JP2007016853A - 微小孔封止方法、軸受機構、記録ディスク駆動装置および封止剤塗布装置 - Google Patents
微小孔封止方法、軸受機構、記録ディスク駆動装置および封止剤塗布装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】モータの軸受機構においてオイル漏れの原因となる微小貫通孔の封止の信頼性を向上する。
【解決手段】封止剤塗布装置1は、モータのロータハブ311を保持する保持部20、ロータハブ311の微小貫通孔を封止する塗布機構4、並びに、微小貫通孔の封止を検査する検査機構5およびヘリウムリークディテクタ6を備える。塗布機構4にてロータハブ311の上面の第1領域91に封止剤が塗布される際にはヘリウムリークディテクタ6がロータハブ311の下面の第2領域92上の空間である保持部20内を減圧し、これにより、微小貫通孔の封止の信頼性が向上される。また、保持部20内が減圧された状態のまま、ロータハブ311は検査機構5へと移動し、第1領域91側にヘリウムガスが供給されてヘリウムリークディテクタ6により封止の検査が行われる。
【選択図】図1
【解決手段】封止剤塗布装置1は、モータのロータハブ311を保持する保持部20、ロータハブ311の微小貫通孔を封止する塗布機構4、並びに、微小貫通孔の封止を検査する検査機構5およびヘリウムリークディテクタ6を備える。塗布機構4にてロータハブ311の上面の第1領域91に封止剤が塗布される際にはヘリウムリークディテクタ6がロータハブ311の下面の第2領域92上の空間である保持部20内を減圧し、これにより、微小貫通孔の封止の信頼性が向上される。また、保持部20内が減圧された状態のまま、ロータハブ311は検査機構5へと移動し、第1領域91側にヘリウムガスが供給されてヘリウムリークディテクタ6により封止の検査が行われる。
【選択図】図1
Description
本発明は、オイルを利用する軸受機構においてオイルの漏れを防止する技術に関する。
従来より、ハードディスク装置等の記録ディスク駆動装置は、記録ディスクを回転するスピンドルモータ(以下、「モータ」という。)を備えており、モータの軸受機構の1つとして、流体動圧を利用する軸受機構が採用されている。近年、モータの小型化および薄型化が進んでおり、このような流体動圧を利用する軸受機構では、各種部材を極力薄くすることが要求される。このとき、記録ディスク駆動装置の製造コストを抑える観点から、例えば、材料を加工し易くする(すなわち、切削性を上げる)ために柔らかい快削材(例えば、硫黄や鉛等)を含有するステンレス鋼が使用される。
特許文献1では、オイル動圧軸受モータにおいて、快削材である鉛を含有するステンレス鋼からなるディスク保持部材の軸受オイル(以下、「オイル」という。)との接触面に、含有する鉛との接触を阻止するための被膜を形成する技術が開示されている。これにより、快削材とオイルとが接触してオイルの機械的性質の変化してしまうことが防止され、軸受性能が維持される。特許文献2では、動圧軸受部材の製造において、良好な潤滑性を長期にわたって安定的に得るために、シャフトおよびロータハブの下面の動圧面に対応する外表面上に耐油性の潤滑性樹脂を均一な層厚で高精度に形成する技術が開示されている。
特開2002−153015号公報
特開2005−61486号公報
ところで、モータの軸受機構では、軸受機構を貫通する微小孔や微小クラック等の微小貫通孔からオイルが漏洩すると、満足な軸受け性能が得られなくなり、モータの寿命が大幅に短縮される。また、漏洩したオイルがオイルコンタミとなって、微小な間隙で読み書きするハードディスク装置のヘッドをスティックするなどの性能劣化も発生させる。したがって、モータの軸受機構では、オイル漏れは厳密に回避する必要があり、微小貫通孔が生じないように、十分な品質管理と検査が行われている。
一方、微小貫通孔が、上記快削材に起因する場合がある。具体的には、軸受機構の洗浄、表面処理、および、加工の過程において部材から快削材の粒子が脱落して微小な凹状の孔となり、これが連通することにより部材を貫通することがある。特に、部材の肉厚が薄いものでは、この傾向が強くなる。また、溶接部ではクラックが生じ易くなることから、何ら対策を施さなければ部材の薄肉化に一定の限界が生じてしまう。さらに、溶接部のクラック発生により漏れ検査における歩留まりも悪くなり、それに伴って製造コストも増大することとなる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、軸受機構における微小貫通孔(微小クラックを含む。)を高い信頼性にて封止することを目的としており、さらには、封止処理と漏れ検査とを効率よく行うことも目的としている。
請求項1に記載の発明は、オイルを利用する軸受機構において前記オイルと接する部位からの前記オイルの漏れの原因となる微小貫通孔を封止する微小孔封止方法であって、a)軸受機構の一部を有する部材を保持する工程と、b)前記部材上の第1領域に封止剤を塗布する工程と、c)少なくとも前記b)工程以後に、前記部材上の前記第1領域とは反対側の領域であって、前記部材のオイルと接する予定の第2領域上の空間を減圧する工程とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の微小孔封止方法であって、オイル漏れの原因となる前記微小貫通孔が、前記部材に含まれる快削材に起因して薄肉部に生じる微小孔のうち前記部材を貫通するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の微小孔封止方法であって、オイル漏れの原因となる前記微小貫通孔が、前記部材に含まれる溶接箇所において前記部材を貫通するクラックである。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の微小孔封止方法であって、d)前記c)工程以後に、前記第2領域上の前記空間の減圧が維持された状態で、前記第1領域に所定のガスを供給する工程と、e)前記第2領域側において前記所定のガスの検出動作を行う工程とをさらに備える。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の微小孔封止方法であって、前記所定のガスがヘリウムガスであり、前記e)工程における前記部材に対する漏れ検査において、ヘリウムリークレートのしきい値が1.0×10−8[Pa・m3/s]以下に設定される。
