JP2007008904A - 高血圧症予防・改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 GABAを含有し、かつ相乗・相加効果により、GABA単独の場合と比較して少量のGABAで優れた血圧降下作用を持つ高血圧症予防・改善剤を提供する。
【解決手段】 アスパラガスから得られる組成物を有効成分とすることを特徴とする高血圧症予防・改善剤であって、好ましくは、アスパラガスから得られる組成物が、アスパラガスにγ−アミノ酪酸の含有量を高めるための富化処理を施したものである前記の高血圧症予防・改善剤およびこれを含有することを特徴とする飲食品。
【選択図】図2
【解決手段】 アスパラガスから得られる組成物を有効成分とすることを特徴とする高血圧症予防・改善剤であって、好ましくは、アスパラガスから得られる組成物が、アスパラガスにγ−アミノ酪酸の含有量を高めるための富化処理を施したものである前記の高血圧症予防・改善剤およびこれを含有することを特徴とする飲食品。
【選択図】図2
Description
本発明は、血圧降下作用に優れた高血圧症予防・改善剤及びそれを含有する飲食品に関するものである。
我が国の高血圧性疾患の患者数は、平成14年度の厚生労働省の患者調査概況によると約700万人と推定されている。また、平成16年度厚生労働省の人口動態統計よると、心筋梗塞、狭心症等の心疾患、脳梗塞、脳出血等の脳血管疾患は、高血圧と非常に深い関係があり、日本人の死亡原因の2位と3位をそれぞれ占める。
高血圧の治療法としては、食事療法・運動療法・薬物療法がある。薬物療法は、食事療法・運動療法で効果が認められない重症患者に対して行うものであり、しかも、耐糖能低下、徐脈、起立性低血圧、頻脈、動悸、乾咳等の副作用の恐れがある。このことから、高血圧症患者の治療・予防法としては食事療法・運動療法が一般となる。運動療法や塩分の摂取制限等の食事療法は根本的な原因の解消となるが、効果が現れるには長期的な継続が必要となり、困難を伴う場合が多い。そのため、比較的短期間で効果が現れ、日常的に摂取可能な血圧降下作用を持つ天然由来成分、およびその成分を含有する食品が重要視されるようになっている。このような成分の代表例としては、アンジオテンシン変換酵素(以下、ACEと略す。)阻害ペプチドとγ−アミノ酪酸(以下、GABAと略す。)が挙げられる。
しかしながら、前者は、例としてカツオ、イワシ、乳タンパク由来のペプチドが挙げられるが、苦味や独特の臭気を有するために、飲食品などの日常摂取しやすい形態への使用量が制限され、満足いく効果が得られるだけの量を摂取することは困難であった。また、十分な量のACE阻害ペプチドが摂取可能なサプリメント等の形態は、高価であり経済的に長期的摂取は困難なものであった。
一方、GABAは、哺乳類の脳や脊髄に存在する抑制性の神経伝達物質であり、経口摂取することで血圧を降下させることが多くの哺乳類で確認されている。しかも、この血圧降下作用は高血圧症を発症している者に対してのみ効果があり、健常者に対しては血圧を降下させず、低血圧症を引き起こすことがない。また、GABAは哺乳類の脳や脊髄以外にも、発芽玄米や茶葉等の植物、キムチやたくあん等の発酵食品中にも含有され食経験が豊富であり、また、医薬品としてグラム単位の静脈注射等が行われているが、GABA摂取による副作用の報告は無い。
このようにGABAは優れた血圧降下作用成分であるが、その効果をヒトで得るにはGABAを1日当たり10mg〜30mg摂取しなければならない。この量のGABAを摂取するには、例えば発芽玄米ならおよそ100g〜300g、キムチなら15g〜30g必要である。これだけの量を毎日取り続けるのは困難であり、また、これらの食品に嗜好性を持たない人はGABAの摂取が困難であった。
また、食品用途の純品GABAが販売されているが、これを十分量食品に配合するのは高価であり、経済的に長期継続は困難であった。GABAを十分量摂取しやすい形のサプリメントついても同様であった。
