1.構成
本発明の一実施形態による無線LAN接続機能付き電子スチルカメラ(以下、電子カメラという)のブロック図を図1に示す。電子カメラ1は、アクセスポイント31を介してPC(パーソナルコンピュータ)32または33と無線LAN接続される。このときの無線LANの接続形態は、インフラストラクチャモードと呼ばれるものである。PC32および33は、電子カメラ1において撮像された画像データを取得し、その画像データの保存や各種の画像処理などを実行する。PC33にはプリンタ34が接続されており、PC33において取得された画像データをプリンタ34によって印刷することができる。
また電子カメラ1は、プリンタ用ドングル41を介してプリンタ42と無線LAN接続することもできる。プリンタ用ドングル41は、プリンタ42のUSB(Universal Serial Bus)ポートなどに取り付けられて使用される無線LAN用のプリントサーバである。プリンタ用ドングル41によって電子カメラ1から受信した画像データは、プリンタ42へ出力される。これにより、PCを使用せずに、プリンタ42において画像データの印刷が行われる。このときの無線LANの接続形態は、アドホックモードと呼ばれるものである。
電子カメラ1は、電池4、電池電圧検出部5、可変光学系3、光学部品7、撮像素子8、アナログ信号処理部12、A/D変換部13、タイミング制御部14、画像処理部15、操作部16、制御部17、メモリ18、圧縮/伸長部19、表示画像生成部20、液晶ディスプレイ21、メモリカード用インタフェース部22、外部インタフェース部23、無線LANモジュール部24を備える。
電池4は、電子カメラ1の各部に対してその動作に必要な電力を供給する。電池4から各部への電力供給は、電子カメラ1の動作状態に応じて許可または禁止される。この電力供給状態の制御は、制御部17によって行われる。電池4の出力電圧(電池電圧)は、電池電圧検出部5によって検出される。この電池電圧の検出結果は、電池電圧検出部5から制御部17へ出力される。
可変光学系3は、複数の光学レンズ群よりなる撮影レンズや、絞り、シャッター等によって構成される。光学部品7は、光学フィルタやカバーガラスなどによって構成される。被写体からの光束が可変光学系3と光学部品7を通過することにより、撮像素子8上に被写体像が結像される。
撮像素子8は、可変光学系3によって結像される被写体像を撮像し、撮像された被写体像に対応する画像信号(撮像信号)を出力する。撮像素子8は、複数の画素から構成される矩形形状の撮像領域を有し、各画素に蓄積された電荷に対応するアナログ信号である画像信号を、画素単位で順次、アナログ信号処理部12に出力する。撮像素子8は、例えば単板式カラーCCDなどで構成される。アナログ信号処理部12は、内部にCDS(相関2重サンプリング)回路や、AGC(オートゲインコントロール)回路などを有し、入力された画像信号に対して所定のアナログ処理を行う。A/D変換部13は、アナログ信号処理部12で処理されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。タイミング制御部14は、制御部17により制御され、撮像素子8、アナログ信号処理部12、A/D変換部13、画像処理部15の各動作のタイミングを制御する。
メモリカード用インタフェース部22は、電子カメラ1の内部にセットされたメモリカード(カード状のリムーバブルメモリ)30とのインタフェースをとる。外部インタフェース部23は、USBなどの信号規格にしたがって、所定のケーブルを介して外部装置とのインタフェースをとる。無線LANモジュール部24は、データのフォーマット変換や暗号化、変復調、周波数変換などの処理を行い、アクセスポイント31やプリンタ用ドングル41との間で無線LAN用の電波を送受信する。
操作部16は、各種の操作ボタンやスイッチ類を有している。これには、レリーズボタン、カメラモード切り換え用の選択ダイヤル(モードダイヤル)、再生画像を液晶ディスプレイ21に表示するためのボタン(再生ボタン)、液晶ディスプレイ21に表示される操作画面において選択位置を移動するためのボタン(操作ボタン)などが含まれる。液晶ディスプレイ21は、電子カメラ1の操作状態に応じて各種の操作画面を表示したり、撮像素子8で撮像した被写体像やメモリカードに格納された画像データに基づく再生画像を表示したりする。操作部16の出力は制御部17に入力され、液晶ディスプレイ21には表示画像生成部20の出力が入力される。画像処理部15は、例えば、画像処理専用の1チップ・マイクロプロセッサで構成される。メモリ18にはフラッシュメモリが用いられており、電子カメラ1の制御用ソフトウェアや、後で述べるプロファイルなどのデータが記録される。
A/D変換部13、画像処理部15、制御部17、メモリ18、圧縮/伸長部19、表示画像生成部20、メモリカード用インタフェース部22、外部インタフェース部23および無線LANモジュール部24は、バス25を介して相互に接続されている。
図1のような構成の電子カメラ1において、操作部16の操作により、ユーザに撮影モードが選択されてレリーズボタンが押されると、制御部17は、可変光学系3を制御してピント調節を行うとともに、タイミング制御部14を介して、撮像素子8、アナログ信号処理部12、A/D変換部13に対するタイミング制御を行い、被写体の撮像を行う。なお、被写体の種類などによって複数の撮影モードを選択可能とし、撮影モードに応じてタイミング制御を変化させてもよい。
撮像素子8は、可変光学系3により撮像領域に結像された被写体像に対応する画像信号を生成する。その画像信号は、アナログ信号処理部12で所定のアナログ信号処理が施され、アナログ処理後画像信号としてA/D変換部13へ出力される。A/D変換部13では、アナログ処理後の画像信号をデジタル化し、画像データとして、画像処理部15に供給する。
本実施の形態の電子カメラ1では、撮像素子8において、単板式カラー撮像素子の最も代表的なR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタがベイア配列されている場合を例にとり、画像処理部15に供給される画像データはRGB表色系で示されるものとする。画像データを構成する各々の画素には、RGBのいずれか1つの色成分の色情報が存在する。ここで、撮像素子8を構成する1つの光電変換素子を画素と言うが、この画素に対応した画像データの1単位も画素と言う。また、画像も複数の画素から構成される概念である。
画像処理部15は、このような画像データに対し、補間、階調変換や輪郭強調などの画像処理を行う。このような画像処理が完了した画像データは、必要に応じて、圧縮/伸長部19で所定の圧縮処理が施され、メモリカード用インタフェース部22を介してメモリカード30に記録される。なお、画像処理が完了した画像データは、補間処理が完了し、各画素にはRGBのすべての色成分の色情報が存在するものとする。
メモリカード30に記録された画像データは、無線LANモジュール部24を介してアクセスポイント31やプリンタ用ドングル41へ無線送信される。この無線送信は、一般的な無線LANの信号規格、たとえばIEEE 802.11bやIEEE 802.11gなどの規格に準拠して行われる。さらに、様々な無線LAN機器間で互換性を補償するための国際標準規格であるWiFi(Wireless Fidelity)認証に対応してもよい。アクセスポイント31は、電子カメラ1の無線LANモジュール部24から送信された画像データを中継し、PC32やPC33へ転送する。プリンタ用ドングル41は、無線LANモジュール部24から送信された画像データをプリンタ42へ出力する。
以上説明したようにして、電子カメラ1とPC32、PC33またはプリンタ42が無線LAN経由で接続されることにより、撮像画像データが電子カメラ1からPC32、PC33またはプリンタ42に対して送信される。なお、電子カメラ1からの画像データの送信は、PTPIP(Picture Transfer Protocol over Internet Protocol)と呼ばれる周知の通信プロトコルにしたがって行われる。プリンタ42は、PictBridge規格に対応したものが用いられる。
