JP2007000902A - 圧延鋼材のガス切断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】形鋼のような圧延鋼材の変形を抑制しながら安全に条切り切断を行う圧延鋼材のガス切断方法を提供する。
【解決手段】酸水素ガスに対して酸水素ガスが爆発下限界未満の濃度となるよう炭化水素ガスを混合した混合ガスを燃焼ガスとし、上記燃焼ガスを燃焼させた切断用加熱炎を切断火口3から噴出させ、上記切断用加熱炎により切断対象である圧延鋼材5を長手方向に溶断する際に、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、形鋼のような圧延鋼材の条切り切断を行う圧延鋼材のガス切断方法に関するものである。
従来から、H形鋼等の圧延鋼材は、長手方向に条切りしてCT鋼にして用いられることがある。このような圧延鋼材の条切りには、従来からガス切断による溶断が行われており、ガス切断としては、通常LPG等を燃料にした火炎切断が行われている。
一方、圧延鋼材の条切りにおいては、圧延鋼材が残留応力を有するために、条切り後に切断した条に横曲がり(キャンバー)が発生するという問題がある。
すなわち、近年、圧延鋼板の製造プロセスにおいて、制御圧延した鋼板を強水冷することで高強度、高靱性の鋼板を得る加速冷却圧延が広く行われている。このような加速冷却は、冷却水の水量密度、鋼板の表面温度、スケール厚など、鋼板の表面性状のわずかな不均一要因が鋼板に大きな温度むらを生じさせることになる。このような温度むらが生じると、鋼板の製造時に残留応力が発生し、条切り後にキャンバーが発生するのである。
また、加熱から圧延、水冷、矯正、空冷等の各過程の板幅方向の各位置における温度履歴のわずかな差も、鋼板の降伏応力にばらつきを生じさせる。その結果、溶断時の入熱にともない発生する残留応力が条の両端で非対称となり、キャンバーが発生する。
これらのような残留応力に伴うキャンバーは、特に、異型断面の形鋼において顕著であり、H形鋼等の圧延鋼材を条切りする際にキャンバーをできるだけ押さえることが望まれている。そこで、鋼材を予熱したり燃焼ガスの流量を制御したりすることによりキャンバーを抑制することが試みられている。
ここで、ガス切断方法に関する先行技術として出願人が把握しているものとして下記の特許文献1および2を提示する。
特許第3563660号 特開2003−251463号
しかしながら、通常のガス切断を行っただけでは、上述したようなキャンバーが発生してしまい、矯正に多大な時間とコストが必要となる。また、LPGによる切断では、LPGのカロリーが高いことから、流量の微妙なコントロールが困難で、入熱量を制御してキャンバーを防止することが極めて行いにくい。また、カロリーの低い酸水素ガスを用いた切断も検討されているが、酸水素ガス自体が爆発性ガスであるため、安全性の面で好ましくない。しかも、入熱量の制御は、残留応力の事前測定等の作業が必要であり、非常に手間がかかるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、形鋼のような圧延鋼材の変形を抑制しながら安全に条切り切断を行う圧延鋼材のガス切断方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の圧延鋼材のガス切断方法は、酸水素ガスに対して酸水素ガスが爆発下限界未満の濃度となるよう炭化水素ガスを混合した混合ガスを燃焼ガスとし、上記燃焼ガスを燃焼させた切断用加熱炎を切断火口から噴出させ、上記切断用加熱炎により切断対象である圧延鋼材を長手方向に溶断することを要旨とする。
また、本発明の第2の圧延鋼材のガス切断方法は、燃焼ガスを燃焼させた切断用加熱炎を切断火口から噴出させ、上記切断用加熱炎により切断対象である圧延鋼材を長手方向に溶断する圧延鋼材のガス切断方法であって、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断することを要旨とする。
本発明の第1の圧延鋼材のガス切断方法は、上記燃焼ガスは、LPGに比べてカロリーが低い酸水素ガスを主成分とすることから、流量のコントロールにより入熱量を制御してキャンバーを防止することが比較的容易になる。したがって、キャンバーを抑制してその矯正に要する時間とコストを大幅に節減することが可能となる。また、上記燃焼ガスは、酸水素ガスに対して酸水素ガスが爆発下限界未満の濃度となるよう炭化水素ガスが混合されていることから、燃焼ガスの爆発の危険が大幅に低下し、安全性が高まるとともに、防爆設備の準備も不要となって設備コストを大幅に低下させることができる。
