JP2007005144A - イオンボンバード用ガイドロール型電極、これを用いたイオンボンバード装置及びイオンボンバード方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小スペース化でき、しかもウエブの材質に左右されずにその表面を均一に改質できるイオンボンバード用ガイドロール型電極、これを用いたイオンボンバード装置及びイオンボンバード方法を提供する。
【解決手段】イオンボンバード装置1Aは、ウエブWの導入口と導出口と希ガス導入部4と両端部に軸受け83とが形成されてガスボックス3A内に、表面が誘電体層で被覆されたガイドロール型電極8を軸受け3bで軸支し、希ガス導入部4から例えば、He、Ar、Xeの希ガスを導入し、高圧ガス状態の雰囲気内でガイドロール型電極8にパルス状高電圧を印加することによりガスボックス3A内の希ガスをイオン化し、導入口から導入され、ガイドロール型電極8の円周面に沿って走行し、導出口から導出されるウエブWの表面にイオンを引き込む。
【選択図】図1
【解決手段】イオンボンバード装置1Aは、ウエブWの導入口と導出口と希ガス導入部4と両端部に軸受け83とが形成されてガスボックス3A内に、表面が誘電体層で被覆されたガイドロール型電極8を軸受け3bで軸支し、希ガス導入部4から例えば、He、Ar、Xeの希ガスを導入し、高圧ガス状態の雰囲気内でガイドロール型電極8にパルス状高電圧を印加することによりガスボックス3A内の希ガスをイオン化し、導入口から導入され、ガイドロール型電極8の円周面に沿って走行し、導出口から導出されるウエブWの表面にイオンを引き込む。
【選択図】図1
Description
本発明は、イオンボンバード装置、特に表面に磁性材を蒸着する磁気媒体用の幅広ウエブに用いて好適なイオンボンバード用ガイドロール型電極、これを用いたイオンボンバード装置及びイオンボンバード方法の改良に関するものである。
磁気媒体の基材に用いられるプラスチックフィルムの幅広ウエブの表面に磁性材を、例えば、蒸着法などで成膜する場合、油分や添加剤が付着した前記ウエブの表面を粗面にして、そのような粗面の表面に磁性膜が付着し易くすることが行われている。そのウエブの表面を粗面にする方法としては、イオンで叩くイオンボンバード方法が用いられている。
そのイオンボンバード方法が利用されている従来技術のイオンボンバード装置を2例、図を参照しながら説明する。
図3は従来技術の第1例のイオンボンバード装置の概略構成図、そして図4は従来技術の第2例のイオンボンバード装置の概略構成図である。
先ず、図3に示した従来技術の第1例のイオンボンバード装置1Bを説明する。このイオンボンバード装置1Bは、ウエブWの幅よりやや長い長さの一対のガイドロール2が所定の間隔を開けて互いに平行に配設されていて、両者間でウエブWが所定のテンションの下で架張された平面部Waを形成して矢印の方向に走行するように構成されている。
また、そのような平面部WaのウエブWに対して一対のガイドロール2とは反対面側に、前記平面部Waの面積に対応するような面積の希ガス導入部4を備えたガスボックス3が配設されており、そしてこのガスボックス3の内部に前記ウエブWの平面部Waに対向した平行平板型電極6(ハッチングを施した部分)が配設されている。
そしてこの平行平板型電極6には電源5が接続されていて、電源5から交流電圧または直流電圧が平行平板型電極6に印加できるように構成されている。
このイオンボンバード装置1Bは、希ガス導入部4からガスボックス3内に希ガスを所定量充満させた状態で電源5から平行平板型電極6に所定の交流電圧または直流電圧を印加することによりプラズマPが発生し、希ガスがイオン化して、ウエブWを一対のガイドロール2間に跨って矢印の走行させることによって形成された平面部Waの表面を希ガスのイオンで粗し、その表面に付着している前記油分、添加剤などを除去するものである。
次に、図4に示した従来技術の第2例のイオンボンバード装置1Cを説明する。なお、イオンボンバード装置1Bと同一の構成部分には同一の符号を付して説明する。
このイオンボンバード装置1Cもイオンボンバード装置1Bと同様に、ウエブWの幅よりやや長い長さの一対のガイドロール2が所定の間隔を開けて互いに平行に配設されていて、両者間でウエブWが所定のテンションの下で架張された平面部Waを形成して矢印の方向に走行するように構成されている。
また、そのような平面部WaのウエブWに対して一対のガイドロール2とは反対面側に、前記平面部Waの面積に対応するような面積の希ガス導入部4を備えたガスボックス3が配設されており、そしてこのガスボックス3の内部に前記ウエブWの平面部Waに対向した円筒マグネトロン型電極7が配設されている。
