JP2007008895A - 抗cd47抗体とインテグリンリガンドとの併用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 抗CD47抗体の作用を増強させること。
【解決手段】 抗CD47抗体及びインテグリンリガンドを有効成分として含有する医薬組成物。インテグリンリガンドと併用することを特徴とする、抗CD47抗体を有効成分として含有する医薬組成物。抗CD47抗体と併用することを特徴とする、インテグリンリガンドを有効成分として含有する医薬組成物。インテグリンリガンドを有効成分として含有する、抗CD47抗体の作用増強剤。
【選択図】 図1

Description

本発明は、抗CD47抗体とインテグリンリガンドとの併用に関する。
インテグリンは細胞と細胞外マトリックス及び細胞−細胞間の接着を司る接着分子の1つであり、α鎖とβ鎖の異なる2つのサブユニットによりヘテロダイマーを構成する。近年、インテグリン関連分子として、インテグリンと複合体を形成するCD47が注目されている。
CD47はIntegrin Associated Protein(IAP)とも呼ばれる膜タンパク質であり、CD47に対する抗体の医薬用途も研究されている。
例えば、ヒトCD47を抗原とするモノクローナル抗体であって、当該ヒトCD47を有する有核血液細胞(骨髄系細胞及びリンパ球)にアポトーシスを誘起させる特性を有するモノクローナル抗体であるMABL-1抗体、MABL-2抗体、これを産生するハイブリドーマ、MABL-1(FERM BP-6100)及びMABL-2(FERM BP-6101)が報告されている(特許文献1)。
国際公開第99/12973号パンフレット
抗CD47抗体は、血液腫瘍治療剤としての応用が期待されており、抗CD47抗体のアポトーシス誘導活性を増強させる方法が望まれていた。
本発明は、抗CD47抗体の作用を増強させることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、抗CD47抗体をインテグリンリガンドと併用することにより、抗CD47抗体の作用を増強できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)抗CD47抗体及びインテグリンリガンドを有効成分として含有する医薬組成物。
(2)インテグリンリガンドと併用することを特徴とする、抗CD47抗体を有効成分として含有する医薬組成物。
(3)抗CD47抗体と併用することを特徴とする、インテグリンリガンドを有効成分として含有する医薬組成物。
(4)インテグリンリガンドがインテグリンアゴニストである(1)〜(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(5)アポトーシス誘導剤として用いる(1)〜(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(6)抗腫瘍剤として用いる(1)〜(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(7)インテグリンリガンドを有効成分として含有する、抗CD47抗体の作用増強剤。
(8)抗CD47抗体の作用がアポトーシス誘導作用である(7)記載の増強剤。
(9)抗CD47抗体の作用が抗腫瘍作用である(7)記載の増強剤。
(10)インテグリンリガンドがインテグリンアゴニストである(7)〜(9)のいずれかに記載の増強剤。
本発明により、抗CD47抗体の作用(例えば、アポトーシス誘起効果)を増強できるようになった。
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
本発明は、抗CD47抗体及びインテグリンリガンドを有効成分として含有する医薬組成物を提供する。
また、本発明は、インテグリンリガンドと併用することを特徴とする、抗CD47抗体を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、抗CD47抗体と併用することを特徴とする、インテグリンリガンドを有効成分として含有する医薬組成物を提供する。
インテグリンは細胞外マトリックスへ細胞が接着する際に機能する細胞表面上の受容体分子であり、止血、免疫、創傷治療などに関与する。本発明において、インテグリンは特に限定されず、どのような動物由来のインテグリンでもよいが、好ましくは哺乳動物由来インテグリンであり、さらに好ましくはヒトインテグリンである。インテグリンはαサブユニットとβサブユニットからなるヘテロ二量体の膜貫通型の糖タンパク質である。βサブユニットにはβ1、β2、β3、β4、β5、β6、β7などのサブユニットが含まれ、αサブユニットにはα1、α2、α3、α4、α5、α6、α7、αV、αM、αX、αL、αIIbなどが含まれる。インテグリンはβサブユニットのタイプによってβ1、β2、β3、β4、β5、β6、β7などのサブファミリーに分類される。ヒトインテグリンのアミノ酸配列・塩基配列は既に公知である(Cell., 46, 271-282(1986), J Biol Chem., 261, 12922-12924. (1986), Proc Natl Acad Sci U S A., 83, 8614-8618. (1986), Cell., 48, 681-690. (1987), EMBO J., 6915-919(1987), J Biol Chem., 262, 8476-8482(1987), J Biol Chem., 262, 3936-3939. (1987))。