請求項6に記載の発明は、オイルを利用する軸受機構において前記オイルと接する部位からの前記オイルの漏れの原因となる微小貫通孔を封止する微小孔封止方法であって、a)軸受機構の一部を有する部材を保持する工程と、b)前記部材に含まれる快削材に起因する微小貫通孔が存在する前記部材の薄肉部上の領域に封止剤を塗布する工程とを備える。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の微小孔封止方法であって、前記部材が、モータにおいて界磁用磁石が取り付けられるロータハブであり、前記ロータハブの中心軸から垂直に広がる円板状の部位の一方の面に前記封止剤が塗布される。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の微小孔封止方法であって、前記円板状の部位の厚さが1mm以下である。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の微小孔封止方法であって、前記封止剤が、硬化性樹脂である。
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の微小孔封止方法であって、前記封止剤が、撥油剤である。
請求項11に記載の発明は、オイルを利用する軸受機構であって、互いに組み合わされることによりオイルを貯留する空間を形成する複数の部材と、前記複数の部材に含まれる一の部材の薄肉部の前記オイルに接する側とは反対側の領域であり、前記一の部材に含まれる快削材に起因して生じる微小貫通孔が存在する領域に塗布された封止剤とを備える。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の軸受機構であって、前記一の部材が、モータにおいて界磁用磁石が取り付けられるロータハブであり、前記ロータハブの中心軸から垂直に広がる円板状の部位が前記薄肉部である。
請求項13に記載の発明は、記録ディスク駆動装置であって、情報を記録する記録ディスクと、請求項11または12に記載の軸受機構を有し、前記記録ディスクを回転するモータと、前記記録ディスクに対する情報の読み出しおよび/または書き込みを行うアクセス部と、前記アクセス部および前記モータを内部に収容するハウジングとを備える。
請求項14に記載の発明は、オイルを利用する軸受機構の一部を有する部材に対して前記オイルと接する部位からの前記オイルの漏れの原因となる微小貫通孔を封止する封止剤を塗布する封止剤塗布装置であって、軸受機構の一部を有する部材を保持する保持部と、前記部材上の第1領域に封止剤を塗布する塗布機構と、少なくとも前記塗布機構による塗布以後に、前記部材上の前記第1領域とは反対側の領域であって、前記部材のオイルと接する予定の第2領域上の空間を減圧する減圧機構とを備える。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の封止剤塗布装置であって、前記第2領域上の前記空間の減圧が維持された状態で、前記第1領域に所定のガスを供給するガス供給部と、前記第2領域側において前記所定のガスの検出動作を行うガス検出器とをさらに備える。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の封止剤塗布装置であって、前記減圧機構が、前記ガス検出器による検出動作の際に、前記第2領域上の前記空間から前記ガス検出器による検出動作のために排気を行う検出用減圧機構と、前記ガス検出器による検出動作の前に、前記第2領域上の前記空間から前記検出用減圧機構を経由することなく排気を行う封止用減圧機構とを備える。
本発明では、オイル漏れの原因となる微小貫通孔の封止の信頼性を向上することができる。
請求項4および15の発明では、封止と検査とを効率よく行うことができ、請求項5の発明では、微小貫通孔を適切に検査することができ、請求項6および11の発明では、部材の薄肉化の結果、快削材により微小貫通孔が生じる可能性がある軸受機構の歩留まりが向上される。
また、請求項7,8および12の発明ではモータのロータハブからのオイル漏れを確実に防止することができ、請求項13の発明ではオイルコンタミによる記録ディスク駆動装置の性能低下を防止することができる。
請求項9の発明では、容易かつ確実に微小貫通孔を封止することができ、請求項10の発明では、安価かつ容易に入手可能な撥油剤を用いることにより、封止に要するコストを削減することができる。さらに、請求項16の発明では、検出用減圧機構が封止剤からの揮発成分等で汚染されることを防止することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る封止剤塗布装置1の構成を示す図である。封止剤塗布装置1は、記録ディスク駆動装置用のモータの部品であるロータハブ311に封止剤を塗布してオイル漏れの原因となる微小貫通孔を封止する装置である。
封止剤塗布装置1では、ベース部11上に保持部移動機構2が設けられ、ロータハブ311を保持する保持部20が保持部移動機構2により図1中に示すY方向に移動可能とされる。ベース部11には図示省略の支持部材が固定され、支持部材には図1中に示すZ方向に移動可能な塗布機構4、および、検査機構5が取り付けられる。さらに、ベース部11には、減圧機構、および、漏れ検査においてガスの検出動作を行うガス検出器を内部に備えるヘリウムリークディテクタ6が取り付けられる。
なお、図1ではロータハブ311を大きく描いており、実際にはロータハブ311は保持部移動機構2およびヘリウムリークディテクタ6に対して十分に小さい。また、多数のロータハブ311に同時に処理が行われる場合は、複数の保持部20が水平方向に連結して設けられ、これに合わせて複数の塗布機構4および複数の検査機構5がそれぞれ水平方向に連結して設けられる。
