JP2007021738A - 安全タイヤ用空気のうの製造方法、安全タイヤ用空気のう及び安全タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐久性の維持を前提に製造効率を向上させた安全タイヤ用空気のうの製造方法、かかる製造方法への適用に好適な安全タイヤ用空気のう、及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供する。
【解決手段】 ゴムと高伸長性繊維部材の複合体2で構成される第1リング状シート4と、ゴムと低伸長性繊維部材の複合体6で構成され、第1リングシート4よりも大径の第2リング状シート7を準備する。第1リング状シート4の上方に第2リング状シート7をセットした後、第1リング状シート4の中央部分を半径方向外側に膨出変形させ、これらシート4、7を接合する。第1リング状シート4の中央部の半径方向内側に、気体不透過性のチューブ8を挿入する。チューブ8の外面に沿わせながら第1リング状シート4を折り曲げ、複合体2の両幅端9a、9bをオーバーラップさせて接合して、円管状体10を形成する。この円管状体10を加硫成型して空気のう13を得る。
【選択図】図7
【解決手段】 ゴムと高伸長性繊維部材の複合体2で構成される第1リング状シート4と、ゴムと低伸長性繊維部材の複合体6で構成され、第1リングシート4よりも大径の第2リング状シート7を準備する。第1リング状シート4の上方に第2リング状シート7をセットした後、第1リング状シート4の中央部分を半径方向外側に膨出変形させ、これらシート4、7を接合する。第1リング状シート4の中央部の半径方向内側に、気体不透過性のチューブ8を挿入する。チューブ8の外面に沿わせながら第1リング状シート4を折り曲げ、複合体2の両幅端9a、9bをオーバーラップさせて接合して、円管状体10を形成する。この円管状体10を加硫成型して空気のう13を得る。
【選択図】図7
Description
この発明は、タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で空気が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のう、かかる空気のうのの製造方法、及びかかる空気のうを有する安全タイヤに関する。
パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においてもある程度の距離の走行が可能である安全タイヤとしては、補強チューブ、補強ゴム、補強ベルト等の補強部材、又は発泡体、弾性体、中子等にタイヤ負荷を肩代わり支持させるタイヤや、シーラント剤を塗布又は充填してタイヤに生じた孔等の損傷部を塞いで内圧低下を防止したタイヤ等が知られている。しかし、これら従来の安全タイヤは、製造方法が複雑なため、不良率が高くなったり、製造効率が低下したりする場合が多かった。
かかる問題を解消するため、例えば特許文献1には、チューブの外周面に張力支持部材を配設してなり、安全タイヤの内部に収納されて、タイヤの内圧が低下するランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の空気のうが記載されている。このような空気のうの製造に当っては、未加硫のチューブの外周面に、そのチューブの形状を所期した通りに制御しながら張力支持部材を貼り付けた後、両者を加硫して接合させている。しかし、チューブは柔軟であり、その形状は不安定であることから、張力支持部材を正確に配設することは困難であった。
かかる製造上の問題点を解決するため、特許文献2には、繊維部材とゴムとの複合材料からなる狭幅ストリップを、所要の外輪郭形状を有する硬質支持体上に貼り付けて補強層を成型し、これをチューブ上に貼り付ける方法が記載されている。これによれば、硬質支持体上の形状が安定しているので、所期した通りの高い精度をもって簡易に張力支持部材を成型することができる。
特許文献1及び2に記載された空気のうでは、張力支持部材には強力の高い繊維、例えばアラミド繊維を用いることが好適とされている。しかし、かかる強力の高い繊維は伸長性が低く、硬質支持体のように径差のあるものへの貼り付け作業には時間を要することから、より迅速な成型方法の開発が望まれている。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、空気のうの耐久性の維持を前提に、製造効率を向上させた安全タイヤ用空気のうの製造方法、かかる製造方法への適用に好適な安全タイヤ用空気のう、及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することにある。
