JP2007020827A - 食事用器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 使用中に短時間のうちに水で膨潤して軟化し対象物を掬うときに食事用器具にかかる力で食事用器具が曲がってしまい使用不能となることのない、かつ食感に優れた、可食の食事用器具を提供しようとする。
【解決手段】 食品との接触部と柄部を備える食事用器具であって、澱粉粉末の比率が50重量%以上である食品原料粉が水で解かれてなる生地が焼成されてなり、みかけ密度が0.1〜0.4g/cmである食事用器具である。前記生地は、100重量部の水に対して70〜150重量部の前記食品原料粉を含み得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、使用後に食することができる食事用器具に関する。
一般にスプーンやナイフの役目をする食事用器具としては金属製あるいは樹脂製のものが使用され、その食事用器具は当然使用後に洗われ再使用されるが、プリン、水羊羹、アイスクリームなどの菓子類については、不特定多数が喫食する場合はとくに樹脂製の簡単な構造の使い捨ての食事用器具が使用されることが多い。
しかし、使い捨ての食事用器具はごみとして廃棄されるので、環境負荷を増大させることになり、また、資源の浪費となる。
このため、可食の食事用器具が望まれているが、プリン、水羊羹、アイスクリームなどの菓子類は水分を多く含むのでスプーン等の食事用器具を可食にすると使用中に短時間のうちに食事用器具が水で膨潤して軟化し、例えば対象物を掬うときに食事用器具にかかる力で食事用器具が曲がってしまい菓子類を食べ終わる前に使用不能となる。
皿として用いる可食食器としては、例えば強力小麦粉100部に対して、冷水49〜55部、マーガリンまたはバター50〜80部、ショートニング5部、砂糖5部、食塩0.7部からなるパイ生地を、雌雄の皿状金型に挟まれた状態で加熱焼成することが開示されている(例えば、特許文献1参照)が、この方法を準用してスプーンを作ったとしても、使用中に短時間のうちに水で膨潤して軟化し、対象物を掬うときにが曲がってしまい使用不能となることはまぬがれない。また、このような方法で得られる食事用器具は食するときにサクサク感がなくモチモチとした食感を有するので、水羊羹、アイスクリームなどの清涼感のある食品に対して使用するのには適しない。
特開平10−234291号公報
本発明の目的は、使用中に短時間のうちに水で膨潤して軟化し対象物を掬うときに食事用器具にかかる力で食事用器具が曲がってしまい使用不能となることのない、かつ食感に優れた、可食の食事用器具を提供することである。
本発明の要旨とするところは、食品との接触部と柄部を備える食事用器具であって、澱粉粉末の比率が50重量%以上である食品原料粉が水で解かれてなる生地が焼成されてなり、みかけ密度が0.1〜0.4g/cmである食事用器具であることにある。
前記生地は、100重量部の水に対して70〜150重量部の前記食品原料粉を含み得る。
前記食事用器具においては、前記柄部の根元における厚みが3〜10mm、幅が8〜40mmであり得る。
前記食事用器具においては、前記食品との接触部の食事用器具の長手方向にみた中間部から、前記柄部の食事用器具の長手方向にみた中間部にかけて、横幅が一定もしくは増加もしくは、食事用器具の長手方向の進み長さに対する横幅の減少の比率が0.05以下で減少し得る。
本発明によると、使用中に短時間のうちに水で膨潤して軟化し対象物を掬うときに食事用器具にかかる力で食事用器具が曲がってしまい使用不能となることのない、かつ食感に優れた、可食の食事用器具が提供される。
本発明の食事用器具の態様について説明する。本発明の食事用器具は対象物を掬ったり切り分けたり挟んだり対象物に刺したりするために使用され、例えばスプーン状あるいはナイフ状に成形されてなるものであり、澱粉粉末を主成分とする食品原料粉が水で解かれてなる生地が焼成されてなる。本明細書においては、用語「澱粉粉末」は粉末状の澱粉粉末をいう。