保持部移動機構2では、モータ21にボールねじ22が接続され、さらに、保持部20に固定されたナット23がボールねじ22に取り付けられる。ボールねじ22の上方にはガイドレール24が固定され、モータ21が回転すると、ナット23とともに保持部20がガイドレール24に沿って塗布機構4と検査機構5との間でY方向に滑らかに移動する。
保持部20は、略円筒状の治具202を備え、治具202の上端面に形成されたリング状の溝内にはOリング203が配置される。ロータハブ311は、このOリング203を介して治具202上に載置される。さらに、治具202(すなわち、保持部20)は、柔軟に変形自在な配管201によりヘリウムリークディテクタ6に接続される。
塗布機構4は、ロータハブ311(+Z)側の主面(以下、「上面」ともいう。)に当接する(正確にはOリングを介して当接する)円筒状の当接部材41、ロータハブ311の上面に向けて封止剤40を噴霧する噴霧器421、噴霧器421が取り付けられる噴霧器支持部材42、および、上部支持部材43を備え、締め付けねじを介して噴霧器支持部材42および当接部材41が上部支持部材43に取り付けられる。噴霧器421は図示省略の駆動装置により鉛直方向を向く中心軸J1を中心として回転可能とされる。噴霧器421には、封止剤を供給する供給管45が取り付けられ、供給管45は封止剤供給部46に接続される。
円筒状の当接部材41の下端面(すなわち、当接面)には、Oリング411が配置される。これにより、塗布機構4が下降するとOリング411によりロータハブ311の上面の一部、当接部材41および噴霧器支持部材42により形成される空間が密閉されて外部から隔離される。同時に、治具202上に配置されるOリング203により、ロータハブ311の下面の一部および治具202により形成される空間も密閉されて外部から隔離される。
検査機構5は、塗布機構4と同様にロータハブ311の上面にOリング511を介して当接する円筒状の当接部材51を備え、当接部材51の上面にはOリング522を介してランプ保持部材52が設けられる。ランプ保持部材52の上側には上部支持部材53が設けられ、締め付けねじを介してランプ保持部材52および当接部材51が上部支持部材53に取り付けられる。
当接部材51は、排気部54a、および、ヘリウムガス供給部54bに接続される。ランプ保持部材52には、塗布機構4にて塗布された封止剤40である硬化性樹脂に紫外線を照射する紫外線ランプ521が取り付けられ、紫外線ランプ521は照射制御部55に接続される。
図2は、検査機構5とヘリウムリークディテクタ6とを示す図である。ヘリウムリークディテクタ6は、ロータハブ311、治具202およびOリング203により形成される空間を減圧する減圧機構であるターボ分子ポンプ61およびロータリポンプ62がそれぞれバルブ611およびバルブ621を介して配管201から連続する主管60に接続され、漏れ検査の校正を行う校正リーク65、テストポートベントバルブ651、および、減圧時の圧力を監視するためのピラニ真空計64も主管60に接続される。ターボ分子ポンプ61には排気用のベントバルブ612が接続され、ガス検出器であるヘリウム分析管63にも接続される。ロータリポンプ62もベントバルブ622に接続される。さらに、ターボ分子ポンプ61は、フォアバルブ613を介してロータリポンプ62に接続される。なお、図1では検査機構5が上昇した状態を示しており、図2では検査機構5が下降してロータハブ311に当接する検査時の状態を示している。
次に、封止剤塗布装置1により微小孔封止処理が行われるロータハブ311について説明する。図3は、ロータハブ311を有するモータ3の縦断面図であり、モータ3は記録ディスク82の駆動に使用される。モータ3では、ロータハブ311が軸受機構の一部を有し、ロータハブ311を含む複数の部材が互いに組み合わされることにより、オイルを貯留する空間が形成される。モータ3は、回転組立体であるロータ部31、および、固定組立体であるステータ部32を備える。ロータ部31は、作動流体であるオイルによる流体動圧を利用した軸受機構を介して、モータの中心軸J2を中心にステータ部32に対して回転可能に支持される。以下の説明では、便宜上、中心軸J2に沿ってロータ部31側を上側、ステータ部32側を下側として説明する。
ロータ部31は、ロータ部31の各構成を保持するロータハブ311、ロータ部31のステータ部32からの分離を防止する略円筒状の抜止部材33、および、ロータハブ311に取り付けられて中心軸J2の周囲に配置される界磁用磁石34を備える。ロータハブ311は、中心軸J2を中心とする略円筒状であって下側に突出するシャフト3111、シャフト3111の上端部に接続され中心軸J2から垂直に広がる略円板状の円板部3112、および、円板部3112の外周から下側に突出する略円筒状の円筒部3113を備え、円筒部3113の内側面に多極着磁された円環状の磁石である界磁用磁石34が取り付けられる。さらに、ロータハブ311は円筒部3113の外周面に外側に突出するディスク載置部3114を備え、ディスク載置部3114には、記録ディスク82が載置されて図示省略のクランパによりロータ部31に固定される。
シャフト3111の内部には中心軸J2に沿って貫通する貫通穴3110が形成されており、貫通穴3110の下部は、略球状のゴム製の封止部材35と接着剤351とで封止される。その結果、モータ3の内部のオイルや他の物質が、清浄に保たれるべき記録ディスク82側の空間へと侵入することが防止される。
ステータ部32は、ステータ部32の各構成を保持するベースプレート321、ロータ部31のシャフト3111がオイルを介して挿入されるとともにロータ部31を回転可能に支持する軸受機構の一部である略円筒状のスリーブ322、および、スリーブ322の周囲にてベースプレート321に取り付けられる電機子324を備える。電機子324は、シャフト3111の周囲に配置された界磁用磁石34との間でシャフト3111(すなわち、中心軸J2)を中心とする回転力(トルク)を発生する。
スリーブ322の下部は、ベースプレート321の略中央部に形成された開口に取り付けられ、上部には中心軸J2に対して外側に突出するフランジ部3221が一体的に形成される。フランジ部3221および抜止部材33が、ロータ部31の抜け止めとなっている。スリーブ322の下端側の開口は、略円板状のシールキャップ323により閉塞される。