そしてこの円筒マグネトロン型電極7には電源5が接続されていて、この電源5から交流電圧または直流電圧が円筒マグネトロン型電極7に印加できるように構成されている。この円筒マグネトロン型電極7は複数の永久磁石7aで構成されている。
なお、このような原理のマグネトロン型イオンボンバード装置の一例が下記の[特許文献1]に開示されている。
このイオンボンバード装置1Cは、ガスボックス3の希ガス導入部4から希ガスを導入し、電源5から交流電圧を円筒マグネトロン型電極7に印加することにより各永久磁石7aからプラズマPが発生し、そしてプラズマPにより希ガスがイオン化し、その発生したイオンにより一対のガイドロール2間を矢印の方向に走行するウエブWの平面部Waの表面が粗らされ、その表面に付着している前記油分、添加剤などが除去される。
実開昭63−2764(第1〜4頁、図1、図3)
しかし、前記何れのイオンボンバード装置においても、ガイドロール2間に大きなスペースが必要となり、それらのイオンボンバード装置の取り付け場所が限られるという課題がある。
また、後者のイオンボンバード装置1Cは、円筒マグネトロン型電極7に複数の永久磁石7aを配列して構成されていることから幅方向に放電ムラが発生するため、ウエブW側のイオン処理にもムラが発生するという課題がある。
本発明は、これらの課題を解決しようとするものであって、小スペース化でき、しかもウエブの材質に左右されずにその表面を均一に改質できるイオンボンバード用ガイドロール型電極(以下、単に「ガイドロール型電極」と略記する)、これを用いたイオンボンバード装置及びイオンボンバード方法を得ることを目的とする。
それ故、本発明のガイドロール型電極は、金属製円筒または円柱の電極本体の両端に軸を備え、該軸を通じて通電でき、そして前記表面が誘電体層で被覆されていることを特徴とする。
また、本発明のイオンボンバード装置は、ウエブの導入口と導出口と希ガス導入部と両端部に軸受けとが形成されてガスボックスと、該ガスボックス内に、前記軸受けに回転自在に軸支されて配設され、表面が誘電体で被覆されている金属製円筒または円柱の電極本体のガイドロール型電極と、該ガイドロール型電極にパルス状高電圧を印加する電源と
を備えて構成されていることを特徴とする。
を備えて構成されていることを特徴とする。
その電源は、前記パルス状高電圧の電圧、デューティ比が可変できる制御手段を備えている。そしてイオンボンバード装置は前記ガスボックス内のガス圧を調整するガス圧調整手段を備えている。
更に、本発明のイオンボンバード方法は、ウエブの導入口と導出口と希ガス導入部と両端部に軸受けとが形成されてガスボックス内に、表面が誘電体で被覆されたガイドロール型電極を前記軸受けで軸支し、前記希ガス導出口から希ガスを導入し、前記ガイドロール型電極にパルス状高電圧を印加することにより前記ガスボックス内の希ガスをイオン化し、前記導入口から導入され、前記ガイドロール型電極の円周面に沿って走行し、前記導出口から導出される前記ウエブの表面にイオンを引き込み、表面改質を行うことを特徴とする。
前記パルス状高電圧、そのデューティ比、希ガスのガス圧を調整することにより前記ウエブの表面に対するイオンを引き込み、表面改質を調整することができる。
従って、本発明のガイドロール型電極によれば、被覆されている誘電体層がコンデンサの機能を果たし、突発的なアーク放電を抑制でき、また本発明のイオンボンバード装置は前記ガイドロール型電極のみをガスボックス内に配設してプラズマ発生させるように構成したことにより最小のスペースで構成でき、そしてガイドロール型電極にパルス状高電圧を印加することによりプラズマを連続的に発生させることができる。
本発明によれば、
1.誘電体層が被覆されているガイドロール型電極により異常放電を抑制でき、イオンボ ンバード効果を安定させることができること
2.ウエブをガイドするガイドロールが電極を兼ねていることからガスボックス内には、 そのガイドロール型電極のみを配設するのみでよく、プラズマを発生させる部分を小ス ペース化できること
3.狭い空間にであっても本発明のイオンボンバード装置の設置が可能であること
4.パルス化した電圧を印加することにより、ウエブの材質に左右されずにプラズマを連 続的に発生させ、そのウエブの表面を容易に改質することができること
5.ウエブの幅が広くなれば、ガイドロール型電極の長さを長くすることでスケールアッ プが容易にできること
