を反応させる事により、下記式(8)で表される金属フタロシアニンスルホン酸クロリド得られる。クロロ化剤はフタロシアニンスルホン酸又はその塩のスルホ基に対して、過剰に使用するのが好ましく、該スルホ基に対するモル比率で1〜10倍程度であり、1.5倍以上が好ましい。反応に用いられる有機溶剤としてはベンゼン、トルエン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、クロル化剤としてはクロロスルホン酸、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明のフタロシアニン色素には一部、フタロシアニン核がクロロ化された副生成物及び一部クロロ化されずに未反応のまま残存したスルホ基を有する色素の混在が理論上考えられる。しかしこれら副生成物が混在しても特に問題はない。
Figure 2007023251
〔式中、M、e、f、g、hは前記と同じ意味を表す。〕
次に、得られたフタロシアニンテトラスルホン酸クロリドと2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸またはアミノ化剤を有機溶媒、水溶媒、水−有機溶媒混合系中などで通常pH8〜12、通常0〜70℃、通常1〜20時間反応させる事により下記式(9)で表されるスルファモイル金属フタロシアニンが得られる。使用される有機溶媒はアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また反応に用いられるアミノ化剤としては例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、尿素、アンモニア水、アンモニアガス等が上げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007023251
〔式中、M、a、b、cは前記と同じ意味を表す。〕
なお、反応に用いる2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸の使用量は通常、フタロシアニン化合物1モルに対して、通常、理論値の1倍モル以上であるが、反応条件により異なり、これらに限定されるものではない。
次にXに対応するアミン類、アルコール類又はチオール類を、通常0.9〜1.1モルと2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1モルとを水中で通常pH3〜7、通常5〜40℃、通常2〜12時間反応させて縮合物を得る。次いで式(9)で表されるフタロシアニン化合物0.5〜1モルを通常pH4〜10、通常5〜80℃、通常0.5〜20時間反応させることにより、下記式(10)で表されるフタロシアニン化合物を得る。
Figure 2007023251
さらに前記式(6)で表される対応する有機アミンを通常1〜2モル、通常pH5〜12、通常20〜80℃、通常0.5〜10時間、上記式(10)の化合物と反応させることにより、前記式(3)で表される本発明のフタロシアニン化合物を得る。なお、縮合の順序は各種化合物の反応性に応じ適宜定められ、上記に限定されない。
前記式(6)で表される有機アミン化合物は、以下のように合成が可能である。即ち、Yに対応するアミン類、アルコール類又はチオール類を、通常0.9〜1.1モルと2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1モルとを水中で通常pH3〜7、通常5〜40℃、通常2〜12時間反応させて縮合物を得る。次いでZに対応するアミン類、アルコール類又はチオール類を通常0.9〜1.1モルを通常pH4〜10、通常5〜80℃、通常0.5〜20時間反応させることにより縮合物を得る。さらにエチレンジアミンを通常10〜30モル、通常pH5〜12、通常20〜80℃、通常0.5〜10時間反応させることにより、式(6)で表される化合物を得る。なお、縮合の順序は各種化合物の反応性に応じ適宜定められ、上記に限定されない。
また、本発明のフタロシアニン色素は一部、2価の連結基(γ)を介してフタロシアニン色素(Pc)が2量体(例えばPc−γ−Pc)または3量体を形成した副生成物が生じ、目的色素中に混入することが理論上考えられる。この場合、γで表される2価の連結基としてはスルホニル基(−SO2−)、−SO2−NH−SO2−などが考えられる。しかしこれらが混在しても問題はない。
上記のようにして得られた本発明のフタロシアニン色素は酸析又は塩析後、濾過等により分離することが出来る。塩析は例えば酸性〜アルカリ性、好ましくはpH1〜11の範囲で行うことが好ましい。塩析の際の温度は特に限定されないが、通常40〜80℃、好ましくは50〜70℃に加熱後、食塩等を加えて塩析するのが好ましい。
なお通常の場合、本発明の色素は式(3)で表される少なくとも1つ以上の化合物の混合物の形で得られるが、混合物であってもなんら問題はない。
本発明のシアンインクは、上記の方法にて製造された前記式(3)のフタロシアニン色素を含み、水を媒体として調製されるが、このインクをインクジェット記録用インクとして使用する場合、フタロシアニン色素に含まれるCl-及びSO4 2-等の陰イオンの含有量は少ないものが好ましく、その含有量の目安は、フタロシアニン色素中でCl-及びSO4 2-の総含量として5質量%以下、好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、インク中に1質量%以下である。Cl-及びSO4 2-の少ない本発明のフタロシアニン色素を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は本発明のフタロシアニン色素の乾燥品あるいはウェットケーキをアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥する等の方法で脱塩処理すればよい。用いるアルコールは、炭素数1〜4の低級アルコール好ましくは炭素数1〜3のアルコール、更に好ましくはメタノール、エタノール又は2−プロパノールである。また、アルコールでの脱塩処理の際に、使用するアルコールの沸点近くまで加熱後、冷却して脱塩する方法も採用しうる。Cl-及びSO4 2-の含有量は例えばイオンクロマトグラム法で測定される。
