JP2007009970A - クランク形金属ガスケット - Google Patents
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Abstract
【課題】 フランジの締め付け力によって、フランジとの接触位置や角度が変化せず、フランジへの損傷が小さいクランク形金属ガスケットを提供する。
【解決手段】 一対の平坦面間に装着される環状金属ガスケットであって、内周管と、該内周管より大径の外周管と、該内周管と該外周管を接続する中間基部とで形成される断面がクランク形状であり、
t0≦L0、t1≦L1、t2≦L2 (1)
t0≦L1、t0≦L2 (2)
t0≦t1≦L0、t0≦t2≦L0 (3)
(式中、t0は中間基部の厚さ、L0は中間基部の長さ、t1は内周管の厚さ、t2は外周管の厚さ、L1は内周管の高さ、L2は外周管の高さ。)の条件を満たす。
【選択図】 図2
【解決手段】 一対の平坦面間に装着される環状金属ガスケットであって、内周管と、該内周管より大径の外周管と、該内周管と該外周管を接続する中間基部とで形成される断面がクランク形状であり、
t0≦L0、t1≦L1、t2≦L2 (1)
t0≦L1、t0≦L2 (2)
t0≦t1≦L0、t0≦t2≦L0 (3)
(式中、t0は中間基部の厚さ、L0は中間基部の長さ、t1は内周管の厚さ、t2は外周管の厚さ、L1は内周管の高さ、L2は外周管の高さ。)の条件を満たす。
【選択図】 図2
Description
本発明は、半導体製造装置や原子力装置などで使用される高真空機器において、流体の漏れを防止するために用いられるクランク形金属ガスケットに関する。
従来、半導体製造装置等では高い気密性を得る目的で各種の金属ガスケット が使用されている。従来の金属ガスケットは一般的に締付力が高いため、フランジ等の相手部材に損傷を与えるという問題がある。金属ガスケットはシール部を局所的に塑性変形させて封止するものであるが、金属の剛性が高いため、少しでも過剰な締付となると、締付力をそのままフランジが受けてしまい、フランジの損傷を招来することになる。
これを解決するものとして、特開2004−52900号公報には、中間基部3と、平坦面の一方に当接する第1接触凸部11と、平坦面の他方に当接する第2接触凸部12と、を備え、第1接触凸部11を中間基部3の内径寄りに突設し、第2接触凸部12を中間基部3の外径寄りに突設して、装着圧縮状態にて一対の平坦面から受ける押圧力によって、中間基部を中心に回転する捩れ弾性変形を生ずるように構成された環状の金属ガスケットが開示されている。
特開2004−52900号公報記載の金属ガスケット100は、図17に示すように、相手部材であるフランジ107の平坦面101と、相手部材であるフランジ108の平坦面102が相互に接近して装着圧縮状態となると、一対の平坦面101、102から受ける押圧力F1、F2 によって、中間基部103を中心にガスケット全体が倒れて(回転して)、捩れ弾性変形を生ずる。この捩れ弾性変形は、一対の平坦面101、102が分離すると元の状態に復元するというものである。このため、金属ガスケット100は、締付力が小さく、且つ復元力が大きく、常に安定したシール性を発揮する。
特開2004−52900号公報(請求項1、図2、図3、図9、図10)
しかしながら、この金属ガスケット100は、回転することで弾性変形が生じるため、フランジの締め付けに合わせてガスケット全体が回転し、フランジとの接触部分K1、K2は、フランジ面を損傷しながら移動することになる。従って、フランジ等の相手部材を再使用する場合、補修に時間と労力がかかり、維持費用を押し上げるという問題があった。また、フランジの締め付け力(締め付け量)によって、ガスケットの回転角度が異なるため、フランジとの接触部分K1、K2の位置が凸部の中で変化する。このため、接触部分が変化してもシール性に影響せず、更にフランジに損傷を与えないよう、凸部全体の形状を精度良く且つ凸部の表面の粗さを小さく滑らかにしなければならず、品質保持の面で負担が大きいという問題があった。また、図18に示すように凸部が角張った矩形断面のものであれば、シャープなエッジ123、124が平坦面101、102に食い込むため損傷させる。
