JP2007010486A - X線ビーム処理装置、x線受光システム、及びx線分析装置 - Google Patents

X線ビーム処理装置、x線受光システム、及びx線分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 結晶アナライザの取付け方法を改良することにより、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザという3つの受光素子を容易に交換できるようにする。
【解決手段】 第1スリット12aと、そのX線通過部Bの幅を調整する装置17と、第2スリット12bと、そのX線通過部Bの幅を調整する装置17と、第1スリット12aと第2スリット12bとの間に設けられていて平行スリットアナライザ18及び結晶アナライザ19を1つずつ交換して固定状態で支持できるアナライザ支持装置13と、第2スリット12bを平行移動させるスリット位置移動装置9とを有するアナライザ4である。スリット位置移動装置9による第2スリット12bの平行移動方向は、アナライザ支持装置13が結晶アナライザ19を支持したときにその結晶アナライザ19で回折するX線が進む方向にスリット12bのX線通過部Bを変位させる方向である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、アナライザ等といったX線ビーム処理装置に関する。また、本発明は、そのX線ビーム処理装置を用いて処理したX線をX線検出器によって検出するX線受光システムに関する。また、本発明は、試料とX線検出手段との間にX線ビーム処理装置を有するX線分析装置に関する。
従来、測定の対象である試料と、その試料から出たX線(例えば、回折線、散乱線、反射線、分光線)を検出するX線検出器との間(すなわち、X線の進行方向に関して試料の下流側)にX線ビーム処理装置を配置した構成のX線分析装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このように試料の下流側に設けられたX線ビーム処理装置はアナライザと呼ばれることがある。
このアナライザは、試料から出たX線を受光して所定の角度分解能を満たすX線を選択してX線検出器へ送り出す機能を有するX線光学要素である。特許文献1の図3には、チャンネルカット結晶をアナライザとして用いるX線分析装置が開示されている。また、特許文献2の図6には平行スリットをアナライザとして用いるX線分析装置が開示されている。
また、従来、アナライザと近似した構成を有するX線光学要素として、X線の進行方向に関して試料の上流側に設けられるモノクロメータが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献3参照)。特許文献3の図2には、一対のスリットから成るダブルスリットを用いたモノクロメータがX線ビーム処理装置として開示されている。また、特許文献1の図1には、一対のスリットから成るダブルスリットの間にチャンネルカット結晶を設けた構造のモノクロメータがX線ビーム処理装置として開示されている。
特開平9−049811号公報(第3〜4頁、図1、図3) 特開2000−137098号公報(第4頁、図6) 特開2003−194744号公報(第3頁、図2)
以上のように、従来のアナライザは、結晶又は平行スリットによって構成されていた。また、モノクロメータをアナライザとして転用することを考えれば、ダブルスリットによって又はダブルスリット間に結晶を配置した構造によってアナライザを構成することもできる。このようにアナライザはダブルスリット、平行スリット、及び結晶のいずれかを用いて構成できるが、いずれを用いるかはX線分析の種類に適したものを選択する必要がある。例えば、集光型の光学系や、X線束の断面積の比較的小さな平行ビーム光学系で使用する場合はダブルスリットアナライザが好ましい。また、X線束の断面積の比較的大きな平行ビーム光学系で強度の強い平行ビームを希望する場合は平行スリットアナライザが好ましい。また、X線強度は弱くなっても構わないが、単色化及び正確な平行ビームを望む場合は結晶アナライザが好ましい。
このように、アナライザは、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザのいずれかによって構成できるのであるが、従来は、必要が生じたときにそれらを個々にX線分析装置に設置して使用していた。以下、従来のアナライザの使用形態について間単に説明する。
図9(a)は、第1スリット101aと第2スリット101bとから成るダブルスリット102間にソーラスリット103を設け、さらに平行スリットアナライザ104をダブルスリット102の前に設ける構成である。この構成において結晶をアナライザとして使用したい場合には、ソーラスリットと、平行スリットと、結晶の3つを並べた分の空間を確保する必要があって、小型化が難しいという問題がある。また、ダブルスリット102間に平行スリットアナライザ104を設ける変形例が考えられるが、この場合に結晶アナライザを追加するときには、ダブルスリット102の後ろに結晶アナライザの設置空間が必要となる。
図9(b)は、ダブルスリット102間にソーラスリット103と平行スリットアナライザ104とを設ける構成である。この構成においては、ダブルスリット102、ソーラスリット103、及び平行スリットアナライザ104の各要素を固定できないので、それらの交換が不便であるという問題がある。また、結晶アナライザを使用しない場合は、ダブルスリット102の直後にX線検出器105が設置されるため、結晶アナライザを付け替えるたびにX線検出器105を移動させなければならないという問題もある。