モータ3では、シャフト3111の先端とシールキャップ323との間、シャフト3111の外側面とスリーブ322の内側面との間、スリーブ322の上端面とロータハブ311の円板部3112との間、および、フランジ部3221と抜止部材33との間には連続してオイルが充填されている。スリーブ322の上側の端面には、ロータ部31の回転時にオイルに対して中心軸J2側に向かう圧力を発生させるための溝(例えば、スパイラル状の溝)が形成されており、スリーブ322の上側の端面とロータハブ311の円板部3112の下面との間にスラスト動圧軸受部が構成される。また、スリーブ322内側面とシャフト3111の外側面とには、オイルに流体動圧を発生させるための溝(例えば、中心軸J2の向く方向に関して、スリーブ322の内側面の上下に設けられたヘリングボーン溝など)が形成され、スリーブ322の内側面とシャフト3111の外側面との間にラジアル動圧軸受部が構成される。
このように、モータ3ではいわゆるフルフィル構造の軸受機構が構成され、ロータ部31の回転時には、オイルによる流体動圧を利用してロータ部31が支持される。そして、ロータ部31が中心軸J2を中心としてステータ部32に対して回転することにより、ロータ部31に取り付けられる記録ディスク82が回転する。
ここで、封止剤塗布装置1にて封止剤が塗布されるロータハブ311に注目すると、ロータハブ311は、快削材を含有するステンレス鋼を切削することにより一体的に形成され、快削材は、材料の圧延方向に平行な細長い形状として存在し、ロータハブ311の場合、中心軸J2方向に細長い形状として快削材が介在する。図4は、快削材の形状を例示する図であり、1つの快削材の長さをL、直径をDにて示している。図5および図6は、快削材の長さL、および、直径Dの分布を示す図である。図5に示すように、快削材の長さLは、数十μm程度のものから、100μm程度のものまである。また、図6に示すように、快削材の直径Dは、5μmないし7.5μm程度のものが最も多く確認される。
モータの小型薄型化の要望から、オイルと接する予定の円板部3112の厚さを薄くしてロータハブ311が製造され、最薄部の厚さが1mm以下(例えば、0.3mm)とされることがある。このようなロータハブ311において快削材が確率的に重なった場合、快削材の脱落等により薄肉部である円板部3112に生じる微小孔のうち円板部3112の表裏を貫通して、オイル漏れの原因となる微小貫通孔が生じてしまうことがある。そして、既述のように、円板部3112の下面がオイルと接する軸受機構の一部となっていることから、この円板部3112に万一快削材に起因する微小貫通孔が存在したとしてもオイルの漏れを防止するために、封止剤塗布装置1により円板部3112の上面に封止剤が塗布される。
図7は、封止剤塗布装置1の動作の流れを示す図である。なお、封止剤塗布装置1では封止処理に対する漏れ検査も行われる。以下の説明において、ロータハブ311の円板部3112の上面において、封止剤が塗布される領域(図2の中心軸J2に近い領域)を第1領域91(図1および図2参照)と呼び、第1領域91とは反対側の領域であって、ロータハブ311の円板部3112の下面において、オイルと接する予定の領域を第2領域92と呼ぶ。
まず、図1に示す保持部移動機構2が制御され、保持部20が塗布位置(すなわち、塗布機構4の下側の位置)まで移動し、ロータハブ311がOリング203を介して治具202上に載置されるようにして保持される(ステップS11)。次に、塗布機構4が図示省略の昇降機構により(−Z)方向に移動してロータハブ311の上面に当接する(ステップS12)。これにより、円板部3112の上面、当接部材41、Oリング411および噴霧器支持部材42により形成される(ロータハブ311の上面の)第1領域91上の空間が外気から隔離され、円板部3112の下面、Oリング203および治具202により形成される(ロータハブ311の下面の)第2領域92上(第2領域92の下側)の空間が外気から隔離される。
塗布機構4がロータハブ311に当接すると、快削材に起因する微小貫通孔が存在する(または存在する可能性がある)ロータハブ311の薄肉部上の第1領域91に、噴霧器421により封止剤が塗布される(ステップS13)。このとき、噴霧器421が中心軸J1を中心に回転するとともに、封止剤供給部46から供給される封止剤を噴霧することにより、第1領域91上に均一な膜厚で封止剤が塗布される。
そして、封止剤の塗布と同時に、図2に示すヘリウムリークディテクタ6のバルブ621が開かれて、ロータリポンプ62によりロータハブ311の第2領域92上の空間が減圧される(ステップS14)。なお、減圧の開始は塗布開始前であっても塗布開始後であってもよく、少なくとも塗布工程以後の期間を含む所定期間の間、減圧が行われる。さらにバルブ611が開かれ、ターボ分子ポンプ61により第2領域上の空間が高真空まで減圧(いわゆる、真空引き)される。なお、バルブ611に変えてフォアバルブ613が開かれてもよい。第2領域92上の空間が減圧されることにより、第1領域91上の空間と第2領域92上の空間との差圧で液状の紫外線硬化性樹脂を含む封止剤40を微小貫通孔に確実に浸入させる(入り込ませる)ことが実現される。なお、微小貫通孔に確実に封止剤40を浸入させる目安として、モータ使用時にオイルにより第1領域91と第2領域92との間に生じる差圧よりも高い差圧がステップS14にて与えられることが好ましい。また、図2ではシャフト3111の内部が封止部材35で閉塞されるが、封止部材35がまだ取り付けられていない場合は、事前に仮封止が行われる。