前記の目的を達成するため、この発明の安全タイヤ用空気のうの製造方法は、ゴムと高伸長性の繊維部材の複合体で構成される第1のリング状シートを準備し、少なくとも1枚のゴムと低伸長性の繊維部材の複合体で構成され、前記第1リングシートよりも大径の第2のリング状シートを準備し、前記第1リング状シートの上方に前記第2リング状シートをセットした後、第1リング状シートの中央部分を半径方向外側に膨出変形させ、第1リング状シートと第2リング状シートを接合し、前記第1リング状シートの中央部の半径方向内側に気体不透過性のチューブを挿入し、チューブの外面に沿わせながら前記第1リング状シートを折り曲げ、第1リング状シートの両幅端をオーバーラップさせて接合して、チューブを第1リング状シートで密着包囲してなる円管状体を形成し、この円管状体を加硫成型して空気のうを得ることを特徴とする。これによれば、径差のない状態で第1リング状シートを形成することができるので、径差のある硬質支持体を用いた製造方法に比べて、大幅に作業時間を短縮することができる。
なお、ここでいう「高伸長性」とは、JIS K7127に従って測定した引張伸度が、パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下した際の空気のうの円滑な拡径変形を妨げない程度に高いことをいうものとし、「低伸長性」とは、引張伸度が、タイヤ内圧を正常に維持した状態でのクリープ変形を有効に抑制できる程度に低いことをいうものとする。
また、この発明の安全タイヤ用空気のうは、タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で空気が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のうにおいて、前記空気のうは、気体不透過性のチューブと、ゴムと高伸長性の繊維部材の複合体で構成され該チューブの外面を密着包囲する張力支持層と、ゴムと低伸長性の繊維部材の複合体で構成され前記チューブ及び張力支持層の半径方向外側に位置する少なくとも1枚のクラウン補強層を具えることを特徴とする。これによれば、径差の大きなサイド部が高伸長性の張力支持層のみで補強されており、低伸長性のクラウン補強層が径差の少ないクラウン部のみに配設されているので、張力支持層及びクラウン補強層をそれぞれリング状シートで構成して、上述した製造方法により空気のうを構成することができる。
なお、ここでいう「タイヤの所定の内圧」とは、空気のうを収納する安全タイヤに対して、JATMA、TRA、ETRTO等の、タイヤが製造、販売、又は使用される地域において有効な工業基準、規格等に規定され、負荷能力に応じて特定される内圧をいうものとする。また、「所定の内圧との関係で設定された内圧」とは、タイヤに所定の内圧を適用した気体充填状態では、空気のうの外面とタイヤの内面との間に空間を形成することができ、一方、タイヤの内圧が低下したランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って空気のうが拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりすることができる内圧をいい、好適にはタイヤの所定の内圧+0〜20%の範囲とする。
また、この発明の安全タイヤ用空気のうにおいて、張力支持層は、それを構成する複合体の周方向引張伸度が20%以上150%以下であること、この繊維部材がポリエチレンテレフタレート(PET)不織布、特には目付量が50g/m2以上200g/m2以下であるPET不織布であること、それを構成するゴムの200%モジュラスが2.5MPa以上7.0MPa以下であることが好ましい。なお、ここでいう「周方向引張伸度」とは、1枚の複合体に対し、空気のうの周方向となる向きに100N/cmの力を加えた際の、その複合体の伸び率をいうものとする。
さらに、クラウン補強層は、それを構成する複合体の周方向引張伸度が0.5%以上10%以下であること、この繊維部材がアラミド不織布、特には目付量が10g/m2以上80g/m2以下のアラミド不織布であること、それを構成するゴムの200%モジュラスが7.0MPa以上15MPa以下であることが好ましい。