図9(c)は、ダブルスリット102の後ろに結晶アナライザ106を設ける構成である。この構成においては、結晶アナライザ106を使用する場合に、結晶アナライザ106の後にスリット107を追加しなければならず、このスリット107の幅調整機構と位置調整機構という2つの外部制御装置を追加的に必要とするという問題がある。また、結晶アナライザ107以外のアナライザを使用する場合に、結晶アナライザ107を取り外すと、スリット位置制御の再現性が失われるため、結晶アナライザ107を再装着した際には再調整が必要になるという問題がある。
本発明は、従来のX線ビーム処理装置における上記の問題点を解消するために成されたものであって、結晶アナライザの取付け方法を改良することにより、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザという3つの受光素子を容易に交換して使用でき、それらの受光素子を配置するための空間が小さくて済むX線ビーム処理装置、X線受光システム、及びX線分析装置を提供することを目的とする。
本発明に係るX線ビーム処理装置は、試料とX線検出手段との間に設けられるX線ビーム処理装置であって、前記試料側に配置されていてX線通過部を有する第1スリットと、該第1スリットのX線通過部の幅を調整する手段と、前記X線検出手段側に配置されていてX線通過部を有する第2スリットと、該第2スリットのX線通過部の幅を調整する手段と、前記第1スリットと前記第2スリットとの間に設けられていて平行スリットアナライザ及び結晶アナライザを1つずつ交換して固定状態で支持できるアナライザ支持手段と、前記第2スリットを平行移動させるスリット位置移動手段とを有し、前記スリット位置移動手段による前記第2スリットの平行移動方向は、前記アナライザ支持手段が結晶アナライザを支持したときにその結晶アナライザで回折するX線が進む方向に前記スリットのX線通過部を変位させる方向であることを特徴とする。
このX線ビーム処理装置においては、結晶アナライザの取付け位置と、平行スリットアナライザの取付け位置とが、アナライザ支持手段によって規定される共通の同じ位置である。そして、結晶アナライザによってX線進行方向がずれる場合には、結晶アナライザで方向変位したX線を、第2スリットを平行移動させることにより支障なくX線検出手段へ導くことができる。また、第1スリット及び第2スリットのスリット幅を調整する手段を設けたので、それらのスリットをダブルスリットアナライザとして用いる状態と、スリット幅を大きく開いてアナライザとして機能させない状態とを自由に選択できる。
上記構成の本発明に係るX線ビーム処理装置によれば、アナライザ支持手段に何も装着しなければ、ダブルスリットアナライザによって所定の角度分解能を満たすX線を選択できる。また、アナライザ支持手段に平行スリットアナライザを装着すれば、平行スリットアナライザによって所定の角度分解能を満たすX線を選択できる。また、アナライザ支持手段に結晶アナライザを装着すれば、結晶アナライザによって所定の角度分解能を満たすX線を選択できる。このように、本発明によれば、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザを容易に交換してX線分析測定を行うことができる。
また、従来、結晶アナライザを使用する際には、図9(c)のように、平行スリットアナライザとは別に、結晶アナライザ及びスリットをダブルスリットの後方位置に追加しなければならなかった。この構成の場合は、X線検出器を移動させることと、新たなスリットを設置することが必要となる。これに対し、本発明のように結晶アナライザを平行スリットアナライザに代えて装着することにすれば、新たなスリットの追加とX線検出器の移動を行うことなく、結晶アナライザを設置できる。これにより、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザを容易に交換できる受光アナライザシステムを構築できた。
また、結晶アナライザはダブルスリットの外側ではなくて、その内側に設けられるので、結晶アナライザを使用可能なX線ビーム処理装置を小型に形成でき、従って、それを含むX線分析装置を小型に形成できる。
次に、本発明に係るX線ビーム処理装置において、前記アナライザ支持手段は、支持した平行スリットアナライザ又は結晶アナライザを、前記試料へ入射するX線の中心光軸と該試料から出るX線の中心光軸とを含む面である基準平面と直交する軸線を中心として回転させることができ且つ回転させた位置に固定状態に保持できることが望ましい。この構成によれば、アナライザ支持手段によって平行スリットアナライザ又は結晶アナライザを回転させることにより、光軸調整を容易に行うことができる。
次に、本発明に係るX線ビーム処理装置において、前記アナライザ支持手段と前記第2スリットとの間に配置されたソーラスリット支持手段を有し、該ソーラスリット支持手段は、前記基準面と直交する方向へのX線の発散を規制するソーラスリットを着脱可能に支持することが望ましい。この構成によれば、X線ビームの前記基準面と直交する方向の発散をそのソーラスリットを用いて抑えて平行化することができる。これにより、前記基準面と直交する方向のX線ビーム発散により生ずる、観測X線回折プロファイルの広がり(すなわち、アンブレラ効果)を低減することができる。