本発明の食事用器具は、澱粉粉末を主成分とする食品原料粉を水で解いた生地を焼成して得ることができる。焼成により得られる食事用器具はみかけ密度が0.1〜0.4g/cmであることが好ましい。みかけ密度は絶乾状態の試料の重量をみかけの体積で除して得る。このような密度の食事用器具は水と澱粉粉末等の食品原料粉(固形分)との配合比率及び焼成条件を特定な条件にすることにより、得ることができる。即ち、生地は100重量部の水に対して70〜120重量部の食品原料粉を含むことが好ましい。また、焼成は、生地を例えばスプーン状の形の型にいれて160〜190℃で2〜5分間行われることが好ましい。また、型に投入すべき生地の量を、焼成後の食事用器具のみかけ密度が0.1〜0.4g/cmになるように調整することが必要である。このような本発明の食事用器具は使用後に可食であり、この食事用器具を食するとき、サクサク感に富み、良好な食感を有する。
生地は、食品原料粉のうち、50重量%以上が澱粉粉末であればよいが、食品原料粉のうち90重量%以上が澱粉粉末であることが食感と長時間の使用を可能とするうえで好ましい。食品原料粉のうち95重量%以上が澱粉粉末であることが食感と長時間の使用を可能とするうえでさらに好ましい。食品原料粉のうち澱粉粉末を除く他の成分としては米粉、小麦粉、そば粉などが挙げられる。また、生地には着色剤、香料、調味料、油脂等の食品添加物が添加されていてもよい。生地における食品原料粉のうち澱粉粉末の含有比率が50重量%を下回ると、良好な耐軟化性が得られず長時間の使用に耐えられない。
このようにして得られる本発明の食事用器具の形状の一例を図1に示す。図1の食事用器具2は、喫食対象物を掬い上げる食品との接触部4と手指で持つための柄部6とを備える。
食事用器具2を用いてプリン、水羊羹、アイスクリームのような水気の多い食品を喫食すると、食事用器具2が使用中に食品の水分を徐々に吸収して軟化する。しかし、本発明の食事用器具2はその軟化の速度が極めて遅く、例えば25分間使用可能の状態が維持される。
食事用器具2は食品との接触部4がわの先端から柄部6がわの先端の方向にかけて幅Wが漸減している。食品との接触部4には窪み11が形成されているが、食品との接触部4が柄部6と面一の平坦であってもよい。
食事用器具2の使用中の水分の吸収の程度は柄部6がわの先端から食品との接触部4がわの先端に近づく部位ほど大きいので、軟化の度合いも食品との接触部4がわの先端に近づく部位ほど大きい。また、食品を掬う等の喫食操作を行うとき、食品との接触部4にかかる力は食品との接触部4の全体にわたって分散されているので、食品との接触部4は多少軟化しても曲がりにくい。これに対して柄部の根元8は柄部6より軟化の程度が大きくかつ掬う等の喫食操作により大きな曲げモーメントが生じて軟化により曲がりやすい。
従って、柄部の根元8において充分な断面2次モーメントを有するような形状にすることが、長時間の使用を可能にするうえで重要であり、柄部の根元8における厚さHNは3〜10mmであることが好ましい。かつ柄部の根元8における幅WNが10〜30mmであることが好ましい。
HNが3mmを下回ると食事用器具2の使用中の軟化により、食品を掬い上げるときに食品との接触部4にかかる力により柄部の根元8に生ずる曲げモーメントで、食事用器具2が使用中の軟化により柄部の根元8の部分で曲がってしまい、使用できなくなる。また、WNが10mmを下回ると、同様に食事用器具2が使用中の軟化により柄部の根元8の部分で曲がってしまい、使用できなくなる。
食品との接触部4の厚さHSは食品を掬う機能のうえで7mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがさらに好ましいので、HNが10mmをこえると食品との接触部4の先端あるいは中央部から柄部の根元8にかけて食事用器具2の厚さが急激に増加することになり、食品を掬う機能のうえで好ましくない。また、食品との接触部4の最も柄部の根元8がわで厚さが10mmをこえる状態にステップ状に増加すると、その食品との接触部4の最も柄部の根元8がわの部位で軟化により曲がりやすくなり、好ましくない。
WNが40mmを上回ると、食品を口に運び入れるという喫食操作上かさばって好ましくない。
使用時の軟化により曲がりにくく、かつ食品を口に運び入れるという喫食操作上から、HNは4〜6mmであることがさらに好ましい。かつ幅WNが15〜28mmであることがさらに好ましい
