JP2007005589A - 熱電子発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱電子発電装置において、複数の熱電子発電素子(10)を直列に接続することにより出力電圧を高める一方でエミッタからコレクタへの熱の伝達を阻止して発電効率の低下を防止し、低温度域で機能する熱電子発電素子(10)を実用化できるようにする。
【解決手段】 熱電子を放出するエミッタ(11)とこの熱電子を捕集するコレクタ(12)とが所定の間隙を隔てて配置された熱電子発電素子(10)と、エミッタ(11)に接続された高温熱源とを備えた熱電子発電装置において、複数の熱電子発電素子(10)を電気的に直列に接続する導線部(15)と、この導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導を抑制する熱伝導抑制部(16,24)とを設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱電子を放出するエミッタと該熱電子を捕集するコレクタとが所定の間隙を隔てて配置された熱電子発電素子を用いて構成された熱電子発電装置に関するものである。
従来より、高温の金属表面から熱電子が放出される現象を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換する熱電子発電素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。熱電子発電素子は、熱電子を放出するエミッタと該熱電子を捕集するコレクタとを備えている。エミッタは高温熱源に接続され、コレクタは低温熱源に接続されている。エミッタとコレクタは、熱電子発電素子の発電効率を高めるために、例えば真空中で所定の間隙を隔てて配置され、熱的にほぼ絶縁されている。
ここで、固体から真空中に電子を放出するのに必要な最低エネルギは仕事関数と呼ばれており、熱電子発電素子の起電力はエミッタの仕事関数とコレクタの仕事関数の差によって定められる。このため、エミッタの仕事関数は大きいことが望ましく、コレクタの仕事関数は小さいことが望ましい。エミッタについては、より高温の熱源を採用すれば、仕事関数の大きな材料を使用でき、そうすると出力電圧もより大きくなる。逆に、コレクタについては、材料の特性上、仕事関数の下限値があり、その値は一般に2eV程度であるが、電極間にセシウムを封入すると、セシウムがコレクタに吸着されてコレクタの仕事関数が小さくなることが知られている。この熱電子発電素子でエミッタに仕事関数がおよそ2eVの材料を用いた場合、従来は、エミッタ側の温度をおよそ1200K以上の高温に設定することが必要であった。
一方、低温度域で熱電子発電を行うことを考えた場合、例えばエミッタ側の熱源の温度をT=500Kとすると、仕事関数と温度の関係式(リチャードソン−ダッシュマンの式)から仕事関数はおよそ0.7eV以下でなければならないが、従来は上述したようにこのような条件を満たす材料は発見されていなかった。しかし、2003年に発見された、12CaO・7Al23の結晶を母体とするエレクトライド(C12A7エレクトライド:例えば、非特許文献1参照)は、常温常圧で安定して存在し、仕事関数がおよそ0.6eVを示す。そこで、この材料を用いると、500K程度の低温度域での熱電子発電が可能になると考えられる。なお、エレクトライドは、イオン結晶の中で、陰イオンの占めるべき位置を電子が占める物質である。
特開平7−322659号公報 「機能材料」,シーエムシー出版, 2005年3月5日発売号(2005年4月号),Vol.25 No.4, p.56〜64
しかし、低温度域での発電では、出力電圧が小さくならざるを得ない。そこで、出力電圧を上げるために熱電子発電素子を導線で直列に接続することが考えられる。ところが、熱電子発電素子は、上述のように効率よく発電するために高温側のエミッタと低温側のコレクタを熱的にほぼ絶縁する必要がある。これに対して、熱電子発電素子を導線で直列に接続する構成を採用すると、導線を介してエミッタからコレクタへ熱が伝達されて、発電効率が低下してしまうことになる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の熱電子発電素子を直列に接続することにより出力電圧を高める一方でエミッタからコレクタへの熱の伝達を阻止して発電効率の低下を防止し、ひいては低温度域で機能する熱電子発電装置を実用化できるようにすることである。
