JP2007010586A - 赤外反射膜コーティング部材の検査装置及び検査方法 - Google Patents

赤外反射膜コーティング部材の検査装置及び検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外反射膜の被覆不良を的確に判定できる赤外反射膜コーティング部材の検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】 赤外光照明51と、撮像装置(検査用カメラ53)と、輪郭データ抽出部と、第一判定部とを有する。赤外光照明51は、赤外反射膜の被覆部を有するコーティング部材(ウェハW)に赤外光を照射する。撮像装置は、コーティング部材から反射した赤外光を用いて同部材の正反射像を得る。輪郭データ抽出部は、正反射像に画像処理を施し、赤外反射膜の輪郭データを抽出する。第一判定部は、この輪郭データを用いて赤外反射膜の被覆不良を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子が集積されたウェハなど、赤外反射膜(赤外カットフィルタ)がコーティングされた部材の検査装置及び検査方法に関するものである。特に、可視光線の照射による画像では把握し難い赤外反射膜の被覆不良を的確に判定できる赤外反射膜コーティング部材の検査装置及び検査方法に関する。
半導体素子の集積により複数のチップ部が形成されたウェハの品質検査に関し、特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は、まず、半導体ウェハに複数形成された半導体素子の特性検査を順に行い、特性不良と判定された半導体素子上に不良マークをマーキングする。その際、不良マークをマーキングした半導体素子の半導体ウェハにおける位置情報を記憶素子に記憶させる。次に、特性検査後の半導体ウェハの各半導体素子をカメラで撮像し、その画像処理から半導体素子上の前記不良マークの有無を検出する。そして、不良マーク有りと認識された半導体素子の半導体ウェハにおける位置情報と、前記記憶素子から読み出した被マーキング半導体素子の位置情報を比較する。この比較により、2つの位置情報が一致すると、不良マークが良好にマーキングされていると判定でき、2つの位置情報が一致しない場合は、不良マークが画像処理で認識できない程度に不鮮明であると予測できる。
その他、PDP(プラズマディスプレイパネル)などの蛍光体フィルターの検査方法に関し、特許文献2に記載の技術がある。この技術は、基板上に発光波長の異なる蛍光体が周期的にパターン状に設けられてなる蛍光体フィルターの検査方法である。この蛍光体フィルターの蛍光体面側に紫外線を照射して蛍光体から発光した蛍光パターンの映像信号を取り込む。そして、その映像信号に画像処理を施すことにより蛍光体の欠損、異物、輝度むらを検出する。つまり、可視光では蛍光体フィルターにおける蛍光体のパターンは一様な白色に見えてしまうが、紫外線を蛍光体フィルターに照射することで、赤、緑、青の蛍光強度に従った蛍光体の周期的にパターンの映像信号を得ることができ、この映像信号を用いることで、適切な製品検査を行なうことができる。
特開平6-275686号公報 特開2001-221712号公報
しかし、上記の技術では、撮像対象が赤外反射膜をコーティングした部材の場合、この反射膜を画像により明確に認識して、そのコーティング状態の適否を判定することができないという問題がある。
半導体素子の集積により複数のチップ部が形成されたウェハには、赤外反射膜がコーティングされたものがある。このウェハより得られる製品の具体例としては、赤外光の受光による誤動作を防止するために受光面に赤外反射膜をコーティングした受光素子などがある。このようなウェハを、可視光照明を用いて撮像し、得られた画像の画像処理によって赤外反射膜の傷や剥離の有無を検査しようとしても、赤外反射膜の輪郭を的確に認識することが難しい。赤外反射膜は、例えば600nm以上の波長の光(赤外光)を全反射し、600nm未満の波長の光を透過するため、可視光は赤外反射膜を透過してしまう。そのため、可視光照明により得られたウェハの画像では、赤外反射膜が照明光に対して透明体と同様の見え方となり、赤外反射膜の輪郭を明確に把握できないからである。