本発明において、インテグリンはいかなるサブファミリーに属するものでもよいが、インテグリンβ1サブファミリーに属するものが好ましい。インテグリンβ1サブファミリーには、β1/α1(VLA-1)、β1/α2(VLA-2)、β1/α3(VLA-3)、β1/α4(VLA-4)、β1/α5(VLA-5)、β1/α6(VLA-6)、β1/α7、β1/αVが含まれる。
本発明で用いられるインテグリンリガンドは、インテグリンに結合する物質であれば特に限定されないが、インテグリンに特異的に結合する物質が好ましい。インテグリンリガンドは、低分子化合物、タンパク質、ペプチド、抗体など如何なる物質でもよい。
インテグリンリガンドとしては例えば、コラーゲン(J Cell Biol., 105, 1873-1884 (1987))、ラミニン(J Cell Biol., 101, 2134-2144 (1985))、フィブロネクチン(Cell, 40, 191-198 (1985), Cell, 42, 439-448(1985), J Cell Biol., 102, 442-448. (1986))などを挙げることができる。
本発明においてインテグリンリガンドの好ましい態様として、インテグリンアゴニストを挙げることができる。
本発明において、インテグリンアゴニストは、インテグリンに結合し、細胞内へのシグナル伝達を誘起する物質であれば特に限定されないが、抗CD47抗体の作用を増強することが可能であることが好ましい。本発明においてはインテグリンアゴニストとしてインテグリンアゴニスト抗体を用いることが好ましい。インテグリンアゴニスト抗体は市販されている抗体や既知の抗体を用いてもよいし、当業者に公知の方法によりインテグリンを抗原として抗インテグリン抗体を作製し、作製された抗体の中からアゴニスト作用を有する抗体を選択することにより得てもよい。インテグリンアゴニスト抗体は、インテグリンと結合する限り特に由来に制限はなく、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体等を適宜用いることができる。インテグリンアゴニスト抗体としては、例えばP5D2(抗インテグリンβ1抗体:CHEMICON社)、HUTS-21(抗インテグリンβ1抗体:BD Pharmingen)などが挙げられる。
インテグリンに結合するか否か、インテグリンアゴニスト活性を有するか否かは当業者に公知に方法により確認することができる。例えば、インテグリン結合活性は、ELSA、フローサイトメトリー、免疫沈降(Cell, 69, 11-25 (1992), J Biol Chem., 262, 3300-3309 (1987))などの方法により確認することができ、インテグリンアゴニスト活性は細胞接着阻害(Cell. 65, 409-416., (1991))などの方法により記載することが可能である。
本発明においてCD47は特に限定されず、どのような動物由来のCD47でもよいが、好ましくは哺乳動物由来CD47であり、さらに好ましくはヒトCD47である。ヒトCD47のアミノ酸配列・塩基配列は既に公知である(J. Cell. Biol., 123, 485-496(1993)、Journal of Cell Science, 108, 3419-3425(1995)、GenBank:Z25521)。
本発明で用いられる抗CD47抗体は、CD47への結合活性を有する限り特に限定されないが、特異的にCD47を認識するものが好ましい。
抗CD47抗体は、既に公知の抗体でもよく、又、CD47を抗原とし、当業者に公知の方法により作製された抗CD47抗体でもよい。抗体の作製は、具体的には、例えば、以下のようにして行うことができる。
CD47タンパク質若しくはその断片を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングする。抗原の調製は公知の方法、例えばバキュロウイルスを用いた方法(国際公開第98/46777号パンフレットなど)等に準じて行うことができる。ハイブリドーマの作製は、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C., Methods Enzymol. (1981) 73: 3-46)等に準じて行うことができる。抗原の免疫原性が低い場合には、アルブミン等の免疫原性を有する巨大分子と結合させ、免疫を行えばよい。その後、ハイブリドーマのmRNAから逆転写酵素を用いて抗体の可変領域(V領域)のcDNAを合成し、得られたcDNAの配列を公知の方法により解読すればよい。
抗CD47抗体は、CD47と結合する限り特に由来に制限はなく、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体、ヒト抗体等を適宜用いることができる。抗CD47抗体としては、例えば、国際公開第99/12973号、国際公開第2005/044857号などが挙げられる。又、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体なども使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体等であり、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開第 239400号明細書、国際公開第 96/02576号パンフレット参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato, K.et al., Cancer Res. (1993) 53, 851-856)。
