JP2007018977A - 燃料電池用シール剤およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】常温または加熱により硬化不良なく速やかに硬化し、硬化後の特性として、柔軟で弾性に優れ、耐久性が良好な固体高分子型燃料電池用シール剤を提供する
【解決手段】(A)エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体、および(B)硬化剤または硬化触媒を含有する硬化性組成物をシール剤として用いる。

Description

本発明は固体高分子型燃料電池のセパレーター、固体電解質、電極などの部材を積層または平面配置するなどして接着シールする際に使用される固体高分子型燃料電池用シール剤およびそれを用いた燃料電池に関する
燃料電池は燃料の有するエネルギーを直接的に電気エネルギーに変換する装置として知られている。燃料電池では、水素を含む燃料ガスやメタノール等の液体燃料をアノードに供給し、酸素を含む酸化ガスをカソードに供給して、両極で起こる電気反応で化学反応によって起電力を得る。
燃料電池の一般的な形態は、電解質膜を挟んで一対の電極を配し、アノード電極に水素を含む燃料ガスやメタノール等の液体燃料を、対するカソード電極には酸素を含む酸化ガスを供給する。この様な燃料電池では、各電極に供給されるガス等の燃料が混合した場合、発電効率の低下などの問題が生ずる。従って、燃料電池では、アノード側・カソード側の燃料の混合を防ぐことが必要である。
固体高分子型燃料電池(「高分子電解質形燃料電池」とも称する)は、電解質膜として固体高分子膜を備える燃料電池である。単セルを基本単位としており、通常はこの単セルを積層したスタック構造をとる。単セルでは、電解質膜を2枚のガス拡散電極で狭持してサンドイッチ構造を形成し、このサンドイッチ構造をガス不透過なセパレーターが狭持している。
電解質膜は、供給される燃料ガスと酸化ガスを隔てる役割も果たしており、セパレーターは隣接する単セル間でガスを混合するのを防ぐ。また、電解質膜は親水性の膜であり、燃料電池の動作時には水分の供給を受けて湿潤状態に保たれる。
従って、固体高分子型燃料電池で燃料ガスと酸化ガスとの混合を防ぎ、且つセル内を湿潤状態に保つためには、各単セルの周辺部で、電解質膜とセパレーターとの間のシール性を十分に確保することが重要となる。
燃料電池セルの端部におけるシール性を達成するためには、セパレーター端部に溝部を設け、この溝部にOリングを配することで電解質膜間のシール性を達成し、電解質膜の両側に供給されるガスの混合を防止する方法が特許文献1および特許文献2に開示されている。しかしながらOリングは燃料電池の小型化を妨げ、また接着性も良くないため、Oリングに代えて、接着剤でこれらを気密する技術が特許文献3に開示されている。しかしながらここで使用された接着剤のうちシリコーン系の接着剤は硬化に室温で7日程度の長い時間を要すこと、耐熱性や耐水・耐湿性、耐酸性等の耐久性に劣ること、一般的なエポキシ樹脂接着剤では硬化物が硬く移動体に使用される燃料電池では振動吸収等ができず破損する、といった問題があった。
そこで本出願人は燃料電池のセパレーターのシール接着剤として付加重合型オレフィンを使用すると柔軟で弾性に優れ、硬化速度、耐久性ともに良好で燃料電池の高出力化が達成できることを見いだし、特許文献4を提案したが、実際の接着シール剤として使用した場合、セパレーター等の被着体表面に硬化触媒が吸着され触媒量が不足したり、被着体表面の汚れ等による触媒毒で硬化不良が発生する場合があった。
特許第3258390公報 特許第3444541公報 特許第3489181号公報 WO99/53559公報
本発明の目的は、従来技術の課題を解決することにあり、特に、常温または加熱により硬化不良なく速やかに硬化し、硬化後の特性として、柔軟で弾性に優れ、耐久性が良好な固体高分子型燃料電池用硬化性組成物を提供することにある。
本発明者等は、固体高分子電解質膜を挟む一対の反応電極膜−電極接合体(MEA)の一枚または複数枚を、燃料流路を設けた一対のセパレーターで挟持する際に、前記セパレーターの接合面や、反応電極の周辺及びマニホールド部に適用されて密封するためのシール剤として、
(A)エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体、および(B)硬化剤または硬化触媒を含有する硬化性組成物を用いることによって本発明の目的が達成されることを見出した。
従って、本発明は第1に、(A)エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体、および(B)硬化剤または硬化触媒を含有する硬化性組成物からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用シール剤である。
本発明は、第2に、エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体が分子両末端にエポキシ基を有するビスフェノール構造をもつ共重合体である上記の固体高分子型燃料電池用シール剤である。
本発明は、第3に、エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体が一般式(a):
Figure 2007018977
で示されるブロック共重合体である上記の固体高分子型燃料電池用シール剤である。
