JP2007002069A - 記録液、記録液カートリッジ及び記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 色むらを防止する。
【解決手段】 被記録媒体に後に着弾させる記録液は、色材と、この色材を分散又は溶解させる水及び水溶性有機溶媒を含む溶媒と、界面活性剤とを含有し、被記録媒体に先に着弾させる記録液と液体状態で接触した際に、下記の計算式1より求められる10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上である。
【数1】
Figure 2007002069

【選択図】なし

Description

本発明は、2色以上の記録液を重ねて多色記録を行うための記録液、記録液カートリッジ及び記録方法に関する。
記録液を吐出して記録を行う記録方法には、記録液としてインクを吐出し、画像や文字等を記録するインクジェット記録方式がある。インクジェット記録方式は、プリンタ装置に備わるインク吐出ヘッドのノズルからインクを微小な液滴の状態で紙やフィルム等の被記録媒体上に吐出し、画像や文字等の多色画像を形成する。
このインクジェット記録方式には、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電荷制御方式、圧電素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる方式、熱により気泡を形成、成長させることにより生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる熱インクジェット方式等がある。これらの方式を用いたインクジェット記録方式は、極めて高精細の画像を得ることができる。
このインクジェット記録方式は、紙をはじめとする種々の被記録媒体への印字が行われており、例えば一般家庭におけるドキュメント印刷、画像観賞用印刷、ワイドフォーマット等の工業用途に於ける看板印刷、液晶等のカラーディスプレイに用いるカラーフィルター作製等多種にわたり適用されている。インクジェット記録方式は、中でも画像観賞用印刷への応用が盛んに行われており、記録画像の高品位化が求められている。また、インクジェット記録方式には、同時に記録速度の高速化を図ることが生産性の観点から欠かすことのできない要素として求められている。このため、インクジェット記録方式では、高品位画像と記録速度向上との両立が求められている。
高品位画像をより早い記録速度で得るひとつの方法としては、インクを吐出するノズルが被記録媒体の幅方向に並設され、一度の吐出で被記録媒体の幅方向に亘って印刷が可能ないわゆるライン型のインクジェットプリンタ装置を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ライン型のインクジェットプリンタ装置は、被記録媒体の送り方向と同じ方向に、被記録媒体の搬送方向の上流側から例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色毎に1列以上のノズルラインが並設されたインク吐出ヘッドを備える。このようなライン型のインクジェットプリンタ装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順でインクが被記録媒体上に吐出される。
ライン型のインクジェットプリンタ装置は、ノズルライン毎にインクを吐出するため、一度に被記録媒体の幅方向に亘った印刷ができ、被記録媒体の幅方向にインク吐出ヘッドを走査しながら記録を行うシリアル型のインクジェットプリンタ装置と比べて高品位な画像をより早い記録速度で印字することができる。このライン型のインクジェットプリンタ装置による印刷方法は、シリアル型のインクジェットプリンタ装置において、インク吐出ヘッドを被記録媒体の幅方向に一度の走査で一列分の印刷を行うシングルパス印字に相当する。シングルパス印字では、一度の走査で一列分の印刷を行うため、吐出されて被記録媒体上に着弾した隣接するドット同士の間隔が狭くなり、各ドットの被記録媒体への浸透が低下してしまう。したがって、浸透性の低下は、ライン型のインクジェットプリンタ装置にも同様に生じる。
即ち、ライン型のインクジェットプリンタ装置では、ノズルライン毎にインクを吐出するため、シングルパス印字のように、同時に吐出されて被記録媒体上に着弾したインクのドット間隔が狭く、各ドットの被記録媒体へ浸透が低下してしまう。また、ライン型のインクジェットプリンタ装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順にノズルライン毎にインクを吐出するため、発熱抵抗体の駆動周波数が高く、被記録媒体の搬送速度が速くなるに従って、次色のインクとの吐出間隔も極めて短くなり、先に吐出されたインクが十分に被記録媒体の内部へ浸透しないうちに、次色のインクが同一のドット上に打ち込まれるようになる。このため、このライン型のインクジェットプリンタ装置では、2色以上のインクが不均一に混ざり、色むらが発生しやすくなる。また、色むらの発生は、被記録媒体のインクの吸収速度に大きく依存している。色むらは、被記録媒体の表面に設けられたインク受容層が親水性バインダーと微粒子で形成された多孔質層からなる写真画質用光沢紙に於いて顕著に生じる。
また、色むらは、ライン型のインクジェットプリンタ装置による印字方法のようなシングルパス印字の場合だけではなく、シリアル型のインクジェットプリンタ装置によるマルチパス印字の場合にも生じる。マルチパス印字は、被記録媒体の幅方向に亘って印字を行う際に、一度の走査によるドット間隔を広くし、次の走査で各ドット間の空白部分に更にドットを形成するようにして、複数回の走査で一列分の印字を行う。マルチパス印字では、被記録媒体に着弾した隣接するドット間の間隔が広いが、インク吐出ヘッドの速度が速くなり、被記録媒体の搬送速度が速くなった場合、同一のドット上に吐出される各色間の吐出間隔が短くなり、先に吐出されたインクが被記録媒体に吸収される前に次の色のインクが吐出されるため、色むらが発生する場合がある。
色むらの発生を防止する方法としては、例えば下記の特許文献2に提案されているような染料同士が接触した時点で反応し不溶性の塩を形成することに加え、インク間の拡散速度を抑える方法がある。また、下記の特許文献3及び特許文献4には、インクの粘度を調整して、拡散速度を抑制することが記載されている。
特許文献2〜特許文献4に提案されている方法は、シリアル型のプリンタ装置によるマルチパス印字を行った場合を前提としており、ライン型のインクジェットプリンタ装置のようにシングルパス印字を行う場合や、マルチパス印字の場合でもインク吐出ヘッドの移動速度が速くなった場合には色むらの発生を十分に防止することができなくなってしまう。
特開2001−36522号公報 特開平9−151347号公報 特開平9−109547号公報 特開平9−109548号公報
本発明は、同一のドット上に2色以上の記録液を着弾させて多色記録を行う際に色むらが生じることを防止できる記録液、記録液カートリッジ、記録方法を提供することを目的とする。
本発明に係る記録液は、色材と、この色材を分散又は溶解させる水及び水溶性有機溶媒を含む溶媒と、界面活性剤とを含有し、被記録媒体に先に着弾される記録液と液体状態で接触した際に、下記の計算式1より求められる10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上であることを特徴とする。
Figure 2007002069
また、本発明に係る記録液カートリッジは、上記記録液を収容したものである。
また、本発明に係る記録方法は、被記録媒体に着弾させて形成された同一のドット上に、上記記録液を着弾させて多色記録を行うものである。
本発明では、被記録媒体に後に着弾させる記録液が先に着弾させる記録液と液体状態で接触した10秒後における拡散速度係数が8.0以上であることから、後から着弾させる記録液が先に着弾させる記録液と接した直後の拡散速度が速く、よく拡散するため、均一に混じり合い、色むらを防止することができる。これにより、本発明は、高品位な多色記録を行うことができる。
以下、本発明が適用された記録液、記録液カートリッジ及び記録方法について、図面を参照して説明する。記録液は、図1に示すように、例えばインクジェットプリンタ装置1(以下、プリンタ装置1とする。)を用いて被記録媒体となる記録紙Pに多色印刷を行う際のインクiとして用いられる。