また、ヒト抗体の取得方法も知られている。例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1-59878号公報参照)。また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を所望の抗原で免疫することで所望のヒト抗体を取得することができる(国際公開第 93/12227号パンフレット, 国際公開第92/03918号パンフレット,国際公開第94/02602号パンフレット, 国際公開第94/25585号パンフレット,国際公開第96/34096号パンフレット, 国際公開第96/33735号パンフレット参照)。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を有する適当な発現ベクターを作製し、ヒト抗体を取得することができる。これらの方法は既に周知であり、国際公開第92/01047号パンフレット, 国際公開第92/20791号パンフレット, 国際公開第93/06213号パンフレット, 国際公開第93/11236号パンフレット, 国際公開第93/19172号パンフレット, 国際公開第95/01438号パンフレット, 国際公開第95/15388号パンフレットを参考にすることができる。
本発明で用いられる抗体は低分子化抗体であってもよい。低分子化抗体は、全長抗体(whole antibody、例えばwhole IgG等)の一部分が欠損している抗体断片を含み、抗原への結合能を有していれば特に限定されない。抗体断片は、全長抗体の一部分であれば特に限定されないが、重鎖可変領域(VH)又は軽鎖可変領域(VL)を含んでいることが好ましく、特に好ましいのはVHとVLの両方を含む断片である。抗体断片の具体例としては、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv(シングルチェインFv)、などを挙げることができるが、好ましくはscFv (Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85, 5879-5883、 Plickthun「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies」Vol.113, Resenburg 及び Moore編, Springer Verlag, New York, pp.269-315, (1994))である。このような抗体断片を得るには、抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンなどで処理し抗体断片を生成させるか、又は、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させればよい(例えば、Co, M. S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976 ; Better, M. and Horwitz, A. H., Methods Enzymol. (1989) 178, 476-496 ; Pluckthun, A. and Skerra, A., Methods Enzymol. (1989) 178, 497-515 ; Lamoyi, E., Methods Enzymol. (1986) 121, 652-663 ; Rousseaux, J. et al., Methods Enzymol. (1986) 121, 663-669 ; Bird, R. E. and Walker, B. W., Trends Biotechnol. (1991) 9, 132-137参照)。
本発明において、低分子化抗体は、全長抗体よりも分子量が小さくなることが好ましいが、例えば、ダイマー、トリマー、テトラマーなどの多量体を形成すること等もあり、全長抗体よりも分子量が大きくなることもある。
本発明において好ましい低分子化抗体は、抗体のVHを2つ以上及びVLを2つ以上含み、これら各可変領域を直接あるいはリンカー等を介して間接的に結合した抗体である。結合は、共有結合でも非共有結合でもよく、また、共有結合と非共有結合の両方でもよい。さらに好ましい低分子化抗体は、VHとVLが非共有結合により結合して形成されるVH-VL対を2つ以上含んでいる抗体である。この場合、低分子化抗体中の一方のVH-VL対と他方のVH-VL対との間の距離が、全長抗体における距離よりも短くなる抗体が好ましい。
本発明において特に好ましい低分子化抗体はDiabody又はsc(Fv)2である。Diabodyは、可変領域と可変領域をリンカー等で結合したフラグメント(例えば、scFv等)(以下、Diabodyを構成するフラグメント)を2つ結合させて二量体化させたものであり、通常、2つのVLと2つのVHを含む。Diabodyを構成するフラグメント間の結合は非共有結合でも、共有結合でもよいが、好ましくは非共有結合である。
Diabodyを構成するフラグメントは、VLとVHを結合したもの、VLとVLを結合したもの、VHとVHを結合したもの等を挙げることができるが、好ましくはVHとVLを結合したものである。Diabodyを構成するフラグメント中において、可変領域と可変領域を結合するリンカーは特に制限されないが、同一フラグメント中の可変領域の間で非共有結合がおこらない程度に短いリンカーを用いることが好ましい。そのようなリンカーの長さは当業者が適宜決定することができるが、通常2〜14アミノ酸、好ましくは3〜9アミノ酸、特に好ましくは4〜6アミノ酸である。この場合、同一フラグメント上にコードされるVLとVHとは、その間のリンカーが短いため、同一鎖上のVLとVHの間で非共有結合がおこらず、単鎖V領域フラグメントが形成されない為、他のフラグメントとの非共有結合による二量体を形成する。さらに、Diabody作製と同じ原理で、Diabodyを構成するフラグメントを3つ以上結合させて、トリマー、テトラマーなどの多量体化させた抗体を作製することも可能である。