従って、本発明の目的は、フランジの締め付け力によって、フランジとの接触位置や角度が変化せず、フランジへの損傷が小さいクランク形金属ガスケットを提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、内周管と、該内周管より大径の外周管と、該内周管と該外周管を接続する中間基部とで形成される断面がクランク形状であって、中間基部の厚さと長さ、内周管の厚さと高さ及び外周管の厚さと高さが、所定の条件を満たす特定の形状構造を有する金属ガスケットであれば、フランジの締め付け力によって、フランジとの接触位置や角度が変化せず、且つフランジへの損傷が小さいことなどを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、対向する平行な一対の平坦面間に装着される環状金属ガスケットであって、内周管と、該内周管より大径の外周管と、該内周管と該外周管を接続する中間基部とで形成される断面がクランク形状であり、次式(1)〜(3);
t0≦L0、t1≦L1、t2≦L2 (1)
t0≦L1、t0≦L2 (2)
t0≦t1≦L0、t0≦t2≦L0 (3)
(式中、t0は中間基部の厚さ、L0は中間基部の長さ、t1は内周管の厚さ、t2は外周管の厚さ、L1は内周管の高さ、L2は外周管の高さをそれぞれ示す。)
の条件を満たすことを特徴とする金属ガスケットを提供するものである。
t0≦L0、t1≦L1、t2≦L2 (1)
t0≦L1、t0≦L2 (2)
t0≦t1≦L0、t0≦t2≦L0 (3)
(式中、t0は中間基部の厚さ、L0は中間基部の長さ、t1は内周管の厚さ、t2は外周管の厚さ、L1は内周管の高さ、L2は外周管の高さをそれぞれ示す。)
の条件を満たすことを特徴とする金属ガスケットを提供するものである。
また、本発明は、第2の内周管及び第2の中間基部を更に有し、該第2の内周管、該第2の中間基部及び該外周管で形成される断面が更にクランク形状であり、該内周管が平坦面の一方に当接し、第2の内周管が平坦面の他方に当接することを特徴とする前記属ガスケットを提供するものである。
また、本発明は、第2の外周管及び第2の中間基部を更に有し、該第2の外周管、該第2の中間基部及び該内周管で形成される断面が更にクランク形状であり、該外周管が平坦面の一方に当接し、第2の外周管が平坦面の他方に当接することを特徴とする前記金属ガスケットを提供するものである。
また、本発明は、第3の中間基部及び第2の外周管を更に有し、該第2の内周管、該第3の中間基部及び該第2の外周管で形成される断面が更にクランク形状であり、該内周管が平坦面の一方に当接し、第2の外周管が平坦面の他方に当接することを特徴とする前記金属ガスケットを提供するものである。
また、本発明は、平坦面に当接する側の内周管及び外周管の端部の厚さt1’、t2’が、該内周管及び該外周管の中間部近傍の厚さt1、t2より大であることを特徴とする前記金属ガスケットを提供するものである。
また、本発明は、該内周管と同じ径であって、金属ガスケットの軸方向の当接する平坦面とは反対方向に該内周管と連続して延出する第IIの内周管を設けるか、又は該外周管と同じ径であって、金属ガスケットの軸方向の当接する平坦面とは反対方向に該外周管と連続して延出する第IIの外周管を設けるものであって、該第IIの内周管の高さが、該外周管の高さより小であり、該第IIの外周管の高さが、該内周管の高さより小であり、該内周管及び該外周管の端部がフランジの平坦面と接触した後に第IIの内周管の端部及び第IIの外周管の端部がそれぞれフランジの平坦面と接触することを特徴とする前記金属ガスケットを提供するものである。
また、本発明は、該中間基部が、該内周管及び該外周管に対して傾斜しているか、又は波状断面形状であることを特徴とする前記金属ガスケットを提供し、また、本発明は、該中間基部の材質が、ばね鋼であることを特徴とする前記金属ガスケットを提供し、また、本発明は、該内周管及び該外周管の平坦面との接触面は、角部を面取りまたはアール加工するか、又は突起を設けて平坦面との接触面積を小さくしたことを特徴とする前記金属ガスケットを提供し、また、本発明は、金属ガスケットの全体、又は該内周管及び該外周管の平坦面との接触面及びその近傍は、軟質金属、ゴム又は樹脂で被覆される前記金属ガスケットを提供するものである。