本発明において、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断する場合には、キャンバーを大幅に低減することが可能となる。この理由は定かではないがつぎのように考えることができる。すなわち、切断箇所は溶融点以上の高温に達しその近傍も局部的に溶融点近くまで温度が上昇するが、その状態から急激に冷却されると、急冷による残留応力のためにキャンバーが発生したりキャンバーが残留したりするが、切断箇所の近傍を後加熱しながら切断することにより、局部的に高温に達した切断箇所とその近傍の冷却速度が遅くなり、急冷に伴う残留応力と結晶の歪みを緩和することにより、キャンバーが抑制されると考えられる。また、切断箇所の後方を後加熱しながら切断を進めるため、切断前に鋼材にあった残留応力が切断過程において開放されることから、切断により分割されたときの残留応力によるキャンバーが緩和される。このように、後加熱しながら切断することによりキャンバーを抑制することから、従来のような入熱量の制御や残留応力の事前測定等の作業が不要になり、極めて簡素な作業でキャンバーを抑制することができるのである。
本発明において、上記切断用加熱炎による切断前に切断予定箇所の近傍を予備加熱しながら切断する場合には、切断箇所の前方を予備加熱しながら切断を進めるため、切断前に鋼材にあった残留応力が切断過程において開放されることから、切断により分割されたときの残留応力によるキャンバーが緩和される。このように、予備加熱しながら切断することによりキャンバーを抑制することから、従来のような入熱量の制御や残留応力の事前測定等の作業が不要になり、極めて簡素な作業でキャンバーを抑制することができるのである。
本発明において、上記圧延鋼材が形鋼である場合には、異型断面の形鋼においては、圧延時の冷却むら等に起因する残留応力のむらが大きく、大きなキャンバーが生じる傾向にあるため、本発明によりキャンバーを緩和する効果が顕著で効果的である。
本発明において、上記形鋼がH形鋼であり、上記切断用加熱炎によりH形鋼のウェブ部分を切断する場合には、H形鋼においては、圧延時の冷却むら等に起因する残留応力のむらが大きく、大きなキャンバーが生じる傾向にあるため、本発明によりキャンバーを緩和する効果が顕著で効果的である。
また、本発明の第2の圧延鋼材のガス切断方法は、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断するため、キャンバーを大幅に低減することが可能となる。この理由は定かではないがつぎのように考えることができる。すなわち、切断箇所は溶融点以上の高温に達しその近傍も局部的に溶融点近くまで温度が上昇するが、その状態から急激に冷却されると、急冷による残留応力のためにキャンバーが発生したりキャンバーが残留したりするが、切断箇所の近傍を後加熱しながら切断することにより、局部的に高温に達した切断箇所とその近傍の冷却速度が遅くなり、急冷に伴う残留応力と結晶の歪みを緩和することにより、キャンバーが抑制されると考えられる。また、切断箇所の後方を後加熱しながら切断を進めるため、切断前に鋼材にあった残留応力が切断過程において開放されることから、切断により分割されたときの残留応力によるキャンバーが緩和される。このように、後加熱しながら切断することによりキャンバーを抑制することから、従来のような入熱量の制御や残留応力の事前測定等の作業が不要になり、極めて簡素な作業でキャンバーを抑制することができるのである。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明の厚板圧延鋼材のガス切断方法に用いる装置を示す構成図である。
この装置は、燃焼ガスを発生する燃焼ガス発生装置20と、上記燃焼ガスによって切断対象である厚板圧延鋼材5の溶断を行う溶断装置21とを備えて構成されている。
上記燃焼ガス発生装置20は、酸水素ガス発生器1と、LPG等の炭化水素ガスが充填されたボンベ2とを含んで構成され、酸水素ガス発生器1で発生された酸水素ガス(酸素と水素の混合ガスであり、この例では比率1:2である)と、炭化水素ガスとの混合ガスである燃焼ガスを生成する。