特許文献1に記載の技術は、ウェハを撮像する際の照明について特に言及していないため、通常の可視光照明によりウェハの撮像を行っていると考えられるが、可視光照明による画像では上述したように赤外反射膜の輪郭を正確に把握できず、この膜に傷や剥離が生じていた場合、画像処理により的確に判定することができない。
一方、特許文献2に記載の技術は、撮像対象に蛍光体を有することが前提であり、蛍光体を有しない撮像対象を明確に画像化するための技術を示唆するものではない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、赤外反射膜の被覆不良を的確に判定できる赤外反射膜コーティング部材の検査装置及び検査方法を提供することにある。
本発明赤外反射膜コーティング部材の検査装置は、赤外光照明と、撮像装置と、輪郭データ抽出部と、第一判定部とを有する。赤外光照明は、赤外反射膜の被覆部を有するコーティング部材に赤外光を照射する。撮像装置は、前記コーティング部材から反射した赤外光を用いて同部材の正反射像を得る。輪郭データ抽出部は、前記正反射像に画像処理を施し、赤外反射膜の輪郭データを抽出する。そして、第一判定部は、輪郭データを用いて赤外反射膜の被覆不良を判定する。
一方、本発明赤外反射膜コーティング部材の検査方法は、まず、赤外反射膜の被覆部を有するコーティング部材に赤外光を照射し、前記コーティング部材から反射した赤外光を用いて同部材の正反射像を得る。続いて、前記正反射像に画像処理装置で画像処理を施し、赤外反射膜の輪郭データを抽出する。そして、この輪郭データを用いて赤外反射膜の被覆不良を判定する。
以上の本発明において、赤外光照明は、赤外反射膜の被覆部を有するコーティング部材に赤外光を照射するものであればよい。この照明は、例えば市販の赤外線照明装置を用いればよい。より具体的には、800〜1100nmの近赤外線を照射する照明装置が挙げられる。この照明は、同軸落射照明とすることが好ましい。同軸落射照明により容易にコーティング部材の正反射像が得られる。特に、赤外反射膜の被覆部では照明の赤外光を実質的に全反射し、赤外反射膜のない箇所では赤外光の吸収や透過が生じるため、この被覆部と被覆のない箇所とをコントラストが高い状態でコーティング部材の正反射像を得ることができる。
撮像装置は、コーティング部材を撮像し、その画像データを出力できるものであればよい。例えばCCDカメラを好適に利用できる。この撮像装置は、赤外光照明を用いてコーティング部材を撮像する場合は勿論、後述する可視光照明を用いてコーティング部材を撮像する場合にも用いることが好ましい。1台のカメラを異なる照明による撮像に用いることで、カメラの台数を節約することができる。もっとも、赤外光照明を用いた撮像と、可視光照明を用いた撮像の各々に異なる撮像装置を用いても良い。
輪郭データ抽出部は、撮像装置により得られたコーティング部材の正反射像を用いて赤外反射膜の輪郭データを抽出する。例えばCCDカメラで正反射像を得た場合、各画素の画像データを二値化処理するなどして、赤外反射膜の輪郭データを抽出する。上述したように、赤外反射膜の被覆部と、それ以外の箇所とでは、コントラストが高い状態の正反射像が得られているため、この正反射像を利用すれば赤外反射膜の被覆部の輪郭データを正確に抽出することができる。得られた輪郭データは、例えば記憶手段に記憶される。
第一判定部は、赤外反射膜の輪郭データを用いて赤外反射膜の被覆不良を判定する。例えば、予め赤外反射膜が適正にコーティングされた被覆部の基準輪郭データを記憶しておき、この基準輪郭データと輪郭データ抽出部で抽出された輪郭データとを比較する。両データに一定以上の乖離があれば被覆部のずれや剥離と判断することができる。また、抽出された輪郭データが基準輪郭データと一致しても、その輪郭データ内に明度の異なる一定サイズ以上の領域があれば、赤外反射膜上の異物の付着であると判断することができる。