本発明のシアンインクをインクジェット記録用インクとして使用する場合、フタロシアニン色素に含まれる亜鉛、鉄等の重金属(イオン)、カルシウム、シリカ等の金属(陽イオン)等の含有量が少ないものを用いるのが好ましい(フタロシアニン骨格に含有される金属(式(1)、式(3)におけるM)は除く)。その含有量の目安は例えば、フタロシアニン色素の精製乾燥品中に、亜鉛、鉄等の重金属(イオン)、カルシウム、シリカ等の金属(陽イオン)について各々500ppm以下程度である。重金属(イオン)及び金属(陽イオン)の含有量はイオンクロマトグラム法、原子吸光法又はICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法にて測定される。
本発明のインク中に前記式(1)のフタロシアニン色素は、通常0.1〜8質量%、好ましくは0.3〜6質量%含有される。低い濃度のインクには本発明のフタロシアニン色素は通常0.1〜2.5質量%含有される。
本発明のインクにはさらに必要に応じて、水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有してもよい。水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等として使用される。その他インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、分散安定剤、等の公知の添加剤が挙げられる。水溶性有機溶剤の含有量はインク全体に対して0〜60質量%好ましくは10〜50質量%用い、インク調製剤はインク全体に対して0〜20質量%好ましくは0〜15質量%用いるのが良い。上記以外の残部は水である。
本発明のインクを調製するのに用いうる水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−または1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。
水溶性有機溶剤として好ましいものは、炭素数3〜8のモノ又は多価アルコール及び炭素数1〜3のアルキル置換基を有しても良い2−ピロリドンなどが挙げられ、多価アルコールとしてはヒドロキシ基を2〜3有するものが好ましい。具体的にはイソプロパノール、グリセリン、モノ、ジまたはトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ブタノール等であり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドンである。これらの水溶性有機溶剤は、単独もしくは混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ安息香酸ナトリウム等(例えば、アベシア社製プロクセルGXL(S)、プロクセルXL−2(S)等)があげられる。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、又はベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物があげられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等があげられる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
表面張力調整剤としては、界面活性剤があげられ、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などがあげられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、アルキル型リン酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば日信化学社製サーフィノール104、104PG50、82、465、オルフィンSTG等)等が挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。なお、本発明のインクの表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜60mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
本発明のインクを製造するにあたり、各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。インクを調製するにあたり、用いる水はイオン交換水または蒸留水など不純物が少ない物が好ましい。さらに、必要に応じメンブランフィルターなどを用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよく、インクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1ミクロン〜0.1ミクロン、好ましくは、0.8ミクロン〜0.2ミクロンである。