上記酸水素ガス発生器1は、水の電気分解によりガスを発生させる電解セル7と、上記電解セル7が接続されて電解セル7で電気分解された水素と酸素の混合状態のガスおよび水を貯留する電解タンク6とから構成されている。
上記電解セル7は、両極に直流電流が与えられることにより内部の水あるいは他から供給される水や水蒸気を電気分解し、酸素と水素の混合気体である酸水素ガスを電解タンク6内に発生させる。上記電解タンク6と電解セル7は循環路で接続されており、電解タンク6内の水を循環路を介して電解セル7に供給して循環させるようになっている。23は電解タンク6内に水を供給する水供給路23である。
上記酸水素ガス発生器1には、ボンベ2から取出されたLPG等の炭化水素ガスが導入され、酸水素ガス発生器1で発生した酸水素ガスと炭化水素ガスとが混合される。ボンベ2の炭化水素ガスは流量調節器8で所定流量が酸水素ガス発生器1内に導入され、所定の混合割合で酸水素ガスと混合されて燃焼ガスとする。上記酸水素ガス発生器1内で混合されて得られた燃焼ガスは流路調節器9で所定流量が取り出され、切断火口3および加熱火口4に供給される。
上記酸水素ガスと炭化水素ガスの混合比率は、酸水素ガスに対して酸水素ガスが爆発下限界未満の濃度となるよう炭化水素ガスが混合される。上記混合比率は、炭化水素ガスの種類に応じて適宜設定されるが、具体的には、プロパンガスの場合で酸水素ガスに対して21容量%以上の炭化水素ガスを混合し、プロピレンガスの場合で26容量%以上、都市ガスの場合で32容量%以上、メタンガスの場合で33.5容量%以上、ブタンガスの場合で24.2容量%以上、エチレンガスの場合で58容量%以上、それぞれ混合して燃焼ガスとする。なお、ここにあげた値は理論値であり、実際にはこれらより若干炭化水素量が低い値をとるので、その限界値を含む趣旨である。
ここで、上記炭化水素ガスとしては、上述したものに限定する趣旨ではなく、エタンガスや天然ガス等、各種の炭化水素ガスを用いることができる。
上記溶断装置21は、厚板圧延鋼材5を溶断するための切断火口3を有する切断バーナ17と、厚板圧延鋼材5の切断箇所近傍を加熱するための2つの加熱火口4を有する加熱バーナ18とを備えて構成されている。上記切断バーナ17および加熱バーナ18には、それぞれ流量調節器24,25が接続され、燃焼ガスを溶断や加熱にとって適切な流量で供給しうるようになっている。
図2は、切断対象部材である形鋼等の厚板圧延鋼材5の一例であるH形鋼10を示す図である。H形鋼10は、2つのフランジ12を中央のウェブ11が連結して断面H字状の条鋼である。そして、本発明では、上記燃焼ガスを燃焼させた切断用加熱炎を切断火口3から噴出させ、上記切断用加熱炎により切断対象である厚板圧延鋼材5を長手方向に溶断して条切りを行うのであり、上記H形鋼10の場合は、上記ウェブ11の中央部を長手方向に溶断することが行われる。
そして、本発明では、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断したり、上記切断用加熱炎による切断前に切断予定箇所の近傍を予備加熱しながら切断したりすることが行われる。
図3は、厚板圧延鋼材5としてH形鋼10を切断するときの後加熱や予備加熱の状態を図示したものである。
図3(A)は、上記ガス切断装置により、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断する状態を示したものである。
図は、H形鋼10のウェブ11の中央を長手方向に溶断する状態を示しており、図において、切断箇所13は切断火口3による火炎が噴射される箇所であり、2つの後加熱箇所14は、2つの加熱火口4による火炎が噴射される箇所である。そして、切断火口3が切断方向Cの前方に配置され、切断火口3より所定距離L1だけ後方に2つの加熱火口4が配置されている。上記2つの加熱火口4は、切断火口3で溶断された溶断線16の両側にそれぞれ配置され、ウェブ11の中央(すなわち溶断線16の中央)から等距離M1を保つ位置に配置されている。
したがって、上記切断火口3と2つの加熱火口4は、切断火口3を切断方向Cの最前位置とした2等辺三角形を呈するように配置されている。ここで、切断火口3と加熱火口4との距離L1、加熱火口4と中央線との距離M1とは、切断するH形鋼の寸法規格や切断条件により適宜設定することができる。