また、第一判定部の判定結果により不良と判断された被覆部にマーキングを施すマーキング機構を有することが好ましい。例えば、複数のチップ部が形成されたウェハの場合、このマーキング機構により赤外反射膜が適正コーティングされていないチップ部上にマーキングを施す。マーキング機構は、例えば、マーカと、マーカを移動するマーク用駆動部と、第一判定部の判定結果により不良と判断された被覆部にマーキングを施すようにマーク用駆動部を制御するマーク用制御部とを有する。マーカは、インクを噴射して所定の被覆部にマーキングを行うものが好適である。マーク用駆動部には、マーカを把持して移動させるロボットアームが利用できる。その他、マーカを移動する代わりに、ウェハが載置される移動ステージをマーク用駆動部とし、このステージを移動させることで、相対的にマーカとウェハの位置を調整するように構成しても良い。その場合、不良と判断された被覆部にマーキングを施せるように、マーク用制御部は移動ステージに対して動作の制御指令を行なう。
さらに、可視光をコーティング部材に照射する可視光照明を設けても良い。この場合、赤外反射膜の下地から反射した可視光を用いて前記撮像装置でコーティング部材の可視光像を得る。そして、その可視光像に画像処理を施し、赤外反射膜の下地における表面不良を判定する第二判定部を有することが好ましい。可視光は赤外反射膜を透過して、その下地にまで十分に達するため、可視光照明および第二判定部を設けることで、赤外反射膜の下地、例えばウェハの素子上の銅粉付着などの欠陥の有無を判定することができる。この第二判定部も上記第一判定部と類似の構成とすればよい。例えば、可視光像に二値化処理を施して、明暗の異なる一定サイズ以上の領域があれば赤外反射膜下に異物の付着があると判定したり、可視光像から抽出したコーティング部材のパターンと、予め記憶しておいた適正なコーティング部材のパターンとを比較し、このパターンに一定以上の乖離があった場合に赤外反射膜の下地における表面不良であると判定すればよい。
そして、第二判定部の判定結果により不良と判断された被覆部にマーキングを施すマーキング機構を有することが望ましい。このマーキング機構は、第一判定部の判定結果により不良と判断された被覆部にマーキングを施すマーキング機構と同様の構成とすればよい。このマーキング機構により、赤外反射膜の下地における欠陥箇所にマーキングを施すことができる。
その他、前記撮像装置は、赤外光および可視光のいずれかに適合した焦点距離を持つレンズと、赤外光および可視光のうち、このレンズの焦点距離に適合しない光により撮像を行う場合、レンズと被写体の距離を変えることでピントの調整を行うピント調整機構とを有することが好適である。一般に、レンズは可視光を通すものとして設計されており、可視光の範囲内であれば波長の違いに伴う収差による焦点距離の違いもほぼ無視できるレベルとなっている。ところが、可視光領域と赤外領域の両方の照明光を用いる場合、一般的なレンズの設計波長を越えてしまい、照明を赤外光と可視光とで切り替えた場合に焦点範囲が異なり、ピントがぼけてしまう。そこで、レンズと被写体の距離を変えることでピントの調整を行うピント調整機構を設け、赤外光および可視光のいずれの照明光を用いた撮像であってもピントの合った画像を得ることができる。
本発明装置での撮像対象は、赤外反射膜が形成された部材であれば何でも良い。代表的には、赤外反射膜が形成されたウェハが挙げられる。
本発明装置および本発明方法によれば、赤外反射膜のコーティング部材に赤外光を照射して同部材の正反射像を得ることで、赤外反射膜の輪郭を明確に認識することができる。それにより、赤外反射膜上の異物の付着、同膜の剥離やずれを正確に判定することができる。
また、可視光によるコーティング部材の撮像を行って、この可視光像を利用することで、赤外反射膜の下地における不良、例えば下地を構成する素子群上への銅粉の付着を的確に判定することができる。
さらに、赤外光照明によりコーティング部材を撮像する場合と、可視光照明によりコーティング部材を撮像する場合とで、撮像機構のレンズと被写体との距離を変えることにより、いずれの照明を用いた場合でも適正なピントの画像を得ることができる。