sc(Fv)2は、2つの重鎖可変領域([VH])及び2つの軽鎖可変領域([VL])をリンカー等で結合して一本鎖ポリペプチドにした抗体である(Hudson et al、J Immunol. Methods 1999;231:177-189)。sc(Fv)2は、例えば、2つのscFv(シングルチェインFv) (Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85, 5879-5883、 Plickthun「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies」Vol.113, Resenburg 及び Moore編, Springer Verlag, New York, pp.269-315, (1994))をリンカー等で結合することにより作製することが可能である。リンカーとしては、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカー、例えば、Protein Engineering, 9(3), 299-305, 1996に開示されるリンカー等を用いることができるが、本発明においてはペプチドリンカーが好ましい。ペプチドリンカーの長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能であるが、通常、1〜100アミノ酸、好ましくは5〜30アミノ酸、特に好ましくは12〜18アミノ酸(例えば、15アミノ酸)である。
結合される2つの重鎖可変領域と2つの軽鎖可変領域の順序は特に限定されず、どのような順序で並べられていてもよく、例えば、以下のような配置を挙げることができる。
[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VH]リンカー [VL] リンカー [VL] リンカー [VH]
[VH]リンカー [VH] リンカー [VL] リンカー [VL]
[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]
本発明においては、[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]の配置を有するsc(Fv)2が好ましい。
重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、置換、欠失、付加及び/又は挿入されていてもよい。さらに、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を会合させた場合に、抗原結合活性を有する限り、一部を欠損させてもよいし、他のポリペプチドを付加してもよい。又、可変領域はキメラ化やヒト化されていてもよい。
本発明において、抗体の可変領域を結合するリンカーは、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカー、例えば、Protein Engineering, 9(3), 299-305, 1996に開示されるリンカーを用いることができる。
本発明において好ましいリンカーはペプチドリンカーである。ペプチドリンカーの長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能であるが、通常、1〜100アミノ酸、好ましくは3〜50アミノ酸、更に好ましくは5〜30アミノ酸、特に好ましくは12〜18アミノ酸(例えば、15アミノ酸)である。
ペプチドリンカーのアミノ酸配列としては、例えば、以下のような配列を挙げることができる。
Ser
Gly・Ser
Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号1)
Ser・Gly・Gly・Gly(配列番号2)
Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号3)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号4)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号5)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号6)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号7)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号8)
(Gly・Gly・Gly・Gly・Ser)n(配列番号3(nが1の場合))
(Ser・Gly・Gly・Gly・Gly)n(配列番号4(nが1の場合))
[nは1以上の整数である]等を挙げることができる。
