JP2007009960A - 回転部の潤滑構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸と軸受と間の異物をその間から好適に除去して回転抵抗の増大を極力抑制することのできる回転部の潤滑油構造を提供する。
【解決手段】クランクピン13の外周面には、油孔16と回転部20の外部とを連通する溝17が形成されている。この溝17は油孔16からクランクピン13の回転軸方向に延伸して一方のベアリングメタル14の端面に開口している。また、この溝17は、その幅が油孔16から各ベアリングメタル14,15の端面に向かうほど徐々に小さくなっている。
【選択図】 図2
【解決手段】クランクピン13の外周面には、油孔16と回転部20の外部とを連通する溝17が形成されている。この溝17は油孔16からクランクピン13の回転軸方向に延伸して一方のベアリングメタル14の端面に開口している。また、この溝17は、その幅が油孔16から各ベアリングメタル14,15の端面に向かうほど徐々に小さくなっている。
【選択図】 図2
Description
この発明は、軸と軸受とにより構成される回転部の摺動面に潤滑油を供給するための回転部の潤滑構造に関する。
従来、例えば内燃機関のクランクシャフトとコネクティングロッドとを連結する回転部においては、膨張行程で発生する荷重を受け止め、接触面の摩耗の損失を少なくするため、クランクピンとコネクティングロッド大端部の間にベアリングメタルを配設するようにしている。クランクシャフトの内部には複数の油通路が形成されており、クランクピンにはその外周面に開口して上記油通路から油が供給される油孔が形成されている。そして、この油孔からクランクピンとベアリングメタルとの間には潤滑油が供給されるようになっている。
ところで、これらクランクピンとベアリングメタルとの間に金属粉等の異物が混入すると、この異物により両者の潤滑性が低下するようになり、回転抵抗の増大や焼き付きといった不都合が生じる。
そこで、従来では、例えばベアリングメタルの内周面に凹部を形成し、クランクピンとベアリングメタルとの間に混入した異物をこの凹部に進入させて捕捉するようにしたものが提案されている(特許文献1等)。
実開昭62−13222
このようにベアリングメタルの内周面に形成された凹部によって金属粉等の異物を捕捉することにより、クランクピンとベアリングメタルとの潤滑性は一時的には確保できるようになる。しかしながら、この捕捉された金属粉が凹部から再びそれらクランクピンとベアリングメタルとの摺動部分に移動してしまうことがあり、特に同凹部に捕捉される異物の量が増大した場合にはこうした現象が一層顕著なものとなる。また、凹部の大きさを増大させることにより、異物捕捉機能を高めることもできるが、このような構成を採用した場合には、クランクピンとベアリングメタルとの摺動面積が減少して面圧の上昇が避けられないものとなる。
尚、クランクピン及びベアリングメタルからなる回転部について説明したが、こうした不都合は同構成に限らず、その他の回転部において概ね共通して発生し得る。
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸と軸受と間の異物をその間から好適に除去して回転抵抗の増大を極力抑制することのできる回転部の潤滑構造を提供することにある。
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸と軸受と間の異物をその間から好適に除去して回転抵抗の増大を極力抑制することのできる回転部の潤滑構造を提供することにある。
以下、上記目的を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、軸の外周面に開口する油孔を介して軸と軸受との間に潤滑油を供給する回転部の潤滑構造において、前記軸の外周面には、前記油孔から軸受の端面にまで延伸してその油孔と回転部の外部とを連通する溝が形成されることをその特徴とする。
請求項1に記載の発明は、軸の外周面に開口する油孔を介して軸と軸受との間に潤滑油を供給する回転部の潤滑構造において、前記軸の外周面には、前記油孔から軸受の端面にまで延伸してその油孔と回転部の外部とを連通する溝が形成されることをその特徴とする。