2.無線LANの設定
次に、無線LANの設定方法について説明する。上記で説明したように電子カメラ1とPC32、33またはプリンタ42を無線LAN経由で接続して画像データを送信するためには、予め無線LANの接続に必要な情報を電子カメラ1に登録しておく必要がある。この接続情報の登録は、電子カメラ1と接続される機器(PC32、33、プリンタ34、42)毎にそれぞれ行う必要があり、接続される機器がPCの場合とプリンタの場合ではその登録方法が異なる。以下では、先にPC32の接続情報の登録方法について説明し、その後で、プリンタ42の接続情報の登録方法について説明する。
PC32の接続情報の登録は、電子カメラ1とPC32をケーブルによって有線接続した状態で行われる。なお、電子カメラ1は、外部インタフェース23を介してケーブルに接続される。この状態で、操作部16の一部であるモードダイヤルを電子カメラ1において操作し、モードダイヤルを「SETUP」の位置に合わせるとともに、予めインストールされた無線LAN設定用のソフトウェアプログラムをPC32において実行する。これにより、PC32からケーブル接続された電子カメラ1に対して、無線LANの設定に関するネットワーク情報を含む各種の情報が送信される。
電子カメラ1は、制御部17の処理により、PC32から送信された上記のような各種情報を受信して取得し、その内容に基づいて、PC32と無線LANを介して接続するための情報が記録されたプロファイル(Profile)と呼ばれるデータを作成する。そして、作成されたプロファイルをメモリ18に書き込んで記憶保存することにより、プロファイルを電子カメラ1において登録する。こうしてプロファイルを登録することで、PC32の接続情報が電子カメラ1に登録される。このプロファイルの内容に基づいて、無線LANモジュール部24により、電子カメラ1をPC32に無線LAN接続するときの接続処理が行われる。
電子カメラ1においてPC32のプロファイルを登録するときの処理シーケンスを図2に示す。この処理シーケンスは、PTP(Picture Transfer Protocol)と呼ばれる通信プロトコルにしたがって行われる。PC32は、最初に(1)のInfoTransferReqコマンドにより、接続されている電子カメラ1に対して、そのカメラに関する情報(カメラ情報)を送信するよう要求する。これを受けた電子カメラ1は、(2)のInformationコマンドにより、自身のカメラ情報としてGUID(Global Unique ID)およびFriendly Nameと呼ばれるデータをPC32に対して送信する。これらのカメラ情報の送信を完了したら、(3)のResponseコマンドにより、送信が終了したことをPC32に知らせる。PC32によって受信された電子カメラ1のカメラ情報はPC32に登録され、後で説明するように、電子カメラ1との接続を許可するか否かの判定に用いられる。
上記のGUIDは、無線LANモジュール部24において予め設定されているMAC(Media Access Control)アドレスに基づいて作成される。たとえば、6バイトのMACアドレスを3回繰り返し、最後の2バイト分を切り捨てることにより、16バイトのGUIDが作成される。MACアドレスはカメラの個体ごとに固有のものであり、他のカメラと重複することはない。したがって、GUIDも固有のものが設定される。Friendly Nameは、電子カメラ1において、その機種に応じた内容のものが予め設定されている。
PC32は、電子カメラ1から(3)のResponseコマンドにより送信終了の通知を受けると、(4)のInfoRecieveReqコマンドにより、PC32から送信するデータを受信するよう電子カメラ1に要求する。その後、(5)のInformationコマンドにより、PC32に記録されている無線LANのネットワーク情報を電子カメラ1に対して送信する。このとき、ネットワーク情報とともに、PC32に関する機器情報や、プロファイルの管理情報なども合わせて送信する。これら各情報の具体的な内容については、後でプロファイルの内容において説明する。
電子カメラ1は、(5)のInformationコマンドによってPC32からネットワーク情報を含む各種の情報を受信したら、その内容に基づいてPC32のプロファイルを作成する。作成されたプロファイルは、メモリ18に書き込まれる。PC32のプロファイルがメモリ18に書き込まれたら、(6)のResponseコマンドにより、電子カメラ1からPC32に対して接続情報の登録結果を通知する。このとき、プロファイルを正しく作成できた場合は、登録結果がOKであることを通知する。プロファイルが作成できなかった場合、たとえば、電子カメラ1がサポートしていないAES(Advanced Encryption Standard)などの暗号形式がPC32からのネットワーク情報において示されていた場合は、登録結果がNGであることを通知する。この登録結果はPC32において画面に表示されることで、ユーザに通知される。以上説明したような処理シーケンスにより、電子カメラ1においてPC32のプロファイルが登録される。
PC32について作成されるプロファイルの内容を図3の表に示す。この表では、プロファイルに含まれる各データ項目の項目名、データサイズ、データの内容および初期値を示している。なお、「設定」の欄は、各データ項目の値がPC32と電子カメラ1のどちらにおいて設定されるかを表している。この欄に「PC」とあるデータ項目は、PC32において設定されたものが電子カメラ1に送信される。この欄に「カメラ」とあるデータ項目は、電子カメラ1において設定される。以下、各データ項目について説明する。
「バージョン」は、プロファイルのバージョンを表しており、PC32から送信されるプロファイルの管理情報によって設定される。PC32の無線LAN設定用のソフトウェアプログラムがバージョンアップされた場合などは、このバージョンの値が変化する。「Profile数」は、電子カメラ1に登録できるプロファイルの総数を表している。合計9種類までのプロファイルを登録できるものとして、その値が9に固定されている。
「Profile番号」は、当該プロファイルに対して割り当てられた番号を表し、1〜9までのいずれかの値をとる。この「Profile番号」は、電子カメラ1においてプロファイルが登録されるときに、その登録の順番に応じて自動的に割り当てられる。電子カメラ1では、プロファイルごとに「Profile番号」の値を変えることにより、合計9種類までのプロファイルを登録することができる。すなわち、最大で9台までのPCやプリンタの接続情報を電子カメラ1に登録しておくことができる。
「Profile有効/無効」は、当該プロファイルが有効であるか否かを表しており、この値が0であれば無効、1であれば有効であることを示す。無効と設定されているプロファイルは使用することができず、そのプロファイルが表す機器には接続できない。新たに登録されたプロファイルは有効に設定され、プロファイルを削除するときに無効に設定される。すなわち、一度削除したプロファイルであっても電子カメラ1には記憶されている。なお、電子カメラ1の設定情報をクリアする操作を行うと、全てのプロファイルが削除されて無効に設定される。プロファイルを電子カメラ1から完全に消去するためには、カメラの情報を工場出荷時に戻す操作を行う必要がある。
以下に説明する「Profile名」、「アイコン番号」および「Profile作成日時」は、いずれもPC32から送信されるプロファイルの管理情報によって設定される。「Profile名」は、当該プロファイルを識別するための名称を表している。ユーザは、プロファイルの名称をPC32において任意に設定することができる。設定されたプロファイル名称は、そのプロファイルを電子カメラ1に登録するときに、前述のようにネットワーク情報とともにプロファイルの管理情報としてPC32から電子カメラ1に送信される。それによってProfile名の内容、すなわちテキスト値が決定される。