次に、本発明に係るX線受光システムは、X線の進行方向に関して試料の下流側に配置されたX線ビーム処理手段と、該X線ビーム処理手段の下流側に配置されたX線検出手段とを有するX線受光システムであって、前記X線ビーム処理手段は、以上に説明したX線ビーム処理装置であることを特徴とする。
以上に説明した本発明に係るX線ビーム処理装置によれば、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザという3つの受光素子を容易に交換して使用できる。また、それらの受光素子を配置するための空間を小さくできる。従って、そのX線ビーム処理装置を用いた本発明に係るX線受光システムにおいても、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザという3つの受光素子を容易に交換して使用でき、さらに、それらの受光素子を配置するための空間を小さくできる。
次に、本発明に係るX線受光システムは、前記ソーラスリット支持手段、前記第2スリット、前記X線検出手段を一体に移動させる検出ユニット移動手段を有することができる。そしてこの場合には、前記第2スリットを平行移動させるためのスリット位置移動手段は上記の検出ユニット移動手段によって実現される。
次に、本発明に係るX線分析装置は、試料に照射されるX線を発生するX線源と、前記試料から出るX線を検出するX線検出手段と、前記試料と前記X線検出手段との間に配置されたX線ビーム処理手段とを有するX線分析装置において、前記X線ビーム処理手段は、以上に説明した構成のX線ビーム処理装置であることを特徴とする。
本発明に係るX線ビーム処理装置によれば、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザを容易に交換して、個々のアナライザに対応したX線ビーム処理を行うことができる。従って、そのX線ビーム処理装置を用いた本発明に係るX線分析装置によれば、上記3種類のアナライザのいずれかを用いた処理を容易に選択してX線分析測定を行うことができる。
また、従来、結晶アナライザを使用する際には、図9(c)のように、平行スリットアナライザとは別に、結晶アナライザ及びスリットをダブルスリットの後方位置に追加しなければならなかったが、本発明では結晶アナライザを平行スリットアナライザに代えて装着するだけで良い。このため、X線ビーム処理手段を小型に形成でき、従って、それを含むX線分析装置を小型に形成できる。
次に、本発明に係るX線分析装置において、前記スリット位置移動手段によって移動させられる前記スリットは前記試料から出たX線の集光点に配置される受光スリットとして用いられることが望ましい。一般のX線回折装置においては、X線の集光点には受光スリットが配置される。図9(a)及び図9(b)に示す従来のX線分析装置においても、スリット101bはX線の集光点に設けられる。また,図9(c)に示す従来装置では、結晶アナライザ106の前方のスリット101bがX線の集光点上に配置され、結晶アナライザ106の後方で平行移動するスリット107は集光点よりも後方に設けられる。
この発明の態様のように、平行移動するスリットをX線の集光点に合わせることにすれば、結晶アナライザのためのスリットと受光スリットとをその平行移動する1つのスリットで兼用できる。このため、それぞれのスリットを別々に設ける場合に比べてX線ビーム処理装置を小型に形成でき、従ってX線分析装置を小型に形成できる。
以下、本発明に係るX線分析装置、X線受光システム、及びX線ビーム処理装置のそれぞれを実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
図1は、本発明に係るX線分析装置の一実施形態を示している。ここに示すX線分析装置1は、試料Sを支持する試料ホルダ2と、試料Sへ入射するX線R1を発生するX線源Fと、試料Sから出射するX線R2(例えば、回折線、散乱線、反射線、分光線)を検出するX線受光システム3とを有する。X線受光システム3は、矢印A−A’で示すように試料Sを中心とする円弧Eに沿って移動する。X線受光システム3が矢印A−A’のように移動すると、試料Sへ入射するX線R1の中心光軸に対するX線受光システム3の角度2θが変化する。試料Sから回折角度2θの回折線が出る場合、X線受光システム3が角度2θの点まで移動した所で試料Sからの回折線を検出する。
X線受光システム3は、X線ビーム処理装置4と、X線検出手段としてのX線検出器6とを一体に有している。また、X線受光システム3は常に試料Sを向くように構成されている。X線ビーム処理装置4は、試料Sから出たX線R2を受光して設定された角度分解能を満たすX線を選択してX線検出器6へ供給する役割、すなわちアナライザとしての役割を果たす。X線検出器6は、例えば、X線を点状に受光する構造のX線検出器、すなわち0次元X線検出器、例えばSC(Scintillation Counter/シンチレーションカウンタ)によって形成される。
なお、試料Sへ入射するX線R1の中心光軸と試料Sから出るX線R2の中心光軸とを含む面(すなわち、図1の紙面)を基準平面Qと呼ぶことにすれば、X線検出器6が角度2θを測角されながら円弧E上を移動するとき、この角度2θは基準平面Q内において測角される角度である。
図2はX線受光システム3を詳細に示している。図2の紙面は基準平面Qである。X線受光システム3は、本体ベース7と、検出ベース8とを有する。本体ベース7は、試料Sを通って紙面垂直方向に延びる軸線であるω軸線を中心として所定の角度範囲内で矢印A−A’に示すように回転する。検出ベース8は、本体ベース7上でその本体ベース7に対して相対的に平行移動する。