また、米胚芽、米糠、小麦胚芽などの中に元来含まれる酵素の作用を利用してGABA含量を高めた穀物(例えば、特許文献1及び2参照)、茶葉を嫌気処理することによって得られるGABA含量の高い茶葉(例えば、特許文献3参照)、トマト・カボチャ等の野菜などの中に含まれる酵素の作用を利用して得られるGABA富化組成物(例えば、特許文献4〜6参照)、GABAを乳酸菌や麹菌などの微生物に生産させて得られたGABA富化組成物(例えば、特許文献7〜9参照)、等のGABA富化食品もしくは組成物については、上記と同様十分量のGABAを摂取するのが困難である、GABA富化組成物を食品に配合する場合は味質や風味の変化のため日常摂取しやすい形態への使用量が制限される、高価であり経済的に長期継続は困難である等の問題があった。
特許第2590423号公報
特開2004−159617号公報
特許第3038373号公報
特公平7−12296号公報
特公平7−14333号公報
特開2001−252091号公報
特開2001−352940号公報
特開2003−70462号公報
特開平11−103825号公報
このような背景から、GABAを含有し、かつ相乗・相加効果により、GABA単独の場合と比較して少量のGABAで優れた血圧降下作用を持つ組成物の開発が求められており、本発明はこのような高血圧症予防・改善剤及びそれを含む飲食品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記した課題について鋭意検討した結果、アスパラガスの抽出液から得られる組成物中にGABAが多く含まれることを見出し、さらに血圧降下作用において、アスパラガス抽出組成物を摂取した場合、アスパラガス抽出組成物中に含まれるGABAと同量のGABAを単独で摂取した場合よりも優れていることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第一は、アスパラガスから得られる組成物を有効成分とすることを特徴とする高血圧症予防・改善剤を要旨とするものであり、好ましくは、アスパラガスから得られる組成物が、アスパラガスにγ−アミノ酪酸の含有量を高めるための富化処理を施したものである。
また、本発明の第二は、前記の高血圧症予防・改善剤を含有することを特徴とする飲食品を要旨とするものである。
本発明によれば、効果的に血圧の上昇を抑制することができ、高血圧の改善・予防が可能となる。また、効果の発現に必要なGABA摂取量が低減されるために、長期的な継続摂取が精神的にも経済的にも易しくなる。さらに、飲食品等に配合する際には、配合量が少なくてよいために、飲食品が本来持つ味質や風味を損なうことが無い。
本発明で用いられるアスパラガスは、本発明の効果を損なうものでない限りいかなるものでもよい。アスパラガスには日光に当てて栽培するグリーンアスパラガス、土などで遮光しながら栽培するホワイトアスパラガス、細く短いうちに刈り取りを行うミニアスパラガス、グリーンアスパラガスとは別種で紫色を呈するムラサキアスパラガスなどがあるが、これらの中ではアミノ酸やルチン等の栄養成分に富むグリーンアスパラガス、ムラサキアスパラガスが好ましく、コストが安いグリーンアスパラガスがさらに好ましい。
アスパラガスの産地は特に限定されず、国産でも海外からの輸入品でもよい。使用する部位も特に限定されず、若茎、地上茎、貯蔵根が使用できるがこれらの中で若茎が好ましい。若茎は根元部分でも先端部分でもよいが、商品となるアスパラガスの長さを揃える時にカットされた根元部分は安価で入手できることから最も好ましい。アスパラガスはそのまま使用してもよいし、破砕、切断、凍結乾燥、脱水などの処理を行った後に使用してもよい。
本発明におけるアスパラガスから得られる組成物とは、アスパラガスから得られるGABAを含有する組成物をいい、例えば、アスパラガスを直接、粉砕・細断・脱水・凍結乾燥・真空乾燥・噴霧乾燥等の公知技術のいずれか1つあるいは2つ以上を組み合わせて処理することにより得ることができる。
粉砕・細断は物理的にアスパラガスを細かく破砕する方法であり、粉砕は衝撃により、細断は切断によって破砕する。粉砕・細断は乳鉢や包丁、カッターナイフ、ハサミなどを用いて手作業で行っても良いが、大量のアスパラガスを短時間で処理しようとする場合には装置を使用する。そのような装置としては、例えば、ミル、ハンマー式粉砕機、ミキサー、ブレンダーなどが挙げられ、また野菜用の細断機を用いてもよい。粉砕・細断されたアスパラガスの大きさは特に限定されないが、2cm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