さらにまた、張力支持層は、それを構成する繊維部材とゴムの複合体の両幅端をオーバーラップさせて接合したオーバーラップ部を有しており、このオーバーラップ部の幅が20mm以上40mm以下であることが好ましい。
そして、この発明の安全タイヤは、前記のいずれかの空気のうを有するものである。
この発明によれば、径差の大小に応じて各部を伸長性の異なる材料で構成することで、空気のうの耐久性を維持しつつ、製造効率を向上させた安全タイヤ用空気のうの製造方法、かかる製造方法への適用に好適な安全タイヤ用空気のう、及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することが可能となる。
次に、図面を参照しつつこの発明の実施の形態を説明する。図1〜5は、この発明に従う安全タイヤ用空気のう(以下「空気のう」という。)の代表的な製造方法を示す。
まず、図1に示すように、円筒状の第1成型ドラム1の上に、広幅のゴムと高伸長性繊維部材の複合体2を巻き付け、周方向両端部を相互に接合する。必要に応じて、空気のうをリムに固定するためのビード部材や、空気のうのサイド部及びベース部を構成するゴム部材3をさらに貼り付けて、第1リング状シート4を形成する。これとは別に、円筒状をなし、第1成型ドラムよりも大径の第2成型ドラム5の上に、広幅のゴムと低伸長性繊維部材の複合体6を少なくとも1枚、図3に示す態様では5枚貼り付けて、第2リング状シート7を形成する。次いで、成型ドラムから第1リング状シート4及び第2リング状シート7を取外し、図4に示すように、第1リング状シート4の上方に第2リング状シート7をセットする。この状態で、第1リング状シート4の内側にブラダ等の拡張手段(図示せず)を入れ、第1リング状シート4の中央部分を半径方向外側に膨出変形させ、第1リング状シート4の外面を第2リング状シート7の内面に当接させる。そして、第2リング状シート7をステッチャー等の接合手段(図示せず)により第1リング状シートに接合させ、図5に示すような状態とする。膨出した第1リング状シート4の中央部の半径方向内側に、図6に示すように、気体不透過性のチューブ8を挿入する。次いで、第1リング状シート4をチューブ8の外面に沿わせながら折り曲げ、ゴムと高伸長性繊維部材の複合体2の両幅端9a、9bを互いにオーバーラップさせ、これらを接合して、チューブ8を第1リング状シート4で密着包囲し、図7に示すような未加硫の円管状体10を形成する。
この円管状体10を加硫成型すると、図8に示すように、気体不透過性のチューブ8と、ゴムと高伸長性の繊維部材の複合体で構成され、チューブ3の外面を密着包囲する張力支持層11と、ゴムと低伸長性の繊維部材の複合体で構成され、チューブ3及び張力支持層11の半径方向外側に位置するクラウン補強層12を具える、この発明の空気のう13が得られる。
空気のうを収納した安全タイヤにおいては、前記の通り、空気のうの内圧はタイヤの内圧に対して高く設定されており、この差圧により空気のうに生ずる張力を、クラウン補強層と張力支持層で負担することによって、タイヤ内圧正常時に空気のうが拡張変形するのを防止している。従来の空気のうにおいては、クラウン補強層と張力支持部材を同一の材料から構成しており、張力に加えてタイヤの転動による遠心力が作用した場合にも良好に拡張変形防止効果を発揮するために、かかる材料にはアラミド繊維等の高強力繊維が用いられている。かかる高強力繊維は伸長性が低く、貼り付け後に変形させることが困難であることから、従来の空気のうの製造においては、内圧を適用したチューブ、又は空気のうの最終形状に近い外面形状を有する硬質支持体上に、狭幅のストリップをらせん巻回して貼り付けることが行われていた。この理由は、チューブ及び硬質支持体のサイド部は径差が大きく、これに低伸長性の広幅のストリップを用いると、ストリップの伸びによって径差を吸収することができず皺が発生するが、かかる皺は空気のうの強力を損ねることから、ストリップの幅を狭くすることで皺の発生を防止しようとするものである。しかし、ストリップの貼り付けには、それに先立って貼り付け姿勢及び位置を決める必要があり、狭幅のストリップを用いると貼り付け回数が増えることから、貼り付け姿勢及び位置の設定回数も増え、貼り付け作業に時間を要するという問題があった。