本発明のインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクとのインクセットとしても使用される。更にはより高精細な画像を形成する為に、ライトマゼンタインク、ブルーインク、グリーンインク、オレンジインク、ダークイエローインク、グレーインク等と併用したインクセットとしても使用される。
適用できるイエローインクの色素としては、種々のものを使用することが出来る。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
適用できるマゼンタインクの色素としては、種々のものを使用することが出来る。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールアゾ染料;カプラー成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類などを有するアゾメチン染料;アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、シアニン染料、オキソノール染料などのメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのカルボニウム染料;ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン染料及びジオキサジン染料等の縮合多環染料等を挙げることができる。
前記の各色素は、例えばインクジェット印刷させた際に、紙上でクロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
適用できるブラック色素としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
本発明のインクは、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング等の記録方法に使用でき、特にインクジェット印捺法における使用に適する。
本発明のインクジェット記録方法は、前記で調整されたインクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、光沢紙、光沢フィルム、電子写真共用紙、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、ガラス、金属、陶磁器、皮革等に画像を形成する。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり、耐候性を改善する目的からポリマー微粒子分散物(ポリマーラテックスともいう)を併用してもよい。ポリマーラテックスを被記録材に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も被記録材中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。
本発明の着色体は前記の本発明のフタロシアニン色素、その混合物又はこれを含有する水性インクで着色されたものである。着色されうるものとしては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層には、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。この中でも、オゾンガス等の空気中の酸化作用を持つガスに対して影響を受けやすいとされているのが、多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子を基材表面に塗工しているタイプのインクジェット専用紙であり、例えば代表的な市販品の一例を挙げると、ピクトリコ(旭硝子(株)製)、プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパー(いずれもキヤノン(株)製)、写真用紙クリスピア<高光沢>、写真用紙<光沢>、フォトマット紙(いずれもセイコーエプソン(株)製)、アドバンスフォト用紙(光沢)プレミアム光沢フィルム、フォト用紙(いずれも日本ヒューレット・パッカード(株)製)、フォトライクQP(コニカ(株)製)、高品位コート紙、写真光沢紙(いずれもソニー(株)製)等がある。なお、普通紙も利用できることはもちろんである。
本発明の着色体は、前記インクジェットプリンタを用いて、前記インクで被着色材を着色したものである。被着色剤は前記被記録材及びその他のインクジェットプリンタで着色しうる物品であれば特に制限はない。
本発明のインクジェット記録方法で、被記録材に記録するには、例えば上記のインクを含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンタや加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式のプリンタ等があげられる。
本発明によるインクは貯蔵中に沈澱、分離することがない。また、本発明によるインクをインクジェット印刷において使用した場合、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明によるインクは連続式インクジェットプリンタによる比較的長い時間一定の再循環下またはオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
本発明のインクは鮮明なシアン色である。また、特に耐オゾン性に優れ、かつ耐光性、耐水性においても優れた記録物を得ることができる。濃淡のシアンインクのセットとして用いることによって、さらに耐オゾン性及び耐光性、耐水性に優れた記録物を得ることができる。また、他のイエロー、マゼンタ、その他必要に応じて、グリーン、レッド、オレンジ、ブルーなどのインクと共に用いることで、広い可視領域の色調を色出しすることができ、耐オゾン性に優れ、かつ耐光性、耐水性においても優れた記録物を得ることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