「アイコン番号」は、当該プロファイルに対して設定されたアイコンの種類を表し、1〜9までのいずれかの値をとる。ユーザは、PC32において、たとえばPCであるかプリンタであるか、または自宅用であるか会社用であるかなど、様々な種類のアイコンを任意に選択することができる。「Profile作成日時」は、当該プロファイルが作成された日時を表し、PC32において計測された日時が設定される。
なお、上記の「Profile名」によって表される各プロファイルの名称、および「アイコン番号」によって表される各プロファイルのアイコンは、電子カメラ1において接続先の機器を選択するときに、プロファイル一覧画面として液晶ディスプレイ21に表示される。ユーザは、表示されている各プロファイルの名称とアイコンから接続先の機器を選択することができる。
以下に説明する「Profileにアクセスした最後の日時」および「Profile一覧での表示順」は、いずれも電子カメラ1において設定される。「Profileにアクセスした最後の日時」は、当該プロファイルが電子カメラ1において選択された最後の日時を表している。この値は、電子カメラ1においていずれかのプロファイルが選択され、そのプロファイルによって表される無線LAN設定情報に基づいて無線LANへの接続が行われたときに、自動的に更新される。
「Profile一覧での表示順」は、プロファイル一覧画面において各プロファイルの名称とアイコンを表示するときの表示順を表している。この値が小さいものほど上位に表示される。電子カメラ1の接続先としてユーザに選択されたプロファイルや新たに登録されたプロファイルに対しては1が設定され、それに応じて他のプロファイルの値が繰り下げられる。これにより、次にプロファイル一覧画面を表示したときに、前回選択されたプロファイルや登録されたプロファイルが先頭に表示される。
「接続機器」は、当該プロファイルに記録されている無線LAN接続の設定情報がPCまたはプリンタのどちらについてのものであるかを表している。この値が0であればPCのプロファイルであり、1であればプリンタのプロファイルであることを表す。すなわち、PC32のプロファイルには0が設定される。この「接続機器」は、PC32から送信されるプロファイルの管理情報により決定される。
以下に説明する「IPアドレス」から「暗号キー番号」までは、PC32から送信されるネットワーク情報によって設定される。「IPアドレス」は、当該プロファイルにおいて電子カメラ1(無線LANモジュール部24)に割り当てられたIPアドレスを表しており、「サブネットマスクビット長」は、そのIPアドレスに対するサブネットマスクのビット長を表している。なお、これらの値は、後で説明する「TCP/IP設定」において、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)またはAutoIPが有効になっている場合には、初期値0が設定される。「ゲートウェイIPアドレス」は、後で説明する「TCP/IP設定」においてゲートウェイが有効になっている場合、そのゲートウェイのIPアドレスを表す。
「TCP/IP設定」は、当該プロファイルにおけるIPアドレスの取得方法を表しており、DHCP、AutoIP、ゲートウェイのそれぞれについて、有効または無効のいずれであるかを示している。DHCPが有効であれば、電子カメラ1のIPアドレスはアクセスポイント31やPC32によって自動的に割り当てられる。AutoIPが有効であれば、電子カメラ1のIPアドレスは電子カメラ1自身が自動的に割り当てる。ゲートウェイが有効であれば、上記のIPアドレスに設定された固定のIPアドレスが用いられる。
「アクセス方式」は、当該プロファイルにおける無線LAN接続の方法がインフラストラクチャモードとアドホックモードのいずれであるかを表している。PC32のプロファイルでは、ここにはインフラストラクチャモードを表す0が設定される。「チャンネル」は、無線LANの送信チャンネル番号を表している。「SSID」は、PC32が属している無線LANのSSID(Service Set Identifier)を表している。これらの内容は、PC32における無線LANの設定条件にしたがって決定される。
以下に説明する「認証方式」、「暗号モード」、「暗号キー」および「暗号キー番号」は、電子カメラ1とPC32を無線LAN接続するときのセキュリティ設定に関する情報を表している。これらの内容は、PC32における無線LANの設定条件にしたがって決定される。「認証方式」は、オープンシステム(OpenSystem)、共有キー(SharedKey)、WPA-PSK(Wi-Fi Protected Access Pre-Shared Key)のいずれかの認証方式を示している。「暗号モード」は、「なし」、WEP(Wired Equivalent Privacy)64、WEP128またはTKIP(Temporal Key Integrity Protocol)のいずれかの暗号方式を示している。「暗号キー」と「暗号キー番号」は、無線LANにおいて設定されている暗号キーの内容とその暗号キー番号を表している。これらの内容に応じて、無線LAN接続時の認証および送信データの暗号化が行われる。
以下に説明する「PCのGUID」および「PC名」は、PC32から送信される機器情報によって決定される。「PCのGUID」は、PC32のGUIDを表している。この内容は、前述した電子カメラ1のGUIDと同様に、PC32のMAC(Media Access Control)アドレスに基づいて、PC32において作成される。「PC名」は、PC32のFriendly Nameを表しており、前述した電子カメラ1のFriendly Nameと同様に、PC32において予め設定されている。
以上説明したような各データ項目によって構成されるプロファイルが電子カメラ1によって作成され登録されることにより、PC32の接続情報が電子カメラ1に登録される。PC33についても、同様に電子カメラ1とPC33をケーブル接続し、作成されたプロファイルを登録することにより、接続情報が登録される。
次に、プリンタ42の接続情報の登録方法について説明する。プリンタ42の接続情報の登録は、PC32で行ったときのようなケーブル接続ではなく、電子カメラ1とプリンタ用ドングル41を無線接続することによって行われる。この無線接続は、図4の表に示すネットワーク情報を用いた無線LAN接続によって行われる。図4のネットワーク情報は、プリンタ接続専用のネットワーク情報として、無線LANモジュール部24に予め記憶されている。
図4のネットワーク情報において、「TCP/IP設定」の値は2に設定されている。すなわち、AutoIPが有効に設定され、電子カメラ1のIPアドレスは電子カメラ1自身によって自動的に割り当てられる。「アクセス方式」の値は1に設定されているため、無線LANモジュール部24とプリンタ用ドングル41はアドホックモードで接続される。「チャンネル」の値は10が、「SSID」には"Dongle"という文字が設定されている。「認証方式」および「暗号モード」の値はいずれも0に設定されているため、無線LAN認証を行わず、またデータを暗号化せずに、無線LANモジュール部24とプリンタ用ドングル41が接続される。
上記のネットワーク情報に基づいて無線LANモジュール部24とプリンタ用ドングル41が無線LAN接続されると、液晶ディスプレイ21に「ドングルのボタンを押してください」というメッセージが表示される。これに応じてユーザがプリンタ用ドングル41に設置されたスイッチを押すと、プリンタ用ドングル41から電子カメラ1に対して、プリンタ42に関する機器情報として、プリンタ用ドングル41のGUIDおよびFriendly Nameが送信される。このときPC32の場合とは異なり、ネットワーク情報やプロファイルの管理情報は送信されない。電子カメラ1は、この機器情報と前述のプリンタ接続用のネットワーク情報に基づいて、プリンタ42のプロファイルを作成し、メモリ18に書き込んで記憶保存する。このようにして、プリンタ42の接続情報が電子カメラ1において登録される。