そして、切断火口3と2つの加熱火口4を上述した位置関係を維持した状態で、切断方向Cに向かって移動させることにより、切断火口3による切断箇所13の溶断と、切断後の溶断線16の両側部分の後加熱を行うことができる。
図3(B)は、上記ガス切断装置により、上記切断用加熱炎による切断前に切断予定箇所の近傍を予備加熱しながら切断する状態を示したものである。
図は、H形鋼10のウェブ11の中央を長手方向に溶断する状態を示しており、図において、切断箇所13は切断火口3による火炎が噴射される箇所であり、2つの予備加熱箇所15は、2つの加熱火口4による火炎が噴射される箇所である。そして、切断火口3が切断方向の後方に配置され、切断火口3より所定距離L2だけ前方に2つの加熱火口4が配置されている。上記2つの加熱火口4は、切断火口3で溶断する溶断予定線(ウェブ11の中央線)の両側にそれぞれ配置され、ウェブ11の中央(すなわち溶断予定線の中央)から等距離M2を保つ位置に配置されている。
したがって、上記切断火口3と2つの加熱火口4は、切断火口3を切断方向Cの最後位置とした2等辺三角形を呈するように配置されている。ここで、切断火口3と加熱火口4との距離L2、加熱火口4と中央線との距離M2とは、切断するH形鋼の寸法規格や切断条件により適宜設定することができる。
そして、切断火口3と2つの加熱火口4を上述した位置関係を維持した状態で、切断方向Cに向かって移動させることにより、切断前の溶断予定線の両側部分の予備加熱と、切断火口3による切断箇所13の溶断とを行うことができる。
図3(C)は、上記切断用加熱炎による切断前に切断予定箇所の近傍を予備加熱するとともに、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断する状態を示したものである。この場合、上記切断装置では、2つの加熱火口4を有する加熱バーナ18を2つ備えたガス切断装置で切断が行われる。
図は、H形鋼10のウェブ11の中央を長手方向に溶断する状態を示しており、図において、切断箇所13は切断火口3による火炎が噴射される箇所であり、2つの予備加熱箇所15は、2つの予熱用の加熱火口4による火炎が噴射される箇所である。また、2つの後加熱箇所14は、2つの後加熱用の加熱火口4による火炎が噴射される箇所である。
そして、切断火口3より所定距離L2だけ前方に2つの予熱用の加熱火口4が配置され、切断火口3より所定距離L1だけ後方に2つの後加熱用の加熱火口4が配置されている。上記予熱用の加熱火口4および後加熱用の加熱火口4は、切断火口3で溶断する溶断予定線(ウェブ11の中央線,溶断線16)の両側にそれぞれ配置され、ウェブ11の中央から等距離M1,M2を保つ位置に配置されている。
したがって、上記切断火口3と2つの予熱用の加熱火口4は、切断火口3を頂点とする2等辺三角形を呈するように配置され、上記切断火口3と2つの後加熱用の加熱火口4も切断火口3を頂点とする2等辺三角形を呈するように配置されている。ここで、上記距離L1,L2,M1,M2は、切断するH形鋼の寸法規格や切断条件により適宜設定することができる。
そして、切断火口3と2つの予熱用の加熱火口4および2つの後加熱用の加熱火口4を上述した位置関係を維持した状態で、切断方向Cに向かって移動させることにより、切断前の溶断予定線の両側部分の予備加熱と、切断火口3による切断箇所13の溶断と、切断後の溶断線16の両側部分の後加熱を行うことができる。
つぎに、実施例について説明する。
図4に示すように、所定のH形鋼について、下記の条件でウェブ11の中央を長手方向に溶断し、最大歪みとキャンバ率、歪み方向の測定を行った。最大歪みは、図4(A)に示すように、湾曲した条切り鋼のフランジ12において両端部を結ぶ線から、フランジ12が最大ずれた距離である。また、キャンバ率は、最大歪み/H形鋼の長さにより算出した。また、歪み方向は、図4(B)に示すように、条切り鋼のウェブ11側が膨らむのをA、反対に、フランジ12側が膨らむのをBとした。
(1)まず、燃焼ガスとしてLPGを使用し、予備加熱および後加熱をしないで切断した。切断対象はウェブ12t×700mm、フランジ23t×300mm、全長13000mmのH形鋼とし、上記燃焼ガスを5リットル/分の流量で使用し、切断速度を390mm/分とした。