以下、本発明に係る検査装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、赤外反射膜が被覆されたウェハをコーティング部材とし、その反射膜上の異物の付着、反射膜の剥がれ、反射膜の被覆位置ずれ並びに反射膜下の銅粉の付着を検査する場合を例として説明する。
<検査装置の構成>
この検査装置は、図1に示すように、ウェハWの供給マガジン1と、ウェハWの移動ステージ2と、ウェハWの収納マガジン3と、ウェハWの搬送ロボット4と、検査機構5と、マーキング機構6と、コンピュータ7とを有する。
供給マガジン1は、これから検査を行うウェハWが収納されている容器である。このウェハWは、半導体素子の集積により複数のチップ部が形成されたウェハであって、各チップ部は部分的に赤外反射膜が被覆された被覆部を有している。
移動ステージ2は、供給マガジン1から供給されたウェハWを検査機構5へ移動し、さらにこのウェハWを検査機構5からマーキング機構6へ移動するための機構である。このステージ2は、ウェハWが乗せられるウェハWの載置台と、この載置台を水平移動する移動機構とを有している。検査機構5や、マーキング機構6において、ウェハWの異なる位置を撮像する場合やウェハWの異なる位置にマーキングを行う場合にも移動ステージ2の駆動により、カメラ53(62)の視野やマーカ64に対するウェハWの相対位置を移動させる。
収納マガジン3は、検査の終了したウェハWが収納される容器である。この容器に収納されたウェハWは、後工程で所定のチップ部単位にカットされ、得られた各チップのうち良品としてマーキングのないものをリードフレームにマウントするなどして製品とする。
搬送ロボット4は、供給マガジン1と移動ステージ2との間、移動ステージ2と収納マガジン3との間でウェハWの移動を行なうための機構である。例えば、吸着によりウェハWを保持できるロボットアームを有し、コンピュータ7からの指令によりシーケンサ8を介して所定の動作を行う。
検査機構5は、図2に示すように、赤外光照明51、可視光照明52、検査用カメラ53および画像処理手段54を有している。
赤外光照明51は同軸落射照明とした。例えば、近赤外光源からの赤外光を、光ファイバを通して検査用カメラ53の光軸上に配されたハーフミラーに入射し、そこでの反射光を、検査用カメラ53の光軸と同軸状に垂直下方に向けて照射する。ここでは、近赤外光源として約800nm〜1100nmの波長の光を照射可能な市販の近赤外線照射装置を用いた。
可視光照明52は白色のドーム照明とした。この可視光照明52により、ウェハWに対して斜め方向からほぼ一様に可視光を照射する。可視光は、ウェハWの赤外反射膜を透過するため、この反射膜の下地の画像を撮像する際に利用される。特に、ウェハW表面の凹凸形状が白く現れ、平面部が黒く現われる画像を得るためには、可視光照明をウェハWの近くに配置させた状態で照射させる方が好ましい。
検査用カメラ53にはCCDカメラを用いた。このカメラ53は、移動ステージ2に対してカメラ53の光軸が垂直になるように配置され、赤外光照明51を用いたウェハW(図1)の撮像と、可視光照明52を用いたウェハW(図1)の撮像とを切り替えて行うようにされている。
前者の場合、赤外光照明51は同軸落射照明としているので、赤外光はウェハWに照射された光は正反射し、検査用カメラ53はウェハWの正反射像を得ることができる。得られた正反射像は、赤外反射膜から正反射する赤外光がカメラ53に捉えられるため、赤外反射膜の被覆部が他の箇所より相対的に白く現される。
一方、後者の場合、可視光照明52からの可視光は赤外反射膜を透過して、その反射膜の下地にまで達し、下地からの反射光により検査用カメラ53は下地の画像を的確に捉えることができる。この場合、可視光はウェハWに斜めから入射するため、ウェハWのうち平面部は黒く表され、素子の実装などで凹凸のある箇所は可視光が散乱反射するため比較的白く表される。