プリンタ42について作成されるプロファイルの内容を図5の表に示す。このプロファイルの各データ項目は、図3のPC32のプロファイルと共通である。しかし、プリンタ用ドングル41からはネットワーク情報やプロファイルの管理情報が送信されないため、データ項目によっては、図3で説明したPC32のプロファイルとはその設定方法が異なっているものがある。以下では、図3と共通する部分については説明を省略し、相違点を説明する。
「バージョン」、「Profile名」、「アイコン番号」、「Profile作成日時」および「接続機器」は、図3のPC32のプロファイルとは異なり、電子カメラ1においてその内容が設定される。バージョンの値は、電子カメラ1のファームウェアのバージョンに応じて決定される。Profile名には、予め決められた「Printer N」という名称が設定される。このNには、プロファイルの作成順に1から9までのいずれかの値が自動的に設定される。アイコン番号には、プリンタのアイコンを表す値が自動的に設定される。Profile作成日時には、当該プロファイルの作成日時として、電子カメラ1が有する時計情報によって求められた作成日時が設定される。接続機器には、プリンタを表す値である1が設定される。
ネットワーク情報を表す「IPアドレス」から「暗号キー番号」までの項目のうち、「TCP/IP設定」から「暗号モード」までは、図4と同じ内容が電子カメラ1によって設定される。その他の項目については、それぞれの初期値が電子カメラ1によって設定される。「PrinterのGUID」および「Printer名」には、プリンタ用ドングル41から送信される値が設定される。
以上説明したような各データ項目によって構成されるプロファイルが電子カメラ1によって作成され登録されることにより、プリンタ42の接続情報が電子カメラ1に登録される。
なお、PC33に接続されているプリンタ34については、電子カメラ1とPC33をケーブル接続することにより、PC33と同様の方法でプロファイルを作成することができる。このプロファイルは、ネットワーク情報に関する項目(「IPアドレス」から「暗号キー番号」まで)がPC33と同じ内容で設定され、その他の項目についてはプリンタ34に対応した内容が設定される。このプリンタ34のプロファイルを用いて無線LAN接続を行うと、電子カメラ1とPC33が接続されることにより、電子カメラ1とプリンタ34の間で通信回線が仮想的に確立される。
以上説明したプロファイルは、電子カメラ1といずれかのPC(ここではPC32として説明する)をケーブル接続することにより、その内容をPC32に表示するとともに、必要に応じて訂正することができる。このとき、PC32自身のプロファイルだけではなく、電子カメラ1に登録されている全てのプロファイル内容を表示することができる。このようなプロファイル内容の表示は、電子カメラ1からPC32へプロファイルデータを送信することによって行われる。
ただし、上記のようなプロファイル内容の表示では、プロファイル中の全てのデータ項目を表示できるわけではない。プロファイルに登録されたPC以外では表示することが適切でないデータ項目については、電子カメラ1から送信しないことでPC32に表示されないようにする。たとえば、ネットワークのセキュリティ設定に関する認証方式、暗号モード、暗号キー、暗号キー番号などのデータ項目は、電子カメラ1からPC32へ送信しないようにする。このようにすることで、必要なセキュリティを確保しつつ、プロファイル内容の確認や編集をユーザが容易に行うことができる。
3.無線LANの接続
次に、上記で説明したようにして登録された無線LANの接続情報に基づいて、電子カメラ1と、PC32、PC33またはプリンタ42のうちいずれかの機器とを無線LAN接続するまでの動作について説明する。このときの動作の流れを図6に示す。
ユーザは、はじめに電子カメラ1において、操作部16の一部であるモードダイヤルを操作して、そのモードダイヤルを「無線LAN」の位置に合わせる。すると、電子カメラ1の動作モードが無線LANモードへと切り替えられ、接続先をユーザに選択させるためのプロファイル一覧画面が液晶ディスプレイ21に表示される。このプロファイル一覧画面では、登録されている各プロファイルについてのプロファイル名称およびアイコンが一覧表示される。なお、各プロファイルの表示順序は、前述のようにプロファイル中のデータ項目「Profile一覧での表示順」に設定されている値に応じて決定される。
プロファイル一覧画面においてPC32、PC33またはプリンタ42のいずれかに対応するプロファイルがユーザによって選択されたら、そのプロファイルに記録されている無線LANの接続情報に基づいて、選択された機器との接続処理が開始される。このとき、接続される機器がPCの場合とプリンタの場合では電子カメラ1の動作が異なる。以下では、先にPC32と無線LAN接続するときの動作内容を説明し、その後で、プリンタ42と無線LAN接続するときの動作内容について説明する。
PC32のプロファイルがユーザによって選択されると、制御部17によって電池4から無線LANモジュール部24への電力供給が許可され、無線LANモジュール部24とアクセスポイント31との間で電波の送受信が行われる。この時点までは、無線LANモジュール部24への電力供給は制御部17により禁止されている。そして、選択されたプロファイルに記録されている無線LANの接続情報に基づいて、無線LANモジュール部24とアクセスポイント31との間で行われる無線通信により、無線LAN認証やIPアドレス獲得などのネットワーク接続処理が実行され、PC32が属する無線LANに電子カメラ1が接続される。なお、この時点では電子カメラ1が無線LANに接続されるだけであり、PC32との接続はまだ行われない。
上記のようにして電子カメラ1が無線LANに接続されたら、次に電子カメラ1の機能選択を行う。具体的には、後で説明する様々な画像データの転送方法の中からいずれかをユーザに選択させるための無線LANメニュー画面を液晶ディスプレイ21に表示する。いずれかの転送方法がユーザによって選択されると、既に選択されたプロファイルに記録されている無線LANの設定情報に基づいて、無線LANモジュール部24とアクセスポイント31との間で行われる無線通信により、電子カメラ1とPC32を無線LAN経由で接続するための処理が開始される。
電子カメラ1とPC32を無線LAN経由で接続するための処理では、初めに電子カメラ1のカメラ情報がPC32へ送信される。PC32は、このカメラ情報が予め登録されているか否かにより、電子カメラ1との接続を許可するか否かを判定する。送信されたカメラ情報が予め登録されているものであれば接続を許可し、電子カメラ1との間で通信回線を確立する。こうして電子カメラ1とPC32との間で無線LANを介した通信回線が確立されたら、その後は無線LANメニュー画面において選択された転送方法にしたがって、電子カメラ1に記録された画像データを電子カメラ1からPC32へ転送する。
一方、プリンタ42のプロファイルがユーザによって選択されると、そのプロファイルに記録されている無線LANの接続情報に基づいて、無線LANモジュール部24とプリンタ42との間で行われる無線通信により、電子カメラ1とプリンタ42を無線LAN接続するための処理が開始される。このとき、電子カメラ1の無線LANへの接続処理とプリンタ42への接続処理とが続けて行われ、途中で無線LANメニュー画面の表示は行われない。電子カメラ1とプリンタ42との間で無線LANを介した通信回線が確立されたら、その後は電子カメラ1に記録された画像データを電子カメラ1からプリンタ42へ出力することにより、画像データの印刷を行う。
以上説明したようにして、電子カメラ1とPC32またはプリンタ42が無線LAN接続される。電子カメラ1とPC33との無線LAN接続も、PC32と同様の方法によって行われる。
なお、PC33に接続されているプリンタ34のプロファイルが選択された場合は、上記のプリンタ42の場合と同様の手順で無線LAN接続処理が行われ、電子カメラ1とPC33の間で通信回線が確立される。電子カメラ1とPC33の間で無線LANを介した通信回線が確立されたら、その後は電子カメラ1に記録された画像データをPC33を経由してプリンタ34へ出力することにより、画像データの印刷を行う。このようにすることで、プリンタ34がPictBridge規格に対応するものでなくても、電子カメラ1側からはPictBridge規格対応プリンタと同様の操作で印刷を実行することができる。
