JP2007002268A - 研磨用部材の表面処理方法及びその物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は半導体LSIデバイス表面の超平滑化や、それらを加工するための精密仕上げ加工仕上げに用いられる研磨用設備、特に各部品を超平滑化するための研磨用部材の耐摩耗性、耐食性、耐汚染性など性能を高品質化するために提供されたもので、研磨用部材を減圧下において、負の高周波パルス電圧を印加して、カーボン+ケイ素イオン注入と傾斜構造を持った高品位な炭素膜膜を被覆した物品を提供するものである。
【解決手段】
プラズマベースイオン注入・成膜法を用いて、2種類以上の材質の異なる部材に対して、真空中で少なくとも一原子以上のカーボンとケイ素を含有する炭化水素系/ケイ素系混合ガスを導入してプラズマを発生させ、負の高周波パルス電圧を印加して、カーボン+ケイ素イオン注入と傾斜構造を持った高品位な炭素膜膜を形成した研磨用部材及びその表面処理方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体LSIデバイス表面の超平滑化や、それらを加工するための精密仕上げ加工仕上げに用いられる研磨用設備、特に各部品の平坦化に用いられるポリッシャの研磨用に好適なドレッサに関する研磨用部材の耐摩耗性、耐食性、耐汚染性を改善した表面処理方法及びその物品に関するものである。
パソコン、携帯電話、液晶デジタルテレビ、デジタルカメラ、カーナビゲーション機器、ブロードバンド情報端末に代表される高速大容量のデジタル情報処理に、シリコンウエハー等の高精度デバイスが利用されている。その材料ウエハーは益々薄くなってゆく傾向にあり、従来以上の高精度超平坦面が要求されてきている。このためその加工設備の平坦化も益々高まってきている。
極薄ウエハーの研磨加工方法は、多くはラッピング加工やポリッシング加工方法が採られる。これらはラフに切断された加工物を、所定の円形の穴部を設けた加工キャリアにセットした後、スラリーと呼ばれる研磨液を定量供給しながら回転させて研磨するラッピング加工、ダイヤモンド微粒子を鋳物、ニッケル、銅、錫等の比較的柔らかい金属に埋め込んだ定盤状に押し、回転研磨するハードポリッシング加工、更に、布やウレタンスポンジなどの柔らかい材料に微粉砥粒を含んだ研磨液(化学作用のある液も含む)を定量供給しながら回転させ、鏡面研磨するソフトポリッシング加工方法がある。
これら半導体ウエハーの研磨加工には、装置振動を極力抑制することや駆動伝達部よる振動減衰性に優れた鋳造筐体など、各種研磨装置の加工精度を極限まで向上させることが必要であるが、それ以上にウエハーを固定して回転研磨するためのキャリア治具やポリッシャの研磨用ドレッサ、ラッピングプレート、パットドレッサー等(以下研磨用部材と言う)の加工精度や耐摩耗性、耐食性、耐汚染性がますます必要とされるようになっている。
ポリッシングは、ポリシャ上に軟質砥粒を散布して被加工物を押しつけることにより実施され、軟質砥粒と被加工物間の化学的、機械的作用により材料除去が行われ、最近ではCMP(Chemical & Mechanical Polishing)と称される技術が注目を浴びている。このCMP加工装置としては、たとえば特開平9−111117号公報に記載の装置がある。また研磨用ドレッサへ、ダイヤモンドライクカーボンや二硫化モリブデンを被覆する方法は特開2000−127046号公報に記載されている。
このようなCMP加工装置により半導体ウエハーをポリッシングする場合、ポリッシャとしては一定の弾性率、繊維形状、形状パターンを持ったポリウレタン製の研磨パッドが使用され、軟質砥粒としてはSiOが一般的であり、その他、CaCO、BaCOなども使用されている。ポリッシング加工は機械加工としては最終工程であり、各部品の平面度は1μm前後、面粗度はMAX10Åレベルが要求される。
現在のポリッシング加工工程において、安定した加工性能を維持するためには、ポリッシャ表面の定期的修正が必要であり、研磨用部材はステンレス鋼、チタン合金、ダイヤモンドなどの超砥粒をニッケル電着させた電着ドレッサなどが使用され、これら研磨用部材からの金属の溶出、基材自身の摩擦・摩耗による損傷、回転歯車の摩耗損傷、金属の腐食など、極薄ウエハーの研磨加工工程に重大なる影響を及ぼすことから、定期的にポリッシャ表面劣化層を除去するとともに、研磨用部材を数百時間毎に交換して高品質化に対応して使用しているのが現状である。
従来から金属材料表面やセラミックス材料表面に滑り性を付与するため、硬質炭素膜を成膜する方法が提案されている。機械部品や接触部材と摺動する部材表面に、メタンガス、アセチレンガス等の原料を用いてプラズマCVD法で炭素膜を形成する方法は既に実用化されており、ビデオテープキャプスタンローラー、小型軸受け、湯水切替え弁など優れた性能を発揮している。
特開2001-316686号公報、特開2004−183699号公報等に記載されているようにプラズマCVD法やアークイオンプレーティング法において、プラズマ生成方法や印加電圧、ガス組成などを工夫して、出来るだけ低温加工が可能なプラズマCVD装置を開発して、セラミックスやプラスチック成形品表面にも炭素膜を成膜する方法が提案され、さらにカメラ用オーリングや自動車用ワイパーゴムなどに利用することが提案されている。しかしながらこれらのプラズマCVD法は、導入したガスを高周波でプラズマ化させて、活性化したカーボン元素を部品表面で化学的に反応し堆積させる手法であるため、部材表面と炭素膜膜層との化学的結合力が弱く密着性に乏しいことがある。また研磨用ドレッサへダイヤモンドライクカーボンを被覆する方法が提案されたが、ステンレスやニッケル、ダイヤモンド等の複合基板のいずれにも密着性が優れ、耐食性のある炭素膜を形成する方法が確立されず実用化されなかった。