合成化学物リンカー(化学架橋剤)としては、ペプチドの架橋に通常用いられている架橋剤、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(スルホ−EGS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホ−DST)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)、ビス[2-(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(スルホ−BSOCOES)などを挙げることができ、これらの架橋剤は市販されている。
4つの抗体可変領域を結合する場合には、通常、3つのリンカーが必要となるが、全て同じリンカーを用いてもよいし、異なるリンカーを用いてもよい。
本発明に使用する抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)、放射性物質、トキシン等の各種分子と結合したコンジュゲート抗体でもよい。このようなコンジュゲート抗体は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。本発明における「抗体」にはこれらのコンジュゲート抗体も包含される。
さらに、本発明の抗体は二種特異性抗体(bispecific antibody)でもよい(例えば、Journal of Immunology, 1994, 152, 5368-5374、など)。bispecific antibodyは異なる二種の抗原を認識してもよいし、同一抗原上の異なるエピトープを認識してもよい。
本発明において抗CD47抗体とインテグリンリガンドとの併用とは、抗CD47抗体とインテグリンリガンドを共に投与または使用(以下、単に「投与」と記載する。)することを意味し、投与の順番や投与間隔などは特に限定されるものではない。抗CD47抗体とインテグリンリガンドの投与の順番は、抗CD47抗体の投与後にインテグリンリガンドを投与、抗CD47抗体とインテグリンリガンドを同時に投与、インテグリンリガンド投与後に抗CD47抗体を投与、のいずれの順番でもよいが、好ましくは抗CD47抗体の投与後にインテグリンリガンドを投与または抗CD47抗体とインテグリンリガンドを同時に投与する。
抗CD47抗体の投与後にインテグリンリガンドを投与する場合、抗CD47抗体とインテグリンリガンドの投与間隔は特に限定されず、投与経路や剤形等の要因を考慮して設定することができる。あえて投与間隔の一例を挙げるとすれば、通常、0時間〜72時間であり、好ましくは0時間〜24時間であり、さらに好ましくは0時間〜12時間である。
本発明の医薬組成物は、アポトーシス誘導剤として用いることが可能である。アポトーシスが誘導される細胞は特に限定されないが、通常、CD47を発現する細胞であり、好ましくは血液腫瘍細胞である。アポトーシスを誘起するか否かの確認は当業者に公知の方法で行うことが可能である(例えば、特開平9-295999号公報など)。例えば、ヒト白血球細胞やCD47遺伝子を導入したJurkat細胞・L1210細胞・JOK-1細胞などのCD47発現細胞を、被検抗体の存在下で培養し、MTS法やフローサイトメトリーによりアポトーシスを検出する方法などにより行うことが可能である。
さらに、本発明の医薬組成物は、抗腫瘍剤として用いることが可能であり、例えば、血液腫瘍(造血器腫瘍)などの腫瘍(具体的な例として、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、成人T細胞白血病、多発性骨髄腫、Mixed Leukemia、Hairy cell Leukemiaなどの白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、真正多血症など)の治療を行う為に用いることができる。
抗CD47抗体はインテグリンリガンドとともに一つの医薬組成物中に配合することができる。また、抗CD47抗体は、インテグリンリガンドと併用することを特徴とする、医薬組成物中に配合することができ、インテグリンリガンドは、抗CD47抗体と併用することを特徴とする、医薬組成物中に配合することができる。医薬組成物中の有効成分としての抗CD47抗体及びインテグリンリガンドの含有率は、それぞれ、0.1〜99.9重量%の間で変動させることができる。 上記医薬組成物の製造において、保存剤や安定剤等の製剤上許容しうる担体を添加してもよい。製剤上許容しうるとは、それ自体は上記の活性を有さない材料であって、上記の薬剤とともに投与可能な製剤上許容される材料を意味する。
懸濁剤の例としては、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等を挙げることができる。
溶液補助剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マグロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステル等を挙げることができる。
安定化剤としては、デキストラン40、メチルセルロース、ゼラチン、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム等を挙げることができる。
また、安定化剤としてある種のアミノ酸を添加することも可能である(例えば、特開平10-182481号公報など)。安定化剤として添加されるアミノ酸には、遊離のアミノ酸、そのナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩などの塩などが含まれる。アミノ酸は1種又は2種以上を組み合わせて添加することができる。安定化剤として添加されるアミノ酸は特に限定されないが、好ましいアミノ酸としては、ロイシン、トリプトファン、セリン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジンを挙げることができる。
