JP2007005414A - 高誘電率材シート、配線基板 - Google Patents

高誘電率材シート、配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性に優れた高誘電率材シートを提供すること。
【解決手段】高誘電率材シート20は誘電体層21を備え、誘電体層21は第1主面117及び第2主面118を有する。誘電体層21は、誘電体粒22と、誘電体粒22同士を固着する有機樹脂材料23とを有する。有機樹脂材料23の表面からは複数の誘電体粒22の一部が突出する。これにより、第1主面117及び第2主面118の両方に凹凸が形成され、第1主面117側及び第2主面118側の表面積が増大する。なお、誘電体粒22の突出部分は、誘電体層21の平面方向に沿って規則的に配置される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、誘電体層を備える高誘電率材シート、高誘電率材シートを埋め込んだ配線基板に関するものである。
近年における電子機器の高性能化や小型化の要求は高く、このような要求が高まるにつれて電子部品の高密度化や高機能化に対する要求も確実に高くなってきている。それゆえ、配線基板における電子部品の実装効率を上げるために、例えば、配線基板埋込用の電子部品(キャパシタなど)が各種提案されている。
ところで、配線基板埋込用のキャパシタは、一般的にはセラミック焼結体からなる高誘電率シートの表面に電極を形成した構造を有している(例えば、特許文献1参照)。電極は、例えばめっきによって高誘電率材シートの表面に直接形成される。めっき法による電極の形成を行えば、大量の処理が可能となるため、キャパシタを低コストで製造できる。
特開2002−9416号公報
ところが、高誘電率シートは、めっきが付着しにくいセラミックによって形成されているため、電極との密着強度が十分に得られない。ゆえに、密着強度を高めることにより、信頼性に優れたキャパシタを実現することが望まれている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、信頼性に優れた高誘電率材シートを提供することにある。第2の目的は、上記の優れた高誘電率材シートを埋め込んだ配線基板を提供することにある。
そして、上記課題を解決するための手段(手段1)としては、第1主面及び第2主面を有する誘電体層を備える高誘電率材シートであって、前記誘電体層は、複数の誘電体粒と、前記複数の誘電体粒同士を固着する有機樹脂材料とを有するとともに、前記有機樹脂材料の表面から前記複数の誘電体粒の一部が突出することにより、前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくともいずれかに凹凸が形成され、前記誘電体粒の突出部分が、前記誘電体層の平面方向に沿って規則的に配置されていることを特徴とする高誘電率材シートがある。
従って、上記手段1の高誘電率材シートによれば、前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくともいずれかに凹凸が形成されている。その結果、第1主面側及び第2主面側のうちの少なくともいずれかの表面積が増大するため、誘電体層と他層(電極となる金属層など)との界面に作用する物理結合力が大きくなり、両者の密着性が向上する。よって、信頼性に優れた高誘電率材シートを実現することができる。しかも、誘電体粒の突出部分が、誘電体層の平面方向に沿って規則的に配置されている。その結果、誘電体層と他層との間での密着性のバラツキが少なくなるため、信頼性の面で好適な高誘電率材シートを実現することができる。
なお、凹凸は、前記第1主面及び前記第2主面の両方に形成されることが好ましい。このようにすれば、第1主面においても第2主面においても、誘電体層と他層との界面に作用する物理的結合力が大きくなり、両者の密着性が向上する。
手段1にかかる誘電体粒とは、有機樹脂材料よりも誘電率の高い無機物(例えばセラミックなど)を主成分とする粒状物のことをいう。上記セラミックとしては、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ほう素、炭化珪素、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどがあるが、特には、高誘電率セラミックであることが好ましい。ここで高誘電率セラミックとは、比誘電率が10以上のセラミックのことをいい、特には比誘電率が100以上であることが好ましい。このようにすれば、高誘電率材シート全体の誘電率がよりいっそう高くなるため、高誘電率材シートの高容量化がよりいっそう容易になる。上記高誘電率セラミックとしては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ペロブスカイト型結晶構造を有したペロブスカイト酸化物が挙げられる。ペロブスカイト酸化物の具体例としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛及びチタン酸ストロンチウムから選択される1種または2種以上にて構成された化合物を挙げることができる。
ここで、誘電体粒は、単数の粒子からなっていてもよいし、複数の粒子からなっていてもよい。なお、複数の粒子からなる誘電体粒の場合には、誘電体粒とは、複数の粒子を押し固めた状態で焼結(化学的に結合)することにより形成されたものを含む。また、複数の誘電体粒は、略球状(例えば、真球状、楕円球状など)であってもよいし、略柱状(例えば、略円柱状、略四角柱状、略三角柱状など)などの非球形状であってもよいが、特には、略球状であることが好ましい。このようにすれば、高誘電率材シートの製造時において、複数の誘電体粒を治具が有する複数の位置決め部に保持させる際に、誘電体粒の向きを考慮しなくても済む。よって、高誘電率材シートを効率良く製造できる。また、複数の誘電体粒は、真球度が高いことが好ましく、それぞれの粒径が揃っていることが好ましい。このようにすれば、上記位置決め部に対する誘電体粒の保持などが容易になるため、高誘電率材シートを製造しやすくなる。