同構成によれば、軸の外周面には油孔から軸受の端部にまで伸びる溝が形成されているため、軸と軸受の間に金属粉等の異物が噛み込まれても、これがこの溝によって捕捉される。更に、この溝の中には油孔から回転部の外部に向かって潤滑油が流れているため、この流れにより、捕捉された溝内の異物は潤滑油とともに流れて外部に排出されるようになる。従って、軸受と軸の間に噛み込まれた異物の排出性を向上させ、溝の異物捕捉機能を長期間にわたって維持することができ、回転抵抗の増大を効果的に抑制することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転部の潤滑構造において、前記溝は前記軸の軸方向に延伸してなることを特徴とする。
油孔と回転部の外部とを連通する溝の長さは短いほど異物がその溝内に滞留する可能性が低くなる。上記構成によれば、溝を軸の軸方向に延伸しているため、その溝の長さを極力短くすることができ、異物の排出性を更に向上させることができるようになる。
油孔と回転部の外部とを連通する溝の長さは短いほど異物がその溝内に滞留する可能性が低くなる。上記構成によれば、溝を軸の軸方向に延伸しているため、その溝の長さを極力短くすることができ、異物の排出性を更に向上させることができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の回転部の潤滑構造において、前記溝は、軸受に対する軸の相対回転方向と反対側に傾斜して延伸してなることを特徴とする。
同構成によれば、上記溝内の潤滑油は、軸受に対する軸の相対回転方向と反対側に傾いて流れる。従って、溝を流れる潤滑油の速度に、軸の回転速度成分が加わることになり、前記溝に対する潤滑油の相対流速は大きくなる。その結果、溝内の異物についてその排出性を一層向上させることができるようになる。
同構成によれば、上記溝内の潤滑油は、軸受に対する軸の相対回転方向と反対側に傾いて流れる。従って、溝を流れる潤滑油の速度に、軸の回転速度成分が加わることになり、前記溝に対する潤滑油の相対流速は大きくなる。その結果、溝内の異物についてその排出性を一層向上させることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転部の潤滑構造において、前記溝はその通路断面積が前記油孔から軸受端面の開口に向かって徐々に小さくなるように形成されることを特徴とする。
同構成によれば、潤滑油が流れる方向に沿って溝の通路断面積が徐々に減少するため、これに併せて潤滑油の流速も増加するようになる。従って、この流速の増加によって、溝の開口から外部へと異物を好適に排出させることができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転部の潤滑構造において、前記軸は内燃機関のクランクシャフトに形成されるクランクピンであり、前記軸受は前記クランクピンを回転可能に支持するコネクティングロッドの軸受であることを特徴とする。
内燃機関において、クランクシャフトの内部には、その潤滑部分に潤滑油を供給するために複数の油通路が形成される。従って、この油通路の加工時に残存した金属粉等の異物がクランクピンとコネクティングロッドの軸受との間の摺動部分に混入しやすい。また、このクランクピンとコネクティングロッドの軸受との摺動部分には極めて大きな力が作用するため、その摺動部分が摩耗して金属粉が発生する場合もある。そして、こうしたクランクピンとコネクティングロッドとの摺動部分に異物が介在することによりその摺動抵抗が増大してしまうと、回転抵抗の増加、それに起因する内燃機関の燃費悪化を招く要因となる。
上記構成によれば、こうしたクランクピンとコネクティングロッドとの連結部分に発生する異物を好適に外部に排出することができ、クランクシャフトとコネクティングロッドとの回転抵抗が増大するのを抑えて、これに起因する内燃機関の燃費悪化を抑制することができるようになる。
以下、本発明にかかる回転部の潤滑構造を内燃機関のクランクシャフトとコネクティングロッドとを連結するための回転部に適用するようにした実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、コネクティングロッド10の大端部11と、クランクシャフト12に形成されたクランクピン13との連結部を示す正面図である。図2は、この図1のA―A線に沿った断面図である。
図1及び図2に示されるように、クランクピン13とコネクティングロッド10の大端部11との間には、断面半円状をなす一対のベアリングメタル14,15が配設されている。これらクランクピン13と一対のベアリングメタル14,15によって回転部20が構成されている。
クランクシャフト12の内部には、オイルポンプ(図示略)から油が供給される複数の油通路(図示略)が形成されている。また、クランクピン13の内部には、同クランクピン13の外周面に開口する油孔16が形成されている。この油孔16にはクランクシャフト12の内部に形成された油通路から潤滑油が供給される。クランクピン13とベアリングメタル14,15との間には油孔16から潤滑油が供給され、同部分の潤滑に供される。