本発明の金属ガスケットは、対応する一対の平坦面を有するフランジ間に装着し締め付けたとき、中間基部、あるいは中間基部とその近傍の内周管及び外周管のみ回転に伴う捩れ弾性変形を生じさせ、フランジの平坦面との接触部近傍の内周管及び外周管は接触位置や角度が変化せず、フランジへの損傷が小さい。このため、シール安定性が向上すると共に、分解後の補修に要する労力や費用が軽減される。
次に、本発明の第1の実施の形態における金属ガスケットを図1〜図5を参照して説明する。図1は本実施の形態例の金属ガスケットを上から見た図、図2は図1の概ねA−A線に沿って見た斜視図、図3及び図5は本例の金属ガスケットの変形例を示す端面図、図4は金属ガスケットを一対の平坦面間に装着し締め付けた際の変形を模式的に示した図である。図3の金属ガスケットは中間基部の厚さを内周管及び外周管の厚さより薄くしたものである。
金属ガスケット10は、不図示の対向する平行な一対の平坦面間に装着される環状ガスケットであって、直管形状の内周管11と、内周管11より大径の直管形状の外周管13と、内周管11の下端と外周管13の上端を接続する中間基部12とで形成される断面がクランク形状であり、次式(1)〜(3);
t0≦L0、t1≦L1、t2≦L2 (1)
t0≦L1、t0≦L2 (2)
t0≦t1≦L0、t0≦t2≦L0 (3)
(式中、t0は中間基部の厚さ、L0は中間基部の長さ、t1は内周管の厚さ、t2は外周管の厚さ、L1は内周管の高さ、L2は外周管の高さをそれぞれ示す。)の条件を満たすものである。
t0≦L0、t1≦L1、t2≦L2 (1)
t0≦L1、t0≦L2 (2)
t0≦t1≦L0、t0≦t2≦L0 (3)
(式中、t0は中間基部の厚さ、L0は中間基部の長さ、t1は内周管の厚さ、t2は外周管の厚さ、L1は内周管の高さ、L2は外周管の高さをそれぞれ示す。)の条件を満たすものである。
上記(1)式は内周管、外周管及び中間基部のそれぞれの部材内における厚みと長さを規定する(以下、「部材内形状規定」とも言う。)ものであり、各部材の厚みは長さと同じか又はそれ以下である。金属ガスケット10、10aにおける部材内形状規定は、1.5t0≦L0、1.5t1≦L1、1.5t2≦L2としてもよく、特に2t0≦L0、2t1≦L1、2t2≦L2としてもよく、更に中間基部の場合、3t0≦L0としてもよい。
上記(2)式は、クランク断面形状を構成するL字形状のガスケットの軸方向における寸法を規定する(以下、「L字形状軸方向規定」とも言う。)ものであり、中間基部12の厚みは内周管11又は外周管13の長さと同じ又はそれ以下である。金属ガスケット10、10aにおけるL字形軸方向規定は、1.5t0≦L1、1.5t0≦L2としてもよく、特に2.0t0≦L1、2.0t0≦L2としてもよい。
上記(3)式は、クランク断面形状を構成するL字形状の寸法を規定する(以下、「L字形状規定」とも言う。)ものである。金属ガスケット10、10aにおけるL字形状規定は、2.0t0≦2.0t1≦L0、2.0t0≦2.0t2≦L0としてもよく、特に3.0t0≦3.0t1≦L0、3.0t0≦3.0t2≦L0としてもよく、2.0t0≦t1≦L0、2.0t0≦t2≦L0としてもよく、特に3.0t0≦t1≦L0、3.0t0≦t2≦L0としてもよい。
第1の実施の形態例の金属ガスケット10、10aは、上記式(1)〜(3)に示す条件を共に満たす形状であるため、図4に示すように、一対の平坦面101、102間に装着し押圧力Fで締め付けたとき、中間基部12のみが、あるいは中間基部12と中間基部12に近い内周管11及び外周管13のみが回転に伴う捩れ弾性変形を生じさせ、平坦面101、102との接触部近傍の内周管及び外周管は接触位置111、121や角度が変化せず、平坦面への損傷が小さい。このため、シール安定性が向上すると共に、分解後の補修に要する労力や費用が軽減される。すなわち、従来の金属ガスケットは押圧力Fで締め付けたとき、ガスケット全体が回転して捩れ弾性変形を示すが、本例の金属ガスケット10、10aは、中間基部12のみに捩れ弾性変形が生じ、平坦面に当接する内周管11及び外周管13には捩れ弾性変形を及ぼさないようにしたものである。