さらに、前記複数の誘電体粒の粒径は、前記有機樹脂材料の最大厚さよりも大きいことが好ましい。このようにすれば、誘電体粒の一部が有機樹脂材料の表面から突出しやすくなるため、誘電体層において誘電体粒が存在する部分においては、誘電体層の厚さ方向に沿って誘電体粒のみを配置できる。このため、高誘電率材シート全体の誘電率を高くしやすくなり、高誘電率材シートの高容量化が容易になる。また、前記複数の誘電体粒は、粒径が10μm以上50μm以下であることが好ましい。仮に、誘電体粒の粒径が10μm未満であれば、上記位置決め部に対する誘電体粒の保持が困難になる。一方、誘電体粒の粒径が50μmよりも大きいと、高誘電率材シート全体が厚くなってしまう。特に、誘電体粒が真球状ではなく楕円形状などである場合、誘電体粒における誘電体層の厚さ方向の長さ(厚み径)は、前記低誘電率部の最大厚さよりも大きいことが好ましい。
なお、複数の誘電体粒を配列する方法としては、複数の誘電体粒を前記誘電体層の平面方向に沿って二次元的にかつ単層状に配列することなどが挙げられる。複数の誘電体粒を前記誘電体層の平面方向に沿って二次元的にかつ単層状に配列する方法としては、複数の誘電体粒を、前記誘電体層の平面方向に沿って格子状または千鳥状に配置することなどが挙げられる。このように構成した場合、誘電体粒が誘電体層の平面方向に沿って均一に配置されるため、高誘電率材シートの機械的強度を均一に高めることができる。また、いわゆる多数個取りの高誘電率材シートを製造し、その多数個取り高誘電率材シートを分割して高誘電率材シートを得る場合、高誘電率材シートごとの誘電体粒の体積比のバラツキが小さくなる。ゆえに、高誘電率材シートごとの静電容量のバラツキを防止できる。
なお、誘電体粒の突出部分の配置は、誘電体粒の配列に準じていることが多い。このため、複数の誘電体粒の突出部分を平面方向に沿って規則的に配置する方法としては、複数の誘電体粒の突出部分を、前記誘電体層の平面方向に沿って格子状または千鳥状に配置することなどが挙げられる。このように構成した場合、誘電体粒の突出部分を密集させやすくなるため、凹凸が形成された面(第1主面及び第2主面のうちの少なくともいずれかの面)の表面粗さがより高くなる。その結果、誘電体層と他層との密着性がよりいっそう向上するため、より信頼性に優れた高誘電率材シートを実現することができる。
ここで、「規則的に配置」とは、誘電体粒の突出部分の全てが規則的に配置されることのみを含むのではなく、誘電体粒の突出部分の一部が規則的に配置されることも含むものとする。また、「規則的」とは、完全に規則的(格子状、千鳥状など)でなくてもよく、実質的に規則的であればよい。このようにしても、密着性のバラツキを低減できるからである。例えば、誘電体粒がセラミックであって、高誘電率材シートがキャパシタを形成するための材料である場合、高容量のキャパシタを形成するためには、セラミックの割合を多くする必要がある。しかし、セラミックの割合を多くすれば、突出するセラミックも自ずと多くなるため、誘電体層に密着させる他層がめっき層である場合に密着性が低下してしまう。そこで、セラミックが突出した面において、めっきが付着しやすい有機樹脂材料を突出部分の周囲に配置すれば、セラミックのみでめっき層との密着を図る場合よりも、より強固な密着力を得ることが可能となる。この場合、突出部分の周囲に均一に有機樹脂材料が配置された状態となり、実質的に規則的となるが、密着性のバラツキの低減が可能である。
前記凹凸が形成された前記第1主面及び/または前記第2主面において、前記誘電体粒と前記有機樹脂材料との高低差は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。その理由は、誘電体粒と有機樹脂材料との高低差が大きくなりすぎると、凹となる部分まで他層が入り込まないため、十分な物理的密着力を得られないからである。また、誘電体層の厚さが実質的に増えてしまうため、例えば高誘電率材シートによってキャパシタを形成する場合に、静電容量の低下につながってしまうからである。
上記高誘電率材シートにおいて、前記凹凸が形成された前記第1主面及び/または前記第2主面における、前記誘電体粒と前記有機樹脂材料との高低差は、1μmよりも大きくなるように設定される。その理由は、誘電体粒と有機樹脂材料との高低差がこの値以下であると、密着性改善につながる誘電体層とはならず、十分な物理的密着力が得られないからである。なお、当然ながら、誘電体粒と有機樹脂材料との高低差は、誘電体粒の有効径を超えることはない。
誘電体層において前記有機樹脂材料が主となる部分の厚さは、5μm以上45μm以下に設定されることが好ましい。当該材料が主となる部分の厚さを5μm以上に設定することにより、高誘電率材シートの高い機械的強度を確保することができるとともに、高誘電率材シートの厚さ方向(Z方向)への大型化を防止することができる。一方、当該材料が主となる部分の厚さを45μm以下に設定することにより、誘電体粒の一部を第1主面及び第2主面のうちの少なくともいずれかにて突出させやすくなる。なお、誘電体粒の一部を第1主面及び第2主面の両方にて突出させるためには、複数の誘電体粒同士を固着する有機樹脂材料の厚さが、複数の誘電体粒の粒径よりも小さいことがよい。