封止剤の塗布が完了すると、塗布機構4が図1中に示す(+Z)方向に移動して、ロータハブ311から離れる(ステップS15)。このとき、第2領域92上の空間は密閉されていることから、減圧状態が維持される。そして、第2領域上の空間の減圧が維持された状態で、保持部移動機構2によりロータハブ311が保持部20と共に検査位置(検査機構5の下側の位置であって、図1中の二点鎖線で示す位置)まで移動する(ステップS21)。ロータハブ311が検査位置まで移動すると、検査機構5が図示省略の昇降機構により(−Z)方向に移動して、図2に示すように、Oリング511を介してロータハブ311の上面に当接し、当接部材51、ランプ保持部材52、Oリング511,522およびロータハブ311の上面により形成される空間50が外気から隔離される(ステップS22)。
その後、照射制御部55の制御により、ロータハブ311の第1領域91上に塗布された直後の封止剤40に紫外線ランプ521から紫外線が照射される(ステップS23)。封止剤40は嫌気硬化性および紫外線硬化性を有し、微小貫通孔に浸入することによりある程度硬化が進行しているが、紫外線ランプ521からの紫外線を受けて確実に硬化する。
硬化処理が完了すると、続いて、ヘリウムリークディテクタ6を用いる漏れ検査が行われる。漏れ検査では、まず、漏れ検査の精度、および、漏れ応答性を上げるため、排気部54aにより空間50内の空気が排出され、ヘリウムガス供給部54bからヘリウムガスが空間50に供給される(ステップS24)。このとき、ロータハブ311の第2領域92上の空間は減圧状態が維持されたままとなっていることから、万一、第1領域91上の封止処理が不完全である場合、ヘリウムガスは第2領域92上の空間へと進入し、図2に示すヘリウム分析管63により第2領域92側におけるヘリウムガスが検出されることとなる(ステップS25)。漏れ検査により、封止処理が不完全なロータハブ311が下流の工程へと導かれることが防止され、その結果、最終完成品であるモータ3の軸受機構の信頼性を向上することが実現される。
なお、封止剤塗布装置1では、漏れ検査により、図3に示すロータハブ311の貫通穴3110における封止部材35と接着剤351とによる封止に対する漏れ検査も併せて行われることとなる。以上の漏れ検査の完了により、封止剤塗布装置1における一連の微小孔封止処理が終了する。
次に、ヘリウムを利用した漏れ検査(いわゆる、ヘリウムリークテスト)における良品判定基準について説明する。図8は、ロータハブのヘリウムリークレートと別途行われた実験により得られたオイルリーク量との相関関係を示す図である。なお、図3のグラフの右下のボックスに記載された印と圧力との関係はオイルの漏れ試験においてオイルに付与された圧力を示している。オイルとしては、基油が、エステル系、ジエステル系、ポリαオレフィン系、または、その他スピンドルモータに適するオイル基油、比重が、約0.9(約0.85〜0.93)[g/cm3]、動粘度が、約15(約10〜25)[mm2/s]、表面張力が、約30(約25〜40)[mN/m]のものが用いられ、ヘリウムの比重は1.38×10−4、粘度は19.6×10−6[Pa・s]となっている。また、実際に使用された試験片は、直径15mmの円柱部材の中央に直径6mmの円柱状の凹部を形成したものであり、凹部の底部の厚さ(直径15mmの円柱の底面と凹部の底面との間の距離)は0.3〜0.5mmとなっている。図8に示すように、ヘリウムリークレートとオイルリーク量とは正比例に近い相関関係にあり、ヘリウムリークレートが高いほど微小貫通孔からのオイルリーク量が多くなる。しかしながら、ヘリウムリークレートが1.0×10−7[Pa・m3/s]付近よりも小さい場合は、オイル漏れがなくなる。したがって、微小貫通孔を適切に検査してオイル漏れを回避するためには、余裕を考慮した漏れ検査の良品判定基準として、ヘリウムリークレートのしきい値が1.0×10−8[Pa・m3/s]以下に設定されることが好ましい。もちろん、しきい値を余り低く設定すると歩留まりが不必要に低下してしまうため、実際には、しきい値は1.0×10−8[Pa・m3/s]を大きく下回らない値(例えば、0.5×10−8[Pa・m3/s]以上)に設定される。
図9は、微小貫通孔の径とヘリウムリークレートとの関係を示す図である。数値は、微小貫通孔の形状を円管と仮定した場合における計算値を示す。図9に示すように、ヘリウムリークレートを1.0×10−8[Pa・m3/s]に設定したときの微小貫通孔の径の計算値は、およそ0.7μmとなり、これに基づいて、微小貫通孔内に浸入させる封止剤40の材料および成分の配合等が調整される。
以上のように、封止剤塗布装置1では、快削材に起因してロータハブ311上に生じている多数の凹状の微小孔のうち、一部がオイル漏れの原因となる微小貫通孔となっていても、このような微小貫通孔の封止と漏れ検査とを効率よく行うことができ、微小貫通孔の封止の信頼性、および、快削材により微小貫通孔が生じる可能性がある軸受機構の歩留まりを向上することができる。さらに、ロータハブ311の微小貫通孔からのオイル漏れを確実に防止することにより、モータの寿命短縮を抑制することができる。特に、上記手法にて封止が行われた軸受機構を有するモータが、ハードディスク装置等の記録ディスク駆動装置に利用されることにより、オイルコンタミによる記録ディスク駆動装置の性能低下を防止することができる。
なお、上記実施の形態では、封止剤40として嫌気硬化性を有する紫外線硬化性樹脂を含むものを用いることにより、容易かつ確実に微小貫通孔を封止することができるが、封止剤40に含まれる硬化性樹脂は、紫外線硬化樹脂に代えて、熱硬化性樹脂であってもよく、この場合、図1に示すランプ保持部材52には、紫外線ランプ521に代えて熱硬化性樹脂を硬化させるための赤外線ランプが取り付けられる。
また、硬化性樹脂以外の特に好ましい他の封止剤として、撥油剤を挙げることができる。撥油剤には、例えば、フッ素樹脂を溶剤で溶かしたもの等があり、モータの製造にて多用され、安価かつ容易に入手可能な撥油剤を用いることにより、封止およびモータの製造に要するコストを削減することができる。さらに、他に好ましい封止剤としては、いわゆる接着剤が用いられてもよい。硬化させる手法も、加圧による硬化や自然硬化等が利用されてもよい。オイルが浸入する微小貫通孔に封止剤を確実に浸入させるという観点からは、少なくとも封止剤の表面張力が軸受機構に使用されるオイルの表面張力以下とされることが好ましい。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る封止剤塗布装置について説明を行う。本実施の形態では、図10に示すように保持部20とヘリウムリークディテクタ6との間にて主管60が分岐し、バルブ661を介して治具202内(すなわち、ロータハブ311の第2領域92上の空間)を減圧する減圧機構である封止用ロータリポンプ66に分岐管が接続される。封止用ロータリポンプ66はベントバルブ662に接続され、主管60の分岐点とヘリウムリークディテクタ6との間にはバルブ600が設けられる。封止剤塗布装置のその他の構成は図1および図2と同様である。