第1の実施の形態例の変形例である金属ガスケット10bにおいて、金属ガスケット10aと異なる点は、内周管11a及び外周管13aの形成方法である。すなわち、金属ガスケット10bの内周管11a及び外周管13aは、ガスケットの軸方向長さを大きく採り、中間基部12方向にそれぞれ屈曲させる曲げ加工を施し、所定寸法の内周管11a及び外周管13aを形成させたものである。金属ガスケット10bにおいても金属ガスケット10aと同様の効果を奏する。
次に、第2の実施の形態例の金属ガスケットを図6(A)及び(B)を参照して説明する。図6(A)は本実施の形態例の金属ガスケットの一部の端面図であり、(B)は(A)の変形例である。図6(A)及び(B)において、図3と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。図6(A)における金属ガスケット10cは、金属ガスケット10aに対して、外周管13の下端に第2の中間基部12aの外側端を接続し、第2の中間基部12aの内側端に第2の内周管11bを接続し、第2の内周管11b、第2の中間基部12a及び外周管13で形成される断面をクランク形状としたものである。この場合、内周管11が平坦面の一方に当接し、第2の内周管11bが平坦面の他方に当接する。金属ガスケット10cにおける式(1)〜(3)の寸法は、内周管11、中間基部12及び外周管13で形成されるクランク断面形状に適用され、更に第2の内周管11b、第2の中間基部12a及び外周管13で形成されクランク断面形状に適用される。金属ガスケット10cにおいては、内周管11と第2の内周管11bは同一径の位置にあるが、これに限定されず、相互に異なる径の位置にあってもよい。金属ガスケット10cを、平坦面101、102間に装着し押圧力Fで締め付けたとき、金属ガスケット10aほどではないが、中間基部12及び中間基部12aが回転に伴う捩れ弾性変形を生じ、平坦面101、102との接触部近傍の内周管11及び第2の内周管11bは接触位置111、121や角度が変化せず、平坦面への損傷が小さい。
図6(B)における金属ガスケットは、金属ガスケット10cの断面形状が内周管11を軸に左右対称となったもの、すなわち、外周管13、中間基部12及び内周管11で形成される断面をクランク形状とし、更に内周管11、第2の中間基部12a及び第2の外周管13bで形成される断面を逆クランク形状としたものである。この場合、外周管13が平坦面の一方に当接し、第2の外周管13bが平坦面の他方に当接する。図6(B)における金属ガスケットも金属ガスケット10cと同様の効果を奏する。
次に、第3の実施の形態例の金属ガスケットを図7を参照して説明する。図7は本実施の形態例の金属ガスケットの一部の端面図である。図7において、図6と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。金属ガスケット10dは、金属ガスケット10cに対して、第2の内周管11bの下端に第3の中間基部12bの内側端を接続し、第3の中間基部12bの外側端に第2の外周管13bを接続し、第2の内周管11b、第3の中間基部12b及び第2の外周管13bで形成される断面をクランク形状としたものである。この場合、内周管11が平坦面の一方に当接し、第2の外周管13bが平坦面の他方に当接する。金属ガスケット10dにおける式(1)〜(3)の寸法は、内周管11、中間基部12及び外周管13で形成されるクランク断面形状に適用され、更に第2の内周管11b、第2の中間基部12a及び外周管13で形成されクランク断面形状に適用され、更に第2の内周管11b、第3の中間基部12b及び第2の外周管13bで形成されるクランク断面形状に適用される。金属ガスケット10dを、平坦面101、102間に装着し押圧力Fで締め付けたとき、中間基部12、中間基部12a及び中間基部12bが回転に伴う捩れ弾性変形を生じ、平坦面101、102との接触部近傍の内周管11び第2の外周管13bは接触位置111、121や角度が変化せず、平坦面への損傷が小さい。