また、有機樹脂材料は、コスト性、接合性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができる。なお、誘電体粒がセラミックからなり、前記第1主面及び/または前記第2主面の上にめっき層(金属層)が直接形成される場合、誘電体粒上はめっき付着強度が低い。このため、めっき付着強度が高い有機樹脂材料を用いることが好ましい。また、研削が容易な有機樹脂材料を用いることにより、高誘電率材シートの製造時に、複数の誘電体粒同士を固着する材料を研削して前記複数の誘電体粒の一部を前記有機樹脂材料から突出させることにより、前記誘電体層の表面に凹凸を形成する凹凸形成工程を実施することが容易になる。なお、セラミックに比べて有機樹脂材料のほうがめっき付着強度が高い理由としては、粗化した場合の表面状態の差が考えられる。セラミックを粗化した場合、表面に谷形状の凹部が形成されるのみであるが、有機樹脂材料を粗化した場合、奥に入り込んだ形状のアンカー部が形成される。その結果、めっきが有機樹脂材料のアンカー部に入り込むため、強固な密着力を得ることができる。なお、有機樹脂材料としては、複数の誘電体粒同士を固着させる力が大きい材料であることが好ましく、その好適例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料を使用してもよい。
なお、有機樹脂材料(低誘電率材料)の比誘電率は、できるだけ高いほうが好ましいが、実際の比誘電率は、前記誘電体粒(高誘電率材料)の比誘電率よりもかなり低くなる(例えば5以下)。よって、前記誘電体層における前記高誘電率材料の体積比は、前記誘電体層における前記低誘電率材料の体積比よりもできるだけ大きいことが好ましい。例えば、高誘電率材料の体積比を60%以上にして、残りの部分を低誘電率材料にすることが好ましい。特には、高誘電率材料の体積比を70%以上にして、残りの部分を低誘電率材料にすることが好ましい。このようにすれば、高誘電率材シート全体の誘電率が高くなるため、高誘電率材シートの高容量化がいっそう容易になる。
上記高誘電率材シートは、金属層と誘電体部とを積層してなる積層電子部品を形成するための材料とすることができる。その具体例としてはキャパシタなどがある。高誘電率材シート全体の厚さは特に限定されないが、例えば1μm以上100μm以下であることがよく、好ましくは、5μm以上75μm以下であることがよい。全体の厚さが薄すぎると、シート単体として取り扱うことが困難になる。一方、全体の厚さが厚すぎると、高誘電率材シートを配線基板に埋め込む場合に、配線基板の高密度化や小型化の達成を阻害するおそれがある。また、全体の厚さが厚すぎると、段差が発生しやすくなるため、基板表面の平滑性を確保しにくくなるおそれがある。即ち、前記高誘電率材シートは、配線基板埋込用電子部品を形成するための材料であってもよい。
さらに、高誘電率材シートは、前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくともいずれかに付着して前記誘電体層を保護するキャリア材をさらに備えることが好ましい。このようにすれば、高誘電率材シートを製造する際の誘電体層の破損を防止できる。また、誘電体層が薄くても、キャリア材が付着することで肉厚になるため、誘電体層の取扱性が向上する。
また、上記高誘電率材シートは、前記凹凸が形成された前記第1主面及び/または前記第2主面の上に直接形成された金属層をさらに備えていてもよい。この構成によると、他層である金属層が、接着剤等の他の材料を用いずに、誘電体層に対して密着した状態の高誘電率材シートとすることができる。よって、誘電体粒と他の材料とが誘電体層の厚さ方向に沿って直列に存在しないため、高誘電率化を達成しやすくなる。
このような金属層は、誘電体層の片面(第1主面または第2主面)に直接形成されていてもよいほか、両面(第1主面及び第2主面の両方)に直接形成されていてもよい。前記第1主面及び前記第2主面の両方に直接形成された金属層を備えている場合、高誘電率材シートは例えばキャパシタとなる。
上記高誘電率材シートが金属層を備える場合、その金属層は導電性に優れた材料を用いて形成されることが好ましく、具体的には、銀、金、白金、銅、チタン、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、タングステンなどから選択される1種または2種以上の合金を用いて形成されることがよい。特に、金属層の形成用材料としては例えば銅や銀を用いることが好ましい。銅や銀は高い導電性を有しており、電極用材料として好適だからである。
金属層の厚さは、例えば0.1μm以上50μm以下であることがよい。金属層が薄すぎると、電気的信頼性を確保しにくくなるおそれがあるからである。一方、金属層が厚くなりすぎると、高誘電率材シートの厚さが厚くなるおそれがあるからである。その点、0.1μm以上50μm以下の範囲内で厚さを設定すれば、電気的信頼性を確保しつつ高誘電率材シート全体の厚肉化を防止することができる。
金属層の例としては、めっき層、金属ペースト層、金属箔貼付層、スパッタリング層、蒸着層、イオンプレーティング層などが挙げられるが、これらの中でもめっき層が好適である。めっき層は、短時間での形成が可能であり、高誘電率材シートの低コスト化に有利だからである。
なお、前記高誘電率材シートは、例えば、半導体集積回路チップ、トランジスタ、ダイオード等の能動部品を形成するための材料であってもよいし、能動部品そのものであってもよい。また、高誘電率材シートは、抵抗、キャパシタ、インダクタ、コイル等の受動部品を形成するための材料であってもよいし、受動部品そのものであってもよい。なお、ここでいう高誘電率材シートとは、高誘電率材シートの完成品のみを指すのではなく、金属層を後で形成する(例えば配線基板への埋込後に形成する)ことではじめて完成する高誘電率材シートも含むものとする。
また、上記課題を解決するための他の手段(手段2)としては、上記手段1の高誘電率材シートを埋め込んだことを特徴とする配線基板がある。
従って、上記手段2の配線基板によれば、高容量化された高誘電率材シートが埋め込まれているため、高誘電率材シートがキャパシタである場合、高効率にノイズを除去してICチップなどに供給すべき電源を安定化させることができるとともに、ICチップなどへの電力供給が可能となる。また、当該高誘電率材シートが配線基板内に埋め込まれた結果、配線基板表面上の部品実装可能領域が増えるため、そこに他の電子部品を実装することが可能となる。