第2の実施の形態に係る封止剤塗布装置の動作の流れは図7と同様であるが、塗布機構4がロータハブ311に当接して封止剤が塗布される際に(図7:ステップS13)、バルブ600が閉じられたままバルブ661が開放され、封止用ロータリポンプ66により第2領域92上の空間が減圧される(ステップS14)。その後、第1の実施の形態と同様に保持部20が検査機構5へと移動して封止剤40の硬化処理が行われ、漏れ検査が行われる(ステップS21〜S25)。このとき、予めヘリウムリークディテクタ6のロータリポンプ62を駆動しつつ封止用ロータリポンプ66のバルブ661を閉じてバルブ600を開放し、その後、ターボ分子ポンプ61により第2領域92上の空間が真空引きされてヘリウムリークディテクタ6による漏れ検査が行われる。
第2の実施の形態に係る封止剤塗布装置では、封止専用の減圧機構である封止用ロータリポンプ66が設けられることにより、実質的に第1の実施の形態に係る封止剤塗布装置1の減圧機構が、ヘリウムガスの検出動作の際に第2領域92上の空間からヘリウム分析管63による検出動作を行うための排気を行う検出用減圧機構(ロータリポンプ62およびターボ分子ポンプ61)、並びに、ヘリウムガスの検出動作の前に第2領域92上の空間から検出用減圧機構を経由することなく排気を行う封止用減圧機構(封止用ロータリポンプ66)に分けられることとなる。これにより、ヘリウムリークディテクタ6の内部のポンプやヘリウム分析管63が封止剤の揮発成分等で汚染されるのを防止することができる。また、第1の実施の形態と同様に、漏れ検査時にロータハブ311の第2領域92上の空間がロータリポンプ62により既に排気されているため、ヘリウムリークディテクタ6による減圧時間がほとんど増加することはなく、封止処理から速やかに漏れ検査へと移行することができる。
上記第1および第2の実施の形態では、封止剤塗布装置により快削材に起因するロータハブ311の微小貫通孔の封止について説明したが、封止剤塗布装置は、オイルを利用する軸受機構の一部を有する様々な部品においてオイルと接する部位からのオイルの漏れの原因となる微小貫通孔の封止に利用することができる。例えば、快削性ステンレス鋼はロータハブ以外にスリーブ、焼結スリーブを保持するスリーブハウジング、スリーブの底板となるスラストブッシュ(または、カウンタープレート)に利用されている。さらに、軸受機構では様々な箇所において溶接が利用され、溶接により生じる微小クラック(以下、「溶接クラック」という。)の封止にも封止剤塗布装置は適している。
例えば、図3に示すような、ロータハブ311の円板部3112の下面と抜止部材33との接合箇所では溶接が適用され、溶接箇所において快削材の性質に起因して溶接性が悪化することによる溶接クラックが生じ易くなっている。そして、溶接クラックの一部が溶接箇所を貫通して微小貫通孔となることがある。このような微小貫通孔に封止剤を塗布する場合は、封止剤塗布装置では図11に示すようにロータハブ311を含む軸受機構30を組み立てた状態(オイルは未充填とされる。)で抜止部材33の根本に接する略有底円筒状を有する治具202が用いられる。そして、治具202内が減圧されて治具202の外側かつ溶接箇所70の斜め下方から封止剤が噴霧されることにより、封止剤を確実に溶接クラック(特に微小貫通孔)に浸入させることができる。なお、上記処理では、溶接箇所が第1の実施の形態における第1領域91に対応し、抜止部材33の内側(第1領域とは反対側)の領域が第1の実施の形態における第2領域92に対応する。
また、ロータハブ311および軸受機構は保持部20に保持されて抜止部材33の内側の領域が減圧されたまま検査機構5へと移送され、検査機構5にて紫外線により硬化処理が行われた後、治具202の周囲がヘリウム雰囲気とされることにより、ヘリウムリークディテクタ6によるガスの検出動作が行われる。以上の動作により、ロータハブ311(と抜止部材33との間)からのオイル漏れを確実に防止するとともに万一封止が不完全に行われてしまった場合に対する検査も適切に行うことができる。
図12は、溶接クラックに起因する微小貫通孔におけるヘリウムリークレートとオイルリーク量との相関関係、および、図8で示す快削材の脱落に起因する微小貫通孔におけるヘリウムリークレートとオイルリーク量との相関関係を重ねて示す図である。図12では、溶接クラックに起因する微小貫通孔におけるオイル漏れの有無の限界域についてのデータはないが、溶接クラックに起因する微小貫通孔と快削材の脱落に起因する微小貫通孔とは同様の傾向を示していることがわかる。したがって、溶接クラックに起因する微小貫通孔に対しても快削材の脱落に起因する微小貫通孔に関して得たヘリウムリークレートとオイルリーク量との相関関係が適用できると推定される。
すなわち、溶接クラックに起因する微小貫通孔の封止に対する検査に際しても、良品判定基準としてヘリウムリークレートが1.0×10−8[Pa・m3/s]以下に設定されることが好ましいといえる。
図13.A、図13.B、図13.Cおよび図13.Dは、軸受機構に溶接が用いられるモータの様々な例を示す図である。なお、図13.Aないし図13.Dでは平行斜線を付すことなくモータの断面を示している。図13.Aに示すモータの場合、ロータハブ311とスリーブ322の上下に位置するキャップ71との間の部分が溶接箇所70とされる。図13.Bに示すモータの場合、スリーブ322の下部とスラストブッシュ72(または、カウンタープレート)との間が溶接箇所70とされる。図13.Cに示すモータの場合、スリーブ322を保持するスリーブホルダ73とスリーブホルダ73の下部を塞ぐキャップ74(または、カウンタープレート)との間が溶接箇所70とされる。図13.Dに示すモータの場合は、図3と同様に、ロータハブ311と抜止部材33との間が溶接箇所70とされる。