など、数々の優れた効果が得られる。
1.誘電体層が被覆されているガイドロール型電極により異常放電を抑制でき、イオンボ ンバード効果を安定させることができること
2.ウエブをガイドするガイドロールが電極を兼ねていることからガスボックス内には、 そのガイドロール型電極のみを配設するのみでよく、プラズマを発生させる部分を小ス ペース化できること
3.狭い空間にであっても本発明のイオンボンバード装置の設置が可能であること
4.パルス化した電圧を印加することにより、ウエブの材質に左右されずにプラズマを連 続的に発生させ、そのウエブの表面を容易に改質することができること
5.ウエブの幅が広くなれば、ガイドロール型電極の長さを長くすることでスケールアッ プが容易にできること
など、数々の優れた効果が得られる。
本発明は、幅広のウエブをガイドするガイドロールがプラズマ発生用の電極をも兼ねさせ、このガイドロール型電極のみをガスボックス内に配設して構成したガイドロール型電極、イオンボンバード装置及びイオンボンバード方法である。
以下、図を用いて、本発明のガイドロール型電極及びイオンボンバード装置を説明する。
図1は本発明の一実施例のイオンボンバード装置の概略構成図、そして図2は図1に示したイオンボンバード装置に組み込まれているガイドロール型電極を示していて、同図Aはその正面図、同図Bは同図Aの矢印Bから見た側面図である。
なお、イオンボンバード装置1B、1Bと同一の構成部分には同一の符号を付して説明する。
図1において、符号1Aは本発明の一実施例のイオンボンバード装置を指す。このイオンボンバード装置1Aは、ガスボックス3A、本発明の一実施例のガイドロール型電極8、ガイドロール2、パルス電源9などから構成されている。
ガスボックス3Aは中空の直方体で、その相対向する側面にウエブWのスリット状の導入口(不図示)とスリット状の導出口3aとが、その底面には希ガス導入部4が、そしてその両端部に軸受け3bが形成されている。
また、このガスボックス3Aの中には、ガイドロール型電極8が配設されている。その両端の軸83は前記軸受け3bに回転自在に軸支されている。ガイドロール型電極8は、図2に示したように、SUS、アルミなどの金属製の断面が円形のガイドロール型電極8の本体81からなり、その本体81の表面は、所定の均一な厚さ、例えば、数mmの厚さでセラミックなどの誘電体を被覆して誘電体層82を形成し、この誘電体層82がコンデンサの機能を果たして突発的なアーク放電を抑制する構造となっている。
ガイドロール型電極8の軸83とガスボックス3Aとの間にパルス電源9が接続されていて、ガイドロール型電極8にパルス状高電圧を印加できるようになっている。
また、ガスボックス3AのウエブWの導出口3a側には、ガイドロール2が配設されている。
なお、このようなイオンボンバード装置1Aの全体は、図示していないが、真空室に配設されている。
次に、以上説明したような構成のイオンボンバード装置1Aを用いて、本発明のイオンボンバード方法を説明する。
先ず、図1に示したように、ガスボックス3Aの導入口側からウエブWを導入し、そしてガイドロール型電極8の誘電体層82の周りに沿わせ、そして導出口3aから導出してガイドロール2に掛け、次の工程の、例えば、不図示の磁性材蒸着工程に導かれる。この間、ウエブWには所定のテンションが付与されている。ウエブWとしては、例えば、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを挙げることができる。
次に、ガスボックス3A内に希ガス導入部4から希ガス、例えば、He、Ar、Xeなどを供給、充満させ、数10Pa台の圧力に保つ。
そして、この状態で、ガイドロール型電極8に200V以上の電圧を印加することにより、ガスボックス3A内の希ガスをプラズマ化し、それにより連続的にイオンが発生し、ガイドロール型電極8に引き込まれてウエブWの表面が発生したイオンにより叩かれて改質される。
パルス電源9からガイドロール型電極8に印加する電圧として、例えば、250KHz、500Vの矩形波電圧を用いても、ガイドロール型電極8上にウエブWがあっても、同等のイオン引き込み効果が得られ、ウエブWの表面を改質することができる。導出口3aからは表面が改質されたウエブWが導出される。
このイオンによる改質効果は印加するパルスの電圧、周波数、デューティ比、ガス圧によって可変することができる。
表面が改質されたウエブWは下流の蒸着工程で、その改質された表面に磁性材が蒸着され、広幅の磁気テープに加工される。