脱水は、アスパラガス中の水分を除く操作であり、圧搾、濾過、静置による沈殿の分離、遠心分離、加熱蒸発、凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。このうち、成分の損失、分解、変質の可能性が少ないという点で、凍結乾燥が好ましい。
凍結乾燥、真空乾燥は、気圧を低下させて沸点を低下させ、水分を気化させる方法である。噴霧乾燥は、溶液を微粒化して熱風と接触させる事で短時間での乾燥を可能にする操作である。
上記技術の組み合せの好ましい例としては、アスパラガスを凍結乾燥した後ミルを用いて粉砕する操作が挙げられる。
また、本発明におけるアスパラガスから得られる組成物は、上記の処理のほか、アスパラガスから水抽出、溶媒抽出、圧搾、酵素分解、超臨界抽出、濃縮、希釈、固液分離、精製等の公知の技術を単独あるいは組み合わせて得られるものであってもよい。以下、これらの操作について説明する。
水抽出は、水を加えてそこに成分を溶出させる方法である。加える水の量は特に限定されないが、アスパラガスに対して0.01〜100倍量が好ましく、0.5〜5倍量がより好ましい。水の量が0.01倍より少ないと抽出効率が落ち、100倍より多いと薄い抽出液しか得られず後に濃縮操作が必要になる場合がある。また、使用する水の温度は0℃〜100℃が好ましく、10℃〜80℃がより好ましい。水の温度が0℃より低い場合には抽出効率が低下する傾向があり、抽出温度が100℃より高い場合にはGABA以外の有効成分が分解してしまうおそれが生じる。
溶媒抽出は、アルコール類、炭化水素類、脂質類等の有機溶媒を用いて抽出する方法であり、使用する有機溶媒は本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、単独で用いてもよいし、他の溶媒と混合して使用してもよいし、水と混合して使用してもよい。好ましい有機溶媒の例としては、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサン、アセトン、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチルエーテル、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)が挙げられ、さらに好ましくは、エタノール、ヘキサン、アセトン、DMSO、グリセリンが挙げられる。加える有機溶媒の量は有機溶媒の種類にもより特に限定されないが、アスパラガスに対して0.01〜100倍量が好ましく、0.5倍〜5倍がより好ましい。有機溶媒の量が0.01倍より少ないと抽出効率が落ち、100倍より多いと薄い抽出液しか得られず後に濃縮操作が必要になる場合がある。また、使用する有機溶媒の温度は−20℃〜200℃が好ましく、0℃〜120℃がより好ましい。有機溶媒の温度が−20℃より低い場合には抽出効率が低下する傾向があり、抽出温度が200℃より高い場合には有効成分が分解してしまうおそれが生じる。
圧搾とは、アスパラガスに物理的な圧力をかけて、液を搾り出し、GABAを搾汁に移行せしめる方法である。圧力は一方向のみにかけてもよいし、二以上の方向からかけてもよく、せん断力を伴わせることもできる。圧搾の操作は市販の圧搾機を用いれば容易であるが、手搾り、足踏み搾りなど機械を用いない方法で行ってもよい。このとき、アスパラガスに水や湯を加えて圧搾してもよい。