特にプラスチック材料やゴム等の熱に弱い材料へ加工するためには、プラズマ密度を低く(弱く)するため、高周波を変調してソフトなプラズマを生成して成膜する必要がある。またプラズマ中のカーボンイオンを引きつけるためには、数十V〜数百Vのバイアス電圧を印加するのが一般的であるが、この程度の電圧ではカーボン元素は基材表層部分に付着する程度であるため、基材内部(数十nm以上)までイオン注入することは出来ない。このことからプラズマCVD法では必ず基材との密着性を上げるために下地処理層としてシリコン単体、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、四塩化チタン、ペンタエトキシチタニウム、テトライソプロキシチタニウム等を導入して、ケイ素あるいはチタンとカーボンとの化合物の中間層を形成して基材との密着性を向上させることが必要である。
またカーボン固体ターゲットをスパッタリングして成膜するPVD法(物理的蒸着法)などにおいても、密着性を向上させるため金属やセラミックスの基材温度を300〜500℃加熱して炭素膜を形成したり、下地処理としてカーボンとなじみがよいケイ素やクロム材料を蒸着して成膜したりする必要があった。またプラズマ中のカーボンイオンを引きつけるために数十V〜数百Vの直流あるいは交流のバイアス電圧を印加するのが一般的であるが、この電圧は成膜エネルギーとしての利用であり、基材との密着性を大幅に向上させることは出来ない。
さらに下地を均一に付けるためには特別な反応機構の装置を設ける必要があり、膜厚の均一性を確保するためには回転機構は不可欠であり、大きな複雑な物品では対応できず、小型、一定形状の製品にしか対応できなかった。特に本提案で加工する研磨用部材には直径500mmに及ぶ大面積部品やステンレス、チタン、ニッケル、銅等の複合基材からなる研磨用部材で0.5〜10.0mm厚の高精度円盤からなり、この表面に0.1μm制度で炭素膜を制御良く均一に成膜する必要がある。
上記のプラズマCVD法では、大面積であると板材が歪み、加工精度が得られず、またPVD法では、回転機構を設けて炭素膜成膜を行っても、膜厚の均一化はできず1μm以上の厚さばらつきが生じた。さらに両者共に成膜加工プロセスが複雑となり、加工コストが上昇した。
上述した技術では、研磨用部材への炭素膜均一成膜は困難であり、複雑な回転機構など付けることなく高精度で、安価で均一な炭素膜形成が可能なプロセスが望まれていた。
特開平9−111117号公報 特開2000−127046号
本発明は直径500mmに及ぶ大面積部品やステンレス、チタン、ニッケル、銅等の複合基材からなる研磨用部材で0.5〜10.0mm厚の高精度円盤からなる研磨用部材表面層を、プラズマベースのイオン注入技術を用いて表面改質して、従来にない機能性炭素膜膜を表層部に形成し、物理的成膜プロセス(PVD)や化学的成膜プロセス(CVD)では出来ない、新規な炭素膜成膜プロセスと高品質な炭素膜コーティングした研磨用部材を提供するものである。
従来のダイヤモンド状炭素膜すなわち炭素膜は、高硬度で耐摩耗性、電気絶縁性、親水性等に優れ、成膜方法や使用する原料により、内蔵する水素含有量が異なり様々な硬さの炭素膜が得られた。特にプラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などは、高硬度で耐摩耗性に優れていたが、基材との密着性に乏しく適さないことから、本発明はプラズマベースイオン注入・成膜法を各種金属材料、セラミックス材料、プラスチック成形材料等の複合物である研磨用部材表面に適用して、耐摩耗性、耐食性、耐汚染性を改善した表面改質技術として提供するものである。
本発明は、ステンレス、チタン、ニッケル、銅等の複合基材からなる研磨用部材に対してプラズマベースイオン注入・成膜法を用いて、研磨用部材(基材)の周辺に外部アンテナ(ICP外部電源)によるRFプラズマあるいは自己バイアス電圧によるプラズマ生成を行い、これに対して数百V〜数十kVの負パルス電圧を印加して、カーボンとケイ素を含有するイオンを成形品表面に注入することによりカーボンの傾斜層を形成させ、さらに電圧制御しながらカーボンとケイ素と水素を含有した炭素膜を形成させることにより、上記の課題の解決を実現し目的を達成するものである。
研磨用部材は単体材料でなく、多くはステンレス鋼、チタン合金等の金属円盤部分とダイヤモンド微粒子や炭化珪素微粒子を純ニッケル、ニッケル・クロム、ニッケル・コバルト合金等で電着した研磨部分から構成された複合部材からなる。このことからステンレス鋼、チタン合金、ダイヤモンド微粒子、炭化珪素微粒子、純ニッケル、ニッケル・クロム、ニッケル・コバルト合金等全ての材料に対して成膜出来る条件で炭素膜を成膜する必要がある。
具体的には真空チャンバー、真空排気系、ガス供給・処理系、高周波プラズマ源、負の高電圧パルス電源・高圧導入系と冷却系に構成された装置を用いて研磨用部材の表面改質をする。金属には電極リード線を接続するのみで給電可能であるが、セラミックス、ゴム、プラスチック等の絶縁物には電圧を印加するための電極を背面あるいは中心部に配置して、高周波プラズマ源に電力を供給することによりガスプラズマを発生させ、被注入物(金属、プラスチックス)周辺に負の高圧パルス電圧を加えると、プラズマ中の電子は排斥され、被注入物の輪郭に沿って周りにイオンシースが形成される。このイオンシースは被注入物の輪郭に沿って覆われ、その後負の電圧をこのイオンシースに印加されるため、イオンのみがあらゆる方向から被注入物に引きつけ加速され、被注入物に狙いとする元素をイオン注入するものである。