第1の発明は、熱電子を放出するエミッタ(11)と該熱電子を捕集するコレクタ(12)とが所定の間隙を隔てて配置され、上記エミッタ(11)に第1熱源(高温熱源)(13)が接続される熱電子発電素子(10)を備えた熱電子発電装置を前提としている。
そして、この熱電子発電装置は、複数の熱電子発電素子(10)を備え、各熱電子発電素子(10)を電気的に直列に接続する導線部(15)と、該導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導を抑制する熱伝導抑制部(16,24)とを備えていることを特徴としている。
この第1の発明では、各熱電子発電素子(10)のエミッタ(11)に第1熱源(13)から熱が与えられると、該エミッタ(11)から熱電子が放出され、その熱電子がコレクタ(12)に捕集されることで電圧が出力される。この発明では、複数の熱電子発電素子(10)が導線部(15)で直列に接続されているので、出力電圧が熱電子発電素子(10)の個数分だけ高められる。
ここで、熱伝導抑制部(16,24)を設けない構成では、各熱電子発電素子(10)を導線部(15)で直列に接続した場合、エミッタ(11)とコレクタ(12)に相当の温度差があるために、エミッタ(11)からコレクタ(12)に熱が伝達されて発電効率が低下してしまうが、この発明では熱伝導抑制部(16,24)を設けたことによって導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導が抑制される。
第2の発明は、第1の発明において、熱伝導抑制部(16,24)が、導線部(15)を伝わる熱を冷却用流体に吸熱させる熱交換器(16,24)により構成されていることを特徴としている。この冷却用流体としては、例えば空気や冷却水、あるいは冷媒回路(20)の冷媒などを用いることができる。
この第2の発明では、導線部(15)を伝わる熱が熱交換器(16,24)を流れる冷却用流体に吸熱され、導線部(15)が冷却される。これにより、導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導が確実に抑制される。
第3の発明は、第2の発明において、熱交換器(16,24)を流れる冷却用流体が、コレクタ(12)を冷却する第2熱源(低温熱源)(14)として利用されることを特徴としている。
この第3の発明では、熱交換器(16,24)を流れる冷却用流体が、導線部(15)の熱を吸熱するだけでなく、コレクタ(12)から放出される熱も吸熱する。したがって、冷却用流体と低温熱源とを共用できる。
第4の発明は、第1から第3の発明の何れか1つにおいて、導線部(15)の全部または一部が銅管(15a)により構成されていることを特徴としている。
この第4の発明では、直列に接続された熱電子発電素子(10)間で、エミッタ(11)からコレクタ(12)へ導線部(15)の銅管(15a)を通って電気が伝導する。
第5の発明は、第4の発明において、冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備え、冷媒回路(20)の冷媒が導線部(15)の銅管(15a)内を流れ、導線部(15)を伝わる熱を銅管(15a)内の冷媒が吸熱するように構成されていることを特徴としている。
この第5の発明では、冷媒回路(20)を流れる冷媒が導線部(15)を伝わる熱を吸熱することにより、該導線部(15)におけるエミッタ(11)からコレクタ(12)への熱伝導が確実に抑制される。
本発明によれば、複数の熱電子発電素子(10)を電気的に直列に接続する導線部(15)と、該導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導を抑制する熱伝導抑制部(16,24)とを設けたことによって、出力電圧を熱電子発電素子(10)の個数分だけ高めつつ、導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導を抑制できる。したがって、比較的低温度域の熱源を利用しても十分な出力電圧を得ることができるうえ、エミッタ(11)とコレクタ(12)との熱的な絶縁状態が阻害されるのを抑制して発電効率が低下するのを防止できる。このため、低温度域で機能する熱電子発電素子(10)を実用化することが可能となる。
上記第2の発明によれば、熱伝導抑制部(16,24)として、導線部(15)を伝わる熱を冷却用流体に吸熱させる熱交換器(16,24)を用いているので、熱交換器(16,24)を流れる冷却用流体で導線部(15)を冷却できる。したがって、導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導を確実に抑制できるので、エミッタ(11)とコレクタ(12)との熱的な絶縁状態を維持し、発電効率の低下を確実に防止できる。