このときの最大歪みは115mm、キャンバ率は0.88%、ひずみ方向はAであった。その結果を下記の表1に示す。
Figure 2007000902
(2)つぎに、燃焼ガスとして酸水素ガス+22%LPGの混合ガスを使用し、予備加熱および後加熱をしないで切断した。切断対象はウェブ15t×700mm、フランジ25t×300mm、全長13000mmのH形鋼とし、上記燃焼ガスを8リットル/分の流量で使用し、切断速度を250mm/分とした。
このときの最大歪みは90mm、キャンバ率は0.69%、ひずみ方向はAであった。その結果を下記の表2に示す。この結果からわかるとおり、LPGを燃焼ガスとして切断したときよりも、酸水素ガス+22%LPGを燃焼ガスとして切断した方が最大歪み、キャンバ率ともに小さくなった。
Figure 2007000902
(3)つぎに、燃焼ガスとして酸水素ガス+22%LPGの混合ガスを使用し、後加熱を行って切断した。切断対象はウェブ10t×500mm、フランジ16t×200mm、全長12500mmのH形鋼とし、上記燃焼ガスを8リットル/分の流量で使用し、切断速度を350mm/分とした。
また、後加熱用の燃焼ガスとして酸水素ガス+22%LPGの混合ガスを使用して、2口の加熱火口4あたり10リットル/分の流量で使用して後加熱を行った。このときの切断火口3と加熱火口4の配置は図3(A)に示したとおりであり、切断火口3と加熱火口4との距離L1は100mm、加熱火口4と中央線との距離M1は10mmとした。
このときの最大歪みは0mm、キャンバ率は0%であった。その結果を下記の表3に示す。この結果からわかるとおり、LPGを燃焼ガスとしたときや、加熱なしで切断したときよりも、酸水素ガス+22%LPGを燃焼ガスとして後加熱を行って切断した方がキャンバが大幅に抑制された。
Figure 2007000902
(4)つぎに、燃焼ガスとして酸水素ガス+22%LPGの混合ガスを使用し、予備加熱を行って切断した。切断対象はウェブ10t×500mm、フランジ16t×200mm、全長13500mmのH形鋼とし、上記燃焼ガスを8リットル/分の流量で使用し、切断速度を350mm/分とした。
また、後加熱用の燃焼ガスとして酸水素ガス+22%LPGの混合ガスを使用して、2口の加熱火口4あたり10リットル/分の流量で使用して後加熱を行った。このときの切断火口3と加熱火口4の配置は図3(A)に示したとおりであり、切断火口3と加熱火口4との距離L2は100mm、加熱火口4と中央線との距離M2は10mmとした。
このときの最大歪みは16mm、キャンバ率は0.13%であった。その結果を下記の表4に示す。この結果からわかるとおり、LPGを燃焼ガスとしたときや、加熱なしで切断したときよりも、酸水素ガス+22%LPGを燃焼ガスとして予備加熱を行って切断した方がキャンバが大幅に抑制された。
Figure 2007000902
以上のように、上記燃焼ガスは、LPGに比べてカロリーが低い酸水素ガスを主成分とすることから、流量のコントロールにより入熱量を制御してキャンバーを防止することが比較的容易になる。したがって、キャンバーを抑制してその矯正に要する時間とコストを大幅に節減することが可能となる。また、上記燃焼ガスは、酸水素ガスに対して酸水素ガスが爆発下限界未満の濃度となるよう炭化水素ガスが混合されていることから、燃焼ガスの爆発の危険が大幅に低下し、安全性が高まるとともに、防爆設備の準備も不要となって設備コストを大幅に低下させることができる。
また、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断するため、キャンバーを大幅に低減することが可能となる。この理由は定かではないがつぎのように考えることができる。すなわち、切断箇所は溶融点以上の高温に達しその近傍も局部的に溶融点近くまで温度が上昇するが、その状態から急激に冷却されると、急冷による残留応力のためにキャンバーが発生したりキャンバーが残留したりするが、切断箇所の近傍を後加熱しながら切断することにより、局部的に高温に達した切断箇所とその近傍の冷却速度が遅くなり、急冷に伴う残留応力と結晶の歪みを緩和することにより、キャンバーが抑制されると考えられる。また、切断箇所の後方を後加熱しながら切断を進めるため、切断前に鋼材にあった残留応力が切断過程において開放されることから、切断により分割されたときの残留応力によるキャンバーが緩和される。このように、後加熱しながら切断することによりキャンバーを抑制することから、従来のような入熱量の制御や残留応力の事前測定等の作業が不要になり、極めて簡素な作業でキャンバーを抑制することができるのである。