本発明の食事用器具は水羊羹に5分以上突き刺しておいた後でも使用可能である。
本発明においては、生地を焼成して得られた食事用器具の見かけ密度が0.1g/cmを下回ると、水分の吸収による軟化が大きく好ましくない。見かけ密度が0.4g/cmを上回ると、使用後に食事用器具を食するとき、サクサク感が不足し、モチモチとした感触となる。優れた食感と耐軟化性を両立させるうえで食事用器具の見かけ密度が0.1〜0.2g/cmであることがさらに好ましい。
また、生地における水に対する澱粉粉末等の食品原料粉の混合割合について、100重量部の水に対して食品原料粉の量が70重量部を下回ると、焼成後の食事用器具の水分の吸収による軟化が大きく好ましくない。また、生地中の水に対する食品原料粉の混合割合について、100重量部の水に対して食品原料粉の量が150重量部を上回ると、使用後に食事用器具を食するとき、サクサク感が不足し、モチモチとした感触となる。
図2に本発明の食事用器具の形状の他の態様の一例を示す。図2の食事用器具2aは食品との接触部4aと柄部6aとの間の柄部の根元8aの部位でくびれ12を有する。即ち、食品との接触部4aから柄部6aにかけて、横幅が狭くなる狭窄部が形成されている。このようなくびれ12の形成は喫食操作上からは好ましいが、食事用器具の使用時に柄部の根元8aの部位で応力集中が生じ、根元における軟化程度と断面形状が同じでもくびれ12を有しない図1に示す態様の場合に比べ曲がりやすい。
図3に本発明の食事用器具の形状のさらに他の態様の一例を示す。図3の食事用器具2bは食品との接触部4bが先端から柄部6bのがわにかけての中間部16bで横幅が最大となって、中間部16bから柄部の根元8bにかけて横幅は減少し、柄部6bの横幅は全長にわたってぼぼ一定となっている。このような形状も喫食操作上からは好ましいが、食事用器具の使用時に柄部の根元8bの部位で応力集中が生じ図1に示す態様の場合に比べ曲がりやすい。従って、本発明の食事用器具においては、食品との接触部の食事用器具の長手方向にみた中間部16から柄部の食事用器具の長手方向にみた中間部18にかけて横幅が一定(図4)もしくは増加(図5)すること、あるいは緩やかに減少する(図1、図6)ことが好ましい。食品との接触部から柄部にかけて緩やかに減少する場合、食事用器具の長手方向に対する横幅の減少度合いは、長手方向に1cmの進みに対して横幅の減少量が5mm以下(食事用器具の長手方向の進みに対する横幅の減少の比率が0.05以下)であることが好ましい。横幅が急激に減少すると柄部の先端部分の幅が極端に小さくなり食事用器具を持ちにくくなる。なお、本発明においては掬い部に窪みがあることが喫食操作上好ましいが、図4、図6に例示されるように掬い部がフラットで窪みがなくともよい。なお、図6に示す食事用器具2cにおいては、符号4c、6c、8cはそれぞれ食品との接触部、柄部、柄部の根元を示す。
図1〜図6に示す食事用器具はスプーンとして用いるのに適しており、食品との接触部が食品を掬う掬い部として機能する。本発明の食事用器具の形状のまたさらに他の態様の一例においては、食品との接触部が先端から柄部のがわにかけての横幅が一定で、柄部の根元から柄部の先端にかけて横幅が減少する。このような態様はスプーンとしても使用できるがナイフのような喫食操作上から好ましい。
本発明における生地の調合や焼成は、上述の条件のほかは小麦粉等の食品用粉末と水とを調合してなる通常の小麦粉生地等の焼成用生地の調合や、その生地の焼成の方法に準じてなされるが、本発明における生地の調合においては、冷水のみよりも80〜95℃の熱水をあわせ用いることが粘調な生地が得られかつ最適密度の焼成体が得られ好ましい。澱粉粉末を80〜95℃の熱水で解いたのちその熱に対して0.5〜2割の冷水を加えて攪拌して生地を得ることが使用時に軟化しにくく、かつ食感に優れた食事用器具を得るうえで好ましい。
片栗粉1000gを900ccの熱水(90℃)と混合しミキサーで5分間攪拌し、さらに25℃の水100ccを加えて5分間攪拌し、生地を得た。この生地を図1に示す形状の型に入れて170℃5分間焼成し、食事用器具を得た。食事用器具の全長Lは10cm、食品との接触部4がわの端縁における幅L1は25mm、柄部6がわの端縁における幅L2は25mm、HN5mm、WNは23mmであった。食事用器具の見かけ密度は0.165g/cmであった。