本発明は、第4に、固体高分子電解質膜を挟む一対の反応電極膜−電極接合体の一枚または複数枚を、燃料流路を設けた一対のセパレーターで挟持してなる固体高分子型燃料電池において、セパレーターの接合面、反応電極の周辺および/またはマニホールド部が、(A)エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体、および(B)硬化剤または硬化触媒を必須成分とする硬化性組成物の硬化物でシールされていることを特徴とする燃料電池である。
本発明の固体高分子型燃料電池用シール剤は、内部加湿部の水または燃料ガス、酸化ガス、メタノール等の液体燃料、冷却液をシールする材料として耐水性、耐酸性、接着性に優れる等の特徴を有し、高い信頼性を有する固体高分子型燃料電池を実現することができる。またOリングを組み込む必要がないので燃料電池全体の薄型化を図ることができ、積層する単セル数を増やすことによって電池容量を増大させることが可能となる。また薄く小型で起電力の高い性能を持つことができ、かつゴム弾性を有するため振動に対しても耐性を持ち、自動車等の輸送機器やモバイル機器等、振動負荷がかかる用途の燃料電池としても適している。加えて、本発明のシール剤は機械による自動塗布が可能であり、作業の短縮化、効率化、コストの低減を図ることもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(A)エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体
本発明におけるエポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)は、ビスフェノール構造を有する化合物と、その化合物と反応し
共重合体(A)を製造する際に用いられるビスフェノール構造を有する化合物は、下記一般式で示される。
Figure 2007018977
(ここで、X〜X5およびY〜Y5はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の1価の有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基または環状エーテル基を示し、Zは炭素原子数1〜6の2価の有機基、−O−または−COO−を示す)
共重合体(A)を製造する際に用いられるオルガノポリシロキサンは、下記一般式で示される。
(R(RSiO(4−a−b)/2
(ここで、Rは水素原子またはW−R−を示し、Rは炭素原子数1〜6の1価の有機基を示し、Rは炭素原子数1〜6の1価の有機基を示し、Wは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基または環状エーテル基を示し、a,bは0.001≦a≦1、1≦b≦2.5、1≦a+b≦3を満足する正数である。上記の有機基としては置換または非置換の、アルキル基等の炭化水素基が好ましい。)
エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)の製造方法としては、特開2002−249584公報に例示されている方法や下記の例を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007018977
Figure 2007018977
Figure 2007018977
エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)において、エポキシ基は末端および/または繰り返し単位中に存在することができるが、エポキシ基が両末端にのみ存在する方が硬化物はより柔軟になる。
本発明においてより好ましいビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)は、前記の一般式(a)で示される末端にエポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサンブロック共重合体であり、この化合物を用いた場合、特に組成物の硬化物の耐水性等の耐久性に優れる。
本発明で用いられる硬化剤または硬化触媒(B)は、特に制限されず、混合または加熱、紫外線等の何らかの外部刺激によりエポキシ基を重合させ得る能力を有す化合物であればよい。具体的には脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミノアミド等の1級、2級アミン類、酸無水物類、カルボン酸、フェノール類、メルカプタン類、イソシアネート類等の硬化剤、3級アミン類、フォスフィン類、ホスホニウム塩、イミダゾール類等のアニオン重合触媒、ルイス酸類等のカチオン重合触媒、それらの変性物、およびジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド類、N,N−ジメチル尿素誘導体、アミンアダクト類、メラミン類、アミンイミド類、オニウム塩類、ハロゲン化ホウ素錯体、ブロックカルボン酸類、ケチミン類、それらの変性物、それらのマイクロカプセル化物等、熱や光エネルギー、物理的圧力、湿気等の外部刺激によりエポキシ基に対し活性を発現する潜在性硬化剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化剤または硬化触媒は単独または2種類以上を混合して使用することができる。