先ず、本発明が適用されたインクiの説明に先立って、このインクiが用いられるライン型のプリンタ装置1について説明する。
プリンタ装置1は、対象物となる例えば写真画質用光沢紙等の記録紙Pに対して上述したインクiを吐出するインクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジという。)2と、このヘッドカートリッジ2が装着される装置本体3とを備える。このプリンタ装置1は、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインクiの吐出口となるノズルが略ライン状に1列以上並設した、いわゆるライン型のプリンタ装置である。このプリンタ装置1は、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)のうち2色以上を同一のドット上に吐出することによって、多色印刷を行うことができる。なお、対象物としては、写真画質用光沢紙の他に普通紙等であってもよい。
ヘッドカートリッジ2は、例えば電気熱変換式を用いた圧力発生手段が発生した圧力で上述した各色のインクiを吐出し、記録紙Pの主面にインクiを着弾させる。ヘッドカートリッジ2には、各色のインクiが収容された記録液カートリッジとなるインクタンク11y,11m,11c,11k(以下、インクタンク11ともいう。)が装着される。具体的に、ヘッドカートリッジ2には、図1及び図2に示すように、イエローインク(Y)が収容されたインクタンク11y、マゼンタインク(M)が収容されたインクタンク11m、シアンインク(C)が収容されたインクタンク11c、ブラックインク(K)が収容されたインクタンク11kが装置本体3の背面側から前面側に向かって、イエローのインクタンク11y、マゼンタのインクタンク11m、シアンのインクタンク11c、ブラックのインクタンク11kの順で装着される。なお、インクタンク11は、各色のインクタンク11y,11m,11c,11kが一体となっており、内部で色毎に区画されているものでもよい。
インクタンク11は、記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法をなす略矩形状に形成されている。具体的に、各インクタンク11は、図3に示すように、インクiを収容するインク収容部12と、インク収容部12からヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21にインクiを送り出すためのインク供給部13とを備える。
インク収容部12には、上面中央部に外部の空気を取り込む際の孔となる外部連通孔14が設けられ、この外部連通孔14から内部に向かって延長して設けられた空気導入管15を介して、内部に空気を取り込むことができる。これにより、各インクタンク11では、インクiがカートリッジ本体21に供給された際に、減少したインクiの分に相当する空気がインク収容部12に外部連通孔14を介して空気が取り込まれる。
インク供給部13は、インク収容部12の下側略中央部に設けられている。このインク供給部13は、インク収容部12と連通した略突形状のノズルであり、図示しない弁機構により、開放及び閉塞される。インク供給部13は、後述するヘッドカートリッジ2の接続部25に嵌合されることにより、ノズルを弁機構により開放し、インク収容部12とヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21とを接続し、ヘッドカートリッジ2側にインクiを供給することができる。
以上のようなインクタンク11が装着されるヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体21を有する。カートリッジ本体21は、インクタンク11が装着される装着部22と、インクiを吐出するインク吐出ヘッド23と、インク吐出ヘッド23を保護するヘッドキャップ24とを備える。
インクタンク11が装着される装着部22は、略凹形状に形成され、底面に各インクタンク11y,11m,11c,11kを区画する隔壁22aが設けられている。そして、各インクタンク11は、隔壁22aで区画された各領域に装着される。
装着部22の長手方向略中央には、装着部22に装着された各インクタンク11y,11m,11c,11kのインク供給部13と接続される接続部25が設けられている。この接続部25は、装着部22に装着されたインクタンク11y,11m,11c,11kのインク供給部13からカートリッジ本体21の底面に設けられたインクiを吐出するインク吐出ヘッド23にインクiを供給するインク供給路となる。接続部25は、インクタンク11y,11m,11c,11kからインク吐出ヘッド23へのインクiの供給を弁機構で調整している。
ヘッドカートリッジ2では、装着部22にインクタンク11が装着されると、各インクタンク11y,11m,11c,11kのインク供給部13の供給口が弁機構により開放された状態で、装着部22の接続部25と接続される。これにより、ヘッドカートリッジ2では、各インクタンク11y,11m,11c,11k内に充填されたイエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブラックインク(K)がインク供給部13の供給口を介して、接続部25に流れ込み、インク吐出ヘッド23に供給されるようになる。
接続部25からインクiが供給されるインク吐出ヘッド23は、カートリッジ本体21の底面に沿って配設されている。インク吐出ヘッド23は、接続部25から供給されるインクiを吐出する吐出口である後述するノズル32aが記録紙Pの幅方向、すなわち図3中矢印W方向に略ライン状に色毎に並設されている。即ち、インク吐出ヘッド23には、カートリッジ本体21に装置本体3の背面側から前面側に向かって、装着されている各色のインクタンク11の並びに従って各色のノズルラインが設けられている。インク吐出ヘッド23は、インクiを吐出する際に、記録紙Pの幅方向に移動することなく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのノズルライン毎にインクiを吐出する。
インク吐出ヘッド23には、図4に示すように、電気熱変化式の発熱抵抗体31aが設けられた回路基板31と、ノズル32aが形成されたノズルシート32と、回路基板31とノズルシート32との間に設けられたフィルム33とによって、接続部25から供給されたインクiを各ノズル32aに供給するインク流路34が形成されている。このインク流路34は、ノズル32aが並設されている方向、即ち図3中矢印W方向に長く形成されている。これにより、インク吐出ヘッド23では、各インクタンク11y,11m,11c,11kからカートリッジ本体21の接続部25を介してインクiがインク流路34に流れ込み、インク流路34から各ノズル32aにインクiが供給されるようになる。
また、インク吐出ヘッド23には、回路基板31と、ノズルシート32と、フィルム33とによって囲まれ、発熱抵抗体31aがインクを加圧するインク液室35が形成されている。このインク液室35は、インク流路34と接続されており、インク流路34からインクiが供給される。
以上のような構成からなるインク吐出ヘッド23では、制御信号に基づいて選択された発熱抵抗体31aに対して、例えば駆動周波数9kHzでパルス電流を供給する。これにより、インク吐出ヘッド23は、発熱抵抗体31aを急速に加熱する。インク吐出ヘッド23は、発熱抵抗体31aを加熱すると、図4(A)に示すように、発熱抵抗体31aと接するインクiに気泡bが発生する。そして、インク吐出ヘッド23は、図4(B)に示すように、気泡bが膨張しながらインクiを加圧し、押圧されたインクiを液滴の状態でノズル32aより吐出する。また、インク吐出ヘッド23は、液滴の状態でインクiを吐出した後、インク流路34を通してインクiをインク液室35に供給することによって、再び吐出前の状態へと戻る。インク吐出ヘッド23は、制御信号に基づいて、上述した動作を繰り返す。
インク吐出ヘッド23の吐出面23aを保護するためのヘッドキャップ24は、印刷を終了した際に、インク吐出ヘッド23の吐出面23aを閉塞し、吐出面23aを乾燥等から保護している。また、ヘッドキャップ24には、吐出面23aの付着している余分なインクiを吸引するクリーニングローラ24aが設けられており、吐出面23aの開閉時に吐出面のインクiを吸収し、吐出面23aのクリーニングを行う。