かかる貼り付け作業に要する時間を短縮するには、一般的な空気入りタイヤのように、フラットなドラム上に構成部材を順次貼り付け、これを膨出拡張させることで所要の形状に成型する、いわゆるシェーピング製法を適用することが有効と考えられる。シェーピング製法では、平面ドラム上に広幅のシートを1回貼り付けるだけでよく、貼り付け作業に要する時間を短縮しながら、皺の発生のおそれがなく、強力を損ねることがないからである。そこで、発明者は、シェーピング製法に適した空気のうの物性について鋭意研究を重ね、次のような知見を得た。まず、シェーピング製法において、空気のうのサイド部を構成する部材は、大きく膨出拡張されるので、高い伸長性が必要であり、一方、クラウン部を構成する部材は、径変化がほとんどないので、伸長性が低くても製造上問題となることはない。次に、タイヤ内圧が正常な状態の製品空気のうにおいて、空気のうの断面形状を保持しタイヤと空気のうの間に空間を維持するには、クラウン部の張力負担が比較的大きいことが必要であり、サイド部の張力負担は小さくてもよい。さらに、タイヤ内圧が低下した状態の製品空気のうにおいて、空気のうが急速かつ均一に拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりするには、サイド部が高い伸長性を有することが必要であり、クラウン部の伸長性はさほど重視されない。発明者は、これらの知見を総合し、空気のうのサイド部を構成する繊維部材として高伸長性のものを用い、クラウン部を構成する繊維部材として低伸長性のものを用いれば、製品空気のうに要求される特性を損ねることなく、シェーピング製法により空気のうを製造できることを見出し、この発明を完成させるに至ったのである。
この発明の空気のうの製造方法に用いる設備は、一般的な空気入りタイヤのシェーピング製法に用いられている設備と基本的に同一とすることができ、当業者には、その具体的な構成は自明である。しかし、この発明の製造方法は、図示の態様に限定されるものではなく、他の設備によっても実施可能であることは言うまでもない。また、図示の態様では広幅のシート状材料を用いているが、第1リング状シート及び/又は第2リング状シートは狭幅ストリップをつるまきらせん巻回して形成することもできる。さらに、図示の態様では、ゴムと繊維部材が既に複合体となった状態のシート状材料を用いているが、成型ドラムに繊維部材と未加硫ゴムを順次積層し、成型ドラム上でゴムと繊維部材の複合体を形成してもよい。気体不透過性チューブの材質及び構成は、タイヤ内圧が低下するランフラット状態にて拡張変形可能なものであれば特に限定されず、例えば従来のチューブ入りタイヤ用ゴムチューブや、前記の特許文献2に記載の空気のうに用いたチューブ等を用いることができる。
シェーピング製法において空気のうのサイド部となるべき部分を十分に膨出変形させる観点から、張力支持層を構成するゴムと低伸長性繊維部材の複合体の周方向引張伸度は少なくとも20%とすることが好ましい。しかし、この周方向引張伸度は150%あれば十分であり、これを超えることは、コストが急激に上昇することから好ましくない。より好ましい周方向引張伸度の範囲は30〜80%である。
張力支持層11を構成する繊維部材としては不織布が好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂から構成することができ、特にPET不織布が好適である。PET不織布はある程度の弾性変形が可能であり、シェーピング製法への適合性が高い上、耐熱性及び耐劣化性に優れ、低コストだからである。
クラウン部に比べると割合が少ないものの、サイド部も張力を負担しており、タイヤ内圧正常時にその変形量が大きすぎると空気のうの形状を保持することが困難となるおそれがあるので、張力支持層を構成するゴムの200%モジュラスが少なくとも2.5MPaであることが好ましい。しかし、200%モジュラスが7.0MPaを超えると、張力支持層が硬くなりすぎ、シェーピング製法への適合性が低下することから好ましくない。