上記第3の発明によれば、熱交換器(16,24)を流れる冷却用流体を、コレクタ(12)を冷却する第2熱源(低温熱源)(14)として利用するようにしているので、冷却用流体と低温熱源とを共用することが可能となり、熱電子発電装置の構成を簡素化できる。
上記第4の発明によれば、導線部(15)の全部または一部を銅管(15a)により構成しているので、直列に接続された熱電子発電素子(10)間で、エミッタ(11)からコレクタ(12)へ導線部(15)の銅管(15a)を通って電気が伝導する。このように導線部(15)に銅管(15a)を用いると、その内部に冷却用流体を流すことができるため、導線部(15)を確実に冷却できる。したがって、熱電子発電装置の効率低下を確実に防止できる。
上記第5の発明によれば、冷媒回路(20)の冷媒が導線部(15)の銅管(15a)内を流れるようにして、導線部(15)を伝わる熱を銅管(15a)内の冷媒で吸熱するようにしているので、導線部(15)を確実に冷却できる。したがって、熱電子発電装置の効率低下を確実に防止できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。この実施形態1の熱電子発電装置は、自動車のエンジンの排気ガスを熱源として発電を行うように構成されている。
図1は、実施形態1に係る熱電子発電装置(1)の電気回路及び動作原理を示す説明図である。この熱電子発電装置(1)は熱電子発電素子(10)を備え、熱電子発電素子(10)は、熱電子を放出するエミッタ(11)と、該熱電子を捕集するコレクタ(12)とを備えている。エミッタ(11)とコレクタ(12)は、真空中もしくは電気的に中性で電気の通りやすいプラズマ中で所定の微細な間隙を隔てて配置され、熱的にほぼ絶縁されている。
エミッタ(11)とコレクタ(12)には、負荷(R1)を介して発電回路(C1)が接続されている。この発電回路(C1)は、自動車のバッテリーに接続されている。また、エミッタ(11)とコレクタ(12)には、バイアス電圧を印加するための電源(V)と負荷(R2)とを有するバイアス回路(C2)が接続されている。ここで、負荷(R2)は、負荷(R1)に比べて十分に大きな抵抗値を有するものである。
この実施形態1では、12CaO・7Al23の結晶を母体とするエレクトライド(C12A7エレクトライド)が、エミッタ(11)及びコレクタ(12)の材料として用いられている。このC12A7エレクトライドは、常温常圧で安定して存在し、仕事関数がおよそ0.6eVの材料である。このC12A7エレクトライドをエミッタ(11)及びコレクタ(12)に使うには、エレクトライド化した12CaO・7Al23の単結晶をそのまま電極にする方法や、エレクトライド化した12CaO・7Al23の微結晶を金属中に分散させて電極にする方法などが考えられる。
図1の動作原理図において、エミッタ(11)に熱が印加されると、エミッタ(11)から熱電子が放出され、この熱電子がコレクタ(12)に捕集される。この熱電子は発電回路(C1)内を流れ、外部から印加しているバイアス電圧(V)分の発電が行われることとなる。これは、バイアス電圧(V)を印加することにより、エミッタ(11)の仕事関数が大きくなったことに相当する。
ここで、C12A7エレクトライドの仕事関数は0.6eVであるから、バイアス電圧を約0.1V(0.14V)に設定すると、見かけの仕事関数は約0.7eV(0.74eV)になる。したがって、
J=AT2exp(-11,605V/T)(A/cm2)
で表されるリチャードソン−ダッシュマンの式(J;電流密度(A/cm2)、A;リチャードソン−ダッシュマン係数(=120.4A/cm2K2)、V;仕事関数(仕事関数の電圧表示)、T;絶対温度(K))において、電流密度を1(A/cm2)と仮定すると、熱電子発電に必要な作動温度(熱電子がエミッタ(11)から放出される温度)は500K程度になる。これは、自動車の排気ガスから得ることができる温度である。
0.1Vの出力電圧は、一般の発電機や電池に比べて非常に小さいが、500K程度という低温度域での発電であるから、熱電子発電素子(10)の1つについて出力電圧が小さくなることは避けがたい問題である。そこで、本実施形態では、電圧を上げるために、複数の熱電子発電素子(10)を直列に接続するようにしている。また、単に複数の熱電子発電素子(10)を直列に接続すると、エミッタ(11)からコレクタ(12)への熱伝導が起こる原因となり、それが発電効率を下げる要因となるので、本実施形態ではエミッタ(11)からコレクタ(12)への熱伝導を妨げる構造を採用している。