本発明では金属やダイヤモンド等の絶縁物に対してもカーボンイオン注入が可能である。従来直流のバイアス電圧を印加して、プラスのイオンが注入されるため、絶縁物では帯電してチャージアップ電荷による絶縁破壊する現象が現れることがあった。本発明の高周波・高電圧の負パルス電圧を印加する方法では、パルスなのでパルス電圧がない時にはプラズマは基材に接近し、基材に帯電した電荷はプラズマ中に放出され、チャージアップは解消される。またパルスの周波数および印加時間等を形状毎に最適化して行うことで絶縁破壊を防止すると共に、チャージアップによる膜の不均一性、成膜速度の低下を防ぐことが可能である。
プラズマベースイオン注入・成膜法における特性に及ぼすパラメーターとしては、高周波プラズマ源の周波数、プラズマ増幅電圧、繰返し周波数、パルス数などがあり、さらに高圧誘引パルス電源側のパラメーターとしては印加電圧、カレント電流、繰返しパルス数、パルス幅、ディレータイムなどがあり、またプラズマ生成原料のガス流量、ガス圧力等は影響を及ぼす。これらをコントロールして被注入物の輪郭に沿ってイオンシースを形成し、イオンのみを被注入物である各種金属、セラミックス、ダイヤモンド粒子に対してイオンを注入することにより、耐摩耗性、耐食性、耐汚染性を改善した炭素膜を研磨用部材表面に被覆する方法とその被覆物品を提供するものである。
本発明に用いる炭化水素系ガスとして、メタン、アセチレン、ベンゼン、トルエン及びシクロヘキサノン、クロロベンゼン、二フッ化炭素、四フッ化炭素等のガスから選択される、少なくとも1種類以上と、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のガスから選択される、少なくとも1種類以上を主成分としたガスを混合して使用し、真空チャンバー内にガス導入し行い、高周波電圧を印加してガスをプラズマ化することにより、カーボン原子もしくは分子イオンとケイ素原子もしくは分子イオンを生成させ、これを加速してイオン注入するのが好ましい。
炭化水素系ガスの選定方法としては、カーボン原子と水素原子の割合によりプラズマ状態が異なり、さらに炭素膜中に水素原子を何パーセント含有させるかによって、ガス種とその混合割合を決定するのが好ましい。メタン、アセチレン、ベンゼン、トルエンガスにおいて、脂肪族系と芳香族系によってカーボンのイオン注入度合いや炭素膜膜の成膜状態が大きく変化することが知られているが、本発明の複合基材に対してはベンゼン、トルエン等の芳香族系ガスを主体に、さらにテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のケイ素系ガスから選択されるで混合ガスで、炭素/ケイ素複合成膜を行うなど最適なガス系を選定するのが望ましい。
ガスプラズマを発生させる高周波電力として、周波数が0.2MHzから2.45GHzまでの範囲で、出力が10Wから20kWまでの範囲で、パルス幅1.0μsec以上であることが望ましい。その理由は周波数が0.2MHzより低い周波数では前記ガスのプラズマ分解が充分でなく成膜速度が上がらないからであり、また2.45GHzより大きいとプラズマ生成の安定性や装置コストの上昇を招くためである。高周波出力が10W以下ではプラズマ密度が低くイオン注入は出来ても成膜が出来ないからであり、また20kW以上では電源容量が大きく装置コストの増加を招くためである。さらにパルス幅1.0μsec以下であると実質的なイオン注入時間が短くなり、また絶縁物の場合チャージアップしやすくなるためである。
さらに上記のプラズマ生成のみならず高周波パルス印加電源は非常に重要である。従来の質量分離型のイオン注入では、メタン、アセチレン等の市販ガスを使用して、電界により励起させた後カーボンイオンのみを注入することが可能であった。しかしプラズマ方式では、各種基材に負の高電圧をパルス状に印加して、カーボンと結合した分子イオンも不純物として同時に注入される。本願発明者等は、これらの余分なイオンの存在下でもカーボンイオンを十分に注入できる良好なプラズマ条件を種々検討した結果、次の高周波パルス印加条件が好適であることを見出した。
高周波パルス印加電圧としては、その周波数、パルス幅、印加電圧の最適化が必要である。その理由は周波数が100Hz以下であると一定時間内のイオン注入回数が減少することになりイオン注入効率が低下する。一方5000Hz以上であると高周波パルス電源の高性能化が必要となり装置コストの上昇を招く。パルス幅はイオン注入時のシース幅と大きく関係し、幅が狭いと複雑な形状に沿ってシースが形成され、均一にイオン注入されるが、幅が広いと狭い隙間にはシースが出来なくなりイオン注入量が減少する。このことからパルス幅が1.0μsec以下であると1回のパルスのイオン注入時間が短いことによりイオン注入効率が低下すると共にナノsecオーダーのパルス幅を形成するには高価な高周波電源が必要となり、装置コストがアップする。一方パルス幅が広く1000μsec以上であると成形品周辺に供給されるプラズマ密度が低下して、イオン注入効率が低下するばかりでなくパルス電源の高性能化が必要となり装置コストの上昇を招くことになる。