フタロシアニンの置換基数は以下のように分析し、数値を算出した。
銅分はサンプル0.1gを精秤し、ミリポア水にて溶液希釈後、ICP発光分析法にて分析した。水分は溶剤にエチレングリコールを用い、カールフィッシャー法にて分析した。無機分はサンプル0.1gを精秤し、ミリポア水にて溶解し100mlに定容後、イオンクロマト法にて定量した。
定量した銅分、無機分、水分からサンプル中の有機分を算出し、銅分との比率を見ることで銅フタロシアニン中の平均分子量を算出した。算出した平均分子量と使用した銅フタロシアニンの分子量の差から置換基数を算出した。また、銅フタロシアニンを過酸化水素などの酸化剤で酸化分解したものをH−NMRで測定し、プロトン比を算出することでβ−位置換型の比率を測定した。
実施例1
(1)四つ口フラスコに、4−スルホフタル酸(パイロット社製、50%水溶液、3−スルホフタル酸20%含有)49.2部加え撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液17.7部加え、pH0.8〜1.0に調整した。これにスルホラン126部を加え、徐々に加熱し、水を留去しながら160℃まで昇温した。100℃まで冷却後、塩化銅(II)・2水和物3.83部、モリブデン酸アンモニウム0.47部、尿素37.1部を加え、180℃で2時間、200℃で4時間撹拌した。反応液を40℃まで冷却した後、目的物を濾過し、400部のメタノールで洗浄した。続いて得られたウェットケーキに300部の水を加え、48%水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整し、80℃で1時間攪拌した。そして攪拌しながら35%塩酸水溶液を加えpHを3にし、そこに塩化ナトリウム80部を徐々に添加した。析出した結晶を濾取し20%塩化ナトリウム水溶液150部で洗浄してウェットケーキ90部を得た。続いてメタノールを210部加え1時間攪拌し、析出した結晶を濾別し、70%メタノール水溶液300部で洗浄後乾燥して、下記式(11)のβ位にスルホ基が置換している比率が80%の銅フタロシアンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩19.1部を青色結晶として得た。λmax:629nm(水溶液中)。
Figure 2007023251
(2)(銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロリド(β−位置換型)の合成(式(8)において、MがCuであり、e、f、g、hがすべて1である式(12)の化合物))
クロロスルホン酸78.7部中に攪拌しながら60℃以下で銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム9.84部を徐々に仕込み、120℃で4時間反応を行った。次に反応液を70℃まで冷却し、塩化チオニル35.7部を30分間かけて滴下し、70℃で3時間反応を行った。反応液を30℃以下に冷却し、氷水500部中にゆっくりと注ぎ、析出した結晶を濾過し、氷冷した2%塩酸水溶液100部で洗浄し、銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロリドのウェットケーキ41.6部を得た。
Figure 2007023251
(2)(ウエットケーキと2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸との縮合)
氷水50部中に(1)で得られた銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロリドのウェットケーキ41.6部を加え、5℃以下で撹拌懸濁した。10分後、10℃以下を保持しながら、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸を14.1部を投入し、28%アンモニア水を添加しながら、pH8.0を保持した。同pHを保持したまま、1時間かけて20℃まで昇温し、同温度で8時間保持した。この時の液量は125部であった。反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム12.5部(対液10%)を加え30分撹拌した後、20分かけて塩酸にてpH1.0に調節した後、濾過、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、遊離酸として下記式(13)で表される化合物のウェットケーキ79.3部を得た。この化合物を乾燥し、銅分、無機分を定量し、平均分子量を算出したところ999.1であった。この結果から式(13)におけるbとcの総和は0.69であると算出した。
Figure 2007023251
(3){下記式(14)(式(6)において、Y:アニリン−2,5−ジスルホン酸、Z:モルホリノである化合物)の合成}
氷水300部中にリパールOH(商品名、アニオン界面活性剤、ライオン株式会社製)1.1部、塩化シアヌル36.8部を投入し30分間攪拌した。次にアニリン−2,5−ジスルホン酸モノナトリウム塩58.0部を投入し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながらpH2.7〜3.0を保持し、10〜15℃で2時間、25〜30℃で1時間反応を行った。次に反応液を10℃以下に冷却した後、この反応液にモルホリン17.6部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH6.5〜7.0に調節した、10〜15℃で0.5時間反応、27〜30℃で1時間反応した。次に反応液に氷を添加し5℃以下に調整した。この反応液にエチレンジアミン120部を投入し、20〜30℃で3時間反応を行った。液量を750部に調整し、塩化ナトリウムを150部を投入し結晶を析出させた。析出した結晶をろ過分取し、20%塩化ナトリウム水溶液250部で洗浄し、ウエットケーキ85.1部を得た。得られたウエットケーキ85.1部をメタノール200部中に投入し、水20部を加え60℃で1時間懸濁攪拌させた後、ろ過、メタノールで洗浄、乾燥し、式(14)で表される化合物の白色粉末52.3部を得た。