具体的には、図2に示すように、この熱電子発電装置(1)は複数の熱電子発電素子(10)を備えている。各熱電子発電素子(10)は、エミッタ(11)とコレクタ(12)の対向面を内側の面とすると、その反対側の面(外側の面)に、エミッタ(11)側の電極端子(11a)とコレクタ(12)側の電極端子(12a)とを有している。
各エミッタ(11)は高温熱源部材(第1熱源)(13)に接続され、各コレクタ(12)は低温熱源部材(第2熱源)(14)に接続されている。高温熱源部材(13)は、図示していないが、自動車の排気ガスが流れる排気ガス通路を備え、排気ガスの熱をエミッタ(11)に伝達する。また、低温熱源部材(14)は、図示していないが、冷却水が流れる冷却水通路を備え、コレクタ(12)から放出される熱を冷却水に吸熱させる。この冷却水通路は、図示しないラジエータに接続されている。
そして、この熱電子発電装置(1)は、各熱電子発電素子(10)を電気的に直列に接続する導線部(15)を有している。各導線部(15)には銅線が用いられており、一端がエミッタ(11)側の電極端子(11a)に、他端がコレクタ(12)側の電極端子(12a)に接続されている。
各導線部(15)は、多数のフィンからなる熱交換器(16)を貫通している。この熱交換器(16)は、導線部(15)を伝わる熱を冷却用流体としての空気に吸熱させることにより、導線部(15)を冷却するものであって、導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導を抑制する熱伝導抑制部を構成している。この熱交換器(16)の近傍には、該熱交換器(16)に送風するためのファンが配置されている(図示せず)。
−発電動作−
自動車の運転時、排気ガスが高温熱源部材(13)の排気ガス通路内を流れ、排気ガスの熱が各熱電子発電素子(10)のエミッタ(11)に与えられる。ここで、エミッタ(11)に約500Kの熱が印加されるとすると、エミッタ(11)の仕事関数が見かけ上約0.7eV(0.74eV)になっており、コレクタ(12)の仕事関数が0.6eVであるため、各熱電子発電素子(10)では約0.1V(0.14V)の電圧が出力される。このとき、コレクタ(12)から放出される熱は、低温熱源部材(14)の冷却水通路内を流れる冷却水に吸熱され、ラジエータとの間を循環する。
この実施形態1では複数の熱電子発電素子(10)が導線部(15)で直列に接続されているので、出力電圧が所定値(バッテリー電圧)まで高められる。一方、各熱電子発電素子(10)を導線部(15)で直列に接続し、エミッタ(11)とコレクタ(12)に相当の温度差があるため、熱交換器(16)がなければエミッタ(11)からコレクタ(12)に熱が伝達されてしまうが、この実施形態1では導線部(15)が貫通する熱交換器(16)を設けているので、導線部(15)の熱が空気で冷却される。つまり、導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導が抑制される。
−実施形態1の効果−
以上のように、この実施形態1では複数の熱電子発電素子(10)を導線部(15)で直列に接続するとともに、各導線部(15)が熱交換器(16)を貫通する構造を採用したことによって、導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導を抑制するようにしている。このため、エミッタ(11)とコレクタ(12)との熱的な絶縁状態が阻害されるのを抑制し、発電効率が低下するのを防止できる。また、従来と比較すると低温度域での発電であるため、熱電子発電素子(10)の1つずつについての出力電圧は約0.1V(0.14V)と低いものの、複数の熱電子発電素子(10)を直列に接続することにより所望の出力電圧を得ることができる。以上のことから、本実施形態によれば自動車の排熱のような低温度域の熱源で作動する熱電子発電装置(1)を実用化することができる。
《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2について説明する。
実施形態2に係る熱電子発電装置(1)は、低温熱源部材(14)と熱交換器(16)の構成を実施形態1とは異ならせた例である。具体的には、図3に示すように、この実施形態2では低温熱源としてラジエータの冷却水の代わりに(あるいは冷却水とともに)空気を用い、熱交換器(16)を低温熱源部材(14)に接続した構成としている。こうすることにより、熱交換器(16)を流れる空気は、導線部(15)の熱を吸熱するだけでなく、コレクタ(12)から放出される熱も吸熱する。