好ましい硬化剤または硬化触媒(B)の一つは、ポリアミン、ポリアミド、およびそれらの変性物のうち1種類以上の単独または混合物である。具体例として、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン等のポリアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等のポリメチレンジアミン;メンセンジアミン(MDA)、イソフォロンジアミン(IPDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン等の環状脂肪族ポリアミン;メタキシリレンジアミン等の芳香環を含む脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン、また、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ〔5.5〕ウンデカン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、アミノ変性シリコーンオイル、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、アミンアダクト(ポリアミンエポキシ樹脂アダクト)、ポリアミン−エチレンオキシドアダクト、ポリアミン−プロピレンオキシドアダクト、シアノエチル化ポリアミン、ダイマー酸とジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミンとを反応させてなる液体ポリアミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これら硬化剤または硬化触媒(B)を主として含む成分(B剤)と、エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)を主たる含む成分(A剤)をそれぞれ別体としておき、使用時に両者を所定の割合で混合することにより室温または低い加熱温度での硬化性に優れ、硬化後ゴム弾性体としての物性のバランスと耐久性に優れた二液型の組成物が得られる。これら硬化剤または硬化触媒の配合量については特に範囲を限定するものではなく、硬化性と硬化物の特性のバランスをとって適宜決定される。
本発明においてより好ましい硬化剤または硬化触媒(B)のいま一つは、ジシアンジアミド、N,N−ジメチル尿素誘導体、室温で固体のイミダゾール、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化剤のうち1種類以上の単独または混合物である。固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の例としては、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物(アミン−エポキシアダクト系)やアミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは室温においてはエポキシ基との反応性が低く、加熱によりエポキシ基に対し高い反応性を発現する潜在性硬化剤であるため、組成物を一液性にすることが可能であり、使用前に二液を混合する必要がないためより作業性に優れた組成物が得られる。
これら潜在性硬化促進剤で市販されている製品としては、例えばジシアンジアミド、四国化成工業株式会社製のイミダゾール化合物2PZ、2PHZ、2P4MHZ、C17Z、2MZ−A、2E4MZ−CNS、2MA−OK、味の素ファインテクノ株式会社製アミキュアPN23、PN31、PN40J、PN−H、MY24、MY−H、旭電化株式会社製EH−3293S、EH−3366S、EH−3615S、EH−4070S、EH−4342S、EH−3731S、旭化成ケミカルズ株式会社製ノバキュアHX−3742、HX−3721、富士化成工業株式会社製FXE−1000、FXR−1030、FXR−1080、FXR−1110などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら潜在性硬化剤の配合量については特に範囲を限定するものではなく、硬化温度・硬化速度と硬化物の特性のバランスをとって適宜決定される。硬化促進剤が少ないと硬化が遅く、多すぎると貯蔵安定性が悪くなる。
本発明で用いる硬化性組成物には、本発明の特性を損なわない範囲においてエポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)の他に、分子内にエポキシ基を一つ以上有するエポキシ化合物を添加することができる。具体例としてはビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエステル、及びその誘導体、水添ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環状エポキシ、およびその誘導体、5,5−ジメチルヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、イソブチレンから誘導される置換型エポキシ、エポキシ変性シリコーンオイル、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の分子内にアルコキシシリル基を含む化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
市販されているエポキシ化合物としては例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、カージュラE10P、大日本インキ工業株式会社製のエピクロン830、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820、旭電化工業株式会社製のEP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309、EP49−20、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252、EX111、EX146、EX721、R−45EPT、信越化学工業株式会社製KF−105、X−22−163A、X−22−163C、X−22−173DX、KBM403、KBE402等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いてもよい。