また、クランクピン13の外周面には、油孔16と回転部20の外部とを連通する溝17が形成されている。図3は、この溝17の形成態様を示すクランクピン13の斜視図である。同図3に示されるように、この溝17は油孔16からクランクピン13の回転軸方向に延伸して一方のベアリングメタル14の端面に開口している。また、この溝17は、その幅Wが油孔16から各ベアリングメタル14,15の端面に向かうほど徐々に小さくなっている。
以上説明した本実施の形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)金属粉等の異物が潤滑油の流れに沿ってクランクピン13とベアリングメタル14,15の間に噛み込まれたときに、これがクランクピン13の外周面に形成された溝17によって捕捉される。更に、この溝17の中には油孔16から回転部20の外部に向かって潤滑油が流れているため、この流れにより、捕捉された溝17内の異物は潤滑油とともに流れて外部に排出されるようになる。従って、こうした異物の排出性を向上させ、溝17の異物捕捉機能を長期間にわたって維持することができ、回転抵抗の増大を効果的に抑制することができるようになる。そして、これに起因する内燃機関の燃費悪化を抑制することができるようになる。
(1)金属粉等の異物が潤滑油の流れに沿ってクランクピン13とベアリングメタル14,15の間に噛み込まれたときに、これがクランクピン13の外周面に形成された溝17によって捕捉される。更に、この溝17の中には油孔16から回転部20の外部に向かって潤滑油が流れているため、この流れにより、捕捉された溝17内の異物は潤滑油とともに流れて外部に排出されるようになる。従って、こうした異物の排出性を向上させ、溝17の異物捕捉機能を長期間にわたって維持することができ、回転抵抗の増大を効果的に抑制することができるようになる。そして、これに起因する内燃機関の燃費悪化を抑制することができるようになる。
(2)溝17は、クランクピン13の回転軸方向に延伸して外部に開口しているため、その長さを極力短く設定することができる。この溝17の長さが短いほど異物がその溝17内に滞留する可能性が低くなるため、異物の排出性を更に向上させることができるようになる。
(3)溝17の幅Wを、油孔16から各ベアリングメタル14,15の端面に向かうほど徐々に小さく設定している。従って、潤滑油が流れる方向に沿って溝17の通路断面積が徐々に小さくなり、潤滑油の流速も増加するようになる。その結果、溝17内の異物をその開口から外部へと好適に排出させることができるようになる。ここで、溝17の幅Wを一律に狭くした構成にあっては、同溝17を流れる潤滑油の流速を増加させてその異物排出性を向上させることはできるものの、溝17によって捕捉可能な異物の量が少なくなる。また、異物は溝17の開口近傍においてより多く滞留する傾向がある。この点、上記構成によれば、このように溝17の幅Wを一律に狭くした構成と比較して、溝17の異物捕捉機能と異物排出機能とを好適に両立させることができる。
(4)また、このように溝17の幅Wを開口近傍で絞るようにしているため、溝17を形成することに起因する油孔16の油圧低下を極力抑えることができる。従って、クランクピン13の外周面と各ベアリングメタル14,15の内周面との間に形成される油膜の厚さを不必要に薄くなることを抑制することができるようになる。
(5)クランクシャフト12の内部には、油通路の加工時に残存した金属粉等の異物がクランクピン13と各ベアリングメタル14,15との間の摺動部分に混入しやすい。また、このクランクピン13と各ベアリングメタル14,15との摺動部分には極めて大きな力が作用するため、その摺動部分が摩耗して金属粉が発生する場合もある。そして、このようにして摺動部分に異物が介在することによりその摺動抵抗が増大してしまうと、回転抵抗の増加、それに起因する内燃機関の燃費悪化を招く要因となる。本実施の形態によれば、こうした異物を好適に外部に排出することができ、回転抵抗の増大を抑えて、これに起因する内燃機関の燃費悪化を抑制することができるようになる。
なお、上記実施の形態は、以下のように構成を変更することができる。