本体ベース7の上には第1スリット12aと、アナライザ支持装置13とが設けられている。また、検出ベース8の上には、ソーラスリット支持装置23、第2スリット12b、及びX線検出器6が設けられている。検出ベース8には、該検出ベース8を平行移動させるための検出ユニット移動装置9が付設される。検出ユニット移動装置9は、検出ベース8を矢印C−C’方向(すなわち、本体ベース7の幅方向)へ平行移動させる。この検出ユニット移動装置9は任意の駆動装置によって構成されるが、例えば、回転角度を制御可能なモータ(例えば、パルスモータ、サーボモータ)の回転をギヤ、送りネジ軸、ワイヤ等といった動力伝達手段を介して検出ベース8へ伝達してその検出ベース8を平行移動させる機構等が考えられる。
第1スリット12aと第2スリット12bは協働してダブルスリットアナライザ12を構成する。また、X線ビーム処理装置4は、第1スリット12aと、アナライザ支持装置13と、ソーラスリット支持装置23と、第2スリット12bとによって構成される。アナライザ支持装置13は、X線ビーム処理装置4を構成するにあたって、平行スリットアナライザ18又は結晶アナライザ19を支持するか、あるいはそれらを支持しないか、のいずれかの状態をとる。ソーラスリット支持装置23はソーラスリット27を着脱可能に支持するための装置であるが、ソーラスリット27はX線ビーム処理装置4を構成するための必須の要素ではない。以上のようにして構成されるX線ビーム処理装置4は、試料Sから出たX線R2を受光して所定の角度分解能を満たすX線を選択してX線検出器6へ送り出す。
第1スリット12a及び第2スリット12bは、それぞれ、所定幅のX線通過部Bを有し、これらのX線通過部Bはそれら自身を通過するX線の幅を制限する。このX線通過部Bの幅がスリット幅である。これらのX線通過部Bは、例えば、一対のX線遮蔽板の間に形成された空間によって形成される。X線通過部Bの幅、すなわちスリット幅はX線遮蔽板を開閉移動させることによって変更できる。このX線遮蔽板の開閉移動は測定者が人手によって行うこともできるし、適宜の開閉機構を用いて自動で行うこともできる。本実施形態では、個々のスリット12a,12bにスリット開閉装置17を付設することにより、スリット幅の調整を自動で行うことにする。このようなスリット開閉装置17は任意の機構によって構成できるが、例えば、回転角度を制御可能なモータ(例えば、パルスモータ、サーボモータ)の回転をギヤ、送りネジ軸、ワイヤ等といった動力伝達手段を介してX線遮蔽板へ伝達してそのX線遮蔽板を平行移動させる機構等が考えられる。
また、第2スリット12bに関しては、X線通過部Bの幅がスリット開閉装置17によって変更可能であることに加えて、X線通過部Bの中心をX線の幅方向(すなわち、C−C’方向)で平行移動できるように、すなわち、スリット位置をX線の幅方向で平行移動できるように構成されている。このスリット位置の移動は測定者の人手によって行うこともできるし、適宜の移動機構を用いて自動で行うこともできる。本実施形態では、検出ベース8に付設した検出ユニット移動装置9によってスリット位置の移動を自動で行うことにする。
アナライザ支持装置13は、平行スリットアナライザ18及び結晶アナライザ19を1つずつ交換して固定状態で支持できる装置である。すなわち、アナライザ支持装置13は平行スリットアナライザ18又は結晶アナライザ19を着脱可能に支持するものである。平行スリットアナライザ18又は結晶アナライザ19をアナライザ支持装置13へ固定する際には任意の固定手法を採用できるが、例えば、ネジその他の締結具を用いた固定方法を用いることができる。その際、平行スリットアナライザ18又は結晶アナライザ19を常に一定の位置に安定して配置するために、アナライザ支持装置13の適所にガイド部材を設けておくことが望ましい。
平行スリットアナライザ18は、図3に示すように、基準平面Qに対して交差(通常は直交)する複数の箔21(例えば、金属箔)を狭い間隔を空けて互いに平行に並べることによって形成されている。この平行スリットアナライザ18は、X線が基準平面Qと平行な面内で発散することを抑制して平行ビームを形成するX線光学要素である。
また、図2の結晶アナライザ19は、ゲルマニウム、シリコン等といった単結晶によるX線の回折を利用してX線を単色化及び平行ビーム化するためのX線光学要素である。この結晶アナライザ19としては、例えば図7(a)に示すような1個の結晶板24を用いてX線R2を1回反射又は回折させるものや、図7(b)に示すような1個のチャンネルカット結晶25でX線R2を2回反射させるものや、図7(c)に示すような2個のチャンネルカット結晶25a,25bでX線R2を4回反射させるもの等がある。いずれのものも、X線の反射により特定の波長のX線を選択的に取り出して平行ビームとして出射する。
図2において、検出ユニット移動装置9によって第2スリット12bを平行移動させるのは、図7(a)や図7(b)に示すようにX線の進行方向が変化するような結晶アナライザを図2のアナライザ支持装置13によって支持したときに、第2スリット12bを設けた位置においてX線が通過する点が変化することを補償するためである。従って、検出ユニット移動装置9による第2スリット12bの平行移動方向C−C’は、アナライザ支持装置13が結晶アナライザ19を支持したときにその結晶アナライザ19で回折又は反射するX線が進む方向に第2スリット12bのX線通過部Bを変位させる方向ということになる。