等張化剤としては例えば、D−マンニトール、ソルビート等を挙げることができる。
保存剤としては例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾール等を挙げることができる。
吸着防止剤としては例えば、ヒト血清アルブミン、レシチン、デキストラン、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、例えばソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノミリテート、グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;デカグリセリルモノステアレート、デカグリセリルジステアレート、デカグリセリルモノリノレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビットテトラステアレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチエレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン水素ヒマシ油)等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレンソルビットミツロウ等のポリオキシエチレンミツロウ誘導体;ポリオキシエチレンラノリン等のポリオキシエチレンラノリン誘導体;ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレン脂肪酸アミド等のHLB6〜18を有するもの;陰イオン界面活性剤、例えばセチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等の炭素原子数10〜18のアルキル基を有するアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等の、エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜4でアルキル基の炭素原子数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ラウリルスルホコハク酸エステルナトリウム等の、アルキル基の炭素原子数が8〜18のアルキルスルホコハク酸エステル塩;天然系の界面活性剤、例えばレシチン、グリセロリン脂質;スフィンゴミエリン等のフィンゴリン脂質;炭素原子数12〜18の脂肪酸のショ糖脂肪酸エステル等を典型的例として挙げることができる。本発明の製剤には、これらの界面活性剤の1種または2種以上を組み合わせて添加することができる。好ましい界面活性剤は、ポリソルベート20,40,60又は80などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、ポリソルベート20及び80が特に好ましい。また、ポロキサマー(プルロニックF−68(登録商標)など)に代表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールも好ましい。
含硫還元剤としては例えば、N−アセチルシステイン、N−アセチルホモシステイン、チオクト酸、チオジグリコール、チオエタノールアミン、チオグリセロール、チオソルビトール、チオグリコール酸及びその塩、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオン、炭素原子数1〜7のチオアルカン酸等のスルフヒドリル基を有するもの等が挙げられる。
酸化防止剤としては例えば、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、L−アスコルビン酸及びその塩、L−アスコルビン酸パルミテート、L−アスコルビン酸ステアレート、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸トリアミル、没食子酸プロピルあるいはエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等のキレート剤が挙げられる。
さらには、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩;クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの有機塩などの通常添加される成分を含んでいてもよい。
本発明の治療剤または予防剤を徐放性製剤として行う場合、徐放性製剤は公知の方法、例えば基剤としてポリマーを用いる方法などにより調製することが可能である。基剤として用いるポリマーは生体内で分解されるポリマーを用いることが好ましい。
注射剤を調製する場合、必要により、pH 調製剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤等を添加し、常法により、皮下、筋肉内、静脈内注射剤とする。注射剤は、溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって、固形 製剤として、用時調製の製剤としてもよい。また、一投与量を容器に収納してもよく、また、投与量を同一の容器に収納してもよい。