ヘッドカートリッジ2が装着される装置本体3には、図5に示すように、ヘッドカートリッジ装着部41にヘッドカートリッジ2が装着される。また、装置本体3には、図5に示すように、記録紙Pを搬送する給排紙機構42が設けられている。
給排紙機構42は、給紙口43に取り付けられた給紙トレイ44に積層された印刷前の記録紙Pを給紙トレイ44から取り出し、給紙口43からヘッドカートリッジ装着部41に装着されたヘッドカートリッジ2の吐出面23aと対向する位置まで搬送し、記録紙Pに印刷した後、排紙口45から排紙トレイ46に印刷後の記録紙Pを排出する。記録紙Pは、給排紙機構42により、インク吐出ヘッド23のノズル面23aにおいて、装着本体3の背面側から前面側に向かって走行する。したがって、記録紙Pには、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブラックインク(K)の順でインクiが着弾される。
また、装置本体3には、ヘッドカートリッジ装着部41に装着されたヘッドカートリッジ2の吐出面23a側に設けられたヘッドキャップ24を開閉するキャップ開閉機構47が設けられている。また、ヘッドキャップ開閉機構47は、印刷を開始する際にヘッドキャップ24を前面側に移動させて、ヘッドカートリッジ2の吐出面23aを外部に露出させる。ヘッドキャップ開閉機構47は、印刷後、ヘッドキャップ24をヘッドカートリッジ2の底面に移動させ、ヘッドカートリッジ2の吐出面23aを閉塞し、吐出面23aを外部に露出させないようにする。
以上のような構成からプリンタ装置1は、外部に設けられた情報処理装置から入力された印刷データに基づき、印刷を制御する図6に示す制御回路51により制御される。制御回路51は、上述した装置本体2の給排紙機構42、キャップ開閉機構47の駆動制御するプリンタ駆動部52と、インク吐出ヘッド23に供給される電流等を制御する吐出制御部53と、情報処理装置58と信号の入出力を行う入出力端子54と、制御プログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)55と、読み出された制御プログラム等を一旦格納し、必要に応じて読み出されるRAM(Random Access Memory)56と、各部の制御を行う制御部57とを有している。
プリンタ駆動部52は、制御部57からの制御信号に基づき、ヘッドキャップ開閉機構47を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ24を移動し、吐出面23aを開閉するようにヘッドキャップ開閉機構47を制御する。また、プリンタ駆動部52は、制御部57からの制御信号に基づき、給排紙機構42を構成する駆動モータを駆動させて装置本体3の給紙口43から記録紙Pを給紙し、搬送速度49.5mm/sec以上で装置内を搬送し、印刷後に給紙トレイ44から記録紙Pを排出するように、給排紙機構42を制御する。
吐出制御部53は、制御部57からの制御信号に基づいて、選択的に発熱抵抗体31aにパルス電流を流し、周波数9kHz以上で発熱抵抗体31aを駆動制御する。
入出力端子54は、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の信号を外部の情報処理装置58に入出力する。ここで、上述した情報処理装置58は、例えば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器である。
ROM55は、制御部57が行う各処理のプログラムが格納されているメモリである。この格納されているプログラムは、制御部57によりRAM56にロードされる。RAM56は、制御部57によりROM55から読み出されたプログラムやプリンタ装置1の各種状態を記憶する。
制御部57は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、RAM56にロードされたプログラムに基づいて、各部を駆動し、印刷データに応じた印刷を行う。
具体的に、プリンタ装置1は、先ず、装置本体3に設けられた操作ボタン3aの操作により制御部57に印刷開始の命令がされると、制御部57からの制御信号により給排紙機構42、ヘッドキャップ開閉機構47を次のように駆動して、図5に示すように、印刷が可能な状態にする。
プリンタ装置1は、ヘッドキャップ開閉機構47により、ヘッドキャップ24をヘッドカートリッジ2に対して給紙トレイ44及び排紙トレイ46が設けられている前面側に移動させる。これにより、プリンタ装置1では、インク吐出ヘッド23の吐出面23aに設けられたノズル32aが外部に露出し、インクiを吐出できるようになる。
プリンタ装置1は、給排紙機構42により、給紙トレイ44から給紙ローラ61によって記録紙Pを引き出し、互いに反対方向に回転する一対の分離ローラ62a,62bによって1枚の記録紙Pのみを装置本体3内に反転ローラ63に送り、反転ローラ63で搬送方向を吐出面23a側に反転させ、吐出面23aと対向する位置に設けた搬送ベルト64上に記録紙Pを搬送する。プリンタ装置1は、搬送ベルト64に搬送した記録紙Pをプラテン板65で所定の位置に保持し、記録紙Pが吐出面23aと対向する。プリンタ装置1では、給排紙機構42により、搬送速度49.5mm/sec以上で記録紙Pを搬送する。
次に、プリンタ装置1は、制御部57からの制御信号により、吐出制御部53が駆動して、インク吐出ヘッド23の発熱抵抗体31aに選択的に周波数9kHz以上でパルス電流を流し、発熱抵抗体31aを加熱する。プリンタ装置1は、発熱抵抗体31aを加熱することによって、図4に示すように、吐出面23aと対向する位置に搬送された記録紙Pに対してノズル32aより各色のインクiを微小な液滴の状態にして吐出し、インクドットからなる画像や文字等を多色印刷する。
具体的に、プリンタ装置1は、装置本体3の背面から前面側に向かってイエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブラックインク(K)の順でノズルラインが設けられているため、記録紙Pを走行させながら、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブラックインク(K)の順でインクiを吐出する。具体的に、記録紙Pに多色印刷を行う際には、搬送方向の上流側に位置するイエローインク(Y)を一番最初に吐出し、そして記録紙Pを前面側に搬送して、イエローインク(Y)によって形成された同一のドット上に、イエローインク(Y)より下流側に位置するマゼンタインク(M)を吐出してレッド(R)を形成する。また、プリンタ装置1では、イエローインク(Y)のドット上にシアンインク(C)を着弾させてグリーン(G)を形成したり、マゼンタインク(M)のドット上にシアンインク(C)を着弾させてブルー(B)を形成したり、イエローインク(Y)のドット上に、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)の順で着弾させてブラック(K)を形成する。
ここで、記録紙P上に後から着弾されるインクiは、本発明を適用したインクであるから、記録紙Pに先に着弾されるインクiと互いに液体状態で接触した直後、良く拡散し、更にしばらくした後であっても拡散する。これにより、プリンタ装置1では、異なる色を同一のドット上で重ねても色むらなく他の色を形成することができる。
次に、プリンタ装置1は、印刷された記録紙Pを給紙トレイ44方向に回転する給排紙機構42の搬送ベルト64と、搬送ベルト64と対向し、給紙トレイ44側に設けられた排紙ローラ66とによって記録紙Pを給紙トレイ44に送り出す。
プリンタ装置1では、以上のようにして多色印刷を行うことができる。プリンタ装置1は、上述したように、ノズル32aが記録紙Pの幅方向に亘って設けられたライン型のものであるため、同時に吐出したインクiの記録紙Pに着弾したドット間隔が狭く、記録紙Pの搬送速度が49.5mm/sec以上で、発熱抵抗体31aの駆動周波数が9kHz以上であるため、先に記録紙P上に着弾させたインクiと次に着弾させるインクiとの吐出間隔が短く、同一のドット上に次々に異なる色のインクiを吐出する特徴を有する。プリンタ装置1では、記録紙Pに着弾したドット間隔が狭く、異なる色のインクiの吐出間隔が短くても、本発明を適用したインクiを用いることによって、後に着弾させるインクiが先に着弾させるインクiと液体状態で接触した直後、更には接触してしばらく経った後でも、良く拡散するため、色むらを防止できる。