これら添加するエポキシ化合物としてはエポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)と相溶するものが組成物が保存中に分離が発生しないことから好ましい。また柔軟な分子構造を持つものが硬化物の柔軟性を損なわず好ましい。
さらに本発明で用いる硬化性組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において顔料、染料などの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ等の無機充填剤、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、ホウ酸エステル系化合物等のポットライフ延長剤、カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合してもよい。これらの添加により、より樹脂強度・接着強さ・耐久性・作業性等に優れた組成物およびその硬化物が得られる。
本発明で用いる硬化性組成物を、固体高分子電解質膜を挟む一対の反応電極膜−電極接合体(MEA)の一枚または複数枚を、燃料流路を設けた一対のセパレーターで挟持する際に、前記セパレーターの接合面や、反応電極の周辺及びマニホールド部に適用されて密封するためのシール剤として用いた燃料電池は、Oリングを組み込む必要がないので燃料電池全体の薄型化を図ることができ、積層する単セル数を増やすことによって電池容量を増大させることが可能となる。また薄く小型で起電力の高い性能を持つことができ、かつシール剤がゴム弾性を有するため振動に対しても耐性を持ち、自動車等の輸送機器やモバイル機器等、振動負荷がかかる用途の燃料電池としても適している。
〔実施例〕
以下に実施例によって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制約されるものではない。また、下記の表中の配合割合は重量基準である。
実施例に使用した材料は下記の通りである。
・ALBIFLEX296、348:Hanse chemie製、ビスフェノール−ポリシロキサン共重合体
・ALBIFLEX6/917、6/1057:Hanse chemie製、一般式(a)で表されるビスフェノール−ポリシロキサン共重合体
・KBM403:信越化学工業株式会社製 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・デナコールEX146:ナガセケムテックス株式会社製 p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル
・X−22−163A:信越化学工業株式会社製 両末端エポキシ変性シリコーンオイル
・エピクロン835LV:大日本インキ工業株式会社製 ビスフェノール型エポキシ樹脂
・R972:日本アエロジル株式会社製 アエロジル(シリカ)
・TETA:エアープロダクツジャパン株式会社製 トリエチレンテトラミン
・B002:ジャパンエポキシレジン株式会社製 エポメート(脂環式アミン)
・DT200:エアープロダクツジャパン株式会社製 サンマイド(ポリアミドアミン)
・76T:エアープロダクツジャパン株式会社製 サンマイド(ポリアミドアミン)
・X−22−161A:信越化学工業株式会社製 両末端アミノ変性シリコーンオイル
・クリスタライトAA:株式会社瀧森製 シリカ
・FXE−1000:富士化成工業株式会社製 潜在性硬化剤フジキュア
・2MAOK−PW:四国化成工業株式会社製 イミダゾール化合物
・CG1200:エアープロダクツジャパン株式会社製 ジシアンジアミド
〔実施例1〜15および比較例1〜4〕
表1、表2に示す通りの重量比で材料を混合後減圧攪拌し気泡を除去して実施例1〜15及び比較例1の各組成物を得た。また市販のエポキシ変成シリコーン(商品名:ThreeBond3950 株式会社スリーボンド製)、RTVシリコーン(商品名:ThreeBond1220D 株式会社スリーボンド製)、付加硬化型オレフィン樹脂(商品名:ThreeBond1152 株式会社スリーボンド製)を比較例2〜4として下記項目について評価検討を行った。
[硬化性]
2枚のカーボン試験片(25×50×1.0mm)を用い、表面をトルエンで洗浄し乾燥後、各組成物により膜厚が50μmになるように10mmを重ね合わせて貼り合せ、温度25℃・湿度55%RHの室内に放置、または120℃に設定した温風循環式恒温乾燥炉中に一定時間放置し、貼り合せをはがし、その界面が硬化する(界面を指で触れてタックがなくなった状態)までの時間を測定した。
[接着性]
2枚のステンレス(SUS304)試験片(25×100×1.6mm)に組成物を塗布し、10mmを重ね合わせピンチで挟み、表1、表2に示す硬化条件に従って硬化させ接着させた。25℃室中において引張り速度10mm/min.に設定した万能引張り試験機にて引張りせん断接着強さを測定した。
[硬さ]
表1、表2に示す硬化条件に従って2mmの厚さの各組成物シートを作成し、このシートを直径20mmの大きさに打ち抜き、それを3枚重ねたものを25℃の室中にてデュロメーター タイプAにて測定、任意5点測定ピーク値の平均とした。比較例1のみはデュロメーター タイプAの測定範囲を超えるためタイプDで測定した。