Figure 2007023251
(4){下記式(15)(式(3)において、M:Cu、X:アニリン−2,5−ジスルホン酸、Y:アニリン−2,5−ジスルホン酸、Z:モルホリノである化合物)の合成}
氷水30部中にリパールOH(商品名、アニオン界面活性剤、ライオン株式会社製)0.03部、塩化シアヌル3.64部を投入し30分間攪拌した。次にアニリン‐2,5‐ジスルホン酸モノナトリウム塩5.8部を投入し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながらpH2.7〜3.0を保持し、10〜15℃で2時間、25〜30℃で1時間反応を行った。次に、水200部中に上記式(13)の化合物のウエットケーキ79.3部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH9.0〜10.0、温度45〜50℃に調節した溶液に、この反応液を添加し、pH8.5〜9.0、40〜45℃で5時間反応した。次に反応液に式(14)の化合物10.4部を投入し、pH9.5〜10.0、20〜30℃で3時間反応を行った。液量を600部に調整し、塩化ナトリウムを120部を投入し、その後濃塩酸にてpH0.7〜0.8に調節し結晶を析出させた。析出した結晶をろ過分取し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウエットケーキ64.1部を得た。得られたウエットケーキ64.1部をメタノール310部中に投入し、水31部を加え60℃で1時間懸濁攪拌させた後、ろ過、メタノールで洗浄、乾燥し、青色粉末として式(18)の化合物の混合物10.4部を得た。この化合物を乾燥し、銅分、無機分を定量し、平均分子量を算出したところ1159.5であった。この結果から式(15)におけるbは0.48、cは0.21であると算出した。水中でのλmaxは612.0nmであった
Figure 2007023251
実施例2
(1){下記式(16)(式(6)において、Y:アニリン−2,5−ジスルホン酸、Z:アミノである化合物)の合成}
氷水300部中にリパールOH(商品名、アニオン界面活性剤、ライオン株式会社製)1.1部、塩化シアヌル36.8部を投入し30分間攪拌した。次にアニリン‐2,5‐ジスルホン酸モノナトリウム塩58.0部を投入し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながらpH2.7〜3.0を保持し、10〜15℃で2時間、25〜30℃で1時間反応を行った。次に反応液を10℃以下に冷却した後、この反応液に28%アンモニア水18.2部を添加した。25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、pH9.0〜10.0を保持し、10〜15℃で0.5時間反応、27〜30℃で1時間反応した。次に反応液に氷を添加し5℃以下に調整した。この反応液にエチレンジアミン120部を投入し、20〜30℃で3時間反応を行った。液量を750部に調整し、塩化ナトリウムを150部を投入し結晶を析出させた。析出した結晶をろ過分取し、20%塩化ナトリウム水溶液250部で洗浄し、ウエットケーキ92.1部を得た。得られたウエットケーキ92.1部をメタノール200部中に投入し、水20部を加え60℃で1時間懸濁攪拌させた後、ろ過、メタノールで洗浄、乾燥し、式(16)で表される化合物の白色粉末55.3部を得た。
Figure 2007023251
(2){下記式(17)(式(3)において、M:Cu、X:アニリン−2,5−ジスルホン酸、Y:アニリン−2,5−ジスルホン酸、Z:アミノである化合物)の合成}
氷水30部中にリパールOH(商品名、アニオン界面活性剤、ライオン株式会社製)0.1部、塩化シアヌル3.64部を投入し30分間攪拌した。次にアニリン−2,5−ジスルホン酸モノナトリウム塩5.8部を投入し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながらpH2.7〜3.0を保持し、10〜15℃で2時間、25〜30℃で1時間反応を行った。次に、水200部中に上記式(13)の化合物のウエットケーキ79.3部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加しpH9.0〜10.0、温度45〜50℃に調節した溶液に、この反応液を添加し、pH8.5〜9.0、40〜45℃で5時間反応した。次に反応液に式(16)の化合物8.9部を投入し、pH9.5〜10.0、20〜30℃で3時間反応を行った。液量を650部に調整し、塩化ナトリウムを130部を投入し、その後濃塩酸にてpH0.7〜0.8に調節し結晶を析出させた。析出した結晶をろ過分取し、20%塩化ナトリウム水溶液200部で洗浄し、ウエットケーキ61.4部を得た。得られたウエットケーキ61.4部をメタノール300部中に投入し、水30部を加え60℃で1時間懸濁攪拌させた後、ろ過、メタノールで洗浄、乾燥し、青色粉末として式(17)の化合物の混合物10.4部を得た。この化合物の銅分、無機分を定量し、平均分子量を算出したところ1119.3であった。この結果から式(15)におけるbは0.48、cは0.21であると算出した。水中でのλmaxは611.0nmであった