なお、アナライザ支持装置13にはアナライザ回転装置26が付設されている。このアナライザ回転装置26は、アナライザ支持装置13の中心点を通って図2の紙面垂直方向に延びる軸線X0を中心としてそのアナライザ支持装置13を所定の角度範囲内で回転させる装置である。アナライザ支持装置13に平行スリットアナライザ18又は結晶アナライザ19が装着されていれば、アナライザ支持装置13が軸線X0を中心として回転すれば、それに支持された平行スリットアナライザ18又は結晶アナライザ19も一体に回転する。このアナライザ支持装置13の回転は、特に、X線に対する結晶の格子面の角度を調整する際に有効に機能する。
次に、アナライザ支持装置13と下流側の第2スリット12bとの間に設けられているソーラスリット支持装置23は、ソーラスリット27を着脱可能に支持する。ソーラスリット27は、図4に示すように、基準平面Qに対して平行な複数の箔28(例えば、金属箔)を狭い間隔を空けて互いに平行に並べることによって形成されている。このソーラスリット27は、X線が基準平面Qと直交する面内で発散することを抑制して平行ビームを形成するX線光学要素である。このソーラスリット27は、分解能を決めるアナライザとは異なる役割を果たすものであるため、絶対に設けなければならないというものではない。
図2において、ソーラスリット27をソーラスリット支持装置23へ固定する際には任意の固定手法を採用できるが、例えば、ネジその他の締結具を用いた固定方法を用いることができる。その際、ソーラスリット27を常に一定の位置に安定して配置するために、ソーラスリット支持装置23の適所にガイド部材を設けておくことが望ましい。
第1スリット12a及び第2スリット12bのX線通過部Bの幅(すなわち、スリット幅)を調整するためのスリット開閉装置17、アナライザ支持装置13を所定角度範囲内で回転させるアナライザ回転装置26、及び第2スリット12bのスリット位置を平行移動させるための検出ユニット移動装置9といった各装置の動作は、制御装置31によって制御される。制御装置31は、これらの各装置の動作を制御するための専用の制御装置であっても良いし、図1のX線分析装置1の測定を制御する制御装置の中の一部として構成しても良い。
制御装置31は、スリット開閉装置17、アナライザ回転装置26、検出ユニット移動装置9の各装置を駆動するための信号を生成して伝送する駆動制御部と、各装置の状態を記憶する記憶部とを有している。駆動制御部は、例えばコンピュータの構成要素であるCPU(Central Processing Unit)や、コンピュータ以外の適宜の制御回路を用いて構成できる。また、記憶部は、例えばコンピュータの構成要素であるメモリや、コンピュータから独立したメモリを用いて構成できる。
第1スリット12aのスリット幅のデータ、第2スリット12bのスリット幅のデータ、第2スリット12bの矢印C−C’方向に沿った位置のデータ、及びアナライザ支持装置13の軸線X0周りの角度位置データ等といった各データは、制御装置31内のメモリ内の所定のファイル内に記憶される。メモリ内に記憶するデータは、駆動制御部が各動作機器へ伝送した制御データであっても良いし、あるいは、各動作機器内に設置した角度センサや位置センサによって採取したデータであっても良い。
本発明のX線ビーム処理装置4は以上のように構成されているので、ダブルスリットアナライザ、平行スリットアナライザ、結晶アナライザという3種類のアナライザの機能を選択的に実現できる。以下、それらを個別に説明する。
(ダブルスリットアナライザ)
図2において、アナライザ支持装置13が何も支持しない状態とすると、光学系の配置は図5に示すように、X線検出器6に入射するX線R2の角度を2つのスリット12a及び12bによって規制するダブルスリットアナライザの配置となる。この場合には、第1スリット12aのスリット幅と第2スリット12bのスリット幅を制御することで分解能が決められる。なお、このとき、ソーラスリット支持装置23はソーラスリット27を支持していても、あるいは支持していなくても、どちらでも良い。
このダブルスリットアナライザは、集光型の光学系や平行型の光学系において使用される。集光型の光学系として用いる場合、X線の集光点は第1スリット12aの位置又は第2スリット12bの位置に合わされる。望ましくは、集光点は第2スリット12bの位置に合わされる。組み付け等に起因して第1スリット12aのスリット中心と第2スリット12bのスリット中心との間で中心ずれが発生した場合は、それらのスリットに実際にX線を通過させながら、第2スリット12bの位置を移動させることによって、その中心ずれを自動的に調整することができる。
(平行スリットアナライザ)
図2において、アナライザ支持装置13に平行スリットアナライザ18を装着し、さらにスリット12a,12bのX線通過部Bの幅を平行スリットアナライザ18の幅よりも広く開くと、光学系の配置は図6に示すように、平行スリットアナライザ18によってX線ビームを処理する状態となる。この場合、ソーラスリット27は有っても無くても良い。平行スリットアナライザ18を用いれば、強度の強い平行光学系を構築できる。
図3の平行スリットアナライザ18を用いた場合には、箔21同士の間を通過することができるX線の角度が分解能Reを示すことになる。この平行スリットアナライザ18は一般には平行光を受光する際に用いられ、X線束の断面積の比較的大きな平行ビームの場合に、ダブルスリットアナライザよりも測定強度の高い測定を可能とする。平行スリットアナライザ18をアナライザ回転装置26によって所定の角度範囲で回転させれば、その平行スリットアナライザ18に実際にX線を通過させながら、設置によるずれを自動的に調整できる。