次に、第4の実施の形態例の金属ガスケットを図8及び図9を参照して説明する。図8及び図9は本実施の形態例の金属ガスケットの一部の端面図である。図8及び図9において、図3と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。金属ガスケット10e及び10fにおいて、金属ガスケット10と異なる点は、内周管11c及び外周管13c、並びに内周管11d及び外周管13dを異径の単管形状としたものである。すなわち、金属ガスケット10e、10fの内周管11c及び外周管13c、並びに内周管11d及び外周管13dは、平坦面に当接する側の内周管及び外周管の端部の厚さt1’、t2’を、内周管11c及び外周管13cの中間部近傍の厚さt1、t2より大としたものである。金属ガスケット10e及び10fの場合、内周管11c及び外周管13c、並びに内周管11d及び外周管13dにおける長さは厚みが大である部分も含み、厚さは細い部分で決定される。本例の金属ガスケットの他の例としては、図13及び図14に示されるものが挙げられる。金属ガスケット10e及び10fによれば、金属ガスケット10と同様の作用効果を奏する他、平坦面と内周管及び外周管との当接面積が大であり、内周管及び外周管の厚みが大の部分の捩れ弾性変形は一層起こり難い。
金属ガスケット10e、10fのような異径内周管及び異径外周管を有する場合、式(1)〜(3)は以下の範囲としてもよい。すなわち、部材内形状規定は、1.2t0≦L0、1.2t1≦L1、1.2t2≦L2としてもよく、特に1.3t0≦L0、1.3t1≦L1、1.3t2≦L2としてもよい。また、L字形軸方向規定は、1.2t0≦L1、1.2t0≦L2としてもよく、特に1.3t0≦L1、1.3t0≦L2としてもよい。L字形状規定は、1.2t0≦1.2t1≦L0、1.2t0≦1.2t2≦L0としてもよく、特に1.3t0≦1.3t1≦L0、1.3t0≦1.3t2≦L0としてもよい。
次に、第5の実施の形態例の金属ガスケットを図10及び図11を参照して説明する。図10及び図11は本実施の形態例の金属ガスケットの一部の端面図である。図10及び図11において、図3と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。金属ガスケット10gにおいて、金属ガスケット10と異なる点は、内周管11g及び外周管13gの形状である。すなわち、金属ガスケット10gの内周管11g及び外周管13gは、内周管11と同じ径であって、金属ガスケットの軸方向の当接する側の平坦面とは反対方向に内周管11と連続して延出する第IIの内周管11hと、外周管13と同じ径であって、金属ガスケットの軸方向の当接する平坦面とは反対方向に外周管13と連続して延出する第IIの外周管13hを設けるものであって、第IIの内周管11hの高さL3が、外周管13の高さL2より小であり、第IIの外周管13hの高さL4が、内周管11の高さL1より小であり、内周管11及び外周管13の端部がフランジの平坦面と接触した後に第IIの内周管11hの端部及び第IIの外周管13hの端部がそれぞれフランジの平坦面と接触する。金属ガスケット10gによれば、金属ガスケット10と同様の作用効果を奏する他、過度の圧縮を防止することができる。
金属ガスケット10hにおいて、金属ガスケット10gと異なる点は、内周管11e及び外周管13eの形成方法である。すなわち、金属ガスケット10hの内周管11e及び外周管13eは、ガスケットの軸方向長さを大きく採り、中間基部12方向にそれぞれ屈曲させる曲げ加工を施して、所定寸法としたものである。金属ガスケット10hにおいても金属ガスケット10gと同様の効果を奏する。
次に、第6の実施の形態例の金属ガスケットを図12を参照して説明する。図12(A)〜(C)は本実施の形態例の金属ガスケット一部の端面図である。図12において、図3と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。金属ガスケット10i〜10kにおいて、金属ガスケット10と異なる点は、中間基部12c〜12eの形状である。すなわち、金属ガスケット10i〜10kの中間基部12c〜12eは、内周管11及び外周管13に対して、それぞれ外側に下り傾斜状の基板、内側に下り傾斜状の基板、又は波状断面形状の基板としたものである。外側に下り傾斜状の場合、内周管11と中間基部12cの傾斜角度は、図中のものに限定されず、90度を超え、160度以下の範囲で適宜選定される。金属ガスケット10kの中間基部12eにおける厚さt0は、波状断面形状を形成する部材の厚さを言い、中間基部12eの長さ寸法は波状に沿った長さ、すなわち、波状を展開して平板状にした場合の長さを言う。金属ガスケット10i〜10kによれば、中間基部の実質的な展開長さが長くなり、中間基部12eにおける捩れ弾性を許容する範囲が大となり、締付力を大きくできる。