4.画像データの転送
次に、電子カメラ1とPC32が無線LAN接続された後の画像データの転送方法について説明する。上記の無線LANメニュー画面では、画像データの転送方法として、「更新転送」、「撮影日転送」、「転送マーク画像転送」、「選択画像転送」または「撮影転送」のうちのいずれかを選択することができる。
更新転送では、電子カメラ1に記録されている画像データの各画像ファイルと、PC32に記録されている画像データの各画像ファイルとを比較して、PC32に記録されていない画像ファイルのみをPC32へ転送する。これにより、まだPC32へ転送されていない画像ファイルのみを転送する。なお、更新転送では、電子カメラ1に記録されている画像ファイルのリストを転送前にPC32へ送信することにより、電子カメラ1の画像ファイルとPC32の画像ファイルの差分をPC32において判断する。PC32は、その画像ファイルの差分を電子カメラ1に対して送信するよう要求する。
撮影日転送では、電子カメラ1に記録されている画像データの各画像ファイルのうち、ユーザに選択された撮影日に作成された画像ファイルのみをPC32へ転送する。このとき、選択された撮影日の画像ファイルが既にPC32に記録されているか否かに関わらず、該当する画像ファイルは全て転送する。撮影日転送を選択した場合は、電子カメラ1とPC32が無線LAN接続されると撮影日の選択画面が液晶ディスプレイ21に表示され、その画面において選択された撮影日の画像ファイルが転送される。
転送マーク画像転送では、電子カメラ1に記録されている画像データの各画像ファイルのうち、予め転送マークが設定されている画像ファイルのみをPC32へ転送する。このとき、転送マークが設定されている画像ファイルが既にPC32に記録されているか否かに関わらず、該当する画像ファイルは全て転送する。なお、転送マークは、電子カメラ1とPC32を無線LAN接続する前に、ユーザが任意に設定することができる。
選択画像転送では、電子カメラ1に記録されている画像データの各画像ファイルの中から、転送する画像ファイルをユーザに選択させ、その画像ファイルのみをPC32へ転送する。このとき、選択された画像ファイルが既にPC32に記録されているか否かに関わらず、該当する画像ファイルは全て転送する。選択画像転送を選択した場合は、電子カメラ1とPC32が無線LAN接続されると撮影した画像の選択画面が液晶ディスプレイ21に表示され、その画面において選択された画像ファイルが転送される。
撮影転送では、電子カメラ1によって撮影された画像ファイルがその撮影直後にPC32へ転送される。この撮影送信では、撮影を行うと液晶ディスプレイ21に撮影された画像が表示され、送信するか否かの問い合わせが行われる。これに対してユーザが送信すると応じると、撮影された画像ファイルがPC32へ転送される。なお、このとき転送した画像ファイルをメモリカード30に記録するか否かを予め設定しておくことができる。
上記のいずれかの転送方法によって画像データを転送する際には、電子カメラ1において「ADVTRANS.MRK」という名前のコマンドファイルが作成され、PC32へ送信される。このコマンドファイルには、選択された転送方法に従ってPC32へ画像データを転送するために必要な情報が、予め定められた様々なパラメータを用いて記録されている。なお、当該コマンドファイルはDPOF(Digital Print Order Format)と呼ばれる規格のベンダー拡張領域部分を使用して作成される。
図7は、上記のコマンドファイル「ADVTRANS.MRK」において用いられるパラメータの内容を表にまとめたものである。この表には、使用される各パラメータの名称、意味およびそのパラメータがとりうる値が示されている。
図8は、図7のパラメータを用いて作成されたコマンドファイルの例である。(1)は、電子カメラ1において画像ファイルのリストを作成しない場合のコマンドファイルの例を示している。画像データの転送方法に更新転送などが選択されると、このような内容のコマンドファイルが作成される。(2)は、電子カメラ1において画像ファイルのリストを作成する場合のコマンドファイルの例を示している。画像データの転送方法に転送マーク画像転送や選択画像転送などが選択されると、このような内容のコマンドファイルが作成される。(2)のコマンドファイルでは、該当する画像ファイルの数とパス名が、パラメータ「IMG QTY」および「IMG SRC」を用いて順番にリスト表示されている。
図9は、電子カメラ1からPC32へ画像データを転送するときの処理シーケンスの例として、画像データの転送方法に更新転送を選択したときの処理シーケンスを示している。電子カメラ1は、選択された画像データの転送方法に応じてコマンドファイル「ADVTRANS.MRK」を作成したら、(1)のAdvancedTransfer Eventコマンドにより、PC32に対してコマンドファイルが作成されたことを通知する。これを受信したPC32は、(2)のGetObjectコマンドにより、電子カメラ1に対してコマンドファイルを要求する。電子カメラ1は、この要求に応じて(3)のように、PC32に対して作成されたコマンドファイル「ADVTRANS.MRK」を送信する。このようにして、PC32においてコマンドファイルが取得される。
PC32は、取得したコマンドファイルに基づいて、転送する画像ファイルのリストを作成する。転送する画像ファイルのリストが作成されたら、その画像ファイルの数を(4)のAdvancedTransferCtrl Operationコマンドにより、電子カメラ1に送信する。このとき、電子カメラ1の液晶ディスプレイ21には、「転送中」の表示と、転送する画像ファイルの数、転送済みの画像ファイルの数、および転送レートが表示される。転送レートは、直前の10秒間の転送レートの平均値として1秒ごとに計算される。
その後、PC32から(5)のGetObjectコマンドにより、電子カメラ1に対して最初の画像ファイルを要求する。電子カメラ1は、その要求に応じて(6)のData & Responseコマンドにより、該当する画像ファイルとともに応答をPC32へ返す。次に、PC32から(7)のGetObjectコマンドにより、電子カメラ1に対して次の画像ファイルを要求する。電子カメラ1は、その要求に応じて(8)のData & Responseコマンドにより、該当する画像ファイルとともに応答をPC32へ返す。これを繰り返すことで、指定された画像ファイルを電子カメラ1からPC32へ順に転送する。なお、この間に電子カメラ1の液晶ディスプレイ21では、PC32へ転送が完了した画像ファイルの数に従って、転送済みの画像ファイル数の表示内容がインクリメントされる。
全ての画像ファイルの転送が終了したら、(9)のAdvancedTransferCtrl Operationコマンドにより、PC32から電子カメラ1に対してその旨を通知する。これに応じて、電子カメラ1は作成されたコマンドファイル「ADVTRANS.MRK」を削除し、液晶ディスプレイ21の画面に「転送終了」のメッセージを表示する。なお、「転送終了」メッセージが表示される前であれば、ユーザの操作によって転送を途中でキャンセルすることもできる。以上説明したような処理シーケンスにより、電子カメラ1からPC32へ画像データが転送される。
図10は、転送した画像ファイルをメモリカード30に記録しないと設定されている状態で、画像データの転送方法に撮影転送を選択したときの処理シーケンスを示している。この場合、電子カメラ1において撮影が行われると、電子カメラ1からPC32へ(1)のObjectAddedInSDRAM Eventコマンドにより通知を行う。この通知を受けたPC32は、(2)のGetObjectInfo Operation with particular ObjectHandleコマンドにより、撮影された画像ファイルに関する情報を送信するよう電子カメラ1に対して要求する。電子カメラ1は、この要求に応じて(3)のObjectInfo Dataset/Responseコマンドにより、撮影された画像ファイルに関する情報をPC32へ送信する。