次に、以上のようなプリンタ装置1に用いられる本発明が適用されたインクiについて説明する。
インクiは、色材と、この色材を分散又は溶解させる水及び水溶性有機溶媒を含む溶媒と、拡散性を向上させる界面活性剤とが含有されている。
色材としては、無機顔料や有機顔料等の顔料、水溶性染料、分散染料や油溶性染料等が用いられ、特に無機顔料や有機顔料を用いることが好ましい。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等が用いられる。有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む。)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料など)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が用いられる。
また、色材としては、表面にカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、スルホン酸基及びこれらの塩のうち、少なくとも一種の官能基を有するように、表面を親水化処理した自己分散型顔料も好適に用いられる。また、色材としては、公知の物理的手法や機械的手法、化学的手法で製造されるマイクロカプセル化顔料も好適に用いられる。
各色のインクiにおける色材のインクi中の含有量は、インク全量に対して0.1〜10重量%である。色材の含有量がインク全量に対して0.1重量%未満の場合には、印字濃度が不十分となる虞がある。一方、色材の含有量がインク全量に対して10重量%より多い場合には、吐出安定性が低下してしまう虞があるからである。
色材を分散又は溶解させる溶媒には、少なくとも水及び水溶性有機溶媒が用いられる。水としては、例えば純水が用いられる。水のインクi中の含有量は、インク全量に対して10〜90重量%である。水の含有量がインク全量に対して10重量%よりも少ない場合には、インクiの粘性が高くなりすぎてしまい、90重量%より多い場合には、インクiの粘性が低くなりすぎてしまい、どちらの場合もインクiの吐出安定性が低下してしまう虞があるからである。
水溶性有機溶媒は、インクi中に含有させることによって、インクiの保水性を確保することができる。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,5ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンが用いられる。なお、これらに限定されるものではない。また、水溶性有機溶媒は、上述したものを単独、又は2種類以上混合して含有させてもよい。
各色のインクiにおける水溶性有機溶媒のインクi中の含有量は、インク全量に対して0.1重量%〜40重量%であり、より好ましくは1重量%〜30重量%である。水溶性有機溶媒の含有量がインク全量に対して0.1重量%未満の場合には、十分な保水性が得られなくなる虞がある。一方、水溶性有機溶媒の含有量がインク全量に対して40重量%より多い場合には、吐出安定性が低下してしまう虞があるからである。
色材の他に溶媒に溶解又は分散させる界面活性剤は、インクiの拡散速度を向上させる。界面活性剤としては、種々のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が用いられ、中でもノニオン性界面活性剤が特に好適に用いられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどのエチレンオキシド付加型、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、シュガーアルキルエステルなどのポリオールエステル型、多価アルコールアルキルエーテルなどのポリエーテル型、アルカノールアミン脂肪酸アミドなどのアルカノールアミド型等が用いられる。
界面活性剤としては、これらのノニオン性界面活性剤の中でも、下記の化学式1に示すポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
Figure 2007002069
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、式中のnが1≦n≦5である。nが5より大きい場合には、インクiが十分に拡散しなくなってしまうからである。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン、アルキル硫酸アンモニウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルリン酸カリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、アルカンスルフォン酸ナトリウム等が用いられる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルカルボキシメチルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルフォベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド等が用いられる。
各色のインクiのおける界面活性剤のインクi中の含有量は、インク全量に対して0.01重量%〜5.0重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜3.0重量%である。界面活性剤の含有量が0.01重量%よりも少ない場合には、インクiの拡散速度が十分に向上せず、インクi同士が均一に混ざり合わず、色むらが生じてしまう虞がある。界面活性剤の含有量が5.0重量%より多い場合には、吐出安定性が低下してしまう虞があるからである。
以上のような構成からなるインクiは、記録紙P上に後に着弾させるインクiが互いに液体状態で先に着弾させるインクiと接した10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上になっている。更に、インクiは、記録紙P上に後に着弾させるインクiが互いに液体状態で先に着弾させるインクiと接した60秒後における拡散距離(L60)が50mm以上になっている。
上述したプリンタ装置では、例えばイエローインク(Y)を記録紙Pに吐出した後、イエローインク(Y)が記録紙Pに着弾して形成した同一のドット上に、マゼンタインク(M)を吐出してレッド(R)を形成する場合、記録紙P上に後から着弾させるマゼンタインク(M)が互いに液体状態で記録紙P上に先に着弾させるイエローインク(Y)に接触した10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上となっている。更に、インクiでは、記録紙P上に後から着弾させるマゼンタインク(M)が互いに液体状態で記録紙P上に先に着弾させるイエローインク(Y)に接触した60秒後における拡散距離(L60)が50mm以上となっている。
インクiは、上述した界面活性剤の種類又は含有量によって拡散速度を調整する。インクiでは、上述した界面活性剤を記録紙P上に先に着弾させるインクi、又は記録紙P上に後に着弾させるインクiのどちらか一方、又は両方に適宜含有させることによって、記録紙P上に後に着弾させるインクiの拡散速度を向上させることができる。なお、インクiでは、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。また、インクiは、界面活性剤の他に、顔料を表面処理することによっても、拡散速度を調整することができる。
ここで、拡散速度係数(Dc)とは、互いに液体状態で、記録紙P上に先に着弾させるイエローインク(Y)に記録紙P上に後に着弾させるマゼンタインク(M)を接触させた際のイエローインク(Y)に対するマゼンタインク(M)の拡散の程度を表すものである。即ち、拡散速度係数(Dc)は、互いに液体状態で、記録紙P上に先に着弾させるインクiに記録紙P上に後に着弾させるインクiを接触させた際の先に着弾させるインクiに対する後に着弾させるインクiの拡散の程度を表すものである。