この実施形態2についても、複数の熱電子発電素子(10)を導線部(15)で直列に接続するとともに、各導線部(15)が熱交換器(16)を貫通する構造を採用している点は実施形態1と同様である。したがって、実施形態1と同様に、エミッタ(11)とコレクタ(12)との熱的な絶縁状態が阻害されるのを抑制し、発電効率が低下するのを防止できる。また、低温度域での発電であるため、熱電子発電素子(10)の1つずつについての出力電圧は低いものの、複数の熱電子発電素子(10)を直列に接続することにより所望の出力電圧を得ることができる。このように、この実施形態2においても、低温度域で作動する熱電子発電装置(1)を実用化することが可能である。
《発明の実施形態3》
次に本発明の実施形態3について説明する。
実施形態3に係る熱電子発電装置(1)は、図4に示すように、熱伝導抑制部の構成が実施形態1と異なり、冷却用流体として空気の代わりに冷媒回路(20)の冷媒を用いるようにした例である。
この熱電子発電装置(1)は、実施形態1と同様、複数の熱電子発電素子(10)を備えている。また、各熱電子発電素子(10)は、導線部(15)によって電気的に直列に接続されている。各熱電子発電素子(10)は、エミッタ(11)側が高温熱源部材(13)に接続され、コレクタ(12)側が低温熱源部材(14)に接続されている。高温熱源部材(13)及び低温熱源部材(14)の構成は、実施形態1と同じである。
本実施形態の熱電子発電装置(1)は上述したように冷媒回路(20)を備えている。冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器となる第1熱交換器(22)と、膨張機構(23)と、蒸発器となる第2熱交換器(24)とを備え、これらが冷媒配管(25)に順に接続されることにより構成された閉回路である。この構成で熱伝導抑制部を構成するのは第2熱交換器(24)であり、この第2熱交換器(24)は、例えば導線部(15)を構成する銅線を冷媒配管(25)に巻き付けることにより構成されている。
この実施形態3においても、高温熱源部材(13)の熱がエミッタ(11)に与えられると、エミッタ(11)から熱電子が放出され、発電回路(C1)において所定の電圧が出力される。一方、冷媒回路(20)では、圧縮機(21)から吐出された高温高圧の冷媒が第1熱交換器(22)で凝縮し、膨張機構(23)で膨張した後、第2熱交換器(24)に流入する。冷媒は、第2熱交換器(24)において導線部(15)の熱を吸熱して蒸発した後、圧縮機(21)に吸入される。このようにして冷媒が冷媒回路(20)を循環することで、導線部(15)におけるエミッタ(11)からコレクタ(12)への熱伝導が抑制される。
この実施形態3においても、エミッタ(11)とコレクタ(12)との熱的な絶縁状態が阻害されるのを抑制し、発電効率が低下するのを防止できる。また、低温度域での発電であっても、複数の熱電子発電素子(10)を直列に接続しているので所望の出力電圧を得ることができる。したがって、この本実施形態3についても低温度域で作動する熱電子発電装置(1)を実用化することができる。
《発明の実施形態4》
次に本発明の実施形態4について説明する。
実施形態4に係る熱電子発電装置(1)は、図5に示すように、実施形態3の構成において、冷媒回路(20)の冷媒を導線部(15)の熱伝導を抑制するために用いるだけでなく、低温熱源としても利用したものである。
この実施形態4では、導線部(15)の一部が銅管(15a)により構成されている。具体的には、導線部(15)はエミッタ(11)側の電極端子(11a)に接続される部分が銅線(15b)により構成されるとともに、コレクタ(12)側の電極端子(12a)に接続される部分が銅管(15a)により構成され、銅線(15b)と銅管(15a)とが互いに接続されている。そして、銅管(15a)が低温熱源部材(14)の中に配置されている。
冷媒回路(20)は、実施形態3と同様に、圧縮機(21)、第1熱交換器(22)、膨張機構(23)、第2熱交換器(24)から構成され、これらを冷媒配管(25)で順に接続することにより構成された閉回路になっている。冷媒配管(25)は、低温熱源部材(14)の中を通り、上記銅管(15a)の中を貫通している。こうすることにより、冷媒配管(25)が上記銅管(15a)と接触した部分が第2熱交換器(24)を構成している。