(結晶アナライザ)
図2において、アナライザ支持装置13に結晶アナライザ19を装着すると結晶アナライザ19を用いてX線ビームを処理できる。この場合、ソーラスリット27は有っても無くても良い。結晶アナライザ19を用いれば、高分解能の平行光学系を構築できる。結晶アナライザ19としては、図7(a)に示す1個の結晶板24を用いることができ、この場合にはX線がアナライザ19で1回反射する。また、結晶アナライザ19として図7(b)に示す1個のチャンネルカット結晶25を用いることもでき、この場合にはX線がアナライザ19で2回反射する。また、結晶アナライザ19として図7(c)に示す2個のチャンネルカット結晶25a,25bを用いることもでき、この場合にはX線がアナライザ19で4回反射する。
図7(a)及び図7(b)の場合は、結晶アナライザ19を用いることによってX線の進行方向が変化するので、第2スリット12bのX線通過部Bの中心位置をX線の進行方向の変化に対応して図2の検出ユニット移動装置9によって移動させる。この場合には、ソーラスリット27及びX線検出器6も第2スリット12bと一緒に検出ベース8に載って移動する。一方、図7(c)の場合は、結晶アナライザ19に入射するX線の進行方向と結晶アナライザ19から出射するX線の進行方向が一致しているので、第2スリット12bは移動させなくても良い。
なお、アナライザとして結晶アナライザを用いる場合は、上記のように1回反射型、2回反射型、4回反射型等といった種類の異なった分光方法を選択できるが、これに加えて、結晶の種類、分光面の種類を選択することも可能である。一般に、結晶アナライザを用いると、非常に高い角度分解能を得られる反面、測定強度が弱くなってしまうという問題点がある。また、1回反射及び2回反射の場合には入射側と出射側とでX線の光路がずれることになる。また、X線光路がずれることが無い4回反射の場合でも、分解能を正確に設定するためには、スリットの位置及びスリットの幅を微妙に調整することが必要とされる。本実施形態では、それらの調整をスリット開閉装置17及び検出ユニット移動装置9によって行うことにしている。
本実施形態では、結晶アナライザ19の軸線X0の周りの所定角度範囲内の回転がアナライザ回転装置26によって自動的に行われ、第1スリット12a及び第2スリット12bのスリット幅の調整がスリット開閉装置17によって自動的に行われ、さらに、第2スリット12bの位置の調整が検出ユニット移動装置9によって自動的に行われるので、結晶アナライザの光学系の配置を自動的に調整できる。
以上のように本実施形態では、図2のX線ビーム処理装置4において、希望するX線分析の種類に応じて、ダブルスリットアナライザ12、平行スリットアナライザ18、結晶アナライザ19の3種類のアナライザから適宜のものを選択して必要なビーム処理を行うことができる。例えば、粉末結晶のプロファイル測定を行って同定解析、定量解析、ひずみ測定、結晶サイズ測定、構造解析等を行うことができる。また、極点測定を行って集合組織解析を行うことができる。また、応力測定及び反射率測定を行って薄膜の厚み解析、薄膜の膜密度解析を行うことができる。また、逆格子マップ測定を行って薄膜の膜構造解析、単結晶の結晶評価解析を行うことができる。また、ロッキングカーブ測定を行って単結晶の結晶評価解析を行うことができる。また、小角散乱測定を行って結晶粒径解析を行うことができる。
なお、粉末状の結晶を測定するための集光型光学系が同定分析、定量分析等でしばしば用いられるが、この集光型光学系を構築する際には、集光点に第1スリット12a又は第2スリット12bの一方を合わせ、もう一方は集光(すなわち、発散)するX線の幅に合わせる。
また、粉末状の結晶を測定するための平行型光学系が、歪や結晶子サイズ等のプロファイル解析、応力や極点測定、構造解析等でしばしば用いられるが、この光学系に関しては、回折して来るX線の幅が太い場合が多いため、平行スリットアナライザが使用されることが多い。
また、薄膜の膜の厚さや薄膜の密度を分析するための反射率測定の光学系や、結晶粒の大きさを分析するための小角散乱の光学系では、細い平行ビームが用いられるため、ダブルスリットアナライザが使用される。この場合には、第1スリット12aのスリット中心と第2スリット12bのスリット中心を微調整することが重要である。
また、薄膜の膜構造の解析や単結晶の結晶性評価のために行われるロッキングカーブ測定や逆格子マップ測定における光学系では、結晶アナライザが用いられる。
図2に示したX線受光システム3において、ダブルスリットアナライザ12、平行スリットアナライザ18、結晶アナライザ19の各アナライザを切換えて使用する場合、調整状態を予め制御装置31内のメモリ内に記憶して保存しておけば、アナライザを交換した際にメモリ内のデータに基づいてアナライザの状態を再設定すれば正しい装置状態で測定を行うことができる。つまり、アナライザを交換した場合、光学要素の再調整を行うことなく正しい装置条件の下に測定を再開できる。また、本実施形態では、3種類のアナライザ間でアナライザの交換を行う際に、第1スリット12a及び第2スリット12bは取り外す必要がないので、スリットの再調整が非常に容易である。