また、前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくともいずれかに凹凸が形成されている。その結果、第1主面側及び第2主面側のうちの少なくともいずれかの表面積が増大するため、誘電体層と他層(電極となる金属層など)との界面に作用する物理結合力が大きくなり、両者の密着性が向上する。よって、信頼性に優れた高誘電率材シートを実現することができる。しかも、誘電体粒の突出部分が、誘電体層の平面方向に沿って規則的に配置されているため、凹凸が形成された面(第1主面及び第2主面のうちの少なくともいずれかの面)の表面粗さが均一となる。その結果、誘電体層と他層との間での密着性のバラツキが少なくなるため、信頼性の面で好適な高誘電率材シートを実現することができる。
上記配線基板は、例えばコア基板上に絶縁層及び導体層を形成した構成を有している。この場合、高誘電率材シートを、コア基板内に埋め込んでもよいし、コア基板と絶縁層との間に埋め込んでもよいし、絶縁層内に埋め込んでもよい。また、併せて他の部品である抵抗素子やインダクタ等を配線基板の内部に埋め込むようにしてもよい。
コア基板の形成材料については特に限定されず、コスト性、加工性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができる。コア基板としては、例えば、樹脂基板、セラミック基板、金属基板などが挙げられる。樹脂基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板等を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。前記セラミック基板の具体例としては、例えば、アルミナ基板、ベリリア基板、ガラスセラミック基板、結晶化ガラス等の低温焼成材料からなる基板などがある。前記金属基板の具体例としては、例えば、銅基板や銅合金基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の金属の合金からなる基板などがある。
コア基板上に形成される好適な絶縁層としては、樹脂絶縁層を挙げることができる。その理由は、樹脂製の絶縁層は高誘電率材シートの支持体として好ましいため、例えば高誘電率材シートを埋め込んだ構造を実現しやすくなるからである。よって、量産性やコストへの対応能力が高くなる。また、配線基板の大型化にも有利となる。樹脂絶縁層は、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイドートリアジン樹脂)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて形成される。
導体層は、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって、コア基板上や絶縁層上にパターン形成される。導体層の形成に用いられる金属材料の例としては、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、スズ、スズ合金などが挙げられる。なお、コア基板の片面または両面に、導体層と絶縁層とが交互に積層されてなるビルトアップ層が形成されていてもよい。
以下、本発明を具体化した一実施形態のセラミックキャパシタ内蔵配線基板及びその製造方法を図1〜図16に基づき説明する。
図1に示されるように、このセラミックキャパシタ内蔵配線基板71(配線基板)は、ガラスエポキシからなるコア基板72の片側面上に、ビルドアップ層73を形成してなるものである。ビルドアップ層73は、同じくエポキシ樹脂からなる樹脂絶縁層81,82,83,84(いわゆる層間絶縁層)を4層備えている。コア基板72と樹脂絶縁層81との界面には、銅からなる導体層90がパターン形成されている。樹脂絶縁層81,82,83,84同士の界面には、銅からなる導体層91,92,93がパターン形成されている。また、最表層の樹脂絶縁層84の表面上における複数箇所には、銅にニッケル−金めっきを被覆した端子パッド94が形成されている。各端子パッド94は、MPUとしての機能を有するICチップ97と電気的に接続可能になっている。また、コア基板72及び樹脂絶縁層81,82,83,84内には、それぞれビア導体96が設けられている。これらのビア導体96のほとんどは同軸上に配置されるとともに、それらを介して導体層91,92,93及び端子パッド94が相互に電気的に接続されている。
図1に示されるように、コア基板72の下面上における複数箇所には、ビア導体96と電気的に接続されるBGA用パッド55が格子状に形成されている。また、コア基板72の下面は、ソルダーレジスト52によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト52の所定箇所には、BGA用パッド55を露出させる開口部53が形成されている。BGA用パッド55の表面上には、図示しないマザーボードとの電気的な接続を図るための複数のはんだバンプ49が配設されている。はんだバンプ49は、90Pb/10Snという組成の錫鉛はんだからなっている。
そして、各はんだバンプ49により、図1に示されるセラミックキャパシタ内蔵配線基板71はマザーボード上に実装される。なお、本実施形態のセラミックキャパシタ内蔵配線基板71はBGA(ボールグリッドアレイ)である。セラミックキャパシタ内蔵配線基板71の形態は、BGAのみに限定されず、例えばLGA(ランドグリッドアレイ)やPGA(ピングリッドアレイ)等であってもよい。
前記ビルドアップ層73の内部(具体的には第1層の樹脂絶縁層81と第2層の樹脂絶縁層82との界面)には、図2,図3に示すセラミックキャパシタ10(キャパシタ)が、埋め込んだ状態で実装されている。セラミックキャパシタ10は、誘電体層21を備える高誘電率材シート20によって形成されている。誘電体層21の第1主面117上には銅めっきからなる第1金属電極層11(金属層)が形成され、誘電体層21の第2主面118上には銅めっきからなる第2金属電極層31(金属層)が形成されている。