また、このカメラ53は、可視光に適合した焦点距離に調整されたレンズを持ち、さらに赤外光にも適合した焦点距離が得られるように、ピント調整機構を有している。ピント調整機構は、可視光と赤外光の波長の相違により、レンズの収差で赤外光での撮像の場合にピントがずれることを調整する。ここでは、赤外光を用いて撮像を行う場合、レンズをその光軸方向に駆動することで、レンズと被写体であるウェハWとの距離を調整し、赤外光の場合でも適正なピントが得られるようにしている。この構成により、一般的な可視光用のレンズを用いて赤外光での撮像にも対応することができる。
画像処理手段54は、後に述べるコンピュータ7の一部として構成され、赤外光照明51で得られた正反射像または可視光照明52で得られた可視光像に対して所定の画像処理を施し、ウェハWの欠陥の検出を行う。この画像処理手段54は、輪郭データ抽出部541、第一判定部542、第二判定部543を有している(図2)。
輪郭データ抽出部541は、正反射像に対して二値化処理を行い、この二値化画像から赤外反射膜の輪郭データ、つまり赤外反射膜の輪郭に対応する画素の位置情報を抽出する。
第一判定部542は、赤外光照明52による正反射像を用いて、赤外反射膜上への15μm角以上の異物の付着、15μm角以上にわたる赤外反射膜の剥がれ、20μm以上の赤外反射膜のコーティング位置のずれを判定する。この第一判定部542は、予め記憶手段に記憶された赤外反射膜の基準輪郭データと、この基準輪郭データで囲まれる基準面積データとを読み出し、この基準輪郭データと、輪郭抽出部で抽出された輪郭データとの比較を行う。その際、輪郭データに囲まれる箇所の面積も演算する。
赤外反射膜上に異物の付着がある場合のウェハチップ部W1の正反射像を図3(A)に示す。このチップ部W1のうち帯状に白く表される箇所が赤外反射膜W2の被覆部である。赤外反射膜W2上の異物は白い背景上に黒点W3として認められる。そのため、輪郭データが基準輪郭データと一定しきい値内で合致する場合でも、この正反射像の二値化画像中の所定領域内に一定サイズ以上の暗領域(黒点W3)を検出すれば、赤外反射膜W2上に異物が存在するものと判定できる。
赤外反射膜W2に剥がれがある場合は、図3(B)に示すように、この反射膜W2が適正にコーティングされた箇所は白く表され、剥がれが生じた箇所は反射膜からの反射光がカメラに取り込まれないため、比較的黒く表される。そこで、輪郭データが基準輪郭データからずれており、輪郭データで囲まれる面積も基準輪郭データで囲まれる面積と一定値以上不一致の場合は、赤外反射膜W2の剥がれであると判定する。
赤外反射膜W2が適正な位置にコーティングされずにずれがある場合、図3(C)に示すように、白く表される反射膜W2の輪郭データが正しい位置からずれている。そのため、輪郭データが基準輪郭データからずれているが、輪郭データで囲まれる面積と基準輪郭データで囲まれる面積とが実質的に合致する場合は、赤外反射膜W2の位置ずれと判定する。
第二判定部543(図2)は、可視光照明52による撮像で得られた可視光像を用いて、赤外反射膜下における15μm角以上の異物(銅粉)の付着を判定する。赤外光照明51による正反射画像では、赤外反射膜の下地にまで赤外光が達しないため、赤外反射膜の下地の状況を正確に捉えることができない。この第二判定部543では、赤外反射膜の下地が捉えられる可視光象を用いることで、赤外反射膜の下地に付着した銅粉を検出する。
図4(A)〜(C)にチップ部の可視光像を示す。この可視画像では、赤外反射膜の輪郭は上述した正反射像ほど明確に認められないが、チップ部W1の平面部は黒く表され、素子の実装などで凹凸がある箇所は比較的白く表される。例えば、赤外反射膜の下面で、実装素子の上面に銅粉が付着していた場合、図4(A)や(C)に示すように、黒い背景上に白点W4が認められる。図4(A)では2つの白点W4が、図4(C)では4つの白点W4が認められる。これに対して、素子上面に銅粉の付着がなければ図4(B)に示すように白点が認められない。そのため、この可視光像を二値化処理し、その二値化画像の一定領域中に所定サイズ以上の明領域(白点W4)が検出された場合に赤外反射膜の下地に銅粉が付着していると判定することができる