また、上記切断用加熱炎による切断前に切断予定箇所の近傍を予備加熱しながら切断する場合には、切断箇所の前方を予備加熱しながら切断を進めるため、切断前に鋼材にあった残留応力が切断過程において開放されることから、切断により分割されたときの残留応力によるキャンバーが緩和される。このように、予備加熱しながら切断することによりキャンバーを抑制することから、従来のような入熱量の制御や残留応力の事前測定等の作業が不要になり、極めて簡素な作業でキャンバーを抑制することができるのである。
また、上記圧延鋼材が形鋼である場合には、異型断面の形鋼においては、圧延時の冷却むら等に起因する残留応力のむらが大きく、大きなキャンバーが生じる傾向にあるため、本発明によりキャンバーを緩和する効果が顕著で効果的である。
また、上記形鋼がH形鋼であり、上記切断用加熱炎によりH形鋼のウェブ部分を切断する場合には、H形鋼においては、圧延時の冷却むら等に起因する残留応力のむらが大きく、大きなキャンバーが生じる傾向にあるため、本発明によりキャンバーを緩和する効果が顕著で効果的である。
なお、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断することにより、キャンバーを大幅に低減する効果を得るためには、熱源としての燃焼ガスは酸水素ガスと炭化水素ガスの混合ガスに限定するものではなく、酸素ガスと水素ガスを分離供給するいわゆる分離型の水素切断にも適用することができるし、LPG等の各種のガス切断用燃焼ガスを用いたガス切断にも適用することができる。
また、上述した説明では、切断対象の形鋼としてH形鋼を条切りする例を示したが、切断対象としては、これに限定するものではなく、本発明は、I形鋼、みぞ形鋼、T形鋼、等辺山形鋼、不等辺山形鋼、不等辺不等厚山形鋼等、各種の形鋼の条切りに適用することができる。また、本発明の切断対象としては、異型の形鋼だけでなく、厚板の圧延鋼板であれば、平板状の鋼板の条切りにも適用することができる。
本発明の圧延鋼材のガス切断方法に用いる装置を示す構成図である。 切断対象の圧延鋼材の一例を示す斜視図である。 本発明の圧延鋼材のガス切断方法を説明する図である。 最大歪みおよび歪み方向の定義を説明する図である。
符号の説明
1 酸水素ガス発生器
2 ボンベ
3 切断火口
4 加熱火口
5 厚板圧延鋼材
6 電解タンク
7 電解セル
8,9 流路調節器
10 H形鋼
11 ウェブ
12 フランジ
13 切断箇所
14 後加熱箇所
15 予備加熱箇所
16 溶断線
17 切断バーナ
18 加熱バーナ
20 燃焼ガス発生装置
21 溶断装置
23 水供給路
24,25 流量調節器

Claims (6)

  1. 酸水素ガスに対して酸水素ガスが爆発下限界未満の濃度となるよう炭化水素ガスを混合した混合ガスを燃焼ガスとし、上記燃焼ガスを燃焼させた切断用加熱炎を切断火口から噴出させ、上記切断用加熱炎により切断対象である圧延鋼材を長手方向に溶断することを特徴とする圧延鋼材のガス切断方法。
  2. 上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断する請求項1記載の圧延鋼材のガス切断方法。
  3. 上記切断用加熱炎による切断前に切断予定箇所の近傍を予備加熱しながら切断する請求項1または2記載の圧延鋼材のガス切断方法。
  4. 上記圧延鋼材が形鋼である請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧延鋼材のガス切断方法。
  5. 上記形鋼がH形鋼であり、上記切断用加熱炎によりH形鋼のウェブ部分を切断する請求項4記載の圧延鋼材のガス切断方法。
  6. 燃焼ガスを燃焼させた切断用加熱炎を切断火口から噴出させ、上記切断用加熱炎により切断対象である圧延鋼材を長手方向に溶断する圧延鋼材のガス切断方法であって、上記切断用加熱炎による切断後に切断箇所の近傍を後加熱しながら切断することを特徴とする圧延鋼材のガス切断方法。
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