以上、説明したように、本発明のイオンボンバード装置1Aは、異常放電を起こすことなくイオンボンバード効果を安定的に発揮することができる。
また、本発明のイオンボンバード装置1Aは、コンパクト化されていることから、ガイドロール2やガイドロール型電極8を配設する空間が狭くても、本発明のイオンボンバード装置1Aを設置することができる。
また、パルス化した電圧を印加することにより、ウエブWの材質に左右されることなくプラズマを連続的に発生させることができ、ウエブWの表面を改質することができる。
更にまた、ガイドロール型電極8及びガイドロール2の長さを長くすることでスケールアップが容易になる。
1A…本発明の一実施例のイオンボンバード装置、2…ガイドロール、3A…本発明の一実施例のガスボックス、3a…ガスボックス3Aに形成された導出口、3b…軸受け、4…希ガス導入部、8…ガイドロール型電極、81…ガイドロール型電極8の本体、82…誘電体層、9…パルス電源
Claims (6)
- 金属製円筒または円柱の電極本体の両端に軸を備え、該軸を通じて通電でき、そして前記表面が誘電体層で被覆されていることを特徴とするイオンボンバード用のガイドロール型電極。
- ウエブの導入口と導出口と希ガス導入部と両端部に軸受けとが形成されたガスボックスと、
該ガスボックス内に、前記軸受けに回転自在に軸支されて配設され、表面が誘電体で被覆されている金属製円筒または円柱の電極本体のガイドロール型電極と、
該ガイドロール型電極にパルス状高電圧を印加する電源と
を備えて構成されていることを特徴とするイオンボンバード装置。 - 前記電源は、前記パルス状高電圧の電圧、デューティ比が可変できる制御手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載のイオンボンバード装置。
- 前記ガスボックス内のガス圧を調整するガス圧調整手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載のイオンボンバード装置。
- ウエブの導入口と導出口と希ガス導入部と両端部に軸受けとが形成されてガスボックス内に、表面が誘電体で被覆されたガイドロール型電極を前記軸受けで軸支し、前記希ガス導出口から希ガスを導入し、前記ガイドロール型電極にパルス状高電圧を印加することにより前記ガスボックス内の希ガスをイオン化し、前記導入口から導入され、前記ガイドロール型電極の円周面に沿って走行し、前記導出口から導出される前記ウエブの表面にイオンを引き込み、表面改質を行うことを特徴とするイオンボンバード方法。
- 前記パルス状高電圧、そのデューティ比、希ガスのガス圧を調整することにより前記ウエブの表面に対するイオンを引き込み、表面改質を調整することを特徴とする請求項5に記載のイオンボンバード方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005184113A JP2007005144A (ja) | 2005-06-23 | 2005-06-23 | イオンボンバード用ガイドロール型電極、これを用いたイオンボンバード装置及びイオンボンバード方法 |
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JP2005184113A JP2007005144A (ja) | 2005-06-23 | 2005-06-23 | イオンボンバード用ガイドロール型電極、これを用いたイオンボンバード装置及びイオンボンバード方法 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010119721A1 (ja) | 2009-04-17 | 2010-10-21 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 超高輝度で安定な人工生物発光酵素 |
-
2005
- 2005-06-23 JP JP2005184113A patent/JP2007005144A/ja active Pending
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WO2010119721A1 (ja) | 2009-04-17 | 2010-10-21 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 超高輝度で安定な人工生物発光酵素 |
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