Figure 2007023251
実施例3(インク評価)
(A)インクの調製
下記表7に記載の各成分を混合溶解し、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製)で濾過する事によりインクを得た。尚、水はイオン交換水を使用した。又、インクのpHがpH=9〜10となるように苛性ソーダで調整し、総量が100部になるように水を加えた。インクは実施例1で得られたフタロシアニン色素を用いたインクをC−1、実施例2で得られたフタロシアニン色素を用いたインクをC−2とした。
表7
上記実施例1〜2で得られた各フタロシアニン色素 5.0部
水+苛性ソーダ 39.7部
グリセリン 15.0部
尿素 15.0部
N−メチル−2−ピロリドン 12.0部
IPA(イソプロピルアルコール) 8.0部
ブチルカルビトール 5.0部
サーフィノール104PG50(日信化学社製) 0.3部
計 100.0部
比較例として、Direct Blue 199として使用されているインクジェット記録用色素、製品名:Projet Cyan 1(アベシア社製:比較例1)、前記特許文献8の合成例1に記載のフタロシアニン色素(比較例2、下記式(102)においてMがCuの色素)及び、前記特許文献13の表4、No.21に記載のフタロシアニン色素(比較例3、下記式(103)においてMがCuでありa+b/c=3.52/0.48の色素)を用いて、表7の実施例1のインクと同じ組成でインクの調製を行った。比較例1の製品を用いたインクはC−A、比較例2の化合物を用いたインクはC−B、比較例3の化合物を用いたインクはC−Cとした。
Figure 2007023251
Figure 2007023251
(B)インクジェットプリント
インクジェットプリンタ(商品名 キヤノン社製 PIXUS ip4100)を用いて、専用紙A(日本ヒューレットパッカード社製 アドバンスフォト用紙(光沢) Q7871A)、専用紙B(セイコーエプソン社製 写真用紙<光沢> KA420PSK)の2種にインクジェット記録を行った。
印刷の際は、反射濃度を100%、85%、70%、55%、40%、25%の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの印字物を得た。耐光性試験、耐オゾン性試験の測定の際には、試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。
(C)記録画像の評価
1.色相評価
記録画像の色相は、記録紙を測色システム(SpectroEye:GretagMacbeth社)を用いて測色し、印刷物のL*が40〜80の範囲にあるときのa*、b*値を測色した。評価は好ましいa*値を−60〜−20、b*値を−60〜−20と定義し、3段階で行なった。
○:a*、b*値共に好ましい領域内に存在
△:a*、b*値片方のみ好ましい領域内に存在
×:a*、b*値共に好ましい領域外に存在
2.耐光性試験
記録画像の試験片を、キセノンウェザーメーター(ATLAS社製 型式Ci4000)を用い、0.36W/平方メートル照度で、槽内温度24℃、湿度60%RHの条件にて100時間照射した。試験後、試験前後の反射濃度を、前記測色システムを用いて測色した。測定後、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
○:残存率70%以上
△:残存率50以上、70%未満
×:残存率50%未満
3.耐オゾン性試験
記録画像の試験片を、オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製 型式OMS−H)を用い、オゾン濃度12ppm、槽内温度24℃、湿度60%RHで8時間放置した。試験後、試験前後の反射濃度を前記の測色システムを用いて測色した。測定後、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
○:残存率85%以上
△:残存率70以上、85未満
×:残存率70%未満
4.耐湿性試験
記録画像の試験片を、恒温恒湿器(応用技研産業社製)を用いて、槽内温度50℃、湿度90%RHで7日間放置した。試験後、試験片のにじみを目視にて3段階で評価した。
○:にじみが認められない
△:わずかににじみが認められる
×:大きくにじみが認められる
5.ブロンズ性評価
ブロンズ性の評価は100%濃度、85%濃度、70%濃度、55%濃度、40%濃度、25%濃度の6段階の印刷濃度に対して、どの段階以上でブロンズが発生するかを目視で評価した。ブロンズが発生しなかったものに関してはOK、ブロンズが発生したものに関しては、ブロンズが発生した印刷濃度のうち上記6段階における最低濃度を記載した。
C−1〜C−2、C−A、C−Bのインクにより得られた記録画像の色相評価、耐光性試験結果、耐オゾン性試験結果及び耐湿性試験結果をそれぞれ表8(専用紙A)及び表9(専用紙B)に表わす。
表8
インク評価結果:専用紙A
インク番号 色相 耐光性 耐オゾン性 耐湿性 ブロンズ性
C−1 ○ ○ ○ ○ OK
C−2 ○ ○ ○ ○ OK
C−A △ ○ × ○ OK
C−B ○ ○ × ○ OK
C−C ○ ○ ○ ○ 85%
表9
インク評価結果:専用紙B
インク番号 色相 耐光性 耐オゾン性 耐湿性 ブロンズ性
C−1 ○ ○ ○ ○ 85%
C−2 ○ ○ ○ ○ OK
C−A ○ ○ × ○ OK
C−B ○ ○ × ○ OK
C−C ○ ○ △ ○ 70%