・図4(a)は、クランクピン13の斜視図であり、同図4(b)は、図4(a)のB−B線に沿った断面図である。同図4に示されるように、溝17の幅Wを一定にするとともに、溝17の深さHを油孔16から各ベアリングメタル14,15の端面に向かうほど徐々に小さく設定することにより、溝17の開口近傍を絞るようにしてもよい。このような構成であっても、溝17を流れる潤滑油の流速を高めることができ、その開口近傍に滞留する異物を好適に外部に排出することができる。更にこの構成において、溝17の幅Wが開口側ほど小さくなるようにこれを併せて変化させるようにしてもよい。また、異物の排出性を維持できるのであれば、このように溝17の幅Wや深さHを変化させることなく、その通路断面積を一定に設定するようにしてもよい。
・図4(a)は、クランクピン13の斜視図であり、同図4(b)は、図4(a)のB−B線に沿った断面図である。同図4に示されるように、溝17の幅Wを一定にするとともに、溝17の深さHを油孔16から各ベアリングメタル14,15の端面に向かうほど徐々に小さく設定することにより、溝17の開口近傍を絞るようにしてもよい。このような構成であっても、溝17を流れる潤滑油の流速を高めることができ、その開口近傍に滞留する異物を好適に外部に排出することができる。更にこの構成において、溝17の幅Wが開口側ほど小さくなるようにこれを併せて変化させるようにしてもよい。また、異物の排出性を維持できるのであれば、このように溝17の幅Wや深さHを変化させることなく、その通路断面積を一定に設定するようにしてもよい。
・図5に示されるように、溝17を各ベアリングメタル14,15に対するクランクピン13の相対回転方向と反対側に傾斜して延伸するように構成してもよい。同構成によれば、溝17内の潤滑油は、各ベアリングメタル14,15に対するクランクピン13の相対回転方向と反対側に傾いて流れるようになる。従って、溝17を流れる潤滑油の速度に、クランクピン13の回転速度成分が加わることになるため、溝17に対する潤滑油の相対流速は大きくなる。その結果、溝17の異物についてその排出性を一層向上させることができるようになる。また、上述したように溝17の通路断面積を変化させる構成をこの構成に適用することもできる。
10…コネクティングロッド、11…大端部、12…クランクシャフト、13…クランクピン、14,15…ベアリングメタル(軸受)、16…油孔、17…溝、20…回転部、W…溝の幅、H…溝の深さ。
Claims (5)
- 軸の外周面に開口する油孔を介して軸と軸受との間に潤滑油を供給する回転部の潤滑構造において、
前記軸の外周面には、前記油孔から軸受の端面にまで延伸してその油孔と回転部の外部とを連通する溝が形成される
ことを特徴とする回転部の潤滑構造。 - 請求項1に記載の回転部の潤滑構造において、
前記溝は前記軸の軸方向に延伸してなる
ことを特徴とする回転部の潤滑構造。 - 請求項1に記載の回転部の潤滑構造において、
前記溝は、軸受に対する軸の相対回転方向と反対側に傾斜して延伸してなる
ことを特徴とする回転部の潤滑構造。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転部の潤滑構造において、
前記溝はその通路断面積が前記油孔から軸受端面の開口に向かって徐々に小さくなるように形成される
ことを特徴とする回転部の潤滑構造。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転部の潤滑構造において、
前記軸は内燃機関のクランクシャフトに形成されるクランクピンであり、前記軸受は前記クランクピンを回転可能に支持するコネクティングロッドの軸受である
ことを特徴とする回転部の潤滑構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005188791A JP2007009960A (ja) | 2005-06-28 | 2005-06-28 | 回転部の潤滑構造 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011163499A (ja) * | 2010-02-12 | 2011-08-25 | Kondo Kosakusho Co Ltd | 自動車エンジン用の組立式クランクシャフトおよび組立方法 |
WO2017029018A1 (de) * | 2015-08-14 | 2017-02-23 | Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft | Kurbelwelle mit ölnut |
-
2005
- 2005-06-28 JP JP2005188791A patent/JP2007009960A/ja active Pending
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