得られた食事用器具はサクサクとした食感を有していた。得られた食事用器具を用いて水羊羹を模擬喫食(水羊羹を掬って口中まで運ぶ操作を繰り返す)したところ25分間の使用が可能であった。
片栗粉800gと米粉200gとを900ccの熱水(90℃)と混合しミキサーで5分間攪拌し、さらに25℃の水100ccを加えて5分間攪拌し、生地を得た。この生地を図1に示す形状の型に入れて170℃5分間焼成し、食事用器具を得た。食事用器具の全長Lは10cm、食品との接触部4がわの端縁における幅L1は25mm、柄部6がわの端縁における幅L2は25mm、HN5mm、WNは23mmであった。食事用器具の見かけ密度は0.18g/cmであった。
得られた食事用器具はサクサクとした食感を有していた。得られた食事用器具を用いて水羊羹を模擬喫食(水羊羹を掬って口中まで運ぶ操作を繰り返す)したところ15分間の使用が可能であった。
[比較例]
小麦粉1000gに1000ccの水(25℃)を加えて5分間攪拌し、生地を得た。この生地を図2に示す形状の型に入れて170℃5分間焼成し、食事用器具を得た。食事用器具の全長Lは10cm、食品との接触部4がわの端縁における幅L1は25mm、柄部6がわの端縁における幅L2は25mm、HN3mm、WNは23mmであった。食事用器具の見かけ密度は0.35g/cmであった。
得られた食事用器具はモチモチとした食感を有していた。得られた食事用器具を用いて水羊羹を模擬喫食(水羊羹を掬って口中まで運ぶ)したところ3分間で軟化し使用できなくなった。
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
本発明の食事用器具の形状の一例を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図である。 本発明の食事用器具の形状の他の一例を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図である。 本発明の食事用器具の形状のさらに他の一例を示し、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。 本発明の食事用器具の形状のまたさらに他の一例を示し、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図である。 本発明の食事用器具の形状のさらにまた他の一例を示し、図5(a)は平面図、図5(b)は側面図である。 本発明の食事用器具の形状のさらに別の一例を示す平面図である。
符号の説明
2、2a、2b、2c:食事用器具
4、4a、4b、4c:食品との接触部
6、6a、6b、6c:柄部
8、8a、8b、8c:柄部の根元

Claims (4)

  1. 食品との接触部と柄部を備える食事用器具であって、澱粉粉末の比率が50重量%以上である食品原料粉が水で解かれてなる生地が焼成されてなり、みかけ密度が0.1〜0.4g/cmである食事用器具。
  2. 前記生地が100重量部の水に対して70〜150重量部の前記食品原料粉を含む請求項1に記載の食事用器具。
  3. 前記柄部の根元における厚みが3〜10mm、幅が8〜40mmである請求項1又は2に記載の食事用器具。
  4. 前記食品との接触部の食事用器具の長手方向にみた中間部から、前記柄部の食事用器具の長手方向にみた中間部にかけて、横幅が一定もしくは増加もしくは、前記食事用器具の長手方向の進み長さに対する横幅の減少の比率が0.05以下で減少する、請求項1ないし3のいずれかに記載の食事用器具。
JP2005206305A 2005-07-15 2005-07-15 食事用器具 Withdrawn JP2007020827A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010536362A (ja) * 2007-08-20 2010-12-02 サックスプーンワークショップ,ソシエダッド リミターダ 可食性攪拌ツールの製造方法およびこの方法により製作されるツール

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