マーキング機構6は、図5に示すように、検査機構5で検査の結果、不良と判定されたチップ部に対してマーキングを行うための機構である。このマーキング機構6は、マーク用照明61、マーク用カメラ62、マーク判定部63、マーカ64、マーク用駆動部65、マーク用制御部66を有する。
マーク用照明61は、検査機構5で検査済のウェハの撮像を行うための照明である。ここでは、同軸落射可視光照明を用いた。
マーク用カメラ62は、マーキングを行ったウェハの撮像を行い、マーキング画像を取得する。このマーク用カメラ62にもCCDカメラを用いた。このカメラ62は、その光軸が移動ステージ2上のウェハWに対して垂直となるように配置されている(図1)。
マーク判定部63は、マーク用カメラ62で得たマーキング済みウェハ画像に対して画像処理を施し、マーキングが適正に行われているかどうかを判定する。例えば、マーキング済みウェハ画像を二値化処理して、マーキングの有無とマーキングされたチップ部の位置データを得ておく。一方、マーキングを行うべき位置のデータは、第一判定部542または第二判定部543(図2)で判定した際に得られ、不良位置データとして記憶手段に全て記憶されている。そのため、このマーキング位置と不良位置とを比較して適正なマーキングが行われているかどうかを判定する。
もし、正しい位置にマーキングが行われていれば、マーキング位置と不良位置は一致する。一方、マーキングが誤ったチップ部に行われていたり、正しい位置に行われたが、マーキングが擦れるなどしてマーキングありと判定できなかった場合は、マーキング位置と不良位置が不一致となる。
マーカ64は、不良と判定されたチップ部に対してマークを付ける。ここでは、ウェハにインクを噴射して、所定のマーキングを行うマーカ64を用いた。このマーカ64は、マーキング機構の所定位置に固定されている。
マーク用駆動部65は、不良と判定されたチップ部にマーカ64でマークを付けるために、マーカ64とウェハWの相対位置を変える機構である。ここでは、移動ステージ2を動作することでマーカ64とウェハWの相対位置を変えている。つまり、本例では、上述した移動ステージ2の移動機構がマーク用駆動部65を兼ねている。
マーク用制御部66は、次述するコンピュータ7の一部として構成され、検査機構5でウェハを検査した結果、不良と判定されたチップ部がある位置のデータに基づき、マーカ64がそのチップ部の位置にマーキングできるように、マーク用駆動部65に対して動作制御を行う。ここでは、マーク用制御部66は移動ステージ2に対して所定の動作制御を行う。
そして、コンピュータ7は、以上の移動ステージ2、搬送ロボット4、検査機構5、マーキング機構6の各部と接続され、これら各部の上述した動作を連係して制御する。
<検査方法>
以上の検査装置は、次の手順により動作されてウェハの検査を行う。この動作手順を図6〜図9に示す。その際、検査装置の各部は、図1、図2または図5を参照する。
この動作の概要を図6に示す。まず、搬送ロボット4を駆動して、検査対象となるウェハWを供給マガジン1から取り出し、移動ステージ2上に載せる(ステップS1)。
この移動ステージ2を検査機構5側に移動させ、検査用カメラ53の視野にウェハWが入るようにする(ステップS2)。
その状態で、赤外光照明51を用いてウェハWの所定位置の撮像を行い(ステップS3)、ウェハWの正反射像を得る。その際、カメラ53のレンズを駆動して、赤外光に対して適合した焦点距離が得られるようにレンズとウェハWの距離を調整しておく。
次に、正反射像に第一画像処理を施して、赤外反射膜上の異物の付着、この反射膜の剥がれ及びずれを判定する(ステップS4)。
続いて可視光照明52を用いてウェハの所定位置の撮像を行い(ステップS5)、ウェハの可視光像を得る。
次に、可視光像に第二画像処理を施して、赤外反射膜の下地における異物の付着(銅粉)を判定する(ステップS6)。
その後、移動ステージ2をマーキング機構6側へと移動する(ステップS7)。その際、マーカ64によるウェハWへのマーキングが可能な所定位置に移動ステージ2を位置させる。