特に好ましい負パルス電圧は、基材の密着性、耐摩耗性、耐食性付与の観点からは−1.0〜30kVが好ましい。−1.0kV以下であると基材へのイオン注入深さが浅く、基材と炭素膜間の傾斜構造化が得られず密着力の向上に寄与せず、また−30kV以上の高電圧になると基材と炭素膜膜間の傾斜構造化は進むが、高周波パルス電源が大型化して装置コストの大幅な上昇を招きさらに絶縁体の場合には基材表面におけるチャージアップによる放電、発熱による絶縁物のひずみ発生が顕著になり−30kV以上は好ましくない。
各種基材表面へのイオン注入時間は制約されるものではないが20〜120分であることが好ましい。より好ましくは生産性の観点から短時間処理であるが、研磨用部材のダイヤモンド部分ではカーボン元素の注入により表面層が脆くなり、密着性を低下させることもあり、材料成分によってイオン注入条件を選定する必要がある。
従来の質量分離によるイオン注入では、注入電流がmA以下で、高エネルギーの場合では数Aのオーダーである。そのため、1E17ions/cmのイオン注入をするには数時間もかかってしまう。これに対してプラズマベースのイオン注入では、基材品に対して周囲から一度に電流が流入するため、数A〜数十Aの電流が流れ、それにより短時間でのカーボンイオン注入処理が行える。且つ直流によるイオン注入でなくパルスによるイオン注入であるため、絶縁物に対してもチャージアップによる損傷は非常に少ない。
さらに、本発明では炭化水素系ガスからのカーボンイオン注入のみでなく、複数の基材に対して強固に炭素膜の密着性を確保するため、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のケイ素系ガスをプラズマ分解して、ケイ素イオン注入を同時にイオン注入するのが望ましい。
これはステンレスやチタン、ニッケルなど基材の異なる材料に炭素膜を強固に接着させるためには、カーボンとケイ素の複合イオン注入が効果的で、高エネルギーでイオン注入することにより、基材中でSiC結合を形成して強固に炭素膜の密着性を確保できる。
本発明のカーボンやケイ素のイオン注入法では表層の酸化層を充分突き破るだけのエネルギーでイオン注入されるため、カーボンとケイ素の傾斜構造を容易に形成することが可能であり、特に化学量論的にカーボンやケイ素を固溶しにくい非鉄金属にたいして高エネルギーでカーボンイオン注入することにより表面硬度を上げながら炭素膜を形成することが可能である。また炭素膜の成膜エネルギーを変化させて炭素膜の弾性率を押さえながら成膜することが可能である。このことにより炭素膜中にはカーボンと水素元素のみでなくケイ素を含有させることにより被膜中の残留応力が低く密着性が得られやすい。
炭素膜の下部層としてカーボンとケイ素を混合した炭素膜を1.0μm以上形成し、さらにその上部にカーボンと水素を含有する炭素膜を1.0μm以上形成することにより、耐摩耗性と耐食性が必要とされる研磨用部材に十分対応可能となり、トータル厚み2.0〜10μmの範囲の炭素膜膜を容易に得ることが可能である。
また腐食性が強いシリコン研磨溶液を使用してウエハーを研磨する場合には、耐食性を重視した炭素膜の成膜を行う必要がある。従来のグラファイトターゲットを原料として成膜するスパッタリング成膜方法では、ドロプレットと呼ばれるカーボン粒子が炭素膜中に存在したり、微小なピンホールが多数生成して耐食性を大きく損なった。本発明のカーボン+ケイ素イオン注入+カーボン+ケイ素混合炭素膜+カーボン主体炭素膜形成法では任意な量だけカーボン注入して、カーボンの傾斜構造を容易に形成することが可能であり、その上層部のカーボン+ケイ素含有層は炭化水素やシラン系ガスをプラズマ分解してイオン化したカーボンやケイ素のみを再結合した非晶質カーボン堆積物であることから、ドロップレットもピンホールもない非常に緻密な炭素膜成膜が可能である。
本プロセスでは炭素膜の成膜時のエネルギーを変化させることにより炭素膜の弾性率を押さえながら成膜することが可能であるため、炭素膜中の残留応力が低く密着性が得られやすい。このため2.0〜10μmの炭素膜を容易に得ることが可能であり、直径500mmに及ぶ大面積部品やステンレス、チタン、ニッケル、銅等の複合基材からなる研磨用部材で0.5〜10.0mm厚の高精度円盤からなる研磨用部材に対して、在留ひずみが影響することなく、0.5μm以下の精度で均一に炭素膜を成膜することが可能となり、本プロセスが最適であることが判った。
本発明の炭素膜被覆研磨用部材では、その非処理物表面よりカーボンが10nm以上イオン注入され、その表層部に硬質な炭素膜層を少なくとも2.0〜10μm成膜されていることが大きな特徴としている。従来のプラズマCVD法やPVD法などは、プラズマ中のカーボンイオンを引きつけるために数十V〜数百Vの直流あるいは交流のバイアス電圧を印加するのが一般的であるが、この電圧では被処理物表面よりカーボン原子が10nm以上イオン注入されることは無く、基材との密着性向上に寄与することはなかった。
高周波パルス電圧やパルス幅、周波数、印荷時間、処理温度等を種々変化させて評価した結果、被処理物表面から、より深くカーボン原子が注入されていることが密着性向上に寄与することを見出した。実験の結果少なくとも10nm以上イオン注入されていることが好ましく、これより浅いと密着性への寄与率が低下することが判った。この理由は、成膜される炭素膜の残留応力が表層より数十原子層では応力緩和することが出来ず、百原子層は必要であるためと考えている。