本実施形態によれば、第2スリット12bに位置調整装置、すなわち検出ユニット移動装置9を設けたので、次の効果が得られる。第1に、平行スリットアナライザ18だけでなく、各種の結晶アナライザ19を容易に交換して使用できる。第2に、ダブルスリットアナライザ12の取付け精度を高くしなくても、高分解能の測定が可能である。第3に、スリットの構成を最大でも2つに減らすことができる。さらに、第2スリット12bに位置調整装置、すなわち検出ユニット移動装置9を設けたことと、平行スリットアナライザ18の取付け位置と各種の結晶アナライザ19の取付け位置とを共通にしたことの両方により、X線ビーム処理装置4及びX線受光システム3の全体を小型にすることができる。
(集光型の光学系)
図1のX線分析装置1において集光型の光学系を用いた。また、図5のダブルスリットアナライザにおいて、第2スリット12bをその光学系の集光点に設置した。光学系の分解能を図2のスリット開閉装置17を調整して設定した。スリット開閉装置17を調整することにより、第1スリット12aのスリット幅を集光して来るX線の幅に合わせた。分解能は、集光点の試料からの距離と、集光点に設置したスリットの幅とで決定される。図5において、試料Sから集光点までの距離をL1=285mmとして、この位置に第2スリット12bを置き、スリット幅をL2=0.3mmとした場合の分解能は、約0.06°となる。第1スリット12aと第2スリット12bとの距離をL3=120mmとした場合、集光するX線の集光角度を0.5°とすると、第1スリット12aの幅はL4=約1mmとなる。
(平行型の光学系=ダブルスリットアナライザ)
図5のダブルスリットアナライザにおいて、第1スリット12aの幅L4と第2スリット12bの幅L2とを同じ幅に設定した。分解能は、スリット間の距離L3とスリット幅L4,L2とで決定される。例えば、スリット間距離をL3=120mmとし、スリット幅をL4=L2=0.07mmとすると、分解能は約0.07°となる。この場合に注意しなければならないことは、2つのスリット12a,12bのスリット中心の位置ずれを10%以内の誤差で設定するためには、0.007mm以内である必要があるので、第2スリット12bの位置を位置調整装置、すなわち図2の検出ユニット移動装置9によって補正することである。但し、測定できる幅は、受光した平行光の幅に対して0.07mmに減じられてしまうことになる。
(平行型の光学系=平行スリットアナライザ)
図6の平行スリットアナライザにおいて、ダブルスリットを構成する第1スリット12a及び第2スリット12bのそれぞれのスリット幅L4及びL2を、平行スリットアナライザ18のX線通過幅よりも広くなるように広げた。分解能は、図3において平行に並んだ箔21の間隔Dと、箔21の長さL5によって決定される。例えば、箔21の間隔をD=0.05mm、箔21の長さをL5=80mmとした場合の分解能はRe=約0.07°となる。箔21の厚さを0.03mmとすると、透明度は約62%である。つまり、X線の幅が1mmの場合、ダブルスリットアナライザで0.07°の分解能を設定すると、7%の幅しか通過できないことになるが、平行スリットアナライザ18で窓幅、すなわちX線通過幅が1mm以上あれば、62%の通過が可能になり、約9倍の強度を得られることになる。
(結晶アナライザ)
図7(b)の結晶アナライザにおいて、図2のアナライザ回転装置26を用いて結晶25の回折角度を調整し、X線がずれた分を図2の検出ユニット移動装置9を用いた第2スリット12bの位置調整によって調整し、X線の幅に合わせて第2スリット12bのスリット幅を調整した。結晶アナライザ25としてGe等の単結晶を用いた。X線としてCuのKα特性線を用いた。この特性線の波長は約1.5402Åである。結晶アナライザ25としてGeの(220)面の回折を使用すると、回折角度は約22.5°となる。Ge(220)面を使用した2結晶アナライザ25において2つの結晶の間隔をD1=2mmとすると、X線光路のずれδ0はδ0=5mmとなる。このため、第2スリット12bはC−C’方向へ5mm移動する必要がある。Geの(220)面を使用した2結晶アナライザ25を用いた場合、分解能は結晶の分光能力に相当し約0.01%になる。
(組み付け精度)
平行型光学系によるダブルスリットアナライザを使用した場合、分解能を0.07°とするためには、第1スリット12a及び第2スリット12bの2つのスリット幅は0.007mmになる。誤差10%以内で実現するためには、2つのスリットの中心位置で0.007mm以内の組み付け精度が要求されることになる。第2スリット12bの位置調整機構、すなわち図2の検出ユニット移動装置9に0.007mm以内の位置決め精度があれば2つのスリット同士の組み付け精度を要求されることはない。この場合、スリットを斜めに使用することによるスリット幅のずれが問題になるが、スリットが2.5°傾いたとき、スリット幅は0.1%細くなる程度であり、実際には問題は生じない。
平行スリットアナライザの場合、0.07°の分解能を10%の誤差で設置するためには、0.007°の角度精度が要求されることになる。スリット方向の角度調整機構に0.007°以内の位置決め精度があれば、調整機構の稼動範囲まで補正することが可能になる。稼動範囲を1°とすれば±0.5°の調整が可能となる。スリット方向の調整機構が存在しない場合でも、図8のように測定方向の角度の補正δ2により、平行スリットアナライザ本体の取付け方向を補正することができる。例えば、取付けに+0.5°のずれがあった場合、測定角度の補正δ2を−0.5°に設定することで分解能を補正することが可能になる。この場合、スリット中心のずれδ1は2.5mmになるため、平行スリットアナライザの窓、すなわちX線通過幅を大きく設定しておく必要がある。