次に、マーキング処理を行って、ステップS4やステップS6で不良と判定されたチップ部の位置にマーキングを施す(ステップS8)。
そして、搬送ロボット4を駆動して、マーキングの完了したウェハWを移動ステージ2上から収納マガジン3に移送する(ステップS9)。
上記の動作手順において、第一画像処理は、図7の手順により行う。
まず正反射像のデータの取得を行う(ステップS401)。
この正反射像データに輪郭データ抽出部541で二値化処理を施し、赤外反射膜の輪郭データを抽出する(ステップS402)。
記憶手段に予め記憶されている基準輪郭データを読み出し、この基準輪郭データとステップS402で抽出された輪郭データとを比較する(ステップS403)。
この比較した両データが一定のしきい値の範囲内であれば、正反射像(二値化画像)中に一定サイズ以上の暗領域が認められるかどうかを判断する(ステップS404)。
この判断の結果、一定サイズ以上の暗領域がなければ良品と判定する(ステップS405)。
逆に、一定サイズ以上の暗領域が認められれば、赤外反射膜上の異物の付着と判断し、異物の認められたチップ部の位置情報を記憶する(ステップS406)。
一方、ステップS403の比較で、輪郭データと基準輪郭データの差が一定のしきい値の範囲外であれば、さらにこれらの各輪郭データで囲まれる面積を比較する(ステップS407)。
その比較の結果、比較した面積の差が一定のしきい値の範囲内であれば、赤外反射膜の位置ずれと判定し、そのチップ部の位置情報を記憶する(ステップS408)。
逆に、比較した面積の差が一定のしきい値の範囲外であれば、赤外反射膜の剥がれと判定し、そのチップ部の位置情報を記憶する(ステップS409)。
そして、全てのチップ部について以上の正反射像を用いた判定が完了したら、次に照明を可視光照明に切り替えてウェハの撮像を行う(ステップS410)。その際、検査用カメラ53のレンズを駆動してウェハWに対する距離を変え、可視光に適合した焦点距離が得られるようにする。
また、可視光像に対して行う第二画像処理は、図8の手順により行う。
まず可視光像のデータの取得を行う(ステップS61)。
この可視光像データに二値化処理を施し(ステップS62)、二値化画像を得る。
次に、二値化画像の所定領域内に一定サイズ以上の明部があるかどうかを判定する(ステップS63)。
ステップ63で明部があれば、赤外反射膜の下地に銅粉の付着があると判定して、そのチップ部の位置データを記憶する(ステップS64)。
ステップS63で明部がなければ赤外反射膜の下地に銅粉の付着は認められなかった判定する(ステップS65)。
全てのチップ部について判定を終えたら、移動ステージ2を動作して、ウェハWをマーキング機構6へ移動させる(ステップS66)。
さらに、マーキング処理は、図9の手順により行う。
第一判定部542と第二判定部543において不良と判断されたチップ部の不良位置データを記憶手段から読み出す(ステップS81)。
その不良位置データに基づいてマーク用制御部66及びマーク用駆動部65(移動ステージ2)を利用してマーカ64とウェハWの相対位置を変え、ウェハWへのマーキングを行う(ステップS82)。
各不良位置データに応じたマーキングを行うごとに、マーク用カメラ62でマーキング済みウェハを撮像する(ステップS83)。これにより、マーキングする際のウェハの移動とマーク用カメラで撮像する際のウェハの移動を一度に行なうことができる。もちろん、全不良位置データに応じたマーキングを行ってからマーク用カメラ62でマーキング済みウェハを撮像してもよい。
撮像されたマーキング済みウェハ画像を二値化処理して、マーキングの位置データとマーキングの領域面積を抽出する(ステップS84)。
マーク判定部63で、ステップ84で得られたマーキングの位置データと領域面積をあらかじめ設定した判定しきい値と比較する(ステップS85)。その結果、マーキングの位置(理想はコーティングされた受光素子の中央)と面積(ある程度のサイズ必要)が良好と判断できれば、適正なマーキングが行われたと判定する。逆に、判定しきい値の範囲外であればマーキングが適正でないと判断する。