この実施形態4においても、高温熱源部材(13)の熱がエミッタ(11)に印加されると、エミッタ(11)から熱電子が放出され、発電回路(C1)において所定の電圧が出力される。一方、冷媒回路(20)では、圧縮機(21)から吐出された高温高圧の冷媒が第1熱交換器(22)で凝縮し、膨張機構(23)で膨張した後、第2熱交換器(24)に流入する。冷媒は、第2熱交換器(24)(導線部(15)の銅管(15a)内)を流れるときに導線部(15)の熱を吸熱して蒸発した後、圧縮機(21)に吸入される。このようにして冷媒が冷媒回路(20)を循環することで、導線部(15)におけるエミッタ(11)からコレクタ(12)への熱伝導が抑制される。また、冷媒は低温熱源部材(14)の中を通るときにコレクタ(12)から放出される熱も吸熱する。
この実施形態4においても、エミッタ(11)とコレクタ(12)との熱的な絶縁状態が阻害されるのを抑制し、発電効率が低下するのを防止できる。また、低温度域での発電であっても、複数の熱電子発電素子(10)を直列に接続しているので所望の出力電圧を得ることができる。したがって、この本実施形態4についても低温度域で作動する熱電子発電装置(1)を実用化することができる。
なお、この実施形態では導線部(15)の一部を銅管(15a)により構成しているが、導線部(15)の全部を銅管(15a)により構成してもよい。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態では、熱電子発電装置(1)を自動車の排気ガスの排熱を利用して発電するものとして説明したが、ガスバーナー、ガス給湯器またはガスストーブなどにおけるガスの燃焼熱を利用した発電装置に応用したり、燃料電池の排熱を利用した発電装置に応用することもできる。
また、本発明は低温度域での発電に特に有効であるが、それに限らず、高温度域の発電時に出力電圧を高めるのにも適用できる。
さらに、上記実施形態では、エミッタ(11)とコレクタ(12)にバイアス回路(C2)を接続することによりエミッタ(11)の仕事関数をコレクタ(12)の仕事関数よりも大きくする構成について説明したが、エミッタ(11)やコレクタ(12)に表面処理をして両者の仕事関数に差を付けたり、材料自体を異ならせるなど、他の構成も考えられる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、熱電子を放出するエミッタと該熱電子を捕集するコレクタとが所定の間隙を隔てて配置された熱電子発電素子を用いて構成された熱電子発電装置について有用である。
実施形態1に係る熱電子発電装置の電気回路及び動作原理を示す説明図である。 実施形態1に係る熱電子発電装置の概略構成図である。 実施形態2に係る熱電子発電装置の概略構成図である。 実施形態3に係る熱電子発電装置の概略構成図である。 実施形態4に係る熱電子発電装置の概略構成図である。
符号の説明
1 熱電子発電装置
10 熱電子発電素子
11 エミッタ
12 コレクタ
13 高温熱源部材(第1熱源)
14 低温熱源部材(第2熱源)
15 導線部
15a 銅管
16 熱交換器(熱伝導抑制部)
20 冷媒回路
24 第2熱交換器(熱伝導抑制部)

Claims (5)

  1. 熱電子を放出するエミッタ(11)と該熱電子を捕集するコレクタ(12)とが所定の間隙を隔てて配置され、上記エミッタ(11)に第1熱源(13)が接続される熱電子発電素子(10)を備えた熱電子発電装置であって、
    複数の熱電子発電素子(10)を備え、
    各熱電子発電素子(10)を電気的に直列に接続する導線部(15)と、該導線部(15)におけるエミッタ(11)側からコレクタ(12)側への熱伝導を抑制する熱伝導抑制部(16,24)とを備えていることを特徴とする熱電子発電装置。
  2. 請求項1において、
    熱伝導抑制部(16,24)は、導線部(15)を伝わる熱を冷却用流体に吸熱させる熱交換器(16,24)により構成されていることを特徴とする熱電子発電装置。
  3. 請求項2において、
    熱交換器(16,24)を流れる冷却用流体が、コレクタ(12)を冷却する第2熱源(14)として利用されることを特徴とする熱電子発電装置。
  4. 請求項1から3の何れか1つにおいて、
    導線部(15)の全部または一部が銅管(15a)により構成されていることを特徴とする熱電子発電装置。
  5. 請求項4において、
    冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備え、
    冷媒回路(20)の冷媒が導線部(15)を構成する銅管(15a)内を流れ、導線部(15)を伝わる熱を銅管(15a)内の冷媒が吸熱するように構成されていることを特徴とする熱電子発電装置。
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