また、誘電体層21は、複数の誘電体粒22と、層間絶縁材23とを有している。誘電体粒22は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムの焼結体からなり、第1金属電極層11−第2金属電極層31間の誘電体として機能する。一方、層間絶縁材23は、有機樹脂材料の一種であるエポキシ樹脂からなり、複数の誘電体粒22同士を固着するとともに、複数の誘電体粒22同士を絶縁する機能を有する。また、層間絶縁材23も、第1金属電極層11−第2金属電極層31間の誘電体として機能する。
図1〜図3に示されるように、各誘電体粒22は、誘電体層21の平面方向に沿って二次元的にかつ単層状に配列されている。具体的には、各誘電体粒22は、誘電体層21の平面方向に沿って格子状(アレイ状)に配置されている。そして、各誘電体粒22の周囲に層間絶縁材23が配置されることにより、誘電体部24が形成される。これにより、誘電体部24においては、誘電体粒22と層間絶縁材23とが、誘電体層21の平面方向に沿って交互にかつ規則的に配置される。なお、誘電体部24は、各誘電体粒22が密集している領域であり、誘電体層21の厚さ方向から見て矩形状をなす領域(図3参照)である。各誘電体粒22は、輪郭度が第1金属電極層11及び第2金属電極層31の厚み以下(約0.5μm〜1.5μm)となる略球状をなしており、その粒径は30μmに設定されている。また、隣接する誘電体粒22の中心間距離(ピッチ)も、誘電体粒22の粒径と同じ30μmに設定されている。このため、各誘電体粒22は互いに接触している。なお、図3に示されるように、誘電体粒22間のピッチは、セラミックキャパシタ10の縦方向(図3では上下方向)においても横方向(図3では左右方向)においても等しくなっている。
なお、本実施形態における誘電体部24内の誘電体粒22の体積比は70%であり、誘電体部24内の層間絶縁材23の体積比(30%)よりも大きくなっている。また、誘電体粒22の比誘電率は3000であり、層間絶縁材23の比誘電率は3である。よって、層間絶縁材23の比誘電率は、誘電体粒22の比誘電率よりも相対的に低くなる。また、誘電体部24の最大厚さは、誘電体粒22の粒径と同じ30μmである。従って、本実施形態における誘電体部24の静電容量密度は、0.056μF/cmとなり、本実施形態における誘電体部24の静電容量係数は、168pF/cmとなる。なお、「静電容量係数」とは、静電容量密度と、誘電体部24の厚さとの積である。
図1,図2に示されるように、各誘電体粒22の粒径は、層間絶縁材23の最大厚さ(約20μm)よりも大きくなっている。このため、各誘電体粒22の上端部は第1主面117(層間絶縁材23の表面)にて突出し、各誘電体粒22の下端部は第2主面118(層間絶縁材23の表面)にて突出する。なお、誘電体粒22の上端側突出部分及び下端側突出部分は、誘電体層21の平面方向に沿って格子状(アレイ状)に配置されている。即ち、誘電体粒22の突出部分の配置は、誘電体粒22の配列に準じている。その結果、第1主面117及び第2主面118の両方には凹凸が形成される。ここで、凹凸が形成された第1主面117及び第2主面118において、誘電体粒22と層間絶縁材23との高低差は、3μm〜7μm程度に設定されている。なお、第1主面117において誘電体粒22が突出していない部分は第1金属電極層11に密着しており、第2主面118において誘電体粒22が突出していない部分は第2金属電極層31に密着している。また、前記第1金属電極層11及び前記第2金属電極層31の厚さは約30μmに設定されている。このため、セラミックキャパシタ10全体の厚さは、90μm程度であって、極めて薄くなっている。
図1に示されるように、第1金属電極層11は配線基板実装時に上向きの状態となるため、第2層の樹脂絶縁層82内にあるビア導体96に電気的に接続されている。一方、第2金属電極層31は配線基板実装時に下向きの状態となるため、第1層の樹脂絶縁層81内にあるビア導体96に電気的に接続されている。
そして、このような構成のセラミックキャパシタ10に通電を行い、第1金属電極層11−第2金属電極層31間に所定の電圧を加えると、一方の電極にプラスの電荷が蓄積し、他方の電極にマイナスの電荷が蓄積するようになっている。その結果、セラミックキャパシタ10がキャパシタとして機能する。本実施形態において、このセラミックキャパシタ10は、ノイズを除去してICチップ97に供給すべき電源を安定化させる機能を有しており、ICチップ97の動作性向上に関与している。
次に、このセラミックキャパシタ10の製造方法を図4〜図16に基づいて説明する。
まず、図4,図5に示すようなメッシュ部材100(治具)を用意し、位置決め工程を実施する。メッシュ部材100は、縦方向に沿って互いに平行に配置される複数の金属線材と、横方向に沿って互いに平行に配置される複数の金属線材とを直交させることにより構成される。メッシュ部材100は、同メッシュ部材100の平面方向(治具主面方向)に沿って格子状に配列された複数の位置決め部101を有している。個々の位置決め部101は、4本の金属線材によって正方形状に構成された空間(網目)であり、網目の幅は誘電体粒22の粒径(30μm)よりも小さく(約25μm)なっている。このため、誘電体粒22は金属線材によって確実に支持される。なお、本実施形態では、メッシュ部材100として市販のスクリーン印刷機の印刷スクリーンを用いている。
そして、位置決め工程では、複数の位置決め部101を介してメッシュ部材100の片側から真空引きを行うことにより、複数の誘電体粒22が各位置決め部101に嵌め込まれる。これにより、複数の位置決め部101に複数の誘電体粒22が保持され、各誘電体粒22がメッシュ部材100の平面方向に沿って格子状に配列する。なお、本実施形態では真空引きを行っているため、複数の位置決め部101に複数の誘電体粒22を素早く保持させることができる。しかも、振動などに起因する各誘電体粒22の位置ずれや脱落を防止できる。