マーキングが適正でなければ、適正なマーキングが行われるまでマーキング処理をリトライする(ステップS82へ)。必要に応じて、マーカ64のインク補充等を行う。
全ての不良位置データに対して適正なマーキングが行われていることを確認できたら、搬送用ロボット4を動作して、ウェハWを収納マガジン3に移送する(ステップS86)。
本発明の検査装置及び検査方法は、例えば赤外反射膜がコーティングされたウェハの品質検査に利用できる。より具体的には、赤外反射膜上面と下面の異物の付着の有無や、赤外反射膜のずれや剥離の検査を行う場合に好適に利用できる。
本発明検査装置の概略構成図である。 本発明検査装置における検査機構の機能ブロック図である。 本発明装置により赤外光照明で撮像を行ったウェハの画像を示す模式平面図である。 本発明装置により可視光照明で撮像を行ったウェハの画像を示す模式平面図である。 本発明検査装置におけるマーキング機構の機能ブロック図である。 本発明検査装置の全体的な動作手順を示すフローチャートである。 本発明検査装置における第一画像処理の動作手順を示すフローチャートである。 本発明検査装置における第二画像処理の動作手順を示すフローチャートである。 本発明検査装置におけるマーキング処理の動作手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 供給マガジン 2 移動ステージ 3 収納マガジン 4 搬送ロボット
5 検査機構
51 赤外光照明 52 可視光照明 53 検査用カメラ 54 画像処理手段
541 輪郭データ抽出部 542 第一判定部 543 第二判定部
6 マーキング機構
61 マーク用照明 62 マーク用カメラ 63 マーク判定部 64 マーカ
65 マーク用駆動部 66 マーク用制御部
7 コンピュータ 8 シーケンサ
W ウェハ W1 チップ部 W2 赤外反射膜 W3 黒点 W4 白点

Claims (6)

  1. 赤外反射膜の被覆部を有するコーティング部材に赤外光を照射する赤外光照明と、
    前記コーティング部材から反射した赤外光を用いて同部材の正反射像を得る撮像装置と、
    前記正反射像に画像処理を施し、赤外反射膜の輪郭データを抽出する輪郭データ抽出部と、
    この輪郭データを用いて赤外反射膜の被覆不良を判定する第一判定部とを有することを特徴とする赤外反射膜コーティング部材の検査装置。
  2. 第一判定部の判定結果により不良と判断された被覆部にマーキングを施すマーキング機構を有することを特徴とする請求項1に記載の赤外反射膜コーティング部材の検査装置。
  3. さらに、可視光をコーティング部材に照射する可視光照明を有し、
    前記赤外反射膜の下地から反射した可視光を用いて前記撮像装置でコーティング部材の可視光像を得て、
    その可視光像に画像処理を施し、赤外反射膜の下地における表面不良を判定する第二判定部を有することを特徴とする請求項1に記載の赤外反射膜コーティング部材の検査装置。
  4. 第二判定部の判定結果により不良と判断された被覆部にマーキングを施すマーキング機構を有することを特徴とする請求項3に記載の赤外反射膜コーティング部材の検査装置。
  5. 前記撮像装置は、
    赤外光および可視光のいずれかに適合した焦点距離を持つレンズと、
    赤外光および可視光のうち、このレンズの焦点距離に適合しない光により撮像を行う場合、レンズと被写体の距離を変えることでピントの調整を行うピント調整機構とを有することを特徴とする請求項3に記載の赤外反射膜コーティング部材の検査装置。
  6. 赤外反射膜の被覆部を有するコーティング部材に赤外光を照射し、
    前記コーティング部材から反射した赤外光を用いて同部材の正反射像を得て、
    前記正反射像に画像処理装置で画像処理を施し、赤外反射膜の輪郭データを抽出し、
    この輪郭データを用いて赤外反射膜の被覆不良を判定することを特徴とする赤外反射膜コーティング部材の検査方法。
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