結晶アナライザの場合は、結晶の角度調整機構の稼動範囲内であれば、調整可能である。例えば、稼動範囲を1°とすれば、±0.5°のずれは補正できることになる。
以上を総合すると、組み付け精度は±0.5°以内となる。スリット中心のずれに換算すると約1.0mmである。第2スリット12bの位置調整機構が存在しない場合、平行型の光学系にダブルスリットアナライザを使用した場合が、最も厳しくなり最小で0.007°以内、スリット中心のずれでは±0.007mm以内が要求されることになる。
本発明に係るX線分析装置の一実施形態を示す図である。 本発明に係るX線受光システム及びX線ビーム処理装置の一実施形態を示す図である。 平行スリットアナライザの一例を示す斜視図である。 ソーラスリットの一例を示す斜視図である。 図2の装置の使用例であってダブルスリットアナライザを示す図である。 図2の装置の使用例であって平行スリットアナライザを示す図である。 図2の装置の使用例であって結晶アナライザを示す図である。 スリット方向の調整機構がない場合の平行スリットアナライザの取付け方向の補正を説明するための図である。 従来のX線受光システムの例を示す図である。
符号の説明
1.X線分析装置、 2.試料ホルダ、 3.X線受光システム、
4.X線ビーム処理装置、 6.X線検出器(X線検出手段)、 7.本体ベース、
8.検出ベース、 12ダブルスリットアナライザ、 12a.第1スリット、
12b.第2スリット、 13.アナライザ支持装置、 17.スリット開閉装置、
18.平行スリットアナライザ、 19.結晶アナライザ、 21.箔、
23.ソーラスリット支持装置、 24.結晶板、
25,25a,25b.チャンネルカット結晶、 27.ソーラスリット、 28.箔、
B.X線通過部、 D.箔の間隔、 F.X線源、 L1.試料から集光点までの距離、
L2.スリット幅、 L3.第1スリットと第2スリットの距離、
L4.第1スリットの幅、 L5.箔の長さ、 R1.入射X線、 R2.X線、
Re.分解能、 S.試料、 Q.基準平面、 X0.軸線、 δ0.X線光路のずれ、
δ1.スリット中心のずれ、 δ2.角度の補正

Claims (7)

  1. 試料とX線検出手段との間に設けられるX線ビーム処理装置であって、
    前記試料側に配置されていてX線通過部を有する第1スリットと、
    該第1スリットのX線通過部の幅を調整する手段と、
    前記X線検出手段側に配置されていてX線通過部を有する第2スリットと、
    該第2スリットのX線通過部の幅を調整する手段と、
    前記第1スリットと前記第2スリットとの間に設けられていて平行スリットアナライザ及び結晶アナライザを1つずつ交換して固定状態で支持できるアナライザ支持手段と、
    前記第2スリットを平行移動させるスリット位置移動手段と、を有し
    前記スリット位置移動手段による前記第2スリットの平行移動方向は、前記アナライザ支持手段が結晶アナライザを支持したときにその結晶アナライザで回折するX線が進む方向に前記スリットのX線通過部を変位させる方向である
    ことを特徴とするX線ビーム処理装置。
  2. 請求項1記載のX線ビーム処理装置において、
    前記アナライザ支持手段は、支持した平行スリットアナライザ又は結晶アナライザを、前記試料へ入射するX線の中心光軸と該試料から出るX線の中心光軸とを含む面である基準平面と直交する軸線を中心として回転させることができ且つ回転させた位置に固定状態に保持できる
    ことを特徴とするX線ビーム処理装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載のX線ビーム処理装置において、
    前記アナライザ支持手段と前記第2スリットとの間に配置されたソーラスリット支持手段を有し、
    該ソーラスリット支持手段は、前記基準平面と直交する方向へのX線の発散を規制するソーラスリットを着脱可能に支持する
    ことを特徴とするX線ビーム処理装置。
  4. X線の進行方向に関して試料の下流側に配置されたX線ビーム処理手段と、該X線ビーム処理手段の下流側に配置されたX線検出手段とを有するX線受光システムであって、
    前記X線ビーム処理手段は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のX線ビーム処理装置である
    ことを特徴とするX線受光システム。
  5. 請求項3を引用する請求項4記載のX線受光システムにおいて、前記ソーラスリット支持手段、前記第2スリット、前記X線検出手段を一体に移動させる検出ユニット移動手段を有し、
    前記スリット位置移動手段は前記検出ユニット移動手段である
    ことを特徴とするX線受光システム。
  6. 試料に照射されるX線を発生するX線源と、
    前記試料から出るX線を検出するX線検出手段と、
    前記試料と前記X線検出手段との間に配置されたX線ビーム処理手段とを有するX線分析装置において、
    前記X線ビーム処理手段は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のX線ビーム処理装置である
    ことを特徴とするX線分析装置。
  7. 請求項6記載のX線分析装置において、前記スリット位置移動手段によって移動させられる前記スリットは前記試料から出たX線の集光点に配置されることを特徴とするX線分析装置。
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