この拡散速度係数は、図7〜図9に示す測定装置80を用いて求めることができる。測定装置80は、図7に示すように、ガラス板81上にインクiが充填されるハーフチューブ82と、拡散距離を測定する拡散距離計測用定規83とを備えている。ハーフチューブ82は、例えばアラメック株式会社製のハギテックのチューブを用いることができる。このチューブは、ポリプロピレンで形成され、内径2mm、外径4mmである。ハーフチューブ82は、図7〜図9に示すように、チューブをハーフパイプ状にカットし、内径2mm、外径4mm、長さ30cmに形成されている。拡散距離計測用定規83は、ハーフチューブ82の中央部Bが0cmであり、両端に向かって1.0mm間隔で目盛りが付されている。
以上のような構成からなる測定装置80は、次のようにして作製する。先ず、チューブをハーフパイプ状にカットし、長さ30cmに切って形成したハーフチューブ82を作製する。ハーフチューブ82の長さ方向がガラス板81の長辺方向(図7中X方向)と平行となるように両面テープでガラス板81上に固定する。次に、図8に示すように、拡散距離計測用定規83をハーフチューブ82の長さ方向と平行となるようにハーフチューブ4に並設して、測定装置80を作製する。
この測定装置80を用いて10秒後における拡散速度係数(Dc)を求める方法は、先ず、先に記録紙Pに着弾させるイエローインク(Y)をハーフチューブ82にメスピペットでチューブ内の液面が水平となるように0.43ml充填する。なお、イエローインク(Y)は、ハーフチューブ82の長さ方向の両端が開放形になっているが、表面張力によりハーフチューブ82内に保持され、溢れることがない。
次に、後から記録紙Pに着弾させるマゼンタインク(M)をハーフチューブ82の中央部Bにマイクロシリンジで0.02ml滴下する。
次に、マゼンタインク(M)を滴下してから10秒後に、マゼンタインク(M)のX方向へ広がった部分の一方の端部から他方の端部までの距離をハーフチューブ82に並設した拡散距離計測用定規83で測定する。これを3回繰り返し行い、測定した距離の平均値を算出して、平均値を10秒後における拡散距離(L10)とする。
次に、得られた拡散距離(L10)を用いて、計算式1に示すDc=L10(mm)/10(sec)より、10秒後における拡散速度係数を求める。
また、測定装置80を用いて60秒後における拡散距離(L60)を求める方法は、上述した10秒後における拡散距離(L10)と同様に測定する。60秒後における拡散距離(L60)は、先に記録紙Pに着弾させるイエローインク(Y)をハーフチューブ4にメスピペットでチューブ内の液面が水平となるように0.43ml充填する。
次に、後から記録紙Pに着弾させるマゼンタインク(M)をハーフチューブ4の中央部Bにポリエチレン製スポイト等で0.02ml滴下する。
次に、マゼンタインク(M)を滴下してから60秒後に、マゼンタインク(M)のX方向へ広がった部分の一方の端部から他方の端部までの距離をハーフチューブ4に並設した拡散距離計測用定規83で測定する。これを3回繰り返し行い、測定した距離の平均値を算出して、平均値を60秒後における拡散距離(L60)とする。
測定装置80による拡散速度係数(Dc)及び拡散距離(L10)の再現性は、以下のようになった。再現性を確認する際には、ハーフチューブ82にイエローインク(Y)を充填し、マゼンタインク(M)をハーフチューブの中央部Bに滴下して行った。用いるイエローインク(Y)及びマゼンタインク(M)は、以下の実施例4に示すイエローインク(Y1)、マゼンタインク(M4)と同じ組成及び方法により作製した。拡散速度係数(Dc)については、1回目が14.3、2回目が13.6、3回目が14.9となった。これらの拡散速度係数(Dc)の平均値は、14.3である。各回の拡散速度係数(Dc)は、平均値14.3に対して±5%以内である。
また、拡散距離(L60)については、1回目が235mm、2回目が246mm、3回目が236mmとなった。これらの拡散距離の平均値は、239mmである。各回の拡散距離(L60)は、平均値239mmに対して±5%以内である。
インクiは、以上のような測定装置80を用いて、記録紙P上に後から着弾させるマゼンタインク(Y)が互いに液体状態で記録紙P上に先に着弾させるイエローインク(Y)に接触した10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上となっている。更に、インクiでは、記録紙P上に後から着弾させるマゼンタインク(M)が互いに液体状態で記録紙P上に先に着弾させるイエローインク(Y)に接触した60秒後における拡散距離(L60)が50mm以上となっている。
記録紙P上に後から着弾させるマゼンタインク(M)の10秒後における拡散速度係数が8.0以上であるということは、互いに液体状態で記録紙P上に先に着弾させるイエローインク(Y)に接触した直後、後に着弾させるマゼンタインク(M)の拡散速度が速く、マゼンタインク(M)がイエローインク(Y)によく拡散され、イエローインク(Y)とマゼンタインク(M)とがよく混ざり合う。これにより、インクiでは、イエローインク(Y)を記録紙P上に着弾させた後、イエローインク(Y)で形成された同一のドット上にマゼンタインク(M)を着弾させてレッド(R)を形成する場合に、記録紙P上でもイエローインク(Y)とマゼンタインク(M)とが均一に混ざり合い、レッド(R)が色むらなく形成される。
更に、マゼンタインク(M)の60秒後における拡散距離が50mm以上であるということは、互いに液体状態で、マゼンタインク(M)がイエローインク(Y)に接触してしばらくした後であっても、マゼンタインク(M)がイエローインク(Y)によく拡散する。これにより、インクiでは、イエローインク(Y)を記録紙Pに着弾させた後、同一のドット上にマゼンタインク(M)を着弾させてレッド(R)を形成する場合に、イエローインク(Y)とマゼンタインク(M)とがより均一に混ざり合い、色むらの発生をより防止することができる。
インクiでは、互いに液体状態で記録紙P上に後から着弾させるマゼンタインク(Y)が記録紙P上に先に着弾させるイエローインク(Y)に接触した10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上、更に、60秒後における拡散距離(L60)が50mm以上であることから、色むらを防止でき、高品位な多色画像を形成することができる。
また、ここでは、イエローインク(Y)とマゼンタインク(M)との組み合わせを例に挙げて説明したが、このことに限定されず、イエローインク(Y)とシアンインク(C)とを混合してグリーン(G)を形成したり、マゼンタインク(M)とシアンインク(C)とを混合してブルー(B)を形成したり、イエローインク(Y)とマゼンタインク(M)とシアンインク(C)とを混合したブラック(K)を形成する場合も同様に、記録紙P上に後から着弾させるインクiが液体状態で先に着弾させるインクiと接触した10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上、更に、60秒後における拡散距離(L60)が50mm以上である。これにより、これらの場合にも、インクi同士が均一に混ざり合い、色むらの発生を防止することができる。
なお、上述では、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)、ブランクインク(K)の順で吐出することを説明したが、色の吐出順序は限定されず、記録紙Pに後に吐出されるインクiが液体状態で先に着弾させるインクiと接触した10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上、更に、60秒後における拡散距離(L60)が50mm以上となっていれば、同様な効果が得られる。
以上のことから、インクiは、上述したライン型のプリンタ装置1に用いられ、記録紙Pの幅方向に並設されたノズル32aのノズルライン毎に吐出されて、隣接するドット間隔が狭く、発熱抵抗体31aの駆動周波数が9kHz以上で、記録紙Pの搬送速度が49.5mm/sec以上であり、次の色のインクiとの吐出間隔が短くても、記録紙P上に後から着弾させたインクiが先に着弾されたインクiに接触後、速やかに拡散し、しばらくした後であってもよく拡散するため、色むらが防止され、高品位な画像を形成することができる。
以上では、本発明の一例としてプリンタ装置について説明したが、このことに限定されず、他の液体吐出装置に広く適用することが可能である。例えばファクシミリやコピー機等にも適用可能である。