酵素分解は、アスパラガスに酵素を作用させた後、固液分離してGABAをろ液に移行せしめる方法である。ここで酵素としては、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、食品用途として使用することを考慮すれば、食品用に使用できる酵素が好ましい。酵素の種類としては、特に限定されないが、アスパラガスの繊維質、ペクチン、多糖類などを分解し、効率良くGABAを取り出せるために、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、アラビナーゼ、アラバナーゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、デキストラナーゼなどが、蛋白質を分解し、遊離アミノ酸を多く回収するために、プロテアーゼ、ペプチダーゼなどが、グルタミン酸をGABAに変換するために、グルタミン酸デカルボキシラーゼなどが、グルタミンをグルタミン酸に変換するために、グルタミナーゼなどが使用できる。本発明における酵素分解においては、上記した酵素を一種類だけ用いてもよいし、二種以上を同時に又は連続して用いてもよい。
超臨界抽出とは、二酸化炭素や水を気液臨界点以上の圧力、温度にし、分子運動の盛んな超臨界流体とせしめ、これを抽出溶媒として使用するものである。本発明においては、超臨界流体は二酸化炭素が好ましい。超臨界抽出を行う際の温度は、31℃〜150℃が好ましく、31℃〜100℃がより好ましい。温度がこの範囲より高い場合、有用成分が分解する可能性があり、この範囲より低い場合、抽出効率が低下する問題がある。また、超臨界抽出を行う際の圧力は、7MPa〜50MPaが好ましく、7MPa〜30MPaがより好ましい。圧力がこの範囲より高い場合、有用成分の分解やコスト高、安全性に問題があり、圧力がこの範囲より低い場合には抽出効率が低下する傾向がある。
濃縮は、他の成分を減少させること無く水分量を減らす操作であり、減圧濃縮、加熱濃縮、濾過膜を用いた濃縮などいかなる方法で行ってもよいが、20℃〜60℃の範囲での減圧濃縮を行うことが好ましい。
固液分離とは、溶媒およびそこに溶解している成分と、不溶性の固形分を分離する方法であり、分離方法としては、例えばフィルターろ過、圧搾ろ過、遠心分離、デカンテーションなどあらゆる方法が使用できる。清澄なGABA含有組成物を得る場合には、珪藻土などのろ過助剤を使用したフィルターろ過を行うことが好ましい。また、さらに清澄な液を得る場合や微生物の除去を行う場合には、これをさらに1μm未満の孔径のメンブランフィルターろ過を行うことが好ましい。
精製とは、目的の成分を他の成分と分離する操作であり、方法としては、電気泳動分離、密度勾配遠心分離、逆浸透・限外濾過・透析等の膜分離、ゲル濾過・イオン交換・アフィニティー等のクロマトグラフィーが挙げられる。これら精製方法は本発明の効果を損なわない限りいかなるものでもよいが、GABA含量を高めるための精製には、強酸性陽イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィーが収率の高さ、簡便性といった点から最も望ましい。
以上のような処理により得られる、本発明におけるアスパラガスから得られる組成物の形態としては、水溶液、クリーム、懸濁液、ゲル、粉末、錠剤、カプセルなどが挙げられる。例としては、アスパラガスの茎最下部に水を1〜2倍量加え、70〜90℃で30〜60分間抽出を行った後、珪藻土などの濾過助剤を使用したフィルター濾過を行って得られた清澄濾液、あるいはこれを乾燥した粉末が好ましい。
本発明におけるアスパラガスから得られる組成物には、GABAをはじめ、その他のアミノ酸、多糖類、オリゴ糖類、D−グルコース、D−フルクトース、D−ガラクトース等の単糖類、タンパク質、ペプチド類、サポニン類、ポリフェノール類等が含有される。アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、リジン、アラニン、セリン、プロリンなどが比較的多く含まれる。
組成物中に含まれるGABAの重量%は、0.01重量%〜99.5重量%が好ましく、より好ましくは0.1重量%〜95重量%、更に好ましくは1重量%〜90重量%が好ましい。GABA重量%が0.01重量%を下回ると、効果を発揮するためには多量に摂取する必要があり、また、99.5%を上回ると、GABAに相乗相加効果をもたらす物質の含有量が低くなり、好ましくない。