撮影された画像ファイルの情報を受信すると、PC32は(4)のGetObject Operation with particular ObjectHandleコマンドにより、その画像ファイルを電子カメラ1へ要求する。電子カメラ1は、その要求に応じて(5)のObject Data/Responseコマンドにより、撮影された画像ファイルと応答をPC32へ返す。この画像ファイルは、メモリカード30に記録されることはない。以上説明したような処理シーケンスにより、電子カメラ1からPC32へ画像データが転送される。
図11は、転送した画像ファイルをメモリカード30に記録する設定にして、画像データの転送方法に撮影転送を選択したときの処理シーケンスを示している。この場合、電子カメラ1において撮影が行われると、電子カメラ1からPC32へ(1)のObjectAdded Eventコマンドにより通知を行う。この通知を受けたPC32は、(2)のGetObjectInfo Operationコマンドにより、撮影された画像ファイルに関する情報を送信するよう電子カメラ1に対して要求する。電子カメラ1は、この要求に応じて(3)のObjectInfo Dataset/Responseコマンドにより、図10の場合と同様に、撮影された画像ファイルに関する情報をPC32へ送信する。
撮影された画像ファイルの情報を受信すると、PC32は(4)のGetObject Operationコマンドにより、その画像ファイルを電子カメラ1へ要求する。電子カメラ1は、その要求に応じて(5)のObject Data/Responseコマンドにより、図10の場合と同様に、撮影された画像ファイルと応答をPC32へ返す。この画像ファイルは、PC32への転送後にメモリカード30に記録される。以上説明したような処理シーケンスにより、電子カメラ1からPC32へ画像データが転送される。
以上説明したようにして、電子カメラ1から無線LAN接続されたPC32へ画像データが転送される。なお、電子カメラ1からPC33への画像データの転送も、PC32と同様の方法によって行われる。
更新転送や転送マーク画像転送では、該当する画像ファイルを全てPC32へ転送し終わると、制御部17によって電池4から無線LANモジュール部24への電力供給が禁止され、プロファイル選択画面に戻る。これにより、無駄な電池消費を防ぐことができる。撮影日転送や選択画像転送では、ユーザに選択された画像ファイルを全てPC32へ転送し終わると、撮影日や画像の選択画面に戻る。この選択画面で別の撮影日や画像が選択されると、該当する画像ファイルの転送が開始される。撮影転送では、撮影した画像ファイルの転送が終わると撮影画面に戻る。撮影日転送や選択画像転送、撮影転送のときには、画像ファイルの転送が終わってもユーザからのキャンセル操作が行われるまでは、電池4から無線LANモジュール部24への電力供給が続けられる。
なお、無線伝送路上の問題により無線LAN通信が途中で切断された場合は、電子カメラ1の液晶ディスプレイ21に「転送エラー」というメッセージを表示して、画像データの転送を中断する。この場合は、転送を継続するか否かをユーザに選択させる。継続が選択されると無線LANへの再接続と転送再開処理を行うことによってエラーリカバリを開始し、中断された画像データの転送を再開する。
また、画像データの転送中に電池4のバッテリ電圧が所定値以下に低下した場合は、電子カメラ1の液晶ディスプレイ21に「電池残量がありません/転送を中断しました」というメッセージを表示して、画像データの転送を中断するとともに、そこから所定時間後に電子カメラ1の電源をオフする。この場合は、電池4の交換またはACアダプタの接続によって必要な動作電力が確保された後、電子カメラ1の電源がオンされてモードダイヤルが「無線LAN」の位置に合わせられたときに、中断された画像データの転送を継続するか否かをユーザに選択させる。継続が選択されると、上記と同様に無線LANへの再接続と転送再開処理を行うことによってエラーリカバリを開始し、中断された画像データの転送を再開する。
上記のように画像データの転送を中断する場合は、転送中断情報として、そのとき選択されていたプロファイルの番号と、中断するまでに転送済みであった画像ファイル数とを電子カメラ1のメモリ18に記録しておく。この転送中断情報に基づいて、無線LANへの再接続と画像データの転送再開が行われることにより、エラーリカバリが実行される。なお、転送中断情報は、プロファイルの設定が行われたときや、メモリカード30の挿抜が行われたときにクリアされる。
電子カメラ1においてモードダイヤルが「無線LAN」の位置に合わせられると、コマンドファイル「ADVTRANS.MRK」が存在するか否か判定される。前述したように該当する全ての画像ファイルが転送されると、コマンドファイル「ADVTRANS.MRK」が削除される。したがって、コマンドファイルが存在する場合は画像データの転送が中断されたと判断できる。これにより、電池4のバッテリ電圧が低下して電子カメラ1の電源がオフされたことによる中断の発生を、次に電子カメラ1の電源がオンされたときに検出することができる。
5.無線LANスリープモード
次に、電子カメラ1において実行される無線LANスリープモードの動作について説明する。電子カメラ1は、ユーザからの操作入力が所定時間、たとえば3分間以上行われない場合は、制御部17の制御により、その動作の一部を停止して無駄な電池消費を抑えるスリープモードに移行する。このスリープモードには2種類のものが存在する。一つは、電池4から無線LANモジュール部24への電力供給が禁止されている場合に移行するスリープモードであり、通常スリープモードと呼ばれている。通常スリープモードでは、その時点での動作状態を記憶したまま、操作入力の検出を行うための部分、たとえば制御部17などを残して、その他の部分、たとえば液晶ディスプレイ21、撮像素子8、画像処理部15などへの電力供給をストップしてその動作を停止させる。この通常スリープモードでは、無線LANモジュール部24への電力供給は行われない。
通常スリープモードのときに、さらに所定時間、たとえば3分間ユーザからの操作入力が行われないと、オートパワーオフ機能が働いて電子カメラ1全体の電源が自動的にオフされる。このオートパワーオフ機能は、制御部17の制御によって実現される。通常スリープモードのときにユーザからの操作入力が検出されると、動作を停止していた各部分への電力供給が再開され、スリープ前の動作状態に復帰する。
もう一つのスリープモードは、無線LANモジュール部24への電力供給が許可されている場合に実行されるものであり、無線LANスリープモードと呼ばれている。この無線LANスリープモードでは、無線LANモジュール部24への電力供給を続けて動作させたまま、通常スリープモードと同様に、たとえば液晶ディスプレイ21などの電力供給を停止してその動作を停止させる。この無線LANスリープモードでは、無線LANモジュール部24への電力供給が行われる。
以上説明したように、電池4から無線LANモジュール部24への電力供給が禁止されている場合は、通常のスリープモードとすることで、無線LANモジュール部24を含む部分の動作を停止させる。逆に、電池4から無線LANモジュール部24への電力供給が許可されている場合は、無線LANスリープモードとすることで、無線LANモジュール部24を除いた部分の動作を停止させる。すなわち、いずれのスリープモードに移行する場合であっても、電池4から無線LANモジュール部24への電力供給状態を維持したままで、電子カメラ1の動作の一部を停止する。このようにすることで、無線LANモジュール部24によって撮像画像データを転送している途中であっても、不要な部分への電力供給を停止して無駄な電池消費を抑えることができる。
なお、無線LANスリープモードのときには、ユーザの操作入力が行われない状態で所定時間が経過しても、電子カメラ1の電源が自動的にオフされないようにするため、オートパワーオフ機能を禁止する。これにより、画像データを転送中にオートパワーオフ機能が働いて電子カメラ1の電源が自動的にオフされ、それによって画像データの転送が中断されてしまうことを防ぐ。