カーボン原子が表層部より深く注入され、その表面に形成される硬質な炭素膜層が少なくとも2.0〜10μm成膜されていると、耐摩耗性、耐食性、潤滑性と耐汚染性を兼備した炭素膜でより大きな効果を発揮する。従来のプラズマCVD法やPVD法などは、基材界面に発生する残留応力のため0.1〜2.0μmの炭素膜を成膜するのが一般的であったが、本発明の10nm以上の傾斜構造化により基材界面に発生する残留応力が低減され、3.0μm以上の炭素膜の成膜が容易となった。実験によると例えば柔軟なアルミニウム基材に対して50〜100μmの炭素膜の成膜も可能であり、高機能・長寿命な摺動部材として応用可能であることが判った。
さらに研磨用部材で重要なのはシリコンウエハーの研磨中に不純物が溶出してこないことである。従来のステンレス鋼やニッケル電着層を使用した研磨用部材では、鉄、クロム、ニッケルなどの微量不純物が溶出して、ウエハーに悪影響を及ぼすことがあった。
本発明の炭素膜を成膜した研磨用部材では、カーボン+ケイ素イオン注入効果により、金属の溶出も低減効果に有用であることも判り、さらに均一な炭素膜の成膜により不純物の溶出が全く検出されない研磨用部材を得ることが可能となった。本発明の被処理物の表層より10nm以上のカーボンイオン注入層が形成され、元のカーボン元素濃度より数10at%以上高めた表面層の上に炭素膜を成膜することにより、イオン注入された基材は原子間距離を縮め、金属溶出を押さえているものと推察される。
本発明の研磨用部材では、ステンレス鋼/ニッケル電着複合部材を負電圧印加試料台に取付け、これと高電圧のフィードスルーと一体化する。高周波(RF)電力はフィードスルーとチャンバーの間に加え、電子をその間の電界変化によって往復運動させ、気体分子と衝突を繰返すことにより炭化水素系ガス分子を電離させ、高密度のプラズマを形成する。プラズマ中にはイオン、ラジカル、電子が共存するので、高圧パルス電圧を印加すると、プラズマ中のイオンを金属複合基材に注入することができ、高圧パルス電圧を印加されないと自己バイアス(通常数十ボルト)によるイオンを表面に堆積させ、この時ラジカル重合によりカーボン元素やケイ素元素が結合し成膜することが出来る。この重畳方式のプラズマイオン注入・成膜装置を用いて、RF電力と高圧パルス電力の制御により、イオン注入・成膜或いはイオン注入と成膜の組み合わせが可能である。
炭素膜の物性は、使用するガス種、ガス圧、印加電圧等によって異なるが、基材との密着性に優れ、高硬度で膜厚の厚い炭素膜が好ましい。プラズマベースイオン注入・成膜装置では少なくとも4ステップのプロセスで成膜するのが好ましく、基板表面のクリーニング後に、高電圧でカーボンとケイ素イオン注入して、その後前記イオン注入電圧より低い電圧でメタン、アセチレン、トルエン等の炭化水素系ガスと、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のケイ素系ガスを導入して炭素膜の成膜を行い、引き続き更に低電圧(数kV)のエネルギーで炭素膜膜を成膜するのが好ましい。この理由は、高エネルギーで炭素膜の成膜を行うとカーボン結合が再切断され炭素膜微細膜構造が乱れ、硬高度な被膜が得られにくいばかりでなく、成膜速度が得られにくいためである。特に表層部分になるほど低エネルギーで成膜する方が高品質な炭素膜の被膜が得られるので好ましい。このように表層クリーニング、高エネルギーイオン注入、中エネルギー炭素膜形成、低エネルギー炭素膜形成の4ステップが炭素膜中の残留応力の緩和に役立ち厚膜形成に有利であることが判った。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の各種基材への表面処理方法に用いるプラズマベースイオン注入・成膜装置の概略構成を図1に基づいて説明する。この装置は、研磨用部材1をセットする架台2を内蔵する真空チャンバー3を具えている。セット架台は負電圧印加のための電極を兼ねている。真空チャンバー3は、排気装置4により内部を所定の真空度に保持することができる。この装置は、所定の炭化水素系ガスを、導入口5を通して導入され、炭化水素系ガスプラズマを形成させ、またケイ素系元素をイオン注入するための有機金属ガス導入源6も設けられている。
さらにこの装置は、各種形状の研磨用部材1に高電圧の負電荷を印加する高電圧負パルス電源7と高周波(RF)電源8も具えている。高電圧負パルス電源7では、所定のエネルギーの負電荷を発生させ、高電圧用フィードスルー9を通じて研磨用部材1に負電荷のパルスを印加する。このフィードスルーはセット架台とつながっており、セット架台は絶縁碍子10で、電気的に浮いた状態になっている。さらに炭素膜の成膜時には、高電圧パルスと高周波を重ね合わせる重畳装置11通じて高電圧用フィードスルー9から電力を供給して、供給ガスをプラズマ化させ成膜することが出来る。高電圧用フィードスルー9にはシールドカバー12が取り付けられフィードスルー9を防護している。また本装置にはプラズマ密度を上げるためにICP外部電源13も接続している。
本装置のセット架台2には、図1のA展開図に示すような研磨用部材1がセットされ、これは直径100mm厚さ8.0mmの円盤状研磨用部材や、外直径300mm×内直径200×厚さ10.0mmのドーナツ状研磨用部材1a、1bを3〜9枚セットすることが出来る。研磨用部材1にはダイヤモンド微粒子を電着したニッケル電鋳部があり、研磨される材料や仕上げ状態により砥粒材質、粒度などは任意に選定される。また部材の一部には炭素膜の成膜後の膜厚を正しく評価するために10×10×0.3mm角のシリコンウエハー(c)と、炭素膜の成膜品の物理的、化学的特性を評価するための25×25×2mm角ステンレス鋼およびニッケル電鋳試験片(d)を貼り付け試験評価を行えるようにしている。