また、アスパラガスから得られる組成物は、GABAの含有量を高めるため、アスパラガスに富化処理を施したものであるのが好ましい。この富化処理としては、公知の精製技術を利用する方法、市販のGABA純品(例えば、協和発酵社「GABA協和」)やGABA含有組成物(例えば、オリザ油化社「オリザギャバエキスHC−90」、ファーマフーズ研究所「ファーマギャバ」)を添加する方法、GABA生産菌を利用する方法、アスパラガスの内在酵素を利用する方法等が挙げられる。このうち、GABAと相乗・相加効果を発揮する成分が除かれる事が無い、コストが低い、といった点で、アスパラガス内在酵素を利用する方法が最も好ましい。
アスパラガス内在酵素を利用する方法とは、アスパラガス及び/又はアスパラガス抽出液を10℃〜50℃の環境下で処理する方法、アスパラガス及び/又はアスパラガス抽出液にグルタミン酸、グルタミン酸塩、ピリドキサルリン酸塩、塩酸ピリドキシンから選ばれる少なくとも1種類を添加し、10℃〜50℃の環境下で処理する方法等が挙げられる。
このような富化処理を施すことにより、組成物中は、前記成分のうちGABAの占める割合が増えることになり、また、添加した成分も含まれることになる。
本発明の高血圧症予防・改善剤は、上記のようにして得られた組成物をそのまま、あるいは他の成分とともに含むものである。本発明の高血圧症予防・改善剤組成物中に、アスパラガスから得られる組成物はそのGABA含有量にもよるが、0.1重量%〜100重量%、より好ましくは1重量%〜90重量%、更に好ましくは10重量%〜50重量%含有するのがよい。アスパラガスから得られる組成物の含有量が0.1重量%を下回ると、効果を発揮するためには多量に摂取する必要があり、好ましくない。
本発明の高血圧症予防・改善剤に含めることができる他の成分としては、血圧降下作用を増強させるために例えば、アンジオテンシンI変換酵素阻害活性ペプチド(例えば、イワシペプチド、カツオペプチド、マグロペプチド等の魚類由来ペプチド、ゼラチンペプチド等の肉類由来ペプチド、乳由来ペプチド、トウモロコシ、小麦、米、大豆由来ペプチド等の穀類由来ペプチド、等)、カルシウム、コエンザイムQ10、ホップ抽出物等をふくめてもよい。また、血管強化作用を付与するために、例えばルチン等を含めてもよく、血流改善作用を付与するために、例えば、DPA、EPA、α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、サポニン、硫化アリル等を含めてもよく、さらに、腎機能促進作用を付与するために、例えば、ビタミンE、カリウム等を含めてもよい。
本発明の高血圧症予防・改善剤中に含まれるGABAと、GABA以外のアスパラガスから得られる組成物の共存重量比率は、(GABA):(GABA以外のアスパラガスから得られる組成物)が1:0.005〜1:100が好ましく、より好ましくは1:0.05〜1:40、さらに好ましくは、1:0.1〜1:10である。GABA以外のアスパラガスから得られる組成物のGABAに対する比率が0.005を下回れば、相加相乗効果はほとんど得られず、100を上回れば、GABAの効果を発揮するためには多量に摂取する必要が生じてしまう。
本発明において、アスパラガスから得られる組成物の使用量は、そこに含まれるGABAの量が0.5mg〜100mg/日/人、特に好ましくは2mg〜10mg/日/人となるように、調節すればよい。この範囲内にあれば、血圧降下作用が十分に得ることができ、かつ、経済性においても優れている。特に、従来であれば10〜30mg/日/人は必要であったGABA摂取量がより少なくて済む。
本発明の高血圧症予防・改善剤は、その効果を損なわない限り、薬学的に許容される担体と共に、種々の剤形に製剤化できる。
剤形としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤等の経口用固形製剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの経口液体製剤が挙げられる。