本発明の医薬組成物の投与は、経口的、または非経口的のいずれでもよい。経口的な投与としては、経口剤という形での投与を挙げることができ、経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、溶剤、乳剤、あるいは懸濁剤等の剤型を選択することができる。非経口的な投与としては、注射剤という形での投与を挙げることができ、注射剤としては、皮下注射剤、筋肉注射剤、あるいは腹腔内注射剤等を挙げることができる。注射剤を投与する方法としては、対象となる生物体の体内の一部分(臓器等の一組織)を標的として局所的に投与を行っても良いし、血管に投与することにより、生物体全体に本発明の抗体を循環させてもよい。また、複数箇所の標的に同時に投与を行ってもよい。また、投与すべき抗体をコードする遺伝子を遺伝子治療の手法を用いて生体に導入することにより、本発明の方法の効果を達成することができる。本発明の方法の効果をもたらすタンパク質をコードする遺伝子を生体に導入し、発現させる手法は公知である。また、本発明の抗体を、処置を施したい領域に局所的に投与することもできる。例えば、手術中の局所注入、カテーテルの使用、または治療薬をコードする配列の標的化遺伝子送達により投与することも可能である。
投与量は、患者の年齢、性別、体重および症状、治療効果、投与方法、処理時間、あるいは該医薬組成物に含有される活性成分の種類などにより異なるが、投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.00001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができる。しかし、投与量は種々の条件により変動するため、上記投与量よりも少ない量で充分な場合もあり、また上記の範囲を超える投与量が必要な場合もある。従って、本発明はこれらの投与量および投与方法等に制限されるものではない。
また、本発明は、インテグリンリガンドを有効成分として含有する、抗CD47抗体の作用増強剤を提供する。
本発明において抗CD47抗体の作用増強とは、抗CD47抗体が有する作用を増強することをいう。抗CD47抗体の作用としては、抗CD47抗体が抗原に結合することにより生じるアポトーシス誘導作用、抗腫瘍作用などを挙げることができる。
インテグリンリガンド及び抗CD47抗体は上述した通りである。
本発明の増強剤は、医薬品又は実験用試薬として使用することができる。医薬品として使用する場合の製剤化、投与方法などについては上述した通りである。
以下、本発明を実施例及び参考例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例等は、本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
〔実施例1〕抗インテグリンβ1抗体による抗CD47抗体の細胞死誘起効果の上昇
JOK-1細胞(林原生物化学研究所 藤崎細胞センター)を用い、抗ヒトCD47抗体であるMABL-1抗体(国際公開第99/12973号)および抗ヒトCD29抗体(抗インテグリンβ1抗体、Clone: HUTS-21, BD Pharmingen)のアポトーシス誘起作用をAnnexin-V、PI染色により検討した。細胞は10%FBS(ThermoTrace)を含むRPMI1640培地(SIGMA)にて維持継代し、U字底プレート(Falcon)の各ウェルに1×105細胞/ウェルで50 mLずつ分注した。
MABL-1抗体を10 nmol/Lから10倍希釈ずつ0.01 nmol/Lまで、もしくはPBS(-)を100 mLずつ細胞に添加した。さらに4 mg/mLもしくは40 mg/mLの抗インテグリンβ1抗体をそれぞれ50 mLずつ添加し、24時間培養した。その後、Annexin-VおよびPI(ともにBD Pharmingen)にて染色を行い、FACSCaribur(Becton Dickinson)にて蛍光強度を測定した。Annexin-V陽性/PI陰性ならびにAnnexin-V陽性/PI陽性の細胞群をあわせて細胞死の割合とした。その結果、図1に示すとおり、抗インテグリンβ1抗体の添加により、細胞死が増強した。これより、CD47のligationによる細胞死がインテグリンを介していると考えられた。
〔参考例1〕血球系細胞におけるMABL-1による細胞死誘導
以下に示した用いた22種の血球系細胞を用いて、MABL-1による細胞死誘導作用をFCM解析により検討した。U字底プレート(Falcon)の各ウェルに1×105細胞/100 mL/ウェルで分注した細胞に、MABL-1抗体を100 nmol/Lから10倍希釈ずつ0.01 nmol/Lまで、もしくはPBS(-)を100 mLずつ細胞に添加した。24時間培養後、Annexin-VおよびPI(ともにBD Pharmingen)にて染色を行い、FACSCaribur(Becton Dickinson)にて蛍光強度を測定した。Annexin-V陽性/PI陰性ならびにAnnexin-V陽性/PI陽性の細胞群をあわせて細胞死の割合とした(apoptosisが誘導されたもの (バックグランドを差し引いて、死細胞の割合が30%以上のもの) を+、誘導が弱かったもの(バックグランドを差し引いて、死細胞の割合が15%以上30%未満のもの)を±、誘導されなかったもの(バックグランドを差し引いて、死細胞の割合が15%未満のもの)を−で示した。)。結果を表1に示した。