[耐熱性]
上記[硬さ]の方法に従って作成した直径20×2mmの試験片3枚を150℃に設定した温風循環式恒温乾燥炉中に300時間放置した後それを3枚重ねたものを25℃の室中にてデュロメーター タイプAにて測定、任意5点測定ピーク値の平均とした。比較例1のみはタイプAの測定範囲を超えるためタイプDで測定した。
[耐水性、耐酸性]
上記[硬さ]の測定方法に従って作成した直径20×2mmの試験片を1リットルの精製水、およびpH=2に調整した硫酸水溶液1リットルにて1時間煮沸した後、速やかに25℃の精製水に10分間浸漬し冷却、取り出し後表面の水滴を布で完全に払拭し直ちに重量を測定した。煮沸前と煮沸浸漬後の重量から重量変化率を求めた。
Figure 2007018977
実施例1〜3からは、ビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)と硬化剤または硬化触媒(B)を配合したA剤・B剤を、使用前に混合することで25℃で48時間以下、または加熱により短時間で速やかに硬化し、柔軟で耐熱性・耐水性・耐酸性に優れた二液型の組成物が得られることがわかる。
また実施例4〜10からは、一般式(a)で表されるビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)を使用すると、特に耐水性・耐酸性に優れる組成物が得られることがわかる。
また実施例6、実施例8〜10からは、さらにエポキシ化合物や無機充填剤を配合しても問題ないことがわかる。
比較例1からは、エポキシ基を有する化合物としてビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)を含まない場合、硬い硬化物となり所望の柔軟性が得られないことがわかる。
比較例2からは、市販のエポキシ変性シリコーンの場合、耐熱性・耐水性・耐酸性に著しく劣ることがわかる。
Figure 2007018977
実施例11からは、ビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)と、硬化剤または硬化触媒(B)として熱潜在性硬化剤を用いることで、25℃で長期間硬化せず貯蔵保管が可能で、加熱により短時間で速やかに硬化し、柔軟で耐熱性・耐水性・耐酸性に優れた一液型の組成物が得られることがわかる。
また実施例12〜15からは、一般式(a)で表されるビスフェノール−ポリシロキサン共重合体(A)を使用すると、特に耐水性・耐酸性に優れる組成物が得られることがわかる。
また実施例14、実施例15からは、さらにエポキシ化合物や無機充填剤を配合しても問題ないことがわかる。
比較例3からは、市販のRTVシリコーンの場合、湿気硬化であるがために25℃55%RHで4日の硬化時間を必要とし、また接着性にも劣ることがわかる。
比較例4からは、市販の付加硬化型オレフィン樹脂の場合、カーボン試験片に触媒が吸着されるため、接着シール面の硬化性が悪く、また、接着性にも劣ることがわかる。
以上のように、本発明は、内部加湿部の水または燃料ガス、酸化ガス、メタノール等の液体燃料、冷却液をシールする材料として耐水性、耐酸性、接着性に優れる等の特徴を有し、高い信頼性を有する高分子型燃料電池を実現することができる。またOリングを組み込む必要がないので燃料電池全体の薄型化を図ることができ、積層する単セル数を増やすことによって電池容量を増大させることが可能となる。また薄く小型で起電力の高い性能を持つことができ、かつゴム弾性を有するため振動に対しても耐性を持ち、自動車等の輸送機器やモバイル機器等、振動負荷がかかる用途の燃料電池としても適している。加えて、本発明で用いる硬化性組成物は機械による自動塗布が可能であり、作業の短縮化、効率化、コストの低減を図ることもできる。

Claims (4)

  1. (A)エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体、および(B)硬化剤または硬化触媒を含有する硬化性組成物からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池用シール剤。
  2. エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体が分子両末端にエポキシ基を有するビスフェノール構造をもつ共重合体である請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用シール剤。
  3. エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体が一般式(a):
    Figure 2007018977
    で示されるブロック共重合体である請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用シール剤。
  4. 固体高分子電解質膜を挟む一対の反応電極膜−電極接合体の一枚または複数枚を、燃料流路を設けた一対のセパレーターで挟持してなる固体高分子型燃料電池において、セパレーターの接合面、反応電極の周辺および/またはマニホールド部が、(A)エポキシ基を有するビスフェノール−ポリシロキサン共重合体、および(B)硬化剤または硬化触媒を必須成分とする硬化性組成物の硬化物でシールされていることを特徴とする燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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