経口用固形製剤を調整する際には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、着色剤等常法で用いられているものを用いればよく、そのような担体の例としては、賦形剤としては乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット、デキストリン、デンプン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、プルラン、無水ケイ酸、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等を、結合剤としては結晶セルロース、白糖、マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、水、エタノール等を、崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、結晶セルロース等を、滑沢剤としてはステアリン酸およびその金属塩、タルク、ホウ酸、脂肪酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、無水ケイ酸等を、矯味矯臭剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等を例示できる。
経口用液体製剤を調整する際には、緩衝剤、安定化剤、矯味矯臭剤等常法で用いられているものを用いればよく、緩衝剤としてはクエン酸塩、コハク酸塩等を、安定化剤としてはレシチン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロースを、矯味矯臭剤としては上記したものを例示できる。
本発明の第二の飲食品は、上記した本発明の第一の高血圧症予防・改善剤を含有するものであり、高血圧症予防・改善剤それ自体あるいは既存の飲料又は食品に含ませることにより得ることができる。
本発明の高血圧症予防・改善剤それ自体を飲食品とする場合は、例えば、上記した担体等を添加した後、常法により、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ゲル状、ペースト状、乳状、懸濁状、液状、飲料等の食用に適した形態に成形すればよい。また、味質の改善のために、本発明の効果を損なわない範囲で糖類、糖アルコール類、塩類、油脂類、アミノ酸類、有機酸類、果汁、野菜汁、香料、アルコール類、グリセリン等を添加することができる。
本発明の高血圧症予防・改善剤を既存の飲料又は食品に含ませる場合は、ベースとなる飲料又は食品としては特に限定されないが、例えば、うどんやパスタ等の加工麺、ハム・ソーセージ等の食肉加工食品、かまぼこ・ちくわ等の水産加工食品、バター・粉乳・醗酵乳等の乳加工品、ゼリー・アイスクリーム等のデザート類、パン類、菓子類、調味料類等の加工食品、および、清涼飲料水、アルコール類、果汁飲料、野菜汁飲料、乳飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料、アルコール類等の飲料が好ましい。
本発明の飲食品におけるアスパラガスから得られる高血圧症予防・改善剤の含有量は、特に限定されないが、GABAに換算して、0.5mg〜100mg/日/人、特に好ましくは2mg〜10mg/日/人となるように、調節すればよい。この範囲内にあれば、血圧降下作用が十分に得ることができ、かつ、経済性においても優れている。特に、従来であれば10〜30mg/日/人は必要であったGABA摂取量がより少なくて済む。
本発明の飲食品に含ませるアスパラガスから得られる高血圧症予防・改善剤の形態は特に限定されず、飲料、グミ、キャンデーなどにおいては液体状の物を、錠剤、顆粒、カプセルなどにおいては粉末状の物を使用するなどすればよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、アミノ酸の分析は、以下の方法により行った。
すなわち、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)により以下の条件で測定し、蛍光検出器を用いて検出した。
HPLC:島津製作所(株)製LC−9A
カラム:Shim−pack ISC−07/S1504
移動相:0.2規定クエン酸ナトリウム緩衝液(pH2.2)
流速:0.3ml/分
温度:55℃
反応液:オルト−フタルアルデヒド
検出波長:励起波長348nm、蛍光波長450nm
実施例1