また、上述したプリンタ装置1では、ライン型のプリンタ装置を例に挙げて説明したが、このことに限定されることはなく、例えばヘッドカートリッジが記録紙Pの幅方向に移動するシリアル型のプリンタ装置においても適用可能である。シリアル型のプリンタ装置では、マルチパス印字及びシングルパス印字であっても、上述した色むらを防止することができる。
また、上述したプリンタ装置1では、発熱抵抗体31aによってインクiを加熱し、ノズル32aからインクiを吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えばピエゾ素子といった圧電素子等の電気機械変換素子等によってインクiを電気機械的にノズルより吐出させる電気機械変換方式(特開昭55−65559号公報、特開昭62−160243号公報、特開平2−270561号公報)を採用したものであってもよい。
また、上述したプリンタ装置1では、1つの発熱抵抗体31aがインクiを加熱して吐出するインク吐出ヘッド23を例に挙げて説明したが、このような構造に限定されることはなく、1つノズル32aに対して複数の圧力発生素子を備え、各圧力発生素子に異なるエネルギー又は異なるタイミングでエネルギーを供給することで吐出方向を制御することが可能な吐出手段を備えるプリンタ装置にも適用可能である。
以下に、比較例及び実施例を挙げて本発明を適用したインクについて説明する。
先ず、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の顔料分散液を作製し、この顔料分散液を用いてイエローインク、マゼンタインク、シアンインクを作製した。作製した3色のインクのうち、2色のインクを選択して実施例及び比較例のインクを作製した。
〈イエロー分散液〉
イエローの顔料を用いたイエロー分散液は、顔料としてC.I. Pigment Yellow 128を15重量%、スチレンアクリル共重合体(ジョンソンポリマー株式会社製、商品名ジョンクリル57)を3重量%、純水を82重量%となるように、混合し、ペイントシェーカー(メディアはジルコニア1mm径、メディア充填率70%)で分散し遠心分離機にて粗大粒子を除去して作製した。
〈マゼンタ分散液〉
マゼンタの顔料を用いたマゼンタ分散液は、顔料としてC.I. Pigment Red 122(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製、商品名DMQ)を15重量%、スチレン−アクリル酸(第一工業製薬株式会社製、商品名JP91−010)を5重量%、純水を80重量%となるように、混合し、ペイントシェーカー(メディアはジルコニア1mm径、メディア充填率70%)で分散し遠心分離機にて粗大粒子を除去して作製した。
〈シアン分散液〉
シアンの顔料を用いたシアン分散液は、顔料としてC.I. Pigment Blue 15:3(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製、商品名Blue8700)を15重量%、スチレン−マレイン酸(第一工業製薬株式会社製、商品名KS140)を3重量%、純水を82重量%となるように、混合し、ペイントシェーカー(メディアはジルコニア1mm径、メディア充填率70%)で分散し遠心分離機にて粗大粒子を除去して作製した。
以上のようにして作製した3色の分散液のうちイエロー分散液及びマゼンタ分散液を用いて、実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例3のインクを作製した。
〈実施例1〉
実施例1では、イエローインク(Y1)及びマゼンタインク(M1)を作製した。先ず、次のようにしてイエローインク(Y1)を作製した。イエローインク(Y1)を作製する際には、イエロー分散液を20重量%、プロピレングリコールを10重量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを1.0重量%、界面活性剤として下記の化学式1に示すポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=5である。)を1.0重量%、純水を68重量%となるように混合し、十分に攪拌して3μmフィルターを用いて濾過して、イエローインク(Y1)を作製した。
Figure 2007002069
次に、マゼンタインク(M1)を作製した。マゼンタインク(M1)を作製する際には、マゼンタ分散液を20重量%、プロピレングリコールを15重量%、界面活性剤として化学式1に示すポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=3である。)を0.2重量%、純水を64.8重量%となるように混合し、十分に攪拌して3μmフィルターを用いて濾過して、マゼンタインク(M1)を作製した。
〈実施例2〉
実施例2では、イエローインク(Y1)及びマゼンタインク(M2)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
マゼンタインク(M2)は、次にようにして作製した。マゼンタインク(M2)を作製する際は、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=1である。)を0.1重量%、純水を64.9重量%となるようにしたこと以外に実施例1のマゼンタインク(M1)と同様にしてマゼンタインク(M2)を作製した。
〈実施例3〉
実施例3では、イエローインク(Y1)及びマゼンタインク(M3)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
マゼンタインク(M3)は、次にようにして作製した。マゼンタインク(M3)を作製する際は、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C4081であり、n=5である。)を0.2重量%、純水を64.8重量%となるようにしたこと以外に実施例1のマゼンタインク(M1)と同様にしてマゼンタインク(M3)を作製した。
〈実施例4〉
実施例4では、イエローインク(Y1)及びマゼンタインク(M4)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
マゼンタインク(M4)は、次にようにして作製した。マゼンタインク(M4)を作製する際は、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1021であり、n=3である。)を0.2重量%、純水を64.8重量%となるようにしたこと以外に実施例1のマゼンタインク(M1)と同様にしてマゼンタインク(M4)を作製した。
〈比較例1〉
比較例1では、イエローインク(Y1)及びマゼンタインク(M5)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
マゼンタインク(M5)は、次にようにして作製した。マゼンタインク(M5)を作製する際は、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=9である。)を1.5重量%、純水を63.5重量%となるようにしたこと以外に実施例1のマゼンタインク(M1)と同様にしてマゼンタインク(M5)を作製した。
〈比較例2〉
比較例2では、イエローインク(Y1)及びマゼンタインク(M6)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
マゼンタインク(M6)は、次にようにして作製した。マゼンタインク(M6)を作製する際は、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=9である。)を1.0重量%、純水を64重量%となるようにしたこと以外に実施例1のマゼンタインク(M1)と同様にしてマゼンタインク(M6)を作製した。
〈比較例3〉
比較例3では、イエローインク(Y1)及びマゼンタインク(M7)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
マゼンタインク(M7)は、次にようにして作製した。マゼンタインク(M7)を作製する際は、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=9である。)を0.5重量%、純水を64.5重量%となるようにしたこと以外に実施例1のマゼンタインク(M1)と同様にしてマゼンタインク(M7)を作製した。
以下の表1に、実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例3のマゼンタインク(M1)〜(M7)についてまとめたものを示す。