これら研磨用部材に負電荷のパルスを印加すると、プラズマ中のカーボンイオン、ケイ素イオンあるいはCH、CHx、C、SiOx等のイオンが研磨用部材に引きつけられ、カーボンイオンあるいはケイ素および水素イオンが注入される。研磨用部材に負電荷のパルスを印加してイオンを注入するので、部材が平板でなく凹凸のある立体形状物でも、電界が部材の形状に沿って発生し、この表面に対してほぼ直角にイオンが衝突する。このため絶縁性のあるセラミックスやダイヤモンド部材に凹凸があっても基材表面全体にイオンを注入することができる。なお、同時に水素イオンもイオン注入されるが、基材中の水素は注入後に拡散して脱ガスすることが知られており、基材の物性をあまり左右されることはないと考えられている。
カーボン+ケイ素イオン注入後連続してカーボン/ケイ素複合炭素膜を成膜する。カーボンとケイ素イオン注入は数kV以上好ましくは10kV以上の電圧でイオン注入されるが、炭素/ケイ素複合膜の成膜はベンゼン、トルエン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン等の炭化水素とケイ素系ガスを任意な割合で混合したガスを10kV以下の電圧を印加しながら成膜する。この理由は、高エネルギーで炭素膜の成膜を行うとイオンの衝突エネルギーにより炭素膜の膜構造が乱れ、硬高度な被膜が得られにくいばかりでなく、成膜速度が得られにくいためである。さらにケイ素を含まない炭素膜の成膜はベンゼン、トルエン等の炭化水素系ガスを任意な割合で混合したガスを5kV以下の電圧を印加しながら成膜する。特に表層部分になるほど低エネルギーで成膜する方が高品質な炭素膜膜被覆物品が得られるので好ましい。好ましくは成膜時に自動制御により高電圧側から低電圧側に徐々に低下させる成膜手法が好ましい。
以下実施例に基づき説明する。
(実験例l)
図1のようなプラズマベースイオン注入・成膜装置を用いて、図中のA展開図に示すように研磨用部材1に設けられたステンレス基材部に、分析用テストピースc、dを多数貼り付け、分析評価用に用いた。実験は次の条件でプラズマを発生させ、カーボンイオン注入+炭素膜の成膜を行い性能評価した。
使用材料:外形200mmφのステンレス鋼(新日鐵住金ステンレス社製SUS304材)に、内径150mmφ部分にダイヤモンド砥粒を純ニッケルにて電着したサンプルを用いた。
注入使用ガス種:アセチレン/テトラメチルシラン混合ガス
注入ガス混合比:アセチレン50/テトラメチルシラン50
炭素膜使用ガス種:アセチレン/トルエン混合ガス
炭素膜ガス混合比:アセチレン40/トルエン60
注入・成膜時圧力:0.5Pa〜1.0Pa
注入エネルギー:15keV、20keV
成膜エネルギー:10keV→5keV
注入時間:30分
炭素膜成膜時間:180分
印加周波数:2000Hz
前記の2条件のエネルギーでカーボンとケイ素イオン注入をステンレス鋼並びに純ニッケルへイオン注入し、その後電圧を下げながら炭素/ケイ素混合膜をアセチレン/テトラメチルシラン混合ガスを用いて成膜して、さらにアセチレン/トルエン混合ガスにて炭素膜の成膜を行った。なお成膜時圧力は負電圧や成膜エネルギーを変化すると圧力変動するため、その時の圧力範囲を示し、成膜エネルギーの矢印は成膜時間内に電圧を低下させながら実験したことを示す。注入されたカーボン元素の深さ方向の分布をオージェ分析装置(AES)で評価を行い、カーボンの注入深さと注入量(Atomic Concentration(%))を求めた。またステンレス鋼と純ニッケル基材表面の硬度と密着性をダイナミック硬度計およびスクラッチ密着性評価試験機にて測定し、さらに摩擦係数をボール&ディスク法による摩擦試験で鋼球を用いて測定した。炭素膜のトータル膜厚は研磨用部材に3ヶづつ貼り付けたシリコンウエハーに付着した炭素膜厚を求め、炭素膜厚のばらつきを評価した。AES分析については注入エネルギー15keV、20keVにおけるカーボン注入分布を図2に示した。また硬度、密着性、摩擦係数については図3に未処理のステンレス鋼、ニッケル電鋳材と比較して示した。
図2の横軸はステンレス鋼材料の深さ方向で、原点は炭素膜材料を示し、縦軸は材料中のカーボン元素の割合を示している。なお分析に当たり炭素膜はあらかじめアルゴンスパッタにより薄くしてから分析した。また図中には示していないが、ケイ素イオンは混合組成比に応じて検出された。図2から判るようにステンレス鋼表面では炭素膜主成分で一部ケイ素が含有しており、基材中にはカーボン層が20nm付近まで形成されており、25nm付近がステンレス鋼の最表層部分と見られる。ここからカーボン注入層が80nm〜120nm付近まで高濃度のカーボン層であることが判る。この結果、注入エネルギーが高いほどカーボンの侵入深さは深く、内部までイオン注入されていることが判る。カーボンの注入深さは15kVで30nm付近まで、20kVで40nmほどイオン注入されていることが判る。このことは炭素膜形成前の印加電圧が高い程、カーボンはステンレス材料中の深くまで入り込み傾斜構造を示していることが判る。
一方、ステンレスおよびニッケル表面のダイナミック硬度、スクラッチ密着力と摩擦係数は図3に示すように未処理のステンレス鋼は硬度570、ニッケルは硬度280と非常に柔らかいが、炭素膜を成膜することにより、ステンレスは1300以上、ニッケルは1000以上の硬度を示し、且つスクラッチ密着力も基材が柔らかいにもかかわらず15N以上の密着力を示すことが判る。またステンレス鋼、ニッケル電鋳は0.3以上の非常に高い摩擦係数を示すが、炭素膜によりいずれも0.19以下の低摩擦係数を示した。イオン注入エネルギーとの関係を見ると、適度な注入エネルギーにおいて、硬度は高く、摩擦係数が低くなることが判った。