アスパラガス(秋田産)1kgを5mm以下にブレンダーで細断し、水2lに導入して振とう式インキュベーターを用いて50℃、16時間抽出を行った。得られた処理液は濾過助剤に珪藻土を用い、濾紙(ADVANTEC東洋社製、孔径0.45μm)を用いて吸引濾過を行い、黄緑色のGABA含有組成物を2.5l得た。これを凍結乾燥して、アスパラガス抽出物37.7gを得、これを本発明の高血圧症予防・改善剤とした。この高血圧症予防・改善剤中のGABA含量は、アミノ酸分析により、2.4重量%であり、4.17mg中に0.1mg、20.8mg中に0.5mg、GABAが含有されることになる。
すなわち、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)により以下の条件で測定し、蛍光検出器を用いて検出した。
HPLC:島津製作所(株)製LC−9A
カラム:Shim−pack ISC−07/S1504
移動相:0.2規定クエン酸ナトリウム緩衝液(pH2.2)
流速:0.3ml/分
温度:55℃
反応液:オルト−フタルアルデヒド
検出波長:励起波長348nm、蛍光波長450nm
実施例1
アスパラガス(秋田産)1kgを5mm以下にブレンダーで細断し、水2lに導入して振とう式インキュベーターを用いて50℃、16時間抽出を行った。得られた処理液は濾過助剤に珪藻土を用い、濾紙(ADVANTEC東洋社製、孔径0.45μm)を用いて吸引濾過を行い、黄緑色のGABA含有組成物を2.5l得た。これを凍結乾燥して、アスパラガス抽出物37.7gを得、これを本発明の高血圧症予防・改善剤とした。この高血圧症予防・改善剤中のGABA含量は、アミノ酸分析により、2.4重量%であり、4.17mg中に0.1mg、20.8mg中に0.5mg、GABAが含有されることになる。
実施例2
アスパラガス若茎(秋田産)1kgをミキサーで破砕し、水2lを導入した。これにグルタミン酸ナトリウムを25g添加してよく攪拌して溶解した。これを振とう式インキュベーターを用いて25℃、24時間振とうしGABA富化処理を行った。得られた処理液は濾過助剤に珪藻土を用い、ろ紙(ADVANTEC東洋製、孔径0.45μm)を用いて吸引濾過を行い、黄緑色のGABA含有組成物を得た。これを凍結乾燥して、アスパラガス抽出物58.8gを得、これを本発明の高血圧症予防・改善剤とした。このもののGABA含量は、アミノ酸分析により、28重量%であり、0.36mg中に0.1mg、4.17mg中に1.16mgGABAが含有されることになる。
アスパラガス若茎(秋田産)1kgをミキサーで破砕し、水2lを導入した。これにグルタミン酸ナトリウムを25g添加してよく攪拌して溶解した。これを振とう式インキュベーターを用いて25℃、24時間振とうしGABA富化処理を行った。得られた処理液は濾過助剤に珪藻土を用い、ろ紙(ADVANTEC東洋製、孔径0.45μm)を用いて吸引濾過を行い、黄緑色のGABA含有組成物を得た。これを凍結乾燥して、アスパラガス抽出物58.8gを得、これを本発明の高血圧症予防・改善剤とした。このもののGABA含量は、アミノ酸分析により、28重量%であり、0.36mg中に0.1mg、4.17mg中に1.16mgGABAが含有されることになる。
試験例1〔血圧降下作用評価(短期)〕
ラット(SHR/Izm(♂)(日本エスエルシー社、約240g)、8週齢、40匹)を、室温25℃±1℃、湿度60%±5%、12時間明期12時間暗期(明期7時〜19時)の条件下で飼育した。試料投与前に1週間通常飼料(ラボMRストック(日本農産工業))を与え、血圧を1日1回、血圧計(BP−98A、ソフトロン社製)を用いてテールカフ法により測定し、馴化した。
ラット(SHR/Izm(♂)(日本エスエルシー社、約240g)、8週齢、40匹)を、室温25℃±1℃、湿度60%±5%、12時間明期12時間暗期(明期7時〜19時)の条件下で飼育した。試料投与前に1週間通常飼料(ラボMRストック(日本農産工業))を与え、血圧を1日1回、血圧計(BP−98A、ソフトロン社製)を用いてテールカフ法により測定し、馴化した。