以上のように、軸受機構の一部を有する溶接後の部材に含まれる溶接箇所において、この部材を貫通するクラックである微小貫通孔が存在する可能性がある場合に、部材上の溶接箇所(オイルと接する側とは反対側の部位)である第1領域に封止剤を塗布し、第1領域とは反対側であってオイルと接する予定の第2領域上の空間を減圧することにより、高い信頼性にて微小貫通孔を封止することができる。もちろん、図13.Aないし図13.Dにて示す溶接箇所70に封止剤の塗布が行われる場合には、上記第2領域上を減圧するために治具202の形状が適宜修正される。
以上に説明した封止技術により、オイルを利用する軸受機構においてオイルと接する部位からのオイル漏れの原因となる微小貫通孔を的確に封止することができ、封止処理の対象は、軸受機構の一部を有する様々な部材、特に、快削材や溶接により微小貫通孔が生じやすい薄肉部(薄肉と同等の浅い溶接部を含む。)を有する様々な部材に封止剤塗布装置の利用範囲を拡大することができる。これにより薄型モータの製造を容易に行うことができ、材料の削減や軸受機構の信頼性の向上によりモータの製造コストを低減することができる。
既述のように、上記封止技術が利用される軸受機構を有するモータは、オイルコンタミが問題となる記録ディスク駆動装置に特に適している。図14は、モータ3を備える記録ディスク駆動装置8の内部構成を示す図である。記録ディスク駆動装置8は、情報を記録する円板状の記録ディスク82、記録ディスク82に対する情報の読み出しおよび(または)書き込みを行うアクセス部83、記録ディスク82を保持して回転する電動式のモータ3、並びに、モータ3、記録ディスク82、アクセス部83等を内部空間810に収容して外部から隔離するハウジング81を備える。
モータ3の内部には上記封止技術が利用された軸受機構30、具体的には、図3に示すロータハブ311の円板部3112、スリーブ322、シャフト3111、シールキャップ323等が互いに組み合われることによりオイルを貯留する空間を内部に有する軸受機構30が設けられる。
ハウジング81は、内底面にアクセス部83が取り付けられる略直方体状の無蓋の第1ハウジング部材811、および、第1ハウジング部材811の開口を覆うことにより内部空間810を形成する蓋状の第2ハウジング部材812を備える。第1ハウジング部材811および第2ハウジング部材812はアルミニウム(Al)により形成される。記録ディスク駆動装置8では、減圧環境下において第1ハウジング部材811に第2ハウジング部材812が接合されてハウジング81が形成され、密閉された内部空間810は塵や埃が極度に少ない清浄な空間とされる。
アクセス部83は、記録ディスク82に近接して情報の読み出しおよび/または書き込みを磁気的に行うヘッド831、ヘッド831を支持するアーム832、並びに、アーム832を移動させることによりヘッド831と記録ディスク82との相対的位置を変更するヘッド移動機構833を備える。これらの構成により、ヘッド831は回転する記録ディスク82に近接した状態で記録ディスク82の所要の位置にアクセスし、情報の読み出しおよび書き込みを行う。
なお、モータ3を利用する記録ディスク駆動装置としては、記録ディスクが着脱可能とされるものであってもよい。また、実際には、第1ハウジング部材811の一部とモータ3のベースとなる部材(図3のベースプレート321)とが一体的なものとされる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、封止剤40の塗布は、封止剤40の滴下や接触式の塗布機構により行われてもよく、漏れ検査に使用されるガスはヘリウム以外であってもよい。また、封止剤塗布装置1では、塗布機構4および検査機構5が別体で構成されるが、検査機構内に塗布機構が配置されてもよい。
毛細管現象にて十分に封止剤40が微小貫通孔に入り込む場合は、塗布時の真空引きは行われなくてもよい。特に撥油剤を用いる場合は、オイル圧にもよるが真空引きをしなくてもオイル漏れを防止できる程度に塗布をすることができる。
なお、微小貫通孔を封止する技術は、モータの軸受機構にてオイルと接する部品のみならず、他の装置のオイルを利用する軸受機構の部品に生じる微小貫通孔の封止に応用することができる。
1 封止剤塗布装置
3 モータ
4 塗布機構
5 検査機構
20 保持部
30 軸受機構
33 抜止部材
34 界磁用磁石
40 封止剤
55 ヘリウムガス供給部
61 ロータリポンプ
62 ターボ分子ポンプ
63 ヘリウム分析管
66 封止用ロータリポンプ
81 ハウジング
82 記録ディスク
83 アクセス部
91 第1領域
92 第2領域
202 治具
311 ロータハブ
322 スリーブ
323 シールキャップ
3111 シャフト
3112 円板部
S11,S13,S14,S24,S25 ステップ
3 モータ
4 塗布機構
5 検査機構
20 保持部
30 軸受機構
33 抜止部材
34 界磁用磁石
40 封止剤
55 ヘリウムガス供給部
61 ロータリポンプ
62 ターボ分子ポンプ
63 ヘリウム分析管
66 封止用ロータリポンプ
81 ハウジング
82 記録ディスク
83 アクセス部
91 第1領域
92 第2領域
202 治具
311 ロータハブ
322 スリーブ
323 シールキャップ
3111 シャフト
3112 円板部
S11,S13,S14,S24,S25 ステップ
Claims (16)
- オイルを利用する軸受機構において前記オイルと接する部位からの前記オイルの漏れの原因となる微小貫通孔を封止する微小孔封止方法であって、
a)軸受機構の一部を有する部材を保持する工程と、
b)前記部材上の第1領域に封止剤を塗布する工程と、
c)少なくとも前記b)工程以後に、前記部材上の前記第1領域とは反対側の領域であって、前記部材のオイルと接する予定の第2領域上の空間を減圧する工程と、
を備えることを特徴とする微小孔封止方法。 - 請求項1に記載の微小孔封止方法であって、