前記の通り、空気のう13の内圧はタイヤの内圧に対して高く設定されており、主としてクラウン補強層12がこの差圧により生ずる張力を負担することによって、タイヤ内圧正常時に空気のう13が拡張変形するのを防止している。かかる張力を十分に負担させる観点からは、クラウン補強層12を構成する繊維部材が高伸長性で高強力であることが好ましく、具体的にはゴムとその繊維部材の複合体の周方向引張伸度が10%以下であることが好ましい。しかし、タイヤ内圧低下時に空気のうを均一に拡張変形させるためには、クラウン補強層12もある程度伸長をする必要があり、この観点からは、周方向引張伸度が少なくも0.5%であることが好ましい。同様に、クラウン補強層12に剛性を付与する観点からはクラウン補強層を構成するゴムの200%モジュラスが7.0MPa以上であることが好ましく、コスト抑制の観点からはこれが15MPa以下であることが好ましい。
クラウン補強層を構成する繊維部材としては、繊維が配向性を有しない不織布が好ましく、特にアラミド不織布が好ましい。アラミド不織布は強力が高く、クラウン補強層に用いると高い剛性補強効果が得られるからである。
張力支持層及びクラウン補強層に用いる不織布の目付量は、小さすぎるとタイヤ内圧正常時の剛性の確保が困難となる場合があり、大きすぎると不織布内部の空隙にゴムが浸透しにくくなり、補強層7の均質性が損なわれ易くなる。したがって、アラミド不織布としては目付量が10g/m2以上80g/m2のものが好ましく、PET不織布としては目付量が50g/m2以上200g/m2のものが好ましい。
また、張力支持層11は、それを構成するゴムと繊維部材の複合体2の両幅端9a、9bをオーバーラップさせて接合したオーバーラップ部14を有しており、オーバーラップ部14の幅wが20mm以上40mm以下であることが好ましい。この幅wが20mm未満の場合には、オーバーラップ部14の接合力が不十分となり、タイヤ内圧が低下し空気のう13が拡張変形する際に、複合体2の両幅端9a、9bの接合が外れて空気のうが故障するおそれがあるからである。また、幅wは40mmあれば十分であり、これを超えることはコストと質量の増加を招くことから好ましくない。
このようにして形成された空気のうをタイヤに収納すると、この発明の安全タイヤが得られる。空気のうを収納するタイヤの種類は特に限定されず、ラジアルタイヤであってもバイアスタイヤであってもよい。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
次に、この発明に従う安全タイヤ用空気のうを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例1〜6の空気のうは、タイヤサイズが495/45R22.5の安全タイヤに収納して用いられるものであり、図8に示す構造を有し、張力支持層をゴムとPET不織布の複合体で構成しており、クラウン補強層をゴム(200%モジュラス:12MPa)とアラミド不織布(目付量:70g/m2)の複合体(周方向引張伸度:3.0%)、を5枚積層して構成しており、張力支持層にはゴムとPET不織布の複合体のオーバーラップ部が30mmの幅で存在しており、表1に示す諸元を有する。
比較のため、実施例1〜6の空気のうと同様に、タイヤサイズが495/45R22.5の安全タイヤに収納して用いられるものであり、図8と同様の構造を有し、クラウン補強層が実施例1〜6の空気のうと同じであるものの、張力支持層を1枚のゴムとアラミド不織布の複合体で構成しており、表1に示す諸元を有する従来例の空気のうについても併せて試作した。
これら実施例1〜6の空気のうをシェーピング製法により製造し、従来例の空気のうを硬質支持体を用いて製造し、これらの成型作業に要した時間を調べ、これにより製造効率を評価した。その評価結果を表1に示す。
得られた各空気のうを、タイヤサイズが495/45R22.5のタイヤに収納し、リムサイズが17.00×22.5のリムに装着してタイヤ車輪とし、空気のうを含むタイヤの内圧を900kPa(相対圧)とし、空気のうの内圧を970kPa(相対圧)とし、タイヤ負荷荷重:56.88kN、走行速度:60km/hの条件下でドラム試験機上を30000km走行させた。そして、ドラム走行前後の空気のうの容積変化を調べ、これにより耐久性を評価した。その評価結果を表1に示す。
なお、表1に示す評価結果は、いずれも比較例1のタイヤの評価結果を100としたときの指数比で示しており、数値が大きいほど性能は優れている。
表1に示す結果から、実施例1〜6の空気のうは、従来例の空気のうに比べて、耐久性を同等レベルに維持しながら製造効率が飛躍的に向上していることが分かる。