さらに、炭素膜厚の均一性をシリコンウエハー面で各3点づつ測定した結果、平均3μm弱の膜厚に対して、±0.3μmの誤差範囲で炭素膜成膜が出来ることが判った。
(実験例2)
図1のようなプラズマベースイオン注入・成膜装置を用いて、図中のA展開図に示すように研磨用部材1に設けられたステンレス基材部に、分析用テストピースc、dを多数貼り付け、分析評価用に用いた。実験は次の条件でプラズマを発生させ、カーボンイオン注入+炭素膜の成膜を行い性能評価した。
使用材料:外形200mmφチタン合金材料(株式会神戸製鋼所社製KS6−4材)に内径150mmφダイヤモンド砥粒を純ニッケルにて電着したサンプルを用いた。
注入使用ガス種:アセチレン/トルエン/テトラメチルシラン混合ガス
注入ガス混合比:アセチレン30/トルエン40/テトラメチルシラン30
炭素膜使用ガス種:アセチレン/トルエン混合ガス
炭素膜ガス混合比:アセチレン70/トルエン30
注入・成膜時圧力:0.5Pa〜1.0Pa
注入エネルギー:20keV、30keV
成膜エネルギー:10keV→3keV
注入時間:30分
炭素膜成膜時間:180分
印加周波数:3000Hz
前記の2条件のエネルギーでカーボンとケイ素イオンをチタン合金へイオン注入し、さらにアセチレン/トルエン/テトラメチルシラン混合ガスを用いてケイ素含有炭素膜を形成した。その後電圧を下げながら炭素膜をアセチレン/トルエン混合ガスを用いて成膜を行った。なお成膜時圧力は負電圧や成膜エネルギーを変化すると圧力変動するため、その時の圧力範囲を示し、成膜エネルギーの矢印は成膜時間内に電圧を低下させながら実験したことを示す。注入されたカーボン元素の深さ方向の分布をオージェ分析装置(AES)で評価を行い、カーボンの注入深さと注入量(Atomic Concentration(%))を求めた。またチタン合金基材表面の硬度と密着性をダイナミック硬度計およびスクラッチ密着性評価試験機にて測定し、さらに摩擦係数をボール&ディスク法による摩擦試験で鋼球を用いて測定した。炭素膜のトータル膜厚は研磨用部材に各3ヶづつ貼り付けたシリコンウエハーに付着した炭素膜厚を求め、厚みのばらつきを評価した。AES分析については注入エネルギー20keV、30keVにおけるカーボン注入分布を図4に示した。また硬度、密着性、摩擦係数については図5に未処理のチタン合金とニッケル電鋳材と比較して示した。
図4の横軸はチタン合金材料の深さ方向を示して、原点は炭素膜材料を示し、縦軸は材料中のカーボン元素の割合を示している。なお分析に当たり炭素膜はあらかじめアルゴンスパッタにより薄くしてから分析した。また図中には示していないが、ケイ素イオンは混合組成比に応じて検出された。図4から判るようにチタン合金表面では炭素膜主成分で一部ケイ素が含有しており、基材中にはカーボン層が35nm付近まで形成されており、40nm付近がステンレス鋼の最表層部分と見られる。ここからカーボン注入層が100nm〜140nm付近まで高濃度のカーボン層であることが判る。この結果、注入エネルギーが高いほどカーボンの侵入深さは深く、内部までイオン注入されていることが判る。カーボンの注入深さは20kVで70nm付近まで、30kVで110nmほどイオン注入されていることが判る。このことは炭素膜形成前の印加電圧が高い程、カーボンはステンレス材料中の深くまで入り込み傾斜構造を示していることが判る。
一方、チタン合金表面のダイナミック硬度、スクラッチ密着力と摩擦係数は図5に示すように未処理のチタン合金は硬度340と非常に柔らかいが、炭素膜を成膜することによりいずれも1200以上の硬度を示し、且つスクラッチ密着力も基材が柔らかいにもかかわらず16N以上の密着力を示すことが判る。またチタン合金は0.37と非常に高い摩擦係数を示すが、炭素膜によりいずれも0.18以下の低摩擦係数を示した。ニッケル電鋳材については図3に示した特性と同様であり、硬度、密着性、摩擦係数共に優れた特性を示した。またイオン注入エネルギーとの関係を見ると、高エネルギーでやや硬度が高くなる傾向になることが判った。
さらに、炭素膜厚の均一性を各3点づつ測定した結果、平均3μmの膜厚に対して、±0.3μmの誤差範囲で炭素膜成膜が出来ることが判った。
また実験例には記載していないが、実験例1および実験例2で用いた研磨用部材を電気化学的評価法で耐食性評価を行った。腐食電位の測定方法は3%フッ化ナトリウム溶液60℃において電位速度20mV/min、腐食電流100μAで行った結果、未処理のステンレス鋼の腐食電位は85mV前後であったが、実験例1で炭素膜を形成したサンプルの腐食電位は1030mVまで向上した。また実験例2で炭素膜を形成したサンプルの腐食電位は1250mVまで向上した。このようにステンレス鋼、チタン合金、ニッケル電鋳材が裸の状態では低い腐食電位で、ポリッシング加工時の酸性浴に対して腐食しやすいのに対して、炭素膜を被覆した本発明品は10倍以上の腐食電位を示し、耐食性に優れた研磨用部材であることが明らかになった。
以上、説明したように、本発明の方法によれば、プラズマベースイオン注入・成膜法を用いて、研磨用部材に、炭化水素系とケイ素系混合ガスプラズマからカーボン+ケイ素イオン注入を行い、その後炭化水素系とケイ素系混合ガスプを用いてケイ素含有炭素膜を形成し、さらに炭化水素ガスを少なくとも一種類以上混合して導入しつつ炭素膜を形成することにより、研磨用部材の耐摩耗性、耐食性、耐汚染性に優れた炭素膜被覆物品及びその表面処理方法を提供できることが判った。