無線LANスリープモードで動作中に画像データの転送が終わった場合は、前述したように無線LANモジュール部24への電力供給が停止される。その時点からユーザによる操作入力が一定時間行われないと、無線LANスリープモードから通常スリープモードに移行する。ユーザの操作入力が行われない状態でさらに所定時間が経過すると、前述のようにオートパワーオフ機能が働き、電子カメラ1全体の電源が自動的にオフされる。無線LANスリープモード時にいずれかのスイッチ入力が検出されると、通常スリープモードと同様に各部分への電源供給が再開され、スリープ前の動作状態へと復帰する。
ところで、無線LANスリープモードで動作中に画像データの転送が終わり、通常スリープモードへ移行してから電子カメラ1の電源が自動的にオフされた場合は、液晶ディスプレイ21の画面に前述したような「転送終了」メッセージが表示される機会がないため、画像データの転送が終了したことをユーザが確認できない。したがって、次に電子カメラ1に電源が投入されたときに、無線LANスリープモード中の画像転送が終了したことを伝えるメッセージを液晶ディスプレイ21の画面に表示してユーザに通知する。なお、このような表示を電子カメラ1の電源投入直後に行うのではなく、無線LANモードが選択されたときに行うようにしてもよい。
上記のようなメッセージを表示する具体的な方法を説明する。電子カメラ1において画像データの転送が終わると、送信終了表示フラグと呼ばれるフラグ情報を内部的に設定する。この送信終了表示フラグは、電子カメラ1の電源がオフされても記憶されている。そして、次に電子カメラ1の動作モードが無線LANモードに切り替えられたときに、送信終了表示フラグが設定されていた場合は、液晶ディスプレイ21の画面に「転送が終了しました」というメッセージを所定時間、たとえば2秒間表示する。このメッセージを表示したとき、または無線LANスリープモードに移行せず「転送終了」メッセージを表示したときは、設定された送信終了表示フラグを解除する。このようにすることで、無線LANスリープモードから通常スリープモードへ移行し、電子カメラ1の電源が自動的にオフされた場合にも、再び無線LANモードとしたときに、画像データの転送が終わったことをユーザが確認できる。
なお、無線LANモジュール部24に対する電池4からの電力供給状態が許可または禁止のいずれであるかは、電子カメラ1の動作状態、すなわち、無線LANモードにおいてどのメニュー項目が選択されているかによって決まる。先に説明したように、画像データの転送方法(PCとの接続の場合)またはプロファイル(プリンタとの接続の場合)がユーザに選択されたときから、指定された画像データの転送が完了または中断されるまでの間は、無線LANモジュール部24への電力供給が許可されている。したがって、その間であれば無線LANスリープモードが実行され、それ以外の状態では通常のスリープモードが実行される。無線LANスリープモードと通常スリープモードの具体的な切り替えタイミングについては、後で説明する図13〜18の無線LANモードのメニュー遷移図において示す。
6.パワーセーブモード
次に、電子カメラ1におけるパワーセーブモードの切り替えについて説明する。無線LANモジュール部24への電力供給が許可されているときには、パワーセーブモードと呼ばれる機能が電子カメラ1において自動的にオンまたはオフされる。パワーセーブモードがオンされている間は、電池消費を抑えることができる。このパワーセーブモードのオンオフの切り替えは、制御部17の制御によって行われる。パワーセーブモードがオンである場合とオフである場合とでは、無線LANモジュール部24の動作が以下で説明するように異なる。
電子カメラ1とPC32、33またはプリンタ42が無線LANを介して接続されている間は、無線LANモジュール部24とアクセスポイント31またはプリンタ用ドングル41との間で、通信データの入出力状態に応じたタイミングで電波の送受信が行われる。この電波の送受信タイミングは一定でない。したがって、アクセスポイント31またはプリンタ用ドングル41から送信される電波を無線LANモジュール部24においていつでも受信できるようにするためには、電波送信を行わないときに無線LANモジュール部24を待ち受け状態で動作させる必要がある。パワーセーブモードがオフの場合には、このような動作を行う。
一方、パワーセーブモードがオンに切り替えられているときには、アクセスポイント31またはプリンタ用ドングル41において、無線LANモジュール部24への通信データを一時的にストックしておく。そして、予め決められた所定の周期ごとに、無線LANモジュール部24からアクセスポイント31またはプリンタ用ドングル41に対して、通信データ有無の問い合わせ(ポーリング)を行う。通信データがストックされている場合はそれを受信し、ない場合はそのまま次のポーリングまで待機する。このポーリング以外では、無線LANモジュール部24を待ち受け状態とはしない。このようにして、パワーセーブモードがオンの場合には、電波送信を行わないときに無線LANモジュール部24の動作を停止させることで、電池消費を抑えることができる。
しかし、パワーセーブモードをオンにすると、ポーリング間隔で無線LAN通信が行われ、それ以外のタイミングでは無線LAN通信が行われないため、パワーセーブモードがオフの場合と比べて通信のスループットが低下する。したがって、撮像画像データを転送するときのように高いスループットが要求される場合は、パワーセーブモードをオフに切り替える。そうでない場合、たとえば無線LANメニュー画面が液晶ディスプレイ21に表示されている場合や、撮影日転送や選択画像転送においてユーザに選択された画像ファイルの転送が終わった場合などは、パワーセーブモードをオンに切り替えて無駄な電池消費を抑える。このようなパワーセーブモードのオンオフ切り替えは、電子カメラ1の動作状態、すなわち、無線LANモードにおいてどのメニュー項目が選択されているかに応じて行われる。具体的なパワーセーブモードのオンオフのタイミングについては、後で説明する図13〜18の無線LANモードのメニュー遷移図において示す。
なお、以上説明したようなパワーセーブモードの他にも、電子カメラ1の電池消費を抑えるために様々な方法を用いることができる。たとえば、通常は電子カメラ1の電源オンとともに撮影レンズの繰り出しを行うところ、モードダイヤルが無線LANの位置に合わせられている状態で電源がオンされた場合は、撮影レンズの繰り出しを行わないようにする。また、電子カメラ1の電源オン中にモードダイヤルが無線LANの位置に合わせられた場合は、それ以降の撮影レンズ駆動を禁止する。このようにすることで、無線LANモード中の不要な撮影レンズ駆動による無駄な電池消費を避けることができる。なお、無線LANモード中であっても画像データの転送方法に前述の撮影転送が選択された場合は、撮影レンズを駆動して電子カメラ1を撮影可能な状態とする。
さらに他の方法として、無線LANモードで動作しているときには、操作部16の再生ボタンによる操作入力を受け付けないようにして、再生画像の表示を禁止する。このようにすることで、再生画像の表示中に無線LANモジュール部24により不要な電波の送受信が行われ、それによって無駄に電池が消費されるのを避けることができる。
7.バッテリチェック
次に、電子カメラ1におけるバッテリチェックの方法について説明する。電子カメラ1は、電池4の電池残量をチェックするバッテリチェック機能を有している。このバッテリチェック機能は、電池電圧検出部5によって電池4の出力電圧(電池電圧)を検出することにより行われる。電池電圧が所定のしきい値以下となった場合は電池残量が少なくなったと判定し、電池残量が低下したことを示すマーク(半マーク)を液晶ディスプレイ21に表示することにより、ユーザに対しその旨を報知して警告する。このとき、必要に応じて電子カメラ1の動作の一部を禁止する。
さらに、電子カメラ1が無線LANモードで動作している場合は、その他の動作モード(撮影モード、再生モードなど)とは異なる方法でバッテリチェックを行う。その具体的な方法について、以下に説明する。