Figure 2007002069
また、上述したように作製したイエロー分散液及びシアン分散液を用いて、実施例5〜実施例8及び比較例4〜比較例6のインクを作製した。
〈実施例5〉
実施例5では、イエローインク(Y1)及びシアンインク(C1)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
シアンインク(C1)は、次のようにして作製した。シアンインク(C1)を作製する際には、シアン分散液を15重量%、プロピレングリコールを10重量%、2−ピロリドンを8.0重量%、界面活性剤として化学式1に示すポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=3である。)を0.2重量%、純水を66.8重量%となるように混合し、十分に攪拌して3μmフィルターを用いて濾過して、シアンインク(C1)を作製した
〈実施例6〉
実施例6では、イエローインク(Y1)及びシアンインク(C2)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
シアンインク(C2)は、次のようにして作製した。シアンインク(C2)を作製する際には、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=1である。)を0.1重量%、純水を66.9重量%となるようにしたこと以外に実施例5のシアンインク(C1)と同様にしてシアンインク(C2)を作製した。
〈実施例7〉
実施例7では、イエローインク(Y1)及びシアンインク(C3)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
シアンインク(C3)は、次のようにして作製した。シアンインク(C3)を作製する際には、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C4081であり、n=5である。)を0.2重量%、純水を66.8重量%となるようにしたこと以外に実施例5のシアンインク(C1)と同様にしてシアンインク(C3)を作製した。
〈実施例8〉
実施例8では、イエローインク(Y1)及びシアンインク(C4)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
シアンインク(C4)は、次のようにして作製した。シアンインク(C4)を作製する際には、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1021であり、n=3である。)を0.2重量%、純水を66.8重量%となるようにしたこと以外に実施例5のシアンインク(C1)と同様にしてシアンインク(C4)を作製した。
〈比較例4〉
比較例4では、イエローインク(Y1)及びシアンインク(C5)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
シアンインク(C5)は、次のようにして作製した。シアンインク(C5)を作製する際には、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=9である。)を1.5重量%、純水を65.5重量%となるようにしたこと以外に実施例5のシアンインク(C1)と同様にしてシアンインク(C5)を作製した。
〈比較例5〉
比較例5では、イエローインク(Y1)及びシアンインク(C6)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
シアンインク(C6)は、次のようにして作製した。シアンインク(C6)を作製する際には、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=9である。)を1.0重量%、純水を66.0重量%となるようにしたこと以外に実施例5のシアンインク(C1)と同様にしてシアンインク(C6)を作製した。
〈比較例6〉
比較例6では、イエローインク(Y1)及びシアンインク(C7)を作製した。イエローインク(Y1)は、実施例1のイエローインク(Y1)と同じである。
シアンインク(C7)は、次のようにして作製した。シアンインク(C7)を作製する際には、界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(式中において、R=C1225であり、n=9である。)を0.5重量%、純水を66.5重量%となるようにしたこと以外に実施例5のシアンインク(C1)と同様にしてシアンインク(C7)を作製した。
以下の表2に、実施例5〜実施例8及び比較例4〜比較例6のシアンインク(C1)〜(C7)についてまとめたものを示す。
Figure 2007002069
また、上述したように作製したマゼンタインク(M4)及び(M5)、シアンインク(C1)及び(C2)、(C4)を用いて、実施例9〜実施例11及び比較例7〜比較例9のインクを作製した。なお、マゼンタインク(M4)及び(M5)、シアンインク(C1)及び(C2)、(C4)は、上述した比較例及び実施例で作製したマゼンタインク(M4)及び(M5)、シアンインク(C1)及び(C2)、(C4)と同じ方法で作製した。
〈実施例9〉
実施例9では、マゼンタインク(M4)及びシアンインク(C1)を作製した。
〈実施例10〉
実施例10では、マゼンタインク(M4)及びシアンインク(C2)を作製した。
〈実施例11〉
実施例11では、マゼンタインク(M4)及びシアンインク(C4)を作製した。
〈比較例7〉
比較例7では、マゼンタインク(M5)及びシアンインク(C1)を作製した。
〈比較例8〉
比較例8では、マゼンタインク(M5)及びシアンインク(C2)を作製した。
〈比較例9〉
比較例9では、マゼンタインク(M5)及びシアンインク(C4)を作製した。
以上のようにして作製した実施例1〜実施例11及び比較例1〜比較例9のインクについて、10秒後における拡散速度係数(Dc)を上述した測定装置80及び拡散速度係数(Dc)を求める計算式1を用いて求め、60秒後における拡散距離(L60)についても測定装置80を用いて測定した。実施例1〜実施例11及び比較例1〜比較例9のインクの拡散速度係数(Dc)及び拡散距離(L60)について表3〜表5に示す。
Figure 2007002069
Figure 2007002069
Figure 2007002069
次に、実施例1〜実施例11及び比較例1〜比較例9のインクを用いて、色むらの評価を行った。色むらの評価については、次のように行った。先ず、上述したライン型のプリンタ装置(解像度600dpi)のインクタンクに実施例1〜実施例11及び比較例1〜比較例9のインクを充填した。そして、被記録媒体として写真光沢紙(ソニー株式会社製 商品名EPP−20A4GP)に、解像度600×600dpi、ヘッド駆動周波数が9kHz、紙送り速度が49.5mm/secの条件で階調パターンの印刷を行った。実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例3では、イエローインク(Y1)を写真光沢紙に先に吐出させ、イエローインク(Y1)により形成された同一のドット上に、マゼンタインク(M1)〜(M7)を写真光沢紙に吐出させた。実施例5〜実施例8及び比較例4〜比較例6では、イエローインク(Y1)を写真光沢紙に先に吐出させ、イエローインク(Y1)により形成された同一のドット上に、シアンインク(C1)〜(C7)を写真光沢紙に吐出させた。実施例9〜実施例11及び比較例7〜比較例9では、マゼンタインク(M4)、(M5)を写真光沢紙に先に吐出させ、マゼンタインク(M4)、(M5)により形成された同一のドット上に、シアンインク(C1)、(C2)、(C4)を写真光沢紙に吐出させた。
階調パターンを印刷する際には、写真光沢紙に後に吐出させるインクの吐出量を1〜8の段階的に変化させて、8段階の濃度階調性を確認した。各階調における1ドット毎のインクの液滴量は表6に記載のとおりである。
Figure 2007002069
各実施例及び比較例のインクを用いて各階調の色むらを目視により、5段階評価を行った。評価結果を表3〜表5に示す。色むらを評価基準は、各諧調に色むらが発生していない場合には、表3〜表5中に○印で示し、7〜8階調の高印字濃度領域にのみ色むらが確認された場合には、△印で示し、5〜6階調の中間印字濃度領域より色むらが確認された場合には、▲印で示し、3〜4階調の低印字濃度領域に色むらが確認された場合には、×印で示し、3〜4階調の低印字濃度領域に色むらが確認され且つ高印字濃度領域で色のはじきが確認された場合には、××印で示した。