本発明の金属ガスケットにおける環状形状としては、特に制限されず、円形、楕円形、矩形および不定形のものが挙げられ、このうち、円形が汎用形態である。本発明の金属ガスケットの材質としては、特に制限されないが、中間基部の材質をばね鋼とし、中間基部以外の部材の材質をばね鋼以外の材質、例えばステンレス鋼とすれば、中間基部において更に大きな捩れ弾性を得ることができる。また、本発明の金属ガスケットは、内周管及び外周管の平坦面との接触面を、角部を面取りまたはアール加工するか、又は突起を設けて平坦面との接触面積を小さくすれば、接触圧力が高くなり、シール性が一層高まる。また、本発明の金属ガスケットは、金属ガスケットの表面全体を被覆材で被覆するか、又は内周管及び外周管の平坦面との接触面とその近傍を被覆材で被覆することができる。被覆材としては、例えば軟質金属、硬質ゴム又は硬質樹脂が挙げられる。なお、被覆材が形成される金属ガスケットにおける式(1)〜(3)は、被覆材を除外した金属部分における寸法を言う。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
図13に示す形状及び下記ディメンジョンのクランク形金属ガスケットAを製作した。なお、内周管及び外周管の平坦面との当接面には突起を設けた。突起は設置位置が細径の内周管又は細径の外周管の径方向の中心位置となるように太径部に設けた。クランク形金属ガスケットAについて、シール試験を行うと共に、シール試験後のフランジ平坦面のガスケット痕を観察した。その結果を表1に示す。
・ 金属ガスケットの材質;SUS316L
・ 寸法(mm);内径φ58.0、t0=t1=t2=1.0、L0=1.5、
L1=L2=2.5、t1’=t2’=3.0、t3(突起高さ)=0.2、突起上底幅=0.1、突起下底幅=0.2
・ 寸法(mm);内径φ58.0、t0=t1=t2=1.0、L0=1.5、
L1=L2=2.5、t1’=t2’=3.0、t3(突起高さ)=0.2、突起上底幅=0.1、突起下底幅=0.2
図15に示す形状及び下記ディメンジョンのクランク形金属ガスケットBを製作した。なお、内周管及び外周管の平坦面との当接面には突起を設けた。クランク形金属ガスケットBについて、シール試験を行うと共に、シール試験後のフランジ平坦面のガスケット痕を観察した。その結果を表1に示す。
・ 金属ガスケットの材質;SUS316L
・ 被覆材の材質;PFA樹脂
・ 寸法(mm);内径φ58.0、t0=1.1、t1=t2=1.3、L0=1.7、L1=L2=2.0、t1’=t2’=3.5、t3(突起高さ)=0.2、突起上底幅=0.1、突起下底幅=0.2
・ 被覆材の材質;PFA樹脂
・ 寸法(mm);内径φ58.0、t0=1.1、t1=t2=1.3、L0=1.7、L1=L2=2.0、t1’=t2’=3.5、t3(突起高さ)=0.2、突起上底幅=0.1、突起下底幅=0.2
図14に示す形状及び下記ディメンジョンのクランク形金属ガスケットCを製作した。すなわち、内周管及び外周管の平坦面との当接面に突起を設けず、当接面及びその近傍にPFA樹脂の被覆材19で被覆した以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示す。但し被覆層厚みt4は0.2mmとした。
図16に示す形状及び下記ディメンジョンのクランク形金属ガスケットDを製作した。すなわち、内周管及び外周管の平坦面との当接面に突起を設けず、当接面及びその近傍にPFA樹脂の被覆材19で被覆した以外は、実施例2と同様の方法で行った。その結果を表1に示す。但し被覆層厚みt4は0.2mmとした。
被覆材を使用しなかった以外は、実施例3と同様の方法で行い、クランク形金属ガスケットEを製作した。その結果を表1に示す。
被覆材を使用しなかった以外は、実施例4と同様の方法で行い、クランク形金属ガスケットFを製作した。その結果を表1に示す。
比較例1
図18に示す形状及び下記ディメンジョンのクランク形金属ガスケットGを製作した。クランク形金属ガスケットGについて、シール試験を行うと共に、シール試験後のフランジ平坦面の損傷状況を観察した。その結果を表1に示す。