次に、図6に示すような金属箔111(キャリア材)を用意し、転写工程を実施する。なお、本実施形態の金属箔111は、片側面に付着層112を有している。付着層112は、エポキシ樹脂製の接着剤によって形成されている。
転写工程では、メッシュ部材100の上方に金属箔111の付着層112側を配置するとともに、メッシュ部材100上にて位置決めされた複数の誘電体粒22に付着層112を接触させる(図7参照)。そして、この状態で垂直方向(図7では下方向)に押圧力を加える。その結果、各誘電体粒22が付着層112上に転写される。このとき、複数の誘電体粒22の一部が付着層112中に埋め込まれることで、各誘電体粒22と付着層112との接触面積が大きくなるため、各誘電体粒22をより確実に位置決めできる。その後、所定温度及び所定時間加熱する第1キュア工程を行い、付着層112を少しだけ熱硬化させる。その結果、付着層112を介して金属箔111に各誘電体粒22が仮固定される。
次に、固着工程を実施し、複数の誘電体粒22同士をエポキシ樹脂からなる層間絶縁材23で固着する。詳述すると、複数の誘電体粒22が転写された金属箔111の付着層112側にシート状の層間絶縁材23を配置し(図8参照)、この状態で前記垂直方向と同一方向(図8では下方向)に押圧力を加える。本実施形態において具体的には、20Torr(≒2666Pa)以下の真空下で100℃以上の温度となるように加熱を行いながら垂直方向と同一方向に押圧力(0.7MPa)を加える(真空熱プレス)。これに伴い、金属箔111、付着層112、各誘電体粒22及び層間絶縁材23が積層方向に沿って押圧され、金属箔111及び層間絶縁材23が付着層112を介して接合(熱圧着)される。この際、層間絶縁材23の一部が各誘電体粒22間に侵入する(図9参照)。
さらに、所定温度及び所定時間加熱する第2キュア工程を行い、付着層112を熱硬化させる。その結果、複数の誘電体粒22同士が固着し、各誘電体粒22が移動不能となる。なお、付着層112は、層間絶縁材23と同じエポキシ樹脂からなるため、熱により層間絶縁材23と一体化する。その結果、誘電体層21が得られる(図10参照)。
固着工程後、第1凹凸形成工程(凹凸形成工程)を実施する。具体的には、複数の誘電体粒22の一部を層間絶縁材23から突出させて、誘電体層21の表面に凹凸を形成し、その面を第2主面118とする(図11参照)。なお、本実施形態では、従来公知のバフ研磨装置、ラッピング装置、ポリッシング装置、ブラスト装置、Oプラズマなどを用いて表面研削を行うことにより、層間絶縁材23の表層を除去して、複数の誘電体粒22の一部を層間絶縁材23から突出させる。なお、各誘電体粒22の突出量は、研削時間を変更したり研磨剤の硬度を変更したりすることで調節可能である。
第1凹凸形成工程後、第1金属層形成工程(金属層形成工程)を実施する。具体的には、誘電体層21の第2主面118上に、従来公知の手法に基づいて無電解銅めっきを行った後にさらに電解銅めっきを行って、厚さ約30μmの第2金属電極層31を直接形成する(図12参照)。なお、第2金属電極層31の形成を無電解銅めっき及び電解銅めっきによって行えば、大量の処理が可能となるため、セラミックキャパシタ10を低コストで製造できる。
次に、導体層90及び第1層の樹脂絶縁層81が形成されたコア基板72を用意し、その第1層の樹脂絶縁層81上に、第2金属電極層31側を下向きにした誘電体層21を搭載する(図13参照)。なお、搭載時においては、本実施形態のセラミックキャパシタ10は、完成前の中間品である。
より詳細に言うと、第1層の樹脂絶縁層81を形成するための未硬化のフィルム材を用意し、それをラミネータ等でコア基板72の表面上に貼付する。前記フィルム材としては、例えば、未硬化の熱硬化性樹脂からなるものが好適である。次いで、図13の状態の誘電体層21をフィルム材上に搭載し、所定の圧力で押し付ける。この時点では、まだフィルム材は未硬化であるため、誘電体層21の一部をフィルム材内に容易に埋め込むことができる。次に、加熱を行ってフィルム材を硬化させ、第1層の樹脂絶縁層81にセラミックキャパシタ10の中間品を支持固定させる。
次に、金属箔111をエッチングなどで除去し(図14参照)、第2凹凸形成工程(凹凸形成工程)を実施する。具体的には、前記第1凹凸形成工程と同様の工程(本実施形態では表面研削)を実施する。即ち、複数の誘電体粒22の一部を層間絶縁材23から突出させて、誘電体層21の表面に凹凸を形成し、その面を第1主面117とする(図15参照)。
次に、第2金属層形成工程(金属層形成工程)を実施する。具体的には、誘電体層21の第1主面117上に、従来公知の手法に基づいて無電解銅めっきを行った後にさらに電解銅めっきを行って、厚さ約30μmの第1金属電極層11を直接形成する(図16参照)。なお、本実施形態のセラミックキャパシタ10はこの時点で完成する。
その後、従来周知の手法に従って、第1層の樹脂絶縁層81における導体層91の形成を行う。次いで、第1層の樹脂絶縁層81上に上記の未硬化のフィルム材をラミネータ等で貼付した後、熱硬化させて第2層の樹脂絶縁層82とする。この時点でセラミックキャパシタ10が完全に埋め込まれる。
次に、第2層の樹脂絶縁層82に対するビア穴あけを行った後、さらに銅めっきまたは銅ペーストの充填、印刷を行って、ビア導体96を形成するとともに、第2層の導体層92を形成する。
この後、同様の手法により、第3層及び第4層(最表層)の樹脂絶縁層83,84の形成を行うとともに、従来周知の手法に従って、コア基板72の下面側にBGA用パッド55、ソルダーレジスト52及びはんだバンプ49を形成する。その結果、図1のセラミックキャパシタ内蔵配線基板71が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のセラミックキャパシタ10では、前記第1主面117及び前記第2主面118の両方に凹凸が形成されている。その結果、第1主面117側及び第2主面118側の表面積が増大するため、誘電体層21と第1金属電極層11との界面に作用する物理結合力や、誘電体層21と第2金属電極層31との界面に作用する物理結合力が大きくなり、密着性が向上する。よって、信頼性に優れた高誘電率材シート20を実現することができる。