また、本発明の炭素膜被覆物品は、カーボン+ケイ素元素をイオン注入することにより、ステンレス鋼やチタン合金、ニッケル電鋳材、ダイヤモンド砥粒などの複合基材に対して、表面硬度が高く、耐摩耗性、耐食性、耐汚染性が優れていることから、半導体以外のアルミ磁気ディスク基板、ガラス製磁気ディスク基板、フォトマスク用ガラス基板、水晶発振子、光学レンズの研磨、反射鏡等の研磨へも利用可能である。さらに、本発明のカーボン+ケイ素イオン注入+カーボン+ケイ素混合炭素膜+炭素膜形成技術は、耐摩耗性、耐食性、耐汚染性以外に潤滑性、撥水性・離型性も増大させることが出来、本発明の用途以外の金属材料やセラミックス材料の表面硬度アップや潤滑性・離型性の機能性向上など工業用セラミックス材料や金属材料成形品等に対しても同様に応用可能である。
本発明の研磨用部材に用いるプラズマベースイオン注入・成膜装置の構成図と部材形状図である。 SUS304およびニッケル電鋳材へのカーボン/ケイ素イオン注入+炭素膜形成後のオージェ分析によるカーボン注入深さとカーボン濃度との関係を示すグラフである。 SUS304およびニッケル電鋳材へのカーボン/ケイ素イオン注入+炭素膜形成後の硬度、密着力、摩擦係数など物理的変化と膜厚分布を示す表である。 チタン材およびニッケル電鋳材へのカーボン/ケイ素イオン注入+炭素膜形成後のオージェ分析によるカーボン注入深さとカーボン濃度との関係を示すグラフである。 チタン材およびニッケル電鋳材へのカーボン/ケイ素イオン注入+炭素膜形成後の硬度、密着力、摩擦係数など物理的変化と膜厚分布を示す表である。
符号の説明
1 半導体キャリア部材
2 架台
3 真空チャンバー
4 排気装置
5 炭化水素ガス導入口
6 有機金属ガス導入口
7 高電圧負パルス電源
8 高周波(RF)電源
9 高電圧用フィードスルー
10 絶縁碍子
11 重畳装置
12 シールドカバー
13 ICP外部電源

Claims (10)

  1. 0.1〜10Paの真空中でカーボンガスプラズマを発生させ、この中にステンレス鋼、チタン合金、純ニッケル、ニッケル・クロム合金、ニッケル・コバルト合金、ダイヤモンド、炭化珪素等の材料からなる研磨用部材をさらし、研磨用部材に1〜50keV、100〜5000サイクルの高電圧負パルスを印加して、カーボンイオンを研磨用部材表面に注入することを特徴とする研磨用部材の表面処理方法。
  2. 非処理物である研磨用部材を0.1〜10Paの真空中にセットし、ここに炭化水素系ガスとケイ素系ガスの混合ガスを導入して高周波電力の供給によりプラズマを発生させ、研磨用部材に1〜30keV、500〜5000サイクルの高圧負パルスを印加して、カーボンとケイ素イオンを研磨用部材に同時イオン注入し、その後カーボンを主体とする硬質炭素膜層を表層に堆積することを特徴とする研磨用部材の表面処理方法。
  3. 非処理物である研磨用部材を0.1〜10Paの真空中にセットし、ここに炭化水素系ガスとケイ素系ガスを混合して導入して高周波電力の供給によりプラズマを発生させ、研磨用部材に1〜30keV、500〜5000サイクルの高圧負パルスを印加して、カーボンとケイ素イオンを研磨用部材に同時イオン注入し、その後ケイ素を含有する硬質炭素膜層を表層に堆積することを特徴とする研磨用部材の表面処理方法。
  4. 炭化水素系ガスとして、メタン、アセチレン、ベンゼン、トルエン及びシクロヘキサノン、クロロベンゼン、二フッ化炭素、四フッ化炭素等のガスから選択される、少なくとも1種類以上と、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のガスから選択される、少なくとも1種類以上を主成分としたガスを混合して使用し、カーボンイオンとケイ素イオンを同時に注入した後、ケイ素を含有する硬質炭素膜層を形成したことを特徴とする請求項3に記載の研磨用部材の表面処理方法。
  5. 少なくとも研磨用部材への印加電圧が10keV以上で、カーボンイオン注入時間が20〜120分であることを特徴とする請求項2に記載の研磨用部材の表面処理方法。
  6. 研磨用部材が主としてステンレス鋼、チタン合金をベースにして、ダイヤモンド微粒子あるいは炭化珪素微粒子を純ニッケル、ニッケルクロム合金、ニッケルコバルト合金等で電気めっきにより固定化された複合部材からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の研磨用部材の表面処理方法。
  7. 金属および研磨砥粒を固定したニッケル系部材に、カーボンイオン注入層を部材表層より10nm以上イオン注入したことを特徴とする請求項6に記載の研磨用部材の表面処理方法。
  8. 金属および研磨砥粒を固定したニッケル系部材に、カーボンイオン注入層を部材表層より内部のカーボン濃度が10at%以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の研磨用部材の表面処理方法。
  9. 研磨用部材表面にカーボンイオンとケイ素イオンを注入後、継続してケイ素を含有する硬質炭素膜層を少なくとも1μm以上と、カーボンを主体とする炭素膜層を少なくとも1μm以上成膜して、金属の溶出を低減したことを特徴とする請求項1に記載の研磨用部材の表面処理方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の方法を用いて製造した研磨用部材からなる物品。
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