馴化させたラットを、群間で血圧値に差が出ないように5群(n=8)に分け、表1の試料を生理食塩水2ml/kgに溶解し、胃ゾンデで単回投与した。2、4、6、8、24時間後に収縮期血圧を測定した。なお、有意差検定は、t検定を用いた。
試験例2〔血圧降下作用評価(長期)〕
ラットの飼育条件、馴化方法は、ラットが36匹である以外、試験例1と同じである。
ラットの飼育条件、馴化方法は、ラットが36匹である以外、試験例1と同じである。
馴化させたラットを、群間で血圧値に差が出ないように6群(n=6)に分け、表2の試料を生理食塩水2ml/kgに溶解し、胃ゾンデで1日1回、定時刻に、10週間投与した。血圧測定は14日ごとにテールカフ法で行い、試料の投与前に、2時間以上絶食させた状態で測定した。なお、有意差検定は、t検定を用いた。
実施例3〔飲食品の製造〕
実施例2と同じ方法で作製したGABA富化アスパラガス抽出物30gを日本粉末薬品(株)製「ウーロン茶エキスパウダー」970gと混合し、GABA含有ウーロン茶粉末を得た。このGABA含有ウーロン茶粉末0.5gを水100mlに溶解するとGABA含有ウーロン茶ができた。GABA含有ウーロン茶は4.2mgのGABAを含有しており、飲みやすく美味しいものであった。このGABA含有ウーロン茶を血圧の高い被験者10名に100ml/日で8週間飲用してもらったところ、安定持続した降圧効果が確認された。
実施例2と同じ方法で作製したGABA富化アスパラガス抽出物30gを日本粉末薬品(株)製「ウーロン茶エキスパウダー」970gと混合し、GABA含有ウーロン茶粉末を得た。このGABA含有ウーロン茶粉末0.5gを水100mlに溶解するとGABA含有ウーロン茶ができた。GABA含有ウーロン茶は4.2mgのGABAを含有しており、飲みやすく美味しいものであった。このGABA含有ウーロン茶を血圧の高い被験者10名に100ml/日で8週間飲用してもらったところ、安定持続した降圧効果が確認された。
Claims (3)
- アスパラガスから得られる組成物を有効成分とすることを特徴とする高血圧症予防・改善剤。
- アスパラガスから得られる組成物が、アスパラガスにγ−アミノ酪酸の含有量を高めるための富化処理を施したものである請求項1記載の高血圧症予防・改善剤。
- 請求項1又は2記載の高血圧症予防・改善剤を含有することを特徴とする飲食品。
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---|---|---|---|
JP2005195053A JP2007008904A (ja) | 2005-07-04 | 2005-07-04 | 高血圧症予防・改善剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007289108A (ja) * | 2006-04-26 | 2007-11-08 | Unitika Ltd | γ−アミノ酪酸高含有組成物の製造方法 |
JP2018154576A (ja) * | 2017-03-16 | 2018-10-04 | 公益財団法人 佐賀県地域産業支援センター | アスパラガス抽出物の製造方法及びアスパラガス抽出物 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS63273462A (ja) * | 1987-05-01 | 1988-11-10 | Marutomo Kk | アスパラガスを原料とした粉末茶並に抽出茶液 |
JPH07213252A (ja) * | 1994-02-01 | 1995-08-15 | Norin Suisansyo Chugoku Nogyo Shikenjo | γ−アミノ酪酸を富化した食品素材及びγ−アミノ酪酸の製造法 |
JP2003299476A (ja) * | 2002-04-09 | 2003-10-21 | Kewpie Jyozo Co Ltd | 高ルチン含有醸造酢及びその製造方法 |
-
2005
- 2005-07-04 JP JP2005195053A patent/JP2007008904A/ja active Pending
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