(2)例えば、誘電体粒22よりもかなり小さい誘電体粒子と、層間絶縁材23とを混合することにより、誘電体層21を形成することが従来提案されている。この場合、第1金属電極層11及び第2金属電極層31との密着性を向上させるために、誘電体粒子の一部を第1主面117や第2主面118から突出させて、第1主面117及び第2主面118の表面積を増大させることが考えられる。しかし、誘電体粒子の突出部分は規則的に配置されていないため、第1主面117及び第2主面118には、密の部分と疎の部分とが生じてしまう。その結果、疎の部分において表面積が小さくなるため、誘電体層21に第1金属電極層11及び第2主面118を形成したとしても、密着性が低下して剥れてしまう可能性がある。
一方、本実施形態では、誘電体粒22の上端側突出部分及び下端側突出部分が、誘電体層21の平面方向に沿って格子状(アレイ状)に配置されているため、第1主面117や第2主面118の表面粗さが均一となる。その結果、誘電体層21と第1金属電極層11との間での密着性のバラツキが少なくなるとともに、誘電体層21と第2金属電極層31との間でも密着性のバラツキが少なくなる。よって、第1主面117及び第2主面118において密着性が低下する部分が生じにくくなるため、信頼性の面で好適な高誘電率材シート20を実現できる。
(3)本実施形態では、誘電体粒22が、めっきが付着しにくい高誘電率セラミック(チタン酸バリウム)からなり、層間絶縁材23が、めっきが付着しやすい有機樹脂材料(エポキシ樹脂)からなっている。よって、層間絶縁材23の表面となる第1主面117が銅めっきからなる第1金属電極層11と密着し、層間絶縁材23の表面となる第2主面118が同じく銅めっきからなる第2金属電極層31と密着することにより、誘電体粒22と第1金属電極層11との密着力や、誘電体粒22と第2金属電極層31との密着力を補填できる。
(4)一般的に、従来のセラミックキャパシタでは、比誘電率が相対的に高い誘電体粒22と、比誘電率が相対的に低い層間絶縁材23とが、誘電体層21の厚さ方向に沿って直列に存在する。
この場合、セラミックキャパシタ全体の比誘電率ε1は、1/ε1=V1×1/ε2+V2×1/ε3の式から求められる。ここで、ε2は、誘電体粒22の比誘電率、ε3は、層間絶縁材23の比誘電率、V1は、誘電体部24内における誘電体粒22の体積比(%)、V2は、誘電体部24内における層間絶縁材23の体積比(%)である。
しかしながら、例えば比誘電率ε2を3000、比誘電率ε3を3、体積比V1を70%、体積比V2を30%として比誘電率ε1を算出したとしても、ε1=10.0となり、比誘電率ε1はあまり高くならない。
それに対して、本実施形態のセラミックキャパシタ10では、誘電体粒22の粒径は層間絶縁材23の最大厚さよりも大きいため、誘電体粒22の上端部は層間絶縁材23の表面(第1主面117)から突出し、誘電体粒22の下端部は層間絶縁材23の表面(第2主面118)から突出する。このため、誘電体層21において誘電体粒22が存在する部分においては、誘電体層21の厚さ方向に沿って誘電体粒22のみが配置される。よって、誘電体粒22と層間絶縁材23とが、誘電体層21の厚さ方向に沿って直列に存在しなくなる。
この場合、セラミックキャパシタ10全体の比誘電率ε1は、ε1=V1×ε2+V2×ε3の式(Nielsen の複合則より)から求められる。ここで、従来と同条件にて比誘電率ε1を算出すれば、ε1=70(%)×3000+30(%)×3=2100.9となるため、比誘電率ε1が従来に比べてかなり高くなる。ゆえに、本実施形態のセラミックキャパシタ10は高容量化が容易である。
(5)本実施形態の誘電体粒22は略球状である。よって、複数の誘電体粒22を揃えやすくなるため、セラミックキャパシタ10の製造が容易になる。また、セラミックキャパシタ10の製造時において、誘電体粒22をメッシュ部材100の位置決め部101に保持させる際に、誘電体粒22の向きを考慮しなくても済む。よって、セラミックキャパシタ10を効率良く製造できる。
(6)本実施形態では、セラミックキャパシタ内蔵配線基板71内にセラミックキャパシタ10が埋め込まれるとともに、セラミックキャパシタ内蔵配線基板71の上面にICチップ97が実装され、セラミックキャパシタ10及びICチップ97が互いに電気的に接続されている。これにより、セラミックキャパシタ10とICチップ97とを繋ぐ配線長が短縮されるため、セラミックキャパシタ10−ICチップ97間での信号の高速化を図ることができる。
(7)本実施形態のセラミックキャパシタ10(高誘電率材シート20)の製造方法では、従来必須であった工程(例えば、未焼結の誘電体を含むグリーンシートを所定時間焼成する工程など)を実施しなくても済む。よって、セラミックキャパシタ10を効率良く製造できる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・金属箔111及び付着層112の代わりに、片面に粘着層(付着層)を有する樹脂フィルム(キャリア材)を用いてもよい。この場合、転写工程において複数の誘電体粒22の一部を粘着層中に埋め込んでおけば、樹脂フィルムを剥離するだけで、各誘電体粒22の一部を層間絶縁材23から突出させることができる。このため、セラミックキャパシタ10を効率よく製造できる。
・上記実施形態では、層間絶縁材23の表面から複数の誘電体粒22の一部が突出することにより、第1主面117及び第2主面118の両方に凹凸が形成されていた。しかし、第1主面117及び第2主面118のいずれか一方に凹凸を形成してもよい。