オイル漏れの原因となる前記微小貫通孔が、前記部材に含まれる快削材に起因して薄肉部に生じる微小孔のうち前記部材を貫通するものであることを特徴とする微小孔封止方法。 - 請求項1に記載の微小孔封止方法であって、
オイル漏れの原因となる前記微小貫通孔が、前記部材に含まれる溶接箇所において前記部材を貫通するクラックであることを特徴とする微小孔封止方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の微小孔封止方法であって、
d)前記c)工程以後に、前記第2領域上の前記空間の減圧が維持された状態で、前記第1領域に所定のガスを供給する工程と、
e)前記第2領域側において前記所定のガスの検出動作を行う工程と、
をさらに備えることを特徴とする微小孔封止方法。 - 請求項4に記載の微小孔封止方法であって、前記所定のガスがヘリウムガスであり、
前記e)工程における前記部材に対する漏れ検査において、ヘリウムリークレートのしきい値が1.0×10−8[Pa・m3/s]以下に設定されることを特徴とする微小孔封止方法。 - オイルを利用する軸受機構において前記オイルと接する部位からの前記オイルの漏れの原因となる微小貫通孔を封止する微小孔封止方法であって、
a)軸受機構の一部を有する部材を保持する工程と、
b)前記部材に含まれる快削材に起因する微小貫通孔が存在する前記部材の薄肉部上の領域に封止剤を塗布する工程と、
を備えることを特徴とする微小孔封止方法。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の微小孔封止方法であって、
前記部材が、モータにおいて界磁用磁石が取り付けられるロータハブであり、
前記ロータハブの中心軸から垂直に広がる円板状の部位の一方の面に前記封止剤が塗布されることを特徴とする微小孔封止方法。 - 請求項7に記載の微小孔封止方法であって、
前記円板状の部位の厚さが1mm以下であることを特徴とする微小孔封止方法。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の微小孔封止方法であって、
前記封止剤が、硬化性樹脂であることを特徴とする微小孔封止方法。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の微小孔封止方法であって、
前記封止剤が、撥油剤であることを特徴とする微小孔封止方法。 - オイルを利用する軸受機構であって、
互いに組み合わされることによりオイルを貯留する空間を形成する複数の部材と、
前記複数の部材に含まれる一の部材の薄肉部の前記オイルに接する側とは反対側の領域であり、前記一の部材に含まれる快削材に起因して生じる微小貫通孔が存在する領域に塗布された封止剤と、
を備えることを特徴とする軸受機構。 - 請求項11に記載の軸受機構であって、
前記一の部材が、モータにおいて界磁用磁石が取り付けられるロータハブであり、
前記ロータハブの中心軸から垂直に広がる円板状の部位が前記薄肉部であることを特徴とする軸受機構。 - 記録ディスク駆動装置であって、
情報を記録する記録ディスクと、
請求項11または12に記載の軸受機構を有し、前記記録ディスクを回転するモータと、
前記記録ディスクに対する情報の読み出しおよび/または書き込みを行うアクセス部と、
前記アクセス部および前記モータを内部に収容するハウジングと、
を備えることを特徴とする記録ディスク駆動装置。 - オイルを利用する軸受機構の一部を有する部材に対して前記オイルと接する部位からの前記オイルの漏れの原因となる微小貫通孔を封止する封止剤を塗布する封止剤塗布装置であって、
軸受機構の一部を有する部材を保持する保持部と、
前記部材上の第1領域に封止剤を塗布する塗布機構と、
少なくとも前記塗布機構による塗布以後に、前記部材上の前記第1領域とは反対側の領域であって、前記部材のオイルと接する予定の第2領域上の空間を減圧する減圧機構と、
を備えることを特徴とする封止剤塗布装置。 - 請求項14に記載の封止剤塗布装置であって、
前記第2領域上の前記空間の減圧が維持された状態で、前記第1領域に所定のガスを供給するガス供給部と、
前記第2領域側において前記所定のガスの検出動作を行うガス検出器と、
をさらに備えることを特徴とする封止剤塗布装置。 - 請求項15に記載の封止剤塗布装置であって、
前記減圧機構が、
前記ガス検出器による検出動作の際に、前記第2領域上の前記空間から前記ガス検出器による検出動作のために排気を行う検出用減圧機構と、
前記ガス検出器による検出動作の前に、前記第2領域上の前記空間から前記検出用減圧機構を経由することなく排気を行う封止用減圧機構と、
を備えることを特徴とする封止剤塗布装置。
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Cited By (2)
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CN106438726A (zh) * | 2016-09-28 | 2017-02-22 | 重庆圣巴巴拉实业有限公司 | 能对轴承冷却的回转弯曲试验机轮毂夹紧装置 |
JP2017163695A (ja) * | 2016-03-09 | 2017-09-14 | アスモ株式会社 | モータ及びモータの製造方法 |
-
2005
- 2005-07-06 JP JP2005197735A patent/JP2007016853A/ja not_active Withdrawn
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JP2017163695A (ja) * | 2016-03-09 | 2017-09-14 | アスモ株式会社 | モータ及びモータの製造方法 |
CN106438726A (zh) * | 2016-09-28 | 2017-02-22 | 重庆圣巴巴拉实业有限公司 | 能对轴承冷却的回转弯曲试验机轮毂夹紧装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20081007 |