図18に示す形状及び下記ディメンジョンのクランク形金属ガスケットGを製作した。クランク形金属ガスケットGについて、シール試験を行うと共に、シール試験後のフランジ平坦面の損傷状況を観察した。その結果を表1に示す。
・ 金属ガスケットの材質;SUS316L
・ 寸法(mm);内径φ58.0、t0=1.0 、t1=t2=0.8 、L0=0.2、L1=L2=0.2
・ 寸法(mm);内径φ58.0、t0=1.0 、t1=t2=0.8 、L0=0.2、L1=L2=0.2
(シール試験)
フランジにガスケットを挟み、ボルトを所定トルク値まで締め付け試験体とし、試験体外側をHeガスのみで充満するように覆い、試験体内部をHeリークディテクタと直結して、真空吸引し、外部から内部へガスケットを通過してゆくHeガスの量(漏洩量)をHeリークディテクタで測定するように行う(外覆法)。その後、測定した試験体を150℃、70時間加熱し、常温まで冷却させシール試験を行う(1回目)。さらに、もう1回、試験体を150℃、70時間加熱し常温まで冷却させシール試験を行う(2回目)。次に、試験体のガスケットのみを交換し、同様の試験を3回繰り返す。表1中、繰り返し回数順に、1個目、2個目、3個目と表示した。
フランジにガスケットを挟み、ボルトを所定トルク値まで締め付け試験体とし、試験体外側をHeガスのみで充満するように覆い、試験体内部をHeリークディテクタと直結して、真空吸引し、外部から内部へガスケットを通過してゆくHeガスの量(漏洩量)をHeリークディテクタで測定するように行う(外覆法)。その後、測定した試験体を150℃、70時間加熱し、常温まで冷却させシール試験を行う(1回目)。さらに、もう1回、試験体を150℃、70時間加熱し常温まで冷却させシール試験を行う(2回目)。次に、試験体のガスケットのみを交換し、同様の試験を3回繰り返す。表1中、繰り返し回数順に、1個目、2個目、3個目と表示した。
試験方法:外覆法(Heガス、Heリークディテクタ使用)
試験条件:JIS B 2290 真空装置用フランジ VF−40
(M8ボルト 4本 、締付トルク 20Nm/本)
評価方法;Heガスの漏洩量(Pa m3/秒)
試験条件:JIS B 2290 真空装置用フランジ VF−40
(M8ボルト 4本 、締付トルク 20Nm/本)
評価方法;Heガスの漏洩量(Pa m3/秒)
表1から明らかなように、式(1)〜(3)の条件を満たす実施例1〜6は安定なシール性を発揮すると共に、シール試験後、分解して観察されるフランジ面のガスケット痕はなかった。一方、比較例1はガスケット1個目のシール性が実施例1,2と同程度であるものの、2個目、3個目のシール性が悪く、シール試験後、分解して観察されるフランジ面にもガスケット痕が観察された。このガスケット痕はフランジを再使用する場合には補修を行う必要があるような損傷具合であった。
10、10a〜10m 金属ガスケット
11、11a〜11m 内周管
12、12a〜12m 中間基部
13、13a〜13m 外周管
11、11a〜11m 内周管
12、12a〜12m 中間基部
13、13a〜13m 外周管
Claims (10)
- 対向する平行な一対の平坦面間に装着される環状金属ガスケットであって、内周管と、該内周管より大径の外周管と、該内周管と該外周管を接続する中間基部とで形成される断面がクランク形状であり、次式(1)〜(3);
t0≦L0、t1≦L1、t2≦L2 (1)
t0≦L1、t0≦L2 (2)
t0≦t1≦L0、t0≦t2≦L0 (3)
(式中、t0は中間基部の厚さ、L0は中間基部の長さ、t1は内周管の厚さ、t2は外周管の厚さ、L1は内周管の高さ、L2は外周管の高さをそれぞれ示す。)
の条件を満たすことを特徴とする金属ガスケット。 - 第2の内周管及び第2の中間基部を更に有し、該第2の内周管、該第2の中間基部及び該外周管で形成される断面が更にクランク形状であり、該内周管が平坦面の一方に当接し、第2の内周管が平坦面の他方に当接することを特徴とする請求項1記載の金属ガスケット。
- 第2の外周管及び第2の中間基部を更に有し、該第2の外周管、該第2の中間基部及び該内周管で形成される断面が更にクランク形状であり、該外周管が平坦面の一方に当接し、第2の外周管が平坦面の他方に当接することを特徴とする請求項1記載の金属ガスケット。