表8及び表9から明らかなように、インク番号C−AおよびC−Bで表される比較例1および2のインクの記録画像は、いずれの専用紙を用いた場合でも耐オゾン性が極めて劣ることが判明した。またC−Cで表される比較例3のインクの記録画像は、いずれの専用紙においてもブロンズ性に、かつ専用紙Bにおいては耐オゾン性において問題のあることがわかる。これと比較し本発明のフタロシアニン色素を用いたシアンインクC−1およびC−2は耐オゾン性に極めて優れ、またブロンズ性に関しては専用紙BにおいてC−1を用いた場合に85%濃度で若干のブロンズ現象が発生するものの、専用紙Aにおいてはブロンズ現象は発生せず、なおかつ色相、耐光性、及び耐湿性においても全く問題のないことが証明された。
本発明のフタロシアニン色素を用いたインクは、シアンインクとして良好な色相を有し、耐光性、耐オゾン性及び耐湿性に優れたインクである。また、長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。更に、他のマゼンタインク及びイエローインクと共に用いることで、広い可視領域の色調を色だしすることができる。従って、本発明のフタロシアニン色素を用いたシアンインクはインクジェット記録用のインクとして極めて有用である。

Claims (17)

  1. 下記式(111)で表される基を置換基としてβ位に有するフタロシアニン化合物を含有するインク
    Figure 2007023251
    [式(111)中、X、YおよびZは、それぞれ独立してハロゲン原子、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリロキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換もしくは無置換のアラルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のアラルキルチオ基、置換もしくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。]
  2. 遊離酸として下記式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有する請求項1に記載のインク
    Figure 2007023251
    [式(1)中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。R1、R2は各々独立して、スルファモイル基、又は式(2)で表される置換スルファモイル基を表す。置換基はβ位に結合する。X、YおよびZは、それぞれ独立してハロゲン原子、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアリロキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシクロアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換もしくは無置換のアラルキルアミノ基、置換もしくは無置換のアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のジアルケニルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のアラルキルチオ基、置換もしくは無置換のアルケニルチオ基を表す。但し、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。a、b、cの和は3.0から4.0であり、bは0.3から2.0でありcは0.1から1.0であり、残りはaである。]
    Figure 2007023251
  3. 前記式(1)において、X、YおよびZは、それぞれ独立して水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、モルホリノ基、アルコキシ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アセチルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、ハロゲン原子からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、フェノキシ基(スルホ基、カルボキシル基、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ベンジロキシ基(スルホ基で置換されてもよい。)、フェネチルオキシ基(スルホ基で置換されてもよい。)、アルキルアミノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、アニリノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ニトロ基、ヘテロ環基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ナフチルアミノ基(スルホン酸基または水酸基で置換されてもよい)であり、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である請求項1から2のいずれか一項に記載のフタロシアニン化合物を含有するインク
  4. MがCuである請求項1から3のいずれか一項に記載のフタロシアニン化合物を含有するインク
  5. 有機溶剤を含有する請求項1から4に記載のインク
  6. インクジェット記録用である請求項1から5に記載のインク
  7. インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして請求項請求項1から6のいずれか一項に記載のインクまたはそのインクを含むインクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法