表3〜表5に示す結果から、実施例1〜実施例11のインクは、比較例1〜9のインクと比べて色むらが防止又は抑制されている。
比較例1〜比較例3では、写真光沢紙に後に吐出させるマゼンタインク(M5)〜(M7)に含有されている界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるnが9であり、5よりも大きく、10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0よりも小さくなっている。また、比較例1及び比較例3では、60秒後における拡散距離(L60)が50mmよりも小さくなっている。これにより、比較例1〜比較例3では、マゼンタインク(M5)〜(M7)がイエローインク(Y1)に接触した直後、十分に拡散せず、接触してからも十分に拡散しないため、インク同士が混じり合わず、3〜4階調の低印字濃度領域で色むらが生じ、色のはじきも生じた。
また、比較例4〜比較例6では、写真光沢紙に後に吐出させるシアンインク(C5)〜(C7)に含有されているポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるnが9であり、5よりも大きく、拡散速度係数(Dc)が8.0よりも小さくなっている。これにより、比較例4〜比較例6では、シアンインク(C5)〜(C7)がイエローインク(Y1)に接触した直後、十分に拡散しないため、インク同士が混じり合わず、3〜4階調の低印字濃度領域で色むらが生じ、色のはじきも生じた。
また、比較例7〜比較例9では、写真光沢紙に先に吐出させるマゼンタインク(M5)に含有されているポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるnが9であり、5よりも大きく、10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0よりも小さくなっている。また、比較例7〜比較例8では、60秒後における拡散距離(L60)が50mmよりも小さくなっている。これにより、比較例7〜比較例9では、マゼンタインク(M5)とシアンインク(C1)、(C2)、(C4)が接触した直後、十分に拡散せず、接触してからも十分に拡散しないため、インク同士が混じり合わず、5〜6階調の低印字濃度領域で色むらが生じ、色のはじきも生じた。
これらの比較例に対して、実施例1〜実施例8では、イエローインク(Y1)、マゼンタインク(M1)〜マゼンタインク(M4)、シアンインク(C1)〜シアンインク(C4)に含有されている界面活性剤に化学式1に示すポリオキシエチレンアルキルエーテルを用い、化学式1中のnが1≦n≦5であり、拡散速度係数(Dc)が8.0以上であり、更に拡散距離(L60)が50mm以上となっている。これにより、実施例1〜実施例8では、写真光沢紙に後に吐出するマゼンタインク(M1)〜マゼンタインク(M4)やシアンインク(C1)〜シアンインク(C4)が写真光沢紙に先に吐出したイエローインク(Y1)によく拡散し、インク同士が混ざり合うため、各階調で色むらが発生せず、色むらが発生しても高印字濃度領域のみで色むらが生じ、色むらの発生が抑制された。
また、同様に、実施例9〜実施例11でも、写真光沢紙に先に吐出したマゼンタインク(M4)に、後に吐出させたシアンインク(C1)、(C2)、(C4)がよく拡散し、インク同士が混ざり合うため、各階調で色むらが発生せず、色むらが発生しても高印字濃度領域のみで色むらが生じ、色むらの発生が抑制された。
また、実施例1〜実施例11に示すように、各インクの拡散速度係数(Dc)が8.0以上であり、さらに拡散距離(L60)が50mm以上であることは、ライン型のプリンタ装置のように、異なる色のインクの吐出間隔が短くても、インク同士が混じり合い、高印字濃度領域であっても色むらを防止することができる。
また、実施例1〜実施例11に示すように、拡散速度係数(Dc)が8.0以上で、更に拡散距離(L60)が50mm以上となっているインクを用いることによって、色むらが顕著に発生しやすい写真画質用光沢紙であっても、色むらの発生を防止又は抑制することができる。
プリンタ装置の一例を示す斜視図である。 同プリンタ装置に装着されるヘッドカートリッジの一例を示す斜視図である。 同ヘッドカートリッジを示す断面図である。 同ヘッドカートリッジに設けられたインク吐出ヘッドの一例を示し、同図(A)は発熱抵抗体に気泡が発生した状態を模式的に示す断面図であり、同図(B)はノズルよりインクを吐出した状態を模式的に示す断面図である。 同プリンタ装置の一部を透視して示す側面図である。 同プリンタ装置の制御回路を模式的に示すブロック図である。 拡散距離を測定する測定装置の斜視図である。 同測定装置の平面図である。 同測定装置の断面図である。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ装置、2 ヘッドカートリッジ、3 装置本体、11 インクカートリッジ、21 カートリッジ本体、23 インク吐出ヘッド、31 回路基板、31a 発熱抵抗体、32 ノズルシート、32 ノズル、33 フィルム、34 インク流路、35 インク液室、80 測定装置、81 ガラス板、82 ハーフチューブ、83 拡散距離計測用定規

Claims (11)

  1. 色材と、この色材を分散又は溶解させる水及び水溶性有機溶媒を含む溶媒と、界面活性剤とを含有し、上記被記録媒体に先に着弾させる記録液と液体状態で接触した際に、下記の計算式1より求められる10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上であることを特徴とする記録液。
    Figure 2007002069
  2. 上記被記録媒体に先に着弾させる記録液と液体状態で接触した60秒後における拡散距離が50mm以上であることを特徴とする請求項1記載の記録液。
  3. 下記の化学式1に示す界面活性剤が含有されていることを特徴とする請求項2記載の記録液。
    Figure 2007002069
  4. 色材と、この色材を分散又は溶解させる水及び水溶性有機溶媒を含む溶媒と、界面活性剤とを含有し、被記録媒体に先に着弾させる記録液と液体状態で接触した際に、下記の計算式1より求められる10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上である記録液が収容された記録液カートリッジ。
    Figure 2007002069
  5. 上記記録液は、上記被記録媒体に先に着弾させる記録液と液体状態で接触した60秒後における拡散距離が50mm以上であることを特徴とする請求項4記載の記録液カートリッジ。
  6. 上記記録液には、下記の化学式1に示す界面活性剤が含有されていることを特徴とする請求項5記載の記録液カートリッジ。
    Figure 2007002069
  7. 記録液の微小な液滴を記録信号に応じて複数の吐出口から吐出させ、被記録媒体に付着させて記録を行う記録方法において、
    色材と、この色材を分散又は溶解させる水及び水溶性有機溶媒を含む溶媒と、界面活性剤とを含有し、被記録媒体に先に着弾させる記録液と液体状態で接触した際に、下記の計算式1より求められる10秒後における拡散速度係数(Dc)が8.0以上である記録液を用いて、上記被記録媒体に記録を行うことを特徴とする記録方法。
    Figure 2007002069
  8. 上記記録液は、上記被記録媒体に先に着弾させる記録液と液体状態で接触した60秒後における拡散距離が50mm以上であることを特徴とする請求項7記載の記録方法。
  9. 上記記録液には、下記の化学式1に示す界面活性剤が含有されていることを特徴とする請求項8記載の記録方法。
    Figure 2007002069
  10. 上記吐出口がライン状に並設されていることを特徴とする請求項7記載の記録方法。
  11. 上記記録液を上記吐出口から駆動周波数9kHz以上で吐出し、被記録媒体の搬送速度を49.5mm/sec以上にして記録を行うことを特徴とする請求項7記載の記録方法。
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