- 第3の中間基部及び第2の外周管を更に有し、該第2の内周管、該第3の中間基部及び該第2の外周管で形成される断面が更にクランク形状であり、該内周管が平坦面の一方に当接し、第2の外周管が平坦面の他方に当接することを特徴とする請求項2記載の金属ガスケット。
- 平坦面に当接する側の内周管及び外周管の端部の厚さt1’、t2’が、該内周管及び該外周管の中間部近傍の厚さt1、t2より大であることを特徴とする請求項1記載の金属ガスケット。
- 該内周管と同じ径であって、金属ガスケットの軸方向の当接する平坦面とは反対方向に該内周管と連続して延出する第IIの内周管を設けるか、又は該外周管と同じ径であって、金属ガスケットの軸方向の当接する平坦面とは反対方向に該外周管と連続して延出する第IIの外周管を設けるものであって、該第IIの内周管の高さが、該外周管の高さより小であり、該第IIの外周管の高さが、該内周管の高さより小であり、該内周管及び該外周管の端部がフランジの平坦面と接触した後に第IIの内周管の端部及び第IIの外周管の端部がそれぞれフランジの平坦面と接触することを特徴とする請求項1記載の金属ガスケット。
- 該中間基部が、該内周管及び該外周管に対して傾斜しているか、又は波状断面形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の金属ガスケット。
- 該中間基部の材質が、ばね鋼であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の金属ガスケット。
- 該内周管及び該外周管の平坦面との接触面は、角部を面取りまたはアール加工するか、又は突起を設けて平坦面との接触面積を小さくしたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の金属ガスケット。
- 金属ガスケットの全体、又は該内周管及び該外周管の平坦面との接触面及びその近傍は、軟質金属、ゴム又は樹脂で被覆されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の金属ガスケット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005189362A JP2007009970A (ja) | 2005-06-29 | 2005-06-29 | クランク形金属ガスケット |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005189362A JP2007009970A (ja) | 2005-06-29 | 2005-06-29 | クランク形金属ガスケット |
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JP2007009970A true JP2007009970A (ja) | 2007-01-18 |
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JP2005189362A Pending JP2007009970A (ja) | 2005-06-29 | 2005-06-29 | クランク形金属ガスケット |
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JP (1) | JP2007009970A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018080831A (ja) * | 2016-11-04 | 2018-05-24 | プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー | 真空シール、ダブルシール、真空システム及び真空ポンプ |
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2005
- 2005-06-29 JP JP2005189362A patent/JP2007009970A/ja active Pending
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