  8. 被記録材が情報伝達用シートである請求項7に記載のインクジェット記録方法
  9. 情報伝達用シートが表面処理されたシートであって、支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受像層を有するシートである請求項8に記載のインクジェット記録方法
  10. 請求項1から6のいずれか一項に記載のインクまたはそのインクを含むインクセットを含有する容器
  11. 請求項10に記載の容器を有するインクジェットプリンタ
  12. 請求項1から6のいずれか一項に記載のインクまたはそのインクを含むインクセットで着色された着色体
  13. 遊離酸として下記式(3)で表されるフタロシアニン色素
    Figure 2007023251
    [式(3)中、MはCuを表す。X、YおよびZは、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、モルホリノ基、(C1〜C4)アルコキシ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、(C1〜C4)アリールアミノ基、アセチルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、ハロゲン原子からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、フェノキシ基(スルホ基、カルボキシル基、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ベンジロキシ基(スルホ基で置換されてもよい。)、フェネチルオキシ基(スルホ基で置換されてもよい。)、モノ又はジ(C1〜C4)アルキルアミノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、アルコキシ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、アニリノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、(C1〜C4)アルコキシ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ニトロ基、ヘテロ環基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ナフチルアミノ基(スルホン酸基または水酸基で置換されてもよい)であり、X、Y、Zの少なくとも1つは、スルホ基、カルボキシル基、またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。a、b、cの和は3.0から4.0であり、bは0.3から2.0でありcは0.1から1.0であり、残りはaである。]
  14. X、YおよびZは、それぞれ独立して、水酸基、スルホ基、カルボキシル基、アミノ基、モルホリノ基、モノ又はジ(C1〜C4)アルキルアミノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、アルコキシ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される置換基で置換されてもよい。)、アニリノ基(スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ウレイド基、(C1〜C4)アルコキシ基、ジ(C1〜C4)アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ニトロ基、ヘテロ環基からなる群から選択される1種または2種以上の置換基で置換されてもよい。)、ナフチルアミノ基(スルホン酸基または水酸基で置換されてもよい)で表される請求項13に記載のフタロシアニン色素
  15. Xがスルホ基又はカルボキシル基で置換されたアニリノ基、またはスルホ基で置換されたナフチルアミノ基であり、Yがスルホ基又はカルボキシル基で置換されたアニリノ基、またはスルホ基で置換されたナフチルアミノ基であり、Zがスルホ基又はカルボキシル基で置換されたアニリノ基、またはスルホ基で置換されたナフチルアミノ基、またはスルホ基またはカルボキシル基で置換された(C1〜C4)アルキルアミノ基、またはアミノ基、またはモルホリノ基、または水酸基である請求項13に記載のフタロシアニン色素
  16. 式(4)で表されるフタロシアニン化合物又はその塩に塩素化剤を反応させ、クロロスルホン基に変換した後、アミノ化剤の存在下、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸と反応させて、得られた色素混合物に式(5)と式(6)で表される化合物を順次反応させて得られる請求項13に記載のフタロシアニン色素の製造方法
    Figure 2007023251
    [式(5)中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を、Lはプロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、金属イオン、有機アミンのオニウムイオンまたはアンモニウムイオンをそれぞれ表す。e、f、g、hは0又は1であり、その和は3〜4の整数である。]
    Figure 2007023251
    Figure 2007023251
  17. アミノ化剤がアンモニア水である請求項16に記載の製造方法
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