以上の説明から明らかなように、この発明によって、空気のうの耐久性を従来の空気のうと同レベルに維持しつつ、製造効率を向上させた安全タイヤ用空気のうの製造方法、かかる製造方法への適用に好適な安全タイヤ用空気のう、及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することが可能となった。
1 第1成型ドラム
2 ゴムと高伸長性繊維部材の複合体
3 空気のうのサイド部及びベース部を構成するゴム部材
4 第1リング状シート
5 第2成型ドラム
6 ゴムと低伸長性繊維部材の複合体
7 第2リング状シート
8 気体不透過性チューブ
9a、9b 複合体の両幅端
10 未加硫円管状体
11 張力支持層
12 クラウン補強層
13 空気のう
14 オーバーラップ部
2 ゴムと高伸長性繊維部材の複合体
3 空気のうのサイド部及びベース部を構成するゴム部材
4 第1リング状シート
5 第2成型ドラム
6 ゴムと低伸長性繊維部材の複合体
7 第2リング状シート
8 気体不透過性チューブ
9a、9b 複合体の両幅端
10 未加硫円管状体
11 張力支持層
12 クラウン補強層
13 空気のう
14 オーバーラップ部
Claims (12)
- ゴムと高伸長性の繊維部材の複合体で構成される第1のリング状シートを準備し、
少なくとも1枚のゴムと低伸長性の繊維部材の複合体で構成され、前記第1リングシートよりも大径の第2のリング状シートを準備し、
前記第1リング状シートの上方に前記第2リング状シートをセットした後、第1リング状シートの中央部分を半径方向外側に膨出変形させ、第1リング状シートと第2リング状シートを接合し、
前記第1リング状シートの中央部の半径方向内側に気体不透過性のチューブを挿入し、
チューブの外面に沿わせながら前記第1リング状シートを折り曲げ、前記ゴムと高伸長性繊維部材の複合体の両幅端をオーバーラップさせて接合して、チューブを第1リング状シートで密着包囲してなる円管状体を形成し、
この円管状体を加硫成型して空気のうを得ることを特徴とする安全タイヤ用空気のうの製造方法。 - タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で空気が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のうにおいて、
前記空気のうは、気体不透過性のチューブと、ゴムと高伸長性の繊維部材の複合体で構成され該チューブの外面を密着包囲する張力支持層と、ゴムと低伸長性の繊維部材の複合体で構成され前記チューブ及び張力支持層の半径方向外側に位置する少なくとも1枚のクラウン補強層を具えることを特徴とする安全タイヤ用空気のう。 - 前記張力支持層を構成する複合体は周方向引張伸度が20%以上150%以下である、請求項2に記載の空気のう。
- 前記張力支持層を構成する繊維部材はポリエチレンテレフタレート(PET)不織布である、請求項2又は3に記載の空気のう。
- PET不織布の目付量が50g/m2以上200g/m2以下である、請求項4に記載の空気のう。
- 前記張力支持層を構成するゴムは、200%モジュラスが2.5MPa以上7.0MPa以下である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の空気のう。
- 前記クラウン補強層を構成する複合体は周方向引張伸度が0.5%以上10%以下である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の空気のう。
- 前記クラウン補強層を構成する繊維部材はアラミド不織布である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の空気のう。
- アラミド不織布の目付量が10g/m2以上80g/m2以下である、請求項8に記載の空気のう。
- 前記クラウン補強層を構成するゴムは、200%モジュラスが7.0MPa以上15MPa以下である、請求項2〜9のいずれか一項に記載の空気のう。
- 前記張力支持層は、それを構成するゴムと繊維部材の複合体の両幅端をオーバーラップさせて接合したオーバーラップ部を有しており、該オーバーラップ部の幅が20mm以上40mm以下である、請求項2〜10のいずれか一項に記載の空気のう。
- 請求項2〜11のいずれか一項に記載の安全タイヤ用空気のうを有する安全タイヤ。
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