電子カメラ1が無線LANモードで動作しているときは、無線LANモジュール部24からデータを無線送信すると、その無線送信による負荷のために電池電圧が送信中に一時的に低下する。このときの電圧低下幅は、電子カメラ1において他の動作を行ったときに比べて大きい。そのため、実際は電池残量にまだ余裕がある場合であっても、無線送信中に低下した電池電圧がバッテリチェックのしきい値を一時的に下回ることにより、半マークが誤って表示されてしまうことがある。そこで、このような半マークの誤表示を防止するため、無線LANモードで動作しているときには、その他の動作モードよりも低いしきい値を設定してバッテリチェックを行う。
無線LANモード時にバッテリチェックのしきい値を変化させる様子を図12に示す。上段のグラフは無線LANモジュール部24からの無線送信タイミングを示し、下段のグラフは電池電圧の変化を示している。なお、上段の無線送信タイミングには、前述のようにパワーセーブモードがONとなっており、無線LANモジュール部24から周期T間隔でポーリング送信が行われているときのものを示している。この図から分かるように、無線LANモジュール部24からの無線送信中には、電池電圧がV1からV2に低下する。なお、電圧値V1およびV2は、電池4が満充電状態のときに検出される電池電圧を表しているものとする。
図12において、しきい値Vth1は無線LANモード以外の動作モードにおけるバッテリチェックのしきい値を示している。このしきい値Vth1は、前述の電圧値V1に対する所定の割合、たとえば70%の値に設定される。無線LANモード以外の動作モードでは、電池電圧の検出値がしきい値Vth1を下回ったときに半マークが表示される。
しきい値Vth2は、無線LANモードにおけるバッテリチェックのしきい値を示している。電圧値V2に対するしきい値Vth2の割合が、電圧値V1に対するしきい値Vth1の割合と同じになるように、しきい値Vth2の値が設定される。すなわち、上記のようにしきい値Vth1がV1の70%に設定されていれば、しきい値Vth2は、V2の70%に設定される。無線LANモードでは、電池電圧の検出値がこのしきい値Vth2を下回ったときに半マークが表示される。このようなしきい値Vth2を無線LANモードのバッテリチェックにおいて用いることで、無線LANモード以外のときよりもバッテリチェックのしきい値を小さく変化させることができる。これにより、無線LANモードにおける半マークの誤表示を防止することができる。
なお、無線LANモードにおいて電池電圧がしきい値Vth2を下回って半マークが表示された場合は、それ以降の画像データ転送が禁止される。これにより、画像データの転送途中で電池残量がなくなってしまうことを防ぐ。電子カメラ1から画像データを転送している途中で電池電圧がしきい値Vth2を下回った場合は、現在送信中のパケットを送信した後に切断処理へと移行し、画像転送を中断する。
上記のしきい値Vth1およびVth2の設定方法は一例であって、その他の方法でしきい値を設定してもよい。無線LANモードではない場合のしきい値Vth1よりも、無線LANモードにおけるしきい値Vth2の方が小さくなるのであれば、バッテリチェックのしきい値をどのような方法によって変更してもよい。
8.メニュー遷移
電子カメラ1における無線LANモードでのメニュー遷移図を図13〜18に示す。図13は、無線LANモードに切り替えられてから、無線LANメニュー画面においていずれかの画像データの転送方法が選択されるまでのメニュー遷移図である。図14〜18は、無線LANメニュー画面においていずれかの画像データの転送方法が選択された後のメニュー遷移図である。図14は更新転送、図15は撮影日転送、図16は転送マーク画像転送、図17は選択画像転送、図18は撮影転送が選択されたときのメニュー遷移図である。これらのメニュー遷移図にしたがって電子カメラ1が動作することにより、上述したような様々な処理が行われる。
なお、図13〜18のメニュー遷移図には、先に説明した無線LANスリープモードと通常スリープモードの切り替えタイミング、および、パワーセーブモードのON/OFFタイミングを示している。メニュー項目の枠が実線で示されている場合は無線LANスリープモードとし、破線で示されている場合は通常スリープモードとする。また、実線で示されているメニュー項目において、その上に「PS ON」と書かれている場合はパワーセーブモードをONとし、「PS OFF」と書かれている場合はパワーセーブモードをOFFとする。
図19〜24は、図13〜18のメニュー遷移図にしたがって電子カメラ1が動作するときに、液晶ディスプレイ21に表示される画面の例を示している。図19は、図13のメニュー遷移図に対応する画面例である。図20は、図14のメニュー遷移図に対応する画面例である。図21は、図15のメニュー遷移図に対応する画面例である。図22は、図16のメニュー遷移図に対応する画面例である。図23は、図17のメニュー遷移図に対応する画面例である。図24は、図18のメニュー遷移図に対応する画面例である。
図19〜24において各画面の上に書かれている番号は、図13〜18のメニュー遷移図における各メニュー項目との対応を表している。たとえば、図19において「1」と書かれた画面は、図13で同じく「1」と書かれたメニュー項目、すなわち無線LANオープニング画面の例を示している。なお、図19〜24に示す画面例はあくまで一例であるため、これとは異なる画面デザインとしてもよい。
図19〜24に示す各画面のうち、図19の番号6に示す画面では、無線LANモジュール部24において検出された無線LAN電波の受信電界強度を5段階のアンテナ表示によって示している。無線LAN電波が検出されなかった場合は、「圏外」と表示される。また、図20の番号22に示す画面など、画像データの転送中の画面では、前述のように算出された転送レートが表示される。
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)電池4から無線LANモジュール部24への電力供給が禁止されているときに、ユーザの操作入力が所定時間以上行われないと、通常スリープモードへ移行して、無線LANモジュール部24および液晶ディスプレイ21の動作を停止する。また、電池4から無線LANモジュール部24への電力供給が許可されているときに、ユーザの操作入力が所定時間以上行われないと、無線LANスリープモードへ移行して、無線LANモジュール部24を動作させたままで液晶ディスプレイ21の動作を停止する。このようにしたので、無線LAN通信に影響を及ぼすことなくスリープ機能を実現し、無駄な電池消費を抑えることができる。
(2)通常スリープモードへ移行した後、ユーザの操作入力が所定時間以上行われないと、オートパワーオフ機能が働いて、電子カメラ1全体の電源をオフして動作を停止することとした。このようにしたので、さらに無駄な電池消費を抑えることができる。
(3)撮像画像データの転送中に無線LANスリープモードへ移行し、その転送が終了した後、ユーザの操作入力が所定時間以上行われないと、無線LANスリープモードから通常スリープモードへ移行することとした。このようにしたので、さらに無駄な電池消費を抑えることができる。さらにこの後、オートパワーオフ機能が働いて電子カメラ1全体の電源がオフされた場合は、次に電子カメラ1の電源がオンされたときに、液晶ディスプレイ21に撮像画像データの転送が終了したことを表すメッセージを表示することとした。このようにしたので、転送が終わったことをユーザが確認できる。
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
上記の実施の形態では、電力供給制御手段、第1のスリープ手段、第2のスリープ手段、オートパワーオフ手段およびスリープ移行手段を制御部17の処理によってそれぞれ実現し、画像表示手段を液晶ディスプレイ21、無線接続手段を無線LANモジュール部24によってそれぞれ実現している。しかし、これはあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。