・上記実施形態の誘電体粒22は略球状であったが、誘電体粒22を非球形状(例えば図17に示すような略柱状)にしてもよい。この場合、複数の誘電体粒22の一部を、第1主面117及び第2主面118の両方にて突出させてもよいし(図17)、第1主面117及び第2主面118のいずれか一方にて突出させてもよい。
・上記実施形態のメッシュ部材100は、同メッシュ部材100の平面方向に沿って格子状に配列された複数の位置決め部101を有し、複数の誘電体粒22がメッシュ部材100の平面方向に沿って格子状に配置されるようになっていた。しかし、図18に示されるように、複数の位置決め部101を、メッシュ部材100の平面方向に沿って千鳥状に配列し、複数の誘電体粒22が平面方向に沿って千鳥状に配置されるようにしてもよい。このようにすれば、複数の誘電体粒22同士の隙間がより小さくなるため、誘電体粒22の体積比が、層間絶縁材23の体積比よりもさらに大きくなる。よって、セラミックキャパシタ10の静電容量をさらに大きくすることができる。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)第1主面及び第2主面を有する誘電体層を備える高誘電率材シートであって、前記誘電体層は、前記誘電体層の平面方向に沿って二次元的にかつ単層状に配列された複数の誘電体粒と、前記複数の誘電体粒同士を固着する有機樹脂材料とを有するとともに、前記有機樹脂材料の表面から前記複数の誘電体粒の一部が突出することにより、前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくともいずれかに凹凸が形成され、前記誘電体粒の突出部分が、前記誘電体層の平面方向に沿って規則的に配置されていることを特徴とする高誘電率材シート。
(2)第1主面及び第2主面を有する誘電体層を備える高誘電率材シートであって、前記誘電体層は、複数の誘電体粒と、前記複数の誘電体粒同士を固着する有機樹脂材料とを有するとともに、前記有機樹脂材料の表面から前記複数の誘電体粒の一部が突出することにより、前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくともいずれかに凹凸が形成され、前記第1主面での前記誘電体粒の突出部分の密度が均一となり、前記第2主面での前記誘電体粒の突出部分の密度が均一となることを特徴とする高誘電率材シート。
(3)第1主面及び第2主面を有する誘電体層と、電極とを備え、前記誘電体層は、前記誘電体層の平面方向に沿って二次元的にかつ単層状に配列された複数の誘電体粒と、前記複数の誘電体粒同士を固着する有機樹脂材料とを有するとともに、前記有機樹脂材料の表面から前記複数の誘電体粒の一部が突出することにより、前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくともいずれかに凹凸が形成され、前記誘電体粒の突出部分が、前記誘電体層の平面方向に沿って規則的に配置され、前記凹凸が形成された面上に前記電極が直接形成されていることを特徴とする配線基板埋込用キャパシタ。
本発明のセラミックキャパシタ内蔵配線基板を示す概略断面図。 本発明のセラミックキャパシタを示す概略断面図。 本発明のセラミックキャパシタを示す上面図。 メッシュ部材及び誘電体粒の一部を示す断面図。 メッシュ部材を示す上面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 本実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 他の実施形態のセラミックキャパシタを示す概略断面図。 他の実施形態のメッシュ部材を示す上面図。
符号の説明
10…キャパシタとしてのセラミックキャパシタ
11…金属層としての第1金属電極層
20…高誘電率材シート
21…誘電体層
22…誘電体粒
23…有機樹脂材料としての層間絶縁材
31…金属層としての第2金属電極層
71…配線基板としてのセラミックキャパシタ内蔵配線基板
117…有機樹脂材料の表面としての第1主面
118…有機樹脂材料の表面としての第2主面

Claims (7)

  1. 第1主面及び第2主面を有する誘電体層を備える高誘電率材シートであって、前記誘電体層は、複数の誘電体粒と、前記複数の誘電体粒同士を固着する有機樹脂材料とを有するとともに、前記有機樹脂材料の表面から前記複数の誘電体粒の一部が突出することにより、前記第1主面及び前記第2主面のうちの少なくともいずれかに凹凸が形成され、前記誘電体粒の突出部分が、前記誘電体層の平面方向に沿って規則的に配置されていることを特徴とする高誘電率材シート。
  2. 前記複数の誘電体粒の粒径は、前記有機樹脂材料の最大厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の高誘電率材シート。
  3. 前記凹凸が形成された前記第1主面及び/または前記第2主面において、前記誘電体粒と前記有機樹脂材料との高低差は、1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の高誘電率材シート。
  4. 前記複数の誘電体粒は、粒径が10μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高誘電率材シート。
  5. 前記凹凸が形成された前記第1主面及び/または前記第2主面の上に直接形成された金属層をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高誘電率材シート。
  6. 前記高誘電率材シートは、キャパシタを形成するための材料であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高誘電率材シート。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高誘電率材シートを埋め込んだことを特徴とする配線基板。
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