細胞:JOK-1(林原生物化学研究所 藤崎細胞センター)、2F7、10C9、DAKIKI、HS445、HS602、Jurkat、MC/CAR(ATCC)、KG1、HL60、MOLT4、IM9、CCRF-CEM、CCRF-HSB2、CCRF-SB、KU812、HEL、P39/TSU、K562、BALL1、P30/OHK (ヒューマンサイエンス研究資源バンク)、 KPMM2(Goto H, et al., Leukemia 1995; 9:711-718)。
〔参考例2〕血球系細胞におけるインテグリンの発現解析
参考例1に示した血球系細胞を用いて、CD47、CD29(インテグリンβ1:二種)、CD49e(インテグリンa5)、CD18(インテグリンβ2)、CD51(インテグリンα1)、CD61(インテグリンβ3)の発現をFCM解析にて検討した。FACS buffer(0.3%牛血清アルブミン(BSA)、0.02%アジ化ナトリウム含有PBS(-))を用いて調製した1×106の細胞にFluorescein標識MABL-1抗体(NHS-Fluorescein(PIERCE)にて調製)、PEもしくはFITC標識された以下の抗体、抗CD29抗体(活性化エピトープを認識、Clone: HUTS-21;BD Pharmingen)、抗CD29抗体(恒常的エピトープを認識、Clone: MAR4;BD Pharmingen)、抗CD49e抗体(Beckman Coulter)、抗CD18抗体(Beckman Coulter)、抗CD51抗体(Beckman Coulter)、抗CD61抗体(BD Pharmingen)、コントロールマウスIgG1抗体、コントロールマウスIgG2a抗体(BD Pharmingen)を組み合わせて20 mgずつ添加し、氷上にて30分インキュベートした。FACS bufferにて細胞を洗浄した後、500 mLのFACS buffer に懸濁し、FACSCaribur(Becton Dickinson)にて蛍光強度を測定した。結果を表1に示した。(発現を認めたもの(コントロール抗体のヒストグラムよりプラスにシフトしているもの)を+、発現が弱かったもの(コントロール抗体のヒストグラムとほとんど変わらないが、ピークトップがプラスにシフトしているもの)を±、発現していなかったもの(コントロール抗体のヒストグラムと変わらないもしくはマイナスにシフトしているもの)を−で示した。これより活性化 β1の発現とMABL-1による細胞死誘導の間に関連があると推察した。
Figure 2007008895
表1は、血球系細胞におけるインテグリンの発現をFCM解析した結果とMABL-1による細胞死誘導を示したものである。ndは実施していない。
本発明により、抗CD47抗体の作用(例えば、アポトーシス誘起効果)を増強することができるようになった。その結果として、抗CD47抗体の作用を増強する医薬品、実験用試薬などを提供することができる。
図1は、JOK-1細胞におけるMABL-1抗体の細胞死誘導に対するインテグリンβ1抗体の影響を示す。
<配列番号1>
配列番号1は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列を示す。
<配列番号2>
配列番号2は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列を示す。
<配列番号3>
配列番号3は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列を示す。
<配列番号4>
配列番号4は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列を示す。
<配列番号5>
配列番号5は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列を示す。
<配列番号6>
配列番号6は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列を示す。
<配列番号7>
配列番号7は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列を示す。
<配列番号8>
配列番号8は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列を示す。

Claims (10)

  1. 抗CD47抗体及びインテグリンリガンドを有効成分として含有する医薬組成物。
  2. インテグリンリガンドと併用することを特徴とする、抗CD47抗体を有効成分として含有する医薬組成物。
  3. 抗CD47抗体と併用することを特徴とする、インテグリンリガンドを有効成分として含有する医薬組成物。
  4. インテグリンリガンドがインテグリンアゴニストである請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. アポトーシス誘導剤として用いる請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 抗腫瘍剤として用いる請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. インテグリンリガンドを有効成分として含有する、抗CD47抗体の作用増強剤。
  8. 抗CD47抗体の作用がアポトーシス誘導作用である請求項7記載の増強剤。
  9. 抗CD47抗体の作用が抗腫瘍作用である請求項7記載の増強剤。
  10. インテグリンリガンドがインテグリンアゴニストである請求項7〜